Part10
478 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:46:24.08 ID:
cN7NTMxiP
――男の実家、ダイニングキッチン
黒髪娘「これは……」
男「えーっと。パンと目玉焼きと、ジャムと。
クラムチャウダーなんだけど……」
黒髪娘「未来の料理か」
男「まぁ、そうなる」
黒髪娘 どきどき
男「知的好奇心100%の表情だな」
黒髪娘「食べてみたい」
男「もちろん。どうぞ。……んじゃ頂きます」
黒髪娘「頂きます」
かちゃ、ちゃ……
男「どう?」
黒髪娘「うむ。この汁物は……貝か。
何ともいえぬ豊かな味わいだ!」 にこっ
男「良かった」
482 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:52:12.55 ID:
cN7NTMxiP
黒髪娘「このパンなるものの柔らかきこと……」はむっ
男「気に入ったみたいで良かったよ」
黒髪娘「朝からこのような馳走をいただいている。
感謝としか言いようがない」
男「ん?」
黒髪娘 もたもた
男「ああ。ジャム塗るよ」
黒髪娘「これは、塗る物なのか?」
男「そう。パン貸してね。……こうやって、こう」
黒髪娘「ふむ」
男「わかった?」
黒髪娘「理解した。……それにしても」
かちゃ、ちゃ
黒髪娘「何もかも手間を掛けさせることばかりだ。
申し訳なくて、消え入りたくなる」
男「なんだそんなことか。俺が向こうに行ってた時は
俺の方が世話になっていたじゃないか。おあいこ様だよ」
483 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 20:56:47.62 ID:
cN7NTMxiP
黒髪娘「そうであってくれれば良いのだが」
男「気にすることはないって」
黒髪娘「ん。これは! この味覚は!」
男「だめだった? うちは姉ちゃんの方針で
イチゴジャム禁止なんだわ」
黒髪娘「それは判らぬが、これはミカンか。
なんと爽やかで、甘く、芳醇な味わいだろう!」 ぱぁっ
男「気に入ったか」
黒髪娘「うむ。これは美味しい! 大変美味しい!」
男「あはははっ。いいから、ちょっと拭け」 くすくす
黒髪娘「む?」
男「ほら、口だして」 きゅっ
黒髪娘「これははしたないところを見せた」
男「いや、良いよ。くはははっ」
485 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:04:10.57 ID:
cN7NTMxiP
がちゃん
姉「あ、ご飯中?」
黒髪娘「姉御殿」
男「お帰り、姉ちゃん。早かったね」
姉「まぁね。朝早めから行ってきたし」
黒髪娘「ど、どうぞ。こちらへ」
姉「ありがとうねぇ、黒髪ちゃんっ」むぎゅん
黒髪娘「うう」
男「姉ちゃんも何か食うか?」
姉「あたしテキサスマックバーガー食べてきたから」
男「そっか。じゃ、何か入れるよ」
姉「紅茶が良いな」
男「ほいほい」
姉「〜♪」
黒髪娘「どうしたのですか?」
姉「いやいや。美少女と一緒のランチは目の保養ですよ」
黒髪娘「??」
488 :
VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 21:09:45.37 ID:1U39smzE0
誤字もないし量も質もすごいな支援
493 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:19:09.40 ID:
cN7NTMxiP
いや、誤字はあるんだ。
誤字はあるんだ、沢山あるんだよ orz
判っていてもなくならないのだ。スミマセンスミマセン。
さてはおまえ「小沢さんは潔白です」みたいなアレだな(T∇T)
反省して粛々と書くよ。
雑談嬉しいよ。展開に影響とかないとはいわんけど
別にストレスはないので余り過剰に気にせずに(>_<)
エロリクには答えられないけどなっ(´∇`)ゥアッフゥ
497 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:24:12.97 ID:
cN7NTMxiP
コトン
男「ほいよ、紅茶だぞ」
姉「さんきゅー!」
男「黒髪のも入れるな。これは、紅い茶なんだ。
甘くして飲んだりする」
黒髪娘「いただき……ます」
男「姉ちゃんの前だと大人しいのな」
姉「気にすること無いのに」
黒髪娘「そんな事はない……です」じっ
男「ぷくくっ」
姉「まぁ、食事の後は着せ替えね! 自信作だからっ」
男「なんか色々思いやられる」
黒髪娘「お世話になります」
姉「くぁ! 可愛いっ!」
黒髪娘「うう」
男「晩飯はどうしよっか?」
姉「あ。鍋にする。弟が作って」
男「ほいほい。飯の後、爺ちゃん家へ移動すっから」
499 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:27:54.41 ID:sfMyUefS0
おk把握した
ヒートアップし過ぎない程度に雑談するさ
508 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:38:10.55 ID:
cN7NTMxiP
――夕方、男の住む街
黒髪娘「……」おどおど
男「そんなにおっかなびっくりじゃなくても」
黒髪娘「ばれたりはせぬか?」(小声)
男「大丈夫だって。同じ人間じゃない」
黒髪娘「そうでもあろうが、こ、このような髪の
持ち主は居ないではないか。みんな、短いし……」
男「いーの。黒髪は、その髪が綺麗なのっ」
黒髪娘「そう言ってくれるのは嬉しいが」びくっ
男「?」
黒髪娘「いますれ違った婦人、
こちらを見て笑っていなかったか?
くすくす笑っていなかったかっ!?」
男「お前、本当に引きこもりなのな」
黒髪娘「出歩く時に牛車がないなんてっ。
こうやって周囲に壁がない広い空間に出ると
落ち着かないんだっ。うううっ」
男「ハムスターみたいなやつだなぁ」
511 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 21:44:10.72 ID:
cN7NTMxiP
黒髪娘「あれはなんだ?」
男「ああ、ポストだ。郵便……
んっと、手紙とかを入れると届けてくれる」
黒髪娘「あの赤い箱が届けてくれるのか?」
男「いや、ちがうちがう」はははっ
「こっちでは、雑色とか女房とか、居ないんだよ。
みんなが平民みたいな物だから。
だから、手紙を届ける専門の人がいて、
あの赤い箱からみんなの手紙を取り出して
一通ごとに、宛先の……つまり手紙を書いた人が
届けて欲しい相手に届けて回るんだよ」
黒髪娘「ふむふむ……あ、あれは? もしかして」
男「あれはただのラーメン屋だ」
黒髪娘「らあめん? こんびにではないのか」
男「こんびには、そら。あっちの明るいのだ」
黒髪娘「おお。あれがコンビニか!」
男「寄りたいのか?」
黒髪娘「うむ。い、いや……沢山人がいるな。
いまは、その……任務があるからまたの機会に」
男「くくくくっ。そうだな。先にスーパーいくか。
なぁに、スーパーもコンビニも似たようなものだ」
518 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:03:59.41 ID:
cN7NTMxiP
――スーパー「主婦の店いずみ」
んがー
黒髪娘「開いたっ」
男「自動ドアだって。ほら、えーっと。なんだ。
俺の後くっついてきてな? 見回しても良いけれど
走り出したり迷子になったりするなよ」
黒髪娘「自慢ではないが、走るほどの体力はない」
男「ぷくくくっ」
黒髪娘「この煌びやかな寺社はなんなのだ?」
男「寺社じゃないよ。商店、つまりあー。
商いの店だ。こうやってた何ある物は全部売ってるんだよ」
黒髪娘「これほどの物を商っているのか。
で、物売りはどこにいるのだ?」
男「この加護に、欲しいものを入れていって、
最期に物売りと話をするわけ」
黒髪娘「そうか……。今宵は何を買うのだ?」
男「んー。そうだなぁ、今晩の食事と。
おやつを少しばかりと、明日の分と……」
274 :
パー速民がお送りします [sage] :2010/01/22(金) 08:26:00.92 ID:IvfDq5wP
男「んー。そうだなぁ、今晩の食事と。
おやつを少しばかりと、明日の分と……」
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黒髪娘「……」きょろきょろ
男「やっぱり珍しい?」
黒髪娘「何もかもが見慣れぬ。やっと男殿が
我が世に来た気持ちがわかった」
男「だろぉ。もう何でも珍しい訳よ。
質問がありすぎて、帰って聞けなくなっちゃったりな」
ころん
黒髪娘「それは菜だな。こちらは葱、瓜もあるな。
野菜は似たものが多くあって、ほっとしたぞ」
男「それは俺も思ったよ。そっちの野菜の方が
小振りな物が多いけれどな。
こっちも馬鹿にしたものじゃないぞ」
黒髪娘 じぃっ
男「どうした?」
黒髪娘「これは、150であろう?
150とは、どれくらいの値なのか?」
男「そうだなぁ。何と言えばいいのかな」
黒髪娘「この150をどれくらい買えるのだ?」
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男(こいつはこっちの世界のこと、何も知らないだけで
別に馬鹿じゃない門な。むしろ賢くて聡明といっても
良いくらいな訳で……)
520 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:07:07.83 ID:
cN7NTMxiP
男(こいつはこっちの世界のこと、何も知らないだけで
別に馬鹿じゃない門な。むしろ賢くて聡明といっても
良いくらいな訳で……)
男「そうだな。普通の男が一日汗水流して働いて
5千から2万くらいかな。こっちの通貨は円と云うんだけど」
姉「ふむ。では、この菜を毎日50個も食すことが出来るのか。
いや、しかし、一族郎党となるとそれでは」
男「だから、貴族は居ないからさ。
もちろんそれ以上稼ぐ人もいるけれどな。
大抵は、お父さんが一家4、5人を食わせればそれで済む」
黒髪娘「そうなるのか」
男「豆腐と……何鍋が良いかな。黒髪は何が良い?」
黒髪娘「判らない。男殿に従う」
男(やっぱり、何となくでも覚えのある味だと安心するよな。
俺もそうだったし。そうなると、塩か、味噌か。
醤油は、醤(ひしお)とはちょっと味が違ったしな。
考えてみれば、みりんもないのか?)
黒髪娘「?」
男「うっし、きまった。味噌だな」
521 :
VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 22:13:26.82 ID:vLc8yv9HP
猿対策
しかしどうやって変換ミスしてるのかわからないミスがあるよなw
523 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:15:39.93 ID:H/Q4LAzK0
なんか設定とかすげーしっかりしてんのな
読んでてワクワクが止まらない
524 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:16:30.75 ID:sfMyUefS0
坦々胡麻鍋〆はラーメン
>>521
普段どんな文を打ってるのか気になるよなwww
526 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:21:04.46 ID:JW/Zm7n70
実は>>1が黒髪で、現代語に訳しながら書いていると考えれば全て説明が付く
527 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:21:50.50 ID:
cN7NTMxiP
――男の自宅、夜の食卓
ぐつぐつ
黒髪娘「これはよい香りだ」 そわそわ
男「まだ蓋開けちゃダメだからな」
黒髪娘「心得ている」
男「姉ちゃんも、開けようとしないっ」
姉「いいじゃん、ちょっとくらい」
男「湯気が逃げると、煮えるの遅くなるでしょ」
姉「しゃぁないなぁ。あ。ビール」
男「はいはい」
姉「黒髪ちゃんは?」
黒髪娘「わたしは」
男「黒髪は、まだ酒はダメです。はい、お茶ね」
姉「ちぇっ」
黒髪娘「ふふふっ」
男「ったく」
529 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:29:52.93 ID:
cN7NTMxiP
姉「それにしても、どう?」
男「どうって?」 きょとん
姉「とろいなぁ。黒髪ちゃんの格好よ」
黒髪娘「あ……」
男「それは、そのー」 かぁっ
姉「どうよ、この姉! みんなの希望の星!
庶民のスーパースターお姉ちゃんの見立てはっ!
まず、この胸元のタックっ! 清楚な中にも
可憐さを演出する臙脂色のリボンタイっ!!
そして極めつけはっ!」
がたっ、だたんっ。
黒髪娘「ひゃっ!?」
姉「この 黒 タ イ ツ っ!!」
黒髪娘「うっ。ううっ」
姉「黒髪っ娘×黒タイツっ。
この禁欲的な組み合わせに胸ときめかないやつは居る?
板としてもそいつ非国民だから。
割り当て的には衛星軌道の外だからっ!」
男「それ非国民じゃなくて非地球民じゃんよ……」
530 :
VIPがお送りします [sage] :2010/01/21(木) 22:31:08.85 ID:GukP/yfnO
追い付いたこのスレ開いた時には20時だったはず…
タイムスリップ?!
538 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:49:37.74 ID:
cN7NTMxiP
姉「で、どうなの」ずいっ
黒髪娘「……うう」
男「な、なにが?」
姉「黒タイツよ。黒髪ちゃんの……」
男(あ、あ。ああ……う。
……ぐ……。
く、悔しい。
悔しいがっ。
姉の云うことにも……一理ある……。
似合う。
似合いすぎている……っ。
俺が福本漫画なら悔し涙を流しているところだが……)
姉 にやにや
黒髪娘「……滑稽だろうか?」ちらっ
男(上目遣いしないでくれっ。
ただでさえ、身長差があっていろいろ
いっぱいいっぱいなんだからっ)
男「い、いや。似合う……んじゃねぇすか?」
姉「あ。逃げた」
男「ニゲテナイ」
姉「童貞が逃げた」
539 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 22:50:24.82 ID:07y2a14A0
童貞が逃げたぞー!
545 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 23:00:18.08 ID:
cN7NTMxiP
姉「あんたねー。女の子可愛い服着てたら
褒めるっしょ? それ基本でしょ?
基本外したら落とすよ? アクシヅ」
男「うろ覚えのにわかオタネタやめようよ」
黒髪娘「……」そわそわ
男「あー。可愛い。すごく似合う。
こっちのどんな娘より
美人で綺麗だから、安心しろって」
黒髪娘「う、うむ……。ありがとう」
姉(“こっちの”?)
黒髪娘「軽くてふわふわ頼りなくて落ち着かぬが
そう言って貰えると、本当に嬉しい……」
男「調子狂うな」
姉「まぁ、いいじゃない。煮えた?」
男「もうちょっと」
姉「ふぅん」 にやにや
「あんた達二人はゆでだこみたいに、
良く煮えてるみたいだけどね〜」
男「うっさい!!」
551 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 23:04:38.75 ID:sfMyUefS0
ちくしょう鍋より先に二人の方が煮えて出来上がっちまったってか
556 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 23:24:35.66 ID:
cN7NTMxiP
――その夜、男の祖父の家
がらがらがら……
男「疲れただろう?」
黒髪娘「少し」
男「うそつけ。引きこもりなんだからぐったりのくせに。
わるいな、ほんとに。騒がしい姉ちゃんでさ。
悪いやつじゃないんだけどな。
ゆるしてくれよ。
まぁ、ほら、あがって」
黒髪娘「ん。その……」
男「?」
黒髪娘「いや、その。この……」
男「ああ。靴な」
黒髪娘「沓(くつ)ならば判るのだが」
男「いま、脱がしてやるよ」
黒髪娘「んぅ……」
男「ほら、もじもじしない」
557 :
VIPがお送りします [] :2010/01/21(木) 23:30:39.35 ID:
cN7NTMxiP
黒髪娘「しかし。殿方に沓を脱がさせるとは。ううう」
男「?」
黒髪娘「恥ずかしい……」
男「〜っ! 恥ずかしがられると、
こっちが余計に恥ずかしいっ」
黒髪娘「済まない。その……抵抗しないので……
出来れば、手早く済ませてくれると……」
男(こいつ計算抜きでこれ云ってるヨ……)
黒髪娘「ひゃ……」
男「なんだよ」
黒髪娘「ちょっとヒヤっとしただけだ。
なんでもない。私は冷静だぞ」 かぁっ
男「うううっ……」
黒髪娘「もう、良いか?」
男「うぐ。うんっ。もう出来た、ほら、行くぞっ?」
黒髪娘「判った」 すくっ。……っとっと
男「手を貸せ。……こっちな?」