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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part41


789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:36:19.21 ID:BJlDi/AP
勇者「ああ、勇者剣技その46なー」
女騎士「そうなのか? 昔からたまに使うよな。
 あれを覚えたい、見せてくれないか?」
勇者「そりゃ、無理だろう」
女騎士「そうなのか?」
勇者「だって、勇者の剣技だしなぁ。特別なんじゃないか?」
女騎士「やって見なきゃ判らないだろう?」勇者「……それもそうか」
 かちゃ
勇者「こんな風に構えるだろう? いや、足はどうでもいいや。
 とにかく、剣を敵に向けて半身だ」
女騎士「ふむ」
勇者「で、左手の薬指で、重心を取るみたいに力を抜いて」
女騎士「剣を落としちゃうじゃないか」
勇者「そこはバランス取るんだよ。手のひらで柄が
 ぶらぶらする感じだ」
女騎士「なんて適当な技なんだ……」
勇者「そしたら、剣の刀身から魔素を吸い込むような気持ちで」
女騎士「詠唱するのか?」
勇者「いや、気持ちだけ。そんな気分で、周辺の空間を掴んで、
 引っ張るわけだよ、こうきゅーっと。で、いてもうたる! と」女騎士「いきなり難しいぞ、おいっ」
勇者「だって、そういう気分の技なんだ」
女騎士「気分で技を作るなっ」

791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:38:37.34 ID:BJlDi/AP
女騎士「まったく信じられないな」
勇者「そう言われても」
女騎士「人に教えるのも向かないのは判ったよ」
勇者「自分でも判ってる」
女騎士「……しょげてるのか?」
勇者「いや、そんなことはないけど。
 でも、壊したり殺すのが得意でも、あんまり面白くはないぞ」
女騎士「……そっか」
勇者「そういうもんだ」
女騎士「……」
勇者「……」ぶるっ
女騎士「冷えてきたな。修道院に戻ろう、暖かいものでも出すよ」
勇者「そうすっか」
女騎士「そしてその後、膝枕をする」
勇者「はぁ!?」
女騎士「少しでもハンデを埋める」
勇者「何の話だ」
女騎士「いいではないか! 協力してくれてもっ!
 胸は追いつけないんだから。太ももくらい使わせてくれっ」
勇者「……な、何で怒ってんだろう」
女騎士「これでもわたしは遠慮しているのだ。欲求不満だぞっ」

796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:45:04.65 ID:BJlDi/AP
――冬越し村、魔王の屋敷、談話室
魔王「慰安?」
勇者「旅行?」
メイド長「はい」
魔王「なんだそれは? 天文学用語か?」
勇者「いや、それはないだろう」
メイド長「古代から伝えられるメイドへの報償です」
魔王「そうなのか?」くるっ
勇者「俺にふるなよ。聞かれたって知らないよ、そんなの」
メイド長「間違いございません」
メイド姉「旅行?」
メイド妹「おねーちゃん、それってなに?」
魔王「あー。遠くへ行くことだな」
勇者「旅みたいなものだ」
メイド妹「お引っ越し?」
魔王「いや、引っ越しは伴わない」
メイド妹「じゃ、屋根無し? 家無し放浪?」 じわぁ
勇者「なんか、生い立ちが忍ばれて胸が痛むな」

797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:46:34.57 ID:BJlDi/AP
メイド長「慰安旅行というのは、普段家事に追われている
 メイドに対する最高の報酬であり、
 古来様々な文献において、絶賛されている休暇のあり方です。
 神代のギルドには専用の役人や部署まであったとか」
メイド姉「はぁ」
勇者「それは、どんなことをやるんだ?」
メイド長「まずは遠隔の景勝地へと赴きそこに宿を取ります」
魔王「ふむ」
メイド長「宿には当然他の使用人がおり、
 炊事洗濯掃除と云った日常的な雑事をメイドに代わり行います。
 普段は家事に忙殺されているメイドを解放する。
 それが慰安旅行の目的です」
魔王「つまり、休日か。なるほど、云われてみればもっともだ」
勇者「そういえば、そうだな。
 二人にはお休みらしい休みもなかったもんな」
メイド長「さらに云えば、慰安旅行には温泉がつきものです」
メイド妹「温泉?」
魔王「大きな風呂だな。場合によっては、
 城の大広間くらいの大きさがある」
メイド姉「そんなに!?」
メイド長「この温泉において日頃の疲れを洗い流し、
 メイドは新たなる段階へとステップアップできるのです」

798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:50:53.85 ID:BJlDi/AP
魔王「ふむ、云わんとすることは判った」
メイド長「今回まおー様とわたしの里帰りによる長い不在。
 そのあいだこの二人のやってきた仕事と
 周囲の評価を鑑みるに何らかの報酬を与えるのが
 妥当と判断しました」
メイド妹「つまり、ごほーびって事?」ぴょんっ!
メイド姉「大人しくしてるの、妹」
魔王「うむ、この件については、
 わたしはメイド長に全幅の信頼を置くものだ」
勇者「云われれば納得だ。今まで思いつかなかったのが
 不思議なくらいだぞ」
メイド長「いえ、聞けば長い間、かなりの大騒ぎで
 それどころではなかったそうですし、仕方のないことでしょう」
魔王「わたし達も忙しかったしな」
勇者「魔王は例の広間で寝てただけじゃないのか?」
メイド長「メイド姉、メイド妹。こっちに来なさい」
メイド姉妹「はい」「はいっ」
メイド長 なでなで
メイド妹「え……」
メイド姉「あ……」
メイド長「よくやりました」

799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/16(水) 22:53:17.57 ID:BJlDi/AP
メイド妹「ありがとう! 眼鏡のお姉ちゃん!」
メイド姉「ありがとうございます、メイド長」
魔王「ふふっ」にこっ
勇者「よかったな!」 にこにこ
メイド長「ついては、まおー様、勇者様。お二方、加えて
 僭越ながらわたしも同じ場所に行きたいと存じます。
 他にもお誘いになりたい方がいれば準備させます」
勇者「そうなのか?」
メイド長「救出にも一役買って頂いたことですし、
 こちらでは戦争の危機回避やいざこざなどもあったそうですね。
 疲労もたまっていることでしょう。
 冬が開ければまた忙しくなるのでしょうから、
 行くとすればここがチャンスかと心得ます」
魔王「そう云えそうだな」
勇者「そうかぁ」
メイド姉「ご一緒ですね」にこっ
メイド妹「一緒一緒!」
メイド長「移動は勇者様にお願いします」
勇者「あー。転移? まぁ、手間が無いっちゃないか」
魔王「宿は取ってあるのか?」
メイド長「はい。長い伝統を誇る古城民宿でして
 目下急ピッチで準備中。3名どころか連隊規模の
 入浴にも堪える大浴場を備える雰囲気ばっちりの宿でございます」

858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/17(木) 12:41:51.81 ID:z6GJxeoP
――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”入り口
しゅいんっ!
メイド長「さぁ、到着ですよ」
魔王「なかなか綺麗になっているではないか。
 掃除したのか? 普段とは大違いだぞ」
メイド姉「ここが民宿ですかぁ、すごいです。まるでお城みたい」
勇者(いや……城だよ……)
メイド妹「すごーい! すごーい、これ壺?」ぴょこぴょこ
女騎士「ちょ、ま、まて。勇者。
 身体を休めるための二泊三日の小旅行だと
 云ったではないかっ!」
魔王「いかにもそうだが?」
女騎士「ここは、まっ。まっ。まっ」
メイド長「高級古城民宿、“まおー荘”でございます」
女騎士「嘘をつけぇい!
 どこからどう見ても民宿じゃないだろっ。
 なんだあの鎧はっ! 血の流れる絵はっ!
 何処の民宿にあんなものがあるのだっ!」
女魔法使い「……アート」
メイド長「あらあら。ゴーストのおもてなしの心は
 ちょっぴりずれていますわね」

859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 12:43:21.98 ID:z6GJxeoP
女騎士「ちょっぴりで済むかっ。く、くそっ。
 ああ、精霊様すみません。汚い言葉を使ってしまいましたっ。
 あまりの事態のせいです。お許しください。
 こんなところで死地に踏み込むとは一生の不覚っ。
 わたしが突破のための尖錐騎行をするっ。
 勇者は中衛でみんなの護衛を、
 魔法使いは後方警戒と火力支援をっ」
勇者「おちつけ」 めこっ
女騎士「何をするっ!」
メイド妹「騎士のお姉ちゃん痛そ〜」
  勇者(小声)「少しは落ち着けっ!
   俺たちは魔王と一緒なんだぞ! やばいわけ無いだろっ!」
  女騎士(小声)「そ、そうであった……。すまない」
女魔法使い「仲良し……」
メイド姉「ええ、お二方は仲が良いです」
魔王「わたしだって仲良しなんだぞ。ほんとは」ぶつぶつ
メイド長「ええ、そうですとも。
 まおーさまと勇者様は仲良しですとも。
 わたしがその生き証人です」
魔王「メイド長のせいで、すごく嘘くさくなってしまったではないか」

860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 12:45:10.64 ID:z6GJxeoP
メイド姉「仲の良いことはよいことですよ」にこにこ
メイド妹「いいこと?」
女魔法使い「……比較において好ましいということ。わたしも
 メイド妹と、仲良し」すりすり
メイド妹「昼寝のお姉ちゃんと仲良し」むきゅ
   女騎士「いーやっ! わたしの方が仲良しだっ」
   魔王「仲良しにおいてはわたしに一日長があるっ」
   勇者「もうね。みんな仲良しで良いじゃないですか」
メイド長「あらあら」
メイド姉「仲良しが過ぎてなんだか大変ですね」
メイド妹「お兄ちゃんは、女の人と仲良し?」
女魔法使い「……女の人、沢山と、仲良し」
メイド妹「もてるんだね♪」
女魔法使い「……そのような解釈をすることも出来る」
  魔王「……」
  女騎士「……」
メイド長「そういえば、勇者様。執事さんは
 誘わなかったんですか?」
勇者「いや、ほら。まだ色々話していないこともあるし。
 そもそも温泉にあの爺連れてきたらどうなるか判るっしょ」
メイド長「3人子弟の皆さんは?」
勇者「みんな忙しいんだよ。それにやっぱり前述の問題が、その」

863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 12:47:56.24 ID:z6GJxeoP
メイド妹「お兄ちゃんは、男の子の友達いないの?」
女騎士・魔王 ビキィッ!
勇者「な、な、なにを云ってるのかな?」
メイド妹「一緒にお出かけしてくれる友達、いないの?」
勇者「え? あ。
 ……そんなことないすよ?
 たまたま。
 たまたまだよ?
 ほら、みんなもう要職って云うか、国家運営って云うか、
 組織の指導っていうか、いろいろあるわけじゃない?
 その辺子供にはちょっと難しくて判らないかなぁ、って
 思うんだけどさ。世の中ってのはそう簡単にはできてない
 わけですよ。ね。何事もさ。
 俺くらいの年齢になるとさ、一人で動くのがクールっていうの?
 なんでも群れて動けばいいってもんじゃないっしょ? ね?」
メイド長「そういえば、男性は勇者様一人ですね〜」
女魔法使い「……独占欲」
魔王「ゆ、勇者? そうなのか? 以前から勇者の知り合いは
 どうも女性が多すぎるのではないかとうすうす感じていたんだが」
勇者「な、なにをっ」
女騎士「大体勇者が見境なくあっちの街でもこっちの街でも
 ピンチの女性や少女を都合良く発見、
 その上救出しているからこうなるんだ。
 勇者はファンクラブでも作るつもりなのかっ。
 それとも作った上で会員を増やそうと営業しているのかっ」

864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 12:50:02.67 ID:z6GJxeoP
メイド妹「お兄ちゃん虐められてる?」
メイド姉「怒られてるみたいね」
メイド長「あらあら、まぁまぁ」
女騎士「大体勇者はちょっと胸の大きい女性を見ると
 すぐにぽやんとして節操というものがないっ」
魔王「良いではないか。胸くらいっ。勝手に育ったんだ。
 肉に罪はない。いつまでたっても増えないよりは利息が付いて
 健全な財務状況というものだっ」
勇者「な、何で到着早々こんな流れに……」
メイド妹「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
勇者「ううう……」
メイド妹「大丈夫。わたしが友達になったげるね♪」なでなで
女騎士・魔王 ビキィッ!
勇者「え、あ。……う、うん。ありがとう」
女騎士「勇者、まさか……」
魔王「よもやそんなことはあるまいと思っていたが」
勇者「ちがっ。ちげーよっ! 誤解だよ。
 なんか誤解に満ちてるよっ」
メイド姉「こ、こらっ。妹」ぺし
メイド妹「はう?」

865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 12:51:40.46 ID:z6GJxeoP
メイド長「あらあら、まぁまぁ」
女騎士「だいたい身近に女性が複数いながら
 新規開拓とはどういう了見だっ」
魔王「勇者の所有者としても勇者の交友関係の
 性別比率については一言言わせて貰いたいっ」
勇者「ううっ。違うっ! 違うんだっ!
 今回はたまたまだったんだっ!」
女騎士「言い訳とは騎士らしくありませんね」
勇者「俺は騎士じゃないっ」
魔王「ただでさえハンデがあるというのに、
 これ以上出走馬を増やされては叶わないっ。どうにかしろっ」
女魔法使い「……勇者も受難」
勇者「助けろ、魔法使いっ」
女魔法使い「殺人事件は、常にごきげん」
勇者「意味がわからねぇ〜っ」
女騎士「それもこれも勇者が悪い」
魔王「甲斐性の欠如だ。安心感と安定感がないのが悪い」
勇者「言いたい放題云いやがって!
 女は簡単に連合軍を作るから包囲戦じゃねぇかよっ!。
 わぁった! 見てやがれっ。俺だってダチの一人や二人いるんだ。
 後で見てろよっ!!」
 ひゅいんっ!

881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 13:17:41.28 ID:z6GJxeoP
――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、客室・姉妹
メイド妹「すごいすごーい! お布団ふっかふかぁ!」
 ぼふんっ! ぼふんっ!
メイド姉「こら。いもーと。そんなことしないの」
メイド妹「だって、ふっわふわだよぉ? すっごいよ?」
メイド姉「そ、そう?」
メイド妹「うんっ♪」
メイド姉「そうなんだ……」
メイド妹「お姉ちゃんもしようよっ!」
……ぼ、ぼふっ
メイド姉「わ、すごいっ」
メイド妹「でしょー? これ何で作るのかな? 綿かな、藁かな」
メイド姉「鳥の羽で布団を作るって読んだことがあるわ」
 ぼふんっ! ぼふんっ!
メイド妹「そうなんだ! すごいねぇ。鳥さんの羽で
 こんなふわふわ布団になるのかなぁ。――あ」
メイド姉「どうしたの?」
メイド妹「こっちにドアついてる」
とてて、ガチャ
メイド妹「わぁーっ!」
メイド姉「どうしたの?」

882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 13:18:33.66 ID:z6GJxeoP
メイド妹「なんかね、洋服が一杯掛かってる。
 あと、リネンとか、お風呂もついてるよー」
メイド姉「温泉? 広間くらい広いの?」
メイド妹「ううん。お屋敷のと同じくらいだよ」
メイド姉「そうよね。メイド長も人が悪いから……。
 大広間ほどのお風呂があるなんて、大げさよ」
メイド妹「だよねっ!」
とてて
メイド姉「でも、とっても素敵なお風呂ね」
メイド妹「うんっ。あ、お姉ちゃん!」
メイド姉「なに?」
メイド妹「この石鹸、薔薇の花の形してるよ?」
メイド姉「わぁ……」
メイド妹「すっごいね!」
メイド姉「うん、うんっ」
メイド妹「後で入ろうね!」メイド姉「そうね。二人で入るには大きいくらい」
メイド妹「お姉ちゃんとお風呂だぁ」
メイド姉「そんなにはしゃがないの」
メイド妹「髪も洗って〜♪」
メイド姉「はいはい」 にこっ

887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 13:34:15.13 ID:z6GJxeoP
――魔王城、最下層、冥府殿の扉
女魔法使い「……」
メイド長「どうでしょう?」
女魔法使い「……反応はない」
メイド長「消失しましたか?」
女魔法使い「……判らない。でも」
メイド長「はい」
女魔法使い「この扉を破ったのは、勇者?」
メイド長「そうです」
女魔法使い「……」
メイド長「……」
女魔法使い「……残留思念の止揚結界も、破壊されている」
メイド長「やはり……」
女魔法使い「おそらく、もう継承は行えない。もしくは」
メイド長「もしくは?」
女魔法使い「……世界全てで無秩序に継承が行われる」
メイド長「では、魔王の霊は?」
女魔法使い「世に、放たれた」

893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 14:03:21.90 ID:z6GJxeoP
――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、客室・姉妹
こんこんっ
魔王「おーうい、姉〜。妹〜」
ぱたぱたっ
魔王「わたしだ」
ガチャ
メイド姉「あ、はい当主様っ」
メイド妹「当主のお姉ちゃん、どうしたのー?」
魔王「なにをしていたのだ?」
メイド姉「いえ、お風呂に入って、着替えようかと」
メイド妹「うん。あのね、あのねっ。石鹸が可愛いんだよっ」
魔王「丁度良かった。お風呂に入るぞ」
メイド姉「はい?」
魔王「風呂は、少し離れた場所にあるのだ。案内に来た」
メイド姉「え? ……そのぅ、別の場所?」
魔王「そうだ。着替えだけ持ってゆこう」
メイド姉「は、はいっ」
  メイド妹「ぱ、ぱんつー。ぱんつどこやったっけー」
  メイド姉「妹のは、こっちの袋っ」
魔王「ふふふっ」

894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 14:04:22.81 ID:z6GJxeoP
――魔王城東翼、別館、古城民宿“まおー荘”、大温泉
ドドドドドド!
メイド姉妹 ぽかーん
女騎士「んぅ。熱くて心地よいな」
メイド長「手前に行くほど浅くて温くなっていますよ」
女騎士「わたしは熱い湯が好みなのだ」
女魔法使い「……茹で騎士」
ドドドドドド!
メイド姉妹 ぽかーん
魔王「何を硬直しているのだ?」
メイド姉「だ、だって。お風呂に滝がありますよっ!?」
メイド妹「お風呂なのに天井がないよぅっ!?」
魔王「そんなことを云われても。それが温泉なのだ」
メイド姉「そ、そんな」おろおろ
メイド妹「湯気で真っ白でふわふわだよぅ」わたわた
メイド長「これ。取り乱さないで落ち着きなさい」
メイド姉妹「はいっ」びしっ

895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/17(木) 14:05:28.33 ID:z6GJxeoP
メイド姉「温かい……」
メイド妹「うん、熱々〜」
メイド長「真っ赤ですよ、妹」
メイド妹「でも、平気〜」ふらふら
女騎士「こらこら。ふらついているじゃないか」
女魔法使い「……南方寒冷地に住む人々は、
 普段このような熱い湯に長時間つかる習慣がない。
 それだけに耐性が低い」
魔王「そうなのか。風土的なものなのだな」
メイド姉「妹ったら、みんなと一緒のせいではしゃいでるんです。
 ごめんなさい。ちょっとあがってれば平気だよね?」
メイド妹「うー」
女魔法使い「……“氷の息吹”」ひやっ
メイド妹「ひゃうっ!?」
女魔法使い「……回復した」
ざざーん
魔王「うん。久しぶりだが、心地よいな」
女魔法使い「……」じぃっ
魔王「どうした? 魔法使い殿」
女魔法使い「なんでもない」
魔王「同じ一族ではあるが、入れ違いになり、
 あまり話も出来なかったな」
女魔法使い こくり