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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part80


517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:59:48.16 ID:iOYUExkP
――冬越しの村、湖畔修道会、本部修道院、水晶農園
がちゃん!
勇者「う、うわっ」
女騎士「どうした?」
勇者「すごい湯気だな」
女騎士「湯で暖房しているんだ。
 暖かい地方の植物を試験的に育てる仕組みだからね」
勇者「そうだったのか」
女騎士「初めてか?」
勇者「ああ、初めてだ。有るってのは聞いてたけれど」
女騎士「こいつはとんでもない金食い虫だよ。
 魔王に言われて作ってはみたものの、
 毎年暖房費が馬鹿にならないのし」
勇者「そりゃそうだろうよ」
女騎士「よし、ここだ」
勇者「ん?」
女騎士「湯だよ。暖房に使う湯の一部を、
 湯浴みに使えるようにしてあるの。
 汗を流したいだろ?」

518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 18:01:48.89 ID:iOYUExkP
勇者「ああ、それはありがたいけど」
女騎士「脱げ」
勇者「脱げるよっ! 1人でっ。
 ってかこっちくるなよっ! へ、変態っ」
女騎士「変態とは失敬だな。一緒に入るなんて云ってない」
勇者「じゃぁなんだよっ」
女騎士「背中を流す」
勇者「〜っ!!」
女騎士「いいじゃないか、腰には布でも巻いておけば」
勇者「そりゃそうだけど」
女騎士「ほら、脱げ」
勇者「判ったよ。脱ぐよっ! あっち向いてろよ」
女騎士「最初から素直に云えばいいんだ」
勇者「軽く負けた気分なんだぜ」
女騎士「もういいか?」
勇者「まだっ。だめだっ」
女騎士「ふむ」
勇者「……」もそもそ
女騎士「もういいだろう?」
勇者「むぅ。いいぞ」

519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 18:02:44.24 ID:iOYUExkP
女騎士「良し、そこに座れ」
勇者「こうか?」
女騎士「湯をかけるからな。熱かったら云えよ?」
勇者「うん」
女騎士「〜♪」
ざっぱーん
勇者「うわ、あったけー」
女騎士「気持ちよいだろう?」
勇者「おお。いいな!」
ざっぱーん
女騎士「冬場に招待できないのが残念だ」
勇者「なんでさ? 冬の方が気持ちよいじゃないか」
女騎士「冬にここで湯に入ったら、
 魔王の屋敷に帰るまでの雪の中で、
 湯冷めどころか凍り付いてしまう」
勇者「ああ、そういえばそうだな」
ざっぱーん
女騎士「……泊まっていけばいいんだけどな」勇者「へ?」
女騎士「なんでもない」

531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 19:57:29.96 ID:iOYUExkP
ざっぱーん
女騎士「〜♪」 ごしごしごし
勇者「それ、なんだ?」
女騎士「柔らかいブラシだ。豚の毛で出来てる」
勇者「気持ちいいなー」
女騎士「だろう? わたしも愛用の品だ」
勇者「そうなのかぁ」
ざっぱーん
女騎士「〜♪」 ごしごしごし
勇者「なんか、すごい手際がいいな。得意なのか?」
女騎士「仮にも騎士だからな。ブラッシングは得意だ」
勇者「そうなのか?」
女騎士「痒い所はないか?」
勇者「耳の後ろかな」
女騎士「よしきた」 ごしごし
勇者「はぅー」
女騎士「言葉がしゃべれる生き物の相手なんてちょろいものだ」

532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 19:58:45.26 ID:iOYUExkP
勇者「なんのことだ? 今ひとつ良く判らないな」
女騎士「こちらの話だ」
ざっぱーん
勇者「ううっ」ぶるぶるっ
女騎士「耳に入ったか? 済まないな」
勇者「平気だ」
女騎士「次は腕だ、右腕をかせ」
勇者「うん。あー」
女騎士「〜♪」 ごしごしごし
勇者「えっとさ」
女騎士「なんだ?」
勇者「いや、なんでもないけど……」
女騎士「変なヤツだな」
勇者「……いや、変じゃないんだけど」
女騎士「?」
勇者「くすぐったいのですが」
女騎士「男だろう? それくらい我慢しろ」
勇者「男だから我慢できないと云うこともあるわけで」

534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/02(金) 20:01:46.50 ID:iOYUExkP
女騎士「もうちょっとだから」 わしゃわしゃ
勇者「ううー」
女騎士「真っ赤だぞ」
勇者「女騎士が服着ててほんと助かってる」
女騎士「?」
勇者「熱い。水掛けて」
女騎士「うん、わかった」
ざぱーん
勇者「ふぅ……」
女騎士「次は左手を貸せ」
勇者「うん」
ごしごしごし
女騎士「勇者は、ちょっと頑張りすぎだと思うぞ」
勇者「……」
女騎士「少なくとも、わたしは、勇者に助けて欲しくて
 勇者を好きになった訳じゃない。それは多分、魔王も一緒だ」
勇者「え……。うぅ」
女騎士「何を真っ赤になってるんだ?」

535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:03:02.46 ID:iOYUExkP
勇者「いや、そんなことを突然云われても……」
女騎士「ああ、そうか。
 面と向かっていったのはもしかして初めてだったかなぁ。
 わたしは勇者のこと、好きだぞ。
 好きじゃない相手の剣になりたい訳がないだろう?」
勇者「……」
女騎士「固まっちゃだめだ」 ごしごしごし
勇者「えっと、すまん」
女騎士「うん。良いんだ。時間がかかるのは理解したから」
勇者「……?」
女騎士「勇者は強いよ。戦ったら、多分わたしなんか
 足元にも及ばないだろう? 
 でも、だから、その方法で強くなるのはもう限界だと思う」
勇者「……」
女騎士「限界というか、その方向で強くなっても、
 もう実際には勝てる相手は増えないんだ。最強なんだから。
 勇者が強くなるには、もっと自分を好きにならないと」
勇者「……そんなの出来るわけないし」
女騎士「出来るよ」
勇者「……」
ざっぱーん

536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:04:20.97 ID:iOYUExkP
女騎士「絶対できると思うぞ?」
勇者「そうかなぁ」
女騎士「一緒に旅をしていた頃の勇者も優しかったけれど
 今の勇者の方が何倍も優しいし、何倍も大きいさ」
勇者「……」
女騎士「だから、今勇者が抱えている悩みや、苦しみも
 そう言うの全部綺麗になくなるなんて云えないけれど
 もし仮に抱えたままでも、もっと強くなれるよ」
勇者「そうなれば、いいな」
女騎士「よっし。流すぞ〜」
ざっぱーん!
勇者「これで終わりか?」
女騎士「いーや、ユブネに入る」
勇者「ユブネってなんだ?」
女騎士「そこの大きな桶だ。お湯が入ってる。
 肩まで湯につかるんだ。サムラーイの修行らしいぞ?」
勇者「そうだったのか。サムラーイなら仕方ないな」
女騎士「身体を煮ることによって精神を鍛えるんだ」
勇者「精神……。俺に足りないのはそれだな!」 くわっ!
女騎士「100数えるまで出ちゃだめだぞ」

546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:29:52.78 ID:iOYUExkP
――冬の王宮、広間、対策本部
冬寂王「ふむ……。ではこれで」
妖精女王「ええ、準備は良いようですね」
羽妖精侍女 ぱたぱた
執事「よろしかったですな」
冬寂王「うむ。とりあえず、停戦、および平和条約の
 締結に向けての一歩を記すことが出来ましたな」
商人子弟「内容の方を一応確認いたしますと
 まず第一に大空洞から距離10里を中立地帯とし、
 その内側への武力介入の原則禁止。
 前二回の聖鍵遠征軍遠征、および極光党戦役における
 捕虜の引き渡し条項。また、同戦闘の責任追及の禁止。
 以降、互いの領土内にある事物の
 所有権を主張することの禁止。
 冬の国首都、および開門都市において
 互いの領事館を作りその連絡に努める。
 ……こうなっております」
冬寂王「何度か確認させていますが、
 念を押しますとこの条約は南部連合として行なうものであり
 連合加盟国の合意と署名は受けていますが
 中央諸国家のそれは受けていない。
 そのことを理解していただけるよう……」
従僕「……」
妖精女王「ええ、理解しています。あとはこの書類を
 わたしの側では、氏族会議の書き族長から、
 書名をいただいて」
冬寂王「こちら側では連合参加諸国の書名を全て記入し
 互いに交換すれば、締結ですな。内容についての
 判断は終わっているので、あとは形式的な処置と
 なりますが」

547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:31:19.16 ID:iOYUExkP
妖精女王「この一歩は偉大な一歩です」
羽妖精侍女「デスデス」
商人子弟「そうなればよろしいですね」
執事「ところで、鉄の国の氏族連合軍の件はいかがしますか?」
妖精女王「蒼魔族があのように瓦解した以上、
 魔界へと引き上げさせるべきかと考えますが、
 連合のお考えはいかがでしょう?」
冬寂王「こちらとしても異存はありません」
妖精女王「では、近々知らせを立たせましょう」
羽妖精侍女「ハーイ」
商人子弟「さて、これからも忙しいですね」
従僕「はいっ」
執事「課題は山積みですなぁ」
冬寂王「我らがこれを言うのもなかなか微妙ですが
 中央諸国は白夜王国を占領し、新生白夜直轄領を
 宣言しました」
妖精女王「直轄領……」
冬寂王「教会勢力の運営地、ということですな。
 これにより、彼らは極大陸への足がかりを得たことになる。
 報告の知らせによれば、彼らは魔界へと侵攻し
 『聖骸』なるものを狙っているとか」

548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:33:08.47 ID:iOYUExkP
妖精女王「その話は聞いておりますが、
 『聖骸』などというものはわたしも知りません。
 氏族会議でも学者に調べさせているはずですが
 現在までの所それが何であるかは判っていないのです」
羽妖精侍女 ぱたぱた
商人子弟「ふむ」
冬寂王「あるいはそれは実在しないのかも知れませんな」
商人子弟「そうですね……」
妖精女王「どういう事でしょう?」
冬寂王「ただ単純に領土的欲求を強く持った中央の諸国家が、
 地上から見て新たな可能性に満ちているように見える
 魔界に発展の余地を見いだし侵略する。
 その口実としてのでっち上げかも知れないという意味です」
妖精女王「その可能性は、悲しいですがあるのでしょうね」
執事「ですが、同時に彼らは『開門都市』の攻略をも
 予定しているようです。
 確かにゲートをくぐり抜けた、いままでは大空洞ですか。
 それをくぐり抜けた先で、魔王の城へと向かうのであれば
 あの都市は理想的な補給位置にあるのですが、
 だからといって他に目標と出来る場所が
 全くないわけでもなく。意図は良く判りませんな」
妖精女王「ええ、鬼呼、蒼魔、人魔のいずれの領地で
 あっても攻め得たはずです。確かにあの当時は我ら
 魔界の氏族は互いに不信感を居抱き合い、
 連携面では問題が多くありましたから、
 そこを突くには、竜族の保護下にありながら比較的
 開放されていたあの都市を落とすのが
 楽だったのでしょうけれど」

550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 20:35:45.65 ID:iOYUExkP
執事「しかし、今度はちがうのでしょう?」
妖精女王「はい。今回は氏族会議の結束も固くなり
 決して望みはしませんが、以前のようなことはないかと
 考えています」
冬寂王(だが、魔界は未だにマスケット銃なるものを
 十分に理解していないのではないだろうか?
 あの武器が充分に配備された兵が、
 本当に十万もいるのだとすれば、魔界の抵抗などは
 薄紙のごとく破れてしまうに違いない……)
妖精女王「私たち妖精族は、身体も大きくはありませんし
 魔力はともかく、戦闘能力には劣ります。
 ですから、戦争は是が非でも避けたいのですけれどね」
商人子弟「そうですね、戦争にならずに済むのが
 一番ありがたいんですが」
冬寂王(それは難しいだろうな。
 ……ここまで諸国家や貴族を巻き込んでしまった以上、
 一戦も交えずに帰るというわけにはもはや行くまい)
執事 ちらり
冬寂王「ええ、それが最も望ましい結果ですな。
 しかし、同時に備えなくしての平和もまた
 あり得ないでしょう。
 大氏族会議の皆様方、また魔界を統べるという魔王に、
 くれぐれもよろしくお願いいたします」

556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 21:05:00.94 ID:iOYUExkP
――冬越しの村、魔王の屋敷、執務室
魔王「んっ。うぅーん」ぽきぽき
メイド長「お背中が痛いですか? まおー様」
魔王「うむ、ちょっと根を詰めてしまった」
メイド長「肩でもおもみしましょうか?」
魔王「たのむぅ」
メイド長「ぐてぐてしてらっしゃいますね」
魔王「うむ……」
メイド長「手強いですか?」
魔王「なかなかになぁ。方策は思いつくのだが
 工作精度や冶金技術は一足飛びには上がらぬ。
 工具を作るための工具も必要だと思うし……」
メイド長「そうですねぇ」
魔王「あの遠征軍とやらは何とかならぬのかなぁ」
メイド長「そんなにあれが問題ですか?」
魔王「へ?」
メイド長「いえ、そんなに強大な脅威だとは
 思えないのですよね」
魔王「そうか?」
メイド長「はい」

557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 21:07:51.03 ID:iOYUExkP
魔王「どうする気だ?」
メイド長「いえ、出かけていって、
 首脳部を100人ばかり上から順に殺せば済むのではないかと」
魔王「ああ、まぁ、確かにな」
メイド長「……」
魔王「だが、それで皆は納得するのかな」
メイド長「納得、ですか?」
魔王「ああ、納得だ」
メイド長「判りませんね」
魔王「そうだなぁ。うん。
 実を言えば、わたしの当初考えていた課題は
 殆どクリアされているんだ。
  たとえば、人間世界側の飢餓の問題は、
 馬鈴薯および玉蜀黍の栽培で随分緩和された。
 もちろん政治指導の混乱で飢餓が起こりえることは
 あるだろうが以前のような、
 根本的な飢餓は少なくなったと確信できる。
 また、女魔法使いの助力も得て種痘が広がり始めた。
 人間世界も魔界も、これで人口は増え始めるだろう。
  人間世界には南部連合なる経済圏が誕生し、
 しばらくは軍事的緊張が続くだろうが、
 その状況さえ乗り切れば、
 中央諸国家とも良い関係が築けるのだと思う。
  中央側がどう考えようと、多様性は世界安定の鍵だ。
 二つの経済圏が存在した方が、発展の速度も安定度も
 増すことは確実なのだからな」

559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 21:12:03.81 ID:iOYUExkP
魔王「また、魔界では長い間続いていた種族間のわだかまりも
 合議制の会議と、いくつかの事件を経てゆっくりとだが
 融かされつつある。魔族という氏族社会に、人間という
 異分子が紛れ込んだことによって、潤滑油的な効果が
 有ったのかも知れない。
  現在進んでいる交易街道の計画は、
 確実に氏族同士の架け橋となるだろう。
 魔界は歴史の新しい局面へと入ったのだ。
  こうして考えてみると、
 “人間界の飢餓”“南部と中央の使役関係”
 “魔界の側の氏族間の対立”。
 どれも解決の道しるべは出来たのだ。
  もちろんいずれも根の深い問題だし、
 これからもトラブルはあるだろう。
 だが、それらは乗り越えられないものではないはずだ。
 またそれら全てをわたしが背負うつもりもない。
 ここはみんなの住む世界なのだから、みんなだってその
 進歩には参加してもらわねば困る」
メイド長「そうですね」
魔王「しかし、だとすると、
 今これから起きようとしている戦争
 ……つまり、中央の教会が考えている第三次聖鍵遠征軍は
 “システム上避けえない戦争”では無いということになる。
  追い詰められて否応なく行なう戦争ではない。
 欲望に駆られたのか、
 それとも何らかの狂信によるものなのかは
 わたしには判らない。
 けれど、そこには飢餓や経済的な逼迫とは
 また別種の力学が働いているように思われるのだ」

560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 21:16:25.99 ID:iOYUExkP
魔王「だが、以上の考察を正しいとすると
 原因を取り除く……、つまり、食糧の自給率を
 上げるであるとか、話し合いによって氏族間の鬱積した
 わだかまりを低下させるとか、
 その種の手法で解決させられるのかどうかは疑問だ。
  聖鍵遠征軍首脳部にはそれなりの能力もあれば損得勘定も
 有るのだろうが、少なくとも参加している民衆は
 宗教的な情熱に突き動かされているわけであろう?
 そうであれば、損得勘定で矛を収めさせることも
 難しいと予想することが出来る。
  これはなかなかの難問だ。
 そんな彼らを“納得”させる方法は、
 暗殺なんかじゃないと思うんだよ」
メイド長「ではなんです?」
魔王「その答えがわからないから悩んでいる」
メイド長「困りましたね」ぎゅぅ
魔王「ううう。痛いぞ。メイド長」
メイド長「すみませんっ」なでなで
魔王「何か見落としているような、
 間違っているような気もする」
メイド長「そうなんですか?」
魔王「食糧の問題も雇用の問題も外交の問題も
 経済を中心に回っている。
 経済が上手く行かなければ世界は幸せにはなれない。
 でも、経済が上手く行くだけでも
 幸せにはなれないのかもしれないな……」

563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 21:47:45.37 ID:iOYUExkP
――鉄の国南部、辺境の森、獣人族の大天幕
ばさっ
東の砦将「よう!」
軍人子弟「お邪魔しているでござるよ」
東の砦将「あんたも飽きないな!
 こんな森の中へ何度も何度も。
 何か面白いことでもあるのか?」
軍人子弟「面白いもなにも、見ず知らずの世界の話が
 聞けるなんてそうそうできる事じゃないでござるよ」
メイド妹「うんうんっ♪」
東の砦将「そりゃそうだが。おや?
 ……こっちのちっこいお嬢さんはなんだい?」
軍人子弟「ああ、これは拙者の妹分でござる」
メイド妹「ござるー♪」
東の砦将「元気いいなっ!」
獣牙戦士「面白い娘だぞ」
東の砦将「そうなのか?」
人間傭兵「なかなかに気合いが入ってるな。あははは」