Part4
175:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:49:50.46 ID:
W8TOKAywO
ーーーー数百年前
皇女『これでいいのです……
お母様も……あなたの死を望んではいません』
魔王『……』
皇女『……そんな顔をしないでくださいな。
わたしはなにも怖くありません……お母様ともうすぐ……もうすぐ会えるのですから……』
魔王『私は、私は何もしてやれなかった』
皇女『あなたはわたしと、わたしのお母様に、多くのものをくれました……
……今ならそれがわかります』
魔王『私は……』
皇女『それから……どうか、魔女さんを責めないでください……
あの方の気持ちも……よくわかります……』
魔王『……』
皇女『お身体に気を付けて……
……いつか……誰もが幸せな世界で……会い……た……』
魔王『……』ギュッ…
177:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:56:38.22 ID:
W8TOKAywO
魔女『なぁオイ……その、なんつーか……悪かったよ、うん』
魔王『……いや、いい』
魔女『そりゃ、僕だっていっつもてめぇーのことぶっ殺すために色々やってたけどよー……』
魔王『だからいいって』
魔女『ぶっ殺したいほど気に入ってるやつが自殺なんかしようとしてたら……
……何やってでも止めるだろ?』
魔王『……』
魔女『……じゃあ、僕は帰るからな。
また来る。てめぇーをぶっ殺しに』
魔王『……あぁ……待ってる』
……ーーーー
205:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:00:58.39 ID:
W8TOKAywO
魔女「ーーーーとにかくッ!
てめぇーが勝手に死ぬぐらいだったら僕が百回ぶっ殺す!
スイッチオーンッ! 行けッ、新生・極悪魔装勇者御一行ッ!!」ガチャーン!
勇者『ぅヴッ……ま・ォヴ……魔王ォォオオオッ!』ギリギリギリギリ
少女「えっ、うわっ、け、結界っ!」
バチバチバチバチッ
勇者『魔王ォォオオオォォオオォォァァアアアアァアォオオォオオォッ!!』
バチバチバチバチ……バリッ……バギンッ!
少女「破ら……?!
ぐッ……九式九重結界ッ!」
魔女「オラッ!
破城鎚出せお前らッ!
突き破れッ!!」
勇者『通ッッッ……ッッッせェエエェエエッ』バリィィィイン!
206:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:05:15.91 ID:
W8TOKAywO
少女「十分時間は稼げた!
『止まれ』ッ!!」
勇者『ォアアッ?!』ガグンッ
魔女「装甲に直接魔導式を書き込んで……っつーかお前邪魔すんじゃねぇーよッ!
魔王が死んでもいーのかよッ!!」
少女「そっ……それは……」
勇者『ガァ……ァアアァアアッ!』ギ…ギギッ…バギンッ!
少女「しまっーーーー」
魔王「『止まれ』。」
勇者『ーーーー』ビタッ
魔女「魔王……てめぇー、いい加減にしろよ……
てめぇーの糞ったれた感傷で僕以外のやつを巻き込むんじゃねぇーよッ!」
魔王「……」
少女「ま、魔王さん……」
207:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:07:36.15 ID:
W8TOKAywO
魔王「なぁ、糞魔女」
魔女「……なんだよ大馬鹿魔王」
魔王「実はもう術式発動してるんだわ」
少女「なっ」
魔女「……え?」
魔王「この子がだいぶ時間稼いでくれたから、加速術式も追加できたしな。
要するに、もうあとしばらくしたら俺は死ぬ」
208:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:10:13.55 ID:
W8TOKAywO
魔女「……ついに馬鹿が高じて死ぬことになったか……」
魔王「お前に殺されるのもいいかと思ったけどさ、
ちょっと落ち着いて喋らないか? 久しぶりに。せっかくだしさ」
魔女「……」
少女「……」
魔王「こっち来いって、いいから」
魔女「……魔王……」
魔王「よし、もっとこっちだ。
ちゃんと近くで顔見せろ」
魔女「まお、う……ぅ……うっ……」ポロポロ
魔王「とここで鉄拳制裁ッ!」ゴッチーン!
魔女「いってぇッ! なにすんだ馬鹿ーッ」グシグシ
魔王「それは侍女の分だ。マジで腹立ったからな」
少女「……えいッ」ゴッチーン!
魔女「なっ、なっ、このクソガキッ!」
少女「私も腹立ったんで」
魔王「ひひひ。正当な権利だよな?」
少女「当然です」
209:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:16:54.30 ID:
W8TOKAywO
魔女「お前あとで絶対ぶっ殺す!」
少女「やれるものならどうぞ」
魔王「後任者ができて安心だわ」
魔女「こんなクソガキじゃ8秒も保たねぇーよ」
魔王「いやいや、少なくとも200年は保つな。
俺が死んだら俺の魔力200年分、キミに譲渡することになってるから」
少女「は、……はい?」
魔王「いきなりだけど、まぁ魔王代理ってことでよろしく。
じきに魔界で次の魔王がちゃんと決まるからさ。
それまで、キミはキミのやりたいことをやればいい。
ママさんとのんびり暮らすもよし、冒険に出るもよし、
魔導魔術を極めるもよし、魔王やるのももちろんよし」
魔女「むちゃくちゃだ……」
少女「……」
212:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:35:05.93 ID:
W8TOKAywO
魔王「まぁ大概のことは出来るぜ。
キミ、じきに下手な魔王より強くなるだろうし」
少女「……わたしは……世界を変えたいです」
魔王「ほほう」
少女「もっと魔導を勉強して、もっと世界のことを勉強して、
それから魔王さんも妖精のお姫さまも笑って暮らせるような、
そんな世界をつくりたいです」
魔王「そりゃいいや。期待してるよ。
キミなら世界でも変えられるだろう」
少女「はい!」
214:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:49:48.09 ID:
W8TOKAywO
魔王「で、お前はどうすんの?」
魔女「……まずこのクソガキをぶっ殺す。
そん次に地獄に居るお前らをもっかいぶっ殺す。
邪魔するやつは全員ーーーーってもう居ねぇ?!」
少女「!」
魔女「あいつ最後まで人を舐め腐った態度しやがって絶対許さねぇーからなーッ!」
少女「……」
魔女「ちくしょおおおッ! 絶対勝ち逃げなんかさせてやるもんかッ!
今に見てろーッ!!」ポロポロ…
少女「魔女さん」
魔女「はぁッ?!
な、なんだよッ! 泣いてねぇーよッ! こっち見んなよッ!」グシグシグシグシ
少女「わたしに魔導を教えてください」
魔女「ふざけんなこのやろーッ!!」
ーーーー魔装勇者御一行を引き連れた史上最悪のキチガイ魔女と、
魔王の魔力たっぷり200年分を受け継いだ史上最強の幼い魔女は、
たまに殺し合いをしながら魔界・冥界・竜界・妖精界それぞれの辺境で、
文字通り人知を超えたとんでもない冒険をすることになる。
しかし、それはまた別のお話ーーーー
215:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:50:45.14 ID:
W8TOKAywO
終わり。
ファンタジーもんなんか初めて書いた。
216:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:52:02.57 ID:nnsubCLCO
>>215
もう乙としか言えない
219:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:57:37.95 ID:6D/p3qU4O
乙でした
面白かったです!
220:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 13:57:42.31 ID:6hi1TdcUO
スマン
一つ訊きたいんだが、少女が戦ったのは赤い軍隊だよな?
226:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 14:38:34.63 ID:
W8TOKAywO
>>220
そう。
しかし久々のSSでいきなり乗っ取りなんかするもんじゃ無いな……
えらい疲れたわ。
228:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 14:54:57.59 ID:8JunXTRXO
>>226
で、『別のお話』はいつから始まりますかwwwww
224:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 14:28:02.30 ID:JO5opX+eO
おもろかった乙
237:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 16:17:57.91 ID:
W8TOKAywO
一人称は寝ぼけてたか変換ミスだ。
申し訳ない。
238:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 16:26:17.61 ID:S5m2AW18P
>>237
さあ、続きを。。
243:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 18:09:31.69 ID:
W8TOKAywO
こっから続けるとなると、かなり力業になるなぁ……
247:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:13:18.45 ID:
W8TOKAywO
魔女「……くぅ……くぅ……」
少女「よく寝てるなぁ魔女さん。
このところ歩き詰めだったし、疲れてるのかな。
寝てたら普通の女の人……ん?
この人、一体何歳なんだろ……」
ガサッ、ガサガサッ
少女「!」バッ
魔女「んん……」ポリポリ
ガサガサッ
キキッ、キー
少女「な、なんだ……リスか。
ほら、魔女さんのローブなんかにちょっかい出してたら、
手足千切られて変な箱に入れられるよ。しっしっ」
キキー
タタタタッ…
少女「あーあ、こんなぐちゃぐちゃに……」バサッ
……ポロッ
少女「あれ? これは……」カサ…
248:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:17:03.00 ID:
W8TOKAywO
チュン、チュンチュン…
少女「魔女さん、わたしに何か隠し事してるでしょ?」
魔女「はぁ? 何のことだ?」
少女「別にいいんですけどね。
ただ、腐らせておくには勿体無い魔導装置の設計図を見掛けた気がしただけです」
魔女「……てめぇー……」
少女「悪戯なリスさんが見付けてくれたんですよ。
わたしは落ちたものを拾っただけですからね。
条件次第で手伝ってあげますよ」
魔女「こんのクソガキ、なんでそんな偉そうなんだよ」
少女「魔女さんじゃこのレベルの高魔力放出と書式の精密再現が
安定しないからお蔵入りにしちゃったんでしょうが、
わたしならギリギリなんとかなるレベルです」
魔女「チッ……誰がてめぇーになんか頼むかよ」
少女「いいんですか?
会いたいんでしょ、魔王さんに」
魔女「……」
少女「地獄の果てまで会いに行く、って魔女さんらしいじゃないですか」
魔女「馬鹿にしてんの?」
少女「まさか」
249:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:18:31.60 ID:
W8TOKAywO
魔女「……条件次第ってのは?」
少女「ギブアンドテイクってやつですね。
わたしのは魔女さんに取ってはそんなに難しいことじゃないですよ」
魔女「なんだよ、言ってみろ」
少女「わたしは地獄の門を開く魔導装置の起動を手伝う。
魔女さんは侍女さんを蘇らせるのを手伝う。
悪い話じゃないでしょ?」
250:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:20:07.80 ID:
W8TOKAywO
少女「侍女さんって魔導人形だったんですね。
って言ってもゴーレムや魔導傀儡じゃなくて、
人工妖精を魔導装置に宿すタイプのですけど……
記憶はお城にあったメンテナンス機材から復元できます。
でも、わたしがこの水準の魔導工学を自由に扱えるようになるには、
まだまだ果てしない時間が掛かってしまいます」
魔女「はん。それで僕の出番ってわけか」
少女「そう言うことですね」
魔女「なにが『そんなに難しいことじゃない』だ。
そこらへんの魔導工学と、妖精界でも最高峰の技師レベルだった
魔王の謹製魔導人形を同列に並べるんじゃねぇーよ」
少女「でも、魔女さんならできるんですよね?」
魔女「……当たり前だ」
少女「じゃあ交渉成立ってことで」
魔女「クソ胸糞悪ぃーが、妥協しといてやるか……
言っとくけど失敗したら許さねぇーからな」
252:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:34:44.01 ID:8JunXTRXO
きた
がんがれ
254:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:43:37.38 ID:
W8TOKAywO
魔女「何にせよ、一旦僕の工房に戻らないといけないな」
少女「侍女さんの方がなんとかなったら、わたしと侍女さんで冥界に行ってきます」
魔女「冥界? なんでだ?」
少女「地獄って冥界の地下深くにあるんですよね?
前にお城の書庫で、魔王さんの友達だった冥王さんが編纂した、
地獄に関する書籍を読んだことがあるんですが……」
魔女「そんなんがあるのか」
少女「冥界でも地獄についてはほとんど把握できてないみたいで、
最後に地獄に行ったっきり戻って来なかった人がいたのが1000年前、
最後に地獄から戻って来た人がいたのは8000年前だそうです」
魔女「……やべぇーんじゃねぇーの、それ」
少女「魔王さんも『あんなの死ぬ前に行くとこじゃないね』って言ってました」
魔女「……」
少女「なので、とりあえず魔女さんが行く前に、
出来る限りの情報を集めておこうかと思いまして」
魔女「なるほどな。
その間に僕は装置の方を組み上げる、と」
少女「はい。どうですか?」
魔女「まぁいいだろう。それで行くか」
256:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:57:27.26 ID:
W8TOKAywO
魔女「しっかし……これが設計図か。
設計図自体が一つの魔法陣になってんな。
複雑過ぎて普通の魔導師にはまず読めん」
少女「それも偶然書庫で見つけたものです」
魔女「よく残ってたな。
作図されたのが妖精界の二つ前の王権の時だぞこれ」
少女「結構無造作に置いてあったんですけどね……
それで、その、なんとかなりそうですか?」
魔女「んー……正直これは想定外の難易度だが、とりあえずやってみっか。
資材自体はここのあり合わせで間に合いそうだしな」
少女「よろしくお願いします」ペコリ
258:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:01:15.50 ID:
W8TOKAywO
こんな感じでいいなら、話を練って来る
259:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:02:31.97 ID:8JunXTRXO
>>258
いいもわるいも
がんがれ