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少女「魔王さんなら、ママを生き返せるのかな…」
Part2


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:45:43.11 ID:v7LwU1XzO
魔王「これをこうして……こいつをはめ込んで……あれ、おかしいな? はまれこのっ」グググッ……
……バキンッ!
魔王「よーし。後は仕上げに……」バチッ、バチチッ……
キ……ィィィィィィイイイイインッ!
魔王「……完璧。私ってばやっぱり天才?
   ふふふ、ふっふっふっ、」
ガチャッ、
侍女「御食事の準備が整いました」
魔王「はーっはっ……はぁ、わかったよう、今行くよう。
   せっかくたまに魔王らしく三段笑いでもしようと思ったらこれだものなー」

43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:06:34.26 ID:v7LwU1XzO
魔王「と言うわけで、これをキミに上げよう」スッ
少女「は、はい」
魔王「一万年ぐらい月光を浴び続けたやたらでかい霊樹の枝から削り出した本体に、
   竜王の目玉と魔王式魔導回路図の装飾、仕上げに私の魔力50年分を込めた、
   ウルトラスーパーアメイジングすごい杖ね」
少女「はぁ……」
魔王「ピンと来ないかな? まぁちょっと持ってみなよ」
少女「はい……あ、あれっ」
魔王「体軽くなった? あと、なんか見えた?」
少女「えと、はい、あの、なんか……うわっ、なんですかこれ!」
魔王「キミ、せっかく結構大魔導師級の才能あるんだからそれを生かさない手はないよ。
   杖がキミの才能を一気に叩き起こしたってところかな」
少女「ま、魔導師……私が……?」
魔王「そうそう、キミが。
   この杖は魔導入門記念みたいなもんさ。
   詳しい使い方はそいつから習ってね」
侍女「承りました」ペコリ
少女「え、あ、は、はい!」
魔王「うんうん。仲良くねー」

63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:34:26.79 ID:POtyJemEO
なんかいきなり来て魔力250年分前借りしたり
再生に時間の掛かるっぽい目玉貰ったり
凄そうな木の一番いいところ貰えたり
魔王の人柄ハンパじゃねーな

68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:39:08.61 ID:v7LwU1XzO
魔王「にしてもよく似合ってんなーそのドレス」
侍女「よくお似合いでございます」
少女「あ、ありがとうございます……」
魔王「まぁ当たり前っちゃあ当たり前なんだけどな。
   なんたって私の見立てだし」
少女「はぁ……」
魔王「実はそれも結構な逸品でねぇ。
   昔々、妖精界の第二皇女が着てたって言うもんなんだよな」
少女「ええっ! そ、そんなものを着させてもらって……」
魔王「いーのいーの、どーせ宝物庫で腐らせてたやつだし。
   魔界の色々ヤバいもののすぐ横に置いてたのに腐らなかったのはさすがだけどなー」
侍女「妖精の魔導具製造技術は、竜王様よりも優れていますから」
魔王「私の次ぐらいに凄いってところかな」
侍女「さすが魔王様」
魔王「よせやい、誉めるなよあんまり。あんまり誉めるなってばー」

69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:51:48.31 ID:v7LwU1XzO
魔王「それじゃ、私は術式本体の本格的な準備始めるから、
   立派な魔女っ子プリンセスになれるよう頑張ってね」
少女「は、はい!」
侍女「かならずや」
……バタン。
少女「……でも、具体的にはどうすれば……?」
侍女「心配は御無用でございます。
   どうぞこちらへ」

72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:04:53.54 ID:AEU8gN160
魔王かわいい

73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:07:00.71 ID:v7LwU1XzO
ガチャリ、……
……ゴゴゴゴ……ン……
少女「うわぁ……」
侍女「ここは魔王様の蒐集した魔導書、魔術書、またそれらの関連書籍の書庫です。
   人間、妖精、魔族、竜族、その他魔力と文字を有したあらゆる種族の書籍が保管されています」
少女「ここで、魔導の勉強を……?」
侍女「左様にございます。
   講師はわたくしめが僭越ながら勤めさせていただきますので、よろしくお願い致します」ペコリ
少女「よ、よろしくお願いします」ペコリ

75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:23:36.69 ID:v7LwU1XzO
魔王「これをこう描いて、こっちまで線引いてー。
   すーずをつーけたーら魔導式ー」キュキュキュー
ボォォオ……
魔王「よーし。後は魔法陣の上書きをして、と」
ドゴゴゴォォォン!!
魔王「うわおっ、なんだなんだ?
   何やってんだあいつら。筆先が狂っちゃったよもー」

79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:38:22.07 ID:v7LwU1XzO
魔王「どうしたー? 随分賑やかだな……って何この穴」
少女「あのあの、す、すみません! わたしが変なことしたから……」
魔王「大概変なことしてもこうはならないと思うんだけどなぁ。
   ところであいつは?」
侍女「ただ今戻りました」
魔王「おー、お帰り。
   どしたのさ、これ」
侍女「わたくしの判断ミスです。
   魔導の才覚、杖の性能、ドレスの魔力補正……全て甘く見ていました」ゴトッ
魔王「その燭台は?」
侍女「これに、ごく初歩的な防御呪文を施す訓練をしていたのですが……」
魔王「ほうほう」
少女「私が間違ってその燭台を机から落としてしまって……」
魔王「ほう?」
侍女「そのまま魔力を込められた燭台が床を突き破って下へ下へ……」
魔王「なんと」
侍女「地下の魔力泉空洞まで落ちて行きました」
魔王「あんなとこまで?
   ほとんど城の最深層じゃないか」
侍女「おそらく、燭台が全ての衝撃を反転したのではないかと……」
魔王「はっはっは、そりゃいきなり最終奥義だな」

81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:46:33.35 ID:YtpCBgui0
魔王超気さく

82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:50:53.49 ID:v7LwU1XzO
魔王「ちょっともう一回やってみてくれるかい?」
少女「え、あ、はい」
侍女「杖を構えて、燭台を想像して」
少女「えと……魔力に守られた燭台……守られた燭台……」パチッ……パキキッ……
魔王「あれ? 別にそんなに魔力込めないのな」
侍女「ですので、わたくしもこのようなことになるとは露ほども……」
少女「……一応、出来たとは思うんですけど……」
魔王「お、どれどれ」
侍女「魔王様、お気を付けて」
魔王「わかってるって。
   んー?」ツンツン
バチンッ!!
魔王「いってぇー。すげーなこれ。
   ちょっと下がっててくれ」
侍女「わかりました。
   さぁ、わたくしの後ろへ」
少女「は、はい」
魔王「むむむ」……ォンォンォンオンオンォオンォオンォオンォオン

85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:11:22.41 ID:v7LwU1XzO
魔王「ふー……
   ……どりゃあッ!」
バギィィィンッ!!
魔王「っと。どうなったかしらん?」
侍女「……ここに、僅かな傷が」
魔王「マジかよ。割と真面目にやったんだけどなー。
   燭台に負ける魔王ってだせー」
侍女「しかし……なぜ僅かな魔力でここまで?」
魔王「うーむ。
   多分、これはその超魔女っ子プリンセスちゃんの魔力じゃなくて、
   燭台そのものの魔力だな。
   燭台が衝撃を受けた瞬間だけ、銀が魔力変換されて衝撃を跳ね返してる」
侍女「燭台そのもの……ですか?」
魔王「銀なんかになると、魔力だけで作るのにはぶっとんだ量が要るだろう?
   すると、逆にその銀を直接魔力に変換出来たら……」
侍女「凄まじい魔力量になる、と」
魔王「その変換式自体はちょっとした魔力で書けるから、こうなったわけだわな」
侍女「……才覚、ですか」
魔王「才覚ですな。
   この子が勇者じゃなくてよかったよホント」

86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:15:50.39 ID:v7LwU1XzO
少女「あ、あの……」
魔王「あぁ、気にしないでその調子でやっててくれたらいいよ。
   私は作業に戻るから。あとよろしく」
侍女「かしこまりました」
魔王「がんばってねー」
少女「が、がんばりますっ」
……ズズゥゥゥウウン……
ドグォォオオオン……
魔王「どんどん勇者がハードモードになっていくな。ひひひ」キュキュキュー

93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 16:35:29.81 ID:v7LwU1XzO
侍女「夕食の準備が出来ました」
魔王「おう。今行くわ。
   なかなか派手にやってたみたいじゃないか」
侍女「魔力運用の最適化と言いますか……常に最も高い効率と方法に拠って魔力を使うので、
   本人の意思にも反して非常に強力な魔導になるのだと」
魔王「しかも、あの子自身にも相当な量の潜在魔力があるしな。
   まぁとりあえず飯にしよう。腹が減ってはなんとやらだ」
侍女「はい。
   ……ところで、勇者の行方なのですが」
魔王「うむ」
侍女「例の魔女の所に居るようです」

94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 16:40:28.88 ID:v7LwU1XzO
魔王「うげ。マジかよ。
   あいつなんでかんでも魔族より魔改造するからなぁ」
侍女「その分、時間は掛かるかと思われますが」
魔王「だな。
   連中が来る前に、準備はさっさとやっちまうか」
侍女「しかるべく」
魔王「しっかし、あいつの悪ふざけで何回死にかけたかわからんぜ。
   一番ろくでもないことに迷わず最大注力するから余計ろくでもない」
侍女「……」
魔王「やだなー、魔改造勇者。
   あーやだやだ」

98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 16:48:08.33 ID:v7LwU1XzO
ガチャリ、
魔王「やっほー」
侍女「お待たせ致しました」ペコリ
少女「いえ、そんな……」
魔王「まぁとりあえず食おうぜ。
   連日訓練訓練で疲れたろう」
少女「えっと、多分この杖とドレスのおかげで、わたしはそんなに……」
魔王「そうなの?」
侍女「一気に大量の魔力を使うような術式はまだ使っていませんし、
   杖とドレスによる自動治癒も相乗的に働いているかと」
魔王「見事なチートだなぁ。まぁそれなら安心だ。
   食べよう食べよう」
少女「は、はい」

100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 16:56:14.70 ID:v7LwU1XzO
ゴゴゴゴ……
勇者「ぐッ……う……がッ……」ミシミシミシミシミシ
魔女「歯ぁ食いしばれっつってんだろ。
   オラ、そんなんで魔王に勝てると思ってんのか」
勇者「ぬぅうヴぅヴウ……ッ!」ミシミシミシミシミシ…ブチッ…ブツッ…
魔女「魔王の魔力はこんななまっちょろいもんじゃねぇーんだよ。
   気合い入れろ気合い。両手両足ぐらいなんだ。
   どーせ勝てないなら捨てちまえそんなもん」ガチャン
勇者「ヴッ……ふヴッ……ふヴぅううヴ……
   ヴぅッ……うぅヴふッ……!!」ギリギリギリギリギリギリギリギリ
魔女「泣いてんじゃねぇーつーの。
   人間やめろよさっさと。
   でなきゃ辛いぞー」ガチャン
ガリガリガリガリガリガリガリガリ
ミシミシミシミシミシ……ミシミシミシミシミシ
ギィイイイイイイイイイイ…ブチッグチャッ

102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 16:59:11.90 ID:v7LwU1XzO
勇者「……」
魔女「おっつー。
   次はこの鍋に浸かっとけ。
   良いって言うまで出んなよ。
   まぁどうせその身体じゃ無理だろうが」
勇者「……」
グツグツグツグツ…ボコォ…ボココォ……
魔女「早くしろよ」
勇者「……」ズッ…ズッ…ズッ…ズッ……
……ボチャン
ジュウゥゥウウゥウ……
魔女「そろそろ晩飯にすっかな」

104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 17:06:35.55 ID:v7LwU1XzO
ザパァア
魔女「おーおー、良い感じに茹で上がってんな。
   後はこのイカす箱に入ってしばらく待ってろ。
   名付けて『天使の棺』だ。ぐっすり寝れそうだろ?」
勇者「    」
魔女「多分悪夢見っぱなしになると思うが、魔王の魔術汚染に耐えるためだ。
   諦めてうなされてろよ」
勇者「    」…グ…ャ…ッ
魔女「じゃねーおやすみー」
……バタン……

121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 19:24:10.54 ID:v7LwU1XzO
魔女「で、216時間寝かせた天使の棺ごと鎧に装填する、と」
ガチャン……
魔女「魔導力学と錬金工学と生体工学、それからスパイスに燃え盛る憎悪を一人前。
   これでとりあえず試作機完成だ。僕ってばやっぱり天才?」
勇者『……ァ……ガ……ガガ……』ギギギギ…
魔女「お? 神経接続が悪いみてぇーだな。ん? このへんか?
   どっこらしょいッ」ガキンッ
勇者『うぉああああアアああああァアああああああッ!!
   はぁッ、はぁッ、はぁッ……』ギギッ
魔女「おはよう、新生・魔装勇者。
   最強に格好良くて最悪に醜いな。
   つまりアレだ。最高だ」
勇者『これは……』ギッギッ
魔女「魔導装甲に直接人間を接続して駆動させるってやつよ。
   どっかの国の魔導師がほったらかしにしてた研究資料を拝借して来て、
   僕なりに改良した100万馬力のすげー代物だ。ありがたく思えよな」
勇者『……あぁ』

124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 19:29:50.75 ID:v7LwU1XzO
魔女「で、早速だが起動実験だ。適当に飛ばすから適当に行ってこい。
   その間に他のパーティーも一式揃えといてやんよ」ガチャン
勇者『うぉッーーーーー』バシュゥッ
魔女「論理上、僕以外の魔導師になら400年先のやつまで楽勝出来ることになってっから。
   実証よろしく」ヒラヒラ
……ガチャン、
魔女「もうちょい待ってろよー魔王。
   すぐぶち殺しに行くからなー」

126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 19:40:07.00 ID:v7LwU1XzO
魔王「……なんか寒気がしたが、気にしないことにしよう」
侍女「風邪などお召しになられては大変でございます。
   どうか無理はなさらぬように御自愛くださいませ」
魔王「魔王も風邪引くのかねぇ。
   まぁともかく、こっちの準備は完了だな。
   後はあの超魔女っ子プリンセス次第だが……」
侍女「そろそろ、実戦訓練に移っても良いころかと」
魔王「だよな。
   まぁあのぶっ飛びキチガイ魔女レベルの魔導師でもなけりゃ、
   傷一つ付かないとは思うが」
侍女「とは言え、いずれ決戦の時が来ます。
   万全を期すべきかと存じ上げます」
魔王「うむ。
   とりあえずお前に任せるわ」
侍女「かしこまりました。しかるべく」ペコリ