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勇者「魔王は一体どこにいる?」
Part49



703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/15(月) 22:40:29.46 ID:PJgofNQi0
---エルフの森---
フワフワ ドッスン
魔女「もう囲まれておるから武器は持たぬ様にな・・わらわが先に出る」ノソ
商人「頼むよ・・穏便にいきたいよ」
魔女「わらわはエルフの長老に会いに来た・・弓を下げてもらえんか?」
??「・・・」
魔女「先にエルフのオーブを持った騎士達も来ておろう?」
??「・・・」ヒソヒソ
魔女「わらわ達は武器を置いておる・・敵では無い」
??「・・・」ヒソヒソ
魔女「ここに勇者も連れて来ておる・・エルフの長老の所まで案内してもらえぬか?」
エルフ「我らは人間達と戦争中だ・・人間の扱いは掟通り縄を掛けさせてもらう」
魔女「それで構わぬ・・自ら目隠しをして待てば良いか?」
エルフ「下手に動くと射抜かれるのを忘れるな」
魔女「では目隠しをするまで見ておれ」
ゴソ ゴソ ゴソ ゴソ
魔女「4人とも目隠しが済んだぞよ?・・どうすれば良いのじゃ?」
エルフ「縄を掛けさせてもらう!おとなしく待て」
グイ グイ ギュー
エルフ「つまづかない様に付いて来い」

704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/15(月) 23:30:23.08 ID:PJgofNQi0
---長老の家---
トントン
エルフ「長老に会いに来た人間を連れて来ました」
長老「ほう・・名は聞いたか?」
エルフ「いえ・・まだ聞いて居りません」
魔女「わらわじゃ・・」
長老「やはり魔女であったか・・入れてやれ」
エルフ「はい」
カチャ パタン
エルフ「縄をほどいて良いのでしょうか?」
長老「解いてやってくれ」
エルフ「はい」スル スル スル
長老「魔女や・・わしの所に来たという事はアヤツを探し出したのだな?」
魔女「やっと・・愛しき人にめぐり会うた」
長老「どうだ?どのような気持ちだ?」
魔女「わらわはもう満足じゃ・・他に何も要らぬ」
長老「それが人間の愛の結末・・なんと儚い」
魔女「そうじゃ・・わらわ達より先にエルフのオーブを持つ騎士達は来ておらんのか?」
長老「来ておるが・・今は変わり果てたエルフの娘を癒しに精霊樹まで行っておる」
魔女「精霊樹・・長老が遥か昔にわらわを連れて行った場所じゃな?」
長老「覚えておったか・・エルフの母なる樹」
魔女「帰りを待って居った方が良いかのう?」
長老「精霊樹は本来人間が行くべき場所ではないが・・魔女だけは許そう」
魔女「わらわ一人で行っても良いか?」
長老「これ・・エルフ・・魔女を精霊樹まで案内せい」
エルフ「はい」
長老「魔女の仲間達はここで待つようにな?他の者に示しが付かんので理解してくれ」
商人「はい」

705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/15(月) 23:31:18.25 ID:PJgofNQi0
---
カチャリ パタン
僧侶「やほ〜魔女と交代してきたよ〜ウフフ」
騎士「皆来たんだね」
商人「心配したけど・・無事にエルフの娘を返せたんだね」
騎士「ここに居ればエルフの娘もまた生まれ変わる事が出来るらしい」
商人「エルフは死んでも新たにもう一度生まれるって言うけど・・」
騎士「心が有れば又生まれるんだ・・100年先か200年先か分からないけど」
僧侶「精霊樹にしばらく癒してもらうと良いかな〜」
商人「・・・ところで」
騎士「??」
商人「僧侶にお願いがある」
僧侶「え?わたし?なになに?」
商人「君は銀のロザリオを持ってたよね?」
僧侶「うん!あるよ〜」
商人「それを長老に渡して回復魔法を掛けてあげて欲しいんだ」
僧侶「え?どうしたの?怪我したの?」
商人「良いから・・長老に回復魔法してね」
僧侶「は〜い」トコトコトコ
僧侶「ねぇねぇエルフの長老様〜〜!!」
---やっぱり間違いない---
---長老は勇者と目も合わせようとしない---
---勇者の事をアヤツとも表現してる---
---
僧侶「ねぇねぇエルフの長老様〜〜わたしが癒してあげる〜ウフフ」
長老「何をするつもりだ?」
僧侶「これ持ってぇ〜・・・わたしの銀のロザリオ〜」
長老「ほう・・良い物を持って居るな」さわさわ
僧侶「わたしが回復魔法をしてあげる〜」
長老「回復魔法?・・わしは目こそ見えんが体に悪いところは・・」
僧侶「目が良くなるカモ〜ウフフ〜なんてね〜」
長老「では回復してもらうよ」
僧侶「いくよ〜〜〜回復魔法!」ボワー
長老「・・・・・」
僧侶「おしま〜い!!どう?わたしの癒し〜」

709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/16(火) 07:10:33.17 ID:tGBFKb9lo
僧侶なんか軽いなww
おつ( ・ε・)

710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 20:23:38.59 ID:H5kYB7hY0
---
長老「何か・・・いや気のせいか・・・」
商人「気のせいでは無いよ」
長老「何かしたのか?」
商人「長老を救ったのさ」
長老「救った?」
商人「これから起こすかもしれない罪から救った」
長老「何の事だ?」
商人「長老は魔女が持つ祈りの指輪の事を考えてなかったかな?」
長老「なぜそのような質問をする」
商人「僧侶は心の闇を祓う力を持っているんだ」
長老「心の闇・・」
商人「勇者に祈りの指輪を使って200歳分の命を吸おうと考えてなかったかな?」
長老「・・・・・」
商人「そうすればあなたは若返り・・魔女と余生を過ごせる」
僧侶「!!商人?突然何を言い出すの〜?長老は悪いエルフじゃないよ〜?」
商人「200年の時を越えたエルフと人間の愛の歌」
僧侶「え?え?え?・・どういう事?・・あの歌の事?」
商人「ここで勇者を200年前に送ってしまえばもう・・魔女は勇者を諦めるしかない」

711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 20:24:16.28 ID:H5kYB7hY0
---
長老「人間にここまで心を見破られているとは・・」
商人「長老はずっと魔女を愛し続けていたんだね」
長老「そうだ・・200年前・・突如に勇者が現れ魔女の心を奪った」
商人「でもエルフの長老・・魔女はこの話をしても長老の事を最後まで信じていたよ」
長老「・・・」
商人「信頼出来る友だって・・最後まで祈りの指輪を僕に預ける事はしなかった」
長老「魔女・・」
商人「200以上生きる魔女にとって長老は唯一心を許せる人だったって事だね」
長老「わしはなんと愚かな考えをしておったのか・・」
商人「その魔女から大切な物を奪ってしまう罪から救ったのさ」
長老「愛を知るのはわしの方だったか・・」
騎士「『人間は愛を知る定め』・・この意味は?」
長老「人間はすでに愛を知っておった様だ・・わしはそれを疑っておった」
商人「こういう猜疑心を生むのも魔王の掛けた呪いのせいだと思ってる」
長老「魔王の呪い・・」
商人「心配しなくてももう魔王が汚した命の泉の呪いは解いたよ」
長老「魔王が掛けた呪いは命の泉だけではない・・死ぬ間際にも呪いを掛けておる」
商人「え!?」
長老「夢幻の呪い・・わしらはすでに200年夢を見続けておる」
騎士「やっぱりこの世界は幻?」
長老「現実と夢の狭間・・せめて夢の世界でだけでも魔女と結ばれるのがわしの夢だった」
商人「ちょ、ちょっとまって・・話が違うじゃないか・・今の僕達は幻なのかい?」
長老「幻であり現実でもあり・・それが夢幻」
商人「夢幻の世界から逃れる方法は!?」
長老「無い・・」
商人「・・・そんな」
長老「だが200年前は確かに現実・・祈りの指輪を使えば1人だけ現実に戻ることはできよう」
商人「・・もし勇者以外の人の命を200年分吸ったら?」
長老「魔王は蘇り・・再び世界は闇に閉ざされるであろう」
商人「長老はそれを知って勇者を200年前に送るつもりだった・・」
長老「いかにも・・」
商人「フフフ・・ハハハハハハハハ」

712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 20:25:06.80 ID:H5kYB7hY0
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商人「悪いけどそうはさせないよ・・その流れは僕達が変える」
長老「魔王が蘇る事となるが・・それでも良いのか?」
商人「長老以外に祈りの指輪で勇者を200年前に送れる人を僕は知ってる」
長老「わしより年をとっている者は居らんはずだが?」
商人「フフかつての竜王・・ドラゴンは1000歳を超えている」
長老「ドラゴンは人間の言う事は聞かん」
商人「それはどうかな?勇者が死ねば再びドラゴンは魔王の下僕となる・・ガマンできるかな?」
長老「お主は勇者を殺すと申すか?」
商人「ハハハ勇者じゃなくても良い・・長老を殺すことだって出来る・・同じ事だろう?」
僧侶「商人!?本気なの〜?」
商人「僕は本気さ」
長老「・・・さすがは魔女が認めた者達と言った所か・・・人間は不遇な時こそ気高くなるのぅ」
---
商人「騎士・・君は辺境の村周辺で人間は最後まで戦うと言ったね?」
騎士「そうだね・・その後病気で滅びる記憶を思い出した・・」
・・つまり今までのループでは君は200年前に戻る人ではない
僕が思うに・・本当に200年前に戻る必要がある人は・・魔王を倒す勇者と
呪いを解くことが出来る僧侶・・そして僧侶を守る騎士の3人だよ
僕が知る限り浄化の能力を持ってる人は僧侶以外に知らない
もしかしたら魔王によって夢幻の世界に封印された精霊の生まれ変わりかもしれないとも思ってる
僧侶だけは夢を見ないとも言ってたしね
なにより・・命の源の魔槍を抜き・・呪いを解いたのも騎士と僧侶だ
商人「ドラゴンなら4人同時に200年分の命を吸える筈」
騎士「4人?」
商人「ハハ君達だけだと魔女がヘソを曲げちゃうだろ?そこは抜かりない」
勇者「・・・・」
商人「これで今までの流れを断ち切れる・・そして呪いも解かれ世界は救われる」

713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 20:25:50.95 ID:H5kYB7hY0
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僧侶「うふふのふ〜わたしって凄い〜?わたしのどこら辺が精霊かなぁ?」
騎士「僧侶の回復魔法は本当に凄いと思うよ」
僧侶「ねぇねぇ〜もっと言って〜♪ルン」
騎士「・・でも勇者は精霊の声が聞こえるって言ってたよね」
僧侶「わたしの声だったりして〜」
騎士「勇者?・・今は精霊の声は聞こえるのかな?」
勇者「・・・魔王を探せと・・・声というか・・心の中に響くというか・・」
騎士「その他には?」
勇者「呪いを解け・・」
商人「ん〜具体的じゃないんだね・・」
騎士「勇者が勇者である事をどういう風に自覚したんだろう」
勇者「あなた達に会って僕の呪いを解かれた時に心の中で自分が勇者であると響いた・・きっとこれも精霊の声」
商人「既視感みたいな物なのかな?」
勇者「わからない」
騎士「既視感・・か・・僕が思い出した記憶も既視感みたいな物だ」
商人「これが夢幻の世界と言われる所存かもね」

714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 20:26:43.62 ID:H5kYB7hY0
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僧侶「あ!!魔女〜おかえり〜」
魔女「もどったぞよ・・」
僧侶「エルフの娘は一人にして平気?」
魔女「精霊樹に抱かれ眠っておる・・エルフは寝る事は無いんじゃが・・傷が深いのじゃろう」
僧侶「ねぇねぇ・・この後の事決まったよ〜」
魔女「どうするのじゃ?」
商人「ドラゴンに願い事さ」
魔女「さて・・何を願うのか?」
長老「魔女・・こっちへ来い・・勇者も一緒で構わん」
魔女「なんぞ?」ノソ ノソ
長老「魔女・・わしは目が覚めた・・そなたには礼を言わねばならん」
魔女「何を言うておる」
長老「勇者・・魔女を頼む」
勇者「エルフの長老・・」
長老「わしらはもう会えぬ・・だがわしの事は忘れんでくれ・・それだけで良い」
魔女「どうしたんじゃ?長老らしく無いではないか?」
商人「魔女・・こういう事だよ・・騎士と僧侶、勇者と魔女の4人で200年前に戻る・・」
魔女「詳しく話せ」
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商人「・・・もう僕達や長老とは一生会えなくなる・・・そういう事だ」
魔女「複雑な思いじゃが・・いよいよ行くのじゃな?」
商人「そうなるね」
長老「魔女・・もう一度あの歌を聞かせておくれ」
魔女「♪ラ--ララ--♪ラー」

715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 22:16:05.45 ID:H5kYB7hY0
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魔女「ドラゴンは時期にエルフの村まで飛んでくるそうじゃ」
僧侶「長老がドラゴンさんを呼んでくれたの〜?」
魔女「子ドラゴンに呼びに行かせたそうじゃ」
僧侶「長老は落ち込んで無かった〜?」
魔女「落ち込んではおらぬ・・しきりに勇者の世話を焼いておったが要らぬおせっかいじゃ・・」
僧侶「ウフフ〜本当に長老は魔女のこと愛していたんだね〜」
魔女「じゃがもう会えんとなると少し寂しいのぅ」
僧侶「・・もう会えないかぁ・・盗賊、女盗賊、囚人、海賊王、隊長、女海賊、皆と会えなくなるのはなぁ・・」
魔女「忘れないという事も愛の一つなんじゃのぅ」
僧侶「なんか涙が出てくる〜」ウルル
---数日後---
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
商人「僧侶・・すごい人気だね」
薬剤師「あたしのスライムも人気よ」
商人「そっちは毒の治療か・・」
長老「浄化の回復魔法の話をしたらエルフの志願者が沢山来る様になっての・・」
商人「へぇ〜エルフが好むのは浄化作用のある銀と・・・まてよ・・・浄化を本能的に求めてるのかな?」
長老「エルフは高潔さや純潔を尊厳しておる」
商人「・・なるほど・・エルフも何かしら汚れている事を自負してる訳か」
長老「そこは人間よりも敏感だ」
商人「人間もそういう感受性があればもっと早く呪いが解けるだろうに・・」
ギャオース 
僧侶「あ!!ドラゴンさんの声だ!!」
商人「来たな・・行こう!!」

716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/04/18(木) 22:16:45.59 ID:H5kYB7hY0
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商人「待っていたよ・・ドラゴン」
ドラゴン”我を召喚するのは汝か?”
商人「取引したいんだ・・」
ドラゴン”我らは人間と取引はせぬ”
商人「祈りの指輪の事だ」
ドラゴン”破壊せよ”
商人「この指輪で僕達4人の命を200年分吸って欲しい」
ドラゴン”出来ぬ”
商人「勇者が200年前に戻らないと・・魔王は復活する・・それでも良いのか?」
ドラゴン”・・・勇者が居るのか?”
勇者「・・僕が勇者だ」
ドラゴン”・・見覚えがある・・こんな所に居たか”
商人「勇者と騎士、僧侶、魔女の4人を200年前に送りたい」
ドラゴン”過去に戻るのは勇者だけでよかろう”
商人「それじゃダメなんだ・・夢幻の呪いを解けない」
ドラゴン”夢幻の呪いを解く術はあるのか?”
商人「命の源の魔槍を抜いたのは騎士と僧侶だよ」
ドラゴン”・・・そうか・・・魔王の呪いを解く術が揃っていると言うのだな?」
商人「4人の命を吸って800年分若返る・・悪い話じゃないと思う」
ドラゴン”我が竜王として力を取り戻す事になるが・・良いのだな?」
商人「フフフ・・良いさ・・ドラゴンはもう僧侶の浄化を受けている筈!」
ドラゴン”よかろう・・汝らの力で魔王の呪いを解いて見せよ”
商人「200年前に戻して欲しい場所は・・」
魔女「わらわの塔の近く・・追憶の森が良い・・そこなら安全じゃ」
商人「・・という事らしい」