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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part78


317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 20:41:19.03 ID:chcZF3wP
火竜公女 くすくすっ
「えっと。それで。
 この間、考えてもらったチーズの作戦は
 やっぱり公女さまの言うとおりでした。
 一生懸命調べたら、担保になる期間がありました。
 担保と蒲公英って似てますよね?
 熟成っていうんですよ。
 公女さまは知ってらっしゃいましたか?
 一緒に入れたのは立ててみた計画です。
 先生にはお褒めいただきました。
 でも、先生は意地悪なので、ご褒美ではなくて
 また新しい課題を出してきたんです」
火竜公女「おやおや」
「今度は長靴です。僕たちは、柔らかい皮で作った
 長靴を履きます。たいていの人は、靴を二足もっています。
 長靴と、夏用の短い靴ですよ?
 貴族の人はもっともっていますけれどね。
  冬には、フェルトや毛皮で作った外靴を履いて
 雪や寒さを防いだりします。
 靴は大事なので、寝る時はベッドの下にしまいます。
 村には裁縫の得意な人や専門の人がいて皮をなめしたり
 靴の修理をしてくれます。新しく頼むのもこの人達です。
 先生は、この靴をどうにかしたい、と言います。
 本当は予算とか国の仕事じゃないんだけれど
 今は人手が足りないのだそうです。
 軍の人が履く、長い距離を歩いても疲れない靴って
 ご存じないですか? 知ってたら教えてください。
  またお手紙します。公女さまとお菓子が食べたいです」
辣腕会計「……楽しそうですね」
火竜公女「なかなかにな。
 苦労しているさまが目に浮かぶゆえ」くすくす

318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 20:43:55.08 ID:chcZF3wP
同盟職員「良く判りませんね」
火竜公女「商売の種は何処に転がっているか
 判らぬとは、本当にその通りよな」
辣腕会計「儲け話ですか?」
火竜公女「“儲かる話に化けさせる”ではないかの?」
辣腕会計「ははは。呑み込んできましたね」
火竜公女「この都市には腕の良い靴職人はいるかや?」
辣腕会計「それは探せばいるでしょう」
火竜公女「今年は獣の皮が随分取れていると聞きますゆえ」
辣腕会計「ええ、鹿に猪、それから氷蛇。季候も良かったし
 大きなは戦もありませんでしたから」
同盟職員「そう言う意味では、仕入れ時かも知れないですね」
火竜公女「それにしても行軍用の靴、か」
辣腕会計「面白い話かもしれません」
同盟職員「そう言えば、魔界の靴は出来がいいですね」
火竜公女「靴底すらない人間界の靴が
 おかしいように妾には思える。
 あれでは厚手の革製靴下ではないか」
辣腕会計「でも、あっちではそれが普通ですしね」
同盟職員「これは確かに商売になるかも知れないな」

324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:08:27.40 ID:chcZF3wP
――冬越しの村、村はずれの館、厨房
ぐらぐら、ぐらぐら
魔王「沸騰したぞ、勇者」
勇者「ここで塩をひとつまみ」
魔王「こうか」 どさっ
勇者「それはひとつかみじゃないか?」
魔王「む。違うのか?」
勇者「同じだろう。塩は塩だ」
ぐらぐら、ぐらぐら
魔王「うむ。大差はあるまい、で?」
勇者「そこのソーセージを入れる」
ちゃぷん、ちゃぷん、ぐらぐら
魔王「で?」
勇者「次は、切ったキャベツも入れる」
魔王「ほほう。切るとは?」
勇者「俺がやるよ」シャキーン! ひゅばんっ!
ぼちゃ
魔王「完璧ではないか」
勇者「ああ、自分が恐ろしいぜ」

327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:11:03.29 ID:chcZF3wP
魔王「これでいいのか? もう食べられるのか?」
勇者「いや、まて。じっくり茹でて加熱する。
 おおよそ5分茹でるべし、とある」
魔王「5分か」そわそわ
勇者「うん、5分だ」
魔王「もういいかな?」
勇者「そんなに早いわけがあるかっ」
魔王「時間が判らないではないか」
勇者「しかたないなぁ。……いーち、にーい、さーん、しー」
魔王「……」わくわく
勇者「にじゅうごーにじゅうろくーにじゅうしちー」
ぐらぐら、ぐらぐら
魔王「かき回してみるか」ぐるぐる
勇者「さんじゅうしーさんじゅうごーさんじゅうろくー」
魔王「ああ、いい匂いだ」
勇者「ごじゅうにーごじゅうさんーごじゅうしー」
ガチャン
女騎士「なんだ。いるじゃない。……何をやってるの?」
魔王「いや、夕食の用意を」
勇者「ななじゅうはーちななじゅうきゅーはちじゅー」

330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:12:31.17 ID:chcZF3wP
女騎士「なんで?」
魔王「この間から非情に貧しい食事を続けていてな。
 それをメイド長にぼやいた所、レシピを押しつけられて
 最低限出来ないとどうにもならないので学べ、と……」
勇者「ひゃくいちーひゃくにーひゃくさんー」
女騎士「それはもっとも。――メニューは?」
魔王「茹でソーセージとキャベツ。あと、パン」
女騎士「そうか。失敗のしようもないね。
 で、勇者は何をやっているんだ?」
勇者「ひゃくにじゅうにーひゃくにじゅうさーん」
魔王「ああ、数字を数えているのだ。
 茹で時間を計らねばならぬからな」
ぐらぐら、ぐらぐら
女騎士「適当ではまずいのか?」
魔王「適当っ!? 我らに適当なものを
 食べさせようというのか」
女騎士「いや、料理って適当なものだろう」
魔王「そんなことはない。完璧なハルモニアとは
 完璧な準備と計算、そして連携に基づくものだ」
女騎士「そうなのかなぁ」
ぐらぐら、ぐらぐら

333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:14:27.99 ID:chcZF3wP
勇者「にひゃくにじゅうにーにひゃくにじゅうごー」
女騎士「随分湯が少なくなってきていないか?」
魔王「蒸発したのだろう。水分が気体となって
 空中へと拡散するのだ。理論的に正しい現象だ」
女騎士「煮詰まってるんじゃないの?」
魔王「いいや、蒸発だ。科学的な帰結だ」
女騎士「ふむ」
勇者「にひゃくさんじゅごーにひゃくさんじゅろーく」
ぐらぐら、ぐらぐら
魔王「そろそろかな」
勇者「にじゃくよんじゅーにひゃくよんじゅういちー」
女騎士「皿を出さなきゃまずいのではないかな」
魔王「はっ。そう言えばそうだ」
勇者「にひゃくななじゅうろくーにひゃくななじゅうしちー」
魔王「勇者、300で火力停止だっ!」
勇者「心得たっ! “氷結呪”っ!」
パリーン!!

345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:23:11.22 ID:chcZF3wP
魔王「完成だ」 きゅるるー
勇者「ああ、長い戦いだったぜ」 ぎきゅるるー
女騎士「……」
魔王「さぁ、食べようではないか。勇者!
 この勝利を分かち合うのだ」
勇者「おう! 魔王! 女騎士もどうだ?」
女騎士「い、いや。わたしは結構だ。
 見過ごしてしまった良心の疼きは感じるが
 メイド長の教育の過程を邪魔したくはない」
魔王「そうなのか? いただきまーっす。あむっ」
勇者「いっただっきー! ばくっ」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「うぐっ。なんでこんなに辛いのだ」
勇者「塩が、塩がっ!?」
女騎士「塩を入れすぎだろう」
魔王「まさかっ? 指示通りだったはずだ」
勇者「常識を越えた味だぞ」
魔王「ううー。水をくれ」
女騎士「やれやれ」 とぽととぽ
勇者「俺にもだ」

347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:24:28.44 ID:chcZF3wP
女騎士「ああ。見てられない。貸してっ」
魔王「へ? 食べれないぞ、こんなもの」
勇者「塩辛すぎだ。生まれるのが早すぎたんだ」
女騎士「だからって捨てたらもったいないだろう。
 湖畔修道会は、質素、倹約、勤勉を説いてるんだし」
魔王「それはそうだが」
勇者「でも、さすがに食える味じゃないぞ」
女騎士「まぁ、多少は味が落ちるが仕方ない」
トタタタタタン
魔王「へ?」
女騎士「きざんで、水をかけて軽く塩を抜くだろう?
 で、ベーコンの脂身を炙ったフライパンで炒めて
 ……このきざんだ塩ソーセージとキャベツの細切れを 入れてしまう」
じゃっじゃっじゃっ!
魔王「おおっ」
女騎士「火は調節するのが難しいから、
 距離で加減するんだよ。火から離れれば弱火だ。
 で、いい匂いがしてきたら、溶いた卵を六個入れる」
じゅわぁぁ〜♪
勇者「なんだか料理みたいだ!」

348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:26:00.14 ID:chcZF3wP
女騎士「卵を入れたら蓋をして、
 火から離してしばらく待つんだ。蒸らされるまでね」
勇者「いくつ数えればいい?」
女騎士「適当だよ。皿を出して待ってれば良い」
魔王「心得た!」
女騎士「ほら」 ぱかっ。ほわぁぁ〜。
魔王「美味しそうだ」
勇者「美味そうだ!!」
女騎士「……なんだか2人は意気投合しているね」
魔王「うむ。もう同居も長い。絆だ」
勇者「空腹者は特有の連帯感を覚えるんだな」
女騎士「一つ屋根の下か。……ハンデだなぁ」
魔王「まだ食べてはだめなのか?」
勇者「もういいだろう? 女騎士っ」
女騎士「まだだめだ。両手にフォークを装備してもだぁめ。
 さらに、この固くなりかけのチーズを上から削ってかける。
 これで完成。皿を持ってね。半分ずつとるから」
魔王「ううう」
勇者「いい匂いだなぁ」

350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 21:27:04.61 ID:chcZF3wP
女騎士「最近は、仲がよいのかな?」
魔王「仲は最初から良い」
勇者「まぁ、そうだな。がっふがっふ」
女騎士「そうか……」魔王「美味しいな。女騎士は料理も出来るのか」
勇者「そう言えば、昔も作っていたな」
女騎士「修道士は自分の面倒を自分でみるのが基本だし。
 まぁ、パーティーで一番料理が旨いのは変態だった
 わけだけど」
魔王「変態?」
勇者「冬の国の執事のことだよ」
女騎士「昔のことだ」
魔王「そうか?」
勇者「もっきゅもっきゅ♪」
魔王「ところで今日は、どんな用事があったんだ?」
勇者「オムレット作ってくれに来たんだろう?」
女騎士「あ、いや。うん、たいした用事じゃないから」
勇者「そなのか?」
女騎士「うむ。戦略的に見て出直そうと思う」

368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:04:45.62 ID:chcZF3wP
――新生白夜王国、兵舎付きの執務室
王弟元帥「どうだ? あの軍を率いてみて」
灰青王「悪くはありませんね」
王弟元帥「ほう」
灰青王「確かに農民ゆえ、無統制になる局面がありますが
 貴族の私軍とは違い、良くも悪くも素直ですな」
王弟元帥「マスケットはどうだ?」
灰青王「現状では、強力な石弓、しかし欠点も多い。
 そういった感じです。提出した書面の方は?」
王弟元帥「読んである」
灰青王「あそこにも書きましたが、沼沢地での戦闘ですと
 水気がある分、火薬が湿気ってどうしても不発が多くなる。
 不発が多いと暴発などの事故にも繋がる。
 負傷者のうち少なくない数が、
 自分のマスケットで怪我をした事例になりますね」
王弟元帥「ふむ」
灰青王「面白み、はあります」
王弟元帥「面白みか」
灰青王「現在までの貴族軍での戦争は、
 あまりにも貴族軍の連合体であると言う事実に縛られてきた。
 今回の戦で、その盲目については気がつかされましたよ。
 正直に言えば、戦争の覚悟のない農奴は、
 やはり所詮農奴ですよ。臆病で身勝手だ。
 しかし、そこに面白みのようなものがある」

369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:06:44.40 ID:chcZF3wP
王弟元帥「現在の問題点は?」
灰青王「資料を」
秘書官「はっ」
灰青王「現場の指揮官としてでよろしいですね?」
王弟元帥「そうだ」
灰青王「まずは最初に、攻撃力の集中です。
 これは戦場の広がりに対して
 攻撃力を一点の集中させると言うことでもあるし
 時間の広がりに対して、ある一瞬に攻撃力を
 集中させると言うことでもあるわけですが、
 これがなっていない」
王弟元帥「ふむ」
灰青王「古来この戦力集中については、兵士の質的向上。
 つまるところ個人的な武勇の研鑽と、指揮官の采配に
 素早くしたがうことが出来るか否かという点によって
 改善されてきた歴史がある。
 しかし今回のこの、元帥閣下の軍。聖鍵遠征軍においては
 個人の武勇、と言う点にそこまで重きを置きたくはない。
 そうでしょう?」
王弟元帥「ふふふっ」
灰青王「で、あれば練兵は指揮に従うためのものを
 中心にそれだけをみっちりと仕込み、
 攻撃集中力そのものの強化は、武器の進歩……。
 いわば改良に期待をしたい」

371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:09:13.78 ID:chcZF3wP
王弟元帥「ふぅむ」
灰青王「いかがです?」
王弟元帥「すでに新型マスケット、
 フリントロックの作成は発注済みだ。
 しかし、工作精度の問題で数が出そろうの先になる」
灰青王「かまいません。どうせ運用しながらでないと、
 実戦訓練にはなりませんからな。
 次の問題点は防御能力です」
王弟元帥「それは、書面でも触れられていたな」
灰青王「ええ、マスケットは一回撃ったらお終い。
 もちろん再装填をすれば良い訳ですが、
 混乱する戦場でそれだけの余裕を持つのが至難。
 そして、撃った直後から著しい防御力の低下がある」
王弟元帥「うむ」
灰青王「これについては、王弟元帥がかねてから
 提案なさっていたとおり、槍兵との連携運用で
 解決がつきます」
王弟元帥「よかろう。ほかには?」
灰青王「マスケット単体の問題ではありませんが
 参加している貴族達とのあいだの意識の乖離。
 特に貴族側の、マスケット兵に対する嫌悪感と軽蔑。
 これは問題です」
王弟元帥「貴族だからな」
灰青王「ええ。そうです。
 しかしマスケット兵は、その攻撃力と数において
 瞠目すべき点がありますが、あくまで農奴中心の部隊。
 専門的な軍事訓練を受けたわけではない。
 やはり高速で多様な軍事機動などは、
 貴族の持つ騎馬兵力に頼らなければならないような
 場面が今後も数多くあるでしょう。
 それゆえ、現状貴族とも上手く付き合わなければなりません。
 マスケットは無敵の兵ではないのですから」

372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:10:48.20 ID:chcZF3wP
王弟元帥「その点について、何かの具申はあるか?」
灰青王「それは、今後、王弟元帥がどのような
 国家を作っていくかの想定次第でしょうねぇ」にやり
王弟元帥「……ほぅ」
灰青王「今のままの体制を維持し、貴族と王族が
 互いに助け合い、と言えば聞こえはいいですが、
 牽制し合いながら民の上に君臨してゆくか、
 王族が民を直接統治してゆく絶対王政を敷いてゆくか」
王弟元帥「……」
灰青王「現在の中央国家群は、国家乱立とは云え、
 その実、教会による横のつながりの輪の中に囚われた
 複数の馬のようなもの。その中で長兄たる聖王国の
 影響力は消して小さくはないでしょうな」
王弟元帥「ふっ。戯れ言だ。我ら聖王国も
 光の精霊の1人の信徒に過ぎない。
 こたびの遠征軍も、諸王国、諸貴族、そして民の自由な 信仰心の発露によるもの……」
灰青王「ははははは。だが、その自由を許していては
 反感も連携の不備もどうにもなりません」
王弟元帥「――ふっ。大主教がどのようにお考えかは
 自ずと別として、わたし自身は今後も貴族は
 必要不可欠と考えている。ただ、時代によって
 その求められる資質が変わるだけなのだ」

373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:12:43.43 ID:chcZF3wP
灰青王「そう言うことであれば、信賞必罰。
 武門のよって立つ所にしたがいて、軍規をつくり
 これに王族、貴族から率先して従うことにより、
 民に範を示す。また貴族にはその働きに応じて
 褒美を取らせる。
 お定まりの手ですが、これを実行してゆけば
 いずれは軋轢も少なくなりましょう。
 本来的には同じ魔族と戦う軍なのですから。
  傭兵が混じるとこの種の法はやっかいだが
 元々我ら国家にとって傭兵は、兵力が足りない時の
 予備兵力だった。今回の戦いでも、貴族の私兵としての
 傭兵はあっても、聖鍵遠征軍として雇った傭兵はいない。
 で、あれば問題ないでしょう。
 問題ある貴族がいるのならば、その貴族は……
 そう、おそらく――背教者なのだから」にやっ
王弟元帥「司令官が言うのであればそうなのだろうな」
灰青王「では、そのように軍規を改めましょう」
王弟元帥「期待しているぞ」
灰青王「今回の指揮で、マスケットの射程や、
 その攻撃タイミング、クセなどはつかみました。
 次回からの前線指揮は
 より確実なものにしてご覧に入れましょう」
王弟元帥「それでこそ、霧の国の若き英雄王だ」
灰青王「ははっ」

377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:26:35.46 ID:chcZF3wP
――冬の国、城下町の一軒家の前
「にゅーっほっほっほ、にょーほっほっほ」
女騎士「……」
「わ! これは素敵ですぞぉ!
 ふくらみ、まろみ。淑女のレディですなっ!」
「もう、お怪我にさわっても知れませんよ?」
「いやいやいや。これがあるから治るのです。
 そーっれ、ぱっふぱっふ」
「きゃ。うふふふ。ぱっふぱっふ♪」
女騎士「……」
「そーれもういっちょー♪」
「いやん、元気すぎ〜っ」
「ぱっふぱっふ。にょほほほ〜」
「うふふふっ。ぱっふぱっふ♪」
ガチャリ。
女騎士「失礼する」
執事「……」
看護の娘さん「……」ぴきっ
女騎士「あー。いい加減にした方がいいと思うぞ」
執事「なっ。なにもしておりませんぞっ!?」

383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/10/01(木) 22:29:45.44 ID:chcZF3wP
――冬の国、城下町の一軒家のなか
女騎士「もういいのか、爺さん」
執事「ごほっ、ごほっ。お気遣い無く。
 わたくしはもう年老いた老兵に過ぎません。
 老兵は死なず、ただ去りゆくのみ。
 ……あの葉が落ちる時には、この爺めも」
女騎士「なんで死にそうな爽やかさなんだ。
 さっきまであんなに楽しそうだったのに」
執事「あれはですねっ。
 全然全くやましい事など無いのですぞ!」
女騎士「“そーれもういっちょー”」
執事「なっ! ど、どこから聞いていたのですか!?」
女騎士「何も聞いてない……ことにしたい」
執事「とにかく何らやましい事はないのですぞ。
 それどころかあの状況で奮い立たなかったら
 男としてのやましさを感じること請け合いですぞ」
女騎士「全く、いつまでたっても年をとらないなぁ」
執事「にょっほっほっほ!」
女騎士「褒めてないからなっ」
執事「しょぼん」