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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part3
43 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/07(火) 22:06:54.38 ID:s2U25+XAO
盗賊「あなたの発言は人権を蔑ろにしています」
盗賊「ボクのようなか弱い少年にこんな凶悪で非道なことが出来るでしょうか? いいえできません。 反語」
盗賊「こんな無邪気な少年を疑うとはそれでも人間ですか? 天罰を受けて下さい。 神も喜んで下してくださいますでしょう」
盗賊「神の慈悲です、早く帰って下さい。 お願いします。 急いで。 かけ足で」
あまりの事態に正気を奪われた盗賊は山賊たちに矢継ぎ早に冷ややかな言葉を浴びせかけるのであった
山賊D「ふざけるな! 今そっち行ってやる!」
しかしその言葉で腸が煮えくり返った山賊は、とりあえず脇に見えた窓ガラスを狙って、斧を振り下ろしてみた
硬い手応え
その刹那、魔法使いの一際明るく可愛らしい声が響き渡る
「ぴんぽんぱんぽ〜ん!」
魔法使いの声「ハ〜イ! 超可愛い究極ラブラブ大天使魔法使いちゃんの全自動個人認証式結界は、見知らねー野郎が5人続けて来たらバトルモードに移行しちゃうんだぜ〜!? すげえ?すげえ?」
山賊D「」
盗賊「」
犬たち「ワン! ワンワンワン! ワッホン!」

44 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/07(火) 22:10:16.14 ID:s2U25+XAO
盗賊「魔法使いさん」
このトラップは、恐らくようやく仲間になったばかりの可愛い可愛い身内を守るために魔法使いが、己の全知識、全知力、全魔力、すなわち己の全才能を駆使し、無尽蔵と言われる魔力をもほぼ百%使い、それでも守る!と言う決意を現した作品で有ったかも知れないが、
盗賊「あほですか」
それしか言うことが無かった!
盗賊がそう呟いたか否か、家全体が震え、咆哮にも似た大音響を響かせ始めた
山賊D「いやああああ! 殺さないで許して足洗いますごめんなさい助けてママぁ〜んっっっ!」
家は広域殲滅閃光魔法を発動した
山賊の群「」
盗賊「……うふふ。」
盗賊「ボクが無事ならいいかな? いいよね!」
最早トラウマにもなりかねない事態
盗賊は達観したかのように呟いたのだった……

45 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/07(火) 22:12:48.20 ID:s2U25+XAO
魔法使い「おやや〜? 発動しちゃったか。」
とぼけたつぶやきで魔法使いが帰ってきたのはそれから一刻も過ぎぬうちであった
僧侶「あ〜、なんか水が染み込んだぼろ雑巾を焼いた後みたいなのが落ちてますよっ」
魔法使い「侵入者を殲滅できないで、トラップと言えようか? いや、言えない! 反語。」
僧侶「あっ、あっ、これ人間です?! きゃあっ! 回復しなくちゃ!」
魔法使い「うん、縛ってから回復した方が」
僧侶「蘇生魔法×5!」
魔法使い「良かったよね、うん。」
山賊頭「かはっ! なんだ? 何が起こった!」
山賊A「……うっ、くそお……頭痛い……」
山賊B「……確か……、無人の村で空き家を襲って……それから……」
山賊C「あっ! なんだ小娘ども! 見せもんじゃねーぞ!」
山賊D「もうやだ山賊やめる山賊やめる……」ガタガタ
魔法使い「はい、びりびり〜。」
魔法使いの束縛魔法!
……勇者パーティーと言う神々の遊びを見た気がする
後日盗賊はそう語ったと言う

46 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/07(火) 22:15:21.13 ID:s2U25+XAO
魔法使い「んでんで、君たちは何者? 森で聞いた魔物じゃないわよね?」
山賊D「その声……あの家の……ひいい」
魔法使い「お話続かないから寝てて。」催眠魔法!
魔法使い「見たところ黒こげ山賊団ね? 賞金首? 賞金首?」
山賊頭「賞金かかるような山賊じゃねえよ。 ヤマナミ東にアジトを構えてこそ泥やってた、しがない山賊さ」
魔法使い「……」(残念。)
山賊頭「最近やたら魔物が増えてよぉ……アジトも魔物に奪われちまった」
山賊頭「命からがら逃げ延びてようやく飯にありつけるかと思ったら化け物の家がよお……」グスッ
魔法使い「泣き言を言ってる人間の脳の反応を見たい。 見せて。」
盗賊「鬼畜かっ」
盗賊「あの、それなら少しくらいご飯食べさせてあげて良いですよね? 僧侶さん」
僧侶「ん〜、困ってる人は助けるよ!」
僧侶「……魔法使いちゃん、どう思う?」
魔法使い「……みなが帰ってきたら、話そう。 とりあえずごはんにしよ。」

48 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 00:59:06.25 ID:6OZe/RCAO
朝から嵐のような勇者の町に、夕日が射し込もうとする時間になった
女剣士たちは予定より早く帰宅した
女剣士「……んで、その山賊たちは?」
魔法使い「実験室。」
盗賊「……縛ってから空き家に放り込みました」
女剣士「? なんか盗賊ちゃん大人びてない?」
賢者「本当ですね。 何があったかは言わないように」
盗賊「察しがいい師匠は持つべきではないと悟った」
商人「まあまあ、大変だったんだね! (こっちはあんまり進展してないから大丈夫だよ)ボソッ」
盗賊(なにかあったの?)
商人(ちょっと賢者さんと女剣士さんがいい雰囲気だったけど、進展してないから)
盗賊(この世に神はいない 神は死んだ)
女剣士「まず何から話すべきか……」
魔法使い「まずは私から、森であったことを話す。」
女剣士「うん」


49 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:02:26.78 ID:6OZe/RCAO
魔法使い「森に入ったんだけどね、結論から言うと新しい情報は一つだけ。」
魔法使い「森に魔物が増えてるらしい。」
女剣士「……それを誰から?」
僧侶「それはね、ちょっと長くなるけどいい?」
女剣士「ん、ああ」
女剣士「ああ、ここ僧侶の地元じゃん。 知り合いでもいたの?」
僧侶「うん、私の知り合いだよ」
魔法使い「まず、私らは南に向かい川を調べた。 そこでは綺麗な水と、そこを住処にする魚たちを見つけた。」
魔法使い「そのまま山脈に向かうと時間が大幅に削られた上で、何も発見できない可能性があったのと、村に一人残して来てしまったのがやはり心残りだったので……。」
盗賊「……魔法使いさん……」
魔法使いは確かに行き過ぎ、と言うか、脳髄が宇宙遊泳している可能性があるが、とても自分のことを思ってくれていたのだ……
盗賊(いや、わかりたくもないけど。)
盗賊「とりあえずボクを守ってくれてありがとう」フフフ
そう言って暗く笑う少年盗賊
商人「この子誰ですか」

50 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:06:01.75 ID:6OZe/RCAO
魔法使い「僧侶ちゃんも魔王の城で見つけた女神のメイスまで装備して、やる気まんまん気合いビンビンで森に入った訳だけど。」
僧侶「だってあそこ危ない魔物がいるから子供の頃には入れなかったんだよっ」
魔法使い「まあそれは見事に空振りだったわけです。」
盗賊「あの、話を遮って申し訳ありませんが、あなたは仲間の神経を抉る趣味でもあるのですか?」
魔法使い「あります。 ありありです。」
盗賊「自分がバカなのを再確認しました」フフフ
賢者「何があったかは後で聞くので落ち着いて」アセッ
盗賊「……失礼しました……」
女剣士「とりあえず、あとで魔法使いは一発殴っとくから」
盗賊「ありがとうございます!」
商人(大変だ、わけがわからない!)
魔法使い「とりあえず痛い一発をいただくことが確定したわけだが。」
魔法使い「森には魔物が居なかった。 より上位の魔物がいたから。」
僧侶「ふかふか主様です」
僧侶「あ、間違いました! 狼です、狼主様です」
僧侶「狼の主、狼主様です」

51 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:08:28.50 ID:6OZe/RCAO
女剣士「……狼? どんな?」
魔法使い「デカい。」
女剣士「!?」
魔法使い「しゃべる。」
女剣士「!」
魔法使い「ふかふか。」
女剣士「??」
魔法使い「まあその狼主が私たちの前に現れた」
……
狼主「……久しく嗅いでない人の臭いがするかと思えば……僧侶の娘か」
僧侶「あ! ふかふか主様!」
狼主「もはやお約束になりつつあるがふかふか主ではない」
魔法使い「……でかい。 私の倍は体高がある。 魔王に並ぶ強い魔力も感じる。」
狼主「……察せるだけでも、お主は天才であろう。 その魔王に並ぶ魔力を持って幾重にも隠しておるのだが……」
目の前に立つ者が人の身を超えた実力の持ち主であることを悟った狼主は、自身の姿を明らかにした
……銀の髪、銀の狼耳、金の瞳の娘……
…その娘は、出るとこは出て、引っ込むところは引っ込み……
魔法使い「ぐぬぬ。」
銀狼の娘「……話せ」

52 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:13:24.18 ID:6OZe/RCAO
魔法使い「初の巨乳キャラで会場が沸き立つ中。」
女剣士「まて、いらんエピソード入れてくるな。 とりあえずそいつあとでシメよう」
僧侶「勇者パーティーの全力を持って!」
賢者他「」
魔法使い「では、狼主の語りから……。」
……
狼主「……なにやら殺気を感じたが」
魔法使い「なんでもない。 気のせい。」
僧侶「魔王にこてんぱんにされた記憶が蘇っただけだよ!」
狼主「? そうか」
狼主「そう言えば僧侶よ、わしが西の森に住んでいたのは覚えているかな?」
僧侶「はい! 勇者様について入っていっただけですけど、ちょっと覚えてます!」
狼主「うむ、それでな」
僧侶「?」
魔法使い「……西の森……最下級の魔物も出ない安全な森だった。」
狼主「如何にも。 わしが居るでな、下手な魔物など寄り付かんわ」
僧侶「……ではなぜ安全な西の森からこの東の森に?」
狼主「……その安全なはずの森に踏み入る魔物が増え始めたからじゃ」
狼主「これは何かある、そう思い、今この森をさ迷うておる」
魔法使い「……なるほど、反対のさらに西はタイガン王国と大河がある。 容易に魔物は攻め入れない。」
狼主「そうじゃのう」

53 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:18:30.69 ID:6OZe/RCAO
魔法使い「魔物が攻めて来る理由は東の森にあるはず、と。」
女剣士「んん? そんなはずは無いんだが……」
魔法使い「……なぜ?」
賢者「……実は、西に降りかけたところで、比較的に強い魔物の群に遭遇しました」
賢者「今のお話からすると、狼主様のテリトリーをかわし入ってくる魔物がいたと言うことになります」
魔法使い「……なんとなく絞れた気がする」
魔法使い「つまり、魔物の生息地もしくは出現箇所は東の森で間違いないと思う。」
魔法使い「東の森はヤマナミの近くまで長く海岸沿いに続く森。」
賢者「……そうか、東の森でも南端にいれば、入り口をさ迷っていた狼主様にも気取られなくて済む」
魔法使い「そこは、逆に気付いていたら潰していたかもだけど。」
魔法使い「さっきの山賊たちはヤマナミの城東の比較的に近いところ、山脈に対して西側に拠点を持っていたけど……」
賢者「それを奪われた。 そして魔物たちは、そこを拠点にヤマナミを攻めるのではなく北を攻めてきた」
女剣士「ん、つながるな。 ヤマナミで聞いた魔物の不穏な動きとは、これだったんだ」
魔法使い「……ん、じゃあ、そちらの報告を。」
賢者「わかりました」

54 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/08(水) 01:21:19.80 ID:6OZe/RCAO
中途半端ですが今回はここまでです
次は一週間くらいかかるかも知れません
遅くてすみません。
読んで下さる皆さん、ありがとうございます。

55 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/08(水) 01:46:20.13 ID:XIAnnp/Do

まってるでー

56 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/13(月) 03:03:25.82 ID:d2DZgzP7o
いいね、面白い

57 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:48:43.89 ID:M4gVK0cAO
再開します
今回で第一章終わりまで行くつもりです

58 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:50:29.90 ID:M4gVK0cAO
女剣士「さて、ヤマナミで何が起こったのか話す前にちょっと経緯を説明しようか」
魔法使い「一切説明を省いて客観的にこの世界を見てる後世の歴史家をポカーンとさせる手も。」
盗賊「黙れば?」
商人「誰ですかこの子」
賢者「まず、私は転移魔法が使えるのですが、なぜのんびり山を降りたかと言う所から話しましょうか」
魔法使い「麓の町で記録しなかったね?」
賢者「仰有る通りです」
女剣士「私が全く意味が分からない話が始まるのが分かった」
魔法使い「まあ聞けば。」
賢者「当初の我々の目的はここから最も近く、且つ協力を仰がねばならない麓の町に行く事でした」
賢者「そこで転移魔法を使えば良かったのですが、私は麓の町に立ち寄ってなかった」
魔法使い「私が送っても良かったんだけど、距離的に近いことと、後、」
賢者「盗賊君たちを護るために一晩この家にかける魔法を試行錯誤し、全魔力を投入して下さったんです」
盗賊「!」
商人「じゃあ……」
女剣士「……こいつ研究に入ると寝なくなるんだよな」
僧侶「初めて知ったのは、私が呪いに倒れた時だねえ」
盗賊「……あんな魔法見たことない」

59 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:51:49.69 ID:M4gVK0cAO
盗賊「あんな非道い魔法も見たことがない」
魔法使い「照れる。」
女剣士「死ね」ボグウ
魔法使い「痛い。」
僧侶「女剣士さんの一撃を耐える魔法使いちゃんは化け物だねっ!」
賢者「……勇者パーティーって本当に凄まじいですね(ノリもツッコミも)」
賢者「……で、麓に行くまでは歩いていくことにしたわけですが、途中でなかなかに強力な魔物の群に遭遇したこと、その前にも麓の町を襲った大群と戦っていたことから、事を急ぐべき、と、女剣士さんが即座に判断したわけです」
賢者「幸いにも私はヤマナミに行った経験は有ったので、即座にヤマナミに転移しました」

60 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:53:57.99 ID:M4gVK0cAO
女剣士「ここからはヤマナミ王との対話だな」
賢者「短い時間でしたが、恐ろしく濃い時間でしたね」
…………
女剣士「ヤマナミ王に具申致します」
ヤマナミ王「……」ウツラウツラ
女剣士「先ほど、勇者の村を襲う強力な魔物の群と遭遇しました」
ヤマナミ王「……ぐう……」
商人「……あの、ヤマナミ王陛下、眠ってませんか?」
賢者「……黙って聞いていなさい」
商人「?」
女剣士「……いつかは魔物の襲撃を受けることを懸念し、私は勇者の村を城塞化するつもりであったことも述べておきます」
賢者(女剣士さんは頭の回転は抜群に速いな……)
ヤマナミ王「うへへ……遊び人ちゃんかわゆすなあ……」グウ
若いヤマナミ王は、依然眠っているようで、ついには寝言まで飛び出す有り様であった
しかし、その場にいた大臣、メイド長、賢者、女剣士までが、それを気に止める様子もないのである
少年商人は大いに困惑していた
商人(……なんでこんな失礼な人が王様なんだろう……見たところ僕と十も違わないのに……)
女剣士「……事は急を要しますが、私の私見からヤマナミ王に以下の援助を求めたいと思っております」
ヤマナミ王「ぐう」

61 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:56:25.07 ID:M4gVK0cAO
ヤマナミ王「……みなまで申すな。 城建設に詳しい者を15人ほど遣わそう」
ヤマナミ王「……ぐう……」
ヤマナミ王「えへへ、遊び人ちゃんのお胸とってもフカフカ主」
女剣士「コロしてよろしいですか?」
ヤマナミ王「ごめん、真面目にやる」
…………
ヤマナミ王「……資金援助も人材援助も、見返りなしで無尽蔵に行おう」
女剣士「えっ!? いえっ、そこまでは」
ヤマナミ王「必要なだけ支援すると、余が言っている」
女剣士「……っ……ははぁっ!」
賢者(相変わらずの決断力……ヤマナミ王には会う度に頭が下がる……)
商人「ポカーンですよ、僕は」
大臣(ワシにしてみれば……忌々しいことだ)
ヤマナミ王「少年よ、お主は歴史に詳しいかな?」
商人「……え? いえ、少ししか」
ヤマナミ王「それほど遠い昔の話ではない」

62 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 10:57:55.54 ID:M4gVK0cAO
ヤマナミ王「まず、我々数十ある国家、…………まずこれが世界にはある」
商人「はい、確か現在国際機関に認証を受けているのは四十二国です」
ヤマナミ王「……ぐう」
商人「」
ヤマナミ王「……賢い……サトいのうお主」
商人「……光栄でございます」
ヤマナミ王「……寝るのは気にするな」
商人「気にします」
ヤマナミ王「それらが魔王と対峙した」グウ
商人「聞けよ」