Part10
242 :
>>1:2014/01/28(火) 15:59:14.49 ID:
KODQU2MZ0
魔法使い「……こ、わ…せ……」ゼェー…ゼェー…
王国兵「不死軍よ! 続けぇ!!」
ァァァ……ァァ……
ォォ………ォォ……
勇者「……邪魔だ、死に損ない共がァァァ!!」ズバァン
王国兵「無駄でありますよ、勇者。不死者は幾度切られようと、標的に向かって進むのみ」
勇者「雷鳴塵!!」ゴバァン
魔法使い「………風、塵………凩……」ズオッ
勇者「はぁぁぁっ!」ドガァ
魔法使い「ハァー……ハァー……」ヒュー…ヒュー…
勇者「……あまり無茶苦茶するなよ? まだ身体が万全じゃないんだから」バチバチッ バリバリバリッ
魔法使い「……っ…」ブルブルブル
グオォォォッ!!
勇者「だあッ!!」バリバリバリッ
ドン! ドン! ドンドォン!!
グルォォォォォォォッ!
勇者「天より来たりて、我が剣となれ!」バババババッ
勇者「ウゥゥォオオッ!!」ゴォォォッ
勇者「 雷 神 ノ 太 刀 !!」ヴォッ ギシャァァン!!
ズズー……ン
王国兵「ハハ……ハハハハッ! 終わった……勇者の終わりだ!!」
軍師「我が不死軍の勝利だ! さぁ王国兵よ、勇者を………」ズバァァン!!
ザッ ザッ ザッ…
魔法使い「………」ハァ ハァ
王国兵「ま……さか」
軍師「そんな馬鹿な!!」
勇者「………」ギンッ
243 :
>>1:2014/01/28(火) 16:01:52.59 ID:
KODQU2MZ0
………
……
…
側近「勇者さま? 素朴な疑問なのですが…」キョシュ
勇者「ん、なんだ?」
側近「ダハーカ竜なんて代物を、一介の人間が……ましてや召喚師でもない魔法使いさまに喚べるものなのでしょうか?」
勇者「いや、知らんよ。俺にはただの黒い影でしかなかったし、本物なんか見たことないからな」
魔王「ダハーカ? 何それ」
勇者「伝説上の竜……だな」
側近「神話に登場する三口六目の姿をした邪竜のことですね。その身を切れば凶獣が涌き出るとのことで封印するしかなかったと記されています」ペラペラ
魔王「ふぅん……私より強いかな?」
勇者「………」
側近「………」
勇者「どうかな……」ウムム
側近「即答しかねます、ね……」ウムム
魔王「?」キョトン
側近 (正直、勝てそうとも思わなくもありませんが……) ジー
勇者 (勝ったら勝ったで、そら恐しいわ)ジー
魔王「?///」エヘ
…
……
………
244 :
>>1:2014/01/28(火) 16:02:42.67 ID:
KODQU2MZ0
勇者「すごいよ……魔法使い。本当に強かった」
勇者 (雷神化してなきゃやられたな……)チラ
ブスブスブス…
勇者 (身体のあちこちが焼けたか……しばらくはまともに動けん) ジュウゥゥ
勇者 (ま、不死者共も一緒に焼け落ちただけ良しとするか) ジュゥゥ
王国兵「ひっ……ひいぃぃ……」ガタガタ
軍師「何をしておる。今のうちに勇者を不死者で…」
勇者「残っていればな」
軍師「王国兵!! 魔法使いだ!! 魔法使いを……」バリバリバリッ
勇者「……っ」ジジ…ジジジ…
王国兵「あ……が……」シュウゥゥ ドサッ
245 :
>>1:2014/01/28(火) 16:06:16.20 ID:
KODQU2MZ0
勇者「さ……魔法使いを、返してくれ」
王国兵「………」ピクピク ピクッ
軍師「……やれやれ役立たずめが」
勇者「もう、いいだろう。そいつがいなきゃ不死者は……」
軍師「呪詛を操るのが王国兵だけと思わぬことだ」パキッ ギュォオオオ!!
魔法使い「アぁァァァああアあっ!!」ビクビクビクッ
ズオォォォォッ
勇者「よせ……これ以上、魔法使いを苦しめるな!!」
軍師「やれ! 勇者を殺せ、魔法使い!!」
魔法使い「………ぁぁぁぁああああ!!」ドゥッ
勇者「くっ……魔法使い……」ズザァァッ
魔法使い「……ァ…ァ、ァ……」ゴォォォォ
勇者「魔法使い……キミだけは、護って……みせる……!!」ギシッ ギシッ
魔法使い「……ァァ……ァ…」ゴォォォォ
勇者「も……少、しだ……魔法使いィィ……!!」ギシッ ギシッ
魔法使い「……ユ……しゃ……」ポロ
勇者「……っ!!」
魔法使い「勇……者ぁ……」ポロポロ
勇者「魔法使いぃぃぃっ!!」バッ
ガシッ
勇者「魔法使い!!」ダキッ
魔法使い「………ァ…」シュウ シュウ シュウ…
勇者「魔法使い……」ナデ
魔法使い「………勇、者……」
勇者「魔法使い! 良かった、俺が分かるか?」
魔法使い「……ボロボロ……だ、ね……あたし、の……せいで……ごめ……ん、な……さい……」グス
勇者「大丈夫だよ……」ナデ
魔法使い「ずっと……頭、の……中で……声が、して……た」
魔法使い「『勇、者を……殺せ』っ……て」ポロポロ
勇者「もういいんだ……あまり喋ると怪我に障るぞ?」ナデナデ
魔法使い「怖か……った……イヤ……なの、に……怖、くて……自、分……が……自分じゃ……なく、なって……」ポロポロ
魔法使い「ごめ……な、さい…………ご、め……な…………い」カク
勇者「魔法使い……」
軍師「フン……まぁ、我が不死軍の初陣にしては上々と言ったところか」
勇者「戦士が死に……僧侶も消えた」ゴゴゴゴ…
ゴガァッ ドシャァン!! ゴロゴロゴロ…
勇者「俺にはもう……この子しかいない……護らなきゃいけない……」ガガッ ドオオン!!
勇者「そんな魔法使いを……こんな目に合わせて……貴様らは……」バチバチバチ ジジジ…ガォン!!
ゴゴゴゴゴ……
勇者「情けねぇ……結局俺は、仲間の誰一人救えない、情けねぇ男だ……」ブツン
246 :
>>1:2014/01/28(火) 16:07:10.34 ID:
KODQU2MZ0
ガカッ ガシャァン ゴロゴロゴロ…
勇者「総てを喰らえ……禍雷(マガヅチ)よ…」ジジ…ジジジジ…
ゴガガガガガガガッ
軍師「こ……これが……勇者の力……!?」フフ
軍師「フハハハハハ!! いいぞ、もっとだ!! もっとお前の力を見せてみろォォ!!」
軍師「そして私の不死軍が優れていると証明してくれよう!!」フハハハハ
軍師「蘇れ死者共よ!!」ギュォオオオ
ズズズズズ…!!
勇者「恨みはないが……せめてこのようなことが二度と起こさせないと約束しよう」
勇者「雷煌滅牙陣」スラッ ズガッ
ズオォォァァアアッ… ゴオオオオン!!
軍師「……い、一瞬……一瞬で全ての不死者が……」ワナワナ
勇者「1つ、聞かせてくれ」
軍師「……なんでしょう?」
勇者「なぜ、魔法使いはお前らの術に堕ちた?」
軍師「さて、私共にはわかりませぬ。我が呪術は死者を屍のまま蘇らせ、不死者へと換えること」
軍師「元々、魔物からの脅威にここの住人は疲弊しきっていた。不死者へと変貌する際に強烈な痛みを伴うという。肉体的はもちろん、精神、心の痛みに耐え兼ね、崩壊する」
軍師「この呪法の本質は死者を操ることにある。私共がここを実験に選んだのはうってつけだったのだ」
軍師「魔法使いさまは、その高い魔力が仇となったのでしょう」
勇者「……俺に影響がなかったことに関しては?」
軍師「勇者様の魔力は聖。女神の加護。魔法使いさまの魔力は闇。暗黒の力」
軍師「この魔法の影響力はどれ程のものでしょうな」
勇者「……そうか」バリッ
軍師「はい……」
ズガァ…ン
魔法使い「……」
247 :
>>1:2014/01/28(火) 16:09:00.93 ID:
KODQU2MZ0
数日後
コンコン
魔法使い「……は、い」
ガチャ キィィ
勇者「やぁ、魔法使い。身体の調子はどうだい?」
魔法使い「…………」コク
勇者「そうか」ギシッ
魔法使い「ゆー、しゃ……は……?」
勇者「俺か? まぁ、全快とはいかないが七割ほどは戻ったかな」
魔法使い「……そ、う」
勇者「…………」
魔法使い「…………」
勇者「俺は魔王城へ行くよ」キュッ ギュッ
魔法使い「………」
勇者「そしてもう、こんなことが起きないように……この手で終わらせてみせる」
魔法使い「………ぁ…」
魔法使い「……あた、しは……」ポロ
魔法使い「もう……行けない……」ポロポロ
勇者「……うん」
魔法使い「……もう……勇者と、ともに……歩めない……」ポロポロ
魔法使い「あ、たし……魔法……が……使えな、い……の……使、えなく……なっ……ちゃった……」ポロポロ
勇者「そうか……多分そうだろうと思ってた」
勇者「魔力が戻らないから気にはしてたんだ」
魔法使い「ご……めん……なさ、い……」ポロポロ
勇者「今まで、ありがとう……」
勇者「こんな危険な旅に付き合ってくれて……嬉しかった」スクッ
魔法使い「怒ら、ない……の?」
魔法使い「役、立たずっ……て……怒って、よ……」グスグス
勇者「怒らないよ……今までも色々助けてくれたんだ」
勇者「だから、俺からはやっぱ……ありがとう、だな。魔法使いと旅したこと忘れない」ナデナデ
魔法使い「うぅ……うぐっ……ゆー、しゃぁ……」ギュゥ
勇者「楽しかったよ、魔法使い。また、会おう」ガチャ
バタン
魔法使い「あた、しは……足でまとい……だから……これ……以、上……行け……ない……」ポロポロ
魔法使い「ごめ、んなさい……弱くて……ごめんなさい……支えて、あげ……られな、くて……」ポロポロ
勇者「…………」ギリッ
勇者 (俺は……どこまでも無力なのか)
スタ スタ スタ…
248 :
>>1:2014/01/28(火) 16:11:26.33 ID:
KODQU2MZ0
………
……
…
魔王「ふーん……」
勇者「一人になった俺はがむしゃらに進んだ。弱かった自分を吹っ切るため、なんて……結局自分のことしか考えてなかったんだ」
魔王「別にいいんじゃない?」
勇者「俺は勇者だ。そういうわけには……」
魔王「一緒だよ。勇者である前に一人の人間。悩んで苦しんで……それでもがんばって前に進もうと足掻き続けた……一人の人間」
魔王 (それは、私たちも同じ……人族と魔族の違いはあっても同じ……生きてる)
魔王「仲間が愛想尽かしても……私がずうっと側にいてあげるね?」ウワメ
勇者「はぁ!?」
魔王「私なら死なないよ? ずっと勇者の側で支えてあげられる、ずっと勇者を見ていてあげる」ギュッ
勇者「魔王……」
側近「素晴らしいです、魔王さま……立派なレディに成長なされて……」ウルウル
勇者「見てないで止めろや! なんで勇者と魔王が一緒になるんだ!!」
側近「そこまで言ったつもりはありませんが」
魔王「……///」ポッ
勇者「オィィィ!! 顔を赤らめるなァァァ!!」
魔王「///」
側近「閨の準備をしてきますね」イソイソ
側近「あ、勇者さま、インキュバス御用達の精力剤もご用意しておきますか?」
勇者「何の準備だ、何の!!」
魔王「は、初めてだけど……いっぱいシてね……?」
勇者「んがぁぁぁぁっ!! 人の話を聞けェェェ!!」ガシガシガシ
249 :
>>1:2014/01/28(火) 16:12:18.42 ID:
KODQU2MZ0
魔王「でも、そんなことに、なってるなんて……知らなかった……」
側近「それはそうでしょう」
魔王「ふぇ……?」
勇者「どういうことだ」
側近「魔王さまの知るところではありませんよ。当然です。魔王さまは関与しておられませんからね」
勇者「だからなんだ……知らなきゃ許されるとでも?」イラ
側近「違います。まずは調査に向かった四天王の報告からいきましょうか」
側近「魔王さま、お呼び出し願います」
魔王「はーい。生活に便利な呪文"四天王、おいで"」パンパン
勇者 (そういや、これだったな……) ハァ-ァ
ズアッ
火王「よっしゃ、ウノォッ!」バシッ
水王「させません。ドロー2、ウノ!!」パシッ
風王「追加追加! ドロー2! ウーノッ!」パンッ
土王「……そのちんけな、火種……ワイルドドロー4で、消し飛ばす……うの」パチ
火王「ウォォォ!? き、貴様らァァァァ!!」
側近「何をしているのですかァァァァ!!」ドゴーン
四天王「ギャァァァッ!?」ズシャァァ
勇者「…………」ゲンナリ
250 :
>>1:2014/01/28(火) 16:23:45.32 ID:
KODQU2MZ0
急な展開、急ぎ足感は否めませんが
これにて勇者回想編は終わりを告げ、
次回からは魔王と勇者と側近と編が
始まります(?)
語られた過去。
勇者の視点での回想。
戦士の最後
僧侶の謎
魔法使いの想い
それぞれは何を思っていたのか。
また次回をお楽しみに?
251 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 17:02:15.60 ID:QFKkb+TLo
この落差が堪らないww
魔法使いまで帰らぬ人になってなくてよかったー
擬音は伝わったよ乙
252 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 18:00:37.07 ID:Kv2htnhyo
乙
魔法使い報われねえ……切ねえ……
253 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 19:35:11.04 ID:4Zy0MKIao
魔法使いと再会しないんすかね?
254 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/28(火) 20:41:20.07 ID:GPNEN+nKO
楽しい乙
255 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 20:45:50.64 ID:tTflA5GYo
面白い
あ、魔王は貰っていきますね
256 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 21:02:45.43 ID:rkRiIlDC0
>>255そげぶ
続き楽しみにしてまーす
257 :
以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/01/28(火) 21:48:43.09 ID:AEF279P10
乙
擬音ばっかりの戦闘シーンて好きじゃないんだけど、なんか普通に読めちゃったな。
わかりにくいはずなのに状況は伝わってきたよ。
大丈夫。戦闘に加われない魔法使いは俺がずっと側でナデナデしててあげるから勇者は安心して魔王と一緒になってくれ。