Part5
隣に座るケイが、無言のまま、
私の空いたグラスにビールを注いだ。
山口は部屋からフロントに電話をし、
つまみとなるようなメニューを注文すると、
改めて4人でテーブルを囲ませ、
宴を再開させた。
「いやあ、ご主人、
今日は存分に楽しんでいってくださいよ」
山口がブラの上からミユキの
豊かな胸の膨らみをまさぐりながら、
私にそう声をかける。
ミユキはそんな山口を制止しようともしない。
松野と妻が不在になったためか、
山口の行為は一気に大胆なものへと変貌していった。
「最近は順調なんでしょう、お店のほうは」
山口が私に気を使うかのように、そう話しかける。
確かに山口の融資を受けて以降、
客足は再び上昇傾向にはあった。
珈琲一辺倒であったメニューにインド産の紅茶、
ハーブティーを加え、
ランチの数も増やしたことが、
功を奏したようであった。
「ええ、おかげさまで・・・・」
「じゃあ、楽しくいきましょう、楽しく!」
山口の音頭でその場は盛り上がり、
男女2名ずつの飲み会は
次第に乱れたものになっていった。
私はどうしても落ち着かず、
気持ちよく酔うこともできなかった。
「元気ないですね・・・・。どうしたの?」
隣のケイがそう声をかけながら、
私の手に自分の手をそっと重ねてくる。
白く、華奢なその手は、少し冷たく感じた。
私はそれを振り払うこともなく、
「ああ、そんなことないよ・・・・」
と答えた。
妻のことが気になるのは当たり前なのだが、
私は、妻を他の男と2人きりにした
この状況に自分がかすかに
興奮を覚えていることに気づき、
それに混乱しているのだった。
何か起こることを私は知らないうちに
期待しているのだろうか・・・・・。
ふと気づけば、
山口とミユキが濃厚なキスを交わしていた。
ブラはまだつけたままであったが、
唇を吸いながら、山口は
ミユキの胸を乱暴に揉んでいる。
どうやら日本酒を口移しで飲ませあい、
そこからキスへと発展したらしい。
「あっ・・・・・・」
山口のキスを受け入れながら、
ミユキの口からかすかに
艶のある声が漏れ出している。
私はそんな2人を見ながら、
意を決したように、立ち上がって言った。
「山口さん、
ちょっと飲みすぎたみたいなんで、
外の空気にあたってきます」
「おっ、大丈夫ですか、ご主人」
相当酔っている様子の山口は、
特に引き止めるような言葉もなく、
ミユキに抱きついたまま、私にそう答えた。
私の横では、ケイが私を見送るかのような表情で、
ただ黙ってこちらを見つめている。
私は急いで外に出ると、酒の勢いも手伝い、
妻と松野の様子を見に行くことに決めた。
離れは全て庭に面しており、
2人がいる私たちの離れは
狭い縁側のようなスペースを
挟んで庭に接している。
私はそっと2人がいる離れに近づくと、
縁側の引き戸に手をかけた。
予想通り、鍵などかかっていない。
中からは時折にぎやかな笑い声が聞こえてくる。
私は真っ暗な縁側にしゃがみこむと、
縁側と部屋を仕切るふすまから中を覗き込んだ。
そのふすまは雪見用の小さなガラスを備えており、
ふすまをずらすと中が覗けるのだ。
広い部屋で、ふすまから
2人のテーブルまでは距離があるので、
2人に気づかれることもないようだった。
2人は日本酒をテーブルにならべ、
随分飲んでいるようであった。
妻は松野の脇に密着するように座り、
お酌をしている。
気のせいか、浴衣が首すじ、
そして足元で少しはだけ、
美しい肌を更に露出させているかのようだった。
妻はよく笑い、ご機嫌な様子だ。
そして私の耳に届く彼らの会話は、
予想通り、際どいものとなっていた。
「だから、奥さん、
早くその色っぽいブラをとってくださいよ」
松野がお猪口を持ちながら、
妻に冗談っぽく要求している。
右手は妻の腰のくびれにしっかりと伸びている。
妻を他の男に抱かれている光景を見て、
私は妙な興奮を覚えた。
「もう、幼稚園のPTAの話をさせてくださいよ〜」
妻は松野の腕を振り払うこともなく
笑いながらそう答えている。
どうやら浴衣の隙間から妻が
ブラをつけていることに松野が気づき、
妻の話を遮り、それをとれと要求しているようだった。
「浴衣にはやはりノーブラですよ、奥さん」
松野がふざけた調子でそう言う。
「私も迷ったんですけど・・・・」
妻はまだ笑いながら、
松野を見つめてそう答える。
「さあ、接待ですよ、接待。
山口さんからも言われたでしょう」
「もう・・・・、しょうがないですね」
笑顔でありながら、
指示を撤回する気配を見せない
松野に妻はそう答えると、
その場に立ち上がった。
身長168センチのスリムな体が、
松野を見下ろすかのように立つ。
妻は松野から少し離れると、
背中を向け、浴衣の帯を少し緩めた。
そしてすばやく手を中に伸ばし、
器用にブラを外したようだ。
私はその妻の行為を信じることができなかった。
私の知る限り、妻はそんな行為を
するタイプではなかった。
酔った勢いが妻をいつも以上に高揚させているのか、
それとも接待に懸命に徹しているだけなのか、
私には判断はできなかった。
カフェへの融資の件もあるし、
妻は山口の指示に従うしかないだろう。
そうだ、妻は接待をしているだけだ。
私はそう自分に言い聞かせる。
レースの目立つ薄い紫色のピンクのブラを手に、
妻はまた席に戻った。
笑みを浮かべた妻は、
松野のおふざけにつきあっているかのようである。
見慣れない表情をする妻に対し、
私に僅かな嫉妬心がよぎる。
「さあ、これでよろしいですか、松野さん」
子供のわがままをしょうがなく聞き入れたかのように、
妻は松野に笑いながら言った。
「いやあ、いいですよ、奥さん」
すっかり調子に乗った松野は大喜びの様子だ。
「奥さん、そのブラを見せてくださいよ」
松野はそういい終わらないうちに、
妻からその派手なブラを奪い去った。
確かに浴衣の隙間から
あんな色っぽいブラを見せ付けられては、
どんな男でも妙な気を起こしてしまうだろう。
「奥さん、こんなエッチな
ブラをいつもしてるんですか」
「そんなこと、松野さん・・・。
いやですわ・・・・。
さ、飲んでください」
お酌する妻に、松野は顔を近づけていく。
視線はブラをとった妻の
豊かな胸の谷間に注がれている。
「奥さん、それでさっきの話の続きですよ。
どうなんですか、夜のほうは」
どうやら夜の営みについての話で、
松野は妻をいじめていたようだ。
「普通ですよ、別に・・・。
もう、やめてください、その話は」
妻はそういいながら、
グラスに口をつけ、僅かにビールを飲む。
「いやあ、奥様のような方だったら、
毎日でも飽き足らんなあ、私なら」
「松野さんったら・・・・・・」
「ご主人以外の男性との
ご経験もおありなんでしょう、勿論」
酒をあおりながら、松野は妻に重ねてそう迫る。
「そ、そんな・・・」
私の知る限り、妻は私が初めて、
そして唯一の男性のはずであった。
あれほどの美貌の持ち主だが、
恋愛経験はほとんどないような状況で私と出会い、
そのまま結婚してしまったのだ。
「どうですか、セックスはお好きなほうなんですか」
「もう、やめましょうよ、松野さん・・・」
妻はふざけた調子で松野を制しようとするが、
松野は妻のくびれた腰を右手で更に引き寄せる。
スリムな妻が、松野に囚われたような光景に見える。
「奥さん、ご主人とのセックスで
イッたことはありますか」
「そ、そんなこと・・・・」
「女性に生まれて、
それを知らないまま生きていくなんて、
本当に不幸なことですよ」
「・・・・・・・」
「私は必ず奥さんをいかせますよ・・・・。
じっくりと楽しませることができるんです」
松野が杯を勢いよく空けながら
妻をからかうように話す。
確かに、私とのセックスで
妻は本当にいったことはない。
それを知っているかのような松野のセリフは、
妻の心を確実に揺れ動かしているようにも見えた。
「もう、松野さんったら・・・・」
「奥さん、どうですか、
私のものを見てみますか」
少し動揺している妻に松野は突然そう言った。
そして妻の答える暇をあたえず、
妻の左手をとると、
自らの股間にそれをもっていき、
浴衣の隙間からそれを中に強引に導いた。
「きゃっ・・・・・・」
妻が思わずそう叫んだが、
その顔にはまだ少し平静さが残っていた。
テーブルの下の様子が見えづらかったのだが、
妻は松野の股間に手を届かせたようだった。
松野のものに、
一瞬触れたことは間違いないようだ。
「どうです、大きいでしょう」
松野はそう言うと、
右手で妻の腰をかかえ、
更に自分に密着させた。
そしてその右手を少しずつ、
妻の美尻にずらしていく。
「松野さん、もう、おやめになって・・・」
妻は松野の股間から手を逃がしそう言いながらも、
激しい抵抗は見せない。
まだ接待をしなくてはと考えているのだろうか。
しかし、既にその荒い息が
妻の首筋にふりかかるほど、
松野は接近をしている。
松野はわきの下から、妻の浴衣の中、
その素肌に手を伸ばす。
そして細みな妻には意外なほどの
その豊かな胸に触れたようだ。
巨乳とはいえないが、
スリムな体には十分すぎるほどの大きさで、
形もきれいなバストを妻は維持している。
「さっきから覗いていましたよ、
これを。おやせになってるのに、
こんなに大きいんですなあ」
感じやすい妻だが、
胸は特に攻めに弱い性感帯の一つだ。
松野は妻の浴衣の下で
あやしくその手を動かし始め、
妻は松野にもたれかかるような状況になっていく。
若いとは言っても、
やはり松野の体は中年の域に
浸かっていることを示すかのように、
多少の贅肉が覆っているようだ。
「松野さん、駄目ですってば・・・・・」
妻は松野の屈強な手を何とか
払いのけようとしながら、そう懇願している。
「奥さん、まあ、いいじゃないですか、
今夜は。その辺のホステスなら当たり前ですよ、
これくらいのことは」
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松野は妻の僅かな反応を確かめながら、
構わず両手で浴衣の下の
妻の胸やお腹をゆっくりとまさぐっていく。
妻の浴衣が少しずつだらしなくずれていき、
肩のあたりから次第に
その白く光る素肌が露になってきた。
胸の隆起も徐々にその姿を現していく。
「素晴らしい体だ、奥さん。
人妻とは思えないですよ」
松野はそう言いながら、
妻のうなじに背後から舌を伸ばし、
いやらしく這わせていった。
妻は男にいじめられるこの状況に耐えるかのように、
唇をかすかに噛み、そして目を閉じている。
「奥さん、楽にしていいんですよ」
「松野さん、お願い、やめてください・・・・」
「奥さん、そのうち気持ちよくなってきますから」
松野はそう言いながら、
妻の浴衣を肩からゆっくりと脱がした。
裸の上半身が完全に露になり、妻は思わず
「いやっ・・・」
と小さな声をあげた。
「わたし、こんなつもりじゃ・・・・・」
「素晴らしい胸ですな、奥さん」
松野は両手で背後から妻の乳房に優しく触れ、
自分の足を開いてすっかり自分の中に
妻をつかまえるような体勢になった。
妻が激しく抵抗しないことを確認すると、
松野は背後から胸への攻撃を再開した。
いつものあわただしい私の行為とは全く異なり、
それは非常にゆっくりとした余裕のあるものだった。
さわるかさわらないかのような微妙な乳首へのタッチ。
それでいて、時には激しく胸全体を下から揉みしだく。
そして口では妻の耳元のあたりを
いやらしく嘗め回している。
「駄目っ・・・・、
いけません、こんなこと・・・・・」
逃げられない状況で、
妻は必死に松野の腕を振り払おうとするが、
もうされるがままだった。
それはまさに、
野獣に捉えられた獲物による、
無駄な抵抗だった。
「やめてください・・・・・」
懸命にそう訴える妻の声も、
気のせいか、
わずかに吐息の混じった弱いものとなっていく。
ひょっとして妻は
感じ始めているのではないのか。
まさか・・・・・。