勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
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Part1
勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398060666
1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:11:06.44 ID:
nfVCKxWoo
城下町
勇者「……そこの幾億の星よりも美しく輝く彼女。今日という出会いを祝福しましょうか」
女性「はい?」
勇者「俺とお茶しませんか。いい店、知ってるんですよ」
女性「いえ、結構です」
勇者「いいんですか? こんなチャンス、滅多にないですよ?」
女性「ど、どういう意味ですか?」
勇者「俺、勇者なんですよ」
女性「はぁ?」
勇者「さ、行きましょう。損はさせませんから」グイッ
女性「ちょ……」
勇者「少し話せば俺が如何に凄い男かってことがよくわかーー」
男性「……よぉ、あんちゃん。オレの女になにかようか?」ポキポキ
女性「あ! た、たすけて! この人が無理やり……」
勇者「ちっ……男いんのかよぉ……」
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:17:18.11 ID:
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路地裏
勇者「う……っ……」
男性「けっ。他人様の女に手を出すとか、最低だな」
女性「行きましょう」
男性「そうだな。……あばよ」
勇者「おう……」
勇者「いてぇ……口切ったな……」
勇者「はぁ……勇者って女にモテるんじゃないのかよぉ……」
犬「クゥーン」
勇者「んだよ。どっかいけよ」
犬「クゥーン」ペロペロ
勇者「犬畜生に優しくなんてされたくねえっての」
兵士長「ーーよっ。なにしてんだ、こんなところで」
勇者「あ、先輩。うーっす。ちょっとここで息抜きしてたんっすよ」
兵士長「ハハっ。どーせ女のケツおっかけて、野良犬に慰めてもらってたんだろ。お前らしくていいな」
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:22:44.77 ID:
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犬「クゥーン」
勇者「あー、どっかいけ。しっしっ」
犬「……」
勇者「なんだよ、腹でも減ってんのか。ほら、これやるから、どっかいけ」
犬「ワンッ」パクッ
勇者「それ食ったら、飢え死にしろよー」
犬「……」タタタッ
勇者「お礼もいわねえのか。なんて犬だ」
兵士長「よかったなぁ。ありゃ、雌犬だぜ。いい彼女できたじゃねえか」
勇者「やめてくださいよ。で、なんです?」
兵士長「お前が勇者になって初めての仕事だ」
勇者「マジっすか」
兵士長「陛下が直々に仕事を言い渡してくれる。さっさと行くぞ」
勇者「うぃーっす」
兵士長「その前に服についてるゴミは落としていけよ」
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:32:09.42 ID:
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城内 謁見の間
王「来たか」
勇者「お待たせして申し訳ありません、陛下」
王「よい。早速だが勇者であるお前に頼みたいことがある」
勇者「はっ」
王「ここより東に小さな村がある。お前にはそこへ出向いてもらいたい」
勇者「分かりました」
衛兵「そこで奇怪な事件が起こっているらしい。ここからも近い場所で起こっていることゆえ、早急な調査が必要だと判断された」
勇者「事件ですか」
王「うむ。なんでも家畜が凶暴化し、村人を連日のように襲っているようだ。怪我人も多数でていると報告を受けている」
勇者「なるほど」
王「頼むぞ」
勇者「はっ。お任せください」
王「ああ、それと勇者よ。この者の情報が入ればすぐに知らせてくれ。どんなに些細なことでも構わん」ペラッ
勇者「(手配書か……。何度か見たことあるな……)」
5 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:40:21.83 ID:
nfVCKxWoo
通路
兵士長「よぉ。今日から正式に勇者様だな」
勇者「先輩。いいんすか、こんなところでサボってて」
兵士長「勇者に任命された途端、ナンパに努めてたお前に言われたくないね」
勇者「東の村で起こってる事件について調査してこいっていわれたっすよ」
兵士長「そうか。ま、ガンバレよ。勇者さまぁ」
勇者「しっかし、誰か一人くらい旅の仲間とか用意してくれないんすかね? 俺、寂しいっすよ」
兵士長「アホか。なんでもできる男。それが勇者だろうが。甘えるな」
勇者「でもでもぉ。先輩だって、今の嫁さんは昔の仲間なんでしょ? 不公平極まりないっすよぉ」
兵士長「ありゃぁ、たまたま運が良かっただけだよ」
勇者「ちょー美人だし、毎晩よろしくなってんでしょぉ? マジ、たまんねえっすよ」
兵士長「オマエな。俺の妻で変な想像するんじゃねえよ」
勇者「いいじゃないっすかぁ!!! 変な想像ぐらいさせてくれてもぉ!!! 俺!! 先輩にモテるから勇者になれっていわれて……勇者になったのに……」
兵士長「お、おい」
勇者「いっぱいがんばったのにぃ……ぜんぜん、モテないっすもん……ぐすっ……モテてぇ……モテてぇっすよ……。先輩みたいに美人な彼女ほしぃっす……」
6 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:50:34.60 ID:
nfVCKxWoo
兵士長「あー。わぁーったよぉ。それじゃあ……」
勇者「誰か紹介してくれるっすか!?」
兵士長「ウチの娘はどうだ? いいぞー、旅のお供にはもってこいの体をしてる」
勇者「……先輩の娘さんって、下手な男よりも男じゃないっすか」
兵士長「はぁ……。そうなんだよなぁ。並大抵の男じゃ歯がたたねえ……。いや、お前な俺の娘になんてこというんだ」
勇者「しかも顔は先輩にそっくりだし。ダメっすよ。デートしてても先輩の顔ばっかりが浮かんできそうで」
兵士長「まぁ、俺もお前みたいな軟派な野郎に愛娘を預けるわけにはいかねえな。お前が殺されるかもしれねえし」
勇者「なんか、こういないっすか!? 守ってあげたくなるような清楚で可憐な女の子!!」
兵士長「教会にいるシスターでも連れてけよ」
勇者「……それ、いいっすね。毎晩、毛布の中で体が穢れていくことに懺悔しちゃうわけっすね」
兵士長「冗談はさておきだ」ゴソゴソ
勇者「冗談っすか?」
兵士長「ここに言って来い。お前好みの女戦士がいるかはわからんがな」
勇者「傭兵所っすか……。筋肉ムキムキの屈強なマッチョガールしかいないんじゃ……」
兵士長「つべこべ言うな。仲間を見つけたらさっさと出発しろよ。あまりにモタモタしてると勇者の称号が剥奪されるからな」
7 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 15:58:04.92 ID:
nfVCKxWoo
傭兵所
勇者「……すみません」
受付嬢「はい。いらっしゃいませ」
勇者「君をテイクアウトできますか?」
受付嬢「傭兵以外できません」
勇者「そんなこといわず」
受付嬢「どのような用件でしょうか? 冷やかしなら出て行ってくださいね」
勇者「……ええと、俺、一応勇者なんっすけど」
受付嬢「まぁ……。証明できるものは?」
勇者「えーと……。これっす」ペラッ
受付嬢「確かに……。国王陛下の勅命状……」
勇者「お……。ーーでは、君と永遠の愛を目指す旅に行きたいのですが」キリッ
受付嬢「勇者様であればどのような傭兵でも喜んでついていくと思いますよ。よかったですね」
勇者「では、君もそうなんですね? なるほど。これも運命ですよ。さぁ、俺と旅立ちましょう」
受付嬢「ええと……。ここでもっとも実績のある傭兵は……このかたですけど、会ってみますか?」
8 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:06:40.40 ID:
nfVCKxWoo
勇者「おっさんじゃないっすか。……あの、女性はいないっすか? 美人でセクシーな女戦士所望」
受付嬢「女性ですか……。ええと……」ペラッ
勇者「やっぱり、旅になるなら女の子のほうがいいじゃないっすか」
「あたしでよければ、ご一緒させてくれない?」
受付嬢「え……」
勇者「む!? お姉様の気配ーー」バッ!!
戦士「あらぁ。素敵な坊やじゃない。ふふ、可愛い。あたし、これでも結構強いのよ。よろしくね」
勇者「……」
受付嬢「この方にしますか?」
勇者「い、いや、女性がいいんすけど」
受付嬢「でも、性別が女性である傭兵は登録されておりませんで……」
戦士「ちょうど仕事が終わったばかりで疲れてるけどぉ……うふふ……。坊やのためならなんでもして、あ、げ、るんっ」
勇者「……いえ。俺、勇者なんで一人で大丈夫です。それでは」
戦士「え!? ゆ、勇者様ぁ!?きゃぁー!! それなら是非とも力になりたいわぁん!! つれていってぇん!!」
勇者「申し訳ありません。間に合ってます。失礼しました」テテテッ
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:11:11.66 ID:
nfVCKxWoo
城下町
勇者「……一人で行くか」
女性「……」
勇者「あ、そこの美しい人」
女性「はい?」
勇者「俺とちょっとスリリングな旅をしませんか。あー、貴女に傷ひとつつけません。絶対に守ってみせまーー」
男性「ごめん、待った?」
女性「ううん。今来たところ」
男性「よかった。それじゃ、いこっか」
女性「うん」ギュッ
勇者「……」
勇者「やっぱり一人で行くか……」
猫「にゃぁ……」
勇者「猫畜生の慰めはいらねえよ。しっしっ」
猫「なぁー……」
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:17:50.81 ID:
nfVCKxWoo
墓地
勇者「母さん。俺、勇者になったのに全然モテないんだ。この世の女の目は節穴だな。そう思うだろ?」
勇者「親父からもなんとか言ってくれよ。勇者って王国一の兵士ってことなのにさぁ、モテないとかありえなくねぇ?」
勇者「……」
勇者「虚しい。なにやってんだ、俺」
勇者「さ、いこ」
シスター「うーんしょ……」ヨロヨロ
勇者「む。ヘイヘイ」
シスター「え?」
勇者「水を運んでるのか。これは重そうだね。俺が持ってあげるよ」
シスター「いえ。これは私の仕事ですので。見ず知らずの人にさせてしまうと神父様に怒られてしまいますので」
勇者「固いこといわずに。俺の優しさに甘えればいいじゃないか」
シスター「結構です!」
勇者「……そ、そう?」
シスター「はい」
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:26:20.13 ID:
nfVCKxWoo
城下町
勇者「しけた町だぜぇ!!! ペッ!!」
門兵「おい。お前は勇者なんだからそういうことをいうな」
勇者「うるせぇ!!! 俺は勇者なんだぞぉ!!!」
門兵「……泣いてるのか? 相談ぐらいなら聞いてやれるが」
勇者「同情なんていらねーっす!!!! ばかぁー!!!」ダダダッ
門兵「……勇者って辛いのかなぁ」
勇者「(くそぉ!! こんな町なんざさっさと見切りをつけてやるぅ!!)」
勇者「……まてよ」
勇者「(そうだ。十数年間、手応えのかけらもなかったこんな町は捨て置いていいよなぁ)」
勇者「ふっふっふっふ。そうだ。世界は広い!!! こんなチンケな町で最愛の人を求めたのがいけなかったんだ!!!」
門兵「おい。聞こえてるぞ。この町を貶すな」
勇者「さぁ、大いなる一歩を今こそ踏み出そうじゃないか!!!」
勇者「まだ見ぬ、マイスウィートハニーを求めて!! うぇっへっへっへっへ」
門兵「……あいつ、モテないんだろうなぁ」
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:32:31.63 ID:4cxGc6ZVo
はよ
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:33:26.69 ID:
nfVCKxWoo
東の村
勇者「……ここか。ここに俺の伴侶が」
農夫「だ、誰だ、あんた……」
勇者「国王陛下の勅命を受け、馳せ参じた者です」
農夫「おぉ……。つ、ついに国王様が……!! で、では、もしかして……あなたは……」
勇者「勇者です」
農夫「おぉぉ!! で、では、こちらに!!! 村長に是非あってください!!」
勇者「分かりました」
農夫「おぉーい!!! 勇者様だ!! 勇者様がきてくださったぞー!!!」
「ほんとかぁ?」
「おぉ、ありがたや、ありがたや」
勇者「……」
農夫「な、なにか?」
勇者「ご高齢のかたばかりですね」
農夫「はい。若い者は殆ど大きな町へ行ってしまって……。この有様です」
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:42:06.98 ID:
nfVCKxWoo
村長の家
村長「おぉ……こんな辺鄙な村まで勇者様に来ていただけるとは……。国王様に感謝しなければ……」
農夫「全くです。もう足を向けて眠れねえ」
勇者「……」
勇者「(女の匂いがひとっつもしねぇ!!)」
村長「あの、よろしいでしょうか?」
勇者「あ、はい。なんでも家畜が凶暴化しているとか……」
村長「そうなんです……。数週間前、牛や馬が急に大暴れをしましてなぁ……。村の人間も大怪我をしてしまい、仕事もままならない状態で……」
勇者「今の状態は?」
村長「それが人間を見るととても興奮するようで……」
勇者「つまり、人間が近づかなければ大人しいと?」
村長「はい。そうなのです。ですが……」
勇者「家畜に近づけないのは農村として致命的ですね」
村長「獣医も匙を投げてしまっていまして。凶暴化した原因も分からぬままなのです……。勇者様、お願いします。力を貸してください」
勇者「獣医も匙を投げたのですか。それはまいった。その他の手を考えてなかったのに……」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:48:51.52 ID:
nfVCKxWoo
村長「えぇ……?」
勇者「てっきり病気の類だろうと高をくくっていたものですが」
農夫「勇者様。獣医も近づけないんですよ。なので病気かどうかも……」
勇者「なるほど。では、家畜を一匹捕まえて獣医に診せれば解決と」
村長「お、おそらくは……」
勇者「分かりました。俺に任せてください」
農夫「おぉ!! 流石勇者様!!」
村長「お願いできますか」
勇者「これでも城下町の種馬と呼ばれているんでね。馬や牛の扱いならお手のものです」
農夫「ほほぉ。勇者様ともなると女性も放ってはおかないでしょうねぇ」
村長「ああ。このような精悍な人だ。様々な女性に好意を寄せられているのだろう」
勇者「案内してもらえますか?」
農夫「ええ、ええ。勿論です。私が案内させてもらいます」
村長「お願いします。勇者様」
勇者「はい」
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:52:38.07 ID:
nfVCKxWoo
馬小屋
農夫「これが小屋の鍵です」
勇者「はい」
農夫「気をつけてください。あの小屋には今現在9頭の馬が……」
勇者「問題ないですよ。勇者に任せてください」
農夫「は、はい!!」
勇者「馬なんぞ、勇者の敵ではない」
農夫「すばらしい……」
勇者「……」
勇者「(女の子がいないんじゃ、やる気おきねーなぁ……)」ガチャ
勇者「さて、どいつを生け捕りにしてやろうかーー」
馬「……」ザッザッザッ
勇者「……おや?」
馬「ーーヒヒーン!!!!!」ドドドドドッ!!!!!
勇者「なぁぁ!?」
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/21(月) 16:59:21.39 ID:
nfVCKxWoo
村長の家
勇者「ぐ……いてぇ……」
農夫「大丈夫ですか?」
勇者「大丈夫じゃねぇっすよ!!! みてわかんないっすかぁ!?」
農夫「す、すみません」
村長「勇者様でもダメか……」
勇者「あんなでかい馬なんて聞いてないっすよぉ!!! もっと、こう、ポニーみたいな可愛いやつかと!!!」
農夫「色々と運ぶものも多いですから、できるだけ大きい馬じゃないとダメなんでよ」
勇者「あぁー!! ちょーいてぇー!!! アバラ全部いっちゃったなぁー!!! コレぇ!!!」
村長「馬はどうなった?」
農夫「俺たちが離れたら自分から小屋の中へ戻りましたよ。隙を見て、鍵もかけておきました」
村長「そうかぁ……。あの、勇者様……」
勇者「なんすかぁ?」
村長「もう一度……お願いできますか……?」
勇者「あんなの無理っす!! もう自由にさせればいいんじゃないっすか!? 自然に帰りたがってるだけっすよ!! 人間のエゴが招いた悲劇っすね!! 間違いない!!!」