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旅男「ルビーイーターか……」

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Part3
28 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:38:15.03 ID:b28ts1/AO
帽子「こんなとこに戦闘服は置いてないと思うけど〜」
旅男「そうか? 女の服は良く知らんからな」
店員「ハンターの方も良くご利用になるんですよ」
店員「お客様は旅男様ですよね?」
旅男「え、ああ……」
店員「ファンなんです!」
帽子「またか」
藍「やっぱりハーレムを作るんですね……」
旅男「誤解だ、誤解!」
藍「あ、本当に戦闘向きの服がある」
帽子「タラシに奢ってもらおう〜、あ、この帽子可愛い」
旅男「……こんな地下生活じゃ大した娯楽も無いもんな……」
帽子「何ぶつぶつ言ってるの?」
藍「じゃあこの藍色の服で」
旅男「好きだな、まあ似合ってるよ」
帽子「ボクはこの白地に赤い装飾の奴」
旅男「おお、似合う似合う」
帽子「ちっ」
旅男「なんだよ……」
帽子「まあ次のハントは旅男が好きな服着てやるか」
旅男「好きっつか似合ってるって……」
帽子「ほら、支払いよろしく!」
旅男「……二着で七万……だと……?」
帽子「普通っつかお安い方」
旅男「女じゃなくて良かった……」

29 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:40:04.83 ID:b28ts1/AO
…………
旅男「映画やってるな」
帽子「昔の映画のデジタルリマスターばっかりだけどね」
藍「意外と面白いのがあるんですよ、SFはアレですけど時代劇や恋愛物は時代が変わっても面白くって……」
旅男「詳しいんだな」
藍「映画は好きなんです……」
帽子「……休み明けたらどうするかね〜」
旅男「またイーターを何匹か狩るか、博士の仕事を請け負うかだろ」
帽子「そう言えば例のコンピューターのデータ洗い出せるのかな?」
旅男「デカい工場のメインコンピューターのデータだからな、時間はかかるだろうな」
帽子「博士の事だから朝飯前とか言いそうだけど」
旅男「あり得るな」
旅男「で、この映画はどんな内容なんだ?」
藍「旅男さんも興味を持てるかと思って怪獣物なんですけど……」
旅男「仕事を思い出すだけだろそれ」
藍「あ、そっか、自然災害物か刑事物にしたら良かったかな?」
帽子「大破壊は現実にやっちゃった感あるし、アクション系はね、ボクらの方が激しいアクション出来ちゃうからね」
藍「難しいですねえ……」
旅男「恋愛物とか戦争物みたいな思想が入ってる奴の方が良かったかもな」

30 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:41:59.98 ID:b28ts1/AO
…………
旅男「割と面白かった」
帽子「ルビーイーターみたいに熱線を吐くモンスターが実は……、とか燃える展開だったね」
藍「伝説になってるゴリジーラシリーズですからね、私も当たりを引いた気分です」
旅男「映画を見てる時に思ったがホラーとか感情に訴える系統は楽しめそうだぞ」
藍「あ、それがあった」
藍「ジュオングシリーズかリンダシリーズ、魍魎の脳味噌シリーズなんかも面白いかも」
帽子「典型的なゾンビ物で当たりを探すのも楽しいかもね」
旅男「ふふ……」
旅男「なんか休みを満喫できた、有り難うなお前等」
帽子「ふん、タラシめ」
藍「……実は帽子さんは、旅男さんが……」
帽子「無いから」
帽子「ボクと旅男は同じラボで近似的な遺伝子を投入された……、実質兄妹みたいなものなんだから……」
藍「……!」
藍「あの……、ごめんなさい」
帽子「何が?」
帽子「何でもないよ、忘れて」
藍「……ごめんなさい……」
旅男「おい、あそこの店で売り出してるあれ……」
帽子「おお、デンジャラストリカブトケーキ!」
旅男「食ってみっか、博士にも土産を持って行けばいいだろ」

31 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:43:57.62 ID:b28ts1/AO
帽子「やった〜、旅男奢ってね」
旅男「最初からタカる気満々だろ、まあ博士の言う糖分がAHに与える影響を確かめて見ようぜ」
藍「お酒を飲む人って甘い物は嫌いなんじゃ……」
帽子「二日酔いで甘い物は頭痛がしたり胃が焼けるって事じゃないのかな、多分」
藍「旅男さんはお酒強いから大丈夫なのかな?」
旅男「サンプルで見る限りだがでけえな、食いでが有りそうだ」
帽子「うふふ、食うぞ〜!」
藍「楽しみです、茶髪君はお留守番で残念でしたね」
旅男「オフまで茶髪連れ回したく無いからな……」
店員が来ると帽子が慣れた感じで対応する
帽子「三名ね」
帽子「デンジャラストリカブトケーキ三人前とグレープゾンビシェイク三つ」
店員「かしこまりました、しばらくお待ちくださいませ」
帽子「お持ち帰りやってる?」
店員「承っております」
帽子「んじゃ後で」
旅男「ここのメニューってなんで凶悪に不安感を掻き立てるネーミングなんだ?」
帽子「楽しいから?」
藍「ここのチェーンは食欲を猛烈に削ぎ取るネーミングを目指しているそうです」
旅男「何の嫌がらせだ!」

32 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:45:58.69 ID:b28ts1/AO
しばらく待っているとサンプルと寸分違わない量のデンジャラストリカブトケーキが現れた
旅男「見た目と匂いは猛烈に美味そうだな」
全員一斉に一口食べてみる
旅男「ん!」
藍「すごい……」
帽子「マンゴーベースでフルーティーでプルプルした食感の後、優しい口解けのスポンジとクリームが芳醇な香りを放ってくる……」
旅男「美味い、で良いだろ、どこのレポーターだ」
帽子「んまいっ!」
藍「多いように見えますがふわふわなのでどんどん食べられますね」
帽子「デンジャラスだ……、これは太る」
旅男「AHなんだからこれくらいのカロリーちょろっと動いたら消費しちまうよ」
藍「ああ、AH用を睨んだメニューなのかも」
旅男「AHのカロリー消費は深刻だからな」
帽子「AHで良かった〜」
旅男「土産持って帰ったら次はまた酒場だな」
帽子「この辺りで美味しいとこ、あそこくらいだしね〜」
藍「地下五階に最近話題の美味しいレストランがあるらしいですよ」
旅男「あんまり洒落た店は飲み辛い」
帽子「だよね」
旅男「お前は飲まないんだから二人で行ってこい」
帽子「博士と同い年だしね」


33 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:47:42.55 ID:b28ts1/AO
藍「じゃあ茶髪君と博士と四人で」
旅男「仲間外れも寂しいな」
帽子「ワインとか変わったお酒飲めるかも、行こうよ」
旅男「そうだな、一回だけ行ってみるか」
…………
夜、地下街を一段一段降りていく
旅男「深層は余り来ないが結構良い雰囲気じゃないか」
藍「素敵なお店もいくらかありますね」
博士「今は人間のほとんどが地下住みだからな、地下も栄える」
茶髪「うう……」
茶髪「トリカブトケーキ多かった……」
旅男「あれくらいも消化できないのか、オールドタイプの餓鬼は貧弱だな」
旅男「地下五階まで階段三往復くらいしたらどうだ?」
茶髪「……無理、吐く」
藍「無理ならレストランはやめておきますか?」
茶髪「行く、仲間外れはやだ」
博士「少し腹ごなしに遊んでいくか、なんかやってないかな」
旅男「普通のスポーツってつまんないんだよな、だいたい負けるはずがないから」
博士「だよなあ」
博士「あ、釣り堀なんかあるぞ」
旅男「今から飯食いに行くからなあ」
博士「映画でも見るかなあ」
藍「映画ですか!」
旅男「こいつに火が着いちゃうからパス」
藍「今度一緒に行きましょう、博士!」

34 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:49:50.16 ID:b28ts1/AO
帽子「またショッピングするかなあ」
旅男「そんなに金ねえぞ」
帽子「流石に自分で買うよ、雑貨屋さんとか覗いてみよう」
茶髪「行くか〜」
…………
一頻り歩き回った後、レストランに辿り着く
レストランとは言うが居酒屋のような気さくさを感じる内装だ
テーブルも小さく、カウンター席もある
旅男「おお、良い店じゃないか」
レストラン店員「旅男さん、ようこそいらっしゃいました!」
旅男「お、おう」
旅男達は奥のテーブルに案内された
博士「有名人だな、ははっ」
帽子「便利な男だよね」
茶髪「俺もオールドタイプなのに凄腕ハンターって有名になりたいな」
藍「頑張りましょう!」
旅男「海鮮メニューも豊富だなあ」
博士「良いな、酒が飲めたらなあ」
旅男「まだ六年早いよ」
旅男「俺は飲むけど、海老のソテーと白ワインにしよ」
藍「私も海老食べたいです」
茶髪「肉〜」
博士「白身魚のムニエルにしよう」
帽子「ボクもそれでいいや」
博士「冷却期間明けたらまたアイアンイーターでも狩りに行くのか?」
旅男「だいぶ金使っちまったからな、ちょっと大きく稼ぎたい所だ」

35 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:51:46.77 ID:b28ts1/AO
博士「実害が幾らか出てるマンイーターで五百万くらいのがいる」
博士「君なら危なげなく狩れる範囲だろう」
旅男「美味しいな、それは」
帽子「三人で狩って山分けしようよ」
博士「三人なら千二百万のルビー保持型アイアンイーターがいるぞ」
旅男「それだ、ルビーイーターになる前にやっちまおう」
博士「一応ルビー保持型は運動量も高いからアイアンイーターと言っても厳しいぞ」
旅男「分かってる、優秀な仲間がいるし大丈夫だ」
帽子「もう……、旅男ったら仕方ないなあ……」
藍「私はもう少し実戦に慣れたいですが……」
旅男「そうか、じゃあまずは藍のトレーニングに群れてる小型イーター狩ってくるか」
博士「群れはなあ、奇襲されるとキツいからな」
博士「まあ小型の群れを探しておくよ、公示警報も余り宛にはならないがな」
旅男「ある程度はなんとか対処するよ、売り出し中の若手もいるしな」
茶髪「俺?」
旅男「やらないのか?」
茶髪「やる、ハンターになりたいもん」
旅男「オールドタイプなんだから兎に角射撃の腕を磨け」
旅男「後は帽子がやったみたいな脚を払ってトドメを刺す戦い方だな」

36 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:54:08.56 ID:b28ts1/AO
帽子「イーターは脚が弱いからね」
帽子「あいつらの体鉄が中心だし、バカみたいにデカいから自分の体重を支え切れてない事が多いんだよ」
茶髪「なるほど」
旅男「チビに向いた戦い方だしな」
藍「私も覚えておきます」
博士「じゃあまずは藍と茶髪のトレーニングで、その後デカいのを狩ってゆっくりするか」
旅男「それで良い」
旅男「まあ予め言っておく」
旅男「死ぬんじゃねえぞ」
茶髪「死なねーよ!」
藍「命だけは守りますね」
旅男「ま、あと数日はぶらぶら遊ぶけどな」
茶髪「俺も誘えよー」
旅男「映画見るか、ゴリジーラシリーズ」
帽子「この休みは映画漬けも良いね」
藍「案内しますね!」
旅男「ノリノリだな」
博士「私も明日は息抜きするか」
旅男「賑やかで良いな」
博士「映画文化とか割と興味ある」
藍「一緒に巡りましょう、博士」
博士「ふふ、お手柔らかに」
ーー数日後、F地区ーー
旅男達はハンター以外侵入禁止の危険区域を訪れていた
藍と茶髪の修行目的のアイアンイーター狩りではあるが、危険なタイプのイーターが居ないとは限らない
旅男と帽子は厳重に警戒態勢を取った

37 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:56:18.63 ID:b28ts1/AO
小型イーターが二、三体、こちらを見ている
アイアンイーターであれば人間に興味を示すことはない
草食動物が人間に興味を示さないように、ただ警戒するだけだ
アイアンイーターではないのか、と警戒した所でイーター達は逃げ出した
普通のアイアンイーターのようだ
崩れかかったビルでは捕食音が響いている
旅男「とにかくバラバラになるな、一体一体確実に仕留めて行け」
茶髪「分かった」
藍「頑張ります!」
旅男「くれぐれも味方を撃つなよ、危なそうなら刀か槍を使え」
茶髪「槍か……、めちゃくちゃ練習したぜ」
旅男「イメトレと実戦は違うぞ」
茶髪「分かってるよ!」
旅男「茶髪はまず射撃、次に武器の持ち替えの速さも大事だ」
旅男「藍は俺と同じ小太刀だがこれはまあ身体に沿って使うことだな」
旅男「斬れば倒せる、撃たれたり蹴られなければ死なない、分かりやすい武器だ」
旅男「……ってのは使い慣れてる俺の感想だからな、自分なりの戦い方を見いだせ」
旅男「ルビーイーターじゃなければ、なんとか撃ち殺せば終わりだ」
旅男「ついでにルビーイーターの恐ろしさを教えておくか」

38 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 22:58:08.85 ID:b28ts1/AO
茶髪「聞いておくか」
帽子「偉そうだな、小僧!」
旅男「お前だよ……」
旅男「ルビーイーターと俺が戦ったのは三年も前だ」
旅男「調子に乗ってルビーイーターを狩りに行った俺達三人は仲間を一人死なせてしまった」
旅男「相手が二匹居たこともあるが、ルビーイーターの出力を甘く見ていた」
旅男「まずルビーガンじゃ毛ほどのダメージしか与えられない」
旅男「奴らはルビーを使い切る事など気にしない、大出力のレーザーを撃ちまくってくる」
旅男「運が悪ければ初撃で死ぬな」
旅男「いかなるAHでも光速をかわす術は持ち合わせていない」
旅男「ルビーの出力を生かし、巨体だが高速で動く」
旅男「ここまでで質問は?」
茶髪「ルビーガンも効かないって、そんなのどうやって倒すんだよ……」
旅男「効かないと言うか、一瞬で修復する」
旅男「俺が倒した時はとにかく格闘を繰り返した」
旅男「格闘って言っても相手の射線に入ったら死ぬ」
旅男「死角を突いて滅茶苦茶に斬りまくった」
旅男「一体を倒した所でもう一匹は逃げ出した……」
旅男「終わった時には正直俺もオーバーヒートで死にかけてた」

39 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/27(土) 23:00:14.88 ID:b28ts1/AO
旅男「いいか、ルビーイーターと会ったら隠れろ、そして逃げろ」
旅男「気が狂っても戦おうなんて思うなよ」
旅男「あと、半端なコンクリートは焼き切るからな」
旅男「さて、ここは敵地な訳だが、最後に何かあるか」
茶髪「祖国のために生きて帰ります」
帽子「どこの軍人だ」
藍「やりました!」
話をしている間に藍が一匹アイアンイーターを撃ち殺した
帽子「やるねえ」
茶髪「フライングだ!」
旅男「戦場によーいドンなんか無いぞ、一等兵!」
茶髪「イエッサー!」
茶髪は多少乱暴だがアイアンイーターを一体射殺し、槍に持ち替えて突撃し、もう一体を倒した
帽子「初陣にしては気合い入ってるね、本気なんだ」
旅男「あいつが里親に貰われていかなかったのはハンターになるためだからな」
旅男「あいつの両親はマンイーターに食われたらしい」
旅男「今はアイアンイーターがいっぱいいっぱいだろうが、いつかマンイーターを狩らせてやりたいな……」
帽子「ほんと世話焼きだよね、あんたは」
帽子「ボクも少しは手伝えるかな?」
旅男「頼むぜ、大将軍!」
帽子「あはは」