Part2
33 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:50:02.57 ID:
Id/ENdNh0
ドーン!!! ぱらぱら……
ドーン!! ドーン!!!
妹「あ……」
兄「花火綺麗だよな〜」
妹「ええ、今日は」
兄「隅田川の日、だもんな。こればっかりは
圧巻だよな〜」
妹「すごいです……」
兄「腹に響くよな! 生花火はさぁ、これが風情だよ!」
妹「はい……」
兄「ほら、アイス」
妹「ありがとうございます」
兄「うっわ、ガリガリ君うめぇぇー。いかすーっ」
妹(兄さん、花火の事知ってて……?)
兄「うっは、ナにこれ、ソーダ味って神過ぎる。
黒歴史を超える封印された必殺技並みに美味い。
例えて云うならばディーヴァダッタが空中浮遊するくらい」
妹「兄さん、あの」(お礼を……)
兄「あ、ヤバイ。こめかみにキーンってきたぁ。
Oh!! 頭痛いっ。マジでいたい。ギブギブっ」
妹「……」
兄「た、助けて妹〜」
妹「とりあえず、ハンカチで涙拭いてください」
34 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:51:36.24 ID:
Id/ENdNh0
妹「兄さん、兄さん」ゆさゆさ
兄「ん、むぅ……」
妹「起きてください」
兄「もうちょっと……」
妹「もうちょっとって」
兄「ケマサクさん先に起こして……」
妹「ケマサクさんって誰ですか?」
兄「ケニア在住の気の良いヲタク……」
妹「兄さんっ! ふざけないでください」ゆさゆさ
兄「ケマサクさんが寝てるからもう少し寝る……」
妹「どんな関係があるんですかっ!」
兄「むぅ……。妹が俺を弾圧する。ケマサクさんは
寝てるのに……。これが人種差別か……。
弾圧には屈しないぞ……」
妹「……カボチャのクリームスープを抜きますよ」
兄 がばっ!!
妹「やっぱりメニューが減るのはいやそうですね」
兄「起きます! っていうかむしろ起きてました!」
35 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:53:33.04 ID:
Id/ENdNh0
とはいえ、この辺から再編集/新録だったりします。
――吹奏楽部部室
妹友「ぅぁー。疲れる〜」
妹「お疲れさまです」
妹友「なにやってるの?」
妹「ん。メール。兄さん宛です」
妹友「お兄さんいるんだ。うちは弟だよ!
仲、良いんだね〜」
妹「そうでしょうか? 普通だと思います」
妹友「うちの弟とはめったにメールなんてしないよ?」
妹「わたしが夕食当番なんです。
でも、今日は遅れちゃうから」
妹友「そか。連絡だ。そうしたらお兄さんが作ってくれるの?」
妹「いえ、兄は料理ダメなひとなので」
妹友「うちもだよー。男は馬鹿だよねー」
妹「馬鹿ですね」
妹友「声おおきいしねー」
妹「大きいですね」
妹友「そしてスペースをふさぐ」
妹「ええ。本当に。視界をさえぎります」
36 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:54:16.64 ID:
Id/ENdNh0
妹友「うちのも、もう中学生だけど子供でさぁ」
妹「兄さんは大学生ですけど」
妹友「日曜朝に特撮番組とか見ちゃってるわけよ」
妹(兄さんなんか大学生だけど見てます……)
妹友「お子ちゃま過ぎて見てらんないわけ」
妹「はい……。ほんと」
妹友「で、むたくた食うわけ」
妹「ええ、本当に。ぺろりですね」
妹友「だから大きくなるんだけどね。
妹ちゃんが食事作ってるの?」
妹「ええ、大体そうです。朝ごはんと晩御飯は。
お弁当はたまーに、です」
妹友「すごいね! 偉いね! お兄さんは食べるだけなんだ」
妹「ええ、そうなんですよ。
何を作っても、むしゃむしゃーってすごい勢いで」
妹友「怪獣だね」
妹「怪獣っぽいです」
妹友「んー。ふふふ」
妹「なんでしょう?」
妹友「妹ちゃん、にこにこしてるねっ」
妹「そ、そんなことはありません。普通ですよ」
妹友「なんかあれだー。女の幸せ? みたいなっ」
妹「そんなんじゃありませんっ」
37 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:55:36.31 ID:
Id/ENdNh0
――21:30
妹「うーん。やっぱり遅くなってしまいました。
兄さんには言ってあるので
夕ご飯は何か食べててくれるかと思いますが」
がちゃり
妹「ただいまです」
兄「おお、お帰り妹よ! お疲れ様だ」
妹「兄さんもいつも元気で、はぁ」
兄「大変そうだな。コンクールの練習って。
麦茶だぞ、妹よ」
妹「大丈夫ですよ、兄さん。晩御飯食べました?」
兄「おう、問題ないぞ」
妹「なに食べたのですか? ピザでもとりましたか?」
兄「いや、ご飯を炊いて」
妹「わ。ちゃんと作ったんですね」
兄「白米に鰹節とマヨネーズと醤油をかけて食べた」
妹「……兄さん」
兄「いや、 これはこれで美味いんだぞ。
男料理の真髄なんだってば。いやまじで。Bグル板見ろ」
妹「兄さん」
兄「でも、やっぱ妹が作ったほうが美味しいぞ。
それに、妹がいたほうが幸せだな」
38 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:56:43.56 ID:
Id/ENdNh0
妹「仕方ないですね」
兄「気を使わなくて良いぞ」
妹「ニコニコしながら座ってて説得力がありません」
兄「いい匂いだし」
妹「晩御飯食べたんだから、軽いものですよ」
兄「何作ってくれるんだ?」
妹「トマトグラタンです」
兄「美味そうだっ!」
妹「はい、どうぞ」
兄「しかも早いっ!」
妹「重ねこんで焼くだけですからね」
兄「いっただっきまーっちチチチアチっ!!」
妹「当たり前でしょう、兄さん」
兄「あふ、これあふすぎですよ、じょうかんどの」
妹「はい麦茶です」
兄「あふ、さんきゅ、いもうと……きがきく」
妹「熱いなら時間をおいて食べれば良いですのに」
兄「だって熱い方が美味しいし」
妹(ほんと馬鹿な兄さんだなぁ)
39 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:57:50.61 ID:
Id/ENdNh0
兄「いやー。食ったね!」
妹「お粗末様です」
兄「美味かったー。ホワイトソースとトマトの
酸味がめたくたんマいですよ、あれは」
妹「兄さんは大げさです」
兄「そんなことは無いだろうー。食は人間の生活の
基本だぞ。美味しいと感じるのは幸せの基本だ」
妹「それは、そういうところもありますけれど」
兄「村上春樹は云ってるぞ。
男が機嫌が悪いときは八割がた腹が減ってるから
食わせれば機嫌が直る、って」
妹「食糧補給係みたいで微妙な気分になる言葉ですね」
兄「そうかなぁ」
妹「そうですよ」
兄「食い物をくれる人になつくのは生物として自然だ」
妹「!?」
妹(え、っと。そ、それは兄さんが私に、
その……懐い……て?)
兄「餌付けってそんなもんだろ」
40 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:58:35.94 ID:
Id/ENdNh0
妹「兄さん!」
兄「どうした?」
妹「餌付けって、そういう……。どーぶつのような」
兄「??」
妹「私はそういう意図で食事を作ってるのでは」
兄「気にするな!」
妹「?」
兄「こっちが勝手に懐いているのだ」
妹「っ!」
兄「懐くと進化するぞ!」
妹「ポケモンですか、兄さん」
兄「いつもありがとう、ってこと」
妹「別に。……たいしたことはしてません。
これはデザートのコンポートです」
兄「ンマーい! ぐは、なんだこれ。
ちょっと感動するぞ、林檎とシナモンがっ!」
妹(食べてるときは、卑怯にも可愛いんですよね
兄さんはまったく困った人です)
41 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:59:16.34 ID:GTGrQ2mA0
みんな魅入ってるのか
42 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 11:59:53.58 ID:
Id/ENdNh0
――サンドイッチ専門店のカフェテラス
女友「悪かったねー。荷物持ちさせちゃってさ」
兄「いや気にするな」
女友「わたしもあんなにあるとは思わなくてさっ」
兄「俺だって思わなかった。
教授の手伝いとかするもんじゃないな」
女友「うははは。ここは私の奢りだからさっ」
兄「ごちそうになるぞ。……でも良いのか?
ここ、結構高そうだぞ」
女友「チケットもらったんだ。母さんから。
んじゃ、サンドイッチもって来るねー」
兄「おう」
わたわた
わたわた、とってってっ
兄「あいつ、なんか動きがぎこちないな。
危なっかしいことこの上ないぞ。
……脚に来るほど疲れてるのか?」
女友「お待ちどうさまっ!」
兄「なんか一杯だな」
43 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:00:05.31 ID:4D8aO1mz0
ほんわかしつつ空腹に耐えてる
44 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:00:29.22 ID:
Id/ENdNh0
>>41
たぶん、ひといない。
でもやるおはがんばる。
45 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:01:03.10 ID:
Id/ENdNh0
女友「その通り。色々もらってきたのだ」
兄「バイキングになると目の色変わるな」
女友「任せてっ」
兄「んじゃ食べよう」
女友「頂きます」
兄「頂きます」
――もぐもぐ
女友「男くんはさ」
兄「?」
女友「『いただきます』とか『ごちそうさま』が
キチンとしてる人だよね」
兄「そうかな」
女友「そうだよ。背筋も伸びているしさ」
兄「うーん。やっぱり、そのへんはさ。礼儀というか
感謝の気持ちだろう」
女友「お祖母ちゃん子みたいな、男くん」
兄「妹がお祖母ちゃんみたいなんだよ」
女友「えー!? 可愛いのに」
兄「中身は厳しいんだ」
女友「そうなんだー」
46 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:01:52.04 ID:GTGrQ2mA0
>>44 お猿さん食らうから気をつけろよ
47 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:01:52.25 ID:
Id/ENdNh0
兄「これ、うまいな」
女友「どれどれ?」
兄「これ。アボカドとシュリンプだな」
女友「へー。お洒落だね」
兄「定番の組み合わせだけど、
ここのは味付けが重くなくていいな」
女友「重いって?」
兄「マヨネーズで和えるから、
味付けが重くなることがあるんだよ」
女友「ほほう。詳しいね!」
兄「普通だよ」
女友「ぐっ。私は判らなかった」
兄「別にかまわないだろう。
美味しく食べられればそれで十分だ」
女友「むー」
兄「重くなりすぎるのを避けるために柑橘類、
例えばレモン汁なんかをたらすことも多いのだけど
ここは隠し味で山葵を入れてあるんだな」
女友「あーっ。本当だ。云われてみれば判るっ!」
48 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:02:45.55 ID:4D8aO1mz0
幸せになるスレで現実を見ると悲しくなるスレだな
49 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:03:02.89 ID:
Id/ENdNh0
>>46
おれ、お猿さんって食らったこと無いんだ。
どう気をつければいいのか教えてくれ。
おまえ優しいからこのサンドイッチやる。
50 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:05:04.30 ID:
Id/ENdNh0
兄「涼しい味な。腹が減る味っていうかさ」
女友「また判んなかった……。あたし、女失格」
兄「もぐもぐ」
女友「男くん、料理とか出来る人なんだね」
兄「普通だって」
女友「私、あんまり出来ないよ。へこんじゃうなぁ
カレーとかお味噌汁とか食らいは作れるけど。
こういう可愛い料理ってどうやって作るのかなぁ」
兄「良いんだって。美味しいのは判るんだろう?」
女友「うん……。そりゃね」
兄「目の前に出てきたものを、感謝しながら
美味しいねって食べられればそれが一番いいんだよ」
女友「そういうもんかなぁ」
兄「そういうもんだよ」
51 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:05:49.69 ID:GTGrQ2mA0
>>49 なるべく間隔を空けろ
52 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:06:05.65 ID:CSFWpbtUO
>>44
頑張れ
53 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:09:53.24 ID:
Id/ENdNh0
>>51
わかった。ペースダウンだな。
バタピーサンドやるぞ。
あと、見てる人が腹が減るスレを書こうと思って書いたけど
かいてる俺はもっと腹が減るというのが盲点だった
気をつけろ。罠だ。
54 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:10:37.51 ID:4D8aO1mz0
毎日毎日コンビニ食な俺にはきっついな
55 :
VIPがお送りします: [sage] 2008/08/24(日) 12:11:56.69 ID:roh0qbRy0
<<53
大丈夫だ
俺はお前以上に腹が減ってきたw
56 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:12:52.54 ID:
Id/ENdNh0
女友「むー」
兄「しかめっつらすると、ご飯が美味しく無いぞ」
女友「え?」
兄「笑ってた方が良いぞ。そのほうが美味しいし、
もてるようになるだろう」
女友「もて、る。かな……」
兄「ああ」
女友「う。うへへ……」にこっー
兄「それで良いと思うぞ。ん」
女友「あ。飲み物無いね。わたしもってくるよっ」
兄「俺が行く」
女友「どうしてー? 給仕くらいさせないさいよー」
兄「珍しくパンプスだろう? 足元、危ない。
せっかく女らしい服着てるんだから
ひっくり返して汚しちゃうリスクは避けておこうぜ」
女友「あっ。……うん。お願い、します」
兄「行って来る」
女友「――気がついてくれちゃうんだよね。
そういうとこだけはさぁ」
57 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:16:55.40 ID:
Id/ENdNh0
妹「さて。今日の課題は
『献立バリエーションNo.8』です」
妹「夏の食材といえば、キノコ、サツマイモですね。
カボチャ、銀杏、桃、プラム。魚介で云えば、
戻りカツオに、手長エビ、ムール貝」
妹「お兄ちゃん評価でいいますと。
戻りカツオは☆5つですね。あと桃も大好き。
きのことサツマイモも大好きで、カボチャは
神の食い物、だそうです」
妹「……全部好きってことじゃないですか。
ほんとうに役に立たない兄ですね」
妹「仕方ないから勝手に美味しいレシピを
作るしかないですね。まずはカツオのバリエーション
から考えますか。土佐造りは基本として……」
58 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:19:38.77 ID:
Id/ENdNh0
兄「いぇあ! ぎゅいーん!!」
妹「兄さん」
兄「美味い。美味すぎる。夏の終わりの戻り鰹。
帰ってきたスイートハーッツ! ニンニクの
香りも鮮やかにっ」
妹「静かに食べなさい」
兄「あい」
妹「もぐもぐ」
兄「もぐもぐ、ぐはっ。んまー。うまうま」
妹「もぐもぐ」
兄「おかわりー!」
妹「はい、どうぞ」
兄「うーっまーっいーっ」
妹「……」
兄「ごちそうさまっ!!」
妹「おそまつさまです」
兄「麦茶でまったり。今日も最高の食事ですたい」
妹「左門豊作ですか」
兄「よかたい、よかたい。おいは満足たい」
妹「つかぬ事をお聞きするのですが」
兄「なんでも聞いてほしいたい!」
妹「付き合ってた彼女というのは」
兄「え」
59 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:21:25.29 ID:
Id/ENdNh0
妹「どのようなお付き合いだったのでしょうか」
兄「あー」
妹「いわゆる彼女だったのですよね?」
兄「うん」
妹「兄さんは妹の私から見て、
多少ですが子供っぽいように見受けられます」
兄「あー。うん」
妹「妹は、兄さんが世間にご迷惑をかけないか
とても心配です。その方とはちゃんと
お付き合いできてたんですか?」
兄「う。多分」
妹「多分、ですか。大学生ともなれば、
小洒落たイタリアン等で食事をして、
プールバーとやらにも行くと聞いています。
うちは極端に外食が少ないですが、
そのへんちゃんとエスコート出来てたんですか」
兄「う、うん」
妹「そこらの公園の芝生で一日日向ぼっことか、
国会図書館で十五時間読書とか、
そういうデートコースを立てたりはしていませんよね?」
兄「はい」がくぶる
60 :
VIPがお送りします: [] 2008/08/24(日) 12:23:16.11 ID:
Id/ENdNh0
妹「本当ですか?」
兄「んー。妹よー」
妹「はい」
兄「信用なさ過ぎだな、俺。完璧だった、とは
いわないけれど、何でそんなに信用が無いんだ、俺」
妹「だって振られたではないですか」
兄「は?」
妹「振られたのでしょう? 今は彼女がいないと
云っていたではないですか。
きっと兄さんがふがいないので振られたんだと
思うのですが」
兄「……」
妹「兄さん。兄さんは確かに子供っぽくてお馬鹿で
類例を見ないくらい食い意地がはっていますが
優しいしまめだし良いところが沢山あると
私は思っています」
兄「ぁー」
妹「振られてはしまいましたが、まだチャンスは
何回もあります。ですから女心をおさえたエスコート
位は身につけないとダメですよ」
兄「なんか涙出てきた」