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魔女「果ても無き世界の果てならば」
Part6


185 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:48:42 ID:AnbStrNE
更新します。

186 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:50:35 ID:AnbStrNE
 結局、その日勇者に追いつくことは出来なかった。
 空には、銀色の月がぼんやりと浮かんでいる。
魔法使い「この辺には魔物も居ないんだね」
僧侶「えぇ、この付近は清浄な空気に包まれているようです」
 野営をしている川辺で、僧侶と空を見上げて話す。
 月の光に反射したその長い銀髪を見て、素直に美しいと思った。

187 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:51:13 ID:AnbStrNE
僧侶「あの月を今、勇者様は一人で見上げているのでしょうか」
魔法使い「案外新しい仲間を見つけていたりしてね」
僧侶「杖で殴ります」
魔法使い「はは、手伝うよ」
 旅にでてから、そんなに長い時間が経った訳では無いのに、僧侶とこうして自然に話せている自分に時々関心する。
 あのまま村に居たらきっと、よぼよぼで人間嫌いの魔女にでもなっていただろうから。

188 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:52:20 ID:AnbStrNE
僧侶「戦士さん、遅いですね」
魔法使い「食料を集めてくるとは言ってたけど」
 そう言えば、戦士は戦斧を折られたから、小さなナイフしか持っていないけどどうするのだろう?
戦士「すまない、待たせたな」
 そんな事を考えていると、戦士が戻ってきた。
僧侶「あぁ、なんて事……」
 持ってきたのは、なんとも立派な牡鹿だ。
 比較的大柄な戦士よりも更に二周りは大きい。
 あの小さなナイフで、どうやったら巨大な牡鹿を仕留める事が出来るのだろう?

189 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:52:53 ID:AnbStrNE
 戦士が手際よく牡鹿を肉にしていく。
 案外料理上手だったりするのだろうか?
戦士「森からの頂き物だ。 必要な分以外は森に返してくる」
 今日食べる部分以外を持って森へと消えていく戦士。
 彼独自の考え方なのだろうが、この考えは嫌いではなかった。
 あの牡鹿の魂と肉体はまた、森を巡り、森の一部になるのだと考えればそれも供養だと思う。
 焚き火にかけられた鍋を見ながら、心の中で戦士の考え方に賛同していると、戦士が戻ってきた。
 焚き火に温められた鍋の中身はシチューらしい。
 戦士お手製の料理は初めて食べるな。
 割と楽しみだ。

190 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:53:51 ID:AnbStrNE
 全身が危険信号を送っていた。
 生命に害を為すソレをこれ以上摂取するなと消化器系の内臓が講義の声を上げている。
 これは。
 ーーーーマズい。
戦士「?」
 流石は剛の者、といったところか。
 人という種の味覚を的確に攻めてくる、この恐るべきシチューを咀嚼し、嚥下するという行為で完全に支配するなんて。

191 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:54:05 ID:AnbStrNE
僧侶「おぉ、主よ。 これもまた我々子羊に対する試練なのですね」
 僧侶は痛苦に顔を歪めながらこの、人類の天敵たるシチューに挑んでいる。
 僕の器に盛られている分だけで、大国と渡り合えるようなこの兵器を口に運ぶ。
 口に運ぶたびに、後頭部を鈍器で殴られるような衝撃に襲われながらもなんとか感触を目指す。
 勇者め……これを食べずに済むとは運のいい奴だ。

192 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/02(日) 21:55:33 ID:AnbStrNE
今回の更新は以上となります。
今回は250くらいかと

193 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 00:09:16 ID:BNubYGhY
更新乙乙!
話が進むのは嬉しいけど、だんだん終わりに近づいてるってのが判るとなんか複雑だ

194 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:45:01 ID:zyanBX0o
更新します。

195 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:49:43 ID:zyanBX0o
 二日後、勇者に追いついた。
 人の居ない、美しい廃街で。
僧侶「ここは?」
戦士「人の気配はしないな」
 確かに人はおろか、生き物の気配すらしない。
 ただ、空気中に存在する魔力が濃い。
魔法使い「あ、勇者」
 おかしい。
 勇者の気配はしなかったのに。
勇者「あぁ、心配かけた」
 彼の魂の形が、より洗練されたものになっているような感じがした。

196 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:50:30 ID:zyanBX0o
僧侶「無事なら何よりです、が……その方はどなたですか?」
魔法使い「え?」
 驚いた。
少女「私かー? 私はこの国の姫だぞ」
 勇者の横にいたのは、艶やかな黒髪の少女だった。
戦士「おまえ、本当に人か?」
 戦士が腰のナイフを構える。
 戦士の言う事はもっともだ。
 魂、魔力の波長、肉体。
 どれをとっても人のソレとは違う。
 まるで、存在している世界が一段ずれているような、ソコにいるのに触れられないような。

197 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:51:25 ID:zyanBX0o
少女「勿論人だとも。 なぁ勇者?」
勇者「ん? あぁ、コイツは人だよ」
 ずいぶん親しげだね。 人がどんな気持ちで居たかもしらないで
僧侶「……」
 無言の僧侶が勇者の前まで歩く。
 振りかぶられた両手。
 響く快音。
戦士「良い切れだな」
魔法使い「うわ、痛そう」
僧侶「私が、私達がどのような気持ちで勇者様を追っていたかおわかりですか!?」
 ふん、いい気味だ。
 人を不安にさせておきながらそっちは女とイチャついてるんだからね。
 僕だって殴りたいくらいだよ。

198 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:52:06 ID:zyanBX0o
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魔女「この時の少女が今の王国の祖となる人間だ」
少年「なんなのその人は?」
 ぽっと現れて勇者を奪われた僧侶が可哀想です。
魔女「彼女が選ばれたのには理由があるんだ」
少年「それって?」
魔女「ん」
 魔女は催促するように空のティーカップを差し出しました。
 このペースだと、そろそろ茶葉がなくなります。
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199 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/03(月) 21:53:00 ID:zyanBX0o
今回の更新は以上となります。

200 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/04(火) 01:46:47 ID:eg.MOBsI
更新乙!

201 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/07(金) 02:58:10 ID:gtQEafq2
ハァァァァァヽ(`Д´)ノヨォォォォォ!

207 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:22:09 ID:9xB54/Z.
更新します

208 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:24:47 ID:9xB54/Z.
少女「勇者は呪いを受けていたぞ? 気がつかなかったのか?」
 時間が止まってしまったような荘厳な玉座で聞いたその言葉は、余りにも衝撃的だった。
 戦士が勇者を連れ出してから数時間が経つ。
 明らかに様子が変わった勇者の事が気になり、この少女に真相を訪ねたのだが、返ってきた言葉は聞きたくない事実だった。
僧侶「私は神に仕える身、その呪いを解けるやもしれません」
少女「無理だな。 おまえが世界から全ての悲しみをなくす事ができる程の力があれば別だけど」

209 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:25:27 ID:9xB54/Z.
 私と同じ程度の年齢に見えるというのに、この少女の雰囲気はまるで、老練たる賢者を思わせる。
魔法使い「随分と詳しいね。 さっきははぐらかされたけど、いったい君は何者なんだい?」
 目の前で玉座の上で胡座をかく少女の正体が気になって仕方がない。
少女「そりゃあ詳しいさ。 アレは家の一族だしな」
僧侶「どういう事です?」
少女「今、外の世界で暴れ回ってる奴な、アレは元はうちの兄貴なんだ」
 つくづく色々と予想外な少女だ。
 これが物語ならば、僕は読むのを止めている。
 こんな話の中核人物の癖に登場が遅すぎやしないかい?

210 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:26:24 ID:9xB54/Z.
僧侶「そんな事は今聞かされた所でどうしようもありませんし、私には興味がありません。 勇者の呪いについて詳しく教えて下さい」
 確かにそうかもしれない。
 賢くはないと思っていたけれど、見直さなきゃ。
少女「おぉ、ソレもそうだな。 勇者にかけられたのは短命、種絶、恐慌の呪いだ。 すぐには命を奪わない癖に、生命としての本質を奪う厭らしい呪いだよ」
 勇者の気配が変わったのはそのせいか。
 いや、でも呪いのように禍々しい気配ではなかった。
 むしろ、神聖ささえ感じるものだった。
魔法使い「君は勇者に何かした?」
 考えられる理由はコイツくらいか。

211 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:27:37 ID:9xB54/Z.
少女「ん、特にしちゃいないぞ。 彼が紛れもなく勇者だったというだけだ。 彼は、自分で切り開いたのさ」
僧侶「…………」
魔法使い「この都はなぜ人がいないの?」
少女「みーんな殺された、魔王?にな」
魔法使い「なぜ君は生きている?」
少女「この国で一番臆病だったからだな」
魔法使い「なぜ君の兄が魔王に?」
少女「魔術の本質に触れたから」
 魔術の根元にある物に触れてしまったら人間では居られなくなると噂で聞いたことがある。
魔法使い「魔王が人為的なものなら何故勇者が生まれる?」
 おとぎ話を丸ごと信じるわけではないけど、魔王も勇者ももっと特別なものではないのだろうか?

212 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:28:18 ID:9xB54/Z.
今回の更新は異常になります。

213 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 22:29:57 ID:9xB54/Z.
みす。以上となります。
放置申し訳ありませんでした。
支援ありがとうございました。

214 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/16(日) 23:14:54 ID:/QPt5s2o
来た!ヾ( ゚∀゚)ノ
更新乙!

215 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/17(月) 00:33:39 ID:n4gQefDE
この程度放置とは言えんよ


216 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/25(火) 12:45:20 ID:FnVaC85.
待つぞ。

217 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/09/25(火) 16:45:49 ID:ah8Mi3pQ
>>216
当然だ。

224 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/02(火) 19:03:28 ID:YN3o5xuk
お待たせしました。 更新します。

225 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/02(火) 19:05:40 ID:YN3o5xuk
少女「勇者とは、誰しもなれる物なんだよ? 逆もまた然り」
少女「幾千、幾万の絶望を踏破し、諦観を斬り伏せたその先に立つ物を結果、勇者と呼ぶ」
魔法使い「納得いかないよ」
 ならばなぜ、勇者は雷の精霊の寵愛を受けることが出来るのか?
少女「それは単に彼の人柄を精霊が気に入ったんだろう」
 そんな理屈で納得なんかできない。
少女「抗わず、流されず、全てを受け入れる事が出来る」
 魔法を使う為の基本的な心構えだ。
魔法使い「それが勇者だと」
少女「そーいうことだな」

226 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/02(火) 19:06:40 ID:YN3o5xuk
 そうこうしている内に、勇者達は帰ってきた。
 二人は剣を交えていたのだろう。
 どちらもボロボロだ。
戦士「迷いは、無いようだな」
勇者「やっぱり強いな、どうしてもかなわない」
 どうやら、二人は闘っていたようだ。
 戦士が笑った顔を初めてみた気がした。
 何があったか分からないけど羨ましいね。
 でも、まだ何も解決してない。
 魔王を倒すことも。 勇者の呪いを解く事も。

227 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/02(火) 19:06:56 ID:YN3o5xuk
少女「悩んでいるんだな、魔術の僕よ」
 深夜、少女に呼び出された。
 品のある調度品に囲まれた少女の私室。
 革張りのソファに身を預けた少女の顔は燭台の明かりに照らされ仄かに赤みを帯びていた。

228 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/02(火) 19:58:13 ID:YN3o5xuk
とりあえずここまでです。

229 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/03(水) 05:23:50 ID:vIPJ4jAg
更新 乙(..)
支援

230 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/11(木) 19:43:39 ID:8oS1JM4s
ゆっくりでいいさ、続きがあるだけ嬉しいから

231 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/14(日) 21:28:27 ID:yIYjQq32
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