Part34
9 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage_saga]:2009/09/13(日) 18:20:33.52 ID:6HXLExsP
東の砦将「こいつぁよ」
副官「はい」
東の砦将「人間だよな。ああ、人間だよ。
俺には判る、間違いないね。人間だ。
この手紙からは、人間くさい匂いが、腐った人間の放つ
あのいやーな匂いがぷんぷんしやがる」
副官「……」
東の砦将「嬢ちゃん、そいつはどんなやつだったんだい?」
魔族娘「あの。わたしも見ただけで……。
その手紙は……掏摸の子供から、買ったんです。
で、でも……。 その商人は、たしかに蒼魔族の人と会ってました……。
えっと、背は副官さんくらいで……。
でも、横幅は、細くて、フードかぶっていて……。
なんか、その……呼吸音が、変で」
東の砦将「変?」
魔族娘「漏れるような……蛇みたいな……」
東の砦将「喉の裂傷か、病か?」
副官「手配しましょう」
東の砦将「もう街に残っちゃ居ないと思うが、そうしてくれ。
魔族も人間もかまわずチェックだ。
くそっ。いったい何がどうなってるんだ。
これ以上ドンパチ続けてどうなるってんだ!」
15 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/13(日) 18:37:49.43 ID:6HXLExsP
――地下世界への旅
ヒュバァァァァァ!!
勇者「……魔界?」
「……魔界じゃない。地下世界」
勇者「地面の下に、魔界があったのか!?」
「そう」
勇者「……っ」
「……そもそも転移呪文は、瞬間移動呪文。
……次元跳躍呪文では、無い」
ガクンッ! ガクンッ!
勇者「うわぁっ!?」
「高度を低く」
勇者「何でだよっ」
「地下には引力がない。斥力が代替している」
勇者「引力? 斥力?」
17 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :[saga]2009/09/13(日) 18:41:03.76 ID:6HXLExsP
「……引力は、大地がものを引く力。この力で、物は落ちる。
斥力は、物を押す力。地下世界では、碧太陽が斥力で
万物を地面に押さえている。
……押さえないと、浮き上がるかもしれない」
勇者「なんで飛行呪が不調になるんだ? 関係があるのか?」
「……地下世界では、碧太陽に近づくほど斥力が強くなる。
高く飛ぶことは不可能」
勇者「本当なのかよ」
「本当」
勇者「……訳がわからない」
「判るべき」
勇者「なんでっ?」
「いまは魔王が大事」
勇者「何処にいるんだ? あいつはっ。どうなってるんだ」
「“魔王”になりかけている」
勇者「判らないよっ」
「魔王城、その地下深く」
20 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 18:43:28.39 ID:6HXLExsP
勇者「判った!!」
ヒュバァァァァァ!!
「……魔王の代わりは」ザリッ!「……わたしがする」
勇者「は? なんか変な音がしたぞっ」
「通信の、距離限界。……人間界の援護は、わたしがする」
勇者「出来るのか?」
「……まかせてちょんまげ」
勇者「……」
「……おまかせくださいこのくそ童貞」
勇者「……」
「……」
勇者「わ、わかった。深くは聞かない。頼んだ」
「了解」
勇者「あのさ」
「……」
勇者「来てくれて、ありがとうな。……すげー助かった」
「……いってきて」 ザリザリッ! 「まってる」
22 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 18:45:06.67 ID:6HXLExsP
ヒュバァァァァァ!!
勇者「ここかっ。警備兵どもは居るのか? まぁいいさ。
強行突破だ、このまま行くっ。……“加速呪”っ!」
キュイィーンッ!
勇者「……魔法使い、おい」
勇者「……おいっ」
勇者「流石に通信限界か。
――誰もいないな。
最下層、目指すぜ。たしか、こっちへ……」
キュイィーンッ!
勇者「宝物庫を抜けて、回廊を抜けて……三層……」
ドカッ! ガシャン!
勇者「あとで壊したの謝るからなっ! 五層っ!」
ガチャン! キュイィーンッ!
勇者「七層っ! なっ、なんだっ!?」
オオオーン!
オオオオーン!
勇者「どす黒い……。こんな魔素、はじめてだぞっ。
魔王……なのかっ。こんなに戦闘能力があるのかっ」
27 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:01:36.12 ID:6HXLExsP
――大陸草原、雪の集合地
女騎士「揃ったようか?」
将官「はい、中央征伐軍、どうやら予定数をそろえたようです。
中央の天幕に主だった貴族、領主が集合。全体軍議を始めました」
女騎士「総数は?」
将官「総数四万近いですね。うち、兵力は二万八千です。
そのほかは非戦闘要員と見えます。うち騎馬兵力は九千。
全て望遠鏡部隊により目視確認」
冬国兵士 ごくりっ
女騎士「気にするな。喧嘩にならなければ
数が多かろうが少なかろうが関係ない。
いや、少ない方が財布に優しい分、勝ちだ」
冬国兵士「はっ、ははは、はいっ。姫騎士将軍の仰せのままにっ」
女騎士「で、今日の付け届けは?」
将官「はい。氷酒30樽、猪三頭、豚六頭を手配しておきました」
女騎士「ん。それで今晩も宴会だろうな」
将官「はぁ」
女騎士「自信なさそうだな」
将官「いえ。カツアゲされてる気分がちょっぴりわかったり」
女騎士「考えたらダメだ。考えない方が強いんだ」えへん
将官「それはそれでどうかなぁ」
28 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:03:14.49 ID:6HXLExsP
女騎士「次は飼い葉だな」
将官「飼い葉、ですか?」
女騎士「ああ、あれだけの馬が居るとなれば、
大量の飼料が必要だろう?
エン麦やカラス麦、干し草なのだろうな。
もちろん馬車でそれらを輸送してきた領主もいるだろうが
大半の領主は現地で買い上げるつもりだろう。
金貨の方が持ち運びやすいのは明らかだ」
将官「はぁ」
女騎士「付近の農家に根回しを続けろ。
今度はもうちょっと広範囲に広げるつもりがあるな。
商人風を装え。軍が来ているから、干し草を持っていないと
嫌がらせをされるかもしれない、と、それとなく云うんだ。
このあたりの農家は、三ヶ国同盟には同情的だ。
用意してきた干し草やカラス麦を買って貰え。
場合によっては、同情した態度で無料で分け与えても良い」
将官「どんな意味があるんです?」
女騎士「ああ。持ってきた飼料は腐り水を吸わせてあるんだ。
もちろん、馬が死ぬような物じゃない。
ただ体調は崩すだろうな」
29 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:04:56.20 ID:6HXLExsP
女騎士「馬の体調が崩れれば、開戦日の指定が困難になる。
もし会戦したとしても、突撃力が明らかに鈍る。
騎士の取る戦術ではないが、今回は許して貰おう」
将官「なんで飼料にしたんですか?」
女騎士「人間の口に入る物であれば、毒味もするだろうし、
毒物の選定にも気を遣わざるを得ないだろう?
そこへ行くと、馬の飼い葉を毒味するやつなんていやしない。
馬にはちょっぴり可哀想だけどな。
戦争になれば、死ぬ馬も沢山出てしまう。
その件で許してもらえれば良いな」
将官「それはまぁ、流れ矢に当たった馬なんて
息絶えるまで血の泡を吹いて半日以上苦しんでいたり
軍人のわたしでさえ沈んだ気分になりますからね」
女騎士「よし、指示を伝えてきてくれ」
冬国兵士「はいっ」
将官「これで、数日は稼げますかね」
女騎士「粘るしかないな」
将官「次の手は?」
女騎士「まだ三つ四つは考えているのだが」
将官「ほう?」
女騎士「敵陣の前で熊と素手で戦ってみせるとか?」
将官「それだけは勘弁してくださいっ。イメージが壊れます」
41 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:34:29.89 ID:6HXLExsP
――冬の王宮、謁見の間
女魔法使い「……くぴぃ」
女魔法使い「……すぅぅ……すぅぅ」
冬寂王「……」
女魔法使い「……んぅ。……くぴぃ」
冬寂王「あれは一応玉座だぞ?」
商人子弟「ええ」
従僕「変な女の子……」
女魔法使い「くふぅ……」くてん
冬寂王「我が王座に何でかような少女が寝込んでいるのだ」
商人子弟「さぁ……」
従僕「……」そぉっ つんつん
女魔法使い がぷっ
従僕「っ!?」びくっ
冬寂王「危険な刺客かもしれんっ」
商人子弟「……」こくり
42 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:36:05.88 ID:6HXLExsP
女魔法使い「っ!」 もそもそ
冬寂王「ぬっ」
女魔法使い「くかぁ……。んにゃむにゃ」 しーん
冬寂王「……」
かちゃ
執事「若。お茶が入りましたぞ。気を取り直して
書類などあああっっ〜!?」
冬寂王「爺、どうしたのだ?」
執事「ま、魔法使いっ。ぬし、いままで何処にっ!」がしっ
女魔法使い「……」ぼへぇ
執事「どこにいってたんですかっ。
勇者も女騎士もさんざんに心配していたんですよっ。
多量のよだれを流している場合ではありませんぞっ」
女魔法使い「……ねていた」
執事「あなたって人はまったく。まぁ、勇者が居ないので
いまはまだ正常のようですね」
45 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:38:12.28 ID:6HXLExsP
――冬の王宮、謁見の間
執事「紹介しましょう。彼女がかつての勇者の仲間、
3人のうち1人。女魔法使いです」
女魔法使い こくり
執事「この状態の時は安全です」
女魔法使い ぼやぁ
冬寂王「この方も伝説の英雄なのか?」
商人子弟「まさかぁ」
執事「そのとおり。彼女こそパーティーの広域殲滅担当。
108の呪文を修めかつては“出来の悪い悪夢”“昼寝魔道士”
と呼ばれた最強の魔法使いです」
女魔法使い「……わたしは“ごきげん殺人事件”っていうのが好き」
冬寂王(小声で)「間合いが取りずらいお嬢さんだな」
商人子弟(小声で)「僕も感じてました」
執事「いや、この娘、やる時にはやり過ぎてしまう娘ですぞ」
冬寂王「……あまり決まってないような印象だな」
商人子弟「凄さが判りずらい感じですね」
48 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:40:20.16 ID:6HXLExsP
女魔法使い「……寝る」
執事「いま寝られると困ります。勇者とは会ったんですか」
女魔法使い「会った」
執事「勇者は?」
女魔法使い「魔界と呼ばれていた場所へ向かった」
冬寂王「……やはり、そうか」
商人子弟「こちらはわたし達だけで持たさなければなりませんね」
執事「それで、勇者は何か? 何を知っておるんですか」
女魔法使い「まお……紅の学士から指示を預かってきてる」
冬寂王「っ!?」
商人子弟「学士様とお知り合いなのですかっ?」
執事「旅に出ていると聞きましたが……」
冬寂王「して、どのような?」
女魔法使い「……おしえない」
冬寂王「なにゆえだっ」
執事「学士様とは知り合いなのですか?」
女魔法使い「……学士は、ゆるいところがあるので。
胸とは言わない。胸はゆるいというより、たぷたぷ。
それから、わたしと学士は、同じ一族。親戚。姉妹?」
冬寂王「ご親戚だったのか」
50 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:42:22.49 ID:6HXLExsP
女魔法使い「……それに」
執事「それに?」
女魔法使い「……すぅ」
執事「おきてくださいっ」がくがくっ
女魔法使い「……学士は、こちらの状況を、知らない。
戦争になっていると、思っていなかった。
……だから、指示は、かなり。無駄」
冬寂王「そうか……。そういえばそうだったな……」
女魔法使い「……でも、手を打つ」
商人子弟「どんなです?」
女魔法使い「……偶蹄目の動物である家畜を用いて
その危険性を弱毒化により減少させたウイルスを、
意図的に患者に罹患させることにより、
……近縁種への排他的抵抗性、すなわち免疫を獲得させる治療法、
およびその一般への啓蒙と頒布、接種体制を確立させる」
冬寂王「?」
商人子弟「……えーっと、判ったか?」
従僕「さっぱり判りませんー」 うるうる
女魔法使い「……」ぽけぇ
冬寂王「もうちょっと判りやすく頼めるだろうか?」
女魔法使い「天然痘の予防体制を成立させる」
52 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:48:48.44 ID:6HXLExsP
冬寂王「っ!?」
商人子弟「何を仰っているのか、判っているんですか!?」
執事「天然痘と云えば……。この大陸の悪夢ですぞ!?
年間100万人とも、300万人ともいわれる死者を出す……。
全身に広がった疱瘡や膿、かさぶたは
たとえ治癒したとしても、一生その傷跡を残す悪魔の病気。
罹患者を出した家は焼き討ちされるほどの業病ではないですかっ」
女魔法使い「……知ってる。研究したから」
冬寂王「女魔法使い殿は、学者でもあられるのか」
商人子弟「そうなのですか?」
女魔法使い「……専門は伝承学」
冬寂王「な、なるほど」
商人子弟「もし本当だとすれば、
これは全人類にとって未曾有のニュースになりますよ」
従僕「ぼくの、お父さんの弟も天然痘で死にましたー」ぐすっ
執事「身内を天然痘に奪われたことの
ないものなどこの大陸には居ないはずですぞ」
冬寂王「うむ、うむっ」
54 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:51:24.01 ID:6HXLExsP
女魔法使い「……治療法ではない。予防法」
冬寂王「それにしたって同じくらい意味のあることだ」
商人子弟「どうするのです?」
女魔法使い「……薬のような物を作って、
接種という方法で感染させる。
軽い病気になるけれど、天然痘にはかからなくなる」
執事「なるほど。一度天然痘の治った患者は、二度と
天然痘にかからないというのと似ているわけですな」
女魔法使い「……同じ仕組みを使う」 こくり
冬寂王「効果のほどは?」
女魔法使い「……約7年」
冬寂王「ふむ、素晴らしい吉報だ」
女魔法使い「を……」
冬寂王「?」
女魔法使い「三ヶ国同盟および協力諸国の国民は
1人金貨10枚で利用できます」
冬寂王「……っ!」
女魔法使い「そうなったら、いいなー」
56 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:54:04.47 ID:6HXLExsP
冬寂王「それで、風向きが変わるなっ」
商人子弟「ええ、確実に。停戦に向けた動きが可能です」
従僕「す、すすごいやぁ!」
女魔法使い「……そしてわたしは魔族です」
冬寂王「へ?」
執事「何を冗談を言ってるんですか。魔法使い」
女魔法使い「……みたいな」
冬寂王「……」
商人子弟「……」
従僕「?」
女魔法使い「……おね、がい」くてん
冬寂王「つまり、天然痘の予防方法は、
魔族から技術的に供与されたと?」
女魔法使い こくり
冬寂王「そのように広めてくれと云うことだな?」
女魔法使い こくり
58 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:56:26.35 ID:6HXLExsP
冬寂王「…………」
女魔法使い「……」
商人子弟「王よ……。わたしからもお願いします。
もう、王にだって、前線の兵士にだって少しずつ
判ってきているのではないですか?
確かに魔族は強大で奇怪な姿をしていますが、
言葉を持つ、知的な種族です」
従僕「……」
執事「……」
商人子弟「進んで友好関係を築くとか、そう言う事じゃないんです。
でも、一方的に精霊の敵呼ばわりして、
こちらから反感を煽らなくても良いのではないでしょうか?
もちろん武力侵攻してくれば戦います。
そいつらは敵なんですから。
ただ、人間にも様々な国があるように、
魔族にも様々な国や派閥がある可能性があります。
魔族を知らないで、このまま戦ったとしても
勝つことはおぼつかないのではありませんか」
冬寂王「なぜ……。魔法使い殿はそれを望む?」
女魔法使い「……なぜ?」
冬寂王「なぜ、魔族と我らの仲を取り持とうとする」
60 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 19:58:48.13 ID:6HXLExsP
女魔法使い「……すぅ」
執事「いちいち眠り込まないと話も出来なくなったかっ」
女魔法使い「……“出来の悪い悪夢”は飽きた」
従僕「……」
女魔法使い「……眠りには、良い夢が望ましい」
冬寂王「そう……か……」
商人子弟「……」
冬寂王「確約は出来ない。中央はともかく民の反応が気になる。
だがしかし、冬寂王の命ある限り、その言葉胸に留め置き
決して無為なる血が流されぬように尽力しよう」
商人子弟「ありがとうございますっ」
執事「魔法使い……」
女魔法使い「……魔族です。本当ですよ」
きゅるるっ
冬寂王「はははっ。腹ぺこ魔族のようだな!
どうだろう。
我が城の厨房を襲撃しようではないか。
ここにいる全員で襲いかかれば、
何らかの食事にはありつけよう」
86 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 21:29:03.95 ID:6HXLExsP
――鉄の国、首都周辺、修道院の建物
鉄国少尉「洗浄を急げっ! 水を絶やすなっ!」
軍人子弟「布は煮沸するでござるよっ! もっと布をっ!」
鉄国兵士「市民が支援に名乗り出ていますっ。
いかがしたらよろしいでしょうっ?」
鉄国少尉「いかがしましょう?」
軍人子弟「もちろん有り難いでござる。
水の用意を、それから炉をさらに作ってもらうでござる!
鍋を借りてきて湯を沸かせっ」
即席兵士「搬送入りますっ!」
白夜軽騎兵「うううっ!!」
鉄国少尉「白夜の……」
軍人子弟「考えるなっ!! 傷病者の手当は鉄腕王の裁可でござる!
分け隔てすることなく、重傷者から判別用ハンカチを結びつけよ!
軽傷者は野外テントへ搬送っ、市民に手当をしてもらうでござる。
中傷者は修道院内部へ、止血および蒸留酒による消毒っ」
鉄国兵士「はっ!」
ザッザッザッ
白夜軽騎兵「うううっ。死ぬっ、もうダメだっ」
軍人子弟「しゃっきりするでござる!
その傷では死ぬどころか休暇にもならないでござるよっ」
87 :
以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 21:31:56.43 ID:6HXLExsP
鉄国兵士「報告しますっ!」
軍人子弟「聞こうっ」
鉄国兵士「集計終わりました。
我が軍は、死者18名、負傷者221名。
白夜国は死者304名、負傷者892名、捕虜450名。
なお、副指揮官と思われる死体は確認されましたが
指揮官と目される片目の男は、死体および収容者の中では
確認できませんでしたっ」
鉄国少尉「困りましたね」
軍人子弟「帰っていてくれれば、
それはそれで好都合でござるが……」
鉄国少尉「そういうものですか?」
軍人子弟「下手に隠れられるよりも、少ない兵で
出直してきてくれるなら、察知もしやすいでござるしね」
鉄国少尉「そう言えばそうですな」
即席兵士「あっ。将軍だっ!」
ああ、将軍だ! すごいだべ! 完璧だたぜぇ
そうさ、将軍の命令で一列に矢が飛んでいったんだ!
軍人子弟「は?」
即席兵士「将軍! 大勝利! 万歳!!」
万歳! ばんざーい!! 万歳っ! ばんざいっ!
軍人子弟「ちょっとまつでござるよ。拙者は将軍では
ないでござる。ただの街道防衛部隊指揮官でござるよ」