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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part79


384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:30:43.62 ID:chcZF3wP
女騎士「でも、元気そうで安心した」
執事「まぁ、これでも鍛えていますからな」
女騎士「治癒術はしたのか?」
執事「ええ、大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
女騎士「これは見舞いだ。梨なんだが」
執事「嬉しいですね」
女騎士「剥いてもらうといいぞ。胸のでかい娘さんに」
執事「にょっほっほっほ」
女騎士「……胸のでかい娘さんになっ」
執事「こほん。いえ、ありがとうございます」
女騎士「……ふぅ」とさっ
執事「どうしました?」
女騎士「……じつは」
執事「……」
女騎士「……うん」
執事「なにかあったのですか?
 勇者との仲を決定的にすべく、
 この老爺の知恵でも借りに来たのですかな?」
女騎士「何で判ったのだ!?」
執事「年の功と申しますか、はははっ」

386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:33:32.25 ID:chcZF3wP
女騎士「そうなのか?」
執事「女騎士が勇者にほの字なのは、
 それもう、最初からばればれでしたからね。
 にょっほっほっほっほ」
女騎士「そうか……」
執事「ええ、そうですよ。
 一緒に旅をしていたあの当時から、あなたたち2人の
 視線の先にはいつでも勇者が居ましたから。
 とんだ迂闊の童貞ボーイですよ。にょほほ」
女騎士「2人?」
執事「いえ、それは何でもありませんよ。
 ところで、何処まで進んだのですか?」
女騎士「どこまで?」きょとん
執事「勇者との男女の仲ですよ」
女騎士「ああ、剣を受け入れてもらった。
 わたしはもう勇者のものなのだ」えへんっ
執事「……はぁ」
女騎士「何でため息をつくっ!?」
執事「こともあろうに“騎士の宣誓”を男女の仲の
 進展具合にカウントするとは。この執事も情けなくて
 笑い声が出てしまいます。にょっはっはっはっは!!」
女騎士「笑ってくれるな。わたしだってきわきわなんだし」

387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:35:03.52 ID:chcZF3wP
執事「まぁ、お二人とも奥手ですからね。
 おまけに相手はあの勇者ですし。
 まぁ、相当の難物ですよ」
女騎士「そうなのか?」
執事「ええ、魔王も困っているでしょう」
女騎士「そういえば魔王のことは、
 冬寂王には報告しないで良いのか?」
執事「それは、この爺には手に余る案件です。
 いずれ時が至れば、若が己で知るでしょう」
女騎士「そうか……。困るって、勇者はもしかしてその……」
執事「ん?」
女騎士「もしかして私たちのことを嫌いなんだろうか?」
執事「いえいえ、そんなことはないと思いますよ。
 ただ、勇者は難しい相手だ。
 とこのように申し上げただけで」
女騎士「それはなんでだ?」
執事「ふぅむ」
女騎士「昔のよしみだ。何かヒントをくれないか?
 わたしだって変態の知恵を借りるのは忸怩たる思いだが
 いい加減魔王に差を付けられていて、
 このままでは色々取り返しがつかなくなりそうなんだ」

404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:57:57.67 ID:chcZF3wP
執事「差、ですか」
女騎士「うん」
執事「差なんてついてないと思いますよ」
女騎士「そんなことはない。
 二人は一緒にソーセージを茹でたりして、
 なんだかすごく仲の良い雰囲気だったぞ」
執事「そう言うこともあるでしょうが、相手は勇者ですからね」
女騎士「判らない」
執事「ほら、覚えていますか? 砂丘の都を」
女騎士「ああ、うん。旅をしたな」
執事「わたしと勇者が宿を抜け出して、
 朝までパフパフで遊んで、
 あなたにこっぴどく怒られたでしょう?」
女騎士「ああ、まったくだ。何であんな事がしたいんだか」
執事「それに、ほら。あの演説のあとの、
 歌い手のお願い事件。あのときも勇者は喜び勇んで
 まるでトンビか鷹のように飛び出してゆきましたよね」
女騎士「思い出しても腹立たしい」
執事「いやはや、それは男性にとっては当たり前なのですよ」

405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:59:22.90 ID:chcZF3wP
女騎士「?」
執事「“女の子と親しくなりたい、ちやほやして欲しい”
 そういう言う気持ちは、多かれ少なかれ、
 男性になら誰にでもあるものです。
 でも、勇者は人よりもそれが大きい。
 なぜだか判りますか?」
女騎士「スケベだからだろう?」
執事「まぁ、こほん。それも無きにしもあらずですが。
 本当は少し違います。
 勇者はね、やっぱり怖いんです。
 あれだけの力を持っていますから。
 人間から嫌われることが、
 人間から怪物だと思われてしまうことが怖いんですよ。
  だから、ああやって親しくされたり、
 優しくされると、つい嬉しくなってしまうんです」
女騎士「わたしは怪物だなんて思ったりしない。
 嫌いになんてならないのに」
執事「みんながそうであれば良かったんですけれどね……」
女騎士「……え?」
執事「それにね……」
女騎士「?」
執事「その一方で、特別な人が出来るのも、
 やはりとても怖いんですよ」

406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:00:42.18 ID:chcZF3wP
女騎士「……」
執事「人間に嫌われるのが怖い臆病な勇者ですからね。
 あんまり臆病すぎて、私たちを置き去りにして
 一人で魔王のところへ行ったほどの勇者ですから。
  特別な人を作って、出来てしまって
 その人が離れていくのはたまらなく怖いでしょう。
  勇者が、魔王やあなたと深い関係になっていないのならば
 もちろん空気が読めないお調子者だというのもあるけれど
 どこかしら無意識のうちに、そう言った関係になるのを
 勇者が怯えて避けているのかも知れませんね」
女騎士「そうなのかな……」
執事「なんちて。にょほほほほ。
 真実なんて判らないですが、そうも見えると言うだけの
 話なんですけれどね」
女騎士「うん……」
執事「まぁ、そう落ち込まないでください。
 この老爺に素晴らしい策があります」
女騎士「本当か?」
執事「ええ、もちろん」こくり
女騎士「どんな策なのだ?」
執事「まず、勇者を人間だとは思わないことです」
女騎士「へ!?」

407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:01:50.87 ID:chcZF3wP
執事「馬です。勇者を馬だと思いなさい」
女騎士「何で馬なのだ? いや待った」
執事「どうしたのです?」
女騎士「メモをとる」
執事「真剣ですね」
女騎士「藁にもすがりたい気分なのだ」
執事「はっはっは! この爺の策は縦横精緻にして
 脱出の隙を許しませんぞ。にょっほっほっほ」
女騎士「馬でどうするのだ?」
執事「馬ならば手慣れたものでしょう?
 馬を馴らす時にはどうします?」
女騎士「話しかける」
執事「それから?」
女騎士「触るな。首筋を撫でたり。
 ブラッシングをしたり。
 とにかく自分にわたしが触るのは、
 当たり前で、気持ち良いことだと思わせる」
執事「その通りです」
女騎士「さらには、人参やリンゴを与えたりもするな」
執事「それも標準的な手続きです」こくり
女騎士「そんな簡単なことで良いのか!?」
執事「基本は全く変わりません」

410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:03:26.03 ID:chcZF3wP
女騎士「そうだったのか……」
執事「そして、そのあとは正攻法です」
女騎士「正攻法」メモメモ
執事「はっきり面と向かって自分の要求を伝えるべきです」
女騎士「よ、要求」
執事「キスをしたいであるとか、抱きしめて欲しいであるとか」
女騎士「はっ、はしたないっ」
執事「勇者相手ですからはっきり伝えないと始まりませんぞ。
 だいたいのところがおつむの程度も馬と同程度なのですから
 馬が迷ったり困ったりしている場合、それは乗り手の
 指示がはっきりしていないのです」
女騎士「それは……。確かにそう言うものだが」
執事「もちろん、普段の信頼関係なく、横暴な命令を出せば
 そのような乗り手は振り落とされてしまうでしょう。
 普段のさりげない接触が大事。こういうわけです」
女騎士「ぐっ。……そうだったのか」
執事「どうしました?」
女騎士「魔王め。もふる、もふると、
 子供じみていると思いきや
 まさかそんな深謀遠慮があったとは……」
執事「……良く判りませんがすごい殺気ですね」
女騎士「いや、感服したぞ、老師」
執事「老師っ!?」

414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:05:26.12 ID:chcZF3wP
女騎士「一筋の光が射したような思いだ」
執事「にょっほっほっほ! それは良かった」
女騎士「あとは、まぁ。……うう」どよん
執事「どうしました」
女騎士「いや、いいんだ。これも現実」
執事「ははぁ」
女騎士「現実は己の力で乗り越えなければ」
執事「いやはや、それは浅はかですぞ。女騎士」
女騎士「え?」
執事「長所であれ、短所であれ、それは己の特徴っ」
女騎士「?」
執事「己の特徴、得意とする戦場で戦わずして
 どうやって勝利をつかむというのですっ!!」
女騎士「た、たしかに」ごくり
執事「そんな女騎士に、爺からのささやかなプレゼントを」
ごそごそ、しゅた
女騎士「これは……?」
執事「布地節約の決戦装備。もちろん未使用です。
 心が定まった時、この紙袋を開けなさい」
女騎士「良く判らないが、厚意はつたわった!
 やってみるぞ、この思いをぶつけてみるっ!」
執事「にょほほほほっ。面白ければ何でも良いのです。
 頑張ってください、女騎士よ!!」

425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:17:48.90 ID:chcZF3wP
――大空洞、工事現場、いくつもの橋
コォォン! コォォォーン!
中年商人「いつ来てもすごいなぁ!」
土木子弟「おお。中年商人さん! 出来ましたよ!
 完成です、やっとここまできたんですっ!」
中年商人「ええ、一足先に宿舎によってきましたよ」
土木子弟「そうか。みんなも喜んでいたでしょう?」
中年商人「ええ、すごい有様だった。今晩は宴で?」
土木子弟「ええ、完成祝いですからねっ!」
コォォン! コォォォーン!
中年商人「やっと、ですね」
土木子弟「はい。これでも、色々心にかかる所はあるんですが、
 それでも当初の予定よりも石の橋を一つ増やし、
 出来る限りの場所を安全に通行できるようにしたつもりです」
中年商人「もうすでに橋を渡った商人仲間からも
 沢山の報告をもらっています。みんな感謝していますよ。
 この橋と、近日にでも出来る、リフトのお陰で
 多くの荷物が運べるようになる」
土木子弟「いいえ、俺こそ、こんな大仕事に抜擢してもらって。
 技術者として誇ることの出来る仕事を出来ました」

426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:19:41.71 ID:chcZF3wP
中年商人「本来であれば、この大空洞にもう一つの計画通り
 八年かけた石造りの立派な街道もお願いしたいのですが」
土木子弟「やはり、資金ですか?」
中年商人「いえ、資金の件は我らの領分です。
 必要とあらばなんとしてでもかき集めますが。
 どちらかというと……」
土木子弟「もしかして……」
中年商人「ええ」こくり
コォォン! コォォォーン!
土木子弟「……」
中年商人「このあたりにも、もしかしたら斥候が
 来ては居ませんか? 旅商人の話では、大空洞の
 人間界側ではたびたび姿を見かけるようなのですが」
土木子弟「ええ、人間の軍が、と言う話ですね」
中年商人「そうです。ですから、ここも近いうちに
 戦場になるかも知れません」
土木子弟「……」
中年商人「そのような顔をなさらずとも!
 我ら人間は、ほら、わたしのように商人も多い。
 それが有益であるならば、いたずらに破壊したりはしない」
土木子弟「だといいのですが……」

429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 23:21:55.25 ID:chcZF3wP
人魔族作業員「大将! お先にあがりますぜぇ!」
人夫「こんばんは、羊の鍋ですぜー!」
巨人の作業員「まっている……ぞー……」
中年商人「……」
土木子弟「そうですね。ここの仕事は済ませたんだ。
 俺たちが居座って護ったとしても、
 橋を護りきれるはずもない。それに作業員の命は
 何よりも大切だ。もし橋が壊れたのならまた直す
 機会だってやってくるはずです」
中年商人「はい……。さーてっ、報酬の残りも
 お支払いしなければなりません。開門都市へ?」
土木子弟「そうですね。今晩んは騒いで、明日にでも」
中年商人「今後のご予定はおきまりですか?」
土木子弟「いえ、特に」
中年商人「では、一つ依頼があります」
土木子弟「なんですか? 工事かな」
中年商人「私たちのつかんだ情報によれば、
 いずれ開門都市が戦場になる可能性は低くない」
土木子弟「……」ごくり
中年商人「今回は私たち『同盟』の商人からではない。
 まだ依頼書も資金集めも終わっていない状況です。
 満足に賃金を支払えないかも知れない」
土木子弟「引き受けましょう」
中年商人「いいんですか? そんなに躊躇いなく」
土木子弟「ええ。どっちにしろ、
 帰りを待たなきゃならないひともいるもんですから。
 都市の防壁を作る。一度挑戦したかったテーマでもあります」

506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:27:19.46 ID:iOYUExkP
――新生白夜直轄領、王宮行政庁舎
参謀軍師「なんだと?」
聖王国兵士「いえ、ですから……その」
聖王国騎士「予定していた量の硝石がないのです」
参謀軍師「無いだと? ふざけるな。
 この王宮を占拠した直後に確認したではないか」
聖王国騎士「ええ、もちろん確認した程度にはあります。
 木箱にして64個ですが……」
参謀軍師「あの倉庫の木箱は、では他には何が入っていたのだ?」
聖王国兵士「空でした」
聖王国騎士「倉庫入り口付近の木箱にだけ硝石が入っていて
 その他の木箱は空だった模様です」
参謀軍師「……っ」
聖王国騎士「いかがいたしましょう」
参謀軍師「その他の物資の状況は?」
聖王国騎士「衣料品や防寒具などは、おおよそ5万人分
 食料はこのままの人数で言えばひと月持つかどうか」
参謀軍師「……」
聖王国兵士「また、現在船を建造中ですが
 工具と、タールが大きく不足しています」

507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:29:34.30 ID:iOYUExkP
参謀軍師「まずは、この白夜の国の領内の開拓村から
 強制徴収せよ。それで当面の工具や防寒具などは
 まかなえるはずだ」
聖王国騎士「いえ、それが……。
 事前の報告より白夜王国ははるかに貧しいようなのです。
 さらに、開拓村の殆どが無人で……。
 どうやら付近の国に難民として流出しているようで」
参謀軍師「……南部の乞食国家はこのざまか」
聖王国騎士「これもお耳に入れるべきかとも思うのですが
 諸国の王族や貴族の中には、すでに商人と手を組み
 自国や中央で買い付けた物資の海上輸送を
 始めているようです。
 聖鍵遠征軍内部でも嗜好品を中心に
 価格の高騰が始まっています」
参謀軍師「……っ。勝手なことを」
聖王国兵士「……」
参謀軍師「わかった。価格については教会や
 諸王国ともはかって適切な手を打つとしよう。
 海上運送については窓口を一元化し
 必需品の価格を統制する」
聖王国兵士「はっ」
参謀軍師「硝石については、追って調べろ。
 そもそも蒼魔族が半分しか持たずに我らを罠に
 かけたとは考えにくい。
 おそらく、何者かが硝石を持ち出したのだ。
 馬車で数百台にもなる荷物、
 人目につかずに隠しおおせるわけもない。
 難民にも聞き取り調査を行なえっ」
聖王国騎士「はっ!!」

512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:55:06.67 ID:iOYUExkP
――冬越しの村、森の中
 ヒュッ! シュバッ!!
勇者「……っ!!」
 ヒュワン、シュバンッ!!
勇者「はっ!!」
女騎士「……」じぃっ
ビシッ!! ギリギリギリッ!
勇者「“雷雲呪”っ! “落雷呪”っ!!
 おおぉぉぉぉ!! “電撃呪”っ!!」
ビッシャーン!!!
勇者「はぁ……はぁ……」
女騎士「おい、勇者」
勇者「え? あ。女騎士」
女騎士「張り切りすぎだ、勇者。顔が真っ青じゃないか」
勇者「そんなことはない。リハビリだし」
女騎士「……」
勇者「もっともっと力を付けないと」
女騎士「勇者」

513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:56:41.71 ID:iOYUExkP
勇者「へ?」
女騎士「いいから、ちょっと来い」ぎゅ
勇者「痛たた。なんだよ」
女騎士「それ以上は練習禁止」
ざっざっざっ
勇者「そんなこと言われたって」
女騎士「見てて痛々しいよ」
勇者「そうかなぁ……」
女騎士 こくり
ざっざっざっ
勇者「でも、他になんにも取り柄がないしさ」
女騎士「そんなことも言うな」
勇者「……」
女騎士「勇者は別に戦闘が強いから勇者になった訳じゃない」
勇者「光の精霊の啓示を受けたからだろう?」
女騎士「ちがう」
勇者「じゃなんだよ」
女騎士「さぁ……。わたしにも判らないけれど」
ざっざっざっ

514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/02(金) 17:58:10.26 ID:iOYUExkP
――冬越しの村、湖畔修道会、本部修道院
勇者「でかくなったなぁ」
女騎士「色々建て増しした結果だ。
 ただいま……。戻ったよ」
修道士娘「院長。あ、それに剣士様」
勇者「どもども」しゅたっ
女騎士「湯は沸いているか?」ぐいぐい
勇者「いい加減はなせよ。耳千切れる」
女騎士「だめだ」
勇者「恥ずかしいっての」
修道士娘「ええ、水晶農園の方でしたら」
女騎士「ありがたい。行くぞ」
ざっざっざっ
勇者「ちょ、ま。まっ」
女騎士「少しも待たない」
修道士娘「院長さま、ご武運を〜」