犬娘「魔王になるっ!」
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88 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:09:00.31 ID:DXeFWBlAO
術師「今日はゆっくり休みましょう」
メイド剣士「じゃあ、ご飯にしましょうか」
犬娘「テントできたよ〜!」
メイド剣士「お疲れ様です魔王様」
メイド剣士は犬娘の尻尾にハグする
女拳士「いまだ、犬耳ゲット!」
術師「あ、あぶれましたわ」
犬娘「くすぐったい〜!」
女拳士「なんだか癒し効果が……」
メイド剣士「もふもふ依存症に注意ですもふもふ」
術師「依存症患者が……」
…………
朝、犬娘と女拳士は食料確保のために釣りに出かけた
女拳士「アタシも旅の途中で色々釣りはやったけど、現地調達の餌で釣るのが一番だよ」
犬娘「餌はどこにあるかな〜?」
女拳士「岩にへばりついてる貝類もいいんだけど、汽水域に住むゴカイの類を使うのが簡単かな」
犬娘「竿や糸は術師さんが買ってくれてるよ!」
女拳士「あの人準備いいなあ、良いとこのお嬢さんなのにしっかりしてる」
犬娘「すっごく助かるよ!」
女拳士「準備と言えばこの箱、青い石のお陰で魚が腐りにくいらしい」
犬娘「すごいね〜、錬金術って」
女拳士「錬金術用のテントも用意したし、こういうのもっと作ってくれるかもね」
89 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:10:42.80 ID:DXeFWBlAO
犬娘「輸出したら儲かるね!」
女拳士「うん、一つ何万もするなんてほとんど貴金属だよ、錬金術とはよく言ったもんだ」
犬娘「あ、あそこ川あるよ!」
女拳士「そう、川の河口は汽水域になってて、潮が引けば餌がたくさん取れる」
女拳士「とりあえずこの袋に一杯で良いよ」
女拳士は小さな皮袋を取り出すと、水の中に入っていく
女拳士「冷たい、気持ちいい」
犬娘「日差しがキツいから涼しい〜」
女拳士「この木ベラを使って掘るといいよ、はい」
犬娘「ありがとー」
女拳士「あ、魔王様って虫大丈夫?」
犬娘「うん!」
女拳士「こんなんだけど」
女拳士は足元を掘ると、足が沢山あるムカデを溶かしたような生き物を掘り出した
黒い牙がうにうに飛び出す様が実にグロテスクだ
犬娘「昔お父さんと釣りに行った時使ったよ!」
女拳士「流石野生児だね、メイド剣士ちゃんとか泣き出しそうだけど」
犬娘「あはは」
女拳士「さあ、一杯取ったら釣りにも行かないとね」
犬娘「うん!」
…………
メイド剣士「む、ムカデ〜!」
術師「落ち着きなさいな、ムカデなんて森には沢山いますよ?」
メイド剣士「お姫様の癖に〜!」
90 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:13:51.02 ID:DXeFWBlAO
なんとも動じない術師、メイド剣士はますます暴れる
メイド剣士「死ね、ムカデは死ね!」
今まで使ったことのない真空魔法まで放ち始めた
術師「あなた追い詰めたら強くなるタイプですわね」
メイド剣士「笑ってないでムカデ撃破してください!」
術師「もうすぐ木枠を作れるので我慢してくださいな」
メイド剣士「もうっ、ムカデ死ね!」
術師は木枠を作るとそれを海に運び出した
…………
術師「落ち着きましたか?」
メイド剣士「潮風で」
メイド剣士「気持ちいい……」
術師「塩作りを始めますわ」
メイド剣士「海水を汲んでこの木枠に貯めるんですね」
術師「いい塩が取れるようなら塩田を作ります」
メイド剣士は木の骨に皮を張ったバケツで海水を汲み上げた
術師「まあなかなか出来るものでは無いです」
術師「火でさっさと気化させても良いんですけどね」
メイド剣士「とりあえず色々作り方を試してみるんですね」
術師「そうですわ、薪を使うのもコストがかかりますからね」
メイド剣士「なるほど」
術師「まあのんびり……、あら、魔王様」
メイド剣士「魔王様〜」
犬娘「メイド剣士ちゃん、ゴカイ取ったよ〜!」
91 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:16:03.59 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「ゴカイってなんです、きゃ〜〜〜〜〜〜っっ!!」
犬娘「釣り餌だよ、風で切り刻んじゃだめだよ!」
女拳士「メイドちゃんが進化してる」
術師「森の中でムカデが出まして、はずみで覚えたようですわ」
女拳士「人間どこで成長するか分からないねえ」
犬娘「つ、釣りにいこ、ゴカイ無くなっちゃう!」
術師「誤解が無くなると困るとは」
メイド剣士「別に上手くないです!」
女拳士「じゃあデッカいの釣ってくるわ」
メイド剣士「私今日お魚食べない!」
術師「じゃあ、塩もすぐには出来ませんから貝を拾いましょう」
メイド剣士「あ、貝食べたいです」
術師「網とか使えたら良いんですけど、そのうち編みますか」
メイド剣士「術師さん万能」
術師「ありがとうございます」
メイド剣士「魔力が無いと戦闘の役には立ちませんが」
術師「まだそれひっぱりますか!」
…………
女拳士「さて、何が釣れるかな?」
犬娘「竿〜道糸〜浮き〜錘〜ハリス〜針〜餌〜♪」
女拳士「なんだいその歌、楽しそうだね」
犬娘「釣りセットの歌?」
女拳士「魔王様は愉快だね」
92 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:18:57.86 ID:DXeFWBlAO
犬娘「釣っれるっかな?」
女拳士「釣れなかったら素潜りしてくるよ」
犬娘「タフ〜!」
女拳士「魔王様は塩がつくとベトベトになりそうだね」
犬娘「泳ぐの得意だよ〜、犬掻きは専門家だよ〜」
女拳士「確かに!」
犬娘「あ、なんか来た!」
女拳士「あ、無理に引っ張っちゃ駄目だよ」
犬娘「おっきい〜強い〜」
女拳士「アイナメかカサゴかメバルか、そのあたりかな」
犬娘「釣れたっ」
女拳士「これはメバルだね、この仕掛けで釣れるのは珍しいかも」
犬娘「そうなの?」
女拳士「こいつは美味いよ」
犬娘「やった」
女拳士「お、こっちも……、ハゼだね」
犬娘「美味しい?」
女拳士「天ぷらにすると美味しいよ」
犬娘「やったね」
女拳士「ここ、いっぱい魚いるみたいだね、人があまり来ないからか……」
犬娘「貿易できる?」
女拳士「網を使って漁ができたら貿易も出来そうだよ」
女拳士「こんな魚だけだと一日で二千匹は取れないと厳しいかもね」
犬娘「厳しいね〜」
犬娘「でも私、難しいことできない分頑張る!」
女拳士「いくらでも頼ってね、魔王様!」
犬娘「ありがとう!」
犬娘「あ、また来た〜!」
93 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:20:49.06 ID:DXeFWBlAO
術師「ずいぶん遅くまで釣ってたんですね」
女拳士「いや〜、塩でベトベトになったから川の上流まで水浴びに行ってた」
メイド剣士「お魚これですか、うわっ」
術師「まあ、ずいぶん色々釣れましたね」
女拳士「浅めで釣ってたら小物がたくさん釣れた」
術師「これならもう少し太い糸を使って大物も狙いたいですわね」
女拳士「釣り詳しいの?」
術師「西の森は海も近いので狼主様と何度か……」
女拳士「ふかふかちゃん魚食べるんだ」
術師「好物みたいですわ」
女拳士「海老でも取ってイカや石鯛を狙うのもいいかなあ」
術師「面白そうですわ、ハマミナトに行ったら仕入れておきます」
女拳士「そのうち造船や漁業も視野に入れるかね」
術師「参考にしておきます」
女拳士「とりあえずこれで一日は食えるし、明日は森から湖まで見てきたいけど」
術師「頼りになりますわね、ではそうしましょう、牧草地やチュウザンへの道もできれば調べておきたいです」
メイド剣士「ううっ、ムカデさえいなければ……」
術師「みんなで行きますわよ」
メイド剣士「うえぇ……」
犬娘「ムカデいたら踏むよ!」
メイド剣士「あ、ありがとうございます」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:24:36.24 ID:DXeFWBlAO
術師「配下のためにムカデを踏む魔王様……」
女拳士「なんかかっこいいぞ」
メイド剣士「まずはお魚と貝、料理しましょうか」
術師「手伝いますわ」
犬娘「私もっ」
その後、貝のパエリアや魚のソテーを大量に作った
ほとんど現地の獲物で一食作ることができた事で大きなスタートの一歩を踏み出せたと言えよう
…………
術師「さて、今日は探索ですわね」
メイド剣士「一応内政の仕事かと思い食料残量でおおよその宿泊可能日数を計算しましたが、まだ十日は大丈夫です」
女拳士「内政?」
術師「彼女はヤマナミで内政に従事していたので、その関係の仕事をお願いすることにしました」
女拳士「へえ、誰にでも特技が有るもんだねえ」
メイド剣士「喧嘩売ってますか?」
術師「あなたは毎日売ってるでしょ」
メイド剣士「それもそうです」
女拳士「湖かあ、どんなとこかなあ」
犬娘「故郷に池や沼はあったよ」
女拳士「東大陸に渡った最初にデッカい湖あったけど、塩湖だったから海みたいな環境だったな〜」
女拳士「淡水の湖は泥臭いとこで水も濁ってるとこが多くてさ、あ、すげー綺麗なとこもあったな」
術師「旅慣れてますわね」
95 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:26:10.86 ID:DXeFWBlAO
女拳士「まあ武者修行の旅だし、たいした知識は無いけどね〜」
犬娘「私も……今まで旅してきたよ」
メイド剣士「……魔王様……」
術師「その旅もここで終わりですわ」
術師「これからはここがあなたの故郷ですからね」
犬娘「……うん!」
メイド剣士「湖、見えてきましたよ!」
ーーチュウザンの滝、チュウザン湖ーー
やがて四人がたどり着いたのは、青く澄んだクリアウォーターの湖だった
透き通った水の中を泳ぐ魚はあっと言う間に逃げていく
ここからチュウザンに行くのも、北浜に帰るのも、自由だ
術師「ふむ」
メイド剣士「綺麗な水ですね……、泳いでる魚が見える」
犬娘「釣りしたら気持ちよさそう」
女拳士「おお、ここならナマズや鯉が釣れそうだね」
犬娘「虹鱒もいるかも!」
女拳士「ここまで三時間ほどしかかからなかったね、いつでも釣りにこれる距離だよ」
術師「ふむ」
メイド剣士「途中の森でも何か取れませんかね?」
女拳士「キノコはいくつかあったね」
犬娘「野草もたくさんあったよ!」
術師「ふむ」
96 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:28:31.78 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「さっきからなんですかふむふむと!」
術師「生計を立ててました」
メイド剣士「生計?」
術師「意外と私たちが生きられるために必要な土地は、広大ですわ」
術師「例えば油を取る菜種、小麦、香辛料を取る畑、たった四人が生きるためには、それはそれは広大な土地が必要です」
術師「それらをこれから耕し、収穫に至るまで、私達はとても生きていけませんわ」
メイド剣士「うっ、確かに」
術師「でもこのオリファン開発記録においては、ほとんど食糧危機に見舞われていません」
メイド剣士「何故ですか?」
術師「貿易で成功を収めたからです」
術師「なにより大きかったのは大魔法使い様の作った『竜の秘薬』」
メイド剣士「あれは、ヤマナミ内務官の間でも禁忌です」
メイド剣士「あんな超知識、超物質、超研究の産物、実際現在は完全に技術が失われた秘薬、経済的に見ても再現が難しいです、絶対頼っちゃ駄目な物なんです」
術師「私も研究していましたから知ってますわ」
術師「それに変わるもの、私作れるんです」
メイド剣士「はあっ!?」
術師「『石』ですわ」
女拳士「!!」
メイド剣士「な、なるほど確かに」
97 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:30:53.06 ID:DXeFWBlAO
女拳士「あれも超レアアイテムだよな?」
術師「もちろんですわ、材料はこのあたりにあるか、ないかも分かりません」
メイド剣士「そんなあやふやな」
術師「私達の拠点近くにある山は火山ですよね?」
メイド剣士「地図上はそうなってます」
術師「火山には必要な鉱石があります」
女拳士「おおっ、じゃあまずあの山に登るべきか」
術師「そしてこの湖に、水神の石があれば白石が作れます」
メイド剣士「一個二十万のあれですか!?」
犬娘「どんな石か分かったら私探すよ!」
術師「それは……」
魚娘「ざっぱーん!!」
貝殻姫「ちょっ、魚娘ちゃん、見つかっちゃうよ!」
突然湖から、魚人が二人飛び出してきた
術師「はうあっ」
犬娘「わあっ」
メイド剣士「なんですか?!」
女拳士「ぎょぎょぎょぎょぎょ、魚人だあああああ」
魚娘「人魚ですわ」
どう見ても魚人である
術師「人魚って美しい肌の女性ですわよね、鱗だらけの鎧みたいな顔ではないですわよね」
魚娘「人魚だもん!」
貝殻姫「あなたは魚人です」
魚娘「がーん!」
98 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:32:25.37 ID:DXeFWBlAO
一人は完全な魚人である
顔まで鱗に覆われている
しかしもう一人はとても美しい、絵本の中から出てきたような人魚だ
犬娘「お姉ちゃん綺麗だね!」
貝殻姫「ナンパですかっ!」
魚娘「ぶぶぶぶぶぶ無礼なあっ、こちらにおわすお方をどなたと心得る!」
メイド剣士「知りません」
術師「知りませんね」
女拳士「知らない」
犬娘「人魚さん?」
魚娘「正解、あなた正解!」
犬娘「やった」
犬娘は可愛くガッツポーズした
貝殻姫「あなたが私を好きだと言うなら貝殻姫は泡となる覚悟ですわ!」
魚娘「ちょっ、姫様、あれよく見たらメスです!」
貝殻姫「ええ〜っ!!」
貝殻姫「神様ヒドい」
魚娘「ああっ、姫様が過呼吸にっ!」
術師「いったいなんなんですか、この魚たちは」
メイド剣士「さあ?」
魚娘「失礼、我らはカイオウ国の者です」
術師「カイオウ国、この大陸最古の国ですわね」
魚娘「最古にして最高、最古にして最高!!」
女拳士「はいはい、最古にして最高な」
女拳士はこの手の輩が面倒くさいことを知っているようだ
術師「今日はゆっくり休みましょう」
メイド剣士「じゃあ、ご飯にしましょうか」
犬娘「テントできたよ〜!」
メイド剣士「お疲れ様です魔王様」
メイド剣士は犬娘の尻尾にハグする
女拳士「いまだ、犬耳ゲット!」
術師「あ、あぶれましたわ」
犬娘「くすぐったい〜!」
女拳士「なんだか癒し効果が……」
メイド剣士「もふもふ依存症に注意ですもふもふ」
術師「依存症患者が……」
…………
朝、犬娘と女拳士は食料確保のために釣りに出かけた
女拳士「アタシも旅の途中で色々釣りはやったけど、現地調達の餌で釣るのが一番だよ」
犬娘「餌はどこにあるかな〜?」
女拳士「岩にへばりついてる貝類もいいんだけど、汽水域に住むゴカイの類を使うのが簡単かな」
犬娘「竿や糸は術師さんが買ってくれてるよ!」
女拳士「あの人準備いいなあ、良いとこのお嬢さんなのにしっかりしてる」
犬娘「すっごく助かるよ!」
女拳士「準備と言えばこの箱、青い石のお陰で魚が腐りにくいらしい」
犬娘「すごいね〜、錬金術って」
女拳士「錬金術用のテントも用意したし、こういうのもっと作ってくれるかもね」
89 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:10:42.80 ID:DXeFWBlAO
犬娘「輸出したら儲かるね!」
女拳士「うん、一つ何万もするなんてほとんど貴金属だよ、錬金術とはよく言ったもんだ」
犬娘「あ、あそこ川あるよ!」
女拳士「そう、川の河口は汽水域になってて、潮が引けば餌がたくさん取れる」
女拳士「とりあえずこの袋に一杯で良いよ」
女拳士は小さな皮袋を取り出すと、水の中に入っていく
女拳士「冷たい、気持ちいい」
犬娘「日差しがキツいから涼しい〜」
女拳士「この木ベラを使って掘るといいよ、はい」
犬娘「ありがとー」
女拳士「あ、魔王様って虫大丈夫?」
犬娘「うん!」
女拳士「こんなんだけど」
女拳士は足元を掘ると、足が沢山あるムカデを溶かしたような生き物を掘り出した
黒い牙がうにうに飛び出す様が実にグロテスクだ
犬娘「昔お父さんと釣りに行った時使ったよ!」
女拳士「流石野生児だね、メイド剣士ちゃんとか泣き出しそうだけど」
犬娘「あはは」
女拳士「さあ、一杯取ったら釣りにも行かないとね」
犬娘「うん!」
…………
メイド剣士「む、ムカデ〜!」
術師「落ち着きなさいな、ムカデなんて森には沢山いますよ?」
メイド剣士「お姫様の癖に〜!」
90 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:13:51.02 ID:DXeFWBlAO
なんとも動じない術師、メイド剣士はますます暴れる
メイド剣士「死ね、ムカデは死ね!」
今まで使ったことのない真空魔法まで放ち始めた
術師「あなた追い詰めたら強くなるタイプですわね」
メイド剣士「笑ってないでムカデ撃破してください!」
術師「もうすぐ木枠を作れるので我慢してくださいな」
メイド剣士「もうっ、ムカデ死ね!」
術師は木枠を作るとそれを海に運び出した
…………
術師「落ち着きましたか?」
メイド剣士「潮風で」
メイド剣士「気持ちいい……」
術師「塩作りを始めますわ」
メイド剣士「海水を汲んでこの木枠に貯めるんですね」
術師「いい塩が取れるようなら塩田を作ります」
メイド剣士は木の骨に皮を張ったバケツで海水を汲み上げた
術師「まあなかなか出来るものでは無いです」
術師「火でさっさと気化させても良いんですけどね」
メイド剣士「とりあえず色々作り方を試してみるんですね」
術師「そうですわ、薪を使うのもコストがかかりますからね」
メイド剣士「なるほど」
術師「まあのんびり……、あら、魔王様」
メイド剣士「魔王様〜」
犬娘「メイド剣士ちゃん、ゴカイ取ったよ〜!」
91 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:16:03.59 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「ゴカイってなんです、きゃ〜〜〜〜〜〜っっ!!」
犬娘「釣り餌だよ、風で切り刻んじゃだめだよ!」
女拳士「メイドちゃんが進化してる」
術師「森の中でムカデが出まして、はずみで覚えたようですわ」
女拳士「人間どこで成長するか分からないねえ」
犬娘「つ、釣りにいこ、ゴカイ無くなっちゃう!」
術師「誤解が無くなると困るとは」
メイド剣士「別に上手くないです!」
女拳士「じゃあデッカいの釣ってくるわ」
メイド剣士「私今日お魚食べない!」
術師「じゃあ、塩もすぐには出来ませんから貝を拾いましょう」
メイド剣士「あ、貝食べたいです」
術師「網とか使えたら良いんですけど、そのうち編みますか」
メイド剣士「術師さん万能」
術師「ありがとうございます」
メイド剣士「魔力が無いと戦闘の役には立ちませんが」
術師「まだそれひっぱりますか!」
…………
女拳士「さて、何が釣れるかな?」
犬娘「竿〜道糸〜浮き〜錘〜ハリス〜針〜餌〜♪」
女拳士「なんだいその歌、楽しそうだね」
犬娘「釣りセットの歌?」
女拳士「魔王様は愉快だね」
92 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:18:57.86 ID:DXeFWBlAO
犬娘「釣っれるっかな?」
女拳士「釣れなかったら素潜りしてくるよ」
犬娘「タフ〜!」
女拳士「魔王様は塩がつくとベトベトになりそうだね」
犬娘「泳ぐの得意だよ〜、犬掻きは専門家だよ〜」
女拳士「確かに!」
犬娘「あ、なんか来た!」
女拳士「あ、無理に引っ張っちゃ駄目だよ」
犬娘「おっきい〜強い〜」
女拳士「アイナメかカサゴかメバルか、そのあたりかな」
犬娘「釣れたっ」
女拳士「これはメバルだね、この仕掛けで釣れるのは珍しいかも」
犬娘「そうなの?」
女拳士「こいつは美味いよ」
犬娘「やった」
女拳士「お、こっちも……、ハゼだね」
犬娘「美味しい?」
女拳士「天ぷらにすると美味しいよ」
犬娘「やったね」
女拳士「ここ、いっぱい魚いるみたいだね、人があまり来ないからか……」
犬娘「貿易できる?」
女拳士「網を使って漁ができたら貿易も出来そうだよ」
女拳士「こんな魚だけだと一日で二千匹は取れないと厳しいかもね」
犬娘「厳しいね〜」
犬娘「でも私、難しいことできない分頑張る!」
女拳士「いくらでも頼ってね、魔王様!」
犬娘「ありがとう!」
犬娘「あ、また来た〜!」
術師「ずいぶん遅くまで釣ってたんですね」
女拳士「いや〜、塩でベトベトになったから川の上流まで水浴びに行ってた」
メイド剣士「お魚これですか、うわっ」
術師「まあ、ずいぶん色々釣れましたね」
女拳士「浅めで釣ってたら小物がたくさん釣れた」
術師「これならもう少し太い糸を使って大物も狙いたいですわね」
女拳士「釣り詳しいの?」
術師「西の森は海も近いので狼主様と何度か……」
女拳士「ふかふかちゃん魚食べるんだ」
術師「好物みたいですわ」
女拳士「海老でも取ってイカや石鯛を狙うのもいいかなあ」
術師「面白そうですわ、ハマミナトに行ったら仕入れておきます」
女拳士「そのうち造船や漁業も視野に入れるかね」
術師「参考にしておきます」
女拳士「とりあえずこれで一日は食えるし、明日は森から湖まで見てきたいけど」
術師「頼りになりますわね、ではそうしましょう、牧草地やチュウザンへの道もできれば調べておきたいです」
メイド剣士「ううっ、ムカデさえいなければ……」
術師「みんなで行きますわよ」
メイド剣士「うえぇ……」
犬娘「ムカデいたら踏むよ!」
メイド剣士「あ、ありがとうございます」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:24:36.24 ID:DXeFWBlAO
術師「配下のためにムカデを踏む魔王様……」
女拳士「なんかかっこいいぞ」
メイド剣士「まずはお魚と貝、料理しましょうか」
術師「手伝いますわ」
犬娘「私もっ」
その後、貝のパエリアや魚のソテーを大量に作った
ほとんど現地の獲物で一食作ることができた事で大きなスタートの一歩を踏み出せたと言えよう
…………
術師「さて、今日は探索ですわね」
メイド剣士「一応内政の仕事かと思い食料残量でおおよその宿泊可能日数を計算しましたが、まだ十日は大丈夫です」
女拳士「内政?」
術師「彼女はヤマナミで内政に従事していたので、その関係の仕事をお願いすることにしました」
女拳士「へえ、誰にでも特技が有るもんだねえ」
メイド剣士「喧嘩売ってますか?」
術師「あなたは毎日売ってるでしょ」
メイド剣士「それもそうです」
女拳士「湖かあ、どんなとこかなあ」
犬娘「故郷に池や沼はあったよ」
女拳士「東大陸に渡った最初にデッカい湖あったけど、塩湖だったから海みたいな環境だったな〜」
女拳士「淡水の湖は泥臭いとこで水も濁ってるとこが多くてさ、あ、すげー綺麗なとこもあったな」
術師「旅慣れてますわね」
95 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:26:10.86 ID:DXeFWBlAO
女拳士「まあ武者修行の旅だし、たいした知識は無いけどね〜」
犬娘「私も……今まで旅してきたよ」
メイド剣士「……魔王様……」
術師「その旅もここで終わりですわ」
術師「これからはここがあなたの故郷ですからね」
犬娘「……うん!」
メイド剣士「湖、見えてきましたよ!」
ーーチュウザンの滝、チュウザン湖ーー
やがて四人がたどり着いたのは、青く澄んだクリアウォーターの湖だった
透き通った水の中を泳ぐ魚はあっと言う間に逃げていく
ここからチュウザンに行くのも、北浜に帰るのも、自由だ
術師「ふむ」
メイド剣士「綺麗な水ですね……、泳いでる魚が見える」
犬娘「釣りしたら気持ちよさそう」
女拳士「おお、ここならナマズや鯉が釣れそうだね」
犬娘「虹鱒もいるかも!」
女拳士「ここまで三時間ほどしかかからなかったね、いつでも釣りにこれる距離だよ」
術師「ふむ」
メイド剣士「途中の森でも何か取れませんかね?」
女拳士「キノコはいくつかあったね」
犬娘「野草もたくさんあったよ!」
術師「ふむ」
96 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:28:31.78 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「さっきからなんですかふむふむと!」
術師「生計を立ててました」
メイド剣士「生計?」
術師「意外と私たちが生きられるために必要な土地は、広大ですわ」
術師「例えば油を取る菜種、小麦、香辛料を取る畑、たった四人が生きるためには、それはそれは広大な土地が必要です」
術師「それらをこれから耕し、収穫に至るまで、私達はとても生きていけませんわ」
メイド剣士「うっ、確かに」
術師「でもこのオリファン開発記録においては、ほとんど食糧危機に見舞われていません」
メイド剣士「何故ですか?」
術師「貿易で成功を収めたからです」
術師「なにより大きかったのは大魔法使い様の作った『竜の秘薬』」
メイド剣士「あれは、ヤマナミ内務官の間でも禁忌です」
メイド剣士「あんな超知識、超物質、超研究の産物、実際現在は完全に技術が失われた秘薬、経済的に見ても再現が難しいです、絶対頼っちゃ駄目な物なんです」
術師「私も研究していましたから知ってますわ」
術師「それに変わるもの、私作れるんです」
メイド剣士「はあっ!?」
術師「『石』ですわ」
女拳士「!!」
メイド剣士「な、なるほど確かに」
97 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:30:53.06 ID:DXeFWBlAO
女拳士「あれも超レアアイテムだよな?」
術師「もちろんですわ、材料はこのあたりにあるか、ないかも分かりません」
メイド剣士「そんなあやふやな」
術師「私達の拠点近くにある山は火山ですよね?」
メイド剣士「地図上はそうなってます」
術師「火山には必要な鉱石があります」
女拳士「おおっ、じゃあまずあの山に登るべきか」
術師「そしてこの湖に、水神の石があれば白石が作れます」
メイド剣士「一個二十万のあれですか!?」
犬娘「どんな石か分かったら私探すよ!」
術師「それは……」
魚娘「ざっぱーん!!」
貝殻姫「ちょっ、魚娘ちゃん、見つかっちゃうよ!」
突然湖から、魚人が二人飛び出してきた
術師「はうあっ」
犬娘「わあっ」
メイド剣士「なんですか?!」
女拳士「ぎょぎょぎょぎょぎょ、魚人だあああああ」
魚娘「人魚ですわ」
どう見ても魚人である
術師「人魚って美しい肌の女性ですわよね、鱗だらけの鎧みたいな顔ではないですわよね」
魚娘「人魚だもん!」
貝殻姫「あなたは魚人です」
魚娘「がーん!」
98 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:32:25.37 ID:DXeFWBlAO
一人は完全な魚人である
顔まで鱗に覆われている
しかしもう一人はとても美しい、絵本の中から出てきたような人魚だ
犬娘「お姉ちゃん綺麗だね!」
貝殻姫「ナンパですかっ!」
魚娘「ぶぶぶぶぶぶ無礼なあっ、こちらにおわすお方をどなたと心得る!」
メイド剣士「知りません」
術師「知りませんね」
女拳士「知らない」
犬娘「人魚さん?」
魚娘「正解、あなた正解!」
犬娘「やった」
犬娘は可愛くガッツポーズした
貝殻姫「あなたが私を好きだと言うなら貝殻姫は泡となる覚悟ですわ!」
魚娘「ちょっ、姫様、あれよく見たらメスです!」
貝殻姫「ええ〜っ!!」
貝殻姫「神様ヒドい」
魚娘「ああっ、姫様が過呼吸にっ!」
術師「いったいなんなんですか、この魚たちは」
メイド剣士「さあ?」
魚娘「失礼、我らはカイオウ国の者です」
術師「カイオウ国、この大陸最古の国ですわね」
魚娘「最古にして最高、最古にして最高!!」
女拳士「はいはい、最古にして最高な」
女拳士はこの手の輩が面倒くさいことを知っているようだ
犬娘「魔王になるっ!」
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