Part8
275 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:24:11.05 ID:
bYbY9aRN0
魔女「仕方ない」
末姫「?」
魔女「私は止めることは出来ない」
末姫「はう?」
魔女「神話執行はみな人の話を聞かない」
末姫「……」
魔女「――」
末姫「大丈夫ですよ!」
魔女「――」
末姫「私が歌いますっ!
大空のウメボシに〜パパが祈るとき♪
トンボとカエルが結婚(結婚!)した〜♪
だから『トンボガエリなのだ』♪」
魔女「この娘の場合、話を聞かない上に馬鹿かもしれない」
末姫「これでいいのだ〜♪ これでいいのだ〜♪
これでいいのだ〜♪ こ、れ、でいいのだ〜♪」にぱー
魔女「これでいいのか」
276 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:28:51.73 ID:
bYbY9aRN0
魔女「じゃぁ、本契約で脚をバージョンアップする」
末姫「はいです♪」
魔女「――」
末姫「……」
魔女「――」
末姫「……?」
魔女「もうした」
末姫「早いですっ!?」
魔女「人間脚mk2。時速4kmで歩行できる」
末姫「すごいですっ!!」
魔女「ハイキックをするとパンツが見える」
末姫「自慢できるわけですねっ!」
魔女「踏むと喜ぶ男もいる」
末姫「それはまだよく判りません」
魔女「努力すべき」
277 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:30:00.32 ID:dRCsfjf+0
それはわからなくてもいいです
278 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:34:18.13 ID:
bYbY9aRN0
――昼間。突端堤防。
てくてくてく。
末姫「早速、お散歩、お散歩なのです♪」
末姫「ビッケ〜ビッケ〜♪
ビッケは海の子バイキング♪
ビッケは愉快な〜頓知のバイキング♪」
ざざーん。
ざざーーん。
末姫「ハルバルとうさんこわいけど!
ゴルムにファクセにスノーレチューレ♪
ざざーん。
ざざーーん。
末姫「今日は晴れてて、海が遠くまで見えるのです」
ぱしゃん!
三姉「末姫っ! 末姫っ! 心配したぞ」
279 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:36:12.99 ID:NcRgU/68O
支援。IDがバイバイと言ってるみたいだが、最終的にお別れENDなのか...?
280 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:39:35.71 ID:
bYbY9aRN0
末姫「あ、三姉様です! お久しぶりなのです♪」
三姉「お久しぶりって。このちびすけ!
『日本へ行ってきます』の手紙一枚で
行方不明になりやがって!!
みんなすっごく心配してるんだぞっ」
末姫「うー。すみませんです」
三姉「帰るぞ! ほら!」
末姫「えっと」
三姉「どうした? チビスケ。一姉は怒ってるけど
あたしが一緒に謝ってやるからさ。
とにかく一回帰って謝り倒さないと」
末姫「帰れないのです」
三姉「なんでだよ!」
末姫「だって脚が」
三姉「脚が? あ。あぁぁぁああぁあぁ!!!」
281 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:43:12.69 ID:27mSSB+30
>>279
おまっ……
282 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:44:10.34 ID:
bYbY9aRN0
三姉「そ、それ! 人間脚じゃないか!!」
末姫「なのです」
三姉「魔女だな? 魔女から買ったんだな!?
うわぁ。チビスケに魔女のことなんて教えるんじゃなかったっ」
末姫「……うー」
三姉「そうだ。魔女はクーリングオフつけてただろ。
早く呼び出せ! 返品だ。七日までなら大丈夫だっ」
末姫「えーっと」
三姉「待てよ。ひの、ふの、みーよー……。
まさか末姫!? まさかまさかっ!?」
末姫「さっき本契約しちゃいました」てへ
三姉「うううう。こらーっ!! ちびすけっ!」
末姫「はいですっ」びくっ
三姉「何でそういうことを相談も無く!」
末姫「うー」
三姉「まったく……。人間は怖いんだぞ!
あいつら人魚を食べたりするんだぞ?
夜中に包丁を研いだりするぞ!?」
末姫「そんなことないのに……」
283 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 15:49:07.22 ID:
bYbY9aRN0
三姉「まったく。……今はどうしてる?
人間たちからは隠れているのか?
山狩りとかされていないの?
火あぶりの危険は無いの?」
末姫「そういうのはないのです。えっと、いまは
親切な人間のひとにお世話になってるです♪」
三姉「その人間は大丈夫なの?」
末姫「お兄様はいい人ですよ♪」
三姉「本当か? その人間には、そのぅ
正体はばれてないんだろうな?」
末姫「はいです♪ それに……」
三姉「?」
末姫(ばれても、きっと、兄様なら平気です。
兄様だったら、いつもの顔で、一緒にカレー食べてくれます)
三姉「そっか。それならまだ安心だけど」
284 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:00:08.46 ID:5Hwifjsl0
面白いから支援してみよう
285 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:21:46.42 ID:
bYbY9aRN0
ざざーん。
ざざーーん。
三姉「まぁ、とにかく状況は判った」
末姫「心配かけてごめんなさいです」
三姉「とにかく、末姫は時間稼ぎするんだ。
その間に私が魔女と直談判して
何か手を見つけてくるからっ!」
末姫「え? え?」
三姉「いくらクーリングオフ期間を過ぎたからって、
何かしら手があるはずだから。
まったく、下手したら死んじゃうんだからねっ!!
逆呪文とか、対抗呪文とか、いや解呪かな?」
末姫「いえ、三姉様っ。姫は」
三姉「いいのいいの、判ってる。
三姉ちゃんがなんとかしてあげるからっ。
どんな人間だからって、絶対に絶対に
正体をばらしちゃダメだぞ!!」
ぱしゃん! ちゃぷん!
末姫「行ってしまいました。
――三姉様は心配性なのです」
286 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:22:45.24 ID:27mSSB+30
嫌なフラグの臭いがプンプンするぜ
287 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:25:59.00 ID:
bYbY9aRN0
――学校、昼休みの学食。
友「姫ちゃん、様子どうー?」
男「ん?」
友「いや。もう居ついてから一週間でしょ?
ずいぶん馴染んできたかなぁ、って」
幼馴「そうね。それくらいね」
男「ああ。もう我が家の掃除部隊長だぞ。
こないだとうとう『バーモント辛口』の
称号もとったぞ」
友「あはははっ」
幼馴「あんた達のその称号システムだけは、
いまだに理解できないわ」
男「放っておいてくれ。男にしか判らない
浪漫の問題なんだ」
友「そういうものかな。あははは」
幼馴「うわー。なんかむかつく」むぅ
288 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:30:55.07 ID:
bYbY9aRN0
男「もぐもぎゅ」
友「今年も、住吉の祭がくるね」
男「ああ」
友「あのさ。あのさ。今年は皆で行こうよっ!
姫ちゃんも入れてさ。神社の夜店行ってさっ。
お船謡みたり、花火見たりしようよっ」
幼馴「いいですよーん。かかってきなさいよっ
にひひ」にこっ
男「んじゃ、久しぶりに繰り出すか」
友「いいね! 僕、おじさんとこのかき氷食べたいな!」
幼馴「あそこ、夏しかやらないもんね。
どうやって暮らしたててるのかしら」
男「普段は氷屋なんじゃないのか?」
友「でも、縁側で脚ぶらぶらさせてたりするよ?」
男「まぁ、爺さんひとりだしなぁ」
幼馴「生チョコバナナかき氷♪」
友「僕、宇治金時!」
男「ひやし饅頭だろ」
幼馴「うわー。男、じじむさっ!」
289 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:35:42.18 ID:
bYbY9aRN0
友「街にのぼりが上がってるとさ、
お祭の気分だよね……」
幼馴「まぁね。小さい街だから」
男「だな」
友「僕んち神社の近くだからさ、
町内会の子供たちがお囃子の練習しているの
聞こえちゃうしさ。なんだか炊きつけられるって云うか」
幼馴「炊きつけられるって?」
友「わくわくしちゃうんだよ」
幼馴「たしかにあの笛の音はね。
自動的に屋台の蒸気まんじゅうとかリンゴ飴とか
食欲がわいちゃう魔性の音色ね。もうっ」
男「何で甘いものばっかりなんだ」
幼馴「なによう。文句あるの? 脳を働かすためには
エネルギーとして糖分が必要なのよっ」ぷんぷん
男「そんなに糖分ばっかり取っても
成績があれって事は、糖分切れたら
どんだけ大暴落なんだよ」
友「あはは」
幼馴「あんた達ね。もう、べーっだ!」むー
290 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:40:55.33 ID:
bYbY9aRN0
――放課後の教室。
幼馴「う゛〜う゛〜」
男「唸ってないで、手を動かす」
幼馴「だって判んないよっ」
男「be familiar ( ) 〜をよく知っている、精通している」
幼馴「at!」
男「ぽかっ」
幼馴「う゛〜」
男「お前、俺の課題横に置いて見てるじゃん」
幼馴「だけどさぁ」
男「すでに勉強じゃなくて、作業だろ、それ」
幼馴「判んないんだもん」
男「どこがさ」
幼馴「どこが判らないかも判らないっ」
男「……」
幼馴「う゛〜う゛〜」
男「アホナイキモノがいます」
幼馴「わうわうっ!」
男「うわ、凶暴です!」
幼馴「ぐるるる〜」
男「糖分が切れたのか?」
幼馴「それだっ!!」
291 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:45:41.83 ID:
bYbY9aRN0
幼馴「私に足りないのは糖分だっ!!」
男「お前なぁ」
幼馴「苺ミルクオレ買いに行こうよ〜っ」
男「早く終らせろよ。面倒だ」
幼馴「横暴だー。
男は親友の私をを見捨てるのでぃすかー!?」ぷんぷん
男「見捨てるつもりなら
放課後に三時間も付き合ってねぇよ」
幼馴「がうっがうっ」
男「吼えるなよ」
幼馴「だってさ」
リーンゴーン、ローンクオーン……オーン……。
男「下校時間だな」
幼馴「うん……」
男「帰るぞ」
幼馴「待ってよ、ねぇ」
男「なんだよ」
幼馴「まだ終ってないよ」
男「ノート貸してやるよ。家で好きなだけ唸れ」
幼馴「う゛〜」
292 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:49:58.11 ID:
bYbY9aRN0
――学校、下駄箱。
男「外のほうが、風で涼しいかー」
幼馴「まだ暑いけどねー」
男「だな」
かちゃ、ぱたん。
幼馴「自転車置き場、結構がらがらだね」
男「もうみんな帰ったんだろ」
幼馴「うん……」
がちゃ、かちゃん。
男「今日の晩御飯はなににすっかな」
幼馴「ぐるるー」
男「?」
幼馴「がう」
男「なんだよ?」
幼馴「別に」
男「そうか」
幼馴「がうっがうっ」
男「……なんだよ」
幼馴「送ってけ」
294 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:54:29.17 ID:
bYbY9aRN0
幼馴「なによぅ。送っていきなさいよ!
別にいいでしょ、たいした寄り道でもないし。
どうせサンマート行くんでしょ」
男「そうだけど」
幼馴「ふふーん。ならいいじゃない。
たまには送らせてあげる。苺ミルクオレ万歳!」
男「……」
幼馴「決定! 大決定! さぁ行くよ!」
男「なんだってんだか」
幼馴「だってさー」
男「?」
幼馴「なんか寂しいじゃん。下校時刻だし。
誰もいないし。さっきまで遊んでたのにさ。
急に一人なんてさ」
男「遊んでたんじゃなく、お前の課題の面倒見てたんだ」
幼馴「なによぅ」むー
幼馴「あたしの送迎がそんなにいやなの?
あんたが胸の無いロリータにしか欲情できない
変態ハァハァ星人だって回覧板で回すわよっ」
男「なんだかなぁ」
幼馴「早く早く。自販機でオレかって行こーっ」
295 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 16:58:41.96 ID:
bYbY9aRN0
――下校途中、突端堤防
幼馴「〜♪ 〜♪」
男「どした」
ざざーん。
ざざーーん。
幼馴「海っ!」
男「ああ、海だな」
幼馴「海おりるっ!」
男「子供か、お前は」
幼馴「いっくぞーっ」
ざざーん。
ざざーーん。
幼馴「お、思ったより綺麗だ」
男「こっちはビーチってほどじゃないからな。
観光客も来ないんだろう」
幼馴「そっか。そだね」
ざざーん。
ざざーーん。
男「あんまはしゃぐなよ」
幼馴「だって暑いんだもん」
296 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 17:04:14.12 ID:
bYbY9aRN0
男「はしゃいだら余計に暑いっての」
幼馴「そうかなー。あ、靴もっといて」
ぱしゃん、ぱしゃん。ぱしゃぱしゃ。
男「あ」
幼馴「男くんもはいるー?」
男「うっわ、何考えてんだ。急に海入って!?」
幼馴「膝までだよ。平気、平気。涼しいよ?」
男「突発行動過ぎだ」
幼馴「超涼しいー♪ 最高ーっ」
ざざーん。
ざざーーん。
男「どうせ潮水でベタベタとかいって後でほえ面だろ」
幼馴「後のことはいいのよ。今涼しければっ!」
男「俺は遠慮する」
幼馴「んじゃ、しばらく見学してなさい」
男「おー」
幼馴「ひゃー。砂が動くーっ。波いかすー♪」
297 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 17:08:20.50 ID:
bYbY9aRN0
男「子供か」ぼそ
幼馴「何か、云ったー?」
男「なんにもー」
ざざーん。
ざざーーん。
幼馴「気持ちいいよーっ」
男「それは良かったなー」
幼馴「うひひひ。いぇーい♪」ぱしゃーん、ぱしゃーん
ざざーん。
ざざーーん。
幼馴「でっかい貝〜♪」
男「足とか、切るなよ〜」
幼馴「この港町で何年暮らしてきたと思ってるのよっ」
男「俺と同じだけだろ」
幼馴「判ってるじゃない」
ざざーん。
ざざーーん。
男(ああ、はしゃいじゃってまぁ。
あんなに陽に透けて。きらきらして)
幼馴「ちべたいぜー♪ うはぁ」ぱしゃーんぱしゃん
298 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 17:12:24.11 ID:
bYbY9aRN0
幼馴「うーん。堪能した」
男「遅ぇよ」
幼馴「まぁまぁ。ほら、男くんも
あたしの美脚を堪能できたわけじゃない?
これはお金が取れるサービスですよ。うへへ」にこっ
男「見飽きてるよ」
幼馴「まぁ、まぁ、そう怒らないでさ。
荷物持ってよ」
男「ああ」
さくっ、さくっ
幼馴「あっちで、足洗う。シャワーの先に水道あったよね」
男「蛇口取り外してるかもだぞ」
幼馴「平気平気。ほらあった」
さくっ、さくっ
男「お気楽だなー」
幼馴「いつもじゃないよ。でも、そんな気分だったんだもん。
ほら、肩かしてよ。洗うんだからさっ」
男「はいはい」
幼馴「ん〜。冷たいっ。幸せだねっ」
300 :
VIPがお送りします: [] 2008/09/20(土) 17:16:27.58 ID:
bYbY9aRN0
幼馴「タオルとってー。スポーツタオル、荷物にある」
男「おう」
幼馴「ん。あんがと」
男「見えてる」
幼馴「ん?」
男「いろいろ」
幼馴「気にしちゃダメだよ。見飽きてるんでしょ」
男「なんかイヤな気分」
幼馴「私は気にしてないよ。男は昔も見たじゃん」
男「……」ぷい
さくっさくっ
幼馴「あー、待った。まったーっ」
男「……」