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黒髪娘「そんなにじろじろ見るものではないぞ」
Part9


390 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 10:30:50.69 ID:cN7NTMxiP
――祖父の田舎屋
がたがたっ。どてっ。
黒髪娘「っくぅっ」
男「大丈夫か?」
黒髪娘「かたじけない。男殿。……風の香が」
男「やっぱ違うよな」
黒髪娘「ここは……」
男「話しただろう。爺ちゃん家の納戸だ」
黒髪娘「そうか。ん……」
男「足とか、平気か? 捻ってないか?」
黒髪娘「大丈夫のようだ。いまは何時頃なのだろう?
 表はほのかに明るいようだが、夜明け前だろうか?」
男「いや」すちゃっ 「――殆ど真夜中だな」
黒髪娘「あの白い灯りは?」
男「水銀灯だよ。防犯のために、夜を照らしている」
黒髪娘「そうか……。本当に、別の世界なのだな」
男「まぁ、気楽にしてよ。ようこそ、二十一世紀へ」

391 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 10:34:14.08 ID:1/4r89MIO
げ・・・現代に来ちゃったよ・・・
ちょっと長櫃買ってくる

393 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 10:37:39.22 ID:1a2r9uba0
>>390
贈り名:橙式部卿
ギャップだけ、うまくクリアしてくれ

394 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 10:40:03.65 ID:cN7NTMxiP
――男の実家
姉「どーしたのよ、あんた。こんな時間に」
男「しーっ。声、でかい姉ちゃん」
姉「なんなの? 父さんの出張に母さんも
くっついてっちゃったから誰もいないわよ?」
男「そっか、なら、まぁ。いいけど」
姉「どうしたのよ? こんな夜中に? 犯罪?」
男「いや、ちげぇって」
姉「むー。たいした用事じゃないんだったら老後にしてよ。
 あたし年金生活になったら暇になる予定だから」
男「姉ちゃんを見込んでたのみがあるんだ」
姉「金なら借りたい位よ?」
男「ちがうって、その……さ。
 いや、なんて云えばいいかな。そのぅ……。
 決して問題がある事情って訳じゃないんだけど」
そぉ
黒髪娘 ぺこりっ

395 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 10:53:58.80 ID:cN7NTMxiP
姉「かっ!」
黒髪娘 びくっ
姉「可愛い〜♪ わ。わ。なにこれ! まじ!?」
ぎゅむっぎゅむぅぅぅ〜!!
黒髪娘「!?」
男「いや、姉ちゃん。ごめん、そいつ死んじゃうから」
姉「なによ。ははぁん。これがあれ? 例の。
 難易度SSの女子中学生?」
男「まぁ……そうなる……かな」
姉「可愛いわねぇ。すっごいちいさいのっ。
 それに何これ、こんなに長い黒髪とかっ。
 あんたどんだけフェチはいってるのよっ!?
 いっやぁ。フィギュア買う程度かと思ってたけど
 この姉ちゃんもおそれいったわ! いやぁ参った!!」
男「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

397 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 11:02:32.32 ID:cN7NTMxiP
――男の実家、居間
姉「やぁ。ごめんね。あたし、こいつの姉。
 この家に一緒に住んでる。
 まぁ、こいつはいまは半分くらい爺ちゃんの家に
 寝泊まりしてるんだけどねー」
黒髪娘「お初にお目にかかります。
 わたしは黒髪ともうします。
 弟御にはいつもいつもお世話になっています。
 その恩を返す事も出来ずこのように
 尋ねてきてしまいましたが
 どうかお見知りおき下さい……」 おずおず
男「あー」 おろおろ
姉「ちょ……ごめ……」 ぐいっ
黒髪娘「?」
  姉「ちょっとあんた、あたしを萌え殺す気?
   鼻血でそうじゃない、あの態度。
   髪の毛サラサラで卵肌に潤んだ瞳よ。
   なんであんなに奥ゆかしくて清楚なのよ!?
   あれ絶滅危惧種だから。大和撫子だから。
   お姉ちゃんの物にするから」
  男「なんでそこでそうなるっ」
黒髪娘「あの……。こんな余分に、本当にご迷惑を」

399 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 11:09:27.33 ID:cN7NTMxiP
姉「いや、迷惑なんかじゃないですから」くるっ
黒髪娘「そう……ですか?」
男「お茶、煎れようか」
姉「ああ、さっさと煎れてくるように」
男「わかったよ」
姉「黒髪ちゃんか。ん、素敵な名前だね」
黒髪娘「ありがとうございます」
姉(ふぅん……。男のTシャツにカーゴパンツ、ねぇ。
 どこで着せたのか。“着る物もなかった”のか……。
 やっぱり訳ありの“難しい娘”ってやつなのねぇ)
黒髪娘「どうされました?」
姉「ううん。なんでもないよ」
男「おー。茶を入れたぞ」
姉「どうぞ、温かいよ」
黒髪娘「はい」
姉「ハイとか言って。すげぇ清楚だよ。撫子だよっ」
男「興奮するなよ。姉ちゃん」

402 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 11:15:36.82 ID:cN7NTMxiP
姉「で、弟はお姉ちゃんになんのお願い有るのかな」
男「まぁ、幾つかあるんだけどさ。
 まずはこの黒髪を風呂入れてやって欲しいんだ。
 こいつ、多分こっちのことは相当に疎いから」
姉「ふぅん。……聞かない方が良い?」
男「事情は聞かないでくれれば助かる。
 そうだなぁ……帰国子女だと思ってもらって間違いない」
姉「いいよ。それくらい」
男「それから着る物なんだけどさ。
 適当な女物見繕ってやってくれるかなぁ」
姉「んー。あたしの古着って訳にもいかないよね」
男「バイト代入ってるから、出せる」
姉「夜が明けたら買いに行くとかで良いの?」
男「うん」
姉「一応聞いておくけどさ。しばらく一緒に住むつもり?」
男「爺ちゃんの家でな。大丈夫。五日間だけだし
 姉ちゃんがおもってるような悪いことはなんにもないし
 俺も、そんな事するつもりはないから」

405 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 11:25:11.87 ID:cN7NTMxiP
しかし、ここで休憩。もうしわけないです。
例によって落ちるならそれはそれで。
残っていたらまた書いてみるなう。
パスタ食べたい。オナカヘッタ。
こんなポンチ読んでくれる人に感謝を。
賑やかなのは大歓迎です。

406 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 11:27:31.82 ID:hnayyLJh0
む、既に同衾した仲なのであるからそんなことするつもりがなくてもげふんげふん
おつかれいやー

446 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:10:18.23 ID:cN7NTMxiP
――夜中のバスルーム
姉「さ、脱いだ脱いだ」
黒髪娘「あ、いえっ。その。うわぁ」
姉「ん? ん? やっぱりちょっと小さめね」
黒髪娘「ううう。このように明るいところで。
 まるで昼間のような灯りではないか……ですか」
姉「そりゃお風呂だもん。寝室みたいに
 暗くするわけにもいかないでしょ。……恥ずかしい?」
黒髪娘「恥ずかしく……ありますが」
姉「大丈夫大丈夫。気を楽に」
黒髪娘「……う゛ぅぅ」
姉(それにしても、このうっすらあばらの浮いた
 細っこい身体とか。そのくせ膨らんじゃってる胸とかっ。
 その身体に絡みつく滑らかな黒髪とかっ!!
 弟、あんた趣味よすぎっ)
黒髪娘「その……」
姉「ん?」
黒髪娘「私はどこか変か……ですか?」

449 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:12:58.54 ID:cN7NTMxiP
姉「いやいや。綺麗な物だよ」
黒髪娘「そうですか」 ほっ
姉「ほら、こっちきて。流すから」
黒髪娘「あっ……」
姉「熱かった?」
黒髪娘「いえ、温かいです」
姉「おっけーおっけー」
黒髪娘(こんなに明るくて、夜中に誰の助けも
 借りることなく湯殿に湯を用意させられる……。
 男殿の家は貴族なのか? それともこの世界では
 全ての人々がこうなのだろうか……)
姉「ん。まずは暖まろうか。髪の毛はまとめちゃおうね」
黒髪娘「まとめる?」
姉「うん、束ねて、結おう。大丈夫後で綺麗に洗って上げる」
黒髪娘「お手数をおかけします」
姉「ううん。こんなに綺麗だもの。触っていて楽しいよ」
黒髪娘「そうですか?」 かぁっ
姉「これは、宝物だね」
黒髪娘「はい……」

451 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:19:08.12 ID:cN7NTMxiP
姉「熱くない?」
黒髪娘「心地良い……です」
姉「んー。堅いかな−。もっと砕けた口調でも良いんだよ?」
黒髪娘「う、う……む」 かぁっ
姉「ふふふっ」
ざっぱぁ〜
黒髪娘「姉御殿は子細を詮索せぬのだ……ですね」
姉「まぁね」
黒髪娘「……」
姉「あのばか弟が内緒だっつーんだから内緒なんでしょうよ」
黒髪娘「弟御を信用なさっておいでだ」
姉「あはははは。信用じゃないんだってさ」ははっ
黒髪娘「?」

452 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:23:40.58 ID:cN7NTMxiP
姉「あれはねぇ、へたれだからね。
 へたれが昂じてDTだからね〜」
黒髪娘「??」
姉「まぁ、その分大事なものは判るでしょうよ。
 人の大事な物に口出しするのは
 無粋って。ただそれだけよ」
黒髪娘「無粋、ですか」
姉「おやおや。真っ赤だ」
黒髪娘「はい」 にこっ
姉「ゆだったかなぁ。おいで。髪の毛洗おう?」
黒髪娘「はい、姉御殿」
姉(む。……良いわぁぁ。
 この腕の中にすっぽり収まる華奢な身体。
 まじで鼻血物だわ、さすが難易度SS!)
黒髪娘「どうされました?」
姉「いえいえ。さ、座って」
黒髪娘 ちょこん

454 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 19:26:26.78 ID:vLc8yv9HP
かわいい……//

455 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 19:33:22.46 ID:sfMyUefS0
姉落ち着けw

457 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:40:44.64 ID:cN7NTMxiP
――男の実家、男の自室
かちゃ……
黒髪娘「……湯浴みからあがった」
男「ん。そか」
黒髪娘「その、服を、貸してもらった」おろおろ
男「どうした? 入れば? 廊下寒いだろう」
黒髪娘「湯浴み上がりで寒くはないのだが。
 ……服が落ち着かない」
男「どうした……う」
黒髪娘「変か? やはり変なのだな? 薄物だし」
男(なんで素肌ワイシャツなんだよ……!?
 ね、姉ちゃん。あんた何考えてるんだっ)
黒髪娘「寝具に入れてもらうと良いと」
男「あ。ああ。ほら、ベッド使って良いぞ」
黒髪娘「べっど……」
男「この台だ。布団ひいてあっから」

461 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:44:05.33 ID:sekadGvLP
こらっ!エロはいかんぞ

462 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:45:16.56 ID:cN7NTMxiP
もそもそ
黒髪娘「男殿は眠らぬのか?」
男「あー。うん」
黒髪娘「それでは寒かろう?」
男「気にするな」
黒髪娘「この寝具は男殿のものではないのか?」
男「うん、そうだ。……悪いな、そんなので」
黒髪娘「いや……これが良い」 すりっ
男「そっか」
黒髪娘「温かくて、良い香りだ」
男「そうかぁ?」
黒髪娘「先ほど、姉御殿にしゃんぱうをして頂いた。
 桃の香りなのだ。桃の湯で洗うとは驚いた」
男「ああ」(そっちの匂いか。びびった)
黒髪娘「ほら、男殿」
男「?」

463 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:49:27.85 ID:sfMyUefS0
男もげろ
もしくは大人しく布団にでも入ってしまえ

464 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:52:49.03 ID:cN7NTMxiP
男「どうした?」
黒髪娘「桃の香なのだ。そうであろう?」 くいっくいっ
男「ああ。うん、そうだな」
黒髪娘「姉御殿は優しくしてくれたし、褒めてくれた」
男「そうか」
黒髪娘「この髪を褒めてくれたのだ」
男「ああ、立派な髪だ。
 ……こっちでは、そこまで長い黒髪は珍しいんだよ。
 女でもあちこち出掛ける時代だから。
 長い髪は動くには不便だろう?」
黒髪娘「わたしも切った方が良いだろうか?」
男「もったいないよ」
黒髪娘「そうか。……そうだな。
 私の女としての麗質の、殆ど唯一だし」 ごにょごにょ
男「肩まで布団に入らないと寒いぞ」
黒髪娘「でも、男殿と話していたいのだ」

465 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 19:59:57.34 ID:cN7NTMxiP
男(やばいな。……なんか、こっち来てから
 可愛らしさが二倍に見える。
 やっぱり平安時代の明かりやら服装じゃ
 こっちからみたら駄目コスプレだもんなぁ。
 普通<現代風>の格好してたら美少女じゃんよ。
 犯罪だろ、これは)
黒髪娘「どうされた?」
男「いや、なんでもない」
黒髪娘「全てが明るい。……闇がないのだな」
男「うん、便利さを追い求めた結果だな」
黒髪娘「なんだか……とても恥ずかしかった」
男「明るかったからか?」
黒髪娘「それもあるが、姉御殿が男殿の姉御だと
 おもうと、その……とつぎ先のようで。
 ううう……姉御殿には嫌われたくないので」
男「ん? うちの姉ちゃんはそんなに簡単に
 人を嫌ったりはしないよ。ああ見えて度量はあるから」
黒髪娘「そうでもあろうが……。そうだ。
 男殿も寒そうではないか、この寝具に」
男「それはダメ」
黒髪娘「そうすれば話しやすいのに」

466 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:03:23.60 ID:bWbcjtm20
平安時代は通い婚だよな
まあ楽しいから良いけどwww

467 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:03:39.66 ID:cN7NTMxiP
男「良いから寝ちゃえ」
黒髪娘「男殿……は?」
男「俺はちゃんと毛布とか有るし、
 暖房もあるし、平気なの。ちゃんとここにいるから」
黒髪娘「ん……」ほっ
男(やっぱ、一人で放り出されるのは、怖いよな……)
黒髪娘「この寝具は……温かいな……」
男「だな」
黒髪娘「……すぅ」
男「……」
黒髪娘「……すぅ……くぅ」
男(前髪、細いな……。額にかかって……)」
黒髪娘「んぅ……」
男(眠るとこんなに子供みたいな顔で……)

472 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:33:18.36 ID:cN7NTMxiP
――男の自室、遅い朝
男「……んぅ」
黒髪娘「すぅ……すぅぅ……」
男「……なんで。こっちにいる?」
黒髪娘「すぅ……くぅ……」 きゅ
男(落ち着け……おれ!!
 多分寝ぼけて、じゃなきゃ心細くて
 ベッドから俺の布団に来たんだろうけど……。
 それにしたって、裸ワイシャツ薄すぎだろっ!
 相手は十二単での生活だったんだぞ。
 こっちが馴れてないのに〜っ)
黒髪娘 もぞもぞ「あ……んぅ……」
男「おはよう」
黒髪娘「おはよう……男殿」
男「肩、抜かせてな」 そぉっ
黒髪娘「んぅ……温かい……」
男「はいはい。もうちょっと寝てて良いから」
黒髪娘「感謝する……すぅ……」
男(心臓にわるい……)

473 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 20:38:02.49 ID:TxaeuF/wO
切ないねぇ・・・

474 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:39:54.95 ID:cN7NTMxiP
黒髪娘「んぅ……おはよう、ございま……」
黒髪娘「……うぅ。……ん」 ぽやぁ
黒髪娘「友……? 友、手水を……。あ」
 (そうか。私は……。男殿の世界に)
かちゃ
男「ああ、目が覚めたか?
 ずいぶんしっかり寝ちゃったな。
 もう昼前みたいだぞ」
黒髪娘「そうか。あの……。
 布団を奪ってしまったか? すまない」
男「ああ、気にするな。おなかすいたか?
 姉ちゃんはもう出掛けた。手紙残ってた。
 服を調達に云ってくれたみたいだ。
 行儀悪いけれど、もうちょっと俺の服で過ごしてくれ。
 夕方前には戻ってくるよ」
黒髪娘「色々お手数を掛ける」
男「任せとけ」
黒髪娘「うむ」
男「飯にしようか」

476 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 20:40:49.55 ID:NRE5KYpX0
お前らはどうすんのよ
このままこの時代に居付かせるのか、自分が平安に行くか
それとも現状で通い通われするのか

477 :VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:45:11.22 ID:u7gC+a880
>>476
>>1の方向性に影響しかねないからノーコメント