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勇者「この扉の先に魔王がいるのか」
Part2


23 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)04:29:05 ID:Y0qexk5pr
魔王「ふ……フハハハハハハハハハハァァァーーーーーーッ!!」
魔王「よくぞ我が元へ参ったな、勇者どもよッ!! 己こそが魔族の長であり、頂点、魔王であるぞ。貴様らはお終いだッ!!」
勇者「あっ……」
魔王「さぁ、我が腕の中で息絶えるがよい!! 貴様ら纏めて臓物食らいつくしてくれよ……待て! 待て、なぜ逃げるのか!」
魔王「こっちを見るのだ、貴様ら! 我が魔王ぞ!? 知らぬのも無理はないが、我が魔王ぞ!? こっちこっち!!」
魔王「何か答えぬか! くっ、我が同胞たちを滅ぼすとは許し難し! 戦え勇者どもよッ! なぁ、我が最後の魔物であるぞ!!」
一同「…………」サッサッ
魔王「何ゆえ我から逃げるのか! 信じられんッ……止まれと申しておる! 散々待たせて帰るというのか!」
魔王「相手をせい!! 分かったわかった、戦ってくれれば少し手を抜こう!! 約束しよう!!」
魔王「おぅーい!! ゆうしゃー!! ゆ、う、しゃー!!」
・・・
勇者「ふぅ、なんとか撒けたな」
武闘家「まお……誰だよあいつ。しつこいの何のってよ」
僧侶「超怖かったですぅ!」
賢者「……私はアレから逃走する自分たちが一番恐ろしかった」

24 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)04:45:07 ID:Y0qexk5pr
一年後、魔王城。長い期間を置いて勇者一行は再びここへ集う
そう、人類の敵・魔王を討つために彼らは来た!
僧侶「前に来たときよりも埃とか蜘蛛の巣まみれで汚いですぅ」
勇者「あれから一年と数ヶ月か……長かったようで、短かったような気がする」
賢者「また直前になってやめるとか言い出さないように頼むぞ。流石に遊びすぎだ」
勇者「分かっているよ。今回こそちゃんと魔王と戦って、世界に平和を齎す! それが勇者の使命だ!」
武闘家「しかし、まぁ。魔王も気が長くていらっしゃるぜ。ずっとこの中で俺たちを待っていたんだろう? バカみたいに」
僧侶「はっ、じ、実は魔王はこの中にはいない……!?」
賢者「……勇者、おかしな事になる前に早く魔王の間へ入るぞ。私たちの旅を終わらせよう」
勇者「ああ、遂にこの時が来たんだな……行こう! そして覚悟しろ、魔王よ!」
重く閉ざされた扉がようやくして開かれる。そこにいるのは魔王か? はたまた美少女か?
・・・意外な結果が一同の目の前に広がる
勇者「な、何だと!?」

26 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)04:57:59 ID:Y0qexk5pr
勇者「魔王は何処にいる!? ここは魔王の間じゃなかったのか!?」
賢者「それは間違いないが……魔王どころかネズミ一匹も見当たらん。玉座も空だぞ」
武闘家「俺はよー! こうなる事を恐れて入りたくなかったんだよ、勇者! 魔王がここにいないって事態を!」
武闘家「僧侶ちゃんの予想が当たっちまったんだ……魔王は中にいなかった……一年前も俺たちは空の部屋を前にして意気込んでいただけだった」
僧侶「そんなぁ……これじゃあ僧侶たちの目的はいつ果たされるんです!? 魔王はどこにいるです!?」
賢者「やはり遊び呆けている場合ではなかったのだ! 私たちは一刻も早く魔王を探し出す必要があった! どうする、勇者!?」
勇者「どうするって言われても困るよ……いないものは仕方ない。魔王はきっと孤独に耐え切れず自害した」
勇者「うん、これで報告しよう!」
賢者「死体を確認してからならそれで構わんがなッ!! ……僧侶ちゃん何をしている?」
僧侶「きゃー賢者くん見てくださーい! 座っただけで魔王気分ですぅ! ふかふかですぅ!」
武闘家「ズルいぜ、僧侶ちゃん! せっかく魔王がいねぇんだ、俺も記念に座らせてくれ!」
勇者「武闘家終わったら次僕な!」
賢者「……帰るか、国へ。なぁ、もう良いだろう? 私たちの旅は形はどうあれ無事終えたんだ。それで良い」
武闘家「だな。充実した良い旅だったぜ」
僧侶「…………そ、その前にみんなにお話しなきゃいけない事がありますぅ。聞いてください!」
勇者「僧侶ちゃん? どうしたんだい、急に真剣な顔しちゃってさ」
僧侶「実は……実は、僧侶のお腹の中に……賢者くんとの赤ちゃんができちゃったみたいなんですぅ」
勇者・武闘家「ッ!?」
賢者「何だと……本当か?」
僧侶「できたんですぅ……」

27 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:01:48 ID:zKdNrr11E
(´・ω・`)…魔王

28 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:01:53 ID:yLVWQIKR6
魔王(。´Д⊂)

29 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:09:11 ID:Y0qexk5pr
僧侶「お医者さまに見せたら二ヶ月経ってると言われたです……賢者くん、あの時のですぅ」
賢者「あ、あの時……えぇ……そんなバカな」
勇者「僕たちのラブリーアイドル僧侶ちゃんが赤ん坊を孕んだ? これは悪い夢じゃないか?」
僧侶「うそじゃなくて、マジなんです! 信じて勇者さま!」
勇者「違う、嘘であって欲しかったあぁぁぁ!! 賢者、貴様、貴様ッ!!」
賢者「私たちの交際はお前たちも知っていただろう!? そりゃあ子どもができたというのは、私も衝撃だが……」
勇者「黙れ、黙れよ賢者ッ!! お前なんかが僧侶ちゃんを幸せにできるものか! 僧侶ちゃんは……僧侶ちゃんは僕の……!」
武闘家「止せよ、勇者。これ以上男の嫉妬は醜いだけだぜ?」トン
勇者「だって、だってさぁぁぁ……武闘家は、お前は悔しくないのか? お前も僧侶ちゃんのことを」
武闘家「ああ、そうさ。だが仲間の幸せは黙って祝ってやるべきだ。敬意を払おうぜ」
武闘家「おめでとう僧侶ちゃん。そして賢者……俺は静かに身を引くぜ」
賢者「ぶ、武闘家……お前本当にあのバカの武闘家なのか……?」
武闘家「だがな、祝福のあとに言わせてもらうぜ! 僧侶ちゃんの腹の中の子! そいつははたして本当にお前との子かってな!」
賢者「何ぃ!? ……い、いや確かに俺との子で間違いないのだろう? 僧侶ちゃん」
僧侶「はいです! ……たぶん」
賢者「んんっ!!」
勇者「そうか……そういう事か、武闘家! 生まれてくるまでは誰の子か分からない! 賢者、お前の子かなんてな!」
武闘家「そう、僧侶ちゃんの腹の中は今未知に溢れている……」
賢者「何なのだお前たちはッ!?」

30 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:11:06 ID:yLVWQIKR6
魔王…無事か?

31 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:13:23 ID:zKdNrr11E
未知とは素晴らしい

32 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:26:40 ID:Y0qexk5pr
僧侶「賢者くん! 生まれてくる子はもしかしたら賢者くんの子じゃないかもしれないけれど」
僧侶「僧侶は元気で可愛い赤ちゃんを産むですぅ!!」
賢者「違うという心当たりがあるのか!?」
賢者「なぁ、私以外にこのバカ二人と行為を!? それとも得体の知れん輩に無理矢理か!?」
賢者「私だけとだろう!? そう答えろ!! 答えてくれぇぇぇ……」
武闘家「こいつは産まれてくる子どもが待ち遠しいな、勇者。俺たちはその時まで笑顔で暮らせる」
勇者「暮らす……なぁ、思ったんだけどどうせ家主無しの城になったんだしさ、ここを僕らの新しい家にしないか?」
僧侶「えー? こんな汚いお城をです? 正気です、勇者さまぁ?」
勇者「みんなで掃除すればどうにかなるだろう。部屋の数も多いし、建物も丈夫そうだ」
武闘家「なるほど……魔王城から勇者城にというわけか。ナイスアイディアだぜ、勇者。その案に乗った!」
賢者「もう……勝手にしろ! 私はしばらく国にある我が家で静かに過ごす! お前たちの顔など見たくもな……」
僧侶「あぁ! 賢者くん置いてかないで欲しいですぅー! 一人で王様に報告なんてセコいですぅー!」
武闘家「そうだぞ! 宝は山分けって……言った……はず…………なんだと」
勇者「え? ……お、お前はッ!!」
魔王「……ようやく追いついたぞ、糞人間どもめ」
魔王「ようやくだァァァ!! そして女ッ、我が玉座へ貴様如き雌が腰掛けるではないッ!!」
僧侶「え……えっと。あっ!」
僧侶「ふはははー! よくぞここまで来たな、魔王よ! 僧侶たちがあの勇者一行であるぞー!」
賢者「んっ!?」
武闘家「ククク……たった一人で我らに挑みに来るとは命知らずよ……」
勇者「全くだ……どれ、お手並み拝見といこうか……?」
魔王「き、貴様らァ……ッ!!」
賢者「わかった。こいつらはバカなんだ……救いようのないバカだ……」

33 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:30:44 ID:yLVWQIKR6
魔王!生きてたか!

34 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:43:19 ID:Y0qexk5pr
魔王「ふざけるのはここまでにして貰おうかッ! あの時は逃げられたが今度はそうはいかん」
魔王「魔族の敵、貴様らの血肉で払ってもらおうぞ……覚悟しろ、貴様ら四人を仕留めて人類は完全に滅びる」
賢者「何? それはどういう意味だ、魔王よ! 人類が完全にだと!」
魔王「フン……教えてやろう。我はあの時から貴様らを追って城を出たのだ」
魔王「貴様らの後を追い続け、立ち寄った全ての村や町を破壊し、人間を殺した! 貴様らが我が同胞へした事と同じようにッ!」
武闘家「こいつ……マジで強かったのかよ……たった一人で俺たち以外の人間を殺した? ありえねぇな」
僧侶「酷いです酷いですぅー! そんなのあんまり過ぎるですぅー! 外道ぉー!」
魔王「貴様らが言えた口ではなかろう。お互い様なのだ……どうせ魔族は我一人……いつか滅亡へ至るのを待つだけよ」
魔王「ならばその前に勇者! 貴様らを倒し、世界から害虫を取り除くッ!」
勇者「魔王、なんて愚かな男だ……そうしてお前はまた孤独になるだけなんだぞ!」
賢者「声をかけるだけ無駄だぞ、勇者。彼奴こそ我々が倒すべき最後の魔物! 向かって来るならば倒すのみだ!」
魔王「フハハハッ、ようやく……やっとその気になったか! もうそれだけで今までを許してやろう! さぁ、魔族と人、どちらが滅びるかなッ!?」
武闘家「いや、ちょっと待ってくれないか」
勇者「……武闘家? どうして止める!? 僕たちは戦わなきゃ」
魔王「最後の決闘に水を差してくれるなよッ!」
武闘家「俺たちが戦っても、どちらか片方しか生き残れない。つまりこの戦いは無意味なのさ」
賢者「……つまり戦うなと?」
武闘家「どうしてもというのなら止めんぜ。だが、俺はここにいる五人で素晴らしい道を歩む方法を思いついた」
武闘家「俺たちがこの世界の神に、英雄になる方法を!」
魔王「英雄だと!?」

35 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)05:56:40 ID:Y0qexk5pr
武闘家「人間と魔族はここにいる俺たちを除いて全て滅んだわけだ。生き残っているのはここの五人だけ」
武闘家「一人は魔族だが……まぁ、どうにかなるだろう」
僧侶「武闘家くんは一体何を言いたいんですぅ?」
武闘家「僧侶ちゃん、きみにはこれから一番頑張ってもらうことになるだろう。重要な役割だ! 君にしかできんぜ!」
僧侶「そ、僧侶だけにですぅ!? 責任重大すぎですぅ!!」
勇者「それより戦わなくていいってどういうことだよ、武闘家。確かに意味の無い戦いになるかもしれないが……」
魔王「ふん! 怨念返しが叶うならば我の気が晴れるわッ!」
武闘家「冷静になろう、魔王。そして俺たちは魔王を許すとしようぜ……これからはお互い運命共同体だ」
賢者「ま、まさかお前……冗談だろう? そう言ってくれ」
魔王「……あの人間は何を申したいのだ?」
武闘家「ホールブラザーズになろうってんだよ」
勇者「……ああ!!」
僧侶「ほーる、ですぅ?」
武闘家「俺たち五人はこの城で暮らし、子孫繁栄のために励めば良いッ!! 俺たちが新人類の始祖、アダムとイヴだッ!!」
賢者「武闘家ァッ!! 貴様僧侶ちゃんをッ!!」
武闘家「これで問題なく僧侶ちゃんと愛し合える! 独占というわけにはいかんが、妥協したぜッ!!」
勇者「ヒューッ、流石は武闘家だ! 誰も考えつかないことを閃いてくれる!」

36 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:11:17 ID:Y0qexk5pr
魔王「貴様の考えはよく分かった。確かに魔族の血をこの世へ残すにはそうする他あるまい」
魔王「だが、それならば雌を残して貴様ら三人を仕留めてからで良い!」
勇者「それだとお前の一族は近親相姦で作り上げることになるし、苦労すると思うけど」
勇者「ここは手を取り合おうじゃないか、魔王よ……僕たちはもう争う必要はないのだ……ほら、僧侶ちゃんを見てくれ」
僧侶「ですぅ?」
勇者「なんて可愛らしい美少女だろう……目はぱっちり、髪はキューティクル。おっぱいは大きい……あぁ、非の打ち所なんて一つも見当たらないよ」
魔王「むぅ……僧侶ちゃんかわいい」
武闘家「なぁ、大将。俺たちと仲良く付き合えばあの子に好き放題できるぜ。どうせ一人で寂しかったんだろう?」
武闘家「俺たちを殺して、何もない世界で孤独に死んでいくか。俺たちと神になるか……どっちが楽しいかなぁ?」
魔王「……今この瞬間からッ! 魔族は人と共に生きることを約束しようッ!!」
勇者「おぉ、歓迎しよう!!」
賢者「待てお前ら……僧侶ちゃんは私の妻になる女性だ……それをお前らの好きなようにされてたまるか」
賢者「私が僧侶ちゃんを守るぞ! 貴様らに指一本触れさせはしないッ!」
魔王「反対の者がいるようだが、どうする? 殺すか?」
武闘家「ダメだ。男も貴重であるには違いない……賢者、分かってくれ! 兄妹になろう!」
賢者「ふ、ふざけるなぁ!?」

37 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:33:44 ID:Y0qexk5pr
勇者「賢者、聞いてくれ……僕たちは淫らな考えがあって提案しているんじゃない」
勇者「人と魔族の争いは長く続いていた。それがようやく合体という形で終わる。これ以上僕たちの間に血は流れない」
賢者「しかしそのために僧侶ちゃんが!!」
勇者「平和に犠牲は付きものだ。こうして穏便に済ませられるのなら、良いとは思わないかい?」
勇者「家族になろう、賢者。そして種族間の争いなんてくだらない事を終わらせようじゃないか……それで僕たちの旅は本当に終わるのさ」
魔王「これからは一緒に僧侶ちゃんを愛で合おうぞ、賢者くんよ……」
賢者「……僧侶ちゃん、きみはそれで納得するのか?」
僧侶「よく分かんないけどいっぱい赤ちゃん産めばいいですね!? 頑張るですぅ!!」
賢者「……分かった。折れたよ、勇者。私も新たな世界を作る為に協力しよう!」
勇者「よしよし、僧侶ちゃんの提供ありがとう」
武闘家「扉を開ければ絶望で溢れているとばかり思っていたが、あったんだな。希望ってやつがよ……」
武闘家「どんなもんでも開けてみるまで何が入ってるか分からないもんだぜ」
こうして人間と魔族の戦いは終わりを迎えた
五人の子はさらに子を為し、その連鎖が途切れることはなかった。やがて数百年の歳月を経て彼らは繁栄していく
なお、勇者・武闘家・賢者・僧侶・魔王の五人は始祖と崇められ、後の時代へも語り継がれる存在へ
そして魔王の間の扉の一件を パンドラの希望 と名付けられ、同じく語り継がれる物語となったのである
おしまい

38 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:42:40 ID:x8WcyvXh0


39 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:45:46 ID:yLVWQIKR6
OTSUこれはひどいwww

40 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)06:56:03 ID:2PyjHjKMK
1ちゃん乙、面白かったやでw
しかし時間かかったなw

41 :名無しさん@おーぷん :2014/05/30(金)16:34:46 ID:zKdNrr11E
乙、凄く面白かった