犬娘「魔王になるっ!」
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231 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 21:57:52.52 ID:OKDZjEgAO
第四章「犬娘、戦争をする」
建国した犬娘達は早速雨期に耐えるための準備をはじめた
獣人や巨人が出て、護岸工事を始める
と、言っても大きな岩を並べて隙間を土で埋める程度のものだ
術師「本格的な工事は間に合いませんからね、砕いた山の岩も有りますし、丁度良かった」
モグラ親方「まあ全然足りねーけどよー」
術師「そう思って魔王様に街道予定地を平らにしてもらってます」
モグラ親方「おっかねーな、魔王様」
術師「すごく優しくてふかふか温かいんですよ」
モグラ親方「知ってらあ」
術師「いつ抱きついたんです?!」
モグラ親方「ちょ、言葉のアヤでぇ!」
術師「問題は海ですわね」
術師「増水対策に高い堤防を作って、水門を作ろうかな、とは思ってるんですが、今回はどうやっても間に合いませんからね」
メイド剣士「まずは居住区と畑だけは守ります」
虎娘「収穫もどんどんとやってるよ」
術師「蓄えは十分あるし、城壁の中に避難所を設けますから、予め避難して下さいね」
虎娘「うん、分かった」
城壁内には臨時的に雨除けの頑丈な木の屋根が取り付けられていく
232 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:01:11.14 ID:OKDZjEgAO
やがて、嵐が来る
キタハマは春先は冷たい北西からの風を受けているが、この時期は南からの風を受け、一気に蒸し暑くなってくる
犬娘「プールで泳いでいい?」
メイド剣士「来客用ですから、汚さないで下さいね」
術師「あとで水を抜いておいて下さい」
メイド剣士「雨水が溢れるかも知れないからですね」
術師「嵐の対策はこれで十分ですかね?」
旅人「不十分だが手が足りない」
術師「二百人の町民が全力で働いてくれてます、これ以上は無理は言えませんね」
旅人「余所から人を集めるにしても資源が足りないからなあ」
術師「食糧資源でのやりとりも限界ですかね?」
旅人「備蓄してて採取量も少ないから故の限界だけどね」
旅人「まあ増水対策が出来てしまえば人を一気に増やせるし、仕事も進むよ」
白導師「幼女が泳いでる……、うっ」
メイド剣士「変態がでた!」
術師「魔王様今年で十七ですよ?」
白導師「ロリババアとかご馳走です」
術師「私も今年で二十歳か……」
白導師「あなたはロリでは無いですね」
術師「死んでみます?」
白導師「ヤンデレ?」
その後白導師は火山で術師の最強魔法を味わった
233 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:04:50.76 ID:OKDZjEgAO
備蓄も出来ている
護岸工事もした
その後での嵐だ
術師たちは有る意味、嵐に勝てると思っていた
しかしーー
術師「風雨が強くなってきました、皆さん避難を!」
メイド剣士「避難して下さい!」
犬娘「みんな、早く逃げて!」
強烈な嵐が迫っている
犬娘達は住民を避難させていた
鼠獣人「水だ!」
上流から急激に水が押し寄せてくる
その水はあっと言う間に護岸のための岩を乗り越えてしまう
川岸に立っていた数件の家が水に浸かった
虎獣人「早く逃げろ!」
虎獣人は作業員に指示する
その時
突然土砂が崩れ、虎獣人は避けたものの体がほとんど土砂に埋まってしまった
そして水が増えてくる
虎獣人は気絶していた
作業員達がメイド剣士に伝える
メイド剣士「虎さんが!?」
メイド剣士は術師と女拳士に連絡すると、その場所へ走った
現場では既に犬娘と勇者、作業員達がスコップを持って土砂を掻いていた
犬娘「みんな手伝って!」
術師は手早く土砂除けの鉄枠を作ると、土砂に突き刺した
そして凄まじいばかりの魔力でその内側の土砂を持ち上げる
234 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:08:43.49 ID:OKDZjEgAO
女拳士「アタシの魔力も使ってくれ!」
術師「頼みます!」
女拳士は術師の背中に手を当てると、犬娘強化魔法の応用で魔力を注いでいく
メイド剣士、勇者、犬娘は水を避けるため土嚢を積み上げていく
なんとか土砂を除け、虎獣人に回復魔法をかける
しかし目を覚まさない
術師「回復が遅いと意識が戻りづらいことがあります、しかし大きな外傷も無いし大丈夫でしょう」
女拳士「頑丈な人だ、運ぶよ!」
犬娘「なんか水がどんどん増えてくるよ!」
メイド剣士「逃げましょう!」
ようやくできた街は、再び水に呑まれていった
術師「水害対策がまだ甘かったと言うことですわね……」
メイド剣士「東には水が流れ込まなかったみたいです」
メイド剣士「しかし高波が押し寄せて、やっぱり塩田は台無し」
女拳士「虎さんは目を覚ましたよ 子供らの心配してた」
犬娘「良かった……」
術師「今回は人口が少なく、歩けない人も居なかったこともあり何とかなりましたが」
女拳士「この先を考えるなら避難する方法とか対策を考えないと駄目か」
犬戦士「チュウザンなら民間で避難体制作ってるぜ」
犬娘「土砂崩れも起こらないようにしないとね」
235 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:12:20.73 ID:OKDZjEgAO
術師「まだ開拓二年目ではありますが、人命がかかっている以上は甘えは許されませんね」
メイド剣士「避難民の皆さんに食糧を出してきます」
旅人「よし、僕も協力しよう」
やがて雨期が終わり、復興作業が始まった
術師「思った以上に酷い水害でしたね」
虎娘「このあたりはあまり雨が降らないけど、雨期に一気に一年分降る感じですね」
虎少年「錬金術で何とかなりませんかね?」
術師「一つ考えが」
虎少年「流石お師匠様」
術師「と、言っても石を使って鉄壁で防壁を作るくらいのことですが」
虎少年「いったいいくつ必要になるんでしょう?」
術師「できるだけは堤を作らないと駄目ですわね」
虎少年「やっぱり地道に作業しないと駄目なんですね」
術師「一応研究しておこうかと」
虎少年「緊急的な時に使えるし、戦闘にも使えるかも分かりませんからね」
犬娘と勇者と女拳士は、住民に混じって家から泥を掻きだしている
術師も例の魔法を使いそれを手伝った
メイド剣士たちは食糧を配って回っている
術師「蓄えを使って一気に護岸工事してしまいましょうか」
236 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:15:55.53 ID:OKDZjEgAO
作業を続けて数日たった頃、住民が慌てて走ってきた
猫獣人「大変だ、沖に軍船が二隻……!」
術師「来ましたか」
術師「魔王様たちに集まってもらって下さい」
猫獣人「わ、分かった!」
勇者「待たせた」
術師「どうします?」
勇者「まさか話し合い出来ると思ってる?」
術師「無理ですか……、これからも何度も襲撃されるんですかね……」
勇者「俺一人で片を付けてもいい」
術師「許しません」
術師が存外に強い口調で返してきたので、勇者は驚いた
勇者「そ、そうか」
術師「あなたは仲間なんですよ」
術師「一人で重い荷物は背負わせたくない……」
術師「あなたも女拳士さんも一人で色々背負い込むから困ります」
勇者「ごめん」
犬娘「そうだよ」
犬娘たちは既に集まっており、後ろで話を聞いていた
犬娘「私は戦争が嫌い……」
犬娘「だから、みんなで、一回で終わらせるよ!」
術師「今後千年攻めてこようと思わなくなるくらい、こてんぱんにしましょう」
女拳士「おっしゃ、やるぞ!」
勇者「おおっ!」
メイド剣士「おーっ!」
237 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:19:55.39 ID:OKDZjEgAO
戦争が始まるーー
犬戦士と白導師も参戦をしようとしたが、危機的状況になれば助けてもらう、と言うことで断った
サイセイの軍艦は真っ直ぐに突っ込んでくるようだ
術師「一発で沈めても良いんですが、怯えて逃げ帰ってもらわないといけませんからね」
勇者「乗り込んで全員ふんじばって船ごと鼻歌でも歌いながら送り返してやろう」
女拳士「いいねそれ」
女拳士が豪快に笑う
虎獣人「あんたらの後ろには俺達がいる、後ろは気にしないでいいぞ!」
虎娘「私も行ってくる」
犬娘「大丈夫だよ」
虎娘「違うの、戦いたい」
術師「……女拳士さん次第ですわね」
虎娘「師匠!」
女拳士「足を引っ張ったら帰らせるよ?」
虎娘「はい!」
こうして六人は勇者、犬娘、虎娘のAチームと術師、女拳士、メイド剣士のBチームの二つのチームに分かれた
赤い船が突っ込んでくるので、Aチームがすかさず飛び込む
虎娘「見せたげる、あたしの技! 火爪拳!」
敵の剣を交わし、虎娘は燃え上がる拳を叩きつけた
敵はそのまま帆柱に吹き飛んだ
勇者「良い出だしだ」
勇者「雷神剣……」
勇者「貫!」
勇者は雷神剣を細く絞って撃ち抜く
238 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:22:36.93 ID:OKDZjEgAO
船上で固まっていた数人が倒される
完全に怯んだ敵に追い討ちをかける
勇者「雷神剣」
勇者「斬!」
次に平たい雷神剣で凪払う
船上にいたほとんどの敵が避けきれずに倒れた
船中からわらわらと敵が出てくる
勇者「塊!」
勇者は雷神剣を巨大な雷球に変え、船室を半分潰す
犬娘「私の仕事無くなっちゃう!」
勇者「魔王様たちは倒れた敵をふんじばって回復してやってくれ」
犬娘「ええ〜!」
虎娘「とりあえず縛って行こう」
犬娘「仕方ないなあ」
二人は百人以上いる敵を倒れていれば縛って、倒れていなければ倒して、縛っては回復していく
やがて潰れた船室から赤い鎧の、髭を生やした四十代くらいの男が這い出してきた
赤鎧「反逆の勇者め、ワシは怒っておるぞ!」
勇者「お前らごときが勇者とはな、サイセイも落ちぶれたものだ!」
赤鎧「抜かせ!」
勇者は赤鎧の男と数回打ち合うと
勇者「全く成長していない……」
一撃で鎧ごと貫いて倒した
勇者「これであと四人か……、しかし今回で全部出てくるのかな?」
勇者はとりあえず赤鎧を縛り付け、回復し、叩き起こした
赤鎧「がはっ」
勇者「残りの雑魚はどうした?」
239 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:24:50.12 ID:OKDZjEgAO
赤鎧「言うはずがなかろ……、ぎゃっ!」
勇者は赤鎧の足を貫いた
回復し、もう一回貫いた
回復し、もう一回貫いた
回復し、もう
赤鎧「もうやめて〜、話す、話すから〜!」
勇者「自分の立場を知れよ」
赤鎧の話によると船内にもう一人、もう一つの船に三人が乗っているらしい
勇者「良かった、全員来たか」
潰れた船室からもう一人、灰色の服の娘が手を上げて出てきた
灰娘「抵抗しないから、虐めないで」
勇者「灰娘……、言ったろ、サイセイに正義は無いって」
灰娘「でも、逆らえないよ……」
勇者「亡命しておいで、今すぐにでも」
灰娘「家族がいるし……」
勇者「丸ごと面倒見るよ」
犬娘「勇者ちゃん、終わったよ〜!」
犬娘たちは小一時間で敵を全部縛り付けた
勇者「とりあえず、思いっきり戦って負けたことにしよう、痛いけど我慢してね」
灰娘「うん」
勇者は灰色の服の娘を縛り付けた
一方、術師たちは
術師「女拳士さん、一人で全員倒しましたね……」
メイド剣士「縛って縛ってひたすら回復しました……」
術師「でも回復のレベル上がったじゃないですか」
メイド剣士「全体回復覚えちゃいました」
240 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:27:22.25 ID:OKDZjEgAO
三人勇者もどきがいるはずだが、あまりに弱くてどれが勇者もどきかわからない始末だった
とりあえず本物の勇者に三人を教えてもらった
勇者「余りに弱い」
黄色「すみません」
勇者「余りに情けない」
茶色「ごめんなさい」
勇者「余りに呆気ない」
橙色「許して下さい」
勇者「とりあえずまた王に会おう……」
術師「サイセイが近くて良かった、こんなに捕虜を扱えませんからね」
犬娘「不完全燃焼だよ〜」
女拳士「誰も怪我しないで良かったじゃないか」
メイド剣士「そうなんですけどね……」
キタハマは勝利を知り、大きく湧いた
六人の他に捕虜を管理するためと船を動かすため数十人が乗り込んで、すぐにサイセイに向かった
一繋ぎになった勇者もどきを五人、勇者、術師、犬娘で引き連れて城に乗り込んだ
多少抵抗があったが、やはりとても弱い
勇者「我が国ながら呆れた……」
犬娘「勇者ちゃん強いからね〜、一人で一軍だね〜」
術師「魔王様や女拳士さんもいるうちの国は大軍隊ですわね」
勇者「う〜ん、しかし弱過ぎるよ、この国」
赤鎧「閉鎖的な国だからな……、お前がいなければボロボロだ」
241 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:30:12.66 ID:OKDZjEgAO
勇者「この国の運命だ、あきらめろ」
赤鎧「くそっ、ワシの怒りはどこに向けたらいいんだ!」
勇者「国王にぶつけたら?」
そして国王のいる謁見の間についた
サイセイ国王「な、なんと言う事か」
勇者はいきなり国王を張り倒した
勇者「俺の忠告を聞かなかった、あんたの罪だ」
サイセイ国王「ぐっ、貴様……」
勇者「女に張られて泣き言言い出すんじゃ無いだろうな?」
勇者はもう一度手を上げる
サイセイ国王「許して、ごめん、もうしません」
その後、術師が思い切り不平等な条約を突きつけたり、犬娘がうっかり城の壁を壊して更に国王を怯えさせたりした後、キタハマに帰る事にした
空にした軍船は全部破壊し、転送魔法する事三人で数回、町民全員帰還した
勇者「カイオウ国の民には可哀想な事をした……」
術師「賠償金は百億は払わせますが、亡くなった方は戻ってきませんものね……」
勇者「百億って、あんな何にもない国潰れちゃう……」
術師「潰れたら国民は我が国で受け入れますわ」
術師「とりあえず厄介な問題が一つ片付きましたが……」
勇者「黒衣とハマミナトか……」
犬娘「どこに隠れてるのかな……」
第四章「犬娘、戦争をする」
建国した犬娘達は早速雨期に耐えるための準備をはじめた
獣人や巨人が出て、護岸工事を始める
と、言っても大きな岩を並べて隙間を土で埋める程度のものだ
術師「本格的な工事は間に合いませんからね、砕いた山の岩も有りますし、丁度良かった」
モグラ親方「まあ全然足りねーけどよー」
術師「そう思って魔王様に街道予定地を平らにしてもらってます」
モグラ親方「おっかねーな、魔王様」
術師「すごく優しくてふかふか温かいんですよ」
モグラ親方「知ってらあ」
術師「いつ抱きついたんです?!」
モグラ親方「ちょ、言葉のアヤでぇ!」
術師「問題は海ですわね」
術師「増水対策に高い堤防を作って、水門を作ろうかな、とは思ってるんですが、今回はどうやっても間に合いませんからね」
メイド剣士「まずは居住区と畑だけは守ります」
虎娘「収穫もどんどんとやってるよ」
術師「蓄えは十分あるし、城壁の中に避難所を設けますから、予め避難して下さいね」
虎娘「うん、分かった」
城壁内には臨時的に雨除けの頑丈な木の屋根が取り付けられていく
232 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:01:11.14 ID:OKDZjEgAO
やがて、嵐が来る
キタハマは春先は冷たい北西からの風を受けているが、この時期は南からの風を受け、一気に蒸し暑くなってくる
犬娘「プールで泳いでいい?」
メイド剣士「来客用ですから、汚さないで下さいね」
術師「あとで水を抜いておいて下さい」
メイド剣士「雨水が溢れるかも知れないからですね」
術師「嵐の対策はこれで十分ですかね?」
旅人「不十分だが手が足りない」
術師「二百人の町民が全力で働いてくれてます、これ以上は無理は言えませんね」
旅人「余所から人を集めるにしても資源が足りないからなあ」
術師「食糧資源でのやりとりも限界ですかね?」
旅人「備蓄してて採取量も少ないから故の限界だけどね」
旅人「まあ増水対策が出来てしまえば人を一気に増やせるし、仕事も進むよ」
白導師「幼女が泳いでる……、うっ」
メイド剣士「変態がでた!」
術師「魔王様今年で十七ですよ?」
白導師「ロリババアとかご馳走です」
術師「私も今年で二十歳か……」
白導師「あなたはロリでは無いですね」
術師「死んでみます?」
白導師「ヤンデレ?」
その後白導師は火山で術師の最強魔法を味わった
233 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:04:50.76 ID:OKDZjEgAO
備蓄も出来ている
護岸工事もした
その後での嵐だ
術師たちは有る意味、嵐に勝てると思っていた
しかしーー
術師「風雨が強くなってきました、皆さん避難を!」
メイド剣士「避難して下さい!」
犬娘「みんな、早く逃げて!」
強烈な嵐が迫っている
犬娘達は住民を避難させていた
鼠獣人「水だ!」
上流から急激に水が押し寄せてくる
その水はあっと言う間に護岸のための岩を乗り越えてしまう
川岸に立っていた数件の家が水に浸かった
虎獣人「早く逃げろ!」
虎獣人は作業員に指示する
その時
突然土砂が崩れ、虎獣人は避けたものの体がほとんど土砂に埋まってしまった
そして水が増えてくる
虎獣人は気絶していた
作業員達がメイド剣士に伝える
メイド剣士「虎さんが!?」
メイド剣士は術師と女拳士に連絡すると、その場所へ走った
現場では既に犬娘と勇者、作業員達がスコップを持って土砂を掻いていた
犬娘「みんな手伝って!」
術師は手早く土砂除けの鉄枠を作ると、土砂に突き刺した
そして凄まじいばかりの魔力でその内側の土砂を持ち上げる
234 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:08:43.49 ID:OKDZjEgAO
女拳士「アタシの魔力も使ってくれ!」
術師「頼みます!」
女拳士は術師の背中に手を当てると、犬娘強化魔法の応用で魔力を注いでいく
メイド剣士、勇者、犬娘は水を避けるため土嚢を積み上げていく
なんとか土砂を除け、虎獣人に回復魔法をかける
しかし目を覚まさない
術師「回復が遅いと意識が戻りづらいことがあります、しかし大きな外傷も無いし大丈夫でしょう」
女拳士「頑丈な人だ、運ぶよ!」
犬娘「なんか水がどんどん増えてくるよ!」
メイド剣士「逃げましょう!」
ようやくできた街は、再び水に呑まれていった
術師「水害対策がまだ甘かったと言うことですわね……」
メイド剣士「東には水が流れ込まなかったみたいです」
メイド剣士「しかし高波が押し寄せて、やっぱり塩田は台無し」
女拳士「虎さんは目を覚ましたよ 子供らの心配してた」
犬娘「良かった……」
術師「今回は人口が少なく、歩けない人も居なかったこともあり何とかなりましたが」
女拳士「この先を考えるなら避難する方法とか対策を考えないと駄目か」
犬戦士「チュウザンなら民間で避難体制作ってるぜ」
犬娘「土砂崩れも起こらないようにしないとね」
235 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:12:20.73 ID:OKDZjEgAO
術師「まだ開拓二年目ではありますが、人命がかかっている以上は甘えは許されませんね」
メイド剣士「避難民の皆さんに食糧を出してきます」
旅人「よし、僕も協力しよう」
やがて雨期が終わり、復興作業が始まった
術師「思った以上に酷い水害でしたね」
虎娘「このあたりはあまり雨が降らないけど、雨期に一気に一年分降る感じですね」
虎少年「錬金術で何とかなりませんかね?」
術師「一つ考えが」
虎少年「流石お師匠様」
術師「と、言っても石を使って鉄壁で防壁を作るくらいのことですが」
虎少年「いったいいくつ必要になるんでしょう?」
術師「できるだけは堤を作らないと駄目ですわね」
虎少年「やっぱり地道に作業しないと駄目なんですね」
術師「一応研究しておこうかと」
虎少年「緊急的な時に使えるし、戦闘にも使えるかも分かりませんからね」
犬娘と勇者と女拳士は、住民に混じって家から泥を掻きだしている
術師も例の魔法を使いそれを手伝った
メイド剣士たちは食糧を配って回っている
術師「蓄えを使って一気に護岸工事してしまいましょうか」
作業を続けて数日たった頃、住民が慌てて走ってきた
猫獣人「大変だ、沖に軍船が二隻……!」
術師「来ましたか」
術師「魔王様たちに集まってもらって下さい」
猫獣人「わ、分かった!」
勇者「待たせた」
術師「どうします?」
勇者「まさか話し合い出来ると思ってる?」
術師「無理ですか……、これからも何度も襲撃されるんですかね……」
勇者「俺一人で片を付けてもいい」
術師「許しません」
術師が存外に強い口調で返してきたので、勇者は驚いた
勇者「そ、そうか」
術師「あなたは仲間なんですよ」
術師「一人で重い荷物は背負わせたくない……」
術師「あなたも女拳士さんも一人で色々背負い込むから困ります」
勇者「ごめん」
犬娘「そうだよ」
犬娘たちは既に集まっており、後ろで話を聞いていた
犬娘「私は戦争が嫌い……」
犬娘「だから、みんなで、一回で終わらせるよ!」
術師「今後千年攻めてこようと思わなくなるくらい、こてんぱんにしましょう」
女拳士「おっしゃ、やるぞ!」
勇者「おおっ!」
メイド剣士「おーっ!」
237 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:19:55.39 ID:OKDZjEgAO
戦争が始まるーー
犬戦士と白導師も参戦をしようとしたが、危機的状況になれば助けてもらう、と言うことで断った
サイセイの軍艦は真っ直ぐに突っ込んでくるようだ
術師「一発で沈めても良いんですが、怯えて逃げ帰ってもらわないといけませんからね」
勇者「乗り込んで全員ふんじばって船ごと鼻歌でも歌いながら送り返してやろう」
女拳士「いいねそれ」
女拳士が豪快に笑う
虎獣人「あんたらの後ろには俺達がいる、後ろは気にしないでいいぞ!」
虎娘「私も行ってくる」
犬娘「大丈夫だよ」
虎娘「違うの、戦いたい」
術師「……女拳士さん次第ですわね」
虎娘「師匠!」
女拳士「足を引っ張ったら帰らせるよ?」
虎娘「はい!」
こうして六人は勇者、犬娘、虎娘のAチームと術師、女拳士、メイド剣士のBチームの二つのチームに分かれた
赤い船が突っ込んでくるので、Aチームがすかさず飛び込む
虎娘「見せたげる、あたしの技! 火爪拳!」
敵の剣を交わし、虎娘は燃え上がる拳を叩きつけた
敵はそのまま帆柱に吹き飛んだ
勇者「良い出だしだ」
勇者「雷神剣……」
勇者「貫!」
勇者は雷神剣を細く絞って撃ち抜く
238 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:22:36.93 ID:OKDZjEgAO
船上で固まっていた数人が倒される
完全に怯んだ敵に追い討ちをかける
勇者「雷神剣」
勇者「斬!」
次に平たい雷神剣で凪払う
船上にいたほとんどの敵が避けきれずに倒れた
船中からわらわらと敵が出てくる
勇者「塊!」
勇者は雷神剣を巨大な雷球に変え、船室を半分潰す
犬娘「私の仕事無くなっちゃう!」
勇者「魔王様たちは倒れた敵をふんじばって回復してやってくれ」
犬娘「ええ〜!」
虎娘「とりあえず縛って行こう」
犬娘「仕方ないなあ」
二人は百人以上いる敵を倒れていれば縛って、倒れていなければ倒して、縛っては回復していく
やがて潰れた船室から赤い鎧の、髭を生やした四十代くらいの男が這い出してきた
赤鎧「反逆の勇者め、ワシは怒っておるぞ!」
勇者「お前らごときが勇者とはな、サイセイも落ちぶれたものだ!」
赤鎧「抜かせ!」
勇者は赤鎧の男と数回打ち合うと
勇者「全く成長していない……」
一撃で鎧ごと貫いて倒した
勇者「これであと四人か……、しかし今回で全部出てくるのかな?」
勇者はとりあえず赤鎧を縛り付け、回復し、叩き起こした
赤鎧「がはっ」
勇者「残りの雑魚はどうした?」
239 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:24:50.12 ID:OKDZjEgAO
赤鎧「言うはずがなかろ……、ぎゃっ!」
勇者は赤鎧の足を貫いた
回復し、もう一回貫いた
回復し、もう一回貫いた
回復し、もう
赤鎧「もうやめて〜、話す、話すから〜!」
勇者「自分の立場を知れよ」
赤鎧の話によると船内にもう一人、もう一つの船に三人が乗っているらしい
勇者「良かった、全員来たか」
潰れた船室からもう一人、灰色の服の娘が手を上げて出てきた
灰娘「抵抗しないから、虐めないで」
勇者「灰娘……、言ったろ、サイセイに正義は無いって」
灰娘「でも、逆らえないよ……」
勇者「亡命しておいで、今すぐにでも」
灰娘「家族がいるし……」
勇者「丸ごと面倒見るよ」
犬娘「勇者ちゃん、終わったよ〜!」
犬娘たちは小一時間で敵を全部縛り付けた
勇者「とりあえず、思いっきり戦って負けたことにしよう、痛いけど我慢してね」
灰娘「うん」
勇者は灰色の服の娘を縛り付けた
一方、術師たちは
術師「女拳士さん、一人で全員倒しましたね……」
メイド剣士「縛って縛ってひたすら回復しました……」
術師「でも回復のレベル上がったじゃないですか」
メイド剣士「全体回復覚えちゃいました」
240 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:27:22.25 ID:OKDZjEgAO
三人勇者もどきがいるはずだが、あまりに弱くてどれが勇者もどきかわからない始末だった
とりあえず本物の勇者に三人を教えてもらった
勇者「余りに弱い」
黄色「すみません」
勇者「余りに情けない」
茶色「ごめんなさい」
勇者「余りに呆気ない」
橙色「許して下さい」
勇者「とりあえずまた王に会おう……」
術師「サイセイが近くて良かった、こんなに捕虜を扱えませんからね」
犬娘「不完全燃焼だよ〜」
女拳士「誰も怪我しないで良かったじゃないか」
メイド剣士「そうなんですけどね……」
キタハマは勝利を知り、大きく湧いた
六人の他に捕虜を管理するためと船を動かすため数十人が乗り込んで、すぐにサイセイに向かった
一繋ぎになった勇者もどきを五人、勇者、術師、犬娘で引き連れて城に乗り込んだ
多少抵抗があったが、やはりとても弱い
勇者「我が国ながら呆れた……」
犬娘「勇者ちゃん強いからね〜、一人で一軍だね〜」
術師「魔王様や女拳士さんもいるうちの国は大軍隊ですわね」
勇者「う〜ん、しかし弱過ぎるよ、この国」
赤鎧「閉鎖的な国だからな……、お前がいなければボロボロだ」
241 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:30:12.66 ID:OKDZjEgAO
勇者「この国の運命だ、あきらめろ」
赤鎧「くそっ、ワシの怒りはどこに向けたらいいんだ!」
勇者「国王にぶつけたら?」
そして国王のいる謁見の間についた
サイセイ国王「な、なんと言う事か」
勇者はいきなり国王を張り倒した
勇者「俺の忠告を聞かなかった、あんたの罪だ」
サイセイ国王「ぐっ、貴様……」
勇者「女に張られて泣き言言い出すんじゃ無いだろうな?」
勇者はもう一度手を上げる
サイセイ国王「許して、ごめん、もうしません」
その後、術師が思い切り不平等な条約を突きつけたり、犬娘がうっかり城の壁を壊して更に国王を怯えさせたりした後、キタハマに帰る事にした
空にした軍船は全部破壊し、転送魔法する事三人で数回、町民全員帰還した
勇者「カイオウ国の民には可哀想な事をした……」
術師「賠償金は百億は払わせますが、亡くなった方は戻ってきませんものね……」
勇者「百億って、あんな何にもない国潰れちゃう……」
術師「潰れたら国民は我が国で受け入れますわ」
術師「とりあえず厄介な問題が一つ片付きましたが……」
勇者「黒衣とハマミナトか……」
犬娘「どこに隠れてるのかな……」
犬娘「魔王になるっ!」
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