勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
|
Part18
384 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:01:05.90 ID:
bA453CjWo
城下町
「キャー!! 勇者様ぁー!!」
勇者「やぁやぁ。みなさん。お元気ですか?」
「勇者さまー!! サインしてください!!」
勇者「いいですよぉー。アッハッハッハッハ」
「勇者様、私にもサインお願いします!!」
勇者「はぁーい。いいですよぉー」
勇者「(ブワァーッハッハッハッハッハ!!! これが恋愛マニュアルにも書いてあったモテ期ってやつかぁ!!!)」
勇者「(いやぁー。愉快愉快。時代が俺に追いついた瞬間を垣間見たな)」
勇者「(そして、子猫ちゃんと戯れつつ……大本命のあいつを……)」
狼少女「おぉぉーい!!!! わぁぁぁー!!!」テテテッ
勇者「おぉー!! やっと来たかぁ!! まってたぜぇ!!」
狼少女「あう……? こいつら、誰だ?」
勇者「俺のファンだ。さぁ、ご挨拶して」
狼少女「ガルルル……」
385 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:05:57.39 ID:
bA453CjWo
シスター「兄さーん!」
戦士「勇者さまぁーん!!」
勇者「おー!」
シスター「よかった……。無事だったんですね」
戦士「うふふ。この分だと、今夜は大フィーバーねぇ」
勇者「約束、あとで果たすからな」
シスター「うんっ。本当に無事でよかったぁ……」ギュッ
勇者「妹を置いて兄が死ぬわけないだろぉ?」
シスター「もう……」
狼少女「ガルルル……!! くっつきすぎぃ!!」
勇者「そうだ。なぁ、聞いてくれ」
狼少女「なんだ?」
勇者「お前、俺のこと好きだよな?」
狼少女「あいっ!」
勇者「実は、俺もお前のこと好きなんだ」
386 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:10:20.08 ID:
bA453CjWo
狼少女「おぉぉ!! 本当か!?」
勇者「ああ。両思いってやつだ」
狼少女「お、おぉ……!! ま、まぁ、知ってたけどな!!」
勇者「(これでよし……。ククク……ガキは単純でいいぜぇ……)」
「あのぉ、勇者様、こちらの方たちは?」
勇者「ああ、紹介しておきましょうか。どうせあとで有名になっちゃうんだし」
勇者「こちらの屈強な男性は、傭兵です。中々つよいんすよ」
戦士「うっふん。女はお断りよ。可愛い男にしか興味ないのぉ。ごめんねぇ」
「は、はぁ……」
勇者「で、こっちが妹です。可愛いでしょう?」
シスター「ど、どうも」
「確かに……。綺麗な人ですね……」
勇者「で、こいつがーー」
狼少女「娘だ」
勇者「そう娘……娘?」
387 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:14:26.74 ID:
bA453CjWo
「む、娘って……勇者様の……?」
勇者「いやいや、何をいってるんだ? ちがうだろー?」
狼少女「パパだろ?」
勇者「いや……」
狼少女「パパー」ギュッ
勇者「……」
「勇者様って子持ちだったんですね……」
「なーんだ……がっかりぃ……」
「奥さんいたんだー」
勇者「ちがう!! 娘なんかじゃ……!!!」
狼少女「パパぁ。あいしてるぅ」スリスリ
勇者「ほぉぉぉぉ……!!!!!」
狼少女「もう離さないからなぁー」スリスリ
シスター「(す、好きって……)」
戦士「(ラブじゃなくて、ライクのほうなのねぇ……)」
388 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:23:19.68 ID:
bA453CjWo
酒場
兵士長「ハーッハッハッハッハッハ!!!! そいつはとんだ大誤算だなぁ!! ハーッハッハッハッハッハ!!!!」
勇者「わらいごとじゃねえんすよぉ!!! せんぱぁい!!!これじゃあ俺……!!!」
兵士長「結婚は無理。つまり、国王にはなれねえなぁ」
勇者「ガァァアア……!!!」
兵士長「すっ……ぱぁー……。まぁ、まだわかんねえだろ。今はパパ扱いでも、一人の男としてみてくれるはずだ。そのうちな。諦めるなよ」
勇者「お、おれのモテ期が……瓦解していく……!!」
兵士長「おっかしいなぁ。てっきり、姫はお前に惚れてるとおもってたんだがなぁ」
狼少女「はむっ……はむっ……!!」
シスター「あの、ところでこの子が姫……女王になるという話は本当ですか?」
兵士長「王座が空席だと色々と面倒だからな。まぁ、姫にその気があればの話だが」
戦士「こんな獣っぽい子が女王様になれるわけぇ?」
兵士長「それは教育次第でどうにでもなるだろう。んで、薬のほうは大丈夫か?」
シスター「中和剤のほうは間もなく用意できるとのことです。それさえ飲めば、この町の人たちも凶暴化することはまずありません」
兵士長「あぁ。体の中の毒がぬけねえと、安心して嫁も抱けねえからなぁ。よかったぜ……」
389 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:29:55.73 ID:
bA453CjWo
勇者「……おい、お前」
狼少女「なんだ、パパ?」
勇者「どうする、これから?」
狼少女「お前、面倒みてくれるんだろ? 私はそれでいいぞ」
勇者「この国の姫になることになってもか?」
狼少女「姫にならないとお前が困るっていうなら、姫になる!」
勇者「本気か?」
狼少女「あい。そのかわり、お前が一緒にいるのが条件だ! これは譲らないからな!!!」
兵士長「パパ、だもんな」
狼少女「そうだ!! パパだ!!」
勇者「ぐっ……ぅぅう……!!!」
狼少女「パパ、どうした?」
勇者「うわぁぁぁぁぁぁあああ!!!! 俺はこんなガキからもモテねええのかよぉぉぉぉぉ!!!! うわぁぁぁあああ!!!!」
兵士長「ある意味、モテてるぞ。よかったな」
勇者「ぢぐじょぉぉぉぉ!!!! 女なんて……!!! 女なんてぇぇぇ……!!!! あぎゃぁあああああ!!!!!」
390 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:38:35.73 ID:
bA453CjWo
数日後 傭兵所
受付嬢「今日の記事はっと……」ペラッ
受付嬢「魔女の裁判が近いうちに始まるみたいですねー」
戦士「そうなのぉー」
受付嬢「どうしたんですか? 元気ないですね。折角、大きな仕事がはいったっていうのに」
戦士「だってぇねぇ……」
受付嬢「怪我が完治するまでの間もお金払ってくれるっていうんですから、景気のいいはなしですよね」
戦士「それは嬉しいわよぉ? お城で働ける傭兵なんてあまりいないものぉ」
受付嬢「だったら……」
戦士「でもでもぉ。勇者様と一緒になれる時間がないなんて、やだやだぁ」
受付嬢「仕方ないじゃないですか。勇者様は今現在姫様の教育係なんですし」
戦士「つまんないわぁー。あたしもお姫様の教育係になりたぁーい」
受付嬢「姫様がおかしな道へ行ってしまいそうですね」
戦士「勇者様も勇者様よ。こんなに素敵な女がいるのに、会いにもこないんですもの。ぷんぷんっ!」
受付嬢「ここにいる傭兵は男性しかいないんですが……」
391 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:49:58.17 ID:
bA453CjWo
墓地
シスター「兄さんから聞きました。貴方は滅多に家には帰ってこず、半ばお嫁さんも子どもも放置していたと」
シスター「やはり、貴方は最低の父親です。私は貴方のことが大嫌いです」
シスター「でも、たまに帰ってきたときには貴方が息子に付きっ切りであったというのは驚きました」
シスター「息子が好きだったのか、それとも本当に愛したお嫁さんの子どもだから好きだったのか。それは分かりません」
シスター「それでも貴方が最後までここを、この町を、兄さんの待つ家を帰る場所にしていた。それが答えかもしれませんね」
シスター「そんな兄さんに私は妬いています。羨ましいと思っています。それもこれも全ては貴方の所為です」
シスター「兄さんのこと大好きなのに……。こんな気持ちにさせて……バカヤロー!!!!」ドガッ!!!
兵士長「過激だねぇ、墓を叩く修道女なんて聞いたことねえよ」
シスター「あ! こ、これは恥ずかしいところを……」
兵士長「ま、蹴りたくなるのも分かる。こいつはそれだけクズだったからな」
シスター「貴方も父になにか……?」
兵士長「こいつ、俺の嫁さん寝取ろうとしたんだぜ? 親友の妻をよく狙えるなって言ったら、親友の嫁だから抱けるんだよってぬかしてやがった。あぁー。腹立ってきた。俺も蹴っていい?」
シスター「ダメです! 叩いていいのは家族だけです!」
兵士長「ハハッ。それもそうだな。んじゃ、花だけ置いていくか」
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 01:55:31.98 ID:
bA453CjWo
宿舎
勇者「すかぁー……すかぁー……」
『勇者殿!! 勇者殿!!』
勇者「なんすかぁ……」
『姫様が中庭で待っています!! お急ぎください!!』
勇者「まだ6時じゃないっすかぁ……」
『お願いします!!!』
勇者「起きなかったっていってくださいっすぅ」
『おきろー!! がおー!!!』ガンガンッ
『姫様!! そういう行為はお控えください!! お体にも障りますから!!』
『おーきーろ! おーきーろ!!』
勇者「あぁあああ!!! 起きたよ!!!! 今すぐ行くからまってろぉぉぉ!!!」
『あいっ』
『勇者殿……』
勇者「勇者なんだぞぉ……はぁぁぁ……この国を救った英雄なんだぞぉ……なのになんでまだ彼女ができねえんだぁ……? おかしくねえ……」
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:00:09.14 ID:
bA453CjWo
中庭
姫「遅いぞ。姫を待たせるとは何事だ」
勇者「見栄えだけよくなっても、やっぱりダメだな」
姫「まずは形からだろ? 恋愛マニュアルにも載ってたぞ!」
勇者「それとこれとを一緒にするなよ」
姫「さぁ、早く投げろ! 朝の運動だ!!」
勇者「勉強もしろよ」
姫「あいっ!」
勇者「ちがうだろ」
姫「あぅ……。はい! わかりましたわ!」
勇者「そうそう。ほーら」ポーイッ
姫「がうー!!」タタタタッ
勇者「全く……。まぁ、まだ数日だしなぁ……」
狼「ガァァァウ!!」タタタタッ
姫「おぉう!? 邪魔するなー!! これは私のだぞー!! あー!! くわえるなぁー!!」
394 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/04/27(日) 02:04:04.04 ID:yfXBMc7r0
なんだろう…
この勇者には報われてほしいのに報われないほうが面白いと思ってしまう
395 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:05:59.85 ID:
bA453CjWo
狼「ガルルル……!!」
姫「ガルルル……!!」
勇者「大丈夫か……この先……」
兵士長「今日も姫様は元気いっぱいだなぁ」
勇者「あれじゃあ、治療も長引きそうっすね」
兵士長「心配ないんだろ? そのうち、初潮もあるだろ」
勇者「……」
兵士長「姫に振られたの、まだ気にしてるのか?」
勇者「そうっすねぇ……」
狼「ガァァウ!!」
姫「まてー!!」
勇者「今、幸せそうにしてるから、いいっす」
兵士長「そうか。……魔女と陛下のことは俺に任せろ。姫には関係ねえことだ。もう姫の親はお前だしな」
勇者「それ、言わないでくださいよ……」
兵士長「まぁまぁ。姫も成長すりゃあお前に惚れるって。だから、見張っておけよ。他の男にとられないようにな。勇者様っ」
396 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:11:51.91 ID:
bA453CjWo
姫「とってきたー!!」
勇者「よし、姫。そろそろ朝食の時間だ」
姫「ナイフとフォーク使うのか?」
勇者「いつまでもスプーンだけじゃダメだろ?」
姫「むぅー……がんばればスプーンだけで食べられるぞ!」
勇者「そういう問題じゃないんだよ」
姫「……わかったぁ」
勇者「違うだろぉ?」
姫「わかりましたわ!」
勇者「それでいい」
狼「クゥーン……」
勇者「お前も、他のやつらみたいに森へ帰ったらどうだ? 中々一緒に遊べないし、寂しいだろ?」
狼「ガウッ!!」
姫「あいつは私とお前の傍にいたいんだ!」
勇者「ふぅん。ま、番犬にはなるからいいけどな」
397 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:16:13.98 ID:
bA453CjWo
シスター「兄さん。おはよう」
勇者「うぃーっす」
姫「おはようございます」
シスター「おはようございます、姫様」
勇者「今日はどうしたんだ?」
シスター「どうって、兄さんの部屋の片付けをしようとおもって。まだ片付いてないんでしょう?」
勇者「めちゃくちゃにされたからなぁ。もうどうでもよくなってて」
シスター「不衛生、不潔よ。私が掃除してあげる」
勇者「……」
シスター「見られて困るものでもあるの?」
勇者「……多分、ない」
シスター「よかった。それじゃ、またあとでね」
勇者「はいよぉ」
姫「ガルルル……!!」
勇者「何唸ってやがりますか、姫様?」
398 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:24:58.92 ID:
bA453CjWo
姫「私もお前の身の回りの世話したほうがいいか?」
勇者「俺が姫様の身の回りの世話をするんだが」
姫「そうか! 流石はゆーしゃだな! かんしんだ!!」
勇者「俺はこんなことするために勇者になったんじゃ……」
姫「何度も聞いた!! モテるためだろ? なら、もういいはずだ!!」
勇者「なんで?」
姫「私にモテてるからな!」
勇者「いや、俺はお前みたいな……」
姫「清楚で可憐で守ってあげたくなるような美人になってやるから!!」ギュッ
勇者「(でも、嫁にはなってくれるかわかんねえんだもんなぁ……)」
姫「えへへー」スリスリ
勇者「(こいつ教育係なんてしているかぎり、ナンパもいけねえよぉ……!!!)」
勇者「このままじゃ俺!!! 一生童貞じゃねええかぁぁぁ!!!! うわぁぁぁあ!!!!」
姫「うわぁぁー」
勇者「真似すんなぁ!!! 責任とれ!!! 責任!!! 可愛い嫁さんでも紹介してくれよぉぉぉぉ!!!」
399 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:35:40.52 ID:bbyfMV/8o
うわぁぁぁー
400 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:39:23.16 ID:
bA453CjWo
宿舎 勇者の部屋
シスター「ふぅ……。やっと綺麗になった」
シスター「あら、この本……恋愛マニュアル……? 兄さんがいつも見てるっていう……」ペラッ
シスター「へぇー……。あ、男性を落とすテクニックまで……。私もこういうの読んだほうがいいのかなぁ……」
シスター「ん? このページ、端が少し折れてる。何か書いてるのかな……?」
シスター「ええと、年上の男性を落とす方法……。 パパと呼んであげることで……年上の男性は胸をうたれ……」
シスター「……」
勇者「おーい」
シスター「あ、兄さん。お疲れ様」
勇者「ホント、お疲れだよ。随分、片付いたなぁ。ありがとう」
シスター「ううん。いいの。姫様は?」
勇者「今はお昼寝中だ。ほーんと、気楽なもんだよなぁ。こっちはナンパを我慢してるっていうのに。これじゃあ、結婚どころか彼女もできねーよ!! 俺、勇者なのに!!!」
シスター「ふふ……。兄さんは、とってもモテてると思うけどなー」
勇者「はぁー? 誰に? もしかして酒場のバニーちゃん!? なんか言ってた!?」
シスター「秘密。でも、もう少し勇者様でいれば、きっと理想のお姫様が兄さんの前に現れると思うよ?」
勇者「絶対だな!? おーし!! なら、もう少し勇者でいるかぁ!! 女の子にモテるなら!! 早くこーい!!! 俺の嫁ぇぇぇ!!!!」
END
401 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:41:04.70 ID:YLABc80AO
乙
でもパパはねぇなwwwwww
402 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:41:20.35 ID:bbyfMV/8o
乙
引き込まれる面白さがあって楽しかった
403 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:43:30.39 ID:NUANn2Nso
乙
報われたのか気になる
報われていて欲しい気持ちとそうでない気持ちが…
404 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:43:48.86 ID:LZpo6Ogmo
乙
パパは逆効果だよなぁ…
405 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:46:10.64 ID:cnFWsx7po
乙!
勇者が途中でひよらずに、最後までリア充爆発しろのスタイルだったのが良い
爽快感ある面白さだった
406 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/27(日) 02:54:46.80 ID:NTvtdUt2o
乙乙
読みやすかったし楽しかったわwwwwww