Part3
87 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 00:53:21.05 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「おなかがいっぱいになった!」
男「おう」
式子内親王「いっぱい!」
男「おう」
式子内親王「他に何かいうことはないのっ?」
男「お前の腹だろうが」
式子内親王「むぅ」もそもそ
男「いい加減布団かぶるのやめたら?」
式子内親王「やだ」
男「さいですか」
式子内親王「……」
男「……」
式子内親王「暇ねー」
男「そうなん? 携帯小説とかは?」
式子内親王「おなかいっぱいでそういう気分じゃない」
男「そっか」
式子内親王「貴方、ちょっと座りなさい」
89 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 00:54:48.13 ID:
1IBD/bxU0
ただいまー。いやいやいや。
眠いけど残ってるから!
がんばってみるぞー。
90 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:03:42.18 ID:
1IBD/bxU0
男「へいへい、なんですか」
式子内親王「頭をこっちに。髪の毛を梳きます」
男「なんで?」
式子内親王「梳きたいから」
男「……」
式子内親王「文句ある?」
男「えー」
式子内親王「わたし皇族なのよっ!」
男「へいへい」
式子内親王「む。頭の位置が低いわよっ」
男「そうか? こうか?」
式子内親王「今度は高すぎよっ」
男「ぐぐ、なんかすげぇ不自然な姿勢だな。
なんか腰の角度が……っパなくキツイんすけど」
式子内親王「惰弱な意見ね。普段の修練のほどが知れるわ」
男「屈辱ポーズの練習なんかしてねぇよ」
式子内親王「むー。だらしないわね。ここに来なさいっ」
ぎゅむっ
男「……」
91 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:05:29.76 ID:8fwD1fzl0
かわゆいのうwwwかわゆいのうww
92 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:08:42.75 ID:
1IBD/bxU0
しゅるん、しゅるん♪
式子内親王「ふんふん♪」
男「……」
式子内親王「おお。しゅるん♪」
男「えっと。なんだ。楽しそうな」
式子内親王「黙りなさい平民。あなた、これはかなり
光栄なことなのよ。感謝のあまり失禁しないように
気をつけたほうが良いくらいよっ」
男「そうかなぁ」
しゅるん、しゅるん♪
式子内親王「髪を梳くなんて楽しいわ」
男「そうなんか」
式子内親王「指の間をするすると抜けていくの。
ひんやりして小川の小魚のよう」
男「そんなたいした髪じゃない」
式子内親王「歌人ってのは主観的な心理領域の住人なのよ」
93 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:13:00.06 ID:
1IBD/bxU0
男「なんか、くすぐってー」
式子内親王「我慢なさい」
しゅるん、しゅるん♪
式子内親王「ふんふん♪」
男「むー」
式子内親王「ん。出来た」
男「変な髪形になったりして無いだろうな?」
式子内親王「失礼ね。梳いただけよ」
男「そっか。何の意味があるんだ?」
式子内親王「意味?」
94 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:17:04.75 ID:
1IBD/bxU0
男「髪型変えるんじゃなければなんだ?
整えたのか? 洗髪的な発想か?」
式子内親王「意味なんて無いわよ?」
男「そうなのか」
式子内親王「ただの遊びよ」
男「まぁ、いいけど」
式子内親王「?」
男「くすぐったかったけど、気持ちよかった。
髪の毛触られるのって悪くないなー」
式子内親王「うっ」
男「なんかお前が来て始めて癒された気がする」
式子内親王「わたし皇族なのよっ!
庶民としてもっと敬いの気持ちを持ちなさいっ」
95 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:22:02.31 ID:
1IBD/bxU0
神無月十二日
男の髪を梳いてしまった。
楽しかった。
困ったことにちょっと気持ちよかった。
96 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:26:03.82 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「……むーっ、Webも目が疲れたわね
おとこー、おとこー。麦茶のみたーい」
しーん
式子内親王「そだった。男は出仕……じゃなくて
バイトいってるんだった。自分で入れなきゃね」
いそいそ
式子内親王「んきゅっ。んきゅっ」
式子内親王「それにしても……。850年だもんねー。
そりゃ倭国も様がわりだわっ。全然さっぱり判らないし。
歴史とかもあり過ぎでよく判らない。
異国に負けるのはともかく西域じゃなくてそのもっと
向うと戦争するとはね〜」
97 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:30:12.69 ID:
1IBD/bxU0
くりっく、くりっく。
式子内親王「なんか色々変わっちゃってまぁ。
変わってないのは月と四季と山々くらいのものね。
――なんだ。じゃ問題ないじゃないね」
式子内親王「……」
式子内親王「いやいやぁ。乙女の身だしなみも基準も
大変更でつよ。もう偉いことでつよ」
式子内親王「だいたいねっ」
どんっ!
式子内親王「戦争に負けたからミニスカートが
流行るってのはどういう了見ですかね」
式子内親王「あんなはしたない衣装が流行って……。
っていうか、衣装じゃないよねっ。
むしろ衣装の欠如だよねっ!!」
式子内親王「む、わたしいま良いこといった? いった?」
98 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:34:15.64 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「とにかく、あんなのが流行るとは
我が神国日本も大没落ですよ!
別雷命のサンダガですよ。皇族として看過できない
重大な事態ですよっ。それになんですかっ。
おっぱいまで半分だしちゃってまぁ! 護国の危機ですよっ」
しーん
式子内親王「……」
式子内親王「やっぱ時代時代の服装ってのはあるわけだし
時代時代の美醜の感覚ってのもね……」
式子内親王「えーい! そういうとこまで負けてどうするのよっ
えいっえいっ。このえっちっちフォルダめっ!」
くりっく、くりっく。
式子内親王「こっちは国産4祈祷エンジンなのよっ。
祈りの力よ神風よっ。無駄な肉がないっ。
空力特性に優れたシンメトリカルデザインなのよっ。
高速巡航時の安定性に優れた貧乳よっ。
だいたい貧しいって文字がいけないわ。
清貧よ。いやむしろ積極的な入寂思想よっ。
エコロジーっ! それは地球に優しくわたしに優しくないッ。
ふーっ。ふーっ」
式子内親王「うわぁ。でかけたくないー。ひきこもってたいーっ」
99 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:39:10.54 ID:
1IBD/bxU0
神無月十四日の一
審判の日が来てしまった。
朝早く目が覚めたので男に内緒でお風呂の準備をする。
正直気が重くてしょうがないのです。
外になんか出かけたくない。
きっとわたしは過去人間として
未来人の中で笑いものになるのでしょう。
余りにも気が重くて腹が立ったので、
男の枕をそっと抜いてやった。首が痛くなると良いのに。
そんな悪戯はさておき、あれでもいまは家主です。
好意を持って外に連れ出してくれるというのだから
恥をかかせるわけにもいきません。
湯浴みを済ませなければ。
今日は布団をかぶっているわけにも行かないのです。
ああ! 雷とかふらないでしょうか!!
100 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:39:27.79 ID:8fwD1fzl0
式子内親王いとをかし
101 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:43:12.34 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「こ、こうかな?」
男「おう、いんじゃね?」
式子内親王「どっかおかしくない?」
男「平気だよ」
式子内親王「ちゃんと見なさいよっ」
男「見たってば。シャツもいい感じだし、いんじゃね?」
式子内親王「むぅむぅ」
男「なんだ? 布団がないと不安なのか?」
式子内親王「そんなことないわよっ。
わたしは皇族なんだからねっ! 臆病で惰弱な
態度とは無縁の世界の王者よ。ヘラクレスオオカブトよっ」
男「んじゃいくか」
式子内親王「ちょっと、まっ! あ、あのっ」
男「なんだよ」
式子内親王「顔を隠す扇がないよ……?」
男「未来ではそういうのは使わないんでーっス」
式子内親王「ううう。何で皇族たる私が下賎の
女のような恥辱をっ」
男「ほら。いくぞー」
103 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:47:49.70 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「街だ……」
男「お前、初めて空中から現れたときは
夜中だったもんな〜。昼間の街は初めてじゃね?」
式子内親王「うん」
男「緊張してるな」
式子内親王「う、うるさいっ。多少は仕方ないのっ」
男「まぁな」
式子内親王「な、なんか。目立ってない?
あたし、じろじろ見られてないっ!?」
男「あー」
式子内親王「や、やっぱり何か変かな!?
未来人のコスプレしてるのがばれたかなっ」
男「せめて変装って云えよ」
式子内親王「隠しきれない皇族のオーラが
高貴な波動となって私に注目の熱い視線を
注がせてるのかなっ」
男「あー」
式子内親王「ど、どうしよっか!? おうちに戻ろうかっ。
そ、そ、それとも戦りますかっ。おめおめと
虜囚の憂き目はみないんだからねっ」
104 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:52:09.06 ID:
1IBD/bxU0
男「おちつけ」ぽかっ
式子内親王「むうっ」
男「別にとって食われりゃしないよ」
式子内親王「判らないわよっ。850年もたてばっ」
男「つまりな。お前の髪の毛が長くてだな」
式子内親王「へ?」
男「この時代には、そんな腰まであるような
ロングのストレートの立派な黒髪ってのは少ないんだよ」
式子内親王「へ? あ。そういえば、見ないわね……」
男「だから見てるんだよ」
式子内親王「髪は女の命よ」
男「そうな」
式子内親王「いいの? 隠さなくて?」
男「別に、珍しいだけで悪い事してるわけじゃないんだよ。
それに……。あんまりその髪が綺麗ですごいから
みんな見とれてるだけだ」
式子内親王「……綺麗かな」
男「ああ、綺麗だぞ。ちょっと見ないくらいな」
式子内親王「そか……。ま、まぁねっ! わたし皇族だからねっ」
男「やれやれ」
105 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 01:56:35.05 ID:
1IBD/bxU0
男「とりあえずここだ」
式子内親王「ここは?」
男「あー。服を買うところだ」
式子内親王「ふむふむ」
男「ないしんのーの今着てる服は俺のなので」
式子内親王「そうよ?」
男「ここでもうちょっと女向きのに変える」
式子内親王「十二単とか?」
男「ねーよっ」
式子内親王「ううう。よく判らないから任せるわ」
男「俺だって男だから判らねぇよ」
式子内親王「……」
男「……」
式子内親王「じゃぁどうすんのよっ! 役立たずっ!」
男「とにかく入るぞっ」
店員「いらっしゃいませ〜」
式子内親王「う、うかがい、まし、ました」
男「そういうのは云わなくていいの」
106 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:02:19.71 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「(小声)じゃ、ど、どうすんのよっ」
男「(小声)任せろ」
式子内親王「(小声)う、うんっ」
店員「どうされましたー? お見立てしましょうかぁ?」
男「あー。うん」
式子内親王 びくびく
男「こいつ、帰国子女なんです。服がないから適当に見繕って
くれません? えーっと、予算は、これ、こんなもんで。
ものとしては上下一式に、下着は四セットくらいと、
シャツかワンピか二枚くらいで。
――で、いいよな?」
式子内親王 びくっ。こくこく。
店員「判りましたぁ。あの、日本語のほうは……」
男「あー。文法とか単語とか怪しいけど、大体はー」
式子内親王「(小声)何いってるのよ。あんた達のほうが
大和言葉が乱れきってるでしょっ!!」
男「(小声)だーっ。今はあわせておけよっ」
店員「判りました〜。あらあら、美人なお嬢様ですね!
こちらへどうぞー。採寸だけ先にしますね〜」
108 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:06:46.60 ID:
1IBD/bxU0
神無月十四日の二
正直かなりいっぱいいっぱいでした。
斎院になるための修行の日々がなければ
心を砕かれてしまっいましたよ。まったくもう。
あの店員のうるさいこと!
もちろんそういう女房(※1)はあの頃もいたわけだけど、
耳元でかしましいこと、この上ありません。
何度口の中に冬瓜を突っ込んでやろうかと思ったか!
結局、黒と白の服を選んでもらいました。
とにもかくにも露出の少ないものをという
希望を出した末にぐるぐる回り道をしての洗濯です。
この時代の服はどれも布地が少なすぎ軽量すぎます。
そしてなにより、肌の露出が多すぎます。
それはそれで時代の特徴だと思うので尊重しますが
皇族の私が慎みのないような装束を着るわけにもいかないのです。
男に奇異の目で見られなければ良いけど。
※女房:女性の使用人。和風宮廷メイド。
109 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:12:13.18 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「むぅ」
男「どうした」
式子内親王「疲れた」
男「そっか。……そこ、座るか」
式子内親王「うん」
男「なんか飲むか?」
式子内親王「いらない」
男「固くなるなよ。少しは慣れたか?」
式子内親王「少しはね」
男「服はどうだ?」
式子内親王「やっぱり十二単に比べると軽くて頼りないわね」
男「ふむ」
式子内親王「でも、この服は好きかな。だって脚も黒くて
露出が全然ないし! 軽くて頼りないのは一緒だけど
布地は多いしね。それになにより、歩きやすいわね。
それだけは認めなくっちゃ」
男「女も出歩く時代だからな」
110 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:16:17.56 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「おとこっ」
男「なに?」
式子内親王「えーっと。それで、どうなのよっ」
男「何が?」
式子内親王「この衣装よっ」
男「あー。うん、いい値段だったな」
式子内親王「えっと、ありがとね。
いつもお世話になって服まで買ってもらって
この服も気に入っていて嬉しいです。はい。
私もあなたに奉仕されて感謝しています
ってそういうことじゃなくてッ!」
男「ふむ?」
式子内親王「どっか変なところはない? ってことよ」
男「ないよ」
式子内親王「む、むぅ」
男「だいたい買ったばっかりで変だったら不良品だろ」
式子内親王「馬鹿じゃないっむーっ」ぽかっ
男「う、ううっ」
式子内親王「そうじゃなくっ」
男「うー?」
111 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:21:23.98 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「もういいわ。んで、次は何?」
男「いや。服も買ったし、昼飯食って、散歩したし。
海も見えたしな、遠くにだけど」
式子内親王「ええ。そうねっ。あれは綺麗だった♪」
男「海は見たことあるのか」
式子内親王「まぁね、沢山じゃないけど」
男「夜ご飯なんだけど、どうする? 何か希望があるか?
食べてみたいものとか。ネットばっかりやってるから
いろいろ知ってるんだろう?」
式子内親王「ホットドッグは中々美味だったわね」
男「そうかそうか」
式子内親王「でもやっぱりご飯が食べたくなっちゃうところが
日本民族なのよね。〆にはそれって云うか」
男「夜はご飯にするか?」
式子内親王「男のシチューライスがいい」
男「いいのか? なんか外食奢るぞ?」
式子内親王「ううん。それがいい」
男「そっか、んじゃ。帰るかっ」
式子内親王「うんっ!」
男「……あーっと。服さ。似合ってるぞ?」
112 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:27:07.95 ID:
1IBD/bxU0
神無月十四日の三
夜は家に帰ってシチューを食べました。
男の作るこの料理にはいわく云いがたい
摩訶不思議な成分が含まれていて恥ずかしながら
皇族のわたしとしてもその魅力には抗し難いのです。
本日のシチューには牡蠣が入っていました。
有明のですよ。
未来でも中々のご馳走なのだと、男が言っていました。
一緒に買い物に行ったので、梨もかってきたのです。
未来の食生活はワンダフルです。
びば! 未来!
びば! シチューライス! フォーエバー!
113 :
VIPがお送りします: [] 2008/10/10(金) 02:34:47.21 ID:
1IBD/bxU0
式子内親王「ごちそうさまっ!」
男「お粗末さまでした」
式子内親王「やっぱりシチューは神の食べ物ね」
男「そうかなぁ」
式子内親王「そうよそうよ。あなたもVipのみんなも
シチューに対する評価が低いと云わざるを得ないわね」
男「スレ立てたのかよ」
式子内親王「もう学習したのよ。美少女斎院はこの程度の
技術はあっというまに習得できるわけ」
男「なんかダメ人間化がすすんでるような」
式子内親王「いいのいいの。ああ、美味しかったぁ」
男「うわ。食ってすぐごろごろし始めたっ」
式子内親王「心地よいのよ」
男「っていうか、せっかく買ってやったのに
帰ったら速攻で脱いで布団装着かよ」
式子内親王「これが落ち着くんだもの」
男「なんだかなぁ」
式子内親王「暖かいし重いし隠れられるし最強よ」
男「こいつ変な皇族だ」