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勇者「魔王は一体どこにいる?」
Part32



431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/29(金) 23:07:10.70 ID:oPY1sYd50
盗賊「あ!!そういえば大事な話を忘れてた・・」
商人「なんだい?」
盗賊「腕の良い薬剤師の噂を聞いた・・漁師村に居るらしい」
商人「薬剤師が何の関係が?」
盗賊「お前の心臓に効く薬が作れるかもしれん・・難病を治したとかいう話だ」
商人「僕は大丈夫だよ」
盗賊「もう立つ事もままならないんじゃないのか?」
商人「・・・」
盗賊「高速船を使えば7日〜10日で行ける・・・一度行って見よう」
僧侶「賛成〜商人は少しお休みが必要」
囚人「・・・あの気球を使えばもう少し早く行けるのではないか?」
盗賊「あの気球って何だ?」
商人「砂漠の砂嵐でも飛べる気球を作ったんだ・・テスト飛行で行ってみようか」
盗賊「お〜そりゃすげぇ」
商人「囚人!明日から闇商人の代わりをやってもらえるかな?」
囚人「構わん・・」
盗賊「囚人でもやれるのか?」
商人「ハハハ盗賊より良い仕事をするよ・・今はみんな囚人の事を闇商人だと思ってるよ」
盗賊「良い影武者が出来たな」

433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 00:39:51.11 ID:NA2ng6bg0
---翌日---
商人「・・・じゃぁ囚人!作戦通りよろしく」
囚人「わかっている・・早く行け」
盗賊「この気球・・球皮がえらく小さくて細長い・・飛べるのか?」
商人「これは熱だけで浮くんじゃないんだ船の帆の原理と同じで飛ぶんだよ」
盗賊「言ってる意味が分からん」
商人「進む時の風の力を帆で受けて浮く方向に力を作用させるんだ」
盗賊「操作方法は?」
商人「前の気球とそんなに変わらないよ・・帆の操作も帆船と変わらない」
僧侶「ごーごーしゅっぱ〜つ!!」
盗賊「い、いくぞ?」
ゴゴゴゴゴゴゴ フワ フワ
商人「それで風の魔石のバルブを開けてみて」
盗賊「お、おう!」グイ プシュー
商人「後は帆の操作だけでどんどん高度が上がるよ」
盗賊「わかった・・じゃぁ出航する!!」

434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 00:40:24.89 ID:NA2ng6bg0
---飛行船---
ヒョーーーーウ バサバサ
盗賊「こりゃすげぇ!!めちゃくちゃ早えぇ!!」
商人「今までの気球は大きな球皮が進む速さを殺していたんだよ」
盗賊「なるほど・・高度上げれば上げるほど速度が出るな・・縦帆もあるから風上にも進める訳か」
商人「この技術は機械の国の気球を参考にしたんだ」
盗賊「空中で止まれるか?」
商人「それは出来ない・・すこしづつ高度が下がる」
盗賊「ふむ・・大体出来る事がわかった」
商人「後は慣れだね・・少し・・横になる」
盗賊「おい!大丈夫か?空気が薄いか?」
商人「平気さ・・横になれば多分良い」

435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 00:40:52.23 ID:NA2ng6bg0
---
商人「・・・何も言わず去ったらしい」
盗賊「そうか・・本物の勇者も行方不明か」
商人「でも女海賊が仲間になった・・あの子は勝機を見る才能がある」
僧侶「魔王城に行った時も罠だと察知していの一番で本物の勇者と一緒に逃げたんだって〜」
盗賊「魔女が言ってた事と合致するな・・女海賊は本物の勇者だと知っているのか?」
商人「本人は気づいていない・・けど勘で察知してるかもね」

437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:08:27.03 ID:NA2ng6bg0
---翌日---
ヒョーーーーウ バサバサ
盗賊「何をそんなに熱心に勉強しているんだ?」
商人「古文書の解読さ・・過去の伝説ばかりだよ」
盗賊「伝説に興味があるとはお前らしくないな」
商人「なかなかに馬鹿にできないよ」
盗賊「どんな事が書いてある?」
商人「魔王が倒されたそのずっと昔の話さ」
第1の時代
エルフが世界を支配していた
エルフは祈りの指輪を用いその時代を築け上げた
しかしその祈りの指輪を封印しようとする者が現れた・・・後に魔王と呼ばれる
第2の時代
魔王はエルフから指輪を取り上げ指輪の乱用を禁止した
ところが魔王が持つ祈りの指輪を人間が盗み
人間は祈りの指輪の製法を復活させ時代を支配しようとした・・ここまでは割りと平和な時代
第3の時代
魔王は怒り狂ったが祈りの指輪を持つ人間に対して苦戦していた
魔王は人間は水が無いと生きていけない性質を逆手に取り
命の泉から湧き出る水を汚染する事で人間達は徐々に弱体していった
その後人間は滅ぶ寸前まで行ったが
突如、勇者を名乗る者が現れ魔王は倒された・・・これが200年前

438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:08:54.89 ID:NA2ng6bg0
盗賊「祈りの指輪を巡る争いだな」
商人「最後に走り書きで水が汚染されてる以上必ず人間は滅びるとある」
盗賊「続きは無いのか?」
商人「魔王が倒されて以降の記述が無い・・僕はこの古文書は魔王本人が書いた物だと見てる」
盗賊「なるほど・・・全部解読出来そうか?」
商人「まだ半分だよ」
盗賊「そうか・・解読も大変だな」

439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:09:23.18 ID:NA2ng6bg0
---3日後---
盗賊「漁師村が見えて来たぞ!」
僧侶「すご〜く早かったね〜ウフフ」
盗賊「これだけ早いと旅がラクだ」
商人「陸に降りる場合は広い場所に下りて」
盗賊「大丈夫だ!!空中で静止するように帆をそうさすれば良いんだろ?」
商人「ハハさすが飲み込みが早い」
盗賊「降りるぞ!!」
フワフワ ドッスン

440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:10:11.16 ID:NA2ng6bg0
---漁師村---
盗賊「・・・ようよう・・なんだか寂しい村だな・・本当に薬剤師居るのか?」
僧侶「わたし先に行って聞いてくるね〜」
盗賊「おう!俺は商人背負って後から行く」
僧侶「迷子になったら宿屋でね〜」ノシノシ
盗賊「俺達は先に宿屋に入る」
僧侶「オッケ〜♪ウフフ」
盗賊「さぁ・・商人俺の背中に乗れ」よっこら
---
僧侶「ねぇねぇ〜すみませ〜ん・・薬剤師さんを探しているのですが・・」
村人「あんた何処から来なすった?悪いことは言わん・・早く村を立ち去れ」
僧侶「え〜困ったなぁ・・何かあったんですか〜?」
村人「1年程前にな・・疫病が流行って村人はみんな亡くなってしもうた・・」
僧侶「薬剤師さんはどうしてるのかなぁ?」
村人「村はずれで薬の研究をしておる・・魔物を捕らえてな・・」
僧侶「え!?魔物を??」
村人「なんでも疫病は魔物から移るという話だ・・近づかん方が良いぞ」
僧侶「た、大変・・・商人が病気になっちゃう」

441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:10:40.64 ID:NA2ng6bg0
---宿屋---
ガチャリ バタン
盗賊「おう!僧侶・・早かったじゃねぇか」
僧侶「あのね〜疫病が流行ってるからね〜精霊の加護の祈りをしておいた方が良いと思うんだ〜」
盗賊「疫病?」
僧侶「商人と盗賊が病気になるといけないから・・」
商人「ハハハ君は割りと賢いね・・そうしよう」
盗賊「じゃぁ商人を背負って一緒に行動するか」
僧侶「うん・・そうした方が良いと思う〜」
盗賊「付いたばかりで悪いが・・商人!背中に乗れ」ヨッコラ
僧侶「わたしはお祈りしておくね〜」

442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:11:13.67 ID:NA2ng6bg0
---薬剤師の家---
『立ち入り禁止』
盗賊「・・・ここだな・・・立ち入り禁止となってるが」
商人「言ってみよう・・」
プギャー
盗賊「うお!!何だ?」
薬剤師「誰か来たの!!?・・・あ!!・・・ここは立ち入り禁止です!」
盗賊「立ち入り禁止って・・お前も立ち入ってるだろう」
薬剤師「あたしは・・病気に掛からないから・・」
盗賊「まぁよく分からんが・・・腕の良い薬剤師を訪ねに来た・・お前か?」
薬剤師「腕が良いかは分かりませんが・・一応薬剤師です」
盗賊「この商人は心臓に病気を持ってる・・良い薬を作ってもらいたい」
薬剤師「え!?あの・・困ります」
盗賊「作れないのか?」
薬剤師「今あたしは他の病気の薬を研究してる所でして・・」
盗賊「頼む!・・見てやってくれ・・もう死にそうなんだ」
薬剤師「・・・少し顔を・・・!!これは・・・」
盗賊「何だ?」
薬剤師「あの・・ここは魔物の病気が移るかもしれないので・・」
盗賊「宿屋なら良いか?待ってる」
薬剤師「・・・・・はい・・後で行きます」
盗賊「すまねぇ恩に着る」

443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:11:58.50 ID:NA2ng6bg0
---宿屋---
コンコン
薬剤師「あたしです」
盗賊「おぉ!待ってた・・入ってくれ」
薬剤師「失礼します・・」ガチャリ
僧侶「来てくれてありがと〜うウフフ」
薬剤師「ベットで横になっている方ですね・・すこし見せてください」
商人「あぁ・・ありがとう」
---
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薬剤師「・・・大分心臓に負担が掛かっています・・・この病気は治す事ができません」
商人「ハハそれは承知さ」
盗賊「数年の命と言われてもう数年経っているんだ」
薬剤師「症状を和らげる薬なら作る事ができます」
商人「それで良いよ・・僕は今死にたくない」
薬剤師「その保障は出来ません」
商人「問題ないよ」
薬剤師「ただ・・副作用がキツイです」
商人「どんな副作用なんだい?」
薬剤師「血液をサラサラにする薬ですが・・出血した時に止まり難くなります」
商人「出血しなければ良いんでしょ?」
薬剤師「体の中の出血は分からないので今よりも貧血気味になるのは間違いないです」
盗賊「じゃぁ増血剤も一緒に・・」
薬剤師「それだと血をサラサラにして心臓の負担を下げる意味が無くなります」
盗賊「・・・」
商人「数年の命はどのくらい伸びそうかな?」
薬剤師「数年と数ヶ月です・・・数年と言っても1年の人も居れば10年の人も・・」
商人「ハハハ気休めでも楽になるなら良いよ」
薬剤師「分かりました・・明日持ってきますので安静にして待ってて下さい」
商人「ありがとう」

444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:12:32.21 ID:NA2ng6bg0
---翌日---
薬剤師「持ってきました・・1週間です」
盗賊「なぬ!!?1週間分しか無いのか?」
薬剤師「この薬はすぐに痛んでしまうので1週間分しか出せません」
盗賊「・・・まいったな」
商人「まぁ良いよ・・飲ませておくれ」ゴクリ
薬剤師「30分程で効き目が出てきます」
盗賊「なぁ・・薬剤師・・俺達に付いて来てくれないか?」
僧侶「そうだね〜その方が商人も安心〜」
薬剤師「いえ・・・あの・・・わたしは疫病の薬を研究してるんです」
商人「・・その疫病の話を少し聞かせてくれないかな?」
薬剤師「構いませんが何かの役にでも立つのでしょうか?」
商人「辺境の村という所でも魔物を媒体とした疫病が流行ったらしいんだ・・そうだろ盗賊?」
盗賊「俺は見てないが・・そうらしい」
薬剤師「・・ではお話します」
カクカクシカジカ
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445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:13:07.81 ID:NA2ng6bg0
商人「ちょちょっと待って!!君が言う火傷を負った人は勇者の証を持っていたんだね?」
薬剤師「はい・・間違いありません・・始まりの国の港町まで看護をしました」
商人「これは・・とんだ所から情報が入ってきたね」
薬剤師「え!?」
盗賊「騎士に間違いないな」
商人「それでその火傷を負った人から血清を作って疫病を治したんだね?」
薬剤師「はい・・でも量が少なくて」
盗賊「ドラゴンの耐性だ・・・毒の耐性が出来る」
薬剤師「え?え?ドラゴンの涙を服用していたのですか!!?」
商人「多分そうだよ」
薬剤師「・・・それでつじつまが合う・・・免疫だけ血清に出来たんだ・・」ブツブツ
盗賊「これで決まったな・・俺達はその火傷を負った人を探しているんだ」
僧侶「わたしの婚約者なの・・」グスリ
商人「薬剤師さん・・君と僕達の目的が一致してる・・付いてきて欲しい」
薬剤師「・・でも家に捕まえてる魔物を・・」
盗賊「それは俺が後で処分してやる」
薬剤師「魔物の体液が付着すると病気に掛かります」
商人「それは大丈夫さ・・ねぇ僧侶」
僧侶「グスン・・」コクリ

446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 19:13:47.64 ID:NA2ng6bg0
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商人「じゃぁ旅の準備をしてきて・・薬を作る道具も全部飛行船に乗せて」
薬剤師「はい・・一つお願いが・・無害な魔物を一匹連れて行って良いでしょうか?」
商人「無害なら問題ないよ・・あ!あとあんまり大きいのは無理かな」
薬剤師「いえ・・大きさは手のひらに乗ります・・スライムと言うんです」
商人「スライム?・・古代の魔物だね・・僕も見て見たいな」
薬剤師「良かった・・魔物は知能が無い訳じゃなく教えられてないだけなんです」
商人「へぇ・・」
薬剤師「教えてあげれば良い子に育ちます」
商人「君はどうやら僕達の良い仲間になれそうだ・・スライム王国でも作ろう」
薬剤師「えへへ」

447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 21:13:33.82 ID:NA2ng6bg0
---飛行船---
盗賊「じゃぁ出発するぞー!!」
薬剤師「すごい!!こんな乗り物初めて」
商人「僕が造ったんだ・・ここでバーベキューだって出来るんだ」
僧侶「なんか商人元気でてきたね〜ウフフ」
商人「うん・・元気になったらお腹が空いてきた」
盗賊「おぉ!!じゃぁ今日は飛行船でバーベキューだ・・保存肉しかないが・・」
僧侶「水で戻せば〜?」
商人「ハハハ良いね・・そういえばスライムは何を食べるのかな?」
薬剤師「この子は毒を食べて体に蓄えるんです」
盗賊「ほー毒を・・」
薬剤師「体内で毒の免疫を作るのでそれを利用できないか研究していました」
商人「すごいね」
薬剤師「でも血液が無いので人間に効果のある血清は作れないんです」
僧侶「良くわかんな〜い・・わたしバカかなぁ?」
盗賊「・・・・・」
商人「ま、まぁバーベキューしよう」

448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/30(土) 21:14:03.95 ID:NA2ng6bg0
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ジュージュー
僧侶「頂きま〜パク」モグモグ
商人「まぁまぁ美味しいね」モグモグ
盗賊「薬剤師!何やってるんだ?」モグモグ
薬剤師「スライムに毒をあげてます・・このお肉にも微妙に毒が入ってます」
盗賊「肉にも毒が?」
薬剤師「どんな食べ物にも少しだけ毒が入っててスライムはその毒だけ食べます」
盗賊「・・・その肉はそのあとどうするんだ?」
薬剤師「あたしが食べる・・」
盗賊「おぇ・・・」
商人「ハハハ良いじゃないかハハハ毒の一切入ってない肉だよ」
僧侶「ねぇ〜私も食べて見たいなぁ・・どんな味がするんだろ〜」
薬剤師「味は・・無くなります」
盗賊「味が毒って事か」
商人「なるほど・・そうかもしれないね」