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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part6
100 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:46:42.78 ID:se91g7ZAO
女剣士「……おい、魔法使い」
女剣士「こいつ倒さないと世界は平和にならないんじゃないのか?」
魔法使い「魔王を倒した世界は平和ですか?」
女剣士「え?いや、あの」
魔法使い「私は女剣士が好き」
女剣士「なんだそれなぜいまそれをぶっこんだあああああ」
魔法使い「アンタは私が生きてる理由だから。」
魔法使い「信じて。 こいつらは敵になり得ない。」
魔法使い「弱すぎる。」
魔王「そうだ」ハア
魔王「俺の力はお前ら勇者パーティーの一人分に過ぎん」
側近「王子……」
魔法使い「あんたが王子って呼んでることでもコイツが魔王って確定だね。」
魔王「あんたらこの側近を数撃でノしたんだっけ」
側近「すみませんですぞお〜〜〜!!」

101 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:50:08.97 ID:se91g7ZAO
側近「あの時は犬殿が異様に強くて、思考を完全に断たれました」
女剣士「ん〜、まああいつはドラゴンとサシでやりあう化け物だったからなあ」
魔王「そのドラゴンはたしかまだ生きてるな」
側近「魔王様の使いを監視させていたドラゴンですな」
魔王「あのヤロウが、使いのくせに勝手なことをしなければ父は死ななかったのにな……」
女剣士「ちょっと待て」
女剣士「さすがに私たちの始まりの国とこの勇者の村を滅ぼしたのは魔王の肝煎りじゃないのか」
魔法使い「もしそうなら人語に尽くしがたい拷問を加える。」
魔王「俺が言うのも変だが、女神に誓ってそれはない」

102 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:51:52.86 ID:se91g7ZAO
魔王「考えてもみろ、勇者が子育てしてた間なぜ魔王が人を攻めなかったのか」
魔王「さんざん前勇者、勇者父にこてんぱんにノされた魔王軍だぞ」
魔王「勝てぬと悟ってるのに自分から攻めるほど我らは阿呆と思われているのか!」
女剣士「……驚くほど納得が行った」
魔法使い「話し合えばこうなる。 だから外交は苦手」
賢者「ほう」(じゃあ私の仕事ですね)

103 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:55:48.23 ID:se91g7ZAO
賢者「確かにお互いがお互いの立場を理解する姿勢を見せれば話し合いでカタがつきますね」
賢者「しかし魔王がそのような存在とはとても信じがたいものがあるのですよ」
賢者「ぶっちゃけた話、何故魔王などが存在するのですか」
魔王「分かるよ」
魔王「なんで俺が魔王なのかな」
女剣士「まだ10歳くらいに見えるが」フンス
魔法使い「ショタコンめ。」
賢者「ヤマナミ王とか見た目はすごい若いですよね」
魔法使い「ふふっ。」
賢者(これはもう魔法使いさんにはメイド長さんの策は見透かされてると見るべきか)
女剣士「誰がショタコンやねん」
魔法使い「不自然なツッコミ来た」
賢者「デレデレですな」
女剣士「私も刀を抜きたくはないが仕方ない」
魔法使い・賢者「す・み・ま・せ・ん」ウフフフ
少年は、赤い瞳、赤い髪、それは「我こそが魔王」と言ったいでたちである
ただ、魔王の見た目は十歳未満である
魔王「酒も飲める年なんだがなあ」
側近「あなたがヤマナミ法に従う理由はありませんから!」

104 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:58:05.08 ID:se91g7ZAO
魔王「つまり俺はお前等と同盟が組みたい」
魔王「人の世に誤解を与えぬよう、交渉はしていく、いや、オレが魔王ではないことにすればいいか」
魔王「ことが緊急を要する故にオレが自分でここに来たんだ」
魔王「オレを信じられないならこの場で首をハネろ」
女剣士「信じる……か」
魔法使い「信じる信じないではなくとも、事実……。」
魔法使い「この魔王が勇者パーティーに囲まれたがるとか危険すぎる。」
女剣士「しかし、魔王を倒したことで実際に世界を覆っていた暗雲は晴れたわけだが……」
魔王「それはこれだ」
魔王はゆっくりと闇を体に纏わせる
魔法使い「闇の衣……それこそが真の魔王の証明……。」
魔法使い「なぜだろう?」
女剣士「えっ、そう決まってるからだろ?」
女剣士「はっ」
魔法使い「勇者も魔王も誰が決めたの?」
魔王「それより空を見てみるといい」
さっきまで晴れやかであった空に、暗雲が広がっていく
魔王「これが魔王に伝えられる禁断魔法、闇の衣の副作用と呼ぶべきものだ」


105 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:02:27.07 ID:se91g7ZAO
魔法使い「犬が倒れた後、いろいろ文献も漁った。」
女剣士「あれだけいろいろ仕事してたのにそれはすごいな」
魔法使い「睡眠時間平均30分にしたら余裕。」
僧侶「寝ないと許さないからねっ」
女剣士「聞いてたのか僧侶」
魔王「勇者パーティー勢揃いか、闇の衣を纏っているのに生きた心地がしないな」
魔法使い「まず側近はなぜ生きてるの? 例の復活の儀式?」
側近「あれは私共の技ではありません」
魔法使い「!」
女剣士「バカな……いや、じゃあアイツはいったい……」
僧侶「……それに、なぜ勇者様が倒されたのか……」
魔法使い「そんなところに気がついて無かったとはね……。」
女剣士「私たちはただの人間だからな。」
魔王「その強さでただの人間かよ、すげえな」
側近「あんまりにあなた方が強いので、速攻で死んだふりをしました」
側近「私は魔王様に、若の世話を任されておりました故」
魔法使い「それに魔王が倒されるとも思わなかった、と。」
側近「それは違いますな」
側近「私共もただの生物ですから」
女剣士「とりあえずその闇の衣やめてくれ、寒い」
魔王「ああ、すまん、俺は気分いいんだよな、これ」

106 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:05:12.32 ID:se91g7ZAO
魔王「父は立派に戦ったか? 最後まで魔王であったか?」
女剣士「あれは間違いなく魔王だったよ」
魔法使い「あそこまで大魔法を連発しながら、それによる疲弊を感じられなかった。 底知れない。」
魔王「そうだろう」
魔王「だが、俺はオヤジを継ぐわけにはいかん」
魔法使い「なにか目的があるんだね?」
女剣士「見た目は可愛いのにしっかり考えがあるんだな!」
魔法使い「仮にも魔王、抱きつきたそうにしない。」
魔王「いつでも抱いてくれ」
側近「それではただのエロガキですぞ王子」
魔王「まず、四天王を前線に出さなかった理由から話そう」

107 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:08:34.70 ID:se91g7ZAO
魔王「前魔王が自分で魔王と言う立場を崩さなかったのは、人間たちを留めておく必要が有ったからだ」
魔王「四天王を殺されたくは無かったのでな」
魔法使い「四天王の命を使って何かを封印していたりするの?」
魔王「いや、厳密には四天王や魔王がその一部と言うべきだろうか」
魔王「魔王の使いの奴が破壊神を信仰していたのは知ってるだろうか?」
魔法使い「復活の儀式で蘇られたら困る。 色々調査はした。」
女剣士「だからお前はいつも黙って仕事をこなすなよ!」
僧侶「少しは信頼して欲しいな……」
魔法使い「僧侶ちゃんには色々やってもらってるけど?」
僧侶「例の魔法は完成したよ」
魔法使い「助かる。 人が増えたら色々問題も起こるから。」
魔法使い「とりあえず破壊神の存在は知ってるけど、魔王を倒したら出てくるものかと。」
女剣士「そういう伝承はいくつもあるからな」
魔王「ここで君らの疑問にも答えが出せるはずだ」
魔王「要するに破壊神の力と勇者の力は同質な物であると言うこと」
魔法使い「ふむ。」
賢者「!」
賢者「それでは魔王軍が総倒れになったら……」
魔王「ご推察の通り」

108 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:11:25.38 ID:se91g7ZAO
魔王「逃げ場を失った力が暴走し」
魔王「奴が現れてしまう」
魔法使い「色々納得。」
魔法使い「魔王はそれを避けたかったが魔王の使いはそうではなかった……。」
魔王「勇者を倒せたのも復活の儀式が使えたのも、破壊神の影響だろうな」
魔法使い「返り討ちにあっても人間が魔物を恨み、殲滅すれば、四天王や魔王を打ち倒せば……破壊神が……。」
女剣士「……それは……」
女剣士「私たちはまんまと策にハマったのか?」
賢者「……仮に……」
賢者「今や敵のいないあなた方と同等か、それ以上の力を持った破壊神が現れれば……」
女剣士「……倒せなければ世界は破滅するな」

109 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:14:11.22 ID:se91g7ZAO
魔王「そこでこの城塞都市には感心していたところだ」
側近「お互いが守りを固めていれば誰も傷つきませんからな」
魔王「……しかし、ウチにはそれを理解しないバカがいる」
側近「土の四天王ですな」
女剣士「それでヤマナミ東のゴタゴタか」
魔法使い「……魔王の力はどこに?」
女剣士「!」
魔王「察しがいいな」
魔王「俺が受け継ぐはずの力は魔物全体に均等に散らばった」
魔王「それで、自分たちが強くなったと勘違いしたバカが暴れだした」
魔王「そんなところだ」
賢者「魔王が魔王として最後まで振る舞ったのも?」
魔王「魔王を倒せばすべて終わると言う印象を人間サイドに与えたかったからだ」
魔法使い(私たちの力は、破壊神を止めるための力……正義の力なんだ……そして魔王も破壊神を望んでいない……)
魔法使い「魔王、来てくれてありがとう。」
魔法使いはそっと魔王の両手を握りしめた
魔王「んなっ」///
側近「なんと! 魔王様に春がっ!」
盗賊「来ないから」
女剣士「居たのか」
商人「途中から全部聞いてました」
賢者「それで、私たちと協力して四天王を……どうするのです?」
僧侶「封印魔法」

110 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:20:26.90 ID:se91g7ZAO
僧侶「私、お父さんに聞いたことがある」
賢者「つまり倒すのではなく……」
魔法使い「封印する。」
魔王「そうだ」
魔王「奴は今、広大なヤマナミ山脈のどこかか東の森に潜伏しているはず」
魔王「探し出すまではオレがやるが、なにぶん広いからな」
女剣士「魔王もここに住めばいい。 拠点があれば活動もしやすいだろう」
魔王「迷惑をかけるから旅人を装ってこちらに泊まる形にしたい」
魔王「あんたらに城の金は持って行かれたが、隠し財産がある」
女剣士「そんなのがあったのか」
魔法使い「回収し損ねた。」
僧侶「お金が欲しいな」
女剣士「みんなのアイドルがさらっと黒いこと言った!」
僧侶「お、お金は町を作るのに大事だもん!」
魔法使い「ふふっ。」
魔王「そちらもオレの正体については隠してくれ」
賢者「……あなたはどこかの国の王子様でしょう?」
魔王「う、うむ!」
魔王「では、さっそく探してくる」
女剣士「よし、じゃあこちらも封印魔法の研究だ!」
魔法使い「実験だ〜!!」
僧侶「はい!」
しかし、魔王に追い込まれ姿を消した四天王は、簡単には見つけ出せなかった
やがて夏の終わりに向けた、闘技大会の準備が始まる……

111 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 02:23:06.10 ID:se91g7ZAO
ーー今回はここまでです
次回、第二章後半です

112 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/23(木) 02:19:56.38 ID:Oc4SJgEgo
おつ、おもしろい

113 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:43:42.92 ID:06tVHGrAO
書く度になんか最初から(犬から)書き直したくなります
かなりガクブルしてますがここはふんばって更新します。
応援ありがとうございます。

114 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:45:55.51 ID:06tVHGrAO
魔法使いは思うところがあり、ヤマナミに来ていた
魔法使い「はぁい。」
メイド長「」
メイド長「!」「?」「!!」
メイド長「……詰んだ」
魔法使い「何が?」フフッ
メイド長(フフッってフフッって!)
メイド長(こいつぁがっつりウチの読みを覆してきたかぁ?!)
メイド長(なんでだ? そんな悪い話じゃないだろ?!)
メイド長(あれか、やっぱりこいつらレズだったりするのか?)
魔法使い「私が来ただけで取り乱すとか、おかしなメイド長。」
メイド長「え〜え〜、分かってますよ」
メイド長(どうせウチはあんたに比べたら凡人だよ)
魔法使い「相手が色々グチグチ考えてる時に、相手の考えをできるだけ推測したりする?」
メイド長「するよ」
メイド長(あんたのレベルでは無理だけどね)
魔法使い「私も沈黙されただけで色々と考えてしまう。」
魔法使い「だから人付き合いは、苦手。」
メイド長(あんたが人付き合い苦手なら付き合い得意な奴はみんな考えなしか!)
メイド長「……ああ、そうね、ウチもわりと苦手」ハハッ
魔法使い「相手を信じていたらグチグチ読まなくてすむらしいよ?」

115 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:49:26.11 ID:06tVHGrAO
メイド長(ウチの心の声にまで適切に答えてくるわけね)
メイド長(確かに、人を信用してグチグチ読まないのは、馬鹿でも悪いことでもないね)
メイド長(でも目の前に怪物がいたら怯んで構えるのが人の常だろっ)
魔法使い「……私を信じてくれる?」
メイド長「ここでテンパってるウチに救いの手を差し伸べちゃうわけね」
メイド長「だからあんたは危ないんだっつの」
魔法使い「?」
メイド長(そこで小首傾げられたら惚れてしまうやろー!)
メイド長「はあ……なんの用?」
魔法使い「あなたの策は賛成ではあるけど、女剣士は適応力高い」
魔法使い「あいつは王族は堅苦しくて無理と思ってるけど、ほんとは面倒なだけ。」
魔法使い「ヤマナミ王が押し間違えなきゃ自分から落ちると思う。」
メイド長「……完全にウチの策を読んだ上でアドバイスですか」
魔法使い「タイガンの王子は無理だけどヤマナミ王は女剣士も好きそう。」
魔法使い「……遊びはどうでもいい。」
魔法使い「王様に会いたい。」
メイド長「」
メイド長「……すまん、一瞬思考停止した」
ヤマナミ王とは
別名「眠れる千里眼」
メイド長(眠らない千里眼の方が強そうな気がするなぁ)

116 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:52:03.45 ID:06tVHGrAO
メイド長(しかし遊びかぁ)
メイド長(一国を治める身になれば雑務に潰され王妃の方が楽なくらいに責任も重くなると思ったけど、女剣士は慣れる、か)
メイド長はしぶしぶ、普段特別な人間しか入れないヤマナミ王の私室に魔法使いを連れてきた
メイド長(ぶっちゃけ二人の対決を見てみたいし〜)フフッ
メイド長「お兄ちゃ〜ん、魔王が攻めてきた〜!」
ヤマナミ王「ぐう……」
メイド長(私室で寝てたことないだろこのタヌキ野郎)ピキピキ
メイド長(毎日毎日徹夜しやがって寝るのは謁見の間だけとか)
メイド長(風評も考えやがれ糞タヌキ!)
ヤマナミ王「……また悪態ついてるだろ」
メイド長「いつものことだし」
ヤマナミ王「魔法使いちゃん、久しぶり〜」
メイド長(あ、兄ちゃん臨戦態勢)
魔法使い「ども。」
メイド長(っ、こっちもガチオーラだね)
ヤマナミ王「……ぐう……」
メイド長(ウチには分かる、これは先制攻撃のためのフェイントの寝たふりだ)
魔法使い(カウンター狙い。)
ヤマナミ王「魔法使いちゃん、魔王を倒してから深読みするようになったね〜」
魔法使い「……ヤマナミ王は寝過ぎ。」
メイド長(まずは軽く牽制を入れあった感じねぇ)