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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part50


546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:25:48.09 ID:2wq60CIP
銀虎公「次だっ! 次へ掛かれっ!」
銅熊勇士「我が無双の剛力をしかと受けよっ!」ずだーん!
勇者「しっかし、獣人族は層が厚いな。
 こんだけ強いのがわんさといるのかよ。
 ……呪文無しじゃ結構きついぞ」
銀虎公「ふふんっ。戦士の名誉にかけて
 証明するのではなかったか?」
勇者「云われなくてもっ」
銅熊勇士「せいやぁ!」 ずどーん! ずだーん!
勇者「せやっ!」 ひゅばっ!! キン!
銅熊勇士「!?」
鉄の六尺棒を一太刀で切った!? なんて切れ味だ。
あれが剣の魔王がかつて使ったと云われる黒の武具の力か……
勇者「武具じゃねぇよ、自前だよ」
銀虎公「ええーい! 五神将! 五神将はおらぬか、かかれっ!」
赤鮫将「ようやく出番かっ! 行くぞ、黒騎士っ!!」
ギン! キン! ガギンギンギン!
勇者「……って。ナニ食ったらこんなパワーが出るんだっ」
赤鮫将「骨が丈夫になる小魚だっ!」
勇者「冗談でもねぇっ!」
赤鮫将「はははっ! そらそら、足がもつれているぞ!」

547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:26:58.60 ID:2wq60CIP
勇者「こういう場合は、いなすっ」 シュキンっ
赤鮫将「ぬぉっ!?」
 ずるっ
勇者「一手!」 ひゅばっ! 「二手ッ!」 ギンッ!
赤鮫将「早いっ! これほどとはっ!」
勇者「んでもってぇ」ひゅぅぅんっ「見えない刃っ!!」
ズダン!!
勇者「ふっ。峰打ちだ」
な、なんだ? 何が起きたんだ!? 黒騎士が一瞬素手になって
赤鮫将軍が起きれないぞ。痙攣してるっ。
今のはやばいだろ、垂直に落ちたぞっ!?
勇者「いま9人だ。引くならここだ」
銀虎公「……っ」
勇者「銀虎公に申し上げるっ! ここに集まった皆も聞けっ!」
ざわざわ、ざわざわ
勇者「魔王は弱いっ」
……え。
な、なんてことを言い出すんだ!? 黒騎士殿はっ。

549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:29:46.73 ID:2wq60CIP
勇者「確かに魔王は弱い。銀虎公殿は別格として、
 今戦ったどの勇士にも、魔王は戦場では勝てないだろう」
そ、そんな……。魔王様は弱いのか?
でも魔王様なんだぞ? そんなわけが……。
勇者「いや、ちゃんと弱い。大抵の魔物より弱い。
 配下の俺が言うのも何だが、メイドよりも弱い。
 しかし、本当の強さとは何か?
 確かに銀虎公どのは戦場では無双の勇士だろう。
 しかし、万の大軍にたった一人で勝てるか?
 勝てはしまい。
 そのときは銀虎公どのも軍を率いて戦うだろう。
 それが長の強さというもので、己一人の力では
 成し遂げられぬ事をも成し遂げる指導者の器だ」
勇者「魔王は個人としての武力は弱いがそれで構わない。
 むしろ己のみが強く軍を率いることの出来ない魔王よりも
 己はか弱くても、大軍を率いて勝てる
 そんな魔王の方が、この魔界において強大なのは自明だ。
 さらにいえば、かの魔王はその上を行く。
 それは“戦をせずに勝つ”ことだ。
 かの魔王の目指す地平は遠く、
 誰にもが理解できる物ではないがな。
 魔王が在位してから、魔族通しも含めて戦で命を落とした
 ものがどれだけ減ったか」
銀虎公「……っ」
白狼勇士「それこそ怯懦の証ではないか!
 戦を避けてこそこそ逃げ回っていただけのことよっ!」
勇者「貴公は俺に倒されて今は死体だ。死体は喋るな」
白狼勇士「っ!」

550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:31:40.01 ID:2wq60CIP
勇者「いかがか、銀虎公」
銀虎公「……」
勇者「魔王の強さを認めても、
 銀虎公の強さはいささかも揺らがぬ」
銀虎公「……」
勇者「魔王は弱い。戦場では力強き腕の力が必要だ。
 銀虎公どのの万夫不当の力が必ずや必要となろう」
銀虎公「……わかった」
勇者「では」
銀虎公「魔王に謝罪するとしよう。
 かの魔王殿は、その名にふさわしい実力を持っていると。
 黒騎士どのは魔王の剣だ。
 その武力があるのならば、獣人一党は魔王殿を侮らぬ」
勇者「ありがたい」すちゃ
銀虎公「だがしかし、魔王に武力が必要だという考えは変わらぬ」
勇者「……」
銀虎公「いまは我が武将に勝った黒騎士の顔を立てよう。
 戦場での差配に関する話もその通りだと認めよう。
 しかし、魔王は戦場で指揮を執ったこともないではないか。
 実際、戦功を立てるまで、あの魔王殿の実力はまだ判らぬ。
 判らぬものに、信頼は置けぬ」
勇者「……そんな戦場自体をこちらはなくしたいんだがなぁ」
銀虎公「そのような戯れ言判らぬわっ」
勇者「まぁ、とりあえずはこんな手打ちで良いかぁ」

551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:39:45.21 ID:2wq60CIP
――地下世界(魔界)、鵬水湖の畔、忽鄰塔の天幕街
執事「ここが忽鄰塔の会議場。まるで街が出来たかのような」
諜報局精鋭「局長。後続部隊8名到着」
執事「にょっほっほ。交代要員は適当な丘をさがし
 天幕を張り商人を装うこと。
 そちらをしばらくの間本部とする。班編制の上哨戒を実行」
諜報局精鋭「はっ」
 ザッザッ!
執事「さぁて、どうなっていますかな」
諜報局精鋭「先行偵察、戻っています」
執事「聞きますよ〜」
諜報局精鋭「はっ。この天幕街には少なく見積もっても
 6000名以上の魔族が集まっているようです。
 周辺の渓谷などには今少しの護衛などが分散しており、
 激しくはありませんが、一種の軍事的拮抗が存在します」
執事「ふむ」
諜報局精鋭「ここに集まっている魔族の約1/3は
 族長や、族長に準ずる魔族の有力者、その側近、召使い、
 護衛などのようです。
 残りの2/3にはそう言った有力者や今回の会議を対象に
 商売をしようとする商人たち、また自分の腕を売り込もうと
 する士官希望者達も含まれています」

552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/20(日) 16:40:54.65 ID:2wq60CIP
諜報局精鋭「忽鄰塔なる魔族の族長会議は
 中央の専用大天幕で連日のように行われています。
 文化的背景については未だはっきりとしないものの
 ここに集まった多くのものたちは、
 この会議が今月末までは最低でも続くと思っているようです」
執事「あと一週間ですか」
諜報局精鋭「中央の天幕の隣にあるのが魔王の天幕のようです。
 魔王は初日に演説をしたとのこと。
 驚くべき事ですが、現在の魔王は女性。
 つまり女王だとのことです」
執事「ふむ。女王……」
諜報局精鋭「しかし、以降姿は公には見せず、
 会議に専念している様子。先ほども云いましたが
 中央の大天幕との往復、もしくは会議に出席をする
 八大氏族と呼ばれる特に有力な氏族の族長を訪ね
 協議を重ねているのだと思われます」
執事「接触は?」
諜報局精鋭「現在までに機会はありませんでした。
 こちら側の情報が漏洩しないことを第一に考えて
 相当に防御的な配置で諜報をしています」
執事「そのままで結構」
諜報局精鋭「はっ」

553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 16:42:47.05 ID:2wq60CIP
執事「しかし、ふむ」
諜報局精鋭「局長はいかが為されますか?」
執事「ここはわたしも潜入することにしますかね」
諜報局精鋭「大丈夫でしょうか」
執事「もちろん十分に注意はします。
 しかし、今までに巷間に流れた噂と会わせて
 会議は地上世界との戦争についてだと考えて
 ほぼ間違いがないでしょう。
 これについてはなんとしてでも確度の高い情報を
 入手するべきでしょうな。にょっほっほ。
  もし、必要であれば」
諜報局精鋭 ごくり
執事「“突然死”という二つ名の由来を指導せねばなりません」
諜報局精鋭「はっ、はいっ」
執事「にょっほっほっほ」
諜報局精鋭「ではっ、探索に戻ります」
執事「判りました。連絡は本部を使用してください」
諜報局精鋭「はっ」

561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 17:21:46.06 ID:2wq60CIP
――地下世界(魔界)、鵬水湖の畔、魔王の天幕
魔王「……」
勇者「どうした? どこからだったんだ?」
魔王「ふむ。鬼呼族の姫巫女からの親書だ」
勇者「どんな?」
魔王「停戦に同意する、と」
勇者「おお。……つっても、
 あそこは元から交戦派じゃないよな」
魔王「いや、この意味合いは小さくはない。
 “交戦したくはない”と“停戦をしたい”では
 その示すところが大きく異なる。
 鬼呼族は大勢力であるしな。
 先の乱世では 蒼魔族とは感情的なもつれがある仲だ。
 蒼魔族を説得、とはいわぬが、意志をかえさせるには
 鬼呼族の側面支援はありがたいだろう」
勇者「そうか。……機怪族はどうだ?」
メイド長「勇者様に運んで頂いた、鉱石、土壌サンプルなどを
 全て届けさせました。大きな興味を示されたようです」
魔王「そうでなくては、かなわぬ」
勇者「これでテコ入れになったかな?」
魔王「確実に効果はあろう。機怪族は発展のためにも、
 一族を増やすためにも希少鉱石と鉄が必要不可欠だ。
 この二つが、地上世界との交易により安定的に
 供給されるとあらば、一族の意志は根底から
 問い直されることとなろう」
勇者「良い方向だな」

563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 17:22:49.08 ID:2wq60CIP
勇者「それにまぁ、荒療治だけど、
 獣人族の方も云われたとおりにしてきたぞ」
メイド長「いかがでした?」
勇者「メイド長の思惑どおり、矛は収めてくれたよ」
メイド長「そうでしたか。ふふふっ」
魔王「どういう事なんだ?」
勇者「いや、獣人族の女性蔑視が酷いって言ってたじゃないか」
魔王「ああ」
勇者「その辺いじって喧嘩をふっかけさせてさ。
 そのうえで十人抜きとかいって、その侮辱を撤回させてきた」
魔王「そんなこと出来るのか?」
勇者「おいおい、一応は勇者だぜ」
魔王「でも、余計に感情が悪化しなければいいが」
勇者「その辺は、メイド長の作戦でな」
メイド長「はい」
勇者「適当なところでこっちも譲って、
 相手を持ち上げていおいたんだ。成功したとは思うけれど」
メイド長「しばらくはぎくしゃくするかと思いますが
 悪い方に転がってはいないでしょう。殿方ですからね」
魔王「ふぅむ、やるな」
勇者「ちょっとつついただけさ」

564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 17:23:54.49 ID:2wq60CIP
魔王「だが、こうなると。そろそろ頃合いか」
勇者「うん」
魔王「……迷うが」
勇者「でも、そろそろ時間的にも押してきているんじゃないか?
 なんとなくだけど、他氏族の長も苛々している印象を受ける」
メイド長「そうですねー。あまりにも長引きすぎると、
 温度は魔王様の指導力の問題も感じさせてしまいますね」
勇者「だけどまだ、蒼魔族は全然攻略できてないんだよな」
メイド長「ですね」
魔王「いや、一度押してみる時期か」
勇者「いくのか?」
魔王「ああ、この件で鬼呼族が当てに出来ると判った以上、
 他氏族の反応も含めて探るべきだろう。
 特に機怪族の意見について変化があったかどうかを知りたい。
 うまくいけば、蒼魔族の底意が開戦であったとしても
 全体の意見の圧力で雰囲気を一気に停戦に
 持っていけるかも知れない。
 そうなれば蒼魔族の1氏族だけでは、そこまで強固に
 交戦の主張も出来ぬであろうしな」
勇者「確かにそうなるか」
メイド長「では、明日にでも」
魔王「うむ、最初の激突といこう」

567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:13:48.69 ID:2wq60CIP
――地下世界(魔界)、鵬水湖の畔、忽鄰塔の大天幕
ざわざわ……
魔王「さて、議論も出尽くした感がある。
 我ら魔界を支える偉大なる八大氏族。その氏族の長がたに
 今一度、この先の人間界との関係について意見を求めたい」
紋様の長「ふむ……」
蒼魔王「そんなものは決まっている。踏みつくし侵攻すべきだ」
銀虎公「おう! 人間何するものぞっ。
 そもそものところが、われらが緑なる大地に盗賊のように
 忍び込み、火を放って侵略を進めてきたのは人間ではないか!」
鬼呼族の姫巫女「しかし、勝ちが決まったとういう訳でもあるまい」
巨人伯「そうだ……。関わり合っても……。
 人間とは……被害、増える、だけ……」
碧鋼大将「地上世界の鉱物資源には気を引かれますがな」
蒼魔王「鉱物資源など、征服してしまえばいかようにでもなる!」
火竜大公「……これは勇ましい」
妖精女王「わたしは反対です。せっかく二つきりの世界。
 戦争は多くを踏みにじり、踏みにじられ、
 互いに疲弊する選択肢。
 ここは平和への道を模索するべきです」
銀虎公「ふんっ。腰抜けの妖精族がっ」

568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:15:46.37 ID:2wq60CIP
魔王「銀虎公。忽鄰塔の場だ、無駄な挑発は慎んで頂こう」
銀虎公「ふんっ」
魔王「わたしはなにも、停戦して即座に人間世界と
 共存しようだなどとは考えてはいない。
 だがしかし、現在の地下世界と地上世界の戦力を考えると
 戦争をして勝てるとは言いきれぬ。
 いや、緒戦もしくは短期間であるならば、
 奇襲を中心に勝ちを収めることも出来ようが
 長期に渡る遠征は費用から見ても難しいだろう。
  そもそも勝ってどうする?
 人数では圧倒的に勝る人間の地を我ら魔族が支配して
 その支配を維持できるのかが疑問だ。
  当面の間、ゲートが破壊された“極”には十分の防衛軍を置き
 出入りに関してはな警戒を続ける。
 我ら地下世界にとって有利で有益な貿易であれば、
 制限しつつ続行をしても良いが人間となれ合う気はない。
 開門都市を取り返したとは言え、我らは侵略を受けた側なのだ。
 謝罪の必要は認めぬ。
 ただ現在の状況を見て、戦争を継続するのが合理的かどうかを
 判断して欲しい」
   勇者「上手い言い様だな。あれなら反感もかき立てない」
   メイド長「魔王様ですから」
紋様の長「我ら人魔族は、最初からの意見を変えるつもりはない。
 この件に関しては氏族の中でも議論も意見も割れている。
 よって立場としては中立、どちらにも与せぬ」

569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:17:06.97 ID:2wq60CIP
蒼魔王「われら蒼魔の意見は統一されておる、
 このさい人間は滅ぶべきだ。彼らには彼らの罪の深さを
 炎の中で思い知らせるのが我らの道だと考える」
銀虎公「我が一族も同様。人間どもの狩り場を
 我ら魔族の物とすれば、遠征にかかる費用など容易く
 取り戻せよう。……ただし」
火竜大公「ただし?」
銀虎公「そのための準備期間として、しばらくの停戦が
 必要だというのであれば、その声に耳を傾けぬでもない」
蒼魔王「銀虎公っ。臆したかっ」
銀虎公「何を言うっ!」
鬼呼族の姫巫女「わが鬼呼族は戦争には反対だ。停戦を求める」
蒼魔王「っ!!」
鬼呼族の姫巫女「万事考え合わせるに、
 こたびの戦は我が方の受ける被害が
 甚大であろうという結論に達した。
  おのおのがたも覚えておいでだろうが、
 我らは一度は人間界の版図、極光島を占領したのだぞ。
 しかし、その極光島を維持することは出来なかったのだ。
  それはなぜか?
 われらが維持に必要なだけの兵力や物資を
 あの島に供給し続けられなかったのが大きな要因といえよう。
  確かに口惜しいことではあるが、現在の我らは
 仲間内で争うばかり。この戦争をやり遂げる実力に
 欠けるのではないかという疑念をぬぐえん」

570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:18:48.21 ID:2wq60CIP
妖精女王「私ども妖精族も停戦には賛成です。
 もとより戦を望んだことは一度もありません。
 しかるべき使いを立てて、人間との交渉に当たらせるべきです」
巨人伯「俺たちは……戦争……しないで……すむなら……
 停戦に……合意……する……」
碧鋼大将「停戦するにしろ、地上世界の物資は我が氏族に
 とって必要だと判断する。
 よって停戦の場合の条件に何らかの交易取引、
 もしくは賠償としての物資要求をしていただきたい。
 ――そのような条件下で停戦に合意しましょう。
 かなえられない場合は、一戦を辞さないと我が氏族は考えます」
火竜大公「まぁ、このような流れになってしまっては
 仕方ありませぬなぁ。
 竜族としても停戦に合意いたしましょう。
 懸念であった開門都市もまた、
 人間族からは奪い返し魔王殿の直轄領となった。
 あの地が征服されたままでは絶対に合意することは
 ありませんでしたがな」 ぼうっ
魔王「ふむ、ではとりまとめると……
 条件はあれど、停戦に合意できるとする氏族が6。
 中立が人魔族一統、そして交戦すべしが蒼魔族……。
 このようになるな」
   勇者「思ったよりも良い流れだぞ」
   メイド長「ええ。獣人族が曲げてくれたのが大きいです」
蒼魔王「なんて軟弱な奴らなのだっ。おのおのがた!
 魔族の誇りはどうなされた! 我ら魔族が人間の風下に
 立ってなんとするっ!」

571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:20:58.03 ID:2wq60CIP
妖精女王「しかし、停戦は魔王様の意志でもあります」
銀虎公「ふんっ。小癪だが魔王は、魔王だ」
巨人伯「そう……だ……」
鬼呼族の姫巫女「われらが魔族の大協定。
 魔王の言葉にはそれだけの重みがある。
 一考しなければなるまい?」
蒼魔王「っ! 敗北主義者どもが」
魔王「どうだろう? 蒼魔の勇士よ、ここは曲げてもらえぬか?」
紋様の長「あえて、というならば人魔の意見も停戦だ。
 なにもことさら人間と和議を結びたいわけではないが、
 ここで会議の結果が割れては、
 またしても魔界は乱世をむかえてしまうだろう。
 それだけは避けねばならぬ」
蒼魔王「――そんなにも」
銀虎公「?」
蒼魔王「そんなにも魔王の言葉が重いのか。
 では、各々がたに問おう。
 たしかに三十四代魔王“紅玉の瞳”の意志は停戦に有りとて
 しかしその魔王ご自身が決戦を決意されたならどうなさる!」

572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:22:26.35 ID:2wq60CIP
巨人伯「……それは……しかたない」
碧鋼大将「魔王のご意志であれば、我ら鋼の民はくつわを並べて
 戦場にはせ参じ、人間らと一戦交えるのみ」
銀虎公「それこそが我ら獣牙の勇者の望みよっ。
 そのような雄々しい魔王の指揮の下、新たなる肥沃な世界に
 領土を求めることこそ、戦士の誉れっ」
妖精女王「しかし、戦はっ。戦争は互いの氏族を滅ぼす
 諸刃の剣っ。そのようなことでは氏族の命脈保てませぬっ」
蒼魔王「それこそ魔王の責務であろうっ。
 魔族を導き魔界に大いなる繁栄をもたらすことがっ。
 優れた魔王であるならば、
 妖精族から被害を出さずに勝利を手にすることも可能なはずだ。
 妖精族は魔王に信頼を置くことが出来ないというのか?
 それともなにか? 妖精族は我が氏族可愛さに
 魔界全ての繁栄を否定するというのかっ」
妖精女王「そのようなことはありませぬが……」
蒼魔王「我ら蒼魔の一族は、ここに
 三十四代魔王“紅玉の瞳”の廃位を要求するっ!!」
巨人伯「っ!」
火竜大公「なんじゃとっ!?」
鬼呼族の姫巫女「そのようなこと、許されると思うてかっ!」

573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/20(日) 18:23:34.25 ID:2wq60CIP
魔王「っ!?」
   勇者「なっ、なんだ!? そんなことあるのかっ!?」
   メイド長「判りませんっ。そんなことが出来るか
    どうかなんて考えたことさえありませんでしたっ」
妖精女王「馬鹿なことをっ! どのような権利を持って
 たかが一介の氏族長がそのようなことを要求するのですっ!」
蒼魔王「出来るのだ。『典範』にも明記されている。
 非常に希なことではあるが、第八代の治世に前例がある」
巨人伯「前例……」
火竜大公「うかつっ」
鬼呼族の姫巫女「前例とは?」
蒼魔王「『典範』によれば、“魔王を除いた忽鄰塔参加族長の
 半分の賛成を持って魔王を廃位出来る”となる。
 すなわち、4名だ。
 使われたことが一度しかない権利だが、前例は前例だ」
銀虎公「そのような前例が……」にやり
碧鋼大将「魔王殿はその在位の間一度も戦の経験がおありではない。
 このような魔界存亡の危機にその資質が問われると?」
蒼魔王「我ら蒼魔族はそのように考える」
銀虎公「そうだな。魔王たるもの相応の実力を持ってなきゃいかん」
碧鋼大将「……理に叶うのであればそれも道」
巨人伯「……魔王は……おおきな……ほうが……良い」