犬娘「魔王になるっ!」
Part7
Part1<<
Part3
Part4
Part5
Part6
Part7
Part8
Part9
Part10
Part11
>>Part28
評価する!(1103)
「いかやき」さん作品一覧に戻る
評価する!(1103)
「いかやき」さん作品一覧に戻る
76 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:31:15.24 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「農地が少し北にあるようですね、街道通しても怒られないかな?」
術師「交渉もしないと駄目ですわね……」
メイド剣士「そこはお姫様にお願いします」
術師「何かトゲがありますわね」
術師「中央通りには商店が立ち並んでますね」
メイド剣士「買い出しするにしても相当な量になりますよね」
術師「最低でも現地で一週間暮らせる量は必要でしょう」
術師「まず牛を買って牛車を作りましょう」
術師「あと食料を確保するためにいくつか道具を買い込みます」
メイド剣士「とりあえず準備するのはそれくらいですか?」
術師「あと工具、それと、石があれば買いたいですわ」
メイド剣士「石?」
術師「錬金術生成物の一つで、魔法を自動発動してくれる大変便利な道具なんですよ」
メイド剣士「あ、王室にありました、空気を冷やしたり食べ物を凍らしたりできるんですよね」
術師「非常に高価な物だし術師の腕で値打ちが変わるものなので……、研究室があれば私が作るんですが」
メイド剣士「術師さんって錬金術もできるんですか?」
術師「私の職業は最初から錬金『術師』ですわよ」
メイド剣士「魔術師だと思ってました」
77 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:34:59.25 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「それで金属を操る魔法が主軸なんですか」
術師「そう言うことですわ」
メイド剣士「じゃあまず拠点と畑作り、研究室作りあたりから始めてみましょうか」
術師「ふふっ、ワクワクしてきましたわ!」
メイド剣士「戦闘以外でも盛り上がるんですね、いいですね単純で」
術師(トゲのある言い方になれてきましたわ)
術師「では、そろそろ二人の食欲を止めに帰りますか」
メイド剣士「そうですね、宿が潰れないうちに」
二人は犬娘たちと合流すると翌日の予定を決め、ゆっくりと旅の疲れを癒すことにした
…………
犬娘「じゃあ、お城行こう!」
術師「はい、その後商店街をまわり、午後には出発しますわ」
女拳士「ずいぶん急ぐんだな」
メイド剣士「やることは多いので、少しでも早く目的地に着きたいですからね」
ーーハマミナト王城ーー
ハマミナト王「魔王様の使いの皆さん、ようこそ〜!」
女拳士「陽気な爺さんだな」
メイド剣士「まあまあ、お人好しそうで良いじゃないですか」
術師「聞こえますわよ」
ハマミナト王「まあ事実じゃし」
ハマミナト王は涙目である
銀騎士「無礼であろう」
78 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:37:37.75 ID:DXeFWBlAO
横で聞いていた銀の鎧の騎士は厳格な人物のようだ
銀騎士「やはり魔王などといつまでも付き合うべきではないな」
術師「申し訳有りませんわ」
術師「書状に有るとおり、我々は北の土地の開拓を委任されております」
術師「よろしくご理解とご協力をお願いしますわ」
ハマミナト王「おっけー、いっぱい協力しちゃう!」
術師「有り難く存じます、まずは街道整備が必要と考えていますので、お力をお貸しいただければ有り難いですわ」
ハマミナト王「はいはい、魔女娘ちゃ〜ん」
魔女娘「はいよ、なんか今日は賑やかだね」
ハマミナト王「この子魔女娘ちゃん、転送魔法使えるから外交とか色々やってくれてるの、よろしくね!」
メイド剣士「貧乳ですね」
魔女娘「貧乳はどうでもいいだろ! あんたもぺちゃんこじゃないか!!」
ハマミナト王「まあまあまだ魔女娘ちゃん十八だし成長するよ〜!」
銀騎士「……全く、頭が痛い」
銀騎士「失礼する」
銀騎士はイライラとした雰囲気を隠そうとせずに席を蹴った
術師「転送魔法は便利ですわね、ご教授頂けませんか?」
魔女娘「ああ、あんたらの拠点に転送魔法陣を引いてもらいたい」
79 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:41:30.19 ID:DXeFWBlAO
魔女娘「大規模輸送には使えないけど馬車一つくらいは運べるからね」
術師「では少し時間をいただいて魔法陣の敷き方だけでも教わって行きたいと思います」
ハマミナト王「キミらの国が発展すれば島全体の経済が活性化するから、ぜひ頑張ってね!」
術師「有り難う御座います」
術師「魔女娘さん、このあたりにいい錬金術のお店は有りませんか?」
魔女娘「あるけど、露店だし今日店出てるか分かんないよ」
魔女娘「ほとんど誰も知らないと思うけどはっきり言って一流の石使いさ」
術師「石使いなら知り合いがいますわ」
魔女娘「確か出身はタイガンだったかな」
術師「あら」
…………
石使い「せんぱい」
術師「石使いちゃん、お久しぶり」
犬娘「私と同じくらい?」
メイド剣士「見た目的には」
術師「一応彼女は一個下なのでお二人より年上ですわよ」
犬娘「ええ〜っ小さい!」
石使い「…………」
メイド剣士「声も小さいですね」
術師「引っ込み思案だけど腕は良いんですよ」
石使い「ありがとう、せんぱい」
石使いの少女は術師にほめられると顔を真っ赤に染めた
80 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:44:49.28 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「そういう関係でしたか、お下品」
術師「そういう関係ではないですわね、お下品言いたかっただけでしょ」
メイド剣士「術師さんをからかいたかっただけです」
女拳士「んね、この石ころって何に使うの?」
石使い「赤い石は焜炉用に火力調整してある……」
石使い「これはやすい、三万」
メイド剣士「たかっ!」
術師「石は高いものですわ、彼女の石は品質も高いし、すごくお買い得な値段ですわよ」
メイド剣士「王家に入るまで石なんか見たことありませんでしたよ」
術師「まあ昔ながらの生活をする分には簡単な魔法が使えたら十分ですからね」
石使い「せんぱい、白石あるよ」
術師「あら、それは助かりますわ」
石使い「これちょっと高い……、20万」
女拳士「たっけー!」
術師「いただきますわ」
女拳士「うそーっ!」
術師「あと、青石を一つ、赤石も、黄石はいくらですか?」
石使い「一万でいい、せんぱい価格」
術師「有り難いですわ」
メイド剣士「そんなに良いものなんですか?」
術師「本来自動魔法発動アイテムなんて値段をつけられないくらいレアなんですよ?」
81 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:47:48.69 ID:DXeFWBlAO
術師「あ、あと錬金器具基本セットはありますか?」
石使い「置いてる、十五万でいい」
術師「破格ですわね!」
石使い「せんぱいの石を卸してくれるなら、安い」
術師「ちゃっかりしてますわ」
女拳士「あのさ、アタシ金銭感覚おかしくなってきた」
メイド剣士「同感です」
犬娘「……ぐう……」
メイド剣士「魔王様寝ちゃった」
魔女娘「買い物終わったかい?」
術師「だいたい終わりましたわ」
魔女娘「じゃあ牛車見てこよう、あとこれ、転送魔法魔導書とあんたたちの国用の転送パス」
術師「仕事ができますわね、魔女娘さん」
女拳士「アタシらなんか食べてきていい?」
術師「まだ少しかかりそうですから構いませんわよ」
犬娘「やった」
メイド剣士「ちゃんとセーブしてくださいよ、食べ過ぎ禁止です」
犬娘「はあい」
その後三人は街道整備の基本方針を決め、食料や必要機材を買い揃えた
術師「思ったより時間かかりましたわね」
メイド剣士「今日の出発は難しいでしょうか?」
魔女娘「まあゆっくりしていきなよ、良い国だよ」
術師「そうしますわ」
82 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:49:51.99 ID:DXeFWBlAO
結局四人はハマミナトにもう一泊することにした
翌朝ーー
犬娘「さあ、私達の国に行くよ〜っ!」
術師「そうですわね」
メイド剣士「なんだか術師さん具合悪そうですね、そろそろ死にますか?」
術師「ちょっとスケジュール詰めすぎたかも……」
女拳士「無理すんなよ、おぶってもいいからさ」
メイド剣士(姉御肌……)
術師「大丈夫ですわ、牛車ですし」
女拳士「おお、この牛、うちのかあ」
術師「べこちゃんですわ」
べこ「ンモオ〜」
犬娘「可愛い!」
メイド剣士「大きくて怖いです」
術師「後々、乳牛や羊なんかも飼わないといけませんし、動物には慣れてくださいね」
メイド剣士「はい、あ、鶏だ」
術師「新鮮な卵を食べられますわよ」
女拳士「おっほ、そりゃいいや!」
犬娘「私餌やりしたい!」
術師「まあまあ、向こうに着いたら沢山仕事してもらいますわ」
犬娘「じゃあ、新天地にしゅっぱあ〜っつ!」
女拳士「お〜っ!」
メイド剣士「お〜っ!」
術師「お〜っですわ」
未整備の山道はもちろん輸送向けではなく、牛車は揺れに揺れた
術師「…………うぐっ」
メイド剣士「これはキツいですね……」
83 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:52:36.94 ID:DXeFWBlAO
女拳士「べこの誘導はアタシがやるから景色でも見て休んでなよ」
犬娘「やっほー!」
犬娘は牛車を降りて走り回っている
メイド剣士「なんというタフネス……」
術師「私も少し歩きますわ」
メイド剣士「まあ、無理はしないでくださいね」
術師「はい」
そう言うと術師は空中をふよふよと歩きだした
メイド剣士「……器用だな〜」
女拳士「この丘の上に着いたら一泊しよう、まだいくつか越えないと駄目みたいだからね」
術師「見てきますわ」
術師は一瞬で高度を上げた
メイド剣士「術師さんの移動は基礎的な転送魔法ですよね」
メイド剣士「あれ、私も使えないかなぁ」
やがて、丘の上に着くと、牧草地帯が見えた
術師「放牧し放題ですわ」
メイド剣士「家畜を沢山飼えますね」
犬娘「楽しみ!」
犬娘はべこちゃんに乗って遊びだした
べこ「ンモオォ〜」
犬娘「あははっ!」
術師「……」
術師「そう言えば魔王様は魔物の集落で暮らしてたんですわね」
メイド剣士「そっか、動物の相手の方が落ち着くのかな」
84 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:55:47.61 ID:DXeFWBlAO
術師「今まで都会ばかりまわってましたし、向こうに着いたらしばらくは落ち着いた生活をさせてあげたいですわね」
メイド剣士「そのためにも私はしっかり働かないと」
術師「期待してますわ」
女拳士「アタシは何ができるかなあ」
術師「開拓ですわ」
メイド剣士「開拓ですね」
女拳士「しばらくは斧を振るか」
術師「トレーニングもしたいですわね」
メイド剣士「打倒、コトー王様、ですね!」
女拳士「ハードルたっけーぞ、アタシの知ってる限りダメージを与えた奴もいないから」
術師「えっ、係員さんも?」
女拳士「全く歯が立ってなかったよ、アレだ、闇の衣って奴」
メイド剣士「闇の衣って、ヤマナミに封印してあるはずじゃ……」
女拳士「新しく自分で作ったらしいよ、コトー王様以外には誰も作れないだろうけどね」
術師「それじゃ伝説の勇者しか勝てませんね」
メイド剣士「魔王様なら勝てるかな?」
女拳士「ああ、魔王様ならいけるかも」
術師「でも結界も使えるんですよね、無理では」
メイド剣士「うわ、無理だ」
女拳士「ハンパないなコトー王様」
85 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:58:22.07 ID:DXeFWBlAO
術師「結界を破りつつ闇の衣を破壊ってどんな芸当なんでしょうか」
メイド剣士「ちょっと考えも浮かびませんね」
女拳士「さて、そろそろ寝ようぜ、魔王様も寝ちゃったし」
術師「ほんと、ふわぁ、……疲れましたわ」
メイド剣士「見張りしてます」
女拳士「ああ、じゃあ月が真上に来たら起こしてくれ」
メイド剣士「はい」
…………
二日目
術師「だいぶ丘を越えましたね」
メイド剣士「これ整地するの大変じゃないですか?」
女拳士「う〜ん、アタシが山を砕いて谷間を埋めていっても何年かかかるかな」
術師「できると思えるのが凄まじいですわ」
メイド剣士「ハサミと脳筋は使いようですね」
女拳士「ま、パワーファイターなんかそんなもんだよね」
自嘲する女拳士
術師「まあ一人でやらせるようなことはしませんわ」
メイド剣士「私にパワーを求めないでくださいね」
術師「非力ですものね」
メイド剣士「非力ではないです!」
女拳士(可愛いな)
術師(可愛いですわね)
その日も暴走する魔物にも出会うことなく、夜には北浜手前の山麓に辿り着いた
86 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:03:09.30 ID:DXeFWBlAO
術師「かなり広い盆地ですわね」
メイド剣士「すぐそこまで牧草地帯が広がってましたよ」
術師「牧草地帯を抜けてチュウザンに行くルートがあるかも知れませんわね」
メイド剣士「あっちの方がなだらかだし相当に楽そうですね」
術師「良い立地を頂けましたわ」
女拳士「街をでかくできるかはアタシら次第かな」
犬娘「頑張るっ!」
メイド剣士「まずは難しい話で眠らないようにしてください」
犬娘「あうぅ……」
術師「とにかくここにテントを張りましょう」
女拳士「じゃあ適当に食いもん作っててよ、アタシと魔王様でやっとくから」
メイド剣士「じゃあお願いします」
術師「べこちゃんの簡易小屋と、錬金用にもう一つテントをお願いします」
女拳士「あいよ」
すぐに犬娘たち二人はテントの骨を組み、天幕を張り、杭を打ち付けていく
術師たちは持ってきたハムなどを炒めたり干魚を炙ったりして夕食を作っていく
術師「うん、野菜作りしないと駄目ですわね」
メイド剣士「ちょうど夏野菜が美味しいシーズンが近づいてますよ」
術師「あの二人にこの盆地を耕してもらうとして、定住場所がずっとテントってわけには行きませんからね」
87 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:06:45.81 ID:DXeFWBlAO
術師「城を建てる土地を取って、まずは小屋を建てましょう」
メイド剣士「まず住居と食料の確保ですね」
術師「ここは海の物も山の物も畑の物も取れる理想的な立地ですわ」
メイド剣士「でもあの二人の食欲を賄うためには何か特産品を用意するとかしないと駄目かも知れませんね」
術師「二点ほど考えています」
術師「私達が取引するのは最終的にはチュウザンになります」
メイド剣士「そうなんですか?」
術師「チュウザンやカイオウとの貿易経路の確保がこの開拓の目的だと聞いたはずですわ」
メイド剣士「確かに」
術師「そこでチュウザンで不足するだろう塩を作ります」
メイド剣士「なるほど」
術師「もう一つは海産物です」
術師「貝を干したり魚を干したりまたは転送魔法で生のまま輸送することも出来るでしょう」
メイド剣士「転送となるとどうしても量が限られてきますね」
術師「そこで、中心に塩と干物を作ります」
メイド剣士「漁師さんも雇わないとなあ」
術師「まずはこの『オリファン開発記録』を参考に、人が住める宿舎を作ります」
メイド剣士「国を作り動かすのは人ですからね」
メイド剣士「農地が少し北にあるようですね、街道通しても怒られないかな?」
術師「交渉もしないと駄目ですわね……」
メイド剣士「そこはお姫様にお願いします」
術師「何かトゲがありますわね」
術師「中央通りには商店が立ち並んでますね」
メイド剣士「買い出しするにしても相当な量になりますよね」
術師「最低でも現地で一週間暮らせる量は必要でしょう」
術師「まず牛を買って牛車を作りましょう」
術師「あと食料を確保するためにいくつか道具を買い込みます」
メイド剣士「とりあえず準備するのはそれくらいですか?」
術師「あと工具、それと、石があれば買いたいですわ」
メイド剣士「石?」
術師「錬金術生成物の一つで、魔法を自動発動してくれる大変便利な道具なんですよ」
メイド剣士「あ、王室にありました、空気を冷やしたり食べ物を凍らしたりできるんですよね」
術師「非常に高価な物だし術師の腕で値打ちが変わるものなので……、研究室があれば私が作るんですが」
メイド剣士「術師さんって錬金術もできるんですか?」
術師「私の職業は最初から錬金『術師』ですわよ」
メイド剣士「魔術師だと思ってました」
77 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:34:59.25 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「それで金属を操る魔法が主軸なんですか」
術師「そう言うことですわ」
メイド剣士「じゃあまず拠点と畑作り、研究室作りあたりから始めてみましょうか」
術師「ふふっ、ワクワクしてきましたわ!」
メイド剣士「戦闘以外でも盛り上がるんですね、いいですね単純で」
術師(トゲのある言い方になれてきましたわ)
術師「では、そろそろ二人の食欲を止めに帰りますか」
メイド剣士「そうですね、宿が潰れないうちに」
二人は犬娘たちと合流すると翌日の予定を決め、ゆっくりと旅の疲れを癒すことにした
…………
犬娘「じゃあ、お城行こう!」
術師「はい、その後商店街をまわり、午後には出発しますわ」
女拳士「ずいぶん急ぐんだな」
メイド剣士「やることは多いので、少しでも早く目的地に着きたいですからね」
ーーハマミナト王城ーー
ハマミナト王「魔王様の使いの皆さん、ようこそ〜!」
女拳士「陽気な爺さんだな」
メイド剣士「まあまあ、お人好しそうで良いじゃないですか」
術師「聞こえますわよ」
ハマミナト王「まあ事実じゃし」
ハマミナト王は涙目である
銀騎士「無礼であろう」
78 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:37:37.75 ID:DXeFWBlAO
横で聞いていた銀の鎧の騎士は厳格な人物のようだ
銀騎士「やはり魔王などといつまでも付き合うべきではないな」
術師「申し訳有りませんわ」
術師「書状に有るとおり、我々は北の土地の開拓を委任されております」
術師「よろしくご理解とご協力をお願いしますわ」
ハマミナト王「おっけー、いっぱい協力しちゃう!」
術師「有り難く存じます、まずは街道整備が必要と考えていますので、お力をお貸しいただければ有り難いですわ」
ハマミナト王「はいはい、魔女娘ちゃ〜ん」
魔女娘「はいよ、なんか今日は賑やかだね」
ハマミナト王「この子魔女娘ちゃん、転送魔法使えるから外交とか色々やってくれてるの、よろしくね!」
メイド剣士「貧乳ですね」
魔女娘「貧乳はどうでもいいだろ! あんたもぺちゃんこじゃないか!!」
ハマミナト王「まあまあまだ魔女娘ちゃん十八だし成長するよ〜!」
銀騎士「……全く、頭が痛い」
銀騎士「失礼する」
銀騎士はイライラとした雰囲気を隠そうとせずに席を蹴った
術師「転送魔法は便利ですわね、ご教授頂けませんか?」
魔女娘「ああ、あんたらの拠点に転送魔法陣を引いてもらいたい」
79 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:41:30.19 ID:DXeFWBlAO
魔女娘「大規模輸送には使えないけど馬車一つくらいは運べるからね」
術師「では少し時間をいただいて魔法陣の敷き方だけでも教わって行きたいと思います」
ハマミナト王「キミらの国が発展すれば島全体の経済が活性化するから、ぜひ頑張ってね!」
術師「有り難う御座います」
術師「魔女娘さん、このあたりにいい錬金術のお店は有りませんか?」
魔女娘「あるけど、露店だし今日店出てるか分かんないよ」
魔女娘「ほとんど誰も知らないと思うけどはっきり言って一流の石使いさ」
術師「石使いなら知り合いがいますわ」
魔女娘「確か出身はタイガンだったかな」
術師「あら」
…………
石使い「せんぱい」
術師「石使いちゃん、お久しぶり」
犬娘「私と同じくらい?」
メイド剣士「見た目的には」
術師「一応彼女は一個下なのでお二人より年上ですわよ」
犬娘「ええ〜っ小さい!」
石使い「…………」
メイド剣士「声も小さいですね」
術師「引っ込み思案だけど腕は良いんですよ」
石使い「ありがとう、せんぱい」
石使いの少女は術師にほめられると顔を真っ赤に染めた
80 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:44:49.28 ID:DXeFWBlAO
メイド剣士「そういう関係でしたか、お下品」
術師「そういう関係ではないですわね、お下品言いたかっただけでしょ」
メイド剣士「術師さんをからかいたかっただけです」
女拳士「んね、この石ころって何に使うの?」
石使い「赤い石は焜炉用に火力調整してある……」
石使い「これはやすい、三万」
メイド剣士「たかっ!」
術師「石は高いものですわ、彼女の石は品質も高いし、すごくお買い得な値段ですわよ」
メイド剣士「王家に入るまで石なんか見たことありませんでしたよ」
術師「まあ昔ながらの生活をする分には簡単な魔法が使えたら十分ですからね」
石使い「せんぱい、白石あるよ」
術師「あら、それは助かりますわ」
石使い「これちょっと高い……、20万」
女拳士「たっけー!」
術師「いただきますわ」
女拳士「うそーっ!」
術師「あと、青石を一つ、赤石も、黄石はいくらですか?」
石使い「一万でいい、せんぱい価格」
術師「有り難いですわ」
メイド剣士「そんなに良いものなんですか?」
術師「本来自動魔法発動アイテムなんて値段をつけられないくらいレアなんですよ?」
術師「あ、あと錬金器具基本セットはありますか?」
石使い「置いてる、十五万でいい」
術師「破格ですわね!」
石使い「せんぱいの石を卸してくれるなら、安い」
術師「ちゃっかりしてますわ」
女拳士「あのさ、アタシ金銭感覚おかしくなってきた」
メイド剣士「同感です」
犬娘「……ぐう……」
メイド剣士「魔王様寝ちゃった」
魔女娘「買い物終わったかい?」
術師「だいたい終わりましたわ」
魔女娘「じゃあ牛車見てこよう、あとこれ、転送魔法魔導書とあんたたちの国用の転送パス」
術師「仕事ができますわね、魔女娘さん」
女拳士「アタシらなんか食べてきていい?」
術師「まだ少しかかりそうですから構いませんわよ」
犬娘「やった」
メイド剣士「ちゃんとセーブしてくださいよ、食べ過ぎ禁止です」
犬娘「はあい」
その後三人は街道整備の基本方針を決め、食料や必要機材を買い揃えた
術師「思ったより時間かかりましたわね」
メイド剣士「今日の出発は難しいでしょうか?」
魔女娘「まあゆっくりしていきなよ、良い国だよ」
術師「そうしますわ」
82 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:49:51.99 ID:DXeFWBlAO
結局四人はハマミナトにもう一泊することにした
翌朝ーー
犬娘「さあ、私達の国に行くよ〜っ!」
術師「そうですわね」
メイド剣士「なんだか術師さん具合悪そうですね、そろそろ死にますか?」
術師「ちょっとスケジュール詰めすぎたかも……」
女拳士「無理すんなよ、おぶってもいいからさ」
メイド剣士(姉御肌……)
術師「大丈夫ですわ、牛車ですし」
女拳士「おお、この牛、うちのかあ」
術師「べこちゃんですわ」
べこ「ンモオ〜」
犬娘「可愛い!」
メイド剣士「大きくて怖いです」
術師「後々、乳牛や羊なんかも飼わないといけませんし、動物には慣れてくださいね」
メイド剣士「はい、あ、鶏だ」
術師「新鮮な卵を食べられますわよ」
女拳士「おっほ、そりゃいいや!」
犬娘「私餌やりしたい!」
術師「まあまあ、向こうに着いたら沢山仕事してもらいますわ」
犬娘「じゃあ、新天地にしゅっぱあ〜っつ!」
女拳士「お〜っ!」
メイド剣士「お〜っ!」
術師「お〜っですわ」
未整備の山道はもちろん輸送向けではなく、牛車は揺れに揺れた
術師「…………うぐっ」
メイド剣士「これはキツいですね……」
83 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:52:36.94 ID:DXeFWBlAO
女拳士「べこの誘導はアタシがやるから景色でも見て休んでなよ」
犬娘「やっほー!」
犬娘は牛車を降りて走り回っている
メイド剣士「なんというタフネス……」
術師「私も少し歩きますわ」
メイド剣士「まあ、無理はしないでくださいね」
術師「はい」
そう言うと術師は空中をふよふよと歩きだした
メイド剣士「……器用だな〜」
女拳士「この丘の上に着いたら一泊しよう、まだいくつか越えないと駄目みたいだからね」
術師「見てきますわ」
術師は一瞬で高度を上げた
メイド剣士「術師さんの移動は基礎的な転送魔法ですよね」
メイド剣士「あれ、私も使えないかなぁ」
やがて、丘の上に着くと、牧草地帯が見えた
術師「放牧し放題ですわ」
メイド剣士「家畜を沢山飼えますね」
犬娘「楽しみ!」
犬娘はべこちゃんに乗って遊びだした
べこ「ンモオォ〜」
犬娘「あははっ!」
術師「……」
術師「そう言えば魔王様は魔物の集落で暮らしてたんですわね」
メイド剣士「そっか、動物の相手の方が落ち着くのかな」
84 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:55:47.61 ID:DXeFWBlAO
術師「今まで都会ばかりまわってましたし、向こうに着いたらしばらくは落ち着いた生活をさせてあげたいですわね」
メイド剣士「そのためにも私はしっかり働かないと」
術師「期待してますわ」
女拳士「アタシは何ができるかなあ」
術師「開拓ですわ」
メイド剣士「開拓ですね」
女拳士「しばらくは斧を振るか」
術師「トレーニングもしたいですわね」
メイド剣士「打倒、コトー王様、ですね!」
女拳士「ハードルたっけーぞ、アタシの知ってる限りダメージを与えた奴もいないから」
術師「えっ、係員さんも?」
女拳士「全く歯が立ってなかったよ、アレだ、闇の衣って奴」
メイド剣士「闇の衣って、ヤマナミに封印してあるはずじゃ……」
女拳士「新しく自分で作ったらしいよ、コトー王様以外には誰も作れないだろうけどね」
術師「それじゃ伝説の勇者しか勝てませんね」
メイド剣士「魔王様なら勝てるかな?」
女拳士「ああ、魔王様ならいけるかも」
術師「でも結界も使えるんですよね、無理では」
メイド剣士「うわ、無理だ」
女拳士「ハンパないなコトー王様」
85 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 01:58:22.07 ID:DXeFWBlAO
術師「結界を破りつつ闇の衣を破壊ってどんな芸当なんでしょうか」
メイド剣士「ちょっと考えも浮かびませんね」
女拳士「さて、そろそろ寝ようぜ、魔王様も寝ちゃったし」
術師「ほんと、ふわぁ、……疲れましたわ」
メイド剣士「見張りしてます」
女拳士「ああ、じゃあ月が真上に来たら起こしてくれ」
メイド剣士「はい」
…………
二日目
術師「だいぶ丘を越えましたね」
メイド剣士「これ整地するの大変じゃないですか?」
女拳士「う〜ん、アタシが山を砕いて谷間を埋めていっても何年かかかるかな」
術師「できると思えるのが凄まじいですわ」
メイド剣士「ハサミと脳筋は使いようですね」
女拳士「ま、パワーファイターなんかそんなもんだよね」
自嘲する女拳士
術師「まあ一人でやらせるようなことはしませんわ」
メイド剣士「私にパワーを求めないでくださいね」
術師「非力ですものね」
メイド剣士「非力ではないです!」
女拳士(可愛いな)
術師(可愛いですわね)
その日も暴走する魔物にも出会うことなく、夜には北浜手前の山麓に辿り着いた
86 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:03:09.30 ID:DXeFWBlAO
術師「かなり広い盆地ですわね」
メイド剣士「すぐそこまで牧草地帯が広がってましたよ」
術師「牧草地帯を抜けてチュウザンに行くルートがあるかも知れませんわね」
メイド剣士「あっちの方がなだらかだし相当に楽そうですね」
術師「良い立地を頂けましたわ」
女拳士「街をでかくできるかはアタシら次第かな」
犬娘「頑張るっ!」
メイド剣士「まずは難しい話で眠らないようにしてください」
犬娘「あうぅ……」
術師「とにかくここにテントを張りましょう」
女拳士「じゃあ適当に食いもん作っててよ、アタシと魔王様でやっとくから」
メイド剣士「じゃあお願いします」
術師「べこちゃんの簡易小屋と、錬金用にもう一つテントをお願いします」
女拳士「あいよ」
すぐに犬娘たち二人はテントの骨を組み、天幕を張り、杭を打ち付けていく
術師たちは持ってきたハムなどを炒めたり干魚を炙ったりして夕食を作っていく
術師「うん、野菜作りしないと駄目ですわね」
メイド剣士「ちょうど夏野菜が美味しいシーズンが近づいてますよ」
術師「あの二人にこの盆地を耕してもらうとして、定住場所がずっとテントってわけには行きませんからね」
87 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/12(火) 02:06:45.81 ID:DXeFWBlAO
術師「城を建てる土地を取って、まずは小屋を建てましょう」
メイド剣士「まず住居と食料の確保ですね」
術師「ここは海の物も山の物も畑の物も取れる理想的な立地ですわ」
メイド剣士「でもあの二人の食欲を賄うためには何か特産品を用意するとかしないと駄目かも知れませんね」
術師「二点ほど考えています」
術師「私達が取引するのは最終的にはチュウザンになります」
メイド剣士「そうなんですか?」
術師「チュウザンやカイオウとの貿易経路の確保がこの開拓の目的だと聞いたはずですわ」
メイド剣士「確かに」
術師「そこでチュウザンで不足するだろう塩を作ります」
メイド剣士「なるほど」
術師「もう一つは海産物です」
術師「貝を干したり魚を干したりまたは転送魔法で生のまま輸送することも出来るでしょう」
メイド剣士「転送となるとどうしても量が限られてきますね」
術師「そこで、中心に塩と干物を作ります」
メイド剣士「漁師さんも雇わないとなあ」
術師「まずはこの『オリファン開発記録』を参考に、人が住める宿舎を作ります」
メイド剣士「国を作り動かすのは人ですからね」
犬娘「魔王になるっ!」
Part1<< Part3 Part4 Part5 Part6 Part7 Part8 Part9 Part10 Part11 >>Part28
評価する!(1103)
「いかやき」さん作品一覧に戻る