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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part2


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 18:39:17.01 ID:s4r1gUtjP
魔王「故事によれば『世界の半分』を交渉材料にするらしい」
勇者「へー」
魔王「余裕たっぷりだな」
勇者「そんなので転ぶ勇者がいるかよ。
 もしいたらそいつは勇者でも何でもない。
 1から出直せって話だ」
魔王「うん、私の知っている故事でも
 結末はそうなっていた」
勇者「ださっ」
魔王「私もそう思う。そもそもその魔王だって
 世界征服が終了していた訳じゃないだろうに。
 自分が所有していない物件の50%を譲渡するなんて
 商道徳にてらしても法的観点から見ても
 契約の有効性に疑問を持たざるを得ない」
勇者「そういう嘘つきだから勇者にふられるんだよ」
魔王「仰せの通りだ」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 18:44:23.58 ID:s4r1gUtjP
勇者「だからといって魔界の50%譲渡とか云ったって
 俺は絶対うんなんて云わないからな。
 そんな見知らぬ土地なんかもらったってちっとも
 嬉しくない。そもそも賄賂や金品で転ぶなんて
 勇者のすることじゃないぞ。
 人間ってのは、ベッド一個のスペースと、
 毎日腹が満ちる程度の食い物があればそれで充分なんだ」
魔王「清貧の志だな」
勇者「貧しいとか云うな。魔王のクセにっ」
魔王「私としても領土の割譲をテーマに交渉する気はない」
勇者「そうなのか?」
魔王「領土割譲は、後世の統治から見た場合、
 民族問題やプライド上の問題があって、紛争の火種に
 なることもしばしばなのだ。眼前の交渉が重要とはいえ
 後世に禍根を残すのは気が進まない」
勇者「ふぅん……。そういうものなのか」
魔王「そうなのだ。それにだいたい『50%』という
 言い方が良くない。それでは結局『こちらとそちら』が
 再生産されるだけではないか」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 18:50:17.49 ID:s4r1gUtjP
勇者「どうゆうこと?」
魔王「つまり、世界を分割するのが問題だ、ということだ。
 その分割という発想は、結局現在の問題である
 『人間世界と魔族世界』という対立を
 『勇者の支配地域と魔王の支配地域』という対立に
 問題をすり替えただけだという話だ」
勇者「あー。もっともな話だ」
魔王「だろう? それは交渉でも妥協でもなく
 ただの時間稼ぎに過ぎない」
勇者「ふむ」
魔王「故にその種の論法は却下だ」
勇者「じゃぁ、交渉も失敗だな。時間もちょうど半日だ。
 ……戦闘するような気分じゃなくなっちゃったけれどさ」
魔王「いや、ちゃんと提案はある」
勇者「あるのか?」
魔王「半分などとけちくさいことは云わない。
 でも大地は私の物ではないから差し出せない。
 勇者が欲しい。代価は私にはらえる全て。
 つまり、私自身だ。
 これだけは私の意志で勇者に捧げられる。
 お願いだから私の物になってくれ」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 18:55:56.79 ID:s4r1gUtjP
勇者「……お、お、おまっ」
魔王「口をぱくぱくさせると間抜けに見えるぞ」
勇者「なっ何をっ」
魔王「交渉の提案だ」
勇者「何言ってるか判ってるのかっ?」
魔王「判っている」
勇者「しょ、正気かっ!?」
魔王「もちろんだ」
勇者「もうちょっと物考えて発言しろ!
 わ、わ、わ、わきまえろっ!!」
魔王「そんなに驚かないでも良いではないか。
 人間世界では15にもなれば農夫の息子だろうが
 宿屋の娘だろうが、そこら中でこのような睦言と
 甘やかな契約を交わして乳繰りあっていると聞く」
勇者「聞くなよっ」
魔王「正確には書物で読んだわけだが。
 ――読んだだけで実体は不明で経験もない。
 これも一つの『未だ見ぬ物』だな」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 18:59:54.23 ID:s4r1gUtjP
勇者「何を」
魔王「優れた提案とは提案した時点で
 提案者の目的の一分を達せられるのだ。
 『純潔を捧げる願い』を告白するなどと
 私の人生に訪れるとは思っていなかった知見だ。
 精神的に平静ではいられないなんて貴重だな」
勇者「まるっきり平静に見えるよ」
魔王「ダメか?」
勇者「だっ、だめっ!!」
魔王「絶対か?」
勇者「ぜ、ぜ、ぜ」
魔王「前回よりもさらに余地があるように見える」
勇者「近寄るなっ」
魔王「許可無い限り触れたりしない。私は奥手なんだ」
勇者「契約主義者ってさっきまでは云ってたじゃないか」
魔王「それは真実だ。『奥手』というのは
 真実にかぶせる演出上の工夫だ」

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:05:18.00 ID:s4r1gUtjP
魔王「勇者」
勇者「何だよっ」
魔王「んぅ。話づらいな」
勇者「あんだけ悲惨な未来をぺらぺら解説して
 やがったじゃないか」
魔王「あれは専門分野の講義だったから」
勇者「どんだけ死にものぐるいな専門分野なんだよ」
魔王「経済というのは血が流れない戦争なんだ」
勇者「おっかないよ。戦闘能力のない魔王を
 初めておっかないと思ったよっ」
魔王「怖がらせるのは本意ではないし……。
 混乱させたら申し訳ないと思うけれど」
勇者「……」
魔王「少しセールストークをする」
勇者「うー。押されてる」
魔王「私を独占すると色々便利だぞ?」
勇者「たとえば?」
魔王「家計簿を付けるのが得意だ。完璧を約束できる」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:09:56.32 ID:s4r1gUtjP
勇者「なんだかなぁ。家計簿か」
魔王「それにね」
勇者「?」
魔王「この戦争の向こうに行ける」
勇者「それは出来ないって云ってたじゃないか」
魔王「もちろん、すぐには無理だ。人間の王たちも
 納得はしまい。私が投降しても、それは秘密裏に
 処理されて、偽魔王が立てられるだろう。
 それくらいこの戦争は、人間社会に必要になって
 しまっている」
勇者「……」
魔王「でも、だからこそ、それが『別の結末』を
 迎える事ができるのならば、
 それは私にとってだけじゃない。
 三千世界にとって『未だ見ぬ物』じゃないだろうか?」
勇者「……」
魔王「どうだ?」

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:17:09.59 ID:s4r1gUtjP
勇者「それが」
魔王「ん?」
勇者「おまえなんだ」
魔王「うん、これが私なのだ」
勇者「ずっとそんなこと考えてきたんだ」
魔王「戦争を終わらせるのが軍だとすれば
 終わる着地点を模索するのが王の役目だ」
勇者「そのために俺を欲しがったのか?」
魔王「うん、まぁ。そうとも云える」
勇者「……」
魔王「いや、誤解しないでくれっ。
 勇者が欲しいのは本当だぞ?
 向こう側を一緒に見に行く連れが欲しいだろう?
 朝の散歩に一緒に出かけるような気分なんだっ。
 それから家計簿も本当だ。偽りはない。
 なんだったら賃借対照表や生涯賃金提案書も書けるぞっ。
 足りないかっ? 足りないのか?
 そうだな。……あまりにも粗末な粗品だが
 一緒にいるのも得意だ。私は静かな魔王だからな。
 部屋に置いておいても邪魔にはならないことに定評がある
 添い寝とかも多分役に立たないほど下手だろうが
 セット商品についている細々とした備品程度でいいならな
 付けることが出来る」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:24:09.48 ID:s4r1gUtjP
勇者「あー」
魔王「契約詐欺にならないようにあらかじめ
 告げておかなくてはならないのだが、
 私は料理は不得手だ。料理は科学なのだろう?
 わたしにはゲル化や乳化を行なうための
 洗練された手先の技術が欠けているようで
 調理に関して期待してもらっては困る」
魔王「それから、あー。
 世間の、ほら。大多数の一般的な性別において
 男性を有する成人の人間が望むような外見的
 肉体的な美しさには欠けていると思われる。
 運動不足だしな」
勇者「そうか? そ、そんなことないだろ」
魔王「いいや、そんなことはあるのだ。
 これは侍女たちの用意した魔王のお仕着せであって
 欠点が隠れて、と言うか、見えないだけで、
 二の腕とかつまめるのだっ」
勇者「泣きそうになるなよ」
魔王「ぷるぷるなのだぞ!?」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:29:31.81 ID:s4r1gUtjP
勇者「いや、その……大変美味しそうに見えます。
 ……特に胸とかおっぱいとか」
魔王「いや、いいんだ。無用な慰めだ。
 それに地味すぎて、こればかりは申し訳ない。
 思うに我が一族の頭部は長い伝統で
 見てくれよりも中身を重視してきたはずで」
勇者「そうか?」
魔王「私も娘時代、つまり150年ほど前だが
 その時代にもうちょっとこう、何というか
 身なりやお手入れに気を配っておけば
 こんな一世一代の交渉時、リコールにおびえる経営者の
 気分を味合わないで済んだはずなのに……」
勇者「用語が難しいな」
魔王「世の中は色々難しいのだ」
勇者「まったくだな」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:34:36.34 ID:s4r1gUtjP
魔王「とにかく、そう言った外見的な物については
 あまり満足のいく案件ではないのだが、経済を
 中心にした知識と……知識と……。
 それくらいしか誇れないのか、私は」
勇者「……」
魔王「あと誇ることが出来るのは、貞淑さくらいだ。
 私は長命種で、学者の家系の出だからな。
 それに純然たる契約主義者でもある。
 私にとっていったん締結されれば
 この種の契約は魂にまで食い込み
 過去も未来もその一転において鋼に勝る強度を持つだろう。
 ――側近く侍る。健やかなる時も病める時も寄り添おう。
 それは約束できる」
勇者「……」
魔王「どうだ? 私の物にならないか?
 私はあんまり我が儘は言わないぞ。
 『丘の向こう側』に一緒に行ってくれれば
 それだけで満足だ」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:40:31.38 ID:s4r1gUtjP
勇者「沢山殺すことになるんだろうな」
魔王「ああ。……うん。誤魔化さない」
勇者「河が血で染まるほどかな」
魔王「うん、終わるまでは。手を血で汚さない約束は
 できない。私も、勇者も、非道なことを
 沢山することになるだろう」
勇者「裏切り者と呼ばれるかな」
魔王「それは、正体を隠すことも出来る。
 私の誇りにかけて、勇者の伝説は綺麗なままに
 出来るはずだ」
勇者「必要なのか?」
魔王「それは違う。このままワルツのように戦争を
 消耗を繰り返し、屍山血河の平和を享受することも
 この世界に許された選択肢の一つだ」
勇者「それはそれでおびただしい犠牲だろう」
魔王「でも勇者が直接的手を汚さないで済む」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:46:44.08 ID:s4r1gUtjP
勇者「なんだよ契約したくないのかよ」
魔王「騙して契約したくないんだ」
勇者「そか」
魔王「騙して手に入れたものは、一夜で失われる」
勇者「信義に厚いんだな」
魔王「善悪の話じゃない。ゲーム理論で証明された
 商道徳レベルでの話だよ」
勇者「よし、お前の物になる」
魔王「いいのか?」
勇者「いいんだよ。……あー、いっとくけどなっ」
魔王「?」
勇者「おっぱいのためじゃないからなっ!」
魔王「こんなものがいいのか?」 ふにふに
勇者「自分で揉むなっ」
魔王「勇者」
勇者「何だよ、魔王っ」
魔王「触れたい。触って良いですか?」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 19:57:12.81 ID:s4r1gUtjP
勇者「……」
魔王「信用してないな?」
勇者「口調がいきなり丁寧でびっくりしただけだ」
魔王「少しだけだから、触らせてくれ」
勇者「判った」
魔王「……」 おずおず
勇者「魔王、手がひんやりしてるな」
魔王「冷たいか? 済まない」
勇者「いや、気持ちよい」
魔王「私は、勇者のものだ」
勇者「俺は魔王のものになる」
魔王「契約成立だ」 勇者「契約成立だな」
魔王「嬉しいぞ」にこっ
勇者「……。くぁっ。は、はなれろっ」
魔王「そうか?」
勇者「で、最初の一手はどうするんだよ」
魔王「そうだな……まずは、麦から手を付ける」
勇者「麦か……。長い旅になるな」
魔王「もちろん。わたしは勇者と一生離れる気は
 ないんだからなっ」

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 23:39:08.74 ID:s4r1gUtjP
――冬越しの村
勇者「うぉ、寒くなってきたな」
魔王「これから冬に向かっていくからな」
勇者「こんな中途半端なところで良いのか?」
魔王「中途半端とは?」
勇者「いや、だからさ。魔王の話によれば
 いまの人間、中央大陸にとって麦は食料として大事だ。
 ってことを基本にしてるんだろう?」
魔王「ああ、そうだ」
勇者「だったら、もっと農業大国の湖の国とか
 紫旗女王国とかさ、そっちに行った方が良いんじゃね?」
魔王「話が聞いてもらえるならな」
勇者「あー」
魔王「勇者もしばらくは姿を見せない方がよいと思う」
勇者「そうか?」
魔王「ああ。あんな風に私の所へよこされたんだ。
 誰かが勇者を疎ましく思っていたのかも知れない」
勇者「んなことないって」

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 23:45:31.80 ID:s4r1gUtjP
魔王「それに何処に行って紹介するにしたところで
 説得力を出すためには実際の実験と資料が必要だ」
勇者「そりゃそうだ」
魔王「この村でそのための手はずを整える」
勇者「そう、なのか?」
魔王「うむ。手の者を忍び込ませているのだ」
勇者「手回しが良いな」
魔王「何事も根回しと調整が必要だ」
勇者「この村か」
魔王「ああ、何の変哲もない村だろう?」
勇者「うん、こんな村は沢山知っている」
魔王「『南部諸王国』辺境部では典型的な開拓村だな。
 複合的な大規模農業を中心に小作農や職人たちが
 緩やかな村を形成している」
勇者「魔王軍との戦いもあるだろうになー」
魔王「それでも大地にしがみついて生きてゆくんだ。
 人間はそこがすごいところだ」

139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 23:49:39.59 ID:s4r1gUtjP
勇者「で、手の者ってのは」
魔王「ああ。小さな一軒家を用意してもらってるんだが。
 どこなのだろうな。この村としか聞いてないんだが」
勇者「あー。そうなのか? 探せば判るんだろうけれど
 そろそろ陽も暮れるし、こんな寒い中をうろつき回るのは
 ぞっとしないなぁ」
魔王「うむ、もっともな指摘だ」
勇者「だよなぁ」
メイド長「まおー様ぁ〜まおー様ぁ〜♪」
勇者「ば、ば、ばっ」
魔王「おお。この声は」
メイド長「まおー様〜♪」
魔王「おお、紹介しよう。勇者!」
勇者「この馬鹿っ。一応人間の村だぞっ!
 まおーまおー叫んでどうするっ!」
魔王「む。そう言えばそうだ。以後注意するように」
メイド長「はい、まおー様!」

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/03(木) 23:55:53.42 ID:s4r1gUtjP
魔王「まぁ、大丈夫だ。そんなに怒ってくれるな」
勇者「むー」
メイド長「怒りすぎると皺が取れなくなりますよ」なでなで
勇者「こいつは何なんだ?」
魔王「これは私の側近で、メイドを束ねるメイド長だ」
メイド長「ご紹介にあずかったメイド長です。
 まおー様のことは幼い頃から世話をさせていただいて
 おりますわ。この度は勇者様とまおー様のご結婚
 まことに喜ばしく、お見守りさせていただいてきた
 この身、この胸の内も震えんほどです」
勇者「突っ込みどころはたくさんあるんだけど、
 最大のものは結婚なんてしてないって事だぞ」
メイド長「そうなんですか?」
魔王「期間無制限の相互所有契約だ」
メイド長「あらあら、まさに結婚じゃないですか」
魔王「白詰草とクローバーほどに違う」
メイド長「それじゃ同じものじゃないですか」

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 00:02:31.05 ID:AIDyRnsCP
魔王「あえて名前を変えることによる風情の違いがある」
メイド長「ああ、そうでしたか!
 メイドと召使いと側女と寝室奉仕奴隷のようなものですね」
魔王「それも風情か?」
勇者「……」
メイド長「風情は大事ですよ。男女間の機微の80%は
 風情で構成されていると言っても過言ではありません」
魔王「なんと! それでは殆ど具材がないではないか?」
メイド長「そこがミソなんですよ」
勇者「あのー。寒いんだけど」
メイド長「おやおや、まぁ!」
魔王「勇者が寒いと云っているんだ。どうにかならんか?」
メイド長「では、こちらへ。ご案内しますわ」
魔王「おお、首尾はどうだ?」
メイド長「さほど大きくはありませんが、
 村はずれの古い館を改修してございます」
魔王「でかしたぞ、メイド長」

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 00:12:08.05 ID:AIDyRnsCP
――古びた洋館
勇者「なんだよなんだよ。充分でかいじゃないか」
メイド長「とんでもない。魔王城の1/100以下です」
勇者「あれはダンジョンだろ。一緒にするな」
魔王「いや、私はあそこに住んでたんだがな」
勇者「ああ、そっか」
メイド長「こちらへどうぞ。
 ただいまお茶をお持ちしましょう」
魔王「すまんなー」
勇者「側近って、どんな関係なんだ?」
魔王「うむ。ああ見えてメイド長はわたしの親戚なのだ」
勇者「学者なのか?」
魔王「んー。学者というと語弊があるな。
 学者一族と云うより『好奇心を抑えられない一族』なのだ。
 しかも専門ジャンルを追求してしまう類の。
 彼女は、私から見ると年上なのだが、
 なんだか『メイド道』とやらに目覚めてしまってな」
勇者「ふむ……」

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/04(金) 00:17:39.88 ID:AIDyRnsCP
メイド長「殿方における騎士道と似たようなものですわ」
魔王「早いな」
メイド長「紅茶でございますよ。
 蜂蜜をたっぷり入れておきましたから」
魔王「まぁ、そんなわけで、ずっと一緒に育ったし
 魔王軍の指揮なんかを任せたこともある」
勇者「おいおい、メイドってそんなことも出来るのか!?」
メイド長「主人のどのような求めにも応える。
 それが私の『メイド道』ですわ」