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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part23


502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 20:04:08.42 ID:CkBATQ0gP
青年商人「勇者……」
勇者「もしかしたらもっとちゃんとした
 対価を求めるべきかもしれない。
 あとであいつに殺されるかもなぁ。
 でも、俺に『それ』を見せてくれ。それが対価だ」
青年商人「はははっ。なんでしょうね、この」
勇者「あいつと俺には、あんたの見つけるそれが必要だと思うんだ」
青年商人「うん、そうだ。このばかばかしい気持ちはっ!
 ああ、愉快だ。わたしはどうやらとっても愉快ですよ」
勇者「……」
青年商人「良いでしょう、確かにその契約をお受けしました。
 わたし自らが陣頭に立ち『同盟』を率いて
 必ずや『それ』を仕入れてご覧に入れましょうっ」
勇者「頼む」
青年商人「その暁には」
勇者「?」
青年商人「あなたとあの方の関係を聞いても、
 きっと退かずにに済むでしょう。なぁに、不利な時期に
 戦いを挑むほど、この商人は愚かではありません」

537 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:06:26.36 ID:CkBATQ0gP
――冬越し村、屋敷の馬小屋
馬 ぶるるるんっ!
女騎士「よしよし、いいこだぞ。今拭いてやるからな」
勇者「やっぱり騎士だけあって、馬の扱いは上手いなぁ」
女騎士「何云ってるんだ。勇者だって乗れないと困るぞ」
勇者「自分で走った方が早いし……」
女騎士「見栄えの問題だ」
勇者「わかっけど。よし、林檎やる」
馬 がぶっ!
勇者「な、なにをするおんどれー!?」
女騎士「おい、大人げないな」
勇者「こいつがぶってやったんだぞ!?」
女騎士「お前、怒らせたんだろ?」
勇者「ちっげーよ。林檎食べる? ヘイ君可愛いねって」
馬 がぶっ!
勇者「ちょ、まてやこら。しまいにゃ卸すぞっ!」

543 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:13:32.13 ID:CkBATQ0gP
――。
――――。
女騎士「ったく、馬と喧嘩するやつがあるか」
勇者「だって……」
女騎士「おまけに駆けっこで負かすやつがあるか。
 ほれみろ、お前の馬だって自信喪失だぞ」
勇者「面目ない」
馬 しょんぼり。
女騎士「まぁ、いい。馬の世話はやってやる」
勇者「む……」
女騎士「いくら勇者でも、馬で旅することもあるだろう?
 何かのパレードに参加する事にでもなったら、
 馬に乗れないじゃ格好はつかないぞ」
勇者「それはそうだけどさ」
 
ごっしごっし、ごしごし
女騎士「〜♪」
勇者「やっぱ、戦いよりも平和のが良いよな」
女騎士「それは当たり前だ」
勇者「当たり前なのに、そうならんのは何故かなぁ」
女騎士「それは判らない。わたしは馬鹿だからなっ」ふふん

548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:19:28.53 ID:CkBATQ0gP
勇者「魔王と一緒にいると傷つくものが
 女騎士と一緒だと癒されるよ」
女騎士「どういう意味だ?」
勇者「そのまま馬鹿でいて欲しい」
女騎士「喧嘩を売ってるのか?」
勇者「ちげー、ちげーですよ」
女騎士「まったく、勇者と居るとふざけてばっかりだ」
勇者「それがいいんじゃないか」
女騎士「へ?」
勇者「そういうのが良いんじゃないか。判って無いな」
女騎士「……」
勇者「俺はそうやって女騎士とふざけてるの好きだぞ?」
女騎士「え、あ……その」
勇者「?」
女騎士「……ありがとう」
勇者「……うわ、むず痒っ。普通に返すなよ」ぼりぼり

551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:24:54.29 ID:CkBATQ0gP
女騎士「どうしたんだ?」
勇者「いや、髪が。ちょっと目に刺さって」
女騎士「ああ、長くなってきたもんな」
勇者「ちょっと切ってくれないか?」
女騎士「えっ。いいのかっ?」
勇者「うん。なんで?」
女騎士「あ。いや……。なんでもない。
 何でもないけれど、切るのはやめておこう」
勇者「なんでだよ」
女騎士「なんでもない。……そうだ。
 額環を作ってやるよ。それで髪をまとめれば、伸びても
 目に刺さらないぞ」
勇者「面倒くさそうだぞ」
女騎士「いいや、似合うよ。ちょっと都会風になって
 もてるかもしれないぞ? 勇者」
勇者「お! そうか? 格好良くなるのかっ」
女騎士「うむ、似合うものを作ってやろう!」

554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:33:13.07 ID:CkBATQ0gP
女騎士 すっ
勇者「な、なんだよっ」
女騎士「いや、髪の毛を確かめているだけだ。
 額環は、碧色が良いな。きっと似合う」
勇者「そかな」
女騎士「うん。わたしは切らないが、
 それくらいなら許してくれるだろう?」
勇者「うーん。切った方が絶対早いんだけどな」
勇者「……」
女騎士「……」
女騎士「なぁ、勇者」
勇者「ん?」
女騎士「勇者は、魔王の物なんだろう?」
勇者「え。あ。……うん。そうだ。所有契約だ」
女騎士「そうか……」
勇者「まぁ、いろいろあったんだよ。そこに至るには」

557 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:38:06.50 ID:CkBATQ0gP
女騎士「魔王は勇者の物なのか?」
勇者「うん、まぁ。成り行き上、一応」
女騎士「じゃ、魔王がもし酷いことになったら保護しないとな」
勇者「そりゃするよ。でも俺は勇者だろう?
 たいていのやつが困ってたら保護するんだぜ?」
女騎士「ああ、それはよく判ってるよ」
勇者「なんだかなぁ、心臓にストレスがキリキリと」
女騎士「そうなのか?」
勇者「そうなんだ。俺の勘は根拠はないけど良く当たる」
女騎士「勘じゃなくて、もうちょっと空気を
 読む能力を身につけてくれると周囲が助かるんだがな」
勇者「なんだ、それは?」
女騎士「いや、気にしないでくれ。こっちの愚痴だ」

559 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:43:34.04 ID:CkBATQ0gP
女騎士「でも、やっぱり一方的なのは悔しいな」
勇者「?」
女騎士「わたしも勇者に何かあげたいのだ」
勇者「額環くれるんだろう? もてもての」
女騎士「うん、貰ってくれるか?」
勇者「もちもち。もてもてアイテムか〜。
 女騎士に貰えるものなら何でも貰うぜ?」
女騎士「そうか。……そう言ってくれると嬉しい」にこり
勇者「大げさだなー。女騎士らしくもない」
女騎士「勇者」
 
ザッ
勇者「なんだよ、女騎士っ」
女騎士「黙って立ってろ」
勇者「何でいきなり跪くんだ?」

562 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:51:36.08 ID:CkBATQ0gP
女騎士「我は……
 湖畔の国に精霊の恩寵を受け、生を賜りし光のしもべ。
 勇者と共に旅をした長きにわたるこの剣を
 女騎士の全てと共に勇者に捧げる」
勇者「……」
女騎士「我が剣、我が力、我が身体。
 我が魂からの忠節と純潔は、勇者のもの。
 勇者こそ我が魂の主人にして、我が希望の宿り主」
勇者「まてよ、女騎士っ」
女騎士「またない。勇者、この剣は勇者のもの」
勇者「立てって」
女騎士「立たない。勇者が貰ってくれるまで、動かない」
勇者「なに子供みたいな事言ってるんだよ」
女騎士「子供になって勇者に貰って貰えるならかまわない」

570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 22:58:46.33 ID:CkBATQ0gP
女騎士「勇者が魔王の持ち物なのは、判った。
 仕方ない。……わたしが、遅かった」
勇者「……」
女騎士「魔王はすごい。魔王は賢くて、懐が広くて
 夢があって、ずぅっと遠くを見てる」
勇者「……」
女騎士「だから、わたしは勇者のことを欲しがったりはしない。
 それは魔王のものだから、仕方ないと云えば、仕方ない。
 もちろんその……魔王がいらなかったり隙があれば
 遠慮なんかするつもりはないけれど」
女騎士「でも、だからといって、わたしはわたしのものだ。
 せめて、わたしを勇者にあげたいんだ。
 騎士に生まれて、今まで剣を捧げてこなかったわたしは、
 騎士にしたって半端者だった。
 剣を捧げるなら、勇者が良い。
 始めに勇者に剣を捧げて、以後、主を変えない。
 わたしは、そんな騎士でいたい」
勇者「……良いのかよ、こんなので。
 こんな思いつきみたいな場所で。
 そ、それってすげー大事な事じゃないのかよ」

574 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:03:59.22 ID:CkBATQ0gP
女騎士「どこだって、何時だって同じ事だ。
 わたしだって何かがしたいんだ。
 勇者たちが未来へ出掛けるなら、
 わたしの居場所だってその近くに欲しい。
 もう……  もう、おいて行かれるのはいやだ」
勇者「……悪かった」
女騎士「剣を取って、我が主。大丈夫、わたしはあなたに叛かない」
勇者「……」こくり
 
すっ
女騎士「よし。……反対にして、返して」
勇者「うん」
 
びゅんっ! びゅんびゅんびゅっ!! しゃきんっ!
女騎士「これで、わたしの剣は勇者のものだ。
 わたしの身も心も、勇者に捧げたって訳だ。
 うん、なんだかそこはかとなく充実感があるなっ!」

579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:11:22.35 ID:CkBATQ0gP
勇者 ぞくっ
女騎士「どうした? 勇者」
勇者「いや、なんか寒気がした。あのさ、あのさ。女騎士」
女騎士「ん?」
勇者「その、返品とかって出来るのか? 契約解除とか」
女騎士「出来ると思うのか」にこり
勇者「……」
女騎士「大丈夫だ。その悪寒の件はわたしが対処する。
 わたしたちは親友になったんだ」
勇者(親友〜!?)
女騎士「ちゃんと正面から話せば判ってくれるはずだ」
勇者(ちょ、なんでそう力勝負ばっかりっ!)
女騎士「勇者のことは、わたしが守るッ」
勇者「いや、まじほんと」
女騎士「ん?」
勇者「俺から云いますんで、一つ勘弁して」

593 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:20:30.64 ID:CkBATQ0gP
――冬越しの村、湖畔修道院
修道士「たっ! 大変だ!」
修道士「どうしたっていうんだっ!?」
修道士「大変だ、恐ろしいことが起きたっ。
 も、もうだめかもしれないっ!!」
修道士「水を飲め、説明するんだ」
修道士「それどころじゃないっ。修道院長は?
 女騎士様を呼べ、いや、探せっ! 一刻を争う!
 早く女騎士様を捜すんだ!!」
――湾岸都市、商業区、大きな商業会館執務室
辣腕会計士「急報です、委員っ!」
青年商人「何ですか、慌ただしい」
辣腕会計士「一大事です。こ、これを……っ
 とにかく、この報告書を……」
 
ガサリ
青年商人「……まっ、まさかっ!? 選挙の影響なのか。
 迂闊、迂闊だった。この展開を見落とすとはってて。
 ――確認を、至急確認の船を出してくださいっ!!」

598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:25:50.51 ID:CkBATQ0gP
――冬の国、冬の宮殿、謁見の間
 
ガタンッ!
冬寂王「なんだとっ!?」
使者「お聞こえになりませんでしたかな?
 ではもう一度繰り返させて頂きます」
冬寂王「……」ぎりぎり
使者「冬の国にて学者を開きし『紅の学士』を名乗りしもの
 彼のものについては、以下のような疑惑有り。
 ひとつ。彼のものが湖畔修道会を利用して、罪なき
 農民に広めている馬鈴薯なる作物は、魔族によって
 栽培される悪魔の実である。
 ひとつ。彼のものが進める農法、指導および肥料の
 方法は精霊の教えたもうたものにあらず。そこには
 邪なる異界の関与が認めらるる。
 ひとつ。彼のものがその学校で教えている学問の数々。
 これらは教会の権威をないがしろにし、侮蔑するものである。
 ひとつ。聖王都の神学院は、彼のものが名乗るような
 『紅の学士』なるものを輩出した記録はない。
   告発と以上のような疑惑に基づき、
 『紅の学士』なるものは異端であると疑いが十分である。
 即刻身柄を引き渡すべし。
               中央聖光教会 異端審問司教。
 ――この通り、署名もそろっております」

604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:30:02.52 ID:CkBATQ0gP
冬寂王「そ、それは……間違いないのか、使者殿」
使者「言葉を控えた方がよろしかろう! 冬寂王どの。
 それが真実かどうかは、異端審問の場で審議が為されること。
 もっとも光の精霊の教えを受けたる司教どのが
 千に一つ、万に一つも過つことがないことなど
 敬虔なる信徒である冬寂王ももちろんお解りだろうが」
冬寂王「……」
執事「こ、このような……」
使者「もちろん聡明なる司教殿は、こうも仰せられた。
 おそらく冬の国、および湖畔修道会は、この異端の学士の
 奸計に巻き込まれた、いわば被害者であろうと」
冬寂王「っ!」 ぎりっ
執事「……」
冬寂王(……中央の妬心か。それほどまでにっ。
 それほどまでに南部諸王国が首輪から外れるのを
 嫌われるのかっ。聖王国よっ、聖教会よっ!
 南部諸王国が貧しさを脱し、自らの意志を持つことを
 そこまで憎まれるかっ。このような手まで使って
 足止めを狙うほどにっ)

606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/09(水) 23:33:46.85 ID:CkBATQ0gP
使者「ご返答は如何に、冬寂王」
冬寂王「……」
執事「……」
使者「この世界において、教会に逆らうと云うことの意味は
 わかっているでしょうな? 若き王よ。
 信仰は光、教会は世界。それに背くと云うことは、
 背教の輩、すなわち人類全てを敵に回すと云うことですぞ」
冬寂王「……く」
使者「大主教は、『破門』と云う言葉は口に出されませんでした。
 ただ、“同じ信徒として異端に与するものが居たことは
 非常に悲しい”とだけおっしゃった。
 そのご厚情を無にするおつもりか、冬寂王っ」
冬寂王「そ、それは……」
執事「若……」
冬寂王「使者殿の、お言葉……痛み……いる……」
使者「では?」
冬寂王「軍を……出そう。しかし、冬越し村は、遠い。
 時間を頂くことに……なる」
使者「よいでしょう。ただしお気をつけて、冬寂王。
 もし、紅の学士を取り逃がすことなどあらば
 あなたもこの国も湖畔教会も、背教のそしりを
 免れないでしょうからなっ!」

30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 14:59:58.18 ID:I7KnzzEP
――冬越し村、屋敷の厨房
勇者「お。おお? こうか? こうか!?」
メイド姉「もっと優しくしてください、勇者様」
メイド妹「もんでぇ。お兄ちゃん。もっと揉んでー♪」
 
もみもみ
勇者「なんて、ちっとも嬉しくないな。実際」
メイド妹「さぼっちゃダメだよお兄ちゃん」
メイド姉「ミルクっぽくて良い香りです」
メイド妹「ふふーん。細かい挽きの小麦だもん」
勇者「小麦は、挽きがきめ細かいほど高いからなぁ。
 これ、随分高かったろ? いいのか、散財して」
メイド妹「でも、パイ生地にするには、細かい方がいいんだよ。
 馴れたら、色んな挽き方とか、大麦とか、蕎麦も試してみる」
勇者「ふーん。パイ、ねぇ」

31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 15:01:18.44 ID:I7KnzzEP
メイド姉「妹? もう最初の分は焼けたかも」
メイド妹「うん♪ みてくる」
勇者「なんか結構面倒だなぁ。生地なんて普通、
 混ぜてお仕舞いじゃないのか?」
メイド姉「えーっと、パイの場合は この折りたたんで伸ばすという作業が重要みたいですよ」
勇者「そうなのか?」メイド姉「本によればそうですね」
メイド妹「わひゃお♪ うひゃひゃー♪」
勇者「なんて声出してるんだ、あいつ」
メイド姉「よっぽど嬉しいんでしょうね」くすくす
メイド妹「でーきたー! 完成〜!!」
勇者「お、出来たのか?」
メイド姉「どう? 膨らんだ?」
メイド妹「すごーい! きれい! 金色でぴかぴか!!」
勇者「どれどれ? お。すごいな、確かにきれいだぞ」
メイド姉「本当ね。ひまわりみたいねっ」

33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 15:03:34.58 ID:I7KnzzEP
メイド妹「はいっ! 食べてみて」
勇者「これは。熱っ、あちち」
メイド姉「布巾で持ってください、勇者様」
メイド妹「焼きたてだから、熱いよぉ?」
勇者「こいつは、ん! 馬鈴薯と、ベーコンか?」
メイド妹「うん、馬鈴薯とベーコンのパイなのっ♪」
勇者「うまいなぁ、これちょっとすごいぞ?
 なんつぅか、家庭の味なのにすごく贅沢で豪華というかっ」
メイド姉「美味しいわ。上出来よ、妹」
メイド妹「わーい♪ わーい♪」 くるくるっ
勇者「妹は才能あるなぁ。こいつはイけてるぜ?」
メイド姉「ええ、満点です」なでなで
メイド妹「えへへへ〜」 にへらっ
勇者「もう1個良いか?」
メイド妹「もちろん!」

34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 15:05:43.57 ID:I7KnzzEP
勇者「うまっ。うまっ」
メイド姉「これは、小麦のグレードを下げて
 原価をコントロールできれば名物料理になるかもしれないわね」
メイド妹「ほんと?」
勇者「ああ、まじだぜ。この具材の所は変えても良いんだろう?」
メイド妹「うん、鮭でも、キノコでも、羊でも良いと思うよ。
 あと、甘い味も合うんだって。プラムとか、洋なしのも
 考えてる〜」
勇者「じゃぁ、酒場でも出したがるかもしれないな」
メイド姉「ええ、焼いておけば暖めるだけで出せますし」
メイド妹「ねぇねぇ、じゃぁ。わたし料理人になれるかなっ?」
勇者「はん? もう料理人だろう?」
メイド姉「ですね」 くすっ
メイド妹「やったー! わたし料理人だぁ♪」くるくるっ
勇者「何でそんなに嬉しいんだ?」
メイド姉「あの子は、食いしん坊ですしね」
メイド妹「えへへへ〜。だってお仕事だよ?
 お仕事あれば、のーどに戻らないで済むんだよ。
 わたしこれから料理作って、もっと上手になって
 みんなに食べさせてあげるんだぁ♪」

35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/10(木) 15:07:48.34 ID:I7KnzzEP
勇者「そっか」
メイド姉「……」なでなで
メイド妹「ね、ね? 美味しい? 美味しい?」
勇者「美味しいぞ」
メイド姉「うん、美味しいよ」にこっ
メイド妹「いっぱいあるんだよ! いっぱい作ったから!」
勇者「そっか。妹は料理人かぁ。いいな、それ」にこり
メイド妹「うんっ」
勇者「で、お姉ちゃんの方は何になるんだ?」
メイド姉「え?」
勇者「いや、何になるのかな、と。――お嫁さんとかか?」
メイド姉「そんな。わたしなんてとても……」
メイド妹「おねーちゃんは、眼鏡になると良いよ♪」
メイド姉「もうっ、そんなこと云ってると叱られますよ?」
メイド妹「うー」
 
ドンドンドン!
勇者「あれれ? 誰だろう」
 
「夜分遅くに失礼! 誰かおられませぬかっ!?
   誰かご在宅ではございませぬかっ!?」 ドンドンドン!