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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」
Part17


697 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 18:29:20.62 ID:vGBiMEoLP
――第二次極光島攻略作戦、橋頭堡天幕
伝令「報告ですっ! 極光島城塞から、
 魔族軍出撃しました! その数、おおよそ7500!!」
女騎士「全軍だな」
伝令「魔族軍、南方樹氷、謎の援軍に向かって高速で進軍中!!」
女騎士「伝令ご苦労っ!!」
魔王「早かったな」
女騎士「おそらく、援軍と我らが合流して、連携行動に
 出るのを嫌ったんだろう。突破するのなら今が最後の
 チャンスだ」
魔王「果断な決断だが、予想範囲内だ」
女騎士「魔族7500と援軍1万弱か」
魔王「どうなるかな」
女騎士「その援軍は、聖鍵遠征軍なのだろう?
 で、あれば練度も装備も、人間界最高のはず」

699 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 18:35:41.86 ID:vGBiMEoLP
しゅぃんっ!
勇者「そりゃどうかな? 存外だらしない奴らかもしれないぜ」
魔王「勇者!」
女騎士「帰ってきたのかっ」がしっ
魔王「……ごほんごほんっ」じぃ
勇者「え、えと。まぁなっ! こんなタイミングで良かったか?」
女騎士「ああ、ばっちりだ。だがどうやって聖鍵軍を
 呼び寄せたんだ?」
勇者「それよりも、タイミング合わせるために迷わせたり
 足止めしたりしたからな、結構疲労してるぞ、あいつら」
魔王「それでは、戦力は拮抗するやもしれんな」
バタン! 伝令「謎の援軍と魔族先端が接触! 援軍の軍様は縦に
 長く伸び、先頭は少数! 蹴散らされてゆきます!」
勇者「な?」
女騎士「遠征軍ともあろうものが情けないっ」
魔王「助けに行かないとまずそうだな」
女騎士「とはいえ、島の向こう側だ、時間がかかる」
魔王「それくらいは持つだろう、いくら何でも」

700 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 18:40:24.18 ID:vGBiMEoLP
ゴオォォン!!
勇者「なんだっ!?」
バタン!
伝令「伝令!! 伝令!! 一騎の巨大な魔族が
 こちらの陣営に向かってきます! 南氷将軍を名乗っています!
 軽装歩兵の一隊が壊滅ッ!!」
女騎士「退かせろっ!」
伝令「はっ!」
魔王「しんがりを自ら務める気か」
勇者「暑苦しいヤツだ」
女騎士「指揮官としての矜持だろうな」
魔王「だが、救援に向かうには倒す必要がある、か。
 出来れば魔族の被害も出さず、逃走させたかったのだが……」
勇者「仕方ないだろう。信念があるヤツなんだ。
 おれがいって、ちょっと捻ってくるよ」
女騎士「……いや」
勇者「へ?」
女騎士「それは、わたしの役目だ。
 ここは任せてくれないか? 勇者。
 武人の最後の願いだろう」

750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:03:39.33 ID:vGBiMEoLP
――第二次極光島攻略作戦、夕暮れの戦地
南氷将軍「はぁあぁっ!」
女騎士「はっ!」
 
ギンッ! ガギンッ!
南氷将軍「ははは! 嬉しいぞ! この勝負を受けてくれてなっ!」
女騎士「勝てる勝負、捨てる気はないっ!」
王国軍兵士「す、すごいぞ!」
騎兵将官「大地がめり込み、崩れるほどだ……」
南氷将軍「大言壮語しよる、これはどうだっ!」
 
ドガァンっ!!
女騎士「遅いっ!」
 
ヒュバッ!!
南氷将軍「我は天下無双! そのような攻撃、効かぬ」
女騎士「天下無双が聞いて呆れるっ」

753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:07:29.71 ID:vGBiMEoLP
南氷将軍「なんだと?」
女騎士「退くなら追うな、と命を受けている」
南氷将軍「っ! 愚弄するかっ!」
 
ギンッ! ガギンッ!
南氷将軍「敵に情けを受けるこの南氷将軍ではないわっ!
 食らえ、“凍える吹雪”っ!!」
 
ひゅごぉぉぉっ!!
女騎士「勇者直伝っ! 岩盤返しっ!!」
 
ずだんっ! ダダダダダンッ!!!
王国軍兵士「ば、ば、ばけもんだっ!」
騎兵将官「だがなんて可憐なんだっ」 「え?」
南氷将軍「はははははは! 見事、さぁいくぞっ!」
女騎士「良かろう。引導を渡してやろうっ!」
南氷将軍「軽いわっ! 所詮女か、しゃらくさいっ!」
女騎士「女扱いしてくれるのは嬉しいが……」

758 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:14:44.49 ID:vGBiMEoLP
 
ギィィン!!
王国軍兵士「噛み合った!?」
騎兵将官「五倍は体重差があるんだぞ……」
 
ギリギリギリギリ
南氷将軍「やるではないかっ」
女騎士「非常識が身近にいると、これしきは身につく……
 い、く、ぞっ! せいやぁぁぁ!!」
 
ザカッ!
南氷将軍「っ!?」
女騎士「まだ、まだっ!」
 
ザシュ! ザシャッ! ヒュバッ!!
王国軍兵士「なんて、なんて早さだ」
騎兵将官「姫将軍はこんなに強かったのかっ!!」
女騎士「いえぇぇええーい、やぁっ!」
南氷将軍「……ぐふっ」
 
ドサンッ!!
王国軍兵士「勝った……」
騎兵将官「勝ったぞ!」
王国軍兵士「「「俺たちの、勝ちだぁ!!」」」

763 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:23:00.69 ID:vGBiMEoLP
――冬越しの村、早春
小さな村人「本当なのけ?」
中年の村人「本当だなやっ」
狩人「そうか、凱旋かぁ!」
小さな村人「ガイセンってなんだぁ?」
中年の村人「馬鹿だなぁ。戦に勝って帰ってくることだぁよ」
狩人「女騎士様も、学士様も帰ってくるって言うことだよ!」
メイド妹「こーんにーちは〜♪」
メイド姉「こんにちは」
小さな村人「おんやまぁ。館の姉妹さんだなや」
中年の村人「おめでとうだなや!」
狩人「おめでとうだなや!」
メイド妹「はいっ!」
メイド姉「ありがとうございますっ」
小さな村人「いつ帰ってくるだなや?」
中年の村人「もう戦は終わったんだべ?」
狩人「馬鹿だなや。マゾクっちゅーのが居なくなんない限り
 戦は終わったりしないんだなや。今回は、極光島っていう
 のをとりもどしたっちゅー話だぁよ」

766 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:29:33.23 ID:vGBiMEoLP
小さな村人「そうなのけ?」 ほけぇ
中年の村人「でも、女騎士さんは、軍の将軍になって
 お話の英雄みたいに活躍したっておら聞いただよ」
メイド妹「そうなんだよ♪」
小さな村人「さっそく吟遊詩人さんが歌さ作ってただ!
 格好良かっただよぉ〜」
中年の村人「酒場にきとるんけ?」
狩人「酒場も二つになって、随分大きくなったべぇ」
メイド妹「あのね、あのね!」
メイド姉「当主様たちは、今から冬の王宮に向かうそうですよ」
小さな村人「王様のところだべか?」
中年の村人「ああ、きっとご褒美をもらえるだべよ」
メイド妹「きっとねー。ごちそうがでるんだよー」じゅる
メイド姉「もうっ……。何でこんな食いしん坊に
 なっちゃったのかしら……」
メイド妹「えへへへ〜♪」
小さな村人「何はともあれ、今年も春だぁよ!
 ああ、ここは良い村になっただなやぁ」

769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:38:38.26 ID:vGBiMEoLP
――冬の王宮、爵位授与式
吹奏楽隊 〜♪ 〜〜♪
冬寂王「すまんな、こんな儀式に付き合わせて」
女騎士「いえ」
魔王「かまわん」
冬寂王「そなたらは目立つのは苦手なのだろうが
 これも王族のもってる義務の一つでな」
女騎士「心得ております」
魔王「万民に威を示すことも責務であろうな」
執事「準備万端整ってございます」
冬寂王「さぁ、行こう」
 
ぎぃぃぃぃっ!
 来駕の万民 わぁぁぁ!!!! わぁぁぁ!!!

773 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:42:12.05 ID:vGBiMEoLP
吹奏楽隊 〜♪ 〜〜♪
冬寂王「我が民、我が祖国よっ!」
 
来駕の万民 わぁぁぁ!!!! わぁぁぁ!!!
冬寂王「諸君らの働きに感謝する。極光島奪還は成った!
 これもひとえに諸君らの忠誠、赤心によるものだと心得る。
 こののち、極光島の防備に関してまた難しい計画があり
 それについては諸君ら、文武百官の力を借りることも
 あるだろう。また、このたびの戦役に恩賞も行わねば
 ならぬ。この冬寂王、力を貸してくれた諸君を決して
 粗末には扱わぬ」
  
女騎士「まだまだ貧乏国ですけどね」
  魔王「それでもマシになる途中の貧乏国だ。それに、
   なんだ。身も蓋もない言い方だが、貧乏だからと
   云って恩賞を値切っていては人が居着かぬ」
  
執事「まこと身も蓋もない話でございますなぁ」
冬寂王「今宵は小さいながらも宴を用意した。
 楽しんで欲しい! 乾杯だ!」

777 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:51:13.90 ID:vGBiMEoLP
冬寂王「杯を手に聞いて欲しい、この王宮に今日は客人を
 迎えている。知っている者も多いとは思うが、かつて
 勇者とともに魔界を駆け抜け、人界に大きな貢献をなした
 三人の生きた伝説、その一人、女騎士殿だっ」
すっ 女騎士「ご紹介預かった、女騎士だ」
冬寂王「女騎士殿はこたびの戦役において、前線司令官
 という非常に重い役目を担って頂いた。
 さらには一騎打ちにて南氷将軍を仕留めるという
 まさに英雄に相応しい貢献もして頂いた。
 実を言えば
 我が国の将軍を打診したのだが、断られてしまったよ」
来駕者 あははははは!!
冬寂王「いやいや、もちろん冬の国が貧乏なせいもあるの
 だがな! だがしかし、女騎士殿は湖畔修道会の指導者
 と云う責任有る立場についておられる。
 湖畔修道会は、南部にとって無くてはならない組織だ。
 我が国一つにその御身を縛り付けることは、精霊の意にも
 そむくことになろう!
 しかし、我が国の、人類の恩人であることには変わりない。
 女騎士殿は、我が国の名誉伯位である!
 みなのものもそう心得よ!」

778 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 22:58:49.93 ID:vGBiMEoLP
冬寂王「こちらは、紅の学士殿。
 話を聞いたことはあるであろう?
 この地に奇跡の作物、馬鈴薯をもたらしてくれた、
 我が国の恩人の一人だ」
  
「おお、あの噂の……」「風車もあの人の計画だとか」
  「羅針盤を海軍に提供したと聞きましたぞ?」
  「天才だ……」「万物見通せぬもの無し、と聞きます」
魔王「ご紹介にあずかった紅の学士だ。
 生来の不調法もの故このような席で語る言葉を持たぬのだが、
 このたびの戦勝にお祝いを申し上げるためにまかり越した。
 この国は……流れ者のわたしに本当によくしてくれる。
 その暖かさが胸の痛みを溶かすようだ。
 わたしは、この国の人々の穏やかな笑みを忘れぬ。
 この国の四季と四方に億千の幸いがありますように」
冬寂王「……」
執事「若、若っ」
冬寂王「ああ、すまん。
 学士殿のありがたい言葉を頂きこの国の長として嬉しく思うっ。
 もし願えるのならば、この国のさらなる発展のために、
 その知恵を貸して頂きたい。
 学士殿も学究野道がある故、宮殿へ招くことは叶わなかったが、
 その功績、名誉爵位である!」
来駕者 わぁぁぁ!!!

785 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:06:55.22 ID:vGBiMEoLP
参加者「乾杯!」「南部の安定のために!」「王の勝利に!」
  
女騎士「正式な授与式にせず、気を遣って頂いたのですね」
  魔王「かもしれんな」
冬寂王「さらに皆には報告することがある。
 今回の極光島奪還作戦において、南部諸王国は
 一層の結束を強めた。
 また、いままでのような対魔族軍事作戦のみならず、
 通商、学術、技術分野でも協力が不可欠であるとの
 結論に達した。
 南部はその歴史において、一年の三分の一を雪に閉ざされた
 寒く、貧しい国々として過ごしてきた。
 しかし、地の宝は民である。
 南部諸王国の民には興武の気風と、質素、倹約、素朴さ、
 勤勉さ、暖かさが有るとわたしは信じる。
 我が冬の国は、鉄の国、氷の国と条約を交わした。
 これは通商および技術開発の各分野においても基本的な
 協力の合意である。だがしかし、それのみならず
 将来的な連合国家を視野に入れた取り組みだ。
 我らは肩を並べ共に戦った。これから先、あらゆる分野で
 共に進めると信じる。諸君らの協力を願いたい!!」
来駕者 わぁぁぁ!!! 冬寂王! 冬寂王!

798 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:14:08.62 ID:vGBiMEoLP
――冬の王宮、宴の間
吹奏楽隊 〜♪ 〜〜♪
   
質実な貴族「ほほう、三倍と!?」
   若手騎士「作付けの方法はいかがなのです?」
   魔王「今では種芋の管理を修道会に一任しているの
    ですがさほどの難しさでもない。種芋は購入して
    貰う形なのだが、農業技術支援とコミだと考えて
    もらえば決して高い買い物では無かろうな」
冬寂王「……それにしても」
   
工業ギルド長「はは! それで銅の価格があがると?」
   魔王「そうだ。分業体制における比較優位の法則という。
    この国にはまだ有用な鉱物資源が多いはずだ。すぐに
    利益には成らぬかもしれないが調査には利益があるの
    では無かろうか」
冬寂王「“生来の不調法もの故このような席で
 語る言葉を持たぬ”――だと?
 どうだ、あの落ち着き、あの涼やかな態度。気品と美しさ。
 貴族……。いや、王族のようじゃないか?」
冬寂王「なんて人なのだ。あの知恵、落ち着き。
 発想の全て。……彼女も英雄なのか? 勇者のように。
 それとももっと違う者なのか?
 いやはや、王になった途端にこんな奇跡ばかり
 目にするとは! 世界とはまったく油断がならんな!」

809 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:25:12.48 ID:vGBiMEoLP
――冬の王宮、宴の間、人のいないバルコニー
吹奏楽隊 〜♪ 〜〜♪
勇者「おお! 邪魔してる」
執事「おやおや、お帰りでしたか。勇者」
勇者「あんまびっくりしないのな」
執事「にょははは! 童貞のまま死ぬのは魔法使いと
 きまっていますからな。勇者は童貞のままでは
 死ねないでしょう?」
勇者「おお、ったりめぇだ」
執事「……お代わりをお作りしましょう」
勇者「ああ、あんがとな。……ん、美味いなこれ」
執事「にょははは。コックも喜びます」
勇者「うまうまっ! がふがふっ」
執事「……恨んでますかね、勇者」
勇者「なんでさ?」
執事「一人で行かせてしまいましたからね」
勇者「あれは俺がみんなを撒いて勝手に行ったんだ
 恨んでるわけ無いじゃん。それじゃ逆恨みだ」
執事「まったくですなぁ。にょはははは」

812 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:29:35.24 ID:vGBiMEoLP
執事「まぁ、そんなことではありませんよ」
勇者「じゃ、なにさ」
執事「さ、リキュールたっぷりのカクテルですぞ?」
勇者「お、あんがとな!」
執事「……」
勇者「ん、美味い。ああ……。
 いつだったか、鬼面都市の酒場でも、作ってもらったっけなぁ」
執事「そうでしたねぇ」
勇者「懐かしいなぁ」
執事「ええ」
勇者「……」
執事「……勇者は」
勇者「ん?」
執事「勇者は、あなたは強すぎる」
勇者「うん」
執事「あなたはその気になれば、まぁ、魔将軍クラスは
 ともかくとして、千人軍隊とでも戦えるのでしょう」
勇者「まぁ、そうな」

817 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:35:06.55 ID:vGBiMEoLP
執事「足手まといだから、我らを置いて行かれた
 訳ではないでしょう? もちろん足手まといでもあった
 わけですが。本当の実力を出せないという意味では」
勇者「……」
執事「わたしが勇者に申し訳なく思うのは
 勇者を一人で行かせたことではないんですよ。
 勇者を孤独にさせてしまったことです。
 勇者は強い。
 戦えば軍にでも勝つ。
 でも、その力を使えば使うほど、勇者はこの世界では
 寂しくになってしまうでしょう? 普通の人間は
 そんな強さを受け入れることなんて出来ないのだから。
 あなたは強さにおいて人間とは隔絶している。
 あなたは、私たち三人を“孤独”にさせないために
 置いていったのでしょう?
 でも、あなたは人間だ。人間であるはずだ。
 その勇者を私たちは、孤独にさせてしまった。
 それは私にはやはり、私たち人間の罪に思える」

823 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:40:26.18 ID:vGBiMEoLP
勇者「……そんなことねぇって」
執事「寂しい思いをさせて、申し訳ありません」
勇者「いやいやいや。爺さんには色々教えて貰ったから!」
執事「にょほほ!」
勇者「おっぱいとかな! 尻とかな!
 パフパフの見極めとかな!!」
執事「偽パフパフはガチムチ兄貴ですからね〜!!」
 
カチャカチャ
執事「……」すっ
勇者「うまっ! 美味っ!」
執事「ああ、勇者。今宵は良い夜です!
 でもね、聞いてください」
 
〜♪ 〜〜♪
勇者「ん?」 執事「我々だって捨てたものではないのですよ。
 我々だって、月を目指して、歩くことが出来るのです!」

827 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/07(月) 23:43:20.83 ID:vGBiMEoLP
執事「二年前には出来なかったことが、少しは出来るように
 なっているのですよ? あなたと別れてから私も
 すこしは、努力をしてきたのです」
勇者「……?」
執事「あの音楽が聞こえますか? 広間の明かりが見えますか?
 私が若を育てたんですよ。勇者、聞こえますか?
 あの笑い声が」
勇者「ああ、聞こえる」
執事「良い国でしょう?」
勇者「うん、全くだ」
執事「もう、勇者を孤独にはしませんよ。
 勇者の桁外れの戦闘力が無くても、なんとかする。
 もちろんまだひよっこですからな、よちよち歩きで
 危なっかしいものですが、それでもやっていこうとしています。
 勇者。勇者一人に罰を押しつけない国ですよ。
 きっと、勇者が孤独ではなくなれる場所があります」
勇者「ああ……」
執事「お帰りなさい、勇者!」
勇者「ああ。爺さん。ただいまだ!」