Part5
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:43:22.75 ID:AIDyRnsCP
勇者「あと、2匹か、イノシシ換算で」
メイド妹「なべー!」
勇者「突然どうした」
メイド妹「いのなべ?」
勇者「ああ、あれは美味いな!」
メイド妹「いのなべにしよー!」
勇者「お前は食い気ばっかりだな」
メイド妹「ゆーしゃさまが、ごはんとってきてくれる」にこっ
勇者「……ああ、そうだな」
メイド妹「ごはんいっぱいは、とても幸せだよ」
勇者「そだな」
メイド妹「けんかないもん。
そんちょーのあとつぎさまにぺとぺととしなくていいの。
まいにちあったかい。おふとんほかほか。
ふくがきれい。おねーちゃんとふたりで
ずっといっしょにいられる。それは幸せ」
勇者「……」
メイド妹「どうしたの?」
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:47:21.28 ID:AIDyRnsCP
勇者「いや、勇者って相当に役に立たないなと思って」
メイド妹「?」
勇者「知識があるわけでもなければ、
金勘定が出来るわけでもない。農業も動物の世話も
出来ないし、先生は……出来るって云っても剣くらいだ。
こうなってみるとつくづく思い知る。
俺、口先ばっかり平和とか云ってたけれど
平和ってどういうモノなのか、どうすれば平和になるのか
平和になったらどうすればいいのかなんて
ちっとも考えてなかったよ」
メイド妹「むずかしーね」
勇者「難しいな」
メイド妹「いのししべーこん、おいしいよ?」
勇者「あれ、好きなのか?」
メイド妹 こくん
勇者「気に入ったのか?」
メイド妹 うんうん
勇者「じゃ、勇者のお兄ちゃんとしては、もうちょい
イノシシやっつけて、減らしてくるかね〜」
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:05:28.67 ID:AIDyRnsCP
――館の広間、授業中
魔王「……以上が南部諸王国の現在の経済状態から
導かれる戦争の最大規模となる」
貴族子弟「……」めもめも
商人子弟「……えっとえっと」
軍人子弟「……」
魔王「私は専門ではないが、古来軍隊が壊滅すると
されている損耗率は」
軍人子弟「……最後の一兵まで戦い抜くでござる」
魔王「おおよそ30%と言われている。3割だな。
ゆえに、この常備軍および恒常的な傭兵戦力によって
戦線維持は難しく、散発的な会戦と拠点防衛が
現在魔王軍との戦闘の要旨となる」
魔王「ここまでで質問は?」
メイド姉「聖鍵遠征軍はどうでしょう?」
魔王「うむ、あれは例外だな」
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:17:58.51 ID:AIDyRnsCP
魔王「聖鍵遠征軍について知っているところを述べよ」
貴族子弟「あっ。はい。聖鍵遠征軍は中央大陸の
危機会議によって結成された、聖なる遠征軍です。
目的は邪悪なる魔族を殲滅しこの戦争を終結させること。
この15年の間に2回おこなわれました。
南の極点にある魔界門から魔界へと侵攻して
魔族の重要都市二つを破壊、魔王の都まで
迫りましたが、神のご加護虚しく魔王の卑劣な
補給線破壊行為により撤退を余儀なくされました」
魔王「おお。ほぼ満点だな。
――このような遠征軍は巨大な兵力を背景にして
行なわれる。まず第一に必要なのは世界規模での
戦争終結への熱意だ。ただ一度の大遠征で終戦が
成し遂げられるのならば犠牲を払う価値があると
世界中の人間が望んでこそ、その戦いに身を
投じる参加者が生まれるわけだな」
魔王「もう一つは経済的バックアップだ。
本講の授業で何度でも扱うが、経済の支援無くして
社会も戦争行為も成り立たない。人間は食べなければ
飢えて死ぬ生き物なのだ」
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:21:39.10 ID:AIDyRnsCP
貴族子弟「時には金や食料よりも重要なことがある」だむんっ
軍人子弟「算盤をはじいて戦など出来ないでござる。先生」
商人子弟「……そうでしょうか」
軍人子弟「飢えだなんて精神的な弱者の言い訳だ」
貴族子弟「そもそも領主が保護している人民に
飢えなどは存在しないじゃないですか」
メイド姉「飢えたことがないんですね」
魔王「……次は、南氷海。すなわち南部諸王国と
極点である、魔王の大陸を取り巻く海についてだ。
この海は軍事的、経済的な意味で非常に大きな意味を
もっている。現在魔王軍との戦いのおよそ25%が
海を舞台に行なわれており……」
ちりーん、ちりーん、ちりーん
メイド長「お嬢様、授業終了のお時間です」
魔王「もうそんな時間か。では、本日はこれで終える。
明日はこの続きだ。それから、剣士様が明日の午後は
手ほどきに来るそうだぞ」
軍人子弟「まっておったでござる」
貴族子弟「明日はあたりだな」
魔王「では、解散。わたしは長老の家に移動して
夜間の農業講座をしなければならないのでな」
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:36:03.83 ID:AIDyRnsCP
――館の廊下
勇者「よっ。お疲れ」
魔王「疲れた」
勇者「疲れた顔してるよ」
魔王「なぜ私は教育などと言い出したんだろう。
人間の子供の相手をするのがあんなにも疲れるとは
思わなかった。あれではまるで動物ではないか。
理非も交渉も通じない」
勇者「あー」
魔王「なぜあの者たちはあんなにもプライドが高いのだ」
勇者「貴族や軍人や富裕層だからじゃないか?」
魔王「いっそ蛙に変えてしまうか」
勇者「冗談に聞こえないぞ」
魔王「冗談ではない」
勇者「止めておけ」
魔王「そうか」しょぼん
勇者「村長の家に向かうんだろう? 付き合うよ」
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:43:21.00 ID:AIDyRnsCP
魔王「む。寒いな」
勇者「雪が降ってないだけましだ」
魔王「寒いぞ、勇者」
勇者「俺はその中で一日中イノシシを追っかけてたんだぞ?
魔王は家の中にいたんだから文句言うな」
魔王「ちがう。寒いのだ」
勇者「……」
魔王「……だめか?」
勇者「わかった、ほら」ばふっ「これであったかいか?」
魔王「うん、あったかい」
勇者「ご機嫌か」
魔王「ふふん。悪くはない」
勇者「偉そうだな」
魔王「勇者を手に入れて本当に良かった」すりっ
勇者「あー。こほん」
魔王「?」
勇者「おたがいな」
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:50:56.62 ID:AIDyRnsCP
魔王「まぁ、なんとか動き出したのだから
文句を付けるのもおかしいのだろうな」
勇者「まぁなぁ」
魔王「悲しいほどに権威が物を言うのだな。
貴族の子弟を受け入れて、箔がついたら農民も
学んでも良いと言い出すのか。新しい農法も
この春からそれなりの規模で実験開始だそうだ」
勇者「結果が出るのに、時間はかかるだろうな」
魔王「いや、来年からにでも結果は出す」
勇者「出来るのか?」
魔王「秘密兵器を手に入れたからな」
勇者「なんだそれは」
魔王 ごそごそ 「これだ」
勇者「なんだその固まりは?」
魔王「これは馬鈴薯という。作物だ」
勇者「??」
魔王「植物なんだ。こうやって掘り出しているが、
この丸い部分は土中に出来る」
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:54:44.77 ID:AIDyRnsCP
勇者「ふぅん……」
魔王「これはなかなか美味で栄養価の高い食物なのだ。
そのうえ、このような食用部分が地下に出来るために、
鳥害を受けにくい。また、痩せた土地や寒冷地、
固い地面でも成長できるという優れものだ。
そのうえ、土地あたりの収穫量は、ざっと計算した
ところ小麦の3倍に当たる」
勇者「まじかよっ!?」
魔王「ああ、大まじめだ」
勇者「神の食べ物か!?」
魔王「いいや、魔界の食べ物だ」
勇者「……」
魔王「異文化、異文明の接触というのは、
このように大いなる恩恵を生むことがあるんだ。
たとえ不幸な形の接触であっても、接触は接触だ」
勇者「複雑だなぁ」
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 18:59:48.00 ID:AIDyRnsCP
魔王「もっともこの馬鈴薯にだって弱点がない訳じゃない」
勇者「なにがあるんだ?」
魔王「まず、毒性がある」
勇者「ダメじゃん!」
魔王「いや、強い毒ではないし、毒性が発生するのは、
日光に当たって発芽しかけたものだけだ。
収穫や保存においてきちんと管理すれば問題ない。
むしろ冷暗所で保存すれば一年程度は持つはずだ」
勇者「ふむ……」
魔王「また、連作障害がある。この馬鈴薯という植物は
条件さえ合えば、年に3回程度収穫できるのだが」
勇者「聞くだにすごいな。さすが魔界の植物だ」
魔王「ああ。だが、その分土中の栄養素、つまり
いわゆる『大地の恵み』を多く消費してしまうんだ。
必要な種類の恵だけ使ってしまうから、おなじ場所で
作り続けると出来が悪くなって、病気にもかかりやすくなる」
勇者「ふむふむ」
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:06:00.60 ID:AIDyRnsCP
魔王「もうちょっと」
勇者「へ?」
魔王「もうちょっとくつくのだ。隙間があると寒い」
勇者「う、うん……。あー。くっつくとこっちが
いろいろもにょもにょなんだけど」
魔王「……わたしの身体は気持ち悪いか?」
勇者「いやいや、そうじゃないんですが」
魔王「まぁ、とにかく。この食物も、寒冷地の
飢饉対策に役立つはずなんだ。毒性の部分は
気をつけていればさほど大きな問題にはならない。
どちらかというと、連作障害の方が問題だろうな」
勇者「俺の理性の方にも問題が」
魔王「大地の恵みは時間がたてば回復するが
それに対してこちら側からも働きかけを行なう方法を
確立しないと、一カ所に留まって生産量を上げることは
限界があるだろうな」
勇者「大地の神に祈祷でもするのか?」
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:10:57.82 ID:AIDyRnsCP
魔王「そうだな。祈祷の一種だ」
勇者「無神論者じゃないのか? 魔王は」
魔王「私が無神論だろうと何だろうと、
利用できるものは隙無く隈無く躊躇無く
利用したおすのが経済屋というものだ」
勇者「ある種の悪魔だな、こいつ」
魔王「大地そのものに、契約の証として捧げ物をするんだ。
この種の捧げ物は人間社会でも、経験的に行なわれている。
焼いた食物や動物の遺骸、動物の糞尿や、食べかすなどだ」
勇者「ふむ。なんか捧げ物ってイメージじゃないけど」
魔王「期待しているのは南氷海の魚なんだがな」
勇者「なぜ?」
魔王「捧げ物には魚が良いんだよ」
勇者「買ってきてやろうか? 転移呪文でひとっ飛びだぞ」
魔王「ありがたいが、持って帰れる量ではないと思う。
畑一つに月50匹。それも毎年だと云ったら驚くか?」
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:17:55.33 ID:AIDyRnsCP
勇者「うっわ、そりゃ」
魔王「無理だろう?」
勇者「うん」
魔王「だが、それも問題が大きくてな」
勇者「なんだ? 南氷海に問題でもあるのか?」
魔王「ああ。二つある。
一つは、勇者も知ってると思うが南氷将軍だ」
勇者「……あの親父か」
魔王「ああ、あの男、魔族の中でも強硬派だからな。
魔王の私が伏せっているこの時期でも略奪行為を
続けていると聞いている。銀鱗族、飛魚族、鉄亀族、
巨大烏賊族、歌姫族を率いる、魔族でも指折りの
実力者だ……」
勇者「何度か戦りあったことがある。
ばかでかい図体で、すげー銛さばきだった」
魔王「南氷海で活動するからにはどうあっても
利害が衝突するだろうな」
355 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:27:04.00 ID:AIDyRnsCP
魔王「もう一つが『同盟』だ」
勇者「なんだそりゃ」
魔王「この話は、もうちょっと伏せておこうかと
思ってたんだがな。良い機会だから説明しておこう」
勇者「うん」
魔王「正式には『南部独立都市および自由商人による
経済同盟』と呼ぶ。まぁ、いまでは『同盟』で
何処でも通じるな」
勇者「聞いた覚えはあるけど、それって有名なのか?」
魔王「名前だけは有名だが、実体をする人間は
多くはないな。特に商人でない人間にとっては
意味が薄い」
勇者「つまり、商人の寄り合い所帯だろう?」
魔王「まぁ、そうだ。
50年ほど前に南部諸王国中心の街にうまれた団体だ。
交易商人による団体で、団体構成員の交易特権を
守るために生まれたのが発祥の契機だな」
357 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:32:55.13 ID:AIDyRnsCP
勇者「交易特権?」
魔王「ああ。ある街から別の街に物資を持っていくと
当然のように、許可が下りたり、降りなかったりするだろう」
勇者「あるな」
魔王「商人たちはその『許可』を求めるし
手に入れれば守りたがったんだ。
当たり前だな、その免許のあるなしで、
商売が出来るかどうかが決まる。死活問題だ」
勇者「ふむふむ」
魔王「時代が下ると、税の機構が整備されて、
おなじ許可でも税が重かったり軽かったりするようになった。
こうして王族や貴族は税を通じて経済に接触できるんだ。
しかしそれは逆に、経済の輩、つまり商人が
貴族や王族といった支配階級に接触することをも意味する」
勇者「うへぇ、なんだか難しい話だ」
魔王「『同盟』はそういった商人の作った組織の中でも
最大のものだよ。その規模は想像を絶する」
勇者「へー? どれくらいなんだ? 千人くらいいるのか?」
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:38:05.19 ID:AIDyRnsCP
魔王「この場合、人数は問題じゃないんだ」
勇者「そうなのか?」
魔王「経済的な組織だからな。動かせる富の量や
流通に介入する能力が彼らの武器だ。人数じゃない」
勇者「理屈で云えばそうなるのか。
……で、どれくらいなんだ?」
魔王「その商業範囲は、南部を中心にしてではあるが
この中央大陸全土に及ぶ。
主要な都市に『同盟』の出張機関がない場所はなく、
『同盟』の支店がある場所こそがすなわち主要都市だ。
『同盟』の総資産は誰にも判らないけれど、
いくつかの歴史的な介入から私が試算する限り
その総額は天文学的な規模にあがる」
勇者「……」
魔王「少なく見積もっても、南部諸王国全部を
5回売り買いしてもおつりが来ることは確かだ」
勇者「!?」
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:42:11.51 ID:AIDyRnsCP
魔王「そう言う組織なんだ」
勇者「なんだそりゃ!?」
魔王「こと、この南部地方に限って云えば、都市間の
小麦の流通のおおよそ60%に同盟の息がかかっている。
その気になれば、領主も王の首もすげ替えられる力を
『同盟』はもっていることになるな」
勇者「化物かよ」
魔王「まごうことなき化物だ。
人間の生活は化物の背に乗って行なわれている」
勇者「俺、そのなんとか同盟ってのに頼まれて
何回か戦意高揚演説したことがあるぞ」
魔王「そうなのか?」
勇者「ああ。魔族を倒しに立ち上がろう、えいえいおー!
みたいなやつ。そのあとひらひらしたドレスの
姉ちゃんが出てきて、攻城塔の上でうたってたぞ。
キラッ☆とかいって」
魔王「プロパガンダだな。数百万Gは儲けただろう」
勇者「おれには謝礼15Gだったんだぞっ!?」
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:47:46.85 ID:AIDyRnsCP
勇者「うううう。俺は、俺ってヤツは……」
魔王「そんなに落ち込むな、勇者」
勇者「俺はそんなヤツらに騙されて……」
魔王「経済は君の専門じゃない。無理もないさ」
勇者「俺はそのお姉ちゃんに『憧れてますっ!』
なんてキラキラ瞳で云われたせいで
それだけで胸がいっぱいになって
魔界へ飛び出しちゃうし」
魔王「……」
勇者「帰ってきたら祝勝パレードで
良い感じのパーティーに招待しますからとか
依頼してきた青年に言われちゃったりして、
モテますねとか肘でつつかれて舞い上がったり……。
いま考えるとあの青年も商人だったんだなぁ」
魔王「……」
勇者「うううう。俺はダメ勇者だ」
魔王「ふんっ。きつい教育が必要だな」
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:55:05.85 ID:AIDyRnsCP
勇者「つまり、敵だな」
魔王「あー。物騒なことを云うな」
勇者「いいや、敵だ。最上級撃魔封殺雷撃魔法で仕留める」
魔王「都市攻略術式を個人相手に使おうと考えるな」
勇者「だって騙したんだぞ」しくしく
魔王「子供か、君は。
……そもそも『同盟』には意志なんてないんだ。
金儲けをするための商人が寄り集まって、
知恵を出し合い、自分たちの身を守り成長することだけを
願った組織。もはや肥大してしまって個人の思惑なんて
欠片も差し挟めないほどに成立してしまった
『概念』に近い存在なんだ。
仮に勇者がだまされたとしても向こうに騙すつもり
なんて無かったし、逆に言えば復讐したって
痛みなんて感じる機能はない」
勇者「くぁ、余計むかつく」
魔王「敵でも味方でもない。獣みたいなモノなんだ」
勇者「……」
魔王(それでも、あるいは……)
372 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 19:59:02.75 ID:AIDyRnsCP
勇者「むー。知らないことばっかりだ」
魔王「ぼやくな」
勇者「まぁ、いいけどさ。戦ってばかりいる時よりも
前に進んでいる気がするから」
魔王「……ずっと側にいる」
勇者「うん。俺もだ」
魔王「あー。あー」あせっ
勇者「なんだ?」
魔王「ほら、もう村長の家だ。きょ、今日は
クローバーによる土中の恵みの結晶化について話すのだっ」
勇者「そ、そか」
魔王「……その」
勇者「うん」
魔王「4時間ほどで、帰るから」
勇者「わかった」
魔王「い、いってくるからな」ぎゅっ
勇者「おう! 行ってこい!」ぎゅっ