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勇者「俺ってめちゃくちゃ弱い?」
Part3


97 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:36:32 ID:f1hnoGJ9t
ーーーーー
戦士「………ハァ」ドサッ
トントン
戦士「………入れ」
ガチャッ
エルフ「久しぶり」
戦士「………エルフか」
エルフ「帰ったって聞いて来たの。迷惑だった?」
戦士「………いや、大丈夫だ」
エルフ「ふふ、横で寝ていい?」
戦士「構わない」
エルフ「そう。それじゃあ………」
ドサッ
戦士「………」
エルフ「聞いたわよ。四天王、アンタ以外裏切って人間に殺されるらしいわね」
戦士「らしいな」

98 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:41:39 ID:f1hnoGJ9t
エルフ「いいの?四天王三人も失って」
戦士「別に、魔王軍の痛手では無いらしい」
エルフ「奴らが国王についたら?」
戦士「国王も裏切ったんだ。生かされる理由が無い」
エルフ「………ねぇ、戦士。元気無いわね」
戦士「………一人、気がかりでな」
エルフ「勇者のこと?」
戦士「あぁ。腐っても勇者だ。あなどれはしない」
エルフ「そう」
戦士「………寝る」
エルフ「なら、私も」
戦士(………やつに、あの場所が見つからなければいいが)

99 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:46:34 ID:f1hnoGJ9t
戦士(あの時、俺は魔王を倒した)
戦士(でも、あの時は完全に魔王は油断していた)
戦士(俺が二人きりで話したいと言ったら、護衛も外して)
戦士(酒を取ろうとして、俺に背中を見せた魔王を………)
戦士(………)
戦士(………俺の、あの日の行動は、正解だったのか?)
戦士(………)
戦士(………今更、後悔してんのか?俺は)
戦士(………分からない。ただ、今は………)
エルフ「あっ……んぅ、せん…しぃ!!ああんっ!!」
戦士(目の前の快楽で、紛らわせようか………)

100 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:49:53 ID:f1hnoGJ9t
ーーーーー
勇者「ありがとうな、遊び人」
遊び人「いいってことよ。それより、お前は良かったのか?」
勇者「………何が」
遊び人「仲間達、捕まって良かったのか?」
勇者「………聞くか、お前が」
遊び人「一応な」
勇者「………よくない。幼馴染に死なれたって、それこそ目覚めが悪い」
遊び人「………お前の、あの時の作戦、まだ終わってないだろ?」
勇者「………ああ」
遊び人「仲間達を安全な牢獄に隔離し、お前が仲間達の意思を継ぐ」
遊び人「お前が、魔王と国王を倒す」
勇者「………予定より壮大な話しだったよ」
遊び人「つくづくクジ運ないね」
勇者「言ってろ」

101 :名無しさん :2014/04/25(金)21:51:43 ID:f9QaxdHky
勇者……

102 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:52:48 ID:f1hnoGJ9t
遊び人「で、天下の魔王と国王様相手にするとして、勝算は?」
勇者「………ない。正直勝てる気どころか、同じ土俵に立てるかさえも分からない」
遊び人「だろうよ」
勇者「………だから、お前に聞きたいことがある」
遊び人「………」
勇者「アイツらの隠してる、あの場所とやらを、教えてくれ」
遊び人「………隠し事が分かる目、か」
勇者「嘘だって見抜ける優れものだよ」
遊び人「才能の相性なら俺達なかなか上の方だと思うぜ」
勇者「いいねぇ、パーティ組む?」
遊び人「残念だが断るよ」
勇者「それで、何なんだ、あの場所ってのは?」
遊び人「………あの店行こうぜ」
勇者「いいね。あそこのコーヒー最高だったからな」

103 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)21:55:05 ID:f1hnoGJ9t
今日はおしまいです
予定では半分行ったと思います
保守や支援ありがとうございます
次は土日のどっちかです

104 :名無しさん :2014/04/25(金)22:01:50 ID:WZB7hHrlL


105 :名無しさん :2014/04/25(金)22:32:09 ID:1nGYsZL5Y
おつかれ   

106 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/25(金)22:32:56 ID:f1hnoGJ9t
>>104
>>105
ありがとう!

113 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:18:21 ID:y7YmvVZxr
ーーーーー
マスター「いらっしゃいませ、遊び人様」
遊び人「マスター、奥使いたいんだけど使える?」
マスター「奥ですか。どのようなご用件で?」
遊び人「ちょっと個人的な話しをね」
マスター「分かりました。ではどうぞ」
遊び人「ありがと」
勇者「………奥?」
遊び人「ついて来な」
ガチャッ
勇者「………床下?」
遊び人「地下室だよ。来い」

114 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:20:28 ID:y7YmvVZxr
ーーーーー
勇者「………これは、凄いな」
遊び人「あぁ、マスターが選んだ人間しか入れない。従業員ですら知らない奴もいるからな」
勇者「なんでお前選ばれたの?」
遊び人「すぐ分かるよ」
ガチャッ
マスター「遊び人様、ご注文はいつものものでよろしいですか?」
遊び人「あぁ、それとコーヒー」
マスター「かしこまりました」
遊び人「それからマスター、アンタも同席してほしい」
マスター「………なるほど、かしこまりました」

117 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:24:37 ID:y7YmvVZxr
勇者「いいのか?大事な話だってのに」
遊び人「むしろいてもらいたいくらいさ。まぁ分かるはずだ」
勇者「分かるといいけどさ」
ガチャッ
遊び人「あれ?早くねぇか?」
マスター「いえ、どうせでしたら淹れたてをと思いまして」
遊び人「なるほど、目の前で淹れてくれんのか」
マスター「えぇ、豆も茶葉も一級品ですから、ご期待ください」
遊び人「そうだ、マスター。話はとりあえず色々あんだけど…」
マスター「分かってます。勇者様、少し失礼」
そっ
勇者「え?何?なんで触られてんの?」
遊び人「じっとしてな。今に分かる」

118 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:27:18 ID:y7YmvVZxr
マスター「……なるほど、ありがとうございました」
遊び人「分かった?」
マスター「えぇ、あの場所について知りたい、と」
勇者「!? アンタ、何で!?」
遊び人「マスターの才能だよ」
勇者「才能って………まさか」
マスター「えぇ、私、以前は勇者をしておりました。アナタ方より、さらに前に」
遊び人「そして、対象の歴史が見える才能を持つ元勇者。それが、このマスターだよ」
勇者「元、勇者………」
マスター「勇者様の探してらっしゃる場所なら、私も依然訪れた場所です。詳しくお話しさせていただきます」
勇者「依然、訪れた?」
遊び人「天空の泉」
マスター「古く存在し、言い伝えられて来た、伝説の場所でございます」
勇者「………天空の泉」

119 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:30:17 ID:y7YmvVZxr
マスター「そこは、来た者の願いが叶うと言われています」
勇者「願いが叶う?」
遊び人「あぁ、なんでも叶うぜ。大金だろうがなんだろうがなんでも手に入るだろうよ」
勇者「………なんでお前は分かるんだよ」
遊び人「そりゃあ、だって、ねぇ」
マスター「遊び人様は依然、そこを訪れています」
勇者「………は?」
遊び人「結構前だったな。まだ俺が勇者だった頃だからな」
勇者「お前……何願ったんだよ」
遊び人「………勇者をやめたい」
勇者「………」
遊び人「俺は魔王討伐の旅の途中、魔物に破れ、大変な怪我を負った。もう旅はできないような怪我をな」

120 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:32:38 ID:y7YmvVZxr
遊び人「体はボロボロ。もう俺は魔王討伐を諦めた」
マスター「………しかし、遊び人様は、ダメだったんです」
勇者「ダメ?」
遊び人「………勇者としての責任感かね?俺は、どうにかしてまた立ち上がろうとしちゃったんだよ」
マスター「選ばれた勇者としての本能は、遊び人様の体の都合を知らず、魔王討伐に向かってしまいました」
勇者「本能………」
マスター「遊び人様のソレは、平均よりはるかに強いものでした。私なんかよりも、よっぽど。恐らく、歴代勇者で、一番でした」
遊び人「そんな時、マスターに出会った。マスターは俺の事を読み取って、救いの手を差し伸べてくれた。俺はそれにすがった」
マスター「そして、遊び人様は勇者をやめ、今の職につきました」
遊び人「その時の後遺症か、体の根っこの問題なのかは知らんが、勇者をやめて遊び人になった今でも勇者の才能は残ったんだ」
勇者「………後悔してないのか?」
遊び人「してない。もしあのまま俺が勇者で居続けたら、今頃どうなってたか分からない。それに、今は天が与えてくれた職につけたしな」
勇者「………ホントに、天職だよ」
マスター「さらに、遊び人様はもう一つ願い事をしていますからね」
遊び人「あぁ、あっちか………」

122 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:35:58 ID:y7YmvVZxr
勇者「もう一つ?」
遊び人「………関係無いよ。今は」
勇者「んだよ、気持ち悪りいな」
遊び人「俺の話はいいんだよ。さて、とにかく天空の泉に行けば、願いが叶うんだ」
マスター「行きますか?天空の泉に」
勇者「いや、行くっつっても、どうやってさ?」
マスター「私に任せてください」
勇者「マスター?」
遊び人「マスターも、その昔天空の泉に行って、願ったんだよ」
マスター「ハイ。私は、天空の泉に行き、そこで、考えたのです」
マスター「この泉は、守られるべきであると。人の願いを叶える、この泉を」
遊び人「魔王みたいなんが来たら世界は終わるからな」
マスター「だから、私は願ったのです」
マスター「私は、天空の泉の鍵になりたいと」

123 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:38:16 ID:y7YmvVZxr
勇者「天空の泉の、鍵に………」
マスター「そして、私は天空の泉への生きる鍵になりました。天空の泉を守る、鍵に」
勇者「いや、そんな、マスターの身が危険じゃないですか!?」
マスター「ふふ、だから私は欲張ってもう一つ願いました」
遊び人「この人は、不老不死を願った。永遠に、泉を守る事を願ったんだ」
勇者「永遠に………」
マスター「いえいえ、ただの私のワガママです」
勇者「………マスター」
マスター「ハイ、勇者様?」
勇者(………俺は、弱い)
勇者(遊び人は、強い意志を持ちながら、勇者である事をやめた)
勇者(マスターは、永遠の意志を持って、天空の泉の鍵になることを望んだ)
勇者(………だから俺は)
勇者「マスター、俺を、天空の泉に連れて行ってください」
マスター「かしこまりました」
勇者(俺は、仲間の意志を引き継ぐんだ)

124 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:41:12 ID:y7YmvVZxr
ーーーーー
魔法使い「すー……すー……」
僧侶「……すー……すー」
盗賊「………」
看守「………お前、寝ないのか?」
盗賊「アンタが寝るまではね」
看守「そうか。言っておくが、寝ていても私には予知夢が見えるぞ」
盗賊「まったく、厄介な看守だよ」
看守「一度貴様達に倒されたからな。貴様達相手なら一瞬だって隙は見せんぞ」
盗賊「手が使えたらもう一度倒してやったぜ」
看守「私を倒したって無駄だ。ここの外にも見張りがいる」
看守「第一、私がまた負けるなど、ありえない未来だ」
盗賊「好きなの?その未来って言葉」
看守「……私、そんなに使ってるか?」
盗賊「うん」

125 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:44:10 ID:y7YmvVZxr
看守「………なんだか、恥ずかしいな」カァーッ
盗賊「あら可愛らしい赤面顏」
看守「うるさい!黙れ!」
盗賊「はいはーい」
盗賊(さてさて………どうしたもんかね)
盗賊(希望……ねぇな)
盗賊(死ぬのかね……俺達は)
魔法使い「………盗賊様」ボソッ
盗賊「……魔法使い、起きてたのか?」
魔法使い「ハイ………やはり、私達は……」
盗賊「………大丈夫だ。まだ、策はあるかもしれない」
魔法使い「………盗賊様、その嘘は、私でも分かりますよ」
盗賊「……マジか」
魔法使い「ハイ。そんな表情で言われましても、説得力は皆無ですよ」
盗賊「………そうか」

126 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:48:27 ID:y7YmvVZxr
魔法使い「盗賊様、私達の今している錠、どうやら不思議な力が施されています」
盗賊「不思議な力?」
魔法使い「ハイ、先ほどからどうにか魔法を使えないか試しているのですが、どうやら魔力を無効化する力があるみたいで………」
盗賊「魔法無効化かよ………」
魔法使い「魔法の類かと思い、術式を割り出してみようとしたのですが、まったくで………」
盗賊「………魔法使い、がか?」
魔法使い「ハイ。これは魔法の類では無いのかもしれません……」
看守「それは、科学による代物だよ」
魔法使い「かがく?」
盗賊「んだそりゃ?」
看守「貴様達魔法使いや魔術師がやっていることを、人工的に行うんだ」
看守「魔法使いが魔法で炎を操るように、科学では人の技術で炎を操る」
看守「お前達魔法使い達に対抗すべく生まれた分野、それが科学だ」
盗賊「科学………ねぇ」
魔法使い「では、この錠の力は魔法ではなく、人の技術によるものなのですか!?」
看守「あぁ、恐れいったか?」

127 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:52:26 ID:y7YmvVZxr
盗賊「しかも、話聞く限りじゃあ魔力を必要としないみたいだな」
看守「まぁな。しかしまぁ、体力は必要かな」
盗賊「………それは、人間達だけの技術なんだな?」
魔法使い「盗賊様?」
看守「? あぁ、今のところはな」
盗賊「絶対に魔王軍にその技術は奪われるな!!」
魔法使い「っ!?」ビクッ
看守「………ど、どうした?」
盗賊「その技術が魔王軍に渡れば、人間は、確実に戦争に破れる。下手すれば、人間は絶滅する」
看守「………何を恐れている?」
魔法使い「まさか………盗賊様」
盗賊「一人の男をだ」

128 :名無しさん :2014/04/26(土)20:52:37 ID:9MX0mgwlM
支援

129 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:54:56 ID:y7YmvVZxr
ーーーーー
トントン
側近「戦士様、失礼致します!側近でございます!」
戦士「入っていいぞ」
ガチャ
側近「………またエルフ様、いらしてたんですね」
戦士「あぁ、いい女だよ。疲れるけど」
側近「本題ですが、魔王様がお呼びです」
戦士「分かった。すぐ行く」
側近「かしこまりました」
戦士「………側近」
側近「ハイ、どうしましたか?」
戦士「………俺が、人間側に寝返ったら、どうする?」
側近「例え話ですか?」
戦士「まぁな」
側近「………殺します。戦士様の力が、敵の力になるのは、恐ろしすぎます」
戦士「………そうか」

130 :1◆oNDhRi.Qoo :2014/04/26(土)20:58:01 ID:y7YmvVZxr
戦士「さて、それじゃあ行くか」
側近「ハイ、行きましょう」
ーーーーー
魔王「戦士、お前に頼みがある」
戦士「………頼み、ですか?」
魔王「………敬語はやめろ。疲れる」
戦士「………そうか。で、頼みってのは?」
魔王「お前、科学って知ってるか?」
戦士「………いや、知らない」
魔王「………まぁ、説明は省いて本題だ」
戦士「気になる省き方すんな。で、何だ?」
魔王「科学者とやらをここに連れて来い。生きた状態でな」
戦士「科学者?聞かない名だな」
魔王「ソイツを引き入れれば、俺達はより強くなる。ソイツは、この戦争のキーパーソンだ」