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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part7


482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 00:49:00.34 ID:5kaffl9OP
――冬越し村の春
小さな村人「うんわぁ、やっとこお日様が顔をだしたなや」
痩せた村人「だしたなやぁ。ああ、風がぬるくなってきた」
村の狩人「ほーい。ほーい」
小さな村人「どうしたー?」
痩せた村人「今日は良い天気だなやー」
村の狩人「そうだなぁ。今年はなんだか良い事が
 起きそうな気がするだなー」
小さな村人「さっそくかい?」
村の狩人「ああ、ウサギが4匹も捕れたよ。
 1匹は村長さんの所へ持っていく」
小さな村人「そりゃぁいいな!」
痩せた村人「今年はイノシシの塩漬けがまだたくさんあるしな」
村の狩人「ああ、びっくりしたなや」
小さな村人「これも村はずれの剣士様のお陰だなー」
痩せた村人「うちの息子が、斧を研いでもらっただよ」
村の狩人「熊もつぶしてくれたとかで、
 森の中も少し風通しが良いみたいだなや」

485 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 00:56:25.53 ID:5kaffl9OP
メイド妹 〜♪ 〜♪
小さな村人「おんや。噂をすれば、村はずれの館の姉妹だなよ」
痩せた村人「本当だ。ほーぅい、ほーぅい!」
村の狩人「どこへいくんだーい」
メイド姉「こんにちは、みなさん」ぺこり
メイド妹「あのねー。村長さんの所へ、木イチゴの樽漬け
 を分けてもらいに行くんだよっ」
小さな村人「そーかそーか。えらいな」
痩せた村人「お客さんでもくるんかい?」
メイド姉「はい、そのようです」
村の狩人「そうかそうか。……ふむ。
 ようし、このウサギを、当主の学者様へと
 お届けしてほしいだなや」
小さな村人「おんや、太っ腹だな、狩人さん」
村の狩人「なんの。森を安全にしてくれた
 大恩あるおうちじゃないか。
 ウサギなんて春になったのだからまた取れるだな」

486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 00:59:34.36 ID:5kaffl9OP
メイド妹「ありがとー♪」
小さな村人「それもそうだ。
 これは沢で取れたクレソンだなや。
 ほら、分けてやるから持っていくと良い」
メイド姉「ありがとうございます、本当に」
痩せた村人「雪解けの屋根修理には是非呼んでくれだな」
村の狩人「そうだそうだ、是非お世話してやんねと」
メイド姉「はい。かならず当主に伝えます」
小さな村人「ええってええって」
痩せた村人「なんだ、みんなにこにこしてからに」
村の狩人「やぁ。やっぱりお屋敷詰めともなると
 本当に2人ともべっぴんさんだねぇ」
メイド姉「……」
小さな村人「ああ、本当だ。俺たちとは全然違うだなや。
 賢くて優しくてべっぴんで、俺たちは、みんな
 2人に憧れてるだなよ」
メイド妹「ありがとー」にこぉっ
メイド姉「……ごめんなさい」

492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:11:23.61 ID:5kaffl9OP
――村はずれの屋敷、深夜
勇者「よっ。ほっ」 ぎゅっ、かちっ
勇者「こんなもんか? 薬草もあるし、あとは
 現地でどうとでも奪えばいいか」
魔王「こんな深夜に完全武装か」
勇者「魔王……」
魔王「私の物のくせに」
勇者「あー。うん。……ごめん」
魔王「なんだその情けない顔は。勇者だろうに」
勇者「後ろめたいとどうしてもこういう顔になるんだよ」
魔王「私はお前の物なんだぞ。そしてお前は私の物だ」
勇者「ああ」
魔王「止められるとでも思ったか?」
勇者「……」
魔王「見くびらないでもらおう」
勇者「え? いいのかっ?」

494 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:15:01.77 ID:5kaffl9OP
魔王「ほら」
勇者「これは?」ずしっ
魔王「先々代だったか? の魔王が使ってたという、
 黒玉鋼の鎧兜だ。安心して良い。呪いの類は
 かかっていない」
勇者「……?」
魔王「魔王の私がいなくて、魔界の統治のたがが
 緩んできてるんだ。勇者はその粛正を適当にしてきてくれ」
勇者「お、おう」
魔王「こっちの紙に信用できそうな部族の族長のリストと、
 紹介状をしたためておいた。人捜しなら助力を仰ぐ
 必要もあるだろう」
勇者「いや、あいつはああみえて、その……。
 動じないヤツだから。
 きっと平気でけろっとしてると思うんだ」
魔王「だからといって探していけない道理もあるまい」

499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:18:26.71 ID:5kaffl9OP
勇者「魔王……」
魔王「私が寛大で感謝するんだぞっ」
勇者「もちろんだ。ありがとう」
魔王「……」じぃっ
勇者「?」
魔王「それだけか?」
勇者「なにが?」
魔王「ほら、そのぅ。人間には、その、何だ……
 親しい人と……というか親しい男女が別離をする時の
 特別な風習があるそうではないか」
勇者「えー。あ。ああ」
魔王「……駄肉だからダメか?」
勇者「何でこういうタイミングで
 じわぁって見上げるかなっ!?」
魔王「所有契約の項目外なのか?」 じわぁ

501 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:21:29.62 ID:5kaffl9OP
勇者「えー、あー。その」
魔王「やっぱりスキンシップが足りないのか」
勇者「なんでそうなる」
魔王「実は毎週メイド長に説教されるんだ。
 『まおー様はスキンシップが足りません。
 そもそも露出もかわいげも足りてないんですから
 スキンシップくらいケチってどうなります?
 いいですか? 戦争の基本は物量です。
 飽和攻撃で殿方の理性など崩壊させてしまえば
 戦術の必要性すらないのです』
 そう言われるんだ」
勇者「戦術論的には正しいんだが」
魔王「ダメなのか?」
勇者「そ、その。照れくさいぞ。
 そういうのはさ、ほら。
 もっと落ち着いた時にさっ」

504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:24:44.99 ID:5kaffl9OP
魔王「それで良く勇者が名乗れるな。
 それでは臆病者ではないかっ」
勇者「ば、ばか云えっ。俺は勇気にかけては
 世界公認の第一人者、それゆえ勇者ですよ!?」
魔王「では覚悟を決めるのだっ」
勇者「何で開き直ってるんだよ、魔王っ」
魔王「半年だぞ!? 雪の中にこもって
 生活してればアドバンテージが取れて当然だろうに
 なんだか流されるままにずるずると
 何の進展もなく半年もの時間を浪費してしまった事実が
 私を責めさいなんでるのだ。
 そんな状況下でそろそろ修道院の建築も始まり、
 夏の間には完成してしまう上に、
 私の勇者は昔の女を探しに行ってしまうわけで
 精神的に追い詰められない方がおかしいではないかっ」
勇者「あー」

508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 01:29:15.28 ID:5kaffl9OP
魔王「……」じぃ
勇者「まったくなぁ」
魔王「……」
勇者「……」 ちゅ
魔王「……むぅ」
勇者「なんだよその恨みがましい視線はっ」
魔王「おでこではないか」
勇者「おでこで悪いか。気に入らないなら返せ」
魔王「それはダメだ。勇者の全ては私に所有権がある。
 つまりこのおでこも私の私有財産だ。議論の余地はない」
勇者「むぅ……」
魔王「……」
勇者「残りは帰ってからっ!」
魔王「約束だぞ、勇者。かならずだぞっ!」
しゅんっ!

578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:14:24.81 ID:5kaffl9OP
――村はずれの屋敷、中庭
女騎士「さて、諸君らの手元にあるのは南部諸王国の
 軍において用いられる標準的な武器、ロングソードだ。
 この武器は威力、間合いにおいてバランスが良く、
 鉄の国おいて鋳造された製品で質も良い。
 重量バランス配分がこの種の武器の使い勝手を
 決めるので、手に持って馴染むかどうか、判断の
 参考にして欲しい」
貴族子弟「……」
商人子弟「……」
軍人子弟「ばからしーでござる」
女騎士「何か言ったか?」
貴族子弟「……」ぷいっ
軍人子弟「馬鹿らしいといったでござる。何で拙者が
 女如きに剣を教わらないといけないのでござるか」
女騎士「……」
軍人子弟「白の剣士殿から剣を教わったのは
 別に女に弟子入りするためではないでござるよ。
 女は家の中でケーキでも焼いていれば良いでござる」

581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:20:50.67 ID:5kaffl9OP
女騎士「おい、そこのデブ」
商人子弟「ひゃ、ひゃいっ!? ぼ、ぼく?」
女騎士「剣を両手に持って構えろ」
商人子弟「……ううう」
女騎士「はっ!!」 ギンッ!!
貴族子弟「!?」
軍人子弟「ッ!!」
商人子弟「けけけ、剣がっ!! ま、まっぷた、真っ二つ」
女騎士「はっ!!」 ギンッ!!
商人子弟「み、短くなったっ!?」
女騎士「その気になれば5cmずつ切り取ることも出来るんだぞ」
軍人子弟「ど、ど、どうしてっ」
女騎士「そこのゴザルに云っておく」

583 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:25:44.21 ID:5kaffl9OP
女騎士「私は、湖の国の女騎士。かつて勇者と共に
 魔界で千の戦をくぐり抜けてきた女だ」
貴族子弟「ゆ、勇者っ勇者様のっ!?」
商人子弟「!?」
軍人子弟「ま、ま、ま、まさか『鬼面の騎士』!?
 『怪力皇女』!? 『石壁しぼりの女夜叉』!?」
女騎士「色々詳しいじゃないか、ゴザル」
軍人子弟「……」がくがくぶるぶる
女騎士「これは別に怪力じゃない。技だ。
 刃筋を安定させて、力を強度の低い場所に
 集中させれば諸君らでも実行可能だ。
 勇……あー。白の剣士は、素質がありすぎでな。
 なんでも『なんとなーく』でやってしまうので
 教師としては不適当なのだ」
商人子弟「もしかして、白の剣士殿は、女騎士殿の
 弟子だったのですか!?」
貴族子弟「そ、そうかっ!」
軍人子弟「そうでござったか……」

584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:36:22.66 ID:5kaffl9OP
女騎士「う、うむ。そういうような……。
 そ、そういうことだ。とっ、とにかく。
 白の剣士は、勅命を帯びて探索の旅に出ている」
貴族子弟「勅命……王のご命令ですか」
軍人子弟「探索の旅! 男子の本懐でござるな!」
女騎士「そう言うわけで、週に4回の戦闘訓練は
 しばらくのあいだ私が受け持つ」
商人子弟「は、はヒィ!」
女騎士「なに。私は白の剣士とちがって
 理論的かつ実戦的、基本に即した教練方法を
 採用するつもりだ。諸君らの武芸を必ずや
 実用の域まで高めよう」
貴族子弟「勇者の仲間の騎士様に
 剣を教授いただけるとは光栄です!」
軍人子弟「そこまで言われては仕方ない。
 拙者も剣の道を究めるとするでござる」
女騎士「では、手始めに北の森を、走り込みで三周。
 そのあと帯剣して素振りをしながら一周。
 小川へと移動したら、腰まで水につかって
 ロングソードの素振り500回だ」
三子弟「「「ひぃぃぃ!?」」」

587 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:41:31.45 ID:5kaffl9OP
――村はずれの屋敷、初夏
 
ひいぃぃぃ! ひぃぃぃぃ!
魔王「今日も元気だな」
メイド長「まったくです。でも、女騎士さんは
 あれで結構楽しそうですよ?」
魔王「そうなのか? 勇者がいなくなって
 お尻に矢が刺さったアナグマのように怒り狂って
 いたではないか」
メイド長「頼りにされると張り切ってしまう人
 なんでしょう。可愛らしい人ですよ」
魔王「む」
メイド長「まおー様より引き締まった身体ですし」
魔王「むぅ」
メイド長「いえいえ。まおー様もスタイルは
 悪くないんですよ? 出るべきところのボリュームは
 それはたいしたものです。えっちではしたない肉体です」
魔王「メイド長の言い方の方がはしたない」

588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 14:52:32.71 ID:5kaffl9OP
メイド長「しかし肉体性能は、お色気か癒し系ですのに
 ご本人の性格がお色気とも癒しともまるで無関係なのが
 まおー様の泣き所でしょうか?」
魔王「ほうっておけ」
 
がきょ、がちょ
メイド長「なんですか? それ」
魔王「うむ。呼び寄せた職人に依頼していた試作品だ。
 実験して手直しして欲しい部分の指示を
 書き付けておかないとな」
メイド長「何に使う物なのですか?」
魔王「羅針盤といわれているものだ。いま作っているのは
 その改良だな。この二軸のシャフトと、大きなガラス球で
 内部の羅針盤を水平に保つのだ」
メイド長「ふむふむ。改良前はどうやっていたんですか?」
魔王「水の上に磁石を浮かべていたんだ。
 ほら、この内側の、内部に浮かんでいるのと
 おなじ構造だな」

589 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:00:01.62 ID:5kaffl9OP
メイド長「だいたい判りました。でも、随分巨大化
 してしまったわけですね」
魔王「仕方ない。これは試作品だからな。
 実用化されれば、小型化のめども立つだろう」
メイド長「どういう改良なのですか」
魔王「うむ、羅針盤とは方位を知るものだ。
 この内部の水の上に浮かべた磁石が回転して
 北の方角を教えてくれるわけだが……。
 そのためには水面が水平安定する必要があるな」
メイド長「はぁ」
魔王「方位を知りたがるのは船乗りだろう?
 揺れる船の上で、ましてや嵐なんか来たりした日には
 水に浮かべた磁石の方向を安定させるのは至難だ」
メイド長「じゃぁ、いままでどうやってたんですか!?」
魔王「根性だろ」
メイド長「……」
魔王「……」
メイド長「人間ってすごいですね」

591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:08:37.94 ID:5kaffl9OP
魔王「まぁ、この宙づり自由式であれば
 設置場所に難があるとは云え、揺れる船の上でも
 下部の釣り錘によって水平が保持される」
メイド長「ふむ。根性が無くても出来るわけですね」
魔王「いや。人間であるというのは根性は必須だと
 女騎士殿は云っていたから、根性はやっぱり
 必要なのだろう。
 この改良で軽減されるのは技能だ。
 羅針盤を扱うのは特殊な技術だったからな。
 この簡便な装置で技術者が増えるわけだ」
メイド長「でも、この村には海ありませんよ?」
魔王「うむ。この装置は、売りつける」
メイド長「買ってくれますかね?」
魔王「まともな目利きがあれば、家ほどの
 黄金でも積むだろうな。これで『同盟』と接触する」
メイド長「まおー様の専門ですから、お任せします」
魔王「まかせておけ」
メイド長「ところでお昼は馬鈴薯で?」
魔王「うむ、まことに馬鈴薯の揚げは美味なるぞ」にこっ

595 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:18:25.86 ID:5kaffl9OP
――魔界、黒狼砦
黒狼鬼「うぉろろろ〜ん」
黒狼鬼「ろろろぉ〜ん」
勇者「うお。何か集まってきたぞ」
黒狼鬼「うろろ〜ん! がうっ! がうがっ!」
勇者「おまえらっ。怪我したくなきゃ、引いてろっ!」
 
ザガッ! ガッ!!
黒狼鬼「ぎゃんっ!?」
黒狼鬼「はっ……はっ……はっ……ギャウッ!」
羽妖精「黒騎士サマー。コッチコッチ!」
勇者「判るのか?」
羽妖精「女王サマ、コッチコッチ」
勇者「まかせろっ! 爆砕呪っ!」

596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:24:56.97 ID:5kaffl9OP
羽妖精「上〜コノ上〜!」
黒狼衛兵「行かせぬっ」
勇者「なんだ、言葉がしゃべれるのもいるのかっ!?」
 
ギンッ! ギギンッ!
羽妖精「黒狼族ノ成体ダヨォ。
 モット大キナノモ、イルヨォ」
黒狼衛兵「心配するな、貴様、ここまでだっ」
勇者「ほあちゃっ!!」
 
ドビシィッ!!
羽妖精「デコピン!?」
黒狼衛兵「む、無念っ!」
 
バタリ

599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:30:57.33 ID:5kaffl9OP
勇者「切りがないな」
羽妖精「一杯来ルヨォ」
黒狼衛兵×15「ガフッ、ガフッ! オロローン!」
勇者「面倒くさいぞ、お前ら」
羽妖精「ダ、ダメッ! 塔ヲ壊シチャダメ!」
勇者「む、そうか。上に女王がいるんだっけ。」
羽妖精「ウンウンッ」
勇者「んじゃ、えいっ!」
黒狼衛兵「片手で岩扉をっ!?」
黒狼衛兵「に、逃げろっ」
勇者「ちょっと距離が必要なんだ、この技は。
 ……あんまりうろちょろするなよ、
 急所に当たると死んじまうぞー。
 えっと、たしか、こうやって
 背中をひねる感じでぇ……」
羽妖精「眩シイヨッ」
勇者「光の精霊直伝、光の封印槍だっ」

601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:34:49.61 ID:5kaffl9OP
――魔界、黒狼砦の塔の上
 
ドッゴォォーン
羽妖精「ケフッ。ケフッ」
勇者「悪いな」
羽妖精「ヒドイヨォ」
妖精女王「何事ですっ」
勇者「お。この人がそうかな?」
羽妖精「女王サマッ!」
妖精女王「羽妖精ではありませんかっ」
勇者「こんにちは、手荒な訪問で済みません」
羽妖精「女王サマ、コレハ人間ノ雄」
妖精女王「みれば判ります」
勇者「人間です」
羽妖精「アタシ頭イー♪」

602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/05(土) 15:39:17.34 ID:5kaffl9OP
妖精女王「速く逃げてくださいっ。
 魔狼将軍が来るといけません」
勇者「倒した」
妖精女王「まさかっ? 人間にそのような力が。
 しかし、それだけではないのです!
 魔狼将軍の背後にはさらなる実力を持つ
 魔界でも高位の戦士、魔狼元帥が……」
勇者「それも倒した。先週」
羽妖精「!? あ、あなたは」
妖精女王「黒騎士人間ダヨ」
勇者「ああ。黒騎士だ。魔王の剣にして、
 絶対忠誠を誓う魔界の執行官」
羽妖精「カックイイヨネ」
妖精女王「そうですか、確かにその鎧の紋章は魔王様の物。
 いえ、もしやその鎧、魔王様ご自身の物では……?」
勇者「……その問いに答える言葉はないぞ」
羽妖精「カッコツケテルー」