勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
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Part2
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:05:36.22 ID:
nfVCKxWoo
村長「うむぅ……。幾ら勇者様でもあやつには勝てんか……」
農夫「あんなに大人しかったのに……どうしたんでしょうねぇ……」
勇者「家畜扱いされるのに嫌気がさしたんすよ」
村長「むぅ……」
村娘「おじいちゃん」
村長「おお。どうした?」
村娘「勇者様が怪我をしたってきいて……」
勇者「……!」
村長「あぁ、そうなんだ」
村娘「あの、勇者様、大丈夫ですか?」
勇者「ええ。この通り、ピンピンしてます」
村娘「よかったぁ……。厚かましいことは重々承知していますが、勇者様、もう一度……その……」
村長「これこれ。勇者様はもう……」
勇者「顔をあげてください。必ず、貴女のためにこの村を救ってみせますよ」キリッ
村娘「勇者様っ! あ、ありがとうございます!!」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:11:46.10 ID:
nfVCKxWoo
農夫「いいんですか!?」
勇者「は? 良いも何も弱き者を救済してこその勇者。勇者の称号は伊達じゃないんですよ」
村娘「素敵ですぅ」
勇者「ところで」
村娘「は、はい」
勇者「この問題を無事に解決できたら、俺と一緒に食事でもどうですか?」
村娘「え? は、はい。よろこんで」
勇者「ふふふふ……はははは……フフハハハハハ!!!!」
村娘「な、なにか?」
勇者「村長さん、いえ、お爺様!!!」
村長「は、はい?」
勇者「1日だけ時間をください。必ずや、この村の危機を救います」
村長「勇者様……!!!」
村娘「よろしくおねがいします!!」
勇者「ふっ。君の美しさに乾杯」
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/04/21(月) 17:14:38.33 ID:iMkkq+jF0
なんか最後まで報われなさそうな勇者だなwwwwwww
こういう煩悩丸出しだとモテたくてもモテない
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:16:02.64 ID:LcpYddtco
古き良き煩悩全開モテない主人公だな
ただし魔物や人外には好かれる
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:16:28.61 ID:
nfVCKxWoo
馬小屋
勇者「……」
勇者「(まさか、村長にあんなに可愛い孫がいるなんてなぁ……。これはやるっきゃねえ……)」
勇者「(田舎っ娘は惚れやすいって恋愛マニュアルに書いてたし、ここで俺がカッコイイところを見せれば……)」
勇者『ーーこれでこの村も救われた』
村娘『勇者様……』
勇者『結婚しよう』
村娘『だいてっ!』
勇者「……よしっ。いける! いけるぞ、これはぁ!!!」
勇者「ハーッハッハッハッハ!!! もらったぁ!!!! これはいける!!! いけるぞぉ!!!!」
勇者「でぇっへっへっへっへっへ……」
村長「どうやら妙案が浮かんだようだな」
農夫「頼もしいですなぁ……」
村娘「勇者様、がんばってください!」
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:25:37.57 ID:
nfVCKxWoo
勇者「うし。さっさとケリつけてハネムーンといこうじゃねえか」
勇者「いくぜぇ!!!」ガチャ
馬「……」ザッザッザッ
勇者「ふふん。馬畜生。さっきの俺とは思わないことだ」
馬「……」ザッザッザッ
勇者「今の俺には勝利の女神がついてんだからなぁ」
馬「……」ブルルッ
勇者「てめぇを生け捕りにしてお医者さんに診せる!!! んで、注射とかされて無様に嘶け!!!」
馬「……」
勇者「家畜風情が人間様に勝てると思うなよ!!!」
馬「ーーヒヒーン!!!!」ドドドドドドッ!!!!
勇者「ハッハー!!! 突進しかできねえのかよぉ!! 所詮は馬畜生だな!!!」
「ヒヒーン!!!!」
「ヒヒーン!!!!!」
勇者「おいおい!! 男ならタイマンだろ!? 全員とか卑怯じゃねぇ!?」
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:30:56.81 ID:
nfVCKxWoo
村長「あ、危ない!!!」
村娘「勇者さまー!!!」
馬「ヒヒーン!!!!」ドドドドドドッ!!!!
勇者「あっぶねぇ!!!」バッ!!!
勇者「ーーにゃろぉ……!! いい加減に……!!!」
「ヒヒーン!!!!」ドガッ!!!
勇者「いってぇ!?」
勇者「いたいっす!!! 背骨が……!! 背骨蹴られた!!!」
農夫「ダメだ……」
村長「多勢に無勢か……」
村娘「そ、そんな……勇者さまぁ……」
馬「ヒヒーン!!!」ガブッ!!!
勇者「いってぇー!!! それはダメ!!! 噛み付くなら人参っす!!! 人参!!!」
馬「ヒヒーン!!!」ドガッ!!!!
27 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:38:10.44 ID:
nfVCKxWoo
馬「……」ザッザッザッ
勇者「ぐっ……勇者に任命されて、初仕事がこれか……。全く、割りにあわねえっす……」
馬「……」ブルルッ
勇者「(ここで死ぬのか……。人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られろなんていうけど……馬が邪魔するんじゃなぁ……)」
村娘「勇者様!!! もういいです!!」タタタッ
勇者「え……?」
村長「行くな!! 危ないぞ!!」
村娘「勇者様!! お戻りになってーー」
馬「ヒヒーン!!!!!」ドドドドドドッ
村娘「うそ……」
村長「あぁぁぁ!!! にげろぉー!!!!」
農夫「あぶねえ!!!」
馬「ヒヒーン!!!!」ドドドドドッ!!!!!
村娘「うっ……」
勇者「ーーさせねぇっす!!!! その子に手をだすなぁぁぁ!!!!」バッ!!!
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:42:53.16 ID:
nfVCKxWoo
馬「……!!」
勇者「あばれんじゃねぇっすぅ!!!!」グイッ!!!!
村娘「う、うそ……」
農夫「す、すげぇ……。飛び乗った……」
村長「い、今のうちだ!! こっちにこい!!」
村娘「う、うん!!」
馬「ヒヒーン!!!!」
勇者「おぉ!? この野郎!!! 大人しくしやがれぇ……!!!」グググッ
馬「……!!」
「ヒヒヒーン!!!!」ドドドドッ
勇者「なんだぁ!? やんのかぁ!?」
馬「ヒヒーン!!!!」ドドドドドッ!!!!!
勇者「おぉお!? とまれぇぇ……!!! とまってぇぇ……!!!」ギュゥゥゥ
農夫「手綱もなしに乗りこなすなんて……」
村娘「流石は勇者様……。でも、あのままだと村の外へ出て行ってしまう……」
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:51:33.18 ID:
nfVCKxWoo
草原
馬「ヒヒーン!!!!」ドドドドドッ!!!!
勇者「どこまでいく気だぁ……もうおろしてぇ……」ギュゥゥ
馬「ヒヒーン!!!!」
勇者「この……もうかんべんして……!!!」
馬「ヒヒーン!!!!」
ガッ!
勇者「え……!?」
馬「ヒッ……」ズサァァ!!!
勇者「うわぁああ!!!!」ズサァァァ
勇者「なんすかぁ!!! 降ろせっていったけどこんな乱暴な……!!!」
馬「バヒ……」
勇者「ふん。まぁ、いいか。大人しくなったし。これで獣医に診せれば完璧だな」
馬「……」ヨロッ
勇者「……なんだ? どっか痛めたのか?」
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 17:56:28.65 ID:
nfVCKxWoo
馬「……」ガクッ
勇者「……」
勇者「(足をやってるみたいだな……)」
馬「ヒヒーン……」
勇者「ハッハー!! 馬畜生め!! 天罰だ、バーカ!! バーカ!! ワハハハ」
馬「……」ヨロッ
勇者「さてと、獣医を呼んでくるか。いいか。ここで大人しく待ってろよ」
馬「……」ガクッ
勇者「いやー、俺の嫁も決まったも同然だなぁ。愉快愉快!」
馬「……」
勇者「婚前交渉ぐらいは別にいいよな……にゅふふふ……」
「グルルルル……」
勇者「……!」
狼「グルルルル……」
勇者「なんだよぉ……。馬の次は狼かぁ? もう獣はいいよ」
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:02:48.55 ID:
nfVCKxWoo
村長の家
村長「……あれから随分と経つな」
農夫「な、なにかあったんでしょうか」
村娘「おじいちゃん。探しにいったほうがいいよ」
村長「……」
農夫「そうだ!! もしかしたら勇者様はあいつを捕らえてくれてるかもしれませんし」
村娘「怪我をして動けないのかも!! もしそうなら!!」
村長「うむ……。そうだな。我々だけが座視しているわけにもいかんか」
農夫「そうです!! 探しにいきましょう!!」
村長「……村の者をできるだけ集めてくれるか?」
村娘「う、うん!!」
「その必要はねえ!!」
農夫「お、お前たち……」
「みんなで勇者様を探しに行こう!!」
村長「くれぐれも気をつけろ。外には野生の狼もいるからな」
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:06:48.29 ID:
nfVCKxWoo
草原
農夫「勇者さまー!!」
村娘「勇者さまぁー!!! どこですかー!!!」
「本当にこっちにきたのか?」
「それは間違いねえよ!! 俺、見てたし!!」
「でもよぉ……」
農夫「お、おい!! 向こうだ!! 向こうにいるぞ!!!」
村娘「え!? 勇者様!?」
馬「……」ペロペロ
勇者「やめろぉ……くせぇ舌で……なめんなぁ……」
村娘「ゆ、勇者様……!?」
農夫「な、なんですか……その怪我……!?」
勇者「あぁ……? ちょっと落馬して……」
村娘「落馬でそんな傷……」
勇者「とりあえず……運んでくれるっすか……もう死にそうなんで……マジで……」
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:12:29.75 ID:
nfVCKxWoo
村娘「た、立てますか?」
勇者「はっはっはっは。いやぁー。ちょっと無理なんで、貴女の手を貸してもらえれば嬉しいです。はい」
村娘「では」
勇者「うぅーん……あたたかい……」ギュッ
村娘「え……と……」
勇者「これが女の子の温もりかぁ……でへへへへ……」スリスリ
村娘「勇者様……あの……」
農夫「勇者様は運ぶとして、こいつはどうする……?」
馬「……」
「足、怪我してるなぁ……」
「こいつは何かに乗せないと無理だな……」
農夫「……ここに置いておくか」
「それがいい。病気にかかってるやつだしなぁ……。このまま狼のエサにさせたほうが……」
勇者「ちょっと……。そりゃ、ないっすよ……」
農夫「しかし、勇者様。もうこいつは足をやられてますし……」
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:19:17.87 ID:
nfVCKxWoo
勇者「折角、俺が命がけで生け捕りにしたのに……!! ここに放っていくなんて!!! あんまりっす!!!」
農夫「ですが、運ぶ方法がありません。村の家畜たちは凶暴化しているし……」
勇者「ダメ!! 絶対に連れてかえる!!!」
村娘「勇者様……」
勇者「(じゃないとまた暴れ馬を捕まえなきゃならねーじゃん!!! そんなことあってたまるかぁ!!!!)」
農夫「どうやって運ぶのですか?」
勇者「国王陛下に頼んで馬車かなんか用意してもらえばいいっすよ。俺が直筆の手紙書くんで」
農夫「それを届けるのはいいのですが……。その間、こいつは……」
馬「……」
勇者「ここに置いておくしかないんじゃないっすかね」
「狼に狙われちゃいますよ」
「そうですよぉ」
勇者「あぁぁあ!!! うっせぇなぁ!!! じゃあ、俺が残るっす!!! それでいいっすね!? ついでに獣医もつれてきて!!!」
農夫「ゆ、勇者様……」
勇者「この馬は俺が守る!! それで解決!!! さっさと国王陛下のところに行ってきてくださいっす!!!」
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:24:46.48 ID:
nfVCKxWoo
勇者「うぅ……」ヨロッ
村娘「勇者様、そのような怪我では……!!」
勇者「ふっ。貴女に触れたことで血もとまりました。これも愛のなせることですよ」
村娘「はぁ……」
農夫「勇者様、いいのですか? それではあなたの治療も遅れてしまうことに……」
勇者「ちょっと待ってくださいっす。今、手紙かくんで……。あ、紙あります?」
「あぁ、えっと……えっと……白い布なら……」
勇者「それでいいっす」
「しかし、書くものが」
勇者「我が血で書く」キリッ
「か、かっこよすぎる……!!」
勇者「ふんふーん」カキカキ
勇者「……」チラッ
村娘「……」
勇者「(参ったなぁ……この子、完全にラブってんじゃん……うひょー!!!)」
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:29:14.86 ID:
nfVCKxWoo
農夫「では、傷薬と包帯は置いていきます」
勇者「うぃーっす」
農夫「ほ、本当にいいんですね?」
勇者「しつこい」
農夫「わ、分かりました。では、待っていてください」
勇者「お願いします」
勇者「ふぃー……」
馬「……」
勇者「……なんだぁ、馬畜生め。てめぇのおかげでこっちは死にかけてんだぞぉ。わかってんのかぁ?」
馬「……」
勇者「ふんっ」
馬「……」ペロペロ
勇者「やめろって。口くせーんだよ。歯ぐらい磨け」ググッ
村娘「あ、あの……勇者様……。傷の手当てをさせてください」
勇者「(お。キタキタ。お約束だな……)」
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 18:36:58.34 ID:
nfVCKxWoo
村娘「包帯、きつくないですか?」
勇者「この胸の苦しみに比べれば、どうってことないです」
村娘「胸にも傷が……!?」
勇者「いえ、心の病です」
村娘「そ、そうですか」
勇者「ありがとうございます。それより貴女も戻ったほうがいい。ここは狼が出ますから」
村娘「わかっています。勇者様、この子を助けてくれてありがとうございます」
勇者「え?」
村娘「実は……。私にとってこの子は、とても大事な馬なんです……。ううん、私にとっては家族も同然なんです」
馬「……」
勇者「そうでしたか」
村娘「本当は殺処分も検討されていました。このまま解決できないなら……全ての家畜は殺してしまおうって……」
勇者「普通はそうするでしょね」
村娘「そんなこと……私は許せなかったんです……。だから、最後のチャンスをおじいちゃんにお願いしたんです」
勇者「それで国王陛下へ陳情を……」