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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part4


254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 15:43:06.05 ID:AIDyRnsCP
魔王「そうは云っても」
勇者「気は焦るよな。3年しかないし」
メイド長「まぁまぁ、今日は豚肉とカブのシチューを
 作ってあるんですよ」
魔王「旨そうだな」
勇者「ああ、考えてても仕方ないか」
メイド長「では、調理の仕上げがありますので
 わたしはこれで。夕食はあと1時間ほどです。
 お呼びに上がりますので、暖炉にでも当たっていて
 くださいね」
魔王「ああ、頼んだぞ」
ぱたり
勇者「……ふぅー」
魔王「疲れたか? 勇者」
勇者「んー。身体は何も疲れてないんだけどな。
 普段考えないようなことを考えて、頭が疲れたよ」
魔王「ふふふ。そうだろうな」

256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 15:46:39.50 ID:AIDyRnsCP
魔王「なぁ、勇者」
勇者「ん?」
魔王「暖炉が暖かいぞ?」
勇者「おう。暖かいな。この地方の寒さも、暖炉の前だと
 多少許せるよな」
魔王「なぁ、勇者」
勇者「ん?」
魔王「そのぅ、良かったらなのだが。隣に来ないか?」
勇者「なんで?」
魔王「この角度が、暖炉が暖かくて気持ちよいのだ」
勇者「そなのか?」
魔王「そうなのだ。ほら、特等席だぞ」
勇者「ん。ほんとだ。あったけー」
魔王「どうだ?」
勇者「自慢そうな顔するなよ、魔王」
魔王「む。……まぁ、たしかに暖炉が暖かいのは
 私の手柄ではないがな」

257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 15:50:45.68 ID:AIDyRnsCP
魔王「……」
勇者「……」
魔王「勇者?」ぺ、ぺとっ
勇者「ん?」
魔王「さ、触って良いか?」
勇者「別に良いけど」
魔王「変な意味はないぞ。勇者の髪は暗い色だから
 ちょっと触れてみたくてな。ああ、つんつんしてるな」
勇者「ご先祖様にサムラーイがいたんだ」
魔王「なんだそれは?」
勇者「東方の戦士だよ。鎧も兜も真っ二つにする技が
 使えたんだとさ」
魔王「そうか、勇猛な戦士殿だったんだな」
勇者「一族全員戦いの家系なんだ」
魔王「そうか? それ以外にだって、
 勇者には素晴らしくて良いところが沢山だぞ?」

259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 15:54:50.43 ID:AIDyRnsCP
勇者「そうかなー」
魔王「そうだぞ、たとえば、私が側にいても怯えないとか」
勇者「魔王はひ弱だし、女の人じゃん。運動不足だし」
魔王「でも魔王だからな」
勇者「そう言うものかな」
魔王「そう言うものなんだ」
勇者「なんだかしおらしいな」
魔王「さ、作戦なのだ」
勇者「?」
魔王「これから勇者相手に交渉をだな、するのだ」
勇者「何の?」
魔王「それを云っては交渉にならんではないか」
勇者「云わないで伝わるものか」
魔王「事は微妙を要する問題なのだ。出来るだけ誤解を
 受けないようにきちんと説明をしたい」
勇者「話してみれば?」

261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 15:58:09.56 ID:AIDyRnsCP
魔王「つまり、外は寒いだろう? 冬の嵐到来だ。
 そしてここは暖かくて居心地がよい。
 じきに夕食のお迎えが来るまでは二人は暇で、
 さしあたってやることがないだろう?
 もちろん今後やるべき課題は山積みでそれらに対して
 考察を加えるという任務が巨大にそびえ立っているわけだが、
 勇者は現在頭が疲れているという状況にあり、
 効率的な作業は望めないわけだ」
勇者「あー」
魔王「もちろんこれはわたしの方で考えた草案というのも
 愚かな一私案に過ぎないわけだが勇者の現在の疲労状況を
 鑑みるにこのような俗説民間信仰の類も一概にその効能を
 否定するわけにも行かないのではないかと思えるのだ時に
 戦士はそのような蜜園で疲れを癒すと古書にもある勇者は
 そのような爛れた習慣はないというかも知れないが」
勇者「で、なにをどーしたいんだ?」
魔王「勇者に膝枕してみたい」
勇者「よしきた」ぼふんっ
魔王「あっ。あわっ。勇者……」
勇者「俺は魔王のものなんだ。遠慮は無用だぜ」

265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:03:32.95 ID:AIDyRnsCP
魔王「勇者」
勇者「んぅ……」
魔王「勇者の頭、もふもふしてるぞ」
勇者「遊ぶなよ」
魔王「撫でているだけだ」
勇者「魔王も良い匂いだぞ?」
魔王「毎日ちゃんと湯浴みしてるからな」
勇者「真面目だな」
魔王「うむ、真面目なのだ。
 勇者のモノになって以来メイド長が容赦なくてな。
 以前は研究続きで一週間着替えないなんて事も
 少なくなかったんだが」
勇者「魔王は太ももすべすべだな」
魔王「そ、そうか? 太くないか?」
勇者「寝心地良いぞ」
魔王「そうか。救われる。勇者は本当に
 寛大な心の持ち主だな」
勇者「あーえーうー。……えろ欲求の持ち主ではあるんだが」
魔王「?」

272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:12:30.35 ID:AIDyRnsCP
魔王「その、勇者」
勇者「なんだー?」
魔王「さっきの、遠慮は無用というの」
勇者「?」
魔王「あれは本当か?」
勇者「うん、そうだぞ」
魔王「そ、そうなのか」おろおろ
勇者「……どした?」
魔王「う、うむ」
勇者「押し黙るなよ。怖いから」
魔王「私も自分がちょっぴり怖いぞ」
勇者「はぁ?」
魔王「いや、怯えてなどいられるか。
 『まだ見ぬものを求める』。
 それが私の生涯のテーマだったではないかっ」
勇者「??」
魔王「その、勇者……」じぃっ
勇者「何だよ、気軽に云えばいいぞ」
  
ガ タ ン ッ

275 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:24:44.37 ID:AIDyRnsCP
魔王「何だ、あの音は」
勇者「裏手? ……納屋かっ?」
ダダダッ
魔王「えいこれ! 待てと云うのだ!」
――納屋
勇者「ここかっ!」
魔王「真っ暗ではないか」
???「……。……」
勇者(人の気配?)
魔王「しばし待て、明かりの呪文を……」ぽわっ
姉 がたがたがた
妹 ぶるぶるぶるぶる
勇者「……なんだ? 子供だぞ」
魔王「どうしたのだ? 殆ど下着ではないか」

279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:29:26.13 ID:AIDyRnsCP
メイド長「あらあら、まぁまぁ」
魔王「メイド長」
メイド長「また迷い込んできたのですね」
魔王「こやつらは何なのじゃ?」
メイド長「逃亡奴隷ですわ。この館は長い間無人でした。
 無人の割には廃墟ではありませんでしたし、
 周辺の村とは違う系統の権力に属していますからね。
 そう言う場所は逃げ込む先として使われてしまうんですよ」
勇者「奴隷?」
メイド長「ええ、そうですよ」
勇者「奴隷なんて、そんなのどこから来るんだよ」いらっ
メイド長「そこら中にいるではないですか?
 ここらにいる人間はその殆どが奴隷でしょう?」
勇者「ちがうっ。奴隷なんかじゃないっ!」
メイド長「あら。私の見当違いなのでしょうか」
勇者「奴隷制は野蛮だ。俺たちは許していない」
メイド長「そんなことをおっしゃられても」

282 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:33:04.54 ID:AIDyRnsCP
魔王「この者たちは、農奴なのだな」
勇者「農奴……?」
メイド長「やっぱり奴隷ではないですか」
魔王「農奴と奴隷は違う」
勇者「ほらみろ。この南部諸王国に奴隷はいないんだ」
メイド長「そうでしょうか?」
魔王「農奴は奴隷とは違い、個人財産が認められている。
 家も持てるし、農機具も自前のものがもてる。
 家族と一緒に暮らすことも出来るんだ」
勇者「まぁ、当たり前だな」
姉 がたがたがた
妹 ぶるぶるぶるぶる
魔王「その一方で、職業選択や移動の自由はない。
 主に荘園……地主の農地で、農作業を行なうための
 労働力として、選択の自由無く働かされる存在だ」
勇者「……」
メイド長「……奴隷とは違うのですねぇ。へぇ〜」ふんっ

283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:38:20.18 ID:AIDyRnsCP
勇者「……」ぎりっ
魔王「メイド長、それ以上は云うな。奴隷制は悲劇的かも
 しれないが社会制度の中で経済的にも意味があったのは
 事実なのだ」
メイド長「そうでしょうか?」
魔王「メイド長っ」
メイド長「……差し出口を。申し訳ありません」
魔王「……」
勇者「……」
妹 ぶるぶるぶるぶる
姉「あ、あのぅ……。あ、あさにはでてゆきますっ。
 ごめ、ごめいわく……かけませんから…っ…
 どうか、ひとばんだけ」
メイド長「……」
魔王「メイド長。初めてではないのだろう?
 いままではどのように対処していたのだ?」

285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:42:32.64 ID:AIDyRnsCP
メイド長「逃亡奴隷……農奴でしたか。それは重罪です。
 付近の有力者との関係も悪くなります。
 すぐさま通報して引き取りに来てもらっていました」
魔王「そうか」
勇者「……」
メイド長「勇者様、ご気分が優れないようですが?」
勇者「……厳しすぎないか?」
メイド長「自分の運命をつかめない存在は虫です。
 私は虫が嫌いです。羽をもがれたようで見るに堪えません」
魔王「……っ」
勇者「あのなぁ!」
メイド長「大事の前の小事ではありませんか?
 このような些末時で付近の有力者の方々の
 心証を悪くされても益のないことだと思いますが」
魔王「そう……だな……」
勇者「魔王……」
メイド長「では」
魔王「いや、連絡は明日の朝まで待つ。
 湯を沸かせ。もう少しましな衣服もあるだろう。
 反論は抜きだ。今回はそうする。もう、決めた」

286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:47:50.29 ID:AIDyRnsCP
――小さな部屋
魔王「あー。なんだ」
勇者「……歯切れ悪いな」
魔王「私は魔王であり経済屋だ。こういうのは苦手なんだ」
勇者「俺だって勇者で剣士なんだ。苦手だ」
姉「あの、ありがとうございます」
妹 おどおど
勇者「おう、気にしないで良いぞ」
姉「こんなりっぱなふく、はじめてです」
妹 こくり
勇者「そか? なんだかこの屋敷に残されてた古着だけど」
魔王「あー。腹はくちくなったか? 寝床は平気か?」
姉「はい。わらはふかふかで、
 あたたかくて、きれいなへやです」
勇者「こんな小汚い部屋でもか……」
魔王「そう言う境遇なのだろう」

289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 16:57:08.31 ID:AIDyRnsCP
姉「その、こんなによくしてもらったのですけど」
姉「あしたの、あさには、その……」
魔王「それは……」
勇者「……」
姉「おねがいです、つうほうしないでください。
 いえ、そうじゃなくて」
妹 じわぁ
姉「にげますから。ほんのすこしだけ。よあけから
 すこしのあいだだけ、まってください」
 
ガチャリ
メイド長「何を言ってるんですか。ろくな靴もない。
 服も最低限。お金も道具も何もない。
 街へ行って乞食でもやるつもりですか?」
妹「あ、あぅぅぅ」
勇者「どうにか……。どうにかなんないのか?」

291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:02:44.67 ID:AIDyRnsCP
メイド長「なりません。奴隷の生活は惨めですよ。
 何も出来ない。何の希望もない。
 自分自身の罪でそう居続けるしかできないと
 自分で自分に言い聞かせながら生きてゆくのです。
 この世の地獄かも知れませんね。
 でもね」
姉「……」
メイド長「やっていることはメイドと代わりはありませんよ。
 主人の意を受けて、主人の言葉なら何でもしたがう。
 主人の夢を叶えるため、そのために命を捧げる。
 奴隷とたいした違いは有りはしません」
魔王「メイド長。私はお前を奴隷だなどと思ったことは
 有りはしないぞ」
メイド長「ええ、まおー様。
 私もそのような扱い、まおー様より受けた覚えはありません。
 でもだからより一層、正視に耐えません。
 私と同じ仕事をしながら、
 自らの手に運命をつかむことの出来ない
 その弱さは、灼かれて死んで償うべきかと思います」
妹「ちがうよっ!! ちがうもんっ!」

292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:07:38.70 ID:AIDyRnsCP
妹「ちがうよっ、めがねのおねえちゃんはいじわるなのっ。
 わたしたちはちゃんとにげてきたもんっ。
 なにもできないわけじゃないもんっ。
 みやこにいって、ふたりで、くらすんだもんっ」
勇者「……それは」
メイド長「何を夢物語を」
妹「でも、やるんだもんっ」
メイド長「百歩譲ってその熱意を努力と呼んでも
 良いでしょう。しかし、それをなすに当たって
 他者の家に忍び込み、あまつさえその厚意にすがり。
 そればかりか寝床と食事を与えてくれた
 その他者の立場を逃亡によってさらに悪くする。
 そのような方法を是とする。
 それがあなたたち農奴のやりようですか?」
妹「だって、だってぇ!」
メイド長「もう一度云います。
 自分の運命をつかめない存在は虫です。
 私は虫が嫌いです。大嫌いです。
 虫で居続けることに甘んじる人を人間だとは思いません」
姉「……」

294 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:13:49.12 ID:AIDyRnsCP
メイド長「判りましたか?」
姉「はい……」
メイド長「謝罪を」
姉「このやかたのみなさま……きぞくさまには
 ご、ごめいわくを、かけました。ごめんなさい」
メイド長「よろしい」
姉「……」
妹「ひっく……う。うううぅ」
メイド長「……」 じぃっ
姉「……」
メイド長「……それだけですか?」
妹「やぁ……。もどるの、やだよぅ……こわいよぉ」
姉「……いもうと、しずかにして」

297 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:17:39.30 ID:AIDyRnsCP
メイド長「……」
姉「わたしたちを、ニンゲンにしてください。
 わたしは、あなたがうんめい、だと――おもいます」
メイド長「頭を下げる時は
 そのように這いつくばってはいけません。
 せっかくスカートをはいているのですから
 指先で軽くつまみ、ドレープを美しく見せながら
 優雅に一礼するのです」
姉 ぺ、ぺこり
メイド長「……魔王様。この館は魔王城に比べれば
 掘っ立て小屋も同然ですが私1人ではいささか手が
 足りません。メイドを雇ってもよろしいでしょうか?」
勇者「いいのかっ? メイド長。あんなに嫌いだって
 いってたのに。許してくれるのかっ?」
メイド長「嫌いなのは虫です。メイドを嫌う人は
 この世界に存在しません。たとえそのメイドが
 新人であってもです」
魔王「許す。鍛えてやってくれ」

302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:27:33.55 ID:AIDyRnsCP
――雪の森の中
メイド妹「ゆーしゃーさまー。ゆーしゃーさまー」
メイド妹「ゆーしゃーさまーはどこですかー。
 おいしーパンを、おとどけですよ」
ヒュンッ!
勇者「おう、お使いお疲れ」
メイド妹「わっ。どこにいたの?」
勇者「転移魔法だよ。声、森の中に響いてたぞ」
メイド妹「へへーん♪」
勇者「まぁ、この辺はすっかり安全になったから
 平気だろうけどな。不用心なヤツだ」
メイド妹「ゆーしゃさまに、おとどけものです」
勇者「お!」
メイド妹「おひるごはんですー! クルミのパンと、
 タマネギとベーコンのオムレツですー」
勇者「旨そうだな」
メイド妹「おねーちゃんがつくりましたっ」
勇者「順調に仕事覚えてるな。感心感心」

306 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:33:55.68 ID:AIDyRnsCP
メイド妹「おいしい?」
勇者「美味いぞ! 温かい紅茶がまた泣かせるな。
 走ってきたんだろう?」
メイド妹「うんっ」
勇者「一口飲め?」
メイド妹「うんっ!」
勇者「昼間とは云え、屋外作業は辛いなぁ。
 なんかこー滅入るよ、まったく」
メイド妹「あ、そだ。とうしゅのおねーちゃんから
 でんごんがあった」
勇者「何だ、先に云えよ」
メイド妹「『きょうは、いのしし6とうがのるまだ。
 くまならいのしし2とうぶんにかぞえても、よい。
 それから、かわのじょうりゅうをみてきてくれ。
 はんらんしそうなばしょがあれば、
 まほうでこわすか、なおしてくれ』」
勇者「人使い粗いな」

307 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 17:39:27.05 ID:AIDyRnsCP
勇者「そういや、学校はどうした?」
メイド妹「ごごは、からだのたんれん」
勇者「お前は鍛錬良いのか?」
メイド妹「まだ、せいとすくないから。
 おなじ年のこ、いないの。ゆうしゃさまに
 ごはんをとどけるのが、ごごのうんどうー」
勇者「お。『年』っておぼえたのか」
メイド妹「とーしゅのおねーちゃんが、
 もじおしえてくれるんだよ」
勇者「忙しいクセにまめだな、魔王」
メイド妹「あと、さんすー」
勇者「算数か」
メイド妹「うまくやると、儲けでうはうは」
勇者「あの経済屋め。『儲け』だけは書けるのか」
メイド妹「損益分岐点、もかけるよ?」