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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part90


398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 22:27:55.83 ID:bGZgmCoP
同盟職員「いえ。30じゃダメ、なんですよね?」
青年商人「もう少し欲しいですね。
 これではシェアを奪ったとしても“勝った”という印象には
 なりがたい。今はその印象が欲しい」
本部部長「その印象で何を商うのです?」
青年商人「それは、勝った後の話です」
同盟職員「んー」 ばりばり
同盟職員娘「どうしたの、頭かきむしって」
同盟職員「何か思いつきそうなんだ。
 何かが出かかっている感じがする。
 泥仕合を避ける……。うー。どっかで似たようなシチュエーションを やった気がするんだけど」
同盟職員娘「なんの取引?」
同盟職員「判らない」
同盟職員娘「それじゃ手伝えないわよ」
青年商人「ふむ」
同盟職員「30……。多分、切り口は、まだ試合前って事なんだよ」
青年商人「試合、前」
同盟職員「……うん、そうです。それが鍵です」
同盟職員娘「……」
本部部長「何を悠長な。可否判断にそこまでの手間を」
青年商人「いや、待ちましょう」
同盟職員「……圧縮? いや……買い付け、か。
 つまり、敵に無くて、僕たちにあるものだっ!」
青年商人「時間っ。そうですね?」
同盟職員「そうです。それをなんとか利用して……」
青年商人「買い付けた為替証と、反転させた攻勢の
 組み合わせで、全体を溢れさせる……。
 その瞬間を勝利宣言。……それで二倍。30%の二倍」
同盟職員娘「は? はぁ!?」
青年商人「判りました。まずは勝利する。
 得点はその後。……そういう流れになりますね?」
同盟職員「そうです。いけますよ。きっと!」

424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:13:17.22 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、遠征軍
ダカダッ! ダカダッ! ダカダッ!
百合騎士団隊長「見えたぞ! 進め! 進め! 光の子らよっ!」
従軍司祭長「あれぞ! 目指す開門都市はあれぞっ!」
灰青王「中央銃兵!! 列を崩すなっ!」
光の銃兵 ザッザッザ
「光は求め給う!」 「光は求め給う!」 「光は求め給う!」
光の槍兵「我らが猊下のために!」
光の中隊長「光の精霊、万歳っ!!」
光の軽装歩兵「光の精霊、万歳っ!!」
ダカダッ! ダカダッ! ダカダッ!
百合騎士団隊長「敵は正面、方陣を引いているっ」
灰青王「ふんっ。中央に歩兵、右翼に軽装散兵。
 左翼には……あれは巨人か」
百合騎士団隊長「巨人とは……。ふふふ、どうするの?」
灰青王「山よりも大きな訳でも無し。
たかが身長が倍ほどあるだけではないか。
 あれはカノーネの良い的になってくれるだろうさ」
ザッザッザッ
光の中隊長「進め! 進め! 敵は目の前だ」
百合騎士団隊長「お手並みを拝見といこうかしら」
灰青王「勝利はあなたの唇に捧げるとしよう。
 マスケット準備! このまま前進するぞっ!!」

425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:15:14.48 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、魔族軍
  うわぁぁぁ!!!
副官「来ましたね」
鬼呼の姫巫女「うむ。頼むぞ」
鬼呼軍団長「遠征軍が来た! 鬼呼の勇士達よっ!」
鬼呼の刀兵 かちゃ
鬼呼の槍兵 ちゃきっ
鬼呼軍団長「諸君らの勇猛はわたしのもっとも知るところだ。
 敵の突進は熾烈を極めるだろうが、それを受け止める必要がある。
 諸君らの武勇は、敵の猪口才な火筒などに
 左右されるものではない!
 鬼呼の誇りをかけて切り刻めっ!」
鬼呼の刀兵「はっ!」
鬼呼の槍兵「承知っ」
副官「ここはお任せしてよろしそうですね。
 わたしは混成軍の指揮に行ってきます」ひらりっ
鬼呼の姫巫女「頼んだぞ」
鬼呼軍団長「お任せあれ!」
  うわぁぁぁ!!!
だかだっだかだっ
副官「近づいてきたな」
竜族の重装歩兵「人間めらが来たなっ」
巨人投擲兵「うん……きた……」
副官「そろそろ始まりますよ。準備を!!
 巨人の皆さんの手元へ投げ槍を運んで下さい。
 この場所から、敵軍へ向かって連続投擲を行ないます」

426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:17:34.58 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、遠征軍
ザッザッザッ
灰青王「ここ、だな」
霧の国騎士「はじめますか」
灰青王「うむ。――中央第1部隊! 突撃!
 敵軍に接触時点で射撃っ! ゆっけーい!!」
光の銃兵「うわぁぁぁぁ!!」
光の槍兵「突撃ぃ! 突撃だぁ!!」
光の中隊長「光は求めたもうっ!!」
灰青王「続いて、中央第2部隊! マスケット準備!
 第1部隊が敵軍と接触、銃撃をしたならば次は諸君達だ!!」
光の中隊長「急げ、遅れるなっ!!」
光の軽装歩兵「魔族を打ち倒せ!」
百合騎士団隊長「そうだ、あの開門都市を我らが手にっ!」
従軍司祭長「光の精霊のお求めですぞっ!」
灰青王「精霊? 戦場で事を決するのは、常に鋼と炎よっ」
ズダーン! ドーン! ドンッ! ズダーン!!
霧の国騎士「第1部隊、発射確認っ!」
灰青王「中央第2部隊! 突撃開始っ! 必ず、第1部隊の
 位置より敵陣に食い込んでから発射するのだっ!
 発射までは槍兵を中心にマスケット兵を護れっ!
 突撃っ! ゆけーいい!!」
光の銃兵「うぉおおおおおお!!」
「光は求め給う!」 「光は求め給う!」 「光は求め給う!」
光の中隊長「戦場の功は我ら第2部隊のものだぁっ!」

427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:18:51.62 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、魔族軍
鬼呼の姫巫女「来たな」ザシャ
鬼呼軍団長「刀を取れ! 勇者よ。行くぞ、突撃っ!」
鬼呼の刀兵「おおー!!」
鬼呼の槍兵「突撃っーーっ!!」
副官「こちらも行きます。マスケットの狙いを
 少しでも甘くさせてやるんです。
 接触よりも奥の地点を狙って下さい。それっ!!」
巨人投擲兵「ま、かせろ……」
 びゅんびゅんっ! びゅぅぅん!!
獣牙の散兵「我らも行くぞ、右翼より食らいつけっ!」
獣牙の突撃兵「突撃ぃ! 突撃っ!!」
ズダーン! ドーン! ドンッ! ズダーン!!
  ドーン! ドンッ! ズダーン!!
鬼呼軍団長「っ!?」
「うわぁぁあああ!!」 「な、なんだ……と……」
鬼呼の刀兵「ひるむなっ! 切り込めっ! 切り込めっ!」
鬼呼の槍兵「鬼呼の武勇を見せろ! 全軍突撃っ!」
巨人投擲兵「せいっ……」びゅんっ! びゅっ!
副官「なんてことだ。これがマスケットの突撃なのか……っ」
「ゆけぇ!」 「光は求めたもう!」 「光は求めたもう!!」
ドンッ! ズダーン!! ズダーン! ドーン! 
副官「なっ、第二射っ!? 早すぎるっ!!」

428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:19:55.18 ID:bGZgmCoP
――開門都市、奇岩荒野、東の砦、人魔軍
紋章の長「……我ら人魔軍も行きますよ」
魔術部隊隊長「了解。ゆくぞ」
魔術兵「はっ!」
ダカダッダカダッダカダッ
人魔騎兵「全体をそろえよ、遠征軍の戦闘部分を横から切断するぞ」
人魔槍兵「了解っ」
         ズダーン! ドーン! 
紋章の長「始まっていますね。魔術部隊、術式展開!」
魔術部隊隊長「はっ! “多重幻影術式”開始っ!」
魔術兵「“多重幻影術式”っ!」
魔術兵「“夢幻幻影術式”っ!」
紋章の長「騎兵諸君! 諸君らの身体には幻影の術式が
 かけられている。この術式のお陰で、諸君らの身体は
 敵からは薄れ、ぼやけ、あるいは鏡に映ったように
 何人もに分裂して見えるはずだ。
 敵の新型兵器マスケットは射撃武器だ。
 射撃武器である以上、この幻影にて命中率は大幅に下がる。
  騎兵を中心に横合いから突撃っ!
 敵部隊の前方突出部隊を噛みちぎり、そのまま乱戦に突入。
 開門都市のほうへと駆け抜ける」
人魔騎兵「了解いたしましたっ!」
人魔槍兵「我らが大儀のためにっ!」

429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:20:56.79 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、遠征軍
霧の国騎士「左翼から敵の伏兵。分断を目的とした突撃」
灰青王「ふぅむ。それくらいはやるだろうな」にやり
霧の国騎士「敵は幻影魔法による隠蔽の上、
 騎兵をぶつけてくる模様」
百合騎士団隊長「灰青王さま。分が悪いのかしら?」
灰青王「まさか。想定の範囲内ですよ。
 マスケットの意味と、兵の人員差を実感させてさしあげよう。
 左翼防御師団っ! マスケット準備っ!!」
光の銃兵 がちゃ
 がちゃ、がきん! がたっ! がちゃ、がちゃっ!!
光の中隊長「照準っ!」
光の軽装歩兵「構えーぃ、筒ぅ!!」
百合騎士団隊長「これは……」
灰青王「左右からの奇襲は織り込み済み。
 防御師団にはすでに射撃準備を命じてあると云うことですよ。
 どれほどかと思えば、騎兵5千に、突撃装備の槍兵2万と
 いうところですかね。
 マスケット兵1万の射撃にどこまで抗しうることか」
霧の国騎士「いけます」
灰青王「目標は騎馬! 幻影のことで思い悩むな!
 水平射撃を心がければよい! 斉射っ!!」
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
灰青王「射撃終わり次第装填! 第二射に備えよっ!!」

431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:22:43.19 ID:bGZgmCoP
――開門都市、奇岩荒野、人魔軍
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
紋章の長「なっ!」
人魔騎兵「うわぁぁぁ!!」
  「手がぁっ!」 「馬がっ! 馬が暴れてっ!!」
  「何だ、何が起きたんだっ!!」 「うわぁぁっ!」
人魔槍兵「なんで突然っ!? う、うわぁぁぁ!!」
ゴウゥゥン!! ゴォォン!
   ゴウゥゥン!! ゴォォン!
魔術部隊隊長「援護を! 何をしている! 騎馬の援護をするのだ!」
魔術兵「くっ! “中級火弾術式”っ!」
魔術兵「こ、これでもくらえぇ! “中級氷弾術式”っ!」
 ドーン! ズダオーン!
人魔槍兵「せ。せめて一撃くらいはっ! うぉぉぉ!」
ゴウゥゥン!! ゴォォン!
紋章の長「っ!!」
魔術部隊隊長「ダメです! 数が違いすぎますっ!」
魔術兵「隊長っ! 敵の攻撃が途切れませんっ」
紋章の長「魔方陣を組みなさい、広域呪文をっ!」
魔術部隊隊長「了解っ! 中級以上の術者は集まれっ!」
ひぅるるるるる!! ごぉぉん!!
魔術部隊隊長「うわぁぁぁ!!!」

432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/06(火) 23:23:45.98 ID:bGZgmCoP
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、魔族軍
ひぅるるるるる!! ごぉぉん!!
副官「本陣に直接打撃っ!?」
どぉぉんっ!!
巨人投擲兵「うわぁぁっ!!」
副官「これはっ。まさか、大砲!?
 だがこんな大型で高性能な砲が開発されたなんて話は
 聞いたことがないぞ、いったい何がっ」
どどどーんっ!!
巨人投擲兵「ぐぅぅっ……、ぅ、腕がっ」
副官「下がれっ! 竜族! 重装歩兵、前へっ!!
 撤退だ、撤退支援に入るっ! 傭兵隊はわたしに続けっ!
 鬼呼族の乱戦に突撃するっ!!」
人間騎士「くっそぉ」人間剣士「きやがれ、こっちゃ生まれた時から戦場暮らしなんだ。
 ぽっと出の農民なんかに負けてたまるかよぉ!!」
竜族重装歩兵隊「委細承知っ。部隊前進っ!!」
 ざっざっざっざっ!!
  獣牙の散兵「ひるむなぁぁ!!」
  獣牙の突撃兵「つっこめぇぇ!!!」
副官(なんてことだ。こんなにも、こんなにも戦力差があるなんて!)

438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:08:54.80 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、魔族軍
鬼呼軍団長「っ! これほどとはっ」
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
鬼呼の刀兵「進めぇ! 切り伏せろぉ」
鬼呼の槍兵「なっ! うわぁぁぁっ」ばたーんっ
   人魔騎兵「止めろぉ! 撃たせてたまるかぁ!!」
   光の銃兵「ぎゃぁぁっ!!」
  光の槍兵「死ね! 魔族めっ!」
  人魔騎兵「うわぁぁっ!!」
ダカダッ! ダカダッ!!
「光は求め給う!」 「光は求め給う!」 「光は求め給う!」
光の槍兵「我らが猊下のために!」
光の中隊長「光の精霊のために! 進めぇ! 撃て! 撃てぇ!」
ダカダッ! ダカダッ!!
副官(だめだ。この乱戦では……。くっ。やつらは
 最初からこちらが数を減らそうとすることを読んでいたんだ。
 これは……飽和攻撃だ。
 そのことは最初から理解していたはずなのに。
 兵力差があることは判っていたけれどそれでは甘かった……っ。
 こいつらは。
 こいつらは“最初から飽和攻撃を目的にした軍”なんだっ)
ダカダッ! ダカダッ!!
副官「だめだっ!! 姫巫女っ! 退いてください!
 都市に入ってくださいっ!!」

439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:10:10.98 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、遠征軍
観測兵「敵右翼、巨人の一団は沈黙。撤退の動き有り」
灰青王「中央部はどうだ?」
観測兵「すさまじい土煙で確認できません。
 しかし、奇襲を仕掛けてきた伏兵騎馬部隊はほぼ壊滅。
 残存部隊は、逆に乱戦区域に切り込んだ模様」
灰青王「させておけばよい」
霧の国騎士「いかがしましょう?」
灰青王「第1および第3部隊を下げさせろ。ほら貝を吹き鳴らせ。
 おまえは第4部隊を率いて前線をより深く打ち立てろ」
霧の国騎士「はっ!」
  ゴウゥゥン!! ゴォォン!
     ゴウゥゥン!! ゴォォン!
光の銃兵「精霊は欲したもうっ!」
光の槍兵「つっこめぇ!」
百合騎士団隊長「すさまじい銃火。どうなっていますの?」
灰青王「正気の司令官ならば、そろそろ撤退判断を
 下すでしょうね。確認は出来ないが、
 損耗率はもはや許容限界を遙かに超えている」
百合騎士団隊長「であ、もちこしに?」
従軍司祭長「そのようなこと、許されませんぞ」
灰青王「ええ。前線は乱戦となって膠着しかけている。
 そんな中で撤退の報せが走れば動揺が走り、
 反転時に大きな隙が生まれる。
 こちらは魔族のそんな動揺にに、
 完全な予備兵力として温存しておいた精鋭マスケット兵団と
 フリントロック隊、合計6000を投入する。
 ……連中が背中を見せた瞬間が、最後だ」

440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:11:37.75 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、魔族軍
獣牙の散兵「獣牙の勇姿を今こそ見せよっ!」
獣牙の突撃兵「仲間の撤退を護れ! つっこめっ!!」
鬼呼の姫巫女「撤退だっ」
鬼呼軍団長「歩兵部隊、傷病者より、後退っ!!」
副官 ぞくっ
獣牙の散兵「うぉぉっ!!」
獣牙の突撃兵「当たるかぁ!!」
鬼呼軍団長「くっ」
鬼呼の姫巫女「どうした、何故早く撤退をせぬっ」
鬼呼軍団長「急激に背中を見せれば、その隙を突かれますっ。
 こうして後退を行なうしかありませんっ。
 それすらも人魔族を見捨ててやっとなのです」
副官(なんだ、首筋が……。ぞわぞわするぞ……)
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
獣牙の散兵「うわぁぁっ!!」
獣牙の突撃兵「な、なにっ!? 新手だっ!」
鬼呼軍団長「新手っ!?」
副官(なっ!? この上、予備兵力だとっ!?)
鬼呼の刀兵「うわぁぁぁ!! な、なんであんなとこっ」
鬼呼の槍兵「ぐぎゃぁぁっっ!!」
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
副官「くっ。くそぅっ!! くそうっ!!
 助けるんだ、撤退を助けろっ! 弱いところを探して
 突撃を集中させるんだっ!」
うぉぉぉ。うわぁぁぁぁぁあ!!
副官「っ!?」

441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:12:43.46 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、奇岩荒野、人魔軍
うおおおぉぉぉおお!!
銀虎公「突っ込んでゆさぶれぇ!! 接近戦だっ」
獣牙双剣兵「おおおおっ!!」
獣牙斧兵「我ら獣牙精兵、友軍を見捨てはしないっ」
ドドオーン! ドーン!
魔王「敵にこだわるなっ! 混乱させればそれでいい!
 いまは撤退を助けて開門都市を目指せっ!!」
東の砦将「しっかりしろっ!」
紋様の長「ぐっ。うううっ……」
獣牙双剣兵「うりゃぁぁ!!」
獣牙斧兵「どっせぇーぇいっ!!」
魔王「魔法部隊っ! 歩兵に不可視呪文を投射せよっ!
 同士討ちを警戒させるのだっ。騎馬部隊は魔法部隊を保護っ!
 場合によっては同乗して東側より戦場を待避! 急げっ!!
銀虎公「気合いをいれろぉぉ! 合戦だぁぁぁ!!」
獣牙の散兵「銀虎公だっ!!」
獣牙の突撃兵「銀虎公のご帰還だぁ!」
銀虎公「俺が戻ったぞぉ!! 必ず生きて街へと戻るんだ!
 傷ついたやつがいれば肩を貸してやれ!
 どんなことになっても良い、戻るんだっ!!」
「魔王様だっ!」 「魔王様の援軍が現われたぞっ!!」
「撤退だ、魔王様の援軍が護ってくださるっ!」
「魔王のためにっ!」 「我らが護り手、紅玉の瞳のためにっ!!」

443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:14:11.36 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、南門から2里、奇岩荒野、遠征軍、天蓋馬車
「魔王のためにっ!」 「魔王のためにっ!」
大主教「……来たか」
従軍司祭長「は?」
 ズダーン! ガガーン!
 ドーン! ズダオーン!
大主教「魔王が来たぞ」従軍司祭長「なんですとっ」きょろきょろっ
大主教「戦場の中央部、乱戦部を抜けようとしているな」
従軍司祭長「何故そのようなことを居ながらにしてっ?」
大主教「くくく。これも精霊の啓示」
 ころん、ころんっ
百合騎士 ぞくっ
大主教「百合騎士隊よ」
百合騎士「ははぁっ」 がばっ
大主教「騎馬マスケット部隊にて、魔王を包囲するのだ。
 魔王の守りは薄い。
 持てる兵の全てを撤退戦に投入していると見える。
 王の守りを薄くするとは……。
 魔王とは云えぬ愚かさ。その割り切りも持てぬとは」
従軍司祭長「騎乗、攻撃準備っ!」
百合騎士「ははぁっ!!」
大主教「汝らの優先に、光の祝福を」
百合騎士「百合騎士隊よっ! 猊下のお導きだ。行くぞっ!!」

457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:57:02.82 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、奇岩荒野、合戦のさなか
  ゴウゥゥン!! ゴォォン!
     ゴウゥゥン!! ゴォォン!
霧の国騎士「死ねぇ! 異端めぇぇ!!」
東の砦将「うらっ! そうはいくかっ!」
 ギィインッ!
霧の国騎士「なぜ人間が魔族につくっ!」
東の砦将「なぜ殴りかかっても来ない相手に殴りかかるっ!!」
 ギィンッ! キン! キキンッ!
霧の国騎士「それが戦場の常だっ」
東の砦将「ああ、まったくだ。同意見だよっ!」
 ギィインッ! ヒュバッ!
 
霧の国騎士「っ!?」
東の砦将「同意見だから、人間だ魔族だ、やれ精霊だ。
 そういう面倒くせぇご託抜かしてるんじゃねぇよっ。
 どうせお前も俺も、野盗に毛が生えた程度の
 浅ましい畜生根性なんだからっ!
 よぉっ!!」
 ギィインッ!
霧の国騎士「黙れっ! 黙らないか、痩せ犬がっ!」
東の砦将「剣で黙らせてみろっ」
 キンッ! ヒュバッ! シュバッ!!
霧の国騎士「裏切り者の分際でぇっ!」

458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/07(水) 00:58:23.53 ID:UGv5Hk.P
――開門都市、奇岩荒野、合戦のさなか
 ゴウゥゥン!! ゴォォン!
    ゴウゥゥン!! ゴォォン!
魔王「急げ! 右翼に隙を見せるなっ! げほっげほっ」
人間の騎兵「魔王様、ここは危ない。早く移動をっ」
魔王「しかし、魔法部隊がっ」
銀虎公「行くぞ、魔王殿。……これはただの戦闘なんだ。
 魔王殿の出番は他にあるはずだ」
魔王「……っ」
ひゅるる……ドォォン!!
獣牙双剣兵「っ!」
ゴウゥゥン!! ゴォォン!
獣牙斧兵「なっ!」 ゴロンッ!
「魔王だ!」 「この近くに魔王がいるはず、魔王を捜せっ!」
「魔王を見つけ出し、マスケットを喰らわせるのだ!」
「魔界の背教者、暗黒の権化に死の鉄槌をっ!!」
銀虎公「くっ。どうやらばれたらしいな。早く行こう」
魔王「判った。都市へと退却するぞっ!」
人間の騎兵「「「はっ!!」」」
魔王(マスケットの威力がこれほどとは……。
 これも運用か。火器の配置と集中。
 そして乱戦を意にも介しない悪意に満ちた集中力と無慈悲さ。
 このような容赦のない用兵を行なう者が、
 聖鍵遠征軍に存在するとは……。
 これも、わたしの罪なのか……)