勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
|
Part12
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:17:39.81 ID:
W9YT+3P1o
狼少女「いない!!」
勇者「まさか……お前……」
狼少女「私に母親なんていない!!」
兵士長「薬漬けにしてくるような奴を母親とは認めたくないってことでいいか?」
勇者「……魔女が母親なのか?」
狼少女「……」
兵士長「わざわざリスク背負ってまで取り戻しに来た理由がわかったな。歪んではいるがあれで娘を愛してるんだろうぜ」
勇者「実の娘に嫌われてるじゃないっすか」
兵士長「ハハッ。確かにな。じゃ、次の問題だ」
勇者「薬で父親は狼だと思い込まされていて、正気に戻れば『父親はよくわからない』でしたもんね」
兵士長「姫。父親が誰なのか知らないんだろ?」
狼少女「よくわからない」
勇者「先輩、心当たりでもあるんすか?」
兵士長「調べてみないとわからんが……。姫は本物の姫様かもしれねえな」
狼少女「あぅ?」
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:24:55.41 ID:
W9YT+3P1o
地下牢
王「……」
衛兵「国王陛下!! な、何故ここへ!?」
王「席を外してくれ」
衛兵「し、しかし……今ここには……」
王「命令だ」
衛兵「はっ! 失礼しました!!」
王「うむ……」
魔女「ーーふふ。明日まで待てなかったのかしら?」
王「……」
魔女「変わらないわね。せっかちな人」
王「会いたかったぞ」
魔女「どうして?」
王「お前を愛しているからに決まっている」
魔女「嬉しいわ。私もよ、アナタ。うふふふ……」
255 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:34:07.46 ID:
W9YT+3P1o
宿舎 勇者の部屋
勇者「……」
狼少女「姫か。私、姫なのか」
勇者「まだわかんねえだろ。かもしれないってだけで」
狼少女「姫か! なんかかっこいいな!!」
勇者「そうか?」
狼少女「お前に命令できるか!?」
勇者「まぁ、できるな」
狼少女「よし! 私、姫になるぞ!! それでお前に命令する!!」
勇者「なんて命令する気だ?」
狼少女「私から離れるな!!」
勇者「すみません、その命令はきけません。姫、調子にのるのも大概にしろよ」
狼少女「ガルルルー!!!」ガブッ
勇者「やめろよ。汚いだろうが」
勇者「(姫か……。国王と妃の間に子どもがいたとは聞いたことないし……。だとしたら魔女は陛下の側室か何かだったってことになるか……?)」
256 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:46:32.89 ID:
W9YT+3P1o
翌朝 城内
兵士「隊長!!」
兵士長「すまんな。どうだった?」
兵士「公式記録ではないのですが、気になる文書を見つけました」
兵士長「そうか。やはり大臣クラスが隠していたか」
兵士「この事実を知っていたのは恐らく当時勇者であった……」
兵士長「わぁーってる。城下町の種馬だろ」
兵士「はい。彼は特命で魔女狩りを行っています」
兵士長「それはどういう理由でだ?」
兵士「姫君の奪還と妃を殺害した魔女を捕らえるためです」
兵士長「あの二人の間に子どもはできなかったからな。側室との間にできた赤子をそのまま姫にするしかなかったわけだ」
兵士「そういうことになりますね」
兵士長「糞野郎を殺したのはあの魔女だったか……」
兵士「おや? なんでしょうか、靄が……」
兵士長「んぅ? こりゃ霧か……? 城の中で霧なんて……」
257 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 00:54:58.98 ID:
W9YT+3P1o
宿舎 勇者の部屋
勇者「でへへへへ……ついに、おれも……ハーレムを完成させたぞぉぉ……」
狼少女「おい!! 起きろ!!」
勇者「あぁ……。うっせぇなぁ……もうすこしねかせろぉい……」
狼少女「お、き、ろー!!!」デーンッ
勇者「ごふっ!? なにしやがる!? のしかかってくるんじゃねえよ!!」
狼少女「霧!! 霧だ!!」
勇者「霧だぁ?」
狼少女「うぅぅー……!!」ギュゥゥ
勇者「……おい。これ半分持ってろ」
狼少女「これ……薬……」
勇者「自分がおかしくなったと思ったら飲め。気休めにはなる。わかったか?」
狼少女「あ、あい……。お前、どこいく?」
勇者「とりあえず陛下に会いにいってみるかぁ」
狼少女「か、かえってこいよ!! 約束だ!!!」
258 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:02:01.16 ID:
W9YT+3P1o
勇者「何言ってんだ。お前もこい」
狼少女「あぇ!?」
勇者「なんだよ? 嫌なのか?」
狼少女「だって……おかしくなって、お前傷つけるの……いやだ……」
勇者「俺を誰だと思ってんだ? お前みたいなガキに傷なんてつけられるわけないだろ?」
狼少女「バカにすんなー!!!」ガブッ
勇者「おーし、いくぞぉ」ガチャ
狼少女「あい!」
勇者「(うわぁ……。すげぇ、霧だな……。本当に霧ならいいけど……)」
衛兵「勇者殿。おはようございます」
勇者「うーっす。何か異常はないっすか?」
衛兵「見るからに異常でしょう。この濃霧ですし」
勇者「町で発生はしてないっすか?」
衛兵「ええ。城の敷地内だけみたいです」
勇者「それはそれは。作為的っすねぇ」
259 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:07:18.89 ID:
W9YT+3P1o
謁見の間
勇者「陛下!!」
狼少女「ガルルル……」
王「……勇者よ。どうした?」
勇者「この霧、原因は?」
王「何故、私に訊く?」
勇者「そりゃ……」
魔女「ーー不敬罪で死刑するわよ?」
勇者「お前……!!」
狼少女「あぅ……あぅ……」
魔女「その子を返してくれるなら、許してあげてもいいけどね」
勇者「……」
狼少女「うぅ……!!」ギュゥゥ
王「勇者よ。言うとおりにしてくれないか。その娘はとても大事な存在なのだ」
勇者「大事? 次期女王陛下だからですか?」
260 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:21:11.40 ID:
W9YT+3P1o
魔女「あら。知っていたの? お父さんから聞いたのかしら?」
勇者「(親父……?)」
王「その通りだ。その娘は私の血が通っている。ずっと、ずっと探していたのだ」
勇者「だから、魔女を探してたと?」
王「そうだ。そして今日、この日。全てが揃った。妻と娘が戻ってきたのだ」
勇者「陛下。貴女の隣にいるのは魔女なのですよ?」
王「知っている」
勇者「そいつが何をしようとしていたのかも知っているのですか!?」
王「無論だ。幻覚剤を用いて、国内を混乱させ、国を滅ぼそうとしていた」
勇者「な……!?」
王「動物は人間を見れば容赦なく牙を剥き、人間は人間を発作的に殺害する。そんな強力な薬だ」
王「こうして霧のように散布することで小さな町なら簡単に壊滅させることができる。画期的な兵器と言えよう」
勇者「陛下……何をいっているのですか……」
王「お前には分からんか? 愛した女がしたことだ。私はこれらを受け入れる。妻の兵器は世界を征服できるだけの力もあるしな」
勇者「本気でいってんすか?」
261 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:33:23.30 ID:
W9YT+3P1o
魔女「素敵よ。アナタ」ギュッ
王「ふふはははは……」
勇者「……っ」
狼少女「あぅ……」
王「勇者よ。さぁ、娘を渡してくれ。今まで世話をしてくれていたそうだな。ご苦労だった。お前には特別報酬をくれてやろう」
勇者「陛下!! 正気っすか!?」
王「私はな、この魔女に身も心を奪われている。前妻が死んだあのときからな」
勇者「それも魔女の仕業じゃないんすか?」
王「そう。この魔女が殺した。嫉妬に狂ってな」
勇者「頭おかしいっすよ」
王「それだけ私のことを想ってくれているということだ。ここまでされると考え方も変わる」
魔女「ごめんね。私、アナタが怒ってると思ってずっと逃げてたの」
王「私のほうこそ悪かったな。お前が腹を痛めて産んだ子を渡せと言ったばかりに傷つけてしまった。思慮が足りなかったよ」
魔女「いいのよぉ。私もずっとアナタのことを愛していたからこそ恨んでいたけど、こうして一緒になれるんですもの……。もう許してあげるっ」ギュッ
勇者「……」
263 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:45:07.41 ID:
W9YT+3P1o
魔女「勇者様。そういうわけで、私の娘を返してください」
勇者「こいつに何するつもりっすか?」
魔女「なにって、その子は新しい兵隊なのよ」
勇者「兵隊……!?」
王「特別な薬を投与することで極限まで身体能力を発揮することができるそうでな。子どもであろうとも兵士を制圧できるという優れものだ」
勇者「あぁ、そうっすかぁ……。狼と一緒に行動させてたのは野生児っぽくみせるためとかか!!」
魔女「そうよ。そのほうが違和感ないでしょ? 奇声をあげたり、叫んだりしていても」
勇者「(ってことは、こいつは普通の女の子なんじゃないか……)」
狼少女「ぅ……あぅ……」
王「次期女王にして最高の兵士だ。それに姫自らが戦場に立てば士気もあがるというもの」
魔女「もう。そんなことにはならないでしょっ。私の幻覚剤があるんだしっ」
王「それもそうだな。でも、娘にも活躍の場がないとなぁ。可哀相だろう」
魔女「考えておくわっ。うふっ」
王「うむ。頼むぞ」
勇者「……っ」ピクッ
264 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 01:54:25.50 ID:
W9YT+3P1o
王「納得できたか、勇者よ。娘を置いてーー」
勇者「断る!!!」
王「……なんだと?」
勇者「断るっす!! この魔王!! よりにもよって俺の前で美人の魔女とイチャイチャしやがって!!! あーもう!! はらたつぅ!!!! 死ね!! 死ね!!」
王「勇者よ。お前はわが国の一兵士だ。勇者というのは称号にすぎんぞ。特別な権限などないし、ましては私に逆らうなど言語道断」
魔女「そうよ。勇者は国のため、王のために働く最強の兵士でしょう?」
勇者「国のため? 王のため? はんっ!! ちゃんちゃらおかしいっす!!!」
王「貴様……!!」
勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
魔女「フフフ……。お父さんにそっくりねぇ」
王「ならば、どうあっても娘をよこさぬというんだな」
勇者「わたすかぁ!!! ぼけぇ!! 子ども欲しかったらもう一回つくれ!!」
魔女「そのつもりよ。ねー?」
王「こらこら。恥ずかしいだろう。はははははは」
勇者「うわぁぁぁあああ!!!! いい加減にしろぉ!!!!」
265 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:01:44.77 ID:5haFvfqJo
王様に対してここまで言い切るとかっこいいな
266 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:02:11.13 ID:
W9YT+3P1o
狼少女「だ、大丈夫か?」
勇者「行くぞ!! こんな国なんざこっちから願い下げだぁ!! あー!! やってらんねえ!! マジつまんねえ!!!」
狼少女「あぅ……でも……」
勇者「俺についてくるか、それとも魔女と魔王のところに残るか。ここで決めろ!!」
狼少女「そ、そんなのお前についていくに決まってる!!」
勇者「おーし!! いい子だぁ!! 初めてお前が可愛く思えるぞぉ」
狼少女「か、可愛いか!! 私、可愛いか!?」
勇者「おう。すんげー、可愛い」
狼少女「おぉー!!」
王「……お前の決意はわかった。だが、簡単にはいかんぞ?」
勇者「ふんだっ。止められるもんなら……とめてみろ!!!」ダダダッ
狼少女「わぁぁー」タタタッ
勇者「こんな町にもう未練なんざねぇ!!!」
王「ーー反逆者が逃げたぞ!!! 捕らえなくてもよい!! 殺せ!!! ただし娘には傷一つつけるなぁ!!!」
魔女「馬鹿な男。ホント、救いようがないほどに」
267 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:07:47.70 ID:
W9YT+3P1o
兵士「勇者殿が反逆者……!?」
兵士長「なーにしやがった、あのやろぉ。先走りやがって」
勇者「ーーげぇ!? 先輩!?」
狼少女「あぇ!?」
兵士長「馬鹿野郎。国に喧嘩なんざ売りやがって」
勇者「先輩でも容赦はしないっすよ」
兵士長「……」シャキン
勇者「……」
兵士長「はぁぁあああ!!!」
勇者「こんのぉ!!!」
狼少女「わぁぁぁー!!!」ダダダッ
兵士長「なに!?」
狼少女「ガァァァァウ!!!!」ドガッ!!!!
兵士長「ぐぁ……!?」
勇者「ナイス!! 今のうちだ!!」
268 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:12:24.77 ID:
W9YT+3P1o
城下町
「にがすなぁー!! 捕まえろー!!」
狼少女「きてるぞ!! どこいく!?」
勇者「……こっちだ!!」
狼少女「あい!」タタタッ
勇者「ええい!! 遅い!! 抱きかかえるぞ!! いいな!?」ヒョイッ
狼少女「おぉー!」
勇者「いくぞ!! しっかり捕まってろ!!」
狼少女「あいっ」ギュゥゥゥ
勇者「くるしい!! だきつきすぎ!!」
狼少女「すまん」
「向こうだ!! 追えー!!」
勇者「早くいかねえと……!! この時間ならもう戻ってるだろ……!!」
狼少女「どこいく?」
勇者「教会に決まってるだろ!! 面倒な奴がいるんだ!!」
269 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:16:52.00 ID:
W9YT+3P1o
教会
神父「ホテルのほうどうでしたか?」
シスター「とてもよかったです。兄さ……勇者様にお礼をいわなければなりません」
神父「そうですか。はっはっは」
勇者「ーーおし!! いた!!」
シスター「兄さん? ど、どうかしたのですか?」
勇者「行くぞ!!」
シスター「え? ど、どこへ!?」
勇者「黙ってついてこい!! 神父さん、すんませんが今日限りでこいつシスターやめるんで!!」
神父「……勇者様」
勇者「こいつをこの町に残してはおけなくなったんす。ホント、すんません」
神父「早く行ってください。上手くごまかしておきますから」
勇者「あざっす!!!」
狼少女「ガルルルル……」
シスター「な、なにがなんだか……」オロオロ
270 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:21:10.31 ID:
W9YT+3P1o
傭兵所
受付嬢「何か外が騒がしくないですか?」
戦士「なにかあったのかしらぁ? やだわぁ」
勇者「ーーうぃーっす!!!」
受付嬢「きゃ!?」
狼少女「うぃーっす」
受付嬢「い、いらっしゃいませ……」
勇者「前に紹介してもらった戦士の人は!? いるっすか!?」
受付嬢「そ、そちらに」
勇者「おぉ!? よかったぁ!!」
戦士「あらぁ! 勇者様ぁ! どうかしのぉん?」
勇者「あんた、俺のためならなんでもするっていったっすよね!?」
戦士「いったわよぉん。うふっ」
勇者「俺のために命かけてくれっす!!」
戦士「よろこんでかけちゃうわぁ!!」
271 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/24(木) 02:25:48.20 ID:
W9YT+3P1o
城下町
戦士「勇者様の妹さんを守ればいいのね?」
勇者「頼むっす!」
戦士「りょうかぁーい。よろしくね。うっふん」
シスター「は、はい」
狼少女「おい!! 前、前!」
勇者「分かってる!!」
門兵「とまれぇ!!」
勇者「どけぇ!!」
戦士「おどきになってぇん!!」ドドドドッ
門兵「げぇ!?」
戦士「じゃないとキスしちゃうわよぉん」
門兵「お前!! モテないからってついに目覚めたか……!!!」
勇者「んなわけあるかぁー!!!」ドガッ!!!
狼少女「わぁぁー!」