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黒髪娘「そんなにじろじろ見るものではないぞ」
Part14


807 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 02:37:29.15 ID:J2V03bbQ0
――夜中、祖父の家の廊下
じゃぁぁ〜
黒髪娘「寒い」 ぶるるっ
黒髪娘「千年たっても厠(かわや)の寒さは変わらぬのだな。
 何でそう言うところだけは変わらないのだろうな」
ぶるるっ。
黒髪娘「寒い……。早く布団に……。ん」
黒髪娘「――」
黒髪娘「これは、満月……か。
 雨も上がり、なんと冴え冴えとした……春の、月」
黒髪娘「変わらないのは、月の光」
黒髪娘「……来て、良かった」

808 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 02:38:27.72 ID:dSDWJe720
あれ?なんだか嫌な予感がするよ?

809 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 02:52:35.64 ID:J2V03bbQ0
からり
男「……すぅ。……ん」
黒髪娘「……」
男「……すぅ。…………くぅ」
(あの髪に、触れたい。触れて、欲しい)
黒髪娘「……」 おずおず
さわっ。……なで。……なで。
男「……んぅ」
黒髪娘「っ」ぴくんっ
男「……すぅ。……くぅー」
黒髪娘 ほっ
(月の光で……。男殿が。……なんだか)
男「……んぅ? 黒髪……? といれか?
 ――寒いぞ。……んぅ。
 ……布団入らないと、寒く……なるぞ?」
黒髪娘「あ……」 こくり
男「……すぅ」

811 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 02:59:43.91 ID:J2V03bbQ0
黒髪娘(いま……溢れた。
 ……いま、判った)
男「……すぅ。…………くぅ」
黒髪娘(やっとわかった。
 ……これが、そうなんだな。
 そうか……。これは、知っている。
 この気持ちは、ずっとわたしの中にあって……。
 男殿に触れられる度に育って……。
 今、溢れたんだ……。
 こんなに近くにあったのだ……)
男「……冷えちゃうぞ? んぅ。……黒髪」
黒髪娘「はい」
男「……ん?」
黒髪娘「はい。男殿」 にこり
男「……? ……すぅ」
黒髪娘「月の光が凍ってる。
 今晩は、特に冷える。
 暖かい布団を分けて下さい。男殿」

812 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 03:13:15.45 ID:GBRNsyT00
これはきたな

814 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 03:13:50.48 ID:GXWRUx1d0
わっふるわっふる

817 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 03:26:38.14 ID:gxIhifoX0
ズボンおろしてからもう少しで30分
今晩は冷えるな……

818 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 03:29:22.81 ID:rHFHQJNh0
そろそろ減速しようぜ

820 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 03:32:01.56 ID:J2V03bbQ0
悪い、寝オチってましたる。
今晩はこれで一旦切らせて下され。
礼によっておちたら落ちた感じで。
仮眠から戻れれば超速度で

847 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 11:02:15.85 ID:D8WC25nY0
変なのが湧いたな…

870 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 12:02:11.99 ID:J2V03bbQ0
――祖父の家、和室
チチチ。チチチチッ。
男「……すぅ。…………くぅ」
黒髪娘「……すぅ。……んに」」
男「……」ぽやぁ
黒髪娘「……くぅん」
男(何で……黒髪が同じ布団にいるんだ?
 ……夜? トイレ帰りに……)
――暖かい布団を分けて下さい。男殿。
男「っ!?」
黒髪娘「くぅ……。んむぅ……」 ぎゅっ
 小さい/桃の匂い/鼓動ぎ/
 細い指/パジャマ/
 まつげ長い/体温/衣ずれ/
 甘い声/しがみついて/体温/くすぐったい――
がばっ!
黒髪娘「んぅっ……」

871 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:05:00.29 ID:J2V03bbQ0
男「……おはよ」
黒髪娘「……はよ」ぽやっ
男「……」 ばくばくっ
黒髪娘「……眠ぃ」 くてっ
 体温。
男(ううっ。自覚無いのか、こいつ……。
 何で布団に入ってるんだよっ。いくら寝ぼけてたって……)
黒髪娘「……くぅ」
男「そろそろ、起きない?」
 しがみつく小ささ。
黒髪娘「……いまひととき。もうちょっと」
男「そうですか」 びくびく
 みじろぎ。
黒髪娘「男殿とくっついてると、温かいのだ」
男「……そだけど」
 甘い呼吸。
黒髪娘「んぅ」 きゅっ

873 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:07:10.40 ID:J2V03bbQ0
――祖父の家、朝の台所
ジャァァァー。
男(……)
男(今朝のあれは……。多分……。
 そう言うこと何だよなぁ。
 ……。
 フラグ立てちまったか……?)
男(そりゃ心当たりは色々あるけどさ……)
パチパチ。トントントン。
男(いざ、そうなってみると、衝撃だわ。
 ……抵抗できないとは思わなんだ。
 どんだけ弱いんだよ、俺……)
 くちびる。
男(ううう……)
 華奢なくびすじ。
男(ううう……。うわぁぁっ!)

874 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:10:39.84 ID:J2V03bbQ0
男「違うんだ。俺は決してロリではないっ!!」
かちゃっ!
黒髪娘「男殿、顔も洗ったし、衣服も改めたぞ」にこっ
男「〜っ!!」 びくっ
黒髪娘「どうしたのだ?」 きょとん
男「いや、なんでもないよ?」 あせっ
黒髪娘「そうか。……ふふふっ。
 どうだ? ちゃんと洗えただろう?
 ハミガキもしたぞ? 桃の匂いだぞ」 つんつん
男「お、おう。良くできた」
黒髪娘「この程度、なんでもない」
男「……」
黒髪娘「……?」
男「朝ご飯にするか?」
黒髪娘「うむっ」

875 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 12:15:16.75 ID:SZN59vhP0
心を決めたおにゃのこは強いよなぁ…

876 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:17:22.56 ID:J2V03bbQ0
――祖父の家、居間
男「もう一枚食べるか?」
黒髪娘「いただく」
男「ほいっと。……ジャムか?」
黒髪娘「自分で塗れる……と思う。……ほら」にこっ
男「覚えたな」
黒髪娘「もちろんだ」
男(機嫌良いな……。これは、その。
 やっぱり、そう言うことなんだろうなぁ)
黒髪娘「どうだ?」
男「完璧だぞ」
黒髪娘「うむ」 にこっ
男「なんだかんだで、もう最終日か……」
黒髪娘「そうだな」

880 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:44:51.67 ID:J2V03bbQ0
男「今日はどうする?
 帰還は夜の19時ってとこだと思うけど」
黒髪娘「後どれくらいあるのだ?」
男「11時間かな。昼は食べるとして、いや。
 夜も食べた方が良いのか」
黒髪娘「食事を決めるのか、予定を決めるのか」
男「同じ事だろう?」
黒髪娘「むぅ。……男殿と一緒ならば、それで良いな。
 出掛けたとしても余り見て回ると、
 体調に差し支えがありそうだ」
男「体力ないもんなー」
黒髪娘「淑女としてはしかたないのだ」
男「……ノーパソで映画でも見るかぁ」
黒髪娘「てれびんか?」
男「似たようなものだよ」
黒髪娘「楽しみだな」 にこっ

886 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 12:58:03.66 ID:J2V03bbQ0
――夕刻、祖父の家
かたたん。からり。
姉「こーんばんわー♪」
男「おう。姉ちゃん」
黒髪娘「こんばんは、姉御殿」
姉「黒髪ちゃん。可愛いねっ」 ぎゅっ
男「抱きつきはやっ!?」
黒髪娘「くすぐったいのだ」にこり
姉「ぶぅぶぅ。いいじゃないのよ。
 黒髪ちゃんはわたしのものなのよ?」
男「それはないだろ」
黒髪娘「姉御殿にはお世話になったのだ」
姉「今日、帰るんだよね」
男「そうだよ」

887 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:00:27.96 ID:J2V03bbQ0
姉「いつごろ?」
男「あと数時間で出る」
黒髪娘 こくり
姉「……ふむ」
男「どした?」
姉「ううん。えっと、お土産持ってきた」
男「なにさ?」
姉「んっとねー。桃シャンプーと、下着と、
 ネイルケアの道具と、あとコンビニのお菓子と」
男「姉ちゃん。こいつ、そんなに持ってくのは……」
黒髪娘「いいのだ。男殿。有り難く頂きたい」
男「そか……」
黒髪娘「何から何までお世話になった。姉御殿」ぺこり
姉「いーのいーの。可愛い黒髪ちゃんと
 遊べて楽しかったわ」
男「遊んだだけだもんな、ほんと」

888 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:03:23.04 ID:l89RAcHC0
支援
SSスレに荒らしはつきものだから気にせず続けてくれ
黒髪たん大好き

889 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 13:08:34.59 ID:J2V03bbQ0
姉(ふむふむ……。雰囲気がねー……) くいっ
  男「なんだよ」
  姉「どうしたのよ。黒髪ちゃんとの距離が近いじゃない。
   具体的に云うと、この間より20cmくらい。
   隣にいるのが当然みたいに座っちゃって」」
  男「う゛」
  姉「なんかあった?」
  男「あったような……。無かったような……」
黒髪娘「?」
  姉「まーだ煮え切らないんだ。あんた」
  男「煮え切ると各方面に迷惑掛けるのっ」
  姉「物事の優先順位判定、間違えないようになさいよ」
  男「……」
  姉「“あんたの苦労”なんて一番優先度低いんだからね」

890 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:10:58.66 ID:9xXdSOaL0
この姉ちゃんなら時代も関係ねーとか言うんだろうな

891 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:13:20.56 ID:QQE8HzV10
まぁこのねーちゃん当事者じゃないし事情も知らんからな

892 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:14:29.86 ID:J2V03bbQ0
姉「ま、いいわ。ん。
 ……今日は帰るね」
男「へ? お茶くらい入れるぞ?」
黒髪娘「そうです。こんな早々に」
姉「いーのいーの。顔みてお土産渡したかっただけ。
 それに、お迎えとか、送り届けとかさ。
 私が見ない方が、良いんでしょ?」
男「姉ちゃん……」
姉「いや、違うよ? 時間がもうちょいだから
 二人っきりにして上げようとか云う
 そういうらぶろまな心遣いじゃないよ?」 にやにや
男「とっとと帰れよ」
黒髪娘「ふふふふっ」
姉「ま、いいわ。……がんばんなさい」
男「ったく。わかったよ」
黒髪娘「ありがとうございました。姉御殿」

894 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 13:40:08.42 ID:J2V03bbQ0
――夜、祖父の家の納戸
黒髪娘「そろそろかの」 どきどき
男「うん。もうちょい。時間がずれちゃうから、
 なるべく正確に戻らないと菜」
黒髪娘「あちらでは30日が経過しているのだな」
男「そのはず。吉野で静養って話になってるんだよな?」
黒髪娘「友が万事問題なく手配してくれているとは思うが」
男「まぁ、大丈夫だろう」
黒髪娘「……うん」
男(――“花鳥文螺鈿作り黒檀長櫃”。
 チャンスを捉えて何とか調べておかないとなぁ)
黒髪娘「男殿……?」
男「ん?」
黒髪娘「その」
男「うん」
黒髪娘「……」
男「大丈夫。ちゃんと帰れるよ」 ぽむぽむ
黒髪娘「うむ。……友が待っていてくれるものな」

896 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 13:54:25.33 ID:J2V03bbQ0
――黒髪の四阿、深夜
がたがたがたっ。がぽんっ!
……しゅとっ。
男「っと、っと、っと。よいしょ」
黒髪娘「す、すまぬ」
男「二人一緒はさすがに狭かったか」
黒髪娘「うむ。でもそれで良かった」
友女房「姫様っ!」
黒髪娘「友っ。どうだ? 今はいつだ?」
友女房「きっかり30日、予定どおりでございますよ」
男「ほっとした」
友女房「ええ。男様、ありがとうございました!」
黒髪娘「久しぶりの庵だなぁ。
 真夜中だが、湯浴みの準備を頼んでも良いか? 友」
友女房「ええ、もちろんでございます……が」
黒髪娘「ん? どうした?」

898 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 14:06:08.91 ID:baPcMRrL0
着替えないとなwww

899 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 14:07:57.79 ID:J2V03bbQ0
友女房「いえ、多少いろいろがございまして……」
黒髪娘「何があったのだ?」
友女房「いえ、私からは何とも……。
 まだ、確としたお話でもないと存じておりますし。
 詳しくは藤壺の上からお聞きになられた方が良いかと。
 “吉野からお戻り”の際は是非お会いしたいと
 何度か文の連絡を頂いております」
黒髪娘「そうなのか……。何があったのだろう。
 わかった。明日にでも文を送ってみよう」
友女房「それが宜しゅうございますよ」
下級女房「――」
友女房「姫、湯浴みの準備があるそうです。よろしいですか?」
黒髪娘「うむ、わかった。
 ……男殿、しばらくお待ちを。炬燵にでも入っていて欲しい」
男「ああ、判ったよ」
とててててっ。
友女房「男殿、お時間を宜しいですか? お話があるのです」
男「判った。こっちも聞きたいことがあったんだ」

909 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 15:43:39.14 ID:J2V03bbQ0
――数日後、藤壺の宮
藤壺の君「吉野から良くお戻りになられて、
 黒髪の姫。皆も心配していたのですよ?」
黒髪娘「はい。ありがとうございます……」 ふかぶか
藤壺の君「さる歌会はまだ雪残る春でしたが、
 はや、山裾には桜の袖がひろがっております」
黒髪娘「はい。風に舞うは雪のよう……」
藤壺の君「本当に……」
黒髪娘「……」
藤壺の君「お茶を入れさせましょう」 ぱちん
しずしず
藤壺の女房「……失礼いたします」
藤壺の君「……」
黒髪娘「……」
藤壺の君「実は、お話ししたいことがありお呼びしたのです」
黒髪娘「はい」

911 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 15:50:12.39 ID:J2V03bbQ0
藤壺の君「……話は半月ほど遡るのですが
 承香殿(じょうきょうでん)※で鶯の音を愛でる宴が
 催された折のことです」
黒髪娘「……」
藤壺の君「宴そのものは、鶯の音こそ少ないものの
 盛会でした。管弦の楽の音は素晴らしく
 特に中将の笛は昨今にないあでやかさでした。
 それはよいのですが、その宴の折に
 黒髪の姫の話題が出たのです」
黒髪娘「わたしの……?」
藤壺の君「ええ。くだんの歌会からこちら
 姫の話は宮中の噂の的でした。主にその学識や
 見識の高さ、歌を詠む姿勢などですが
 臨席された帝が興味を持たれて」
黒髪娘「帝が?」
※承香殿(じょうきょうでん):内裏(天皇の住む
 私的な場所)の建物の一つ。かなり格が高い。

912 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 15:51:15.40 ID:0CQWWx/G0
NTRか

913 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 15:54:24.91 ID:SZN59vhP0
ママレは鬱も萌もどちらも得意だから困る

916 :VIPがお送りします [] :2010/01/23(土) 15:58:52.19 ID:FZhEVchk0
NTRは許さない

917 :VIPがお送りします [sage] :2010/01/23(土) 16:00:31.49 ID:0CQWWx/G0
ここで帝の申し出を断ったら
藤壺:死ぬ
自分の家:死ぬ
友;路頭に迷う