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ショートストーリー
鰻「くっ、捌け!」

鰻「くっ、捌け!」
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1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/20(水) 00:38:29 ID:EKoa/fVc
オーク「…」

2 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 21:49:22 ID:8KH/n9qU
オーク「おい」
小オーク「へい、おやびん!」
オーク「……俺は『女騎士を捕まえてこい』と言ったはずだが?」
小オーク「へえ、そうですねおやびん!」
オーク「……これは何だ」
小オーク「何って……」チラッ
鰻「この汚らしいオークめ!我が王国の誇り、命に代えても守り切ってみせる!」キリッ
小オーク「ウナギですが」
オーク「そうだな、ウナギだな」

3 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 21:53:15 ID:8KH/n9qU
小オーク「ウナギ科ウナギ目に属する魚類ですね。淡水魚として知られていますが、海で産卵・孵化する魚です」
オーク「そんな事は聞いとらん」
小オーク「ちなみにウナギといえば日本の魚という印象ですが、昨今は国外からの輸入が増えてまして、特に中国産のウナギはですね」
オーク「オークがいるファンタジー世界で日本とか言っちゃったよコイツ」
鰻「貴様らに辱めをうけるくらいなら、死んだ方がマシだっ!くっ、捌け!」キリッ
オーク「しかもなんでコイツしゃべってんの」

4 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 21:56:44 ID:8KH/n9qU
オーク「あのな」
小オーク「へいおやびん」
オーク「俺は『女騎士』と言ったんだ」
小オーク「?……へえ、おやびん」
オーク「……何がどう間違ったら『ウナギ』になるんだ」
小オーク「……何がどう、と言いますと、ええっと……」
オーク「……」
小オーク「……女騎士、おんなきし、ぅおんなきし、うぉんなきし、うんなきし、うんなぎし、うーなぎし、うなぎs、うなぎ……」
オーク「……」
小オーク「た、大変ですおやびん!すっごい自然に、女騎士がウナギになりやした!」
オーク「こいつ馬鹿なんじゃないか」

5 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:01:45 ID:8KH/n9qU
オーク「お前のような子分は生まれて初めてだ」
小オーク「えへへ、それほどでも」テレテレ
オーク「褒めてない。俺はちっとも褒めてない」
小オーク「も、申し訳ないっすおやびん。責任もって、コイツは元いた川に返してきます……」ションボリ
オーク「待て、誰が返してこいと言った?」
小オーク「へ?」キョトン
鰻「なっ!貴様、まさか……!」ガクガク
オーク「……ウナギは高タンパクで消化もよく、脂がほどよくのっており非常に美味だ。……食うに決まっているだろう?」
鰻「くっ……貴様らぁ!騎士の誇りというものがないのかっ!?」
オーク「ウナギが何言ってるの?」

6 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:06:38 ID:8KH/n9qU
小オーク「そうと決まったら、へへへ……ほら!こっち来やがれこのメスブタがっ!」ズルズル
鰻「くっ、この下賤なオークめ……騎士の誇りにかけて貴様ら根絶やしにしてくれる!」キリッ
オーク(ブタ面のオークがウナギにメスブタって言ってもなー……)
小オーク「そいじゃあ、さっそくスパッとやっちまいますか!おやびん」スチャッ!
オーク「!……待て、お前」
小オーク「へ、へい?なんでしょうおやびん?」
オーク「……お前、指先を怪我しているようだが……?」
小オーク「ああ、コイツを捕まえる時に小枝に引っ掛けたんでしょう。なあに、大したもんじゃありません」

7 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:12:11 ID:8KH/n9qU
オーク「悪いことは言わん……やめておけ」
小オーク「な、なぜです?おやびん?」
オーク「ウナギの血液や粘膜には毒がある。怪我をした手では触らない方が無難だ……」
小オーク「なっ……こいつ、そんな姑息な手をっ!?」
鰻「くっ……貴様らに殺されるのなら、貴様らもろとも殺してやるっ!」キリッ
オーク「不安な時は、ビニールの手袋なんかを用意した方がいいな。ウナギは滑りやすいから手元が狂って怪我をする恐れもある」
小オーク「へえ……しかしおやびん、毒のあるモンを食って大丈夫なんですか?」
オーク「毒はタンパク質由来だから、加熱調理すれば何も問題ない」
鰻「この、卑怯者め……っ!」ギリッ

8 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:17:05 ID:8KH/n9qU
小オーク「へへへ、ではおやびん、コイツでスパッとやっちゃって下さい!」サッ
オーク「……何だ、これは」
小オーク「何って、オークの武器といったら斧に決まってるじゃないですか」
オーク「斧でウナギが捌ける訳無いだろ。……包丁持って来い」
小オーク「ええー……オークが包丁ってすっごいシュールじゃないですか?」サッ
オーク「む、この包丁ボロボロだな……おい、砥石はどこだ?」
小オーク「しかも包丁研ぐ所までやるんですか、おやびん」
鰻「な、なんだ貴様らその道具は……私がそんなものに怯えると思ったら大間違いだ!」ガタガタ
オーク「お前は少し黙ってろ」

9 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:24:34 ID:8KH/n9qU
オーク「包丁の研ぎ方については、習うより慣れる方が早い。これは口で説明しにくいんだ」
小オーク「へえ、そんなものですか」
オーク「ただまあコツを言うなら……砥石は2、30分ほど水に浸してたっぷり水を吸わせておくこと、砥石がグラつかないようにしっかり固定しておくこと」
小オーク「砥石ばっかりですね」
オーク「砥石が駄目だと包丁も駄目になるからな。使いすぎてへこんだ砥石だと包丁も変な形になるから、捨てるか平らになるよう削るかした方が無難だ」
小オーク「包丁の方はどうやって研げばいいんです?」
オーク「基本的に、『しのぎ』から『刃先』にかけての部分をピッタリと砥石に合わせて研げばいい。砥石全体を使って丁寧にな。この時左手の指は、研いでいる部分を強く押さえておくこと」シャーコシャーコ
小オーク「今更ですけど、オークが包丁研ぐシーンとかどこに需要があるんですかねー?」

10 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:30:21 ID:8KH/n9qU
オーク「研いだら、カエリを取って洗えば終了だ。よーし、これでよく切れるぞ」
小オーク「だいぶ端折ってますが、素人が包丁を研ぐのは結構難しいです。行う場合はくれぐれも怪我しないよう気をつけて下さい」
鰻「ひっ……な、なんだ貴様ら。そんなもので王国の誇りが、折れると思っているのか……!」ジリッ
オーク「……ウナギは生命力が強く、ホネになっても動くほどなので、生きているのを捌くのは大変だ」
小オーク「へえ。そうなんですか」
オーク「本当なら冷凍庫に30分ほど突っ込んで、弱らせてから捌くのが良い」
小オーク「ここはファンタジー世界で冷凍庫とか無いので、そのままいきましょう」

11 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:34:40 ID:8KH/n9qU
オーク「まず、ウナギがウロチョロとまな板の上で動かないように……エラの所に千枚通しをぶっ刺す」
ドゴッ!
鰻「かはっ!……き、さまら……こんなもので、わたしが……!」ガクガク
小オーク「おおー……頭が右側で、背中が手前に来るように置くんですね?」
オーク「腹開きは縁起が悪いから、今回は背開きで行く」
小オーク「なんで縁起が悪いんです?」
オーク「切腹を連想させるから」
小オーク「……オークには関係ないですねー」

12 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:39:34 ID:8KH/n9qU
オーク「しっかり固定したら、包丁を胸ビレのすぐ左側に入れてーー」スッ
ズズッ……
ウナギ「がはっ!……ま、待て!それだけは……ぐうう、騎士の誇りにかけて……わ、たしは……!」ガクガク
ドシュッ!
オーク「……中骨に当たったら、骨にそって、背中を切り開いていく……」
ズズッ!

13 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:41:37 ID:8KH/n9qU
ズバッ!
鰻「んほおおおおおおおおおおおおお!!!////しゅごいっ!しっかり研いだ包丁がぁっ♥せなかに入ってるのほぉおおおおおおお!!!///」
ビクンビクンスプラッシャァーーッ!!
オーク「あーもーなんやねんこいつはー」

14 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:45:51 ID:8KH/n9qU
鰻「あへぇ……しゅごいのぉ……♥」ビクンビクン
オーク「切っ先で腹の部分を破らないようにするのがコツだ。最後まで開ききったら、内蔵を丁寧に指で取る」ズリュッ
小オーク「うわー、本当に生命力強いんすねー」
オーク「最後に、骨を指で持ち上げながら、包丁を使って丁寧に取り去り……血合を取れば……」スッスッ……

15 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:48:57 ID:8KH/n9qU
オーク「ウナギの背開き調理、完了だ」
ジャーン!
小オーク「おおーっ!この方法ならご家庭でも簡単にウナギの蒲焼きが食べられますねおやびん!」
オーク「一般の家庭に生きたウナギと柳包丁があるのかって事は置いといてな」
小オーク「じゃあ!あたしがすぐに蒲焼きにしてきますねー!」タッタッタ
オーク「ああ……」
鰻『やっぱり包丁には勝てなかったよ……♥』
オーク「えっ?あれ、なんかまだ声聞こえるんだけど」

16 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:54:43 ID:8KH/n9qU
ホッカホッカ!
小オーク「じゃーん!やっぱりウナギはうな重ですね、おやびん!」
オーク「うむ……じゃあ」
「「いっただっきまーす!」」
モグモグ……
小オーク「うまーい!最高ですねおやびん!さっすがオークのオサです!」モグモグ
オーク「む……しかし脂の乗り方がイマイチだな……痩せぎすのウナギだったか」
小オーク「そーんな事ありませんって!よっ!おやびん最高!いやー、あたしゃ幸せモンですよ!」モグモグ
オーク「ああ。……で、小オーク。……次こそはちゃんと女騎士を連れてくるんだろうな?」ジロリ
小オーク「も、もちろんですって!信用してくださいよーもう!」
アハハハハー……
…………

17 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:56:00 ID:8KH/n9qU
…………
次の日……
小オーク「おやびん!女騎士と間違えて……ウツボ捕まえてきちゃいました!」
ウツボ「くっ、食せ!」キリッ
オーク「お前それ絶対ウナギと間違えただろ!!!」

18 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:58:21 ID:8KH/n9qU
小オーク「ど、どうしましょうおやびん?流石のおやびんでもウツボは……」
ウツボ「どうした、下賤なオークども!食すなら食せばいい!」キリッ
オーク「……いや、高知県や千葉県の一部の地域、中国等では、タタキや兜煮にして食べられている」
ウツボ「なっ……正気かっ!?貴様、この私を……!」ガクブル

19 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 22:59:29 ID:8KH/n9qU
オーク「さあて、今日のオカズはウツボ料理にしようか」
小オーク「さっすがおやびん!一生ついていきます!」
おわれ。

20 : ◆eUwxvhsdPM:2016/01/20(水) 23:00:44 ID:8KH/n9qU
今まで書いてきたSSの中でぶっちぎりで意味わかんなかったです
ウナギを調理した後は、消毒のため調理器具は熱湯で洗ってくださいね

21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/20(水) 23:16:31 ID:96ysXa8E
何だこのスプラッターSSは?

22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/20(水) 23:34:54 ID:XuZnwK9g
何気に勉強になってワロタ

23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/21(木) 01:11:14 ID:QaS1szBs
ぼやぼやしてる間に乗っ取られちまったな
でもいつもの>>1のSSより俄然まともな出来だw
お見事乙

24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/01/21(木) 22:00:49 ID:QTswChEA
勉強になってワロタ