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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part11
173 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:13:17.61 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「商人くんお疲れ様。」
商人「あ、魔法使いさん!」
魔法使い「こっちの方任せきりだったなって。」
商人「女剣士さんも頑張ってくれてますから大丈夫ですよ!」
商人「増築に関してはヤマナミ王から色々ご指導も受けています」
商人「大会開催の方は、僕が司会進行を務めさせていただきます」
商人「それで僧侶さんに舞台に結界を張っていただくのと、魔法使いさんに審判をしてもらいたいんです」
商人「入場者に魔物がいる可能性もありますので魔法使いさんには町の入り口で入城管理もして欲しいですが……」
魔法使い「大丈夫。」
魔法使い「商人くんがすごい。」
女剣士「めちゃ助かってます」
商人「ぼっ、僕は賢者さんに教わった通りにやってるだけでっ」
盗賊「僕も教わったけどできない……」
商人「いや、盗賊くん経済の時間はほとんど寝てたし」
盗賊「鍵を開けたりはできるけどそれ以外は武器を使えるくらい……役に立たない……」
女剣士「前にも言っただろ!」
女剣士「私たちは筋肉だと思え」
女剣士「筋肉は骨にも内臓にも脳にもなれないけど」
女剣士「それらを守るために動くことはできる!!」

174 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:14:38.51 ID:TV5Fn+xAO
女剣士「悩みが晴れないなら、何時でも訓練に応じてやるぞ!」
盗賊「……お願いします!!」
魔法使い「熱いなあ。」
魔法使い「好きだなあ、熱血。」
商人「ですねえ」
商人「もう僕じゃ盗賊くんと戦っても勝てないです」
商人「頑張ってますよ、彼も」
魔法使い「うん。」
商人「あと、屋台に入る商人ですが」
魔法使い「竜の秘薬を扱ってもらったヤマナミ王付きの商人が取り締まりしてくれる」
魔法使い「商人くんは一応これ、商業許可証の確認法を覚えてもらいたい」
魔法使い「わずかに魔力にさらすとヤマナミ王のエンブレムが浮き出す。」
商人「おお、なんかかっこいい!」
魔法使い(あ、ちゃんと子供だった。 良かった。)
魔法使い「そうだ、盗賊くんに頼んでたことがあるの忘れてた。」
商人「なんですか?」
魔法使い「城塞で死角になるところを探してもらってた。」
商人「確かに闇取引なんかされたら困りますよね」
魔法使い「内政は私の仕事だからね。」
魔法使い「法律はヤマナミ法に基づいた地方法を賢者さんが詰めてくれてるし、」
魔法使い「私は警備計画等立てるだけ。」
商人(他にやってる仕事が多すぎです)

175 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:15:41.12 ID:TV5Fn+xAO
……そして、大会の後……

176 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:18:42.34 ID:TV5Fn+xAO
眼帯「魔王様、長らくご無沙汰しておりました」
魔王「うん、気にするな」
魔王「そもそもお前は聖獣の類で、オレらに味方する必要もないんだろ?」
眼帯「!どこでそれを?」
魔王「狼主に聞いた」
眼帯「……あやつが……」
眼帯「あ、そうだ、そこのオカマ」
オカマ「ビクッ」
眼帯「お主魔王様に色目を使っておったろう……」メラメラ
オカマ「だっていい男なんですものっ」
眼帯「……認めざるを得まい」ポッ
魔王「は、ハーレムなのに嬉しくない……だ……と……」
魔王「と……とにかく、魔王軍全軍に通達する」
魔王「我らはオリファンの同盟国、コトーの国の王とその眷族とする」
魔王「我らは今日より人類の味方である!」
魔王「くれぐれも肝に銘じておけい!」
魔物たち「ははあっ!!」
魔王「我らが任務は、逆賊、土の四天王の封印である!」
魔王「各自死力を尽くし我に従い、逆賊を討てい!!」
魔物たち「ははあっ!!」
魔法使い「すげぇ統制力じゃないの。」
魔物たち「!?」
魔王「皆の者、臆するな、彼女が我らの盟友、魔法使い殿である」
魔物たち「ははっ!」

177 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:19:53.95 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「……」ダキッ
魔王「///」ポッ
オカマ「そういう関係なんですかああああ」
眼帯「きさまああああ」
妖精「ボクらの萌えキャラがああああ」
魔王「お前ら死刑にするぞ」
魔物たち「すみません」
魔王「魔法使いも遊ばないで欲しい」
魔法使い「うん。」
魔王「竜たちが来たことでウチの戦力も増した、土の四天王の力も推測は立つ」
魔法使い「負ける心配がないと言う状況にはいかなる戦争もならない。」
魔法使い「だから皆ギリギリまで対策を練り、自軍の強化に努めて欲しい。」
魔物たち「了解しました!」
魔法使い「可愛い。」
オカマ「ほんとにぃいいい?!」
魔法使い「オカマ以外。」
オカマ「ガッデム!!」
魔王「四天王以外は一旦ヤマナミ東砦に戻り、東の森に先制攻撃をかけるために準備しておけ! 指揮は竜!」
魔王「気合いを入れよ!」
魔物たち「オオオオオ!!」
魔法使い「準備が整えば帰ってきてね。」
魔法使い「あと、私がいない場合こちらの賢者くんが総指揮を務める。」
賢者「よろしくお願いします」


178 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:23:45.38 ID:TV5Fn+xAO
…………
商人「今回祭りで集まった冒険者の皆さんの中から、我らの城塞都市開発に協力して下さる方は、自発的に北の森に宿営地を設けて協力してくれます」
魔法使い「戦力も開発人員も大幅アップだね。」
商人「あくまでもボランティアなので給金は必要有りませんが、生活物資補給などはこちらがやることになっています」
商人「あと、ギルドを創設して仕事を冒険者の皆さんに分配します」
魔法使い「助かる。 物資はヤマナミ王からも受けられる。」
魔法使い「それから住居の建設に当てて、ヤマナミ王から派遣された大工二千人も班を分けそれぞれ仕事をしてもらう。」
魔法使い「人員の配分は女剣士、賢者くんに任せているので、要望があれば随時そちらに。」
…………
魔法使い「……さて、仕事はだいたい終わったかな?」
魔法使い「……疲れた。」
魔法使い「後は最後の実験が残っている。」
魔法使い「あと問題があっても、賢者くんがちゃんとやってくれる……」
魔法使い「ごめんね、女剣士……少し休むね」
町の外れ、盗賊が見つけたこの町の死角
北の森の外れの木の下で、小さなカプセルを飲み込んで、魔法使いは眠りについた

179 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:28:12.49 ID:TV5Fn+xAO
???「……なんだあいつ」
???「こんな外れになにが……?」
???「ん?……寝てやがる」
傭兵「ちょっと油断しすぎなんじゃねえか?」
傭兵(勇者パーティーを暗殺する際、最も気をつけなくてはならないこと)
傭兵(こいつの頭脳と僧侶の蘇生術……)
傭兵(蘇生術を防ぐためには、毒を使う)
傭兵(強力な毒の中には、蘇生術をもってしても解毒できないものがある)
傭兵(大量には必要ない)
傭兵(わずかにかすり傷をつけるだけ)
傭兵(難しい話じゃ、ねえ)
傭兵(……よく寝てやがる)
傭兵は、静かに、毒のナイフで、魔法使いの胸元に、
傷をつけた…………
……死に至る毒が静かに魔法使いの体を埋め尽くす……

180 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:30:34.55 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔法使いは夢を見ていた
…………
妹「おねえちゃん、このえほん、読んで!」
魔法使い「いいよ、さあこっちおいで」
妹「わあいっ!」
…………
魔法使い「かくして、勇者は魔王を倒し、世界には平和が訪れたのでした」
妹「やったあ、勇者さまっ!」
妹「あたしねえ、勇者さまのパーティーに入って魔王たおす!」
魔法使い「今の勇者様は魔王軍の大半を倒した後に、子供が生まれたからどこかでその子を匿ってるらしいよ」
魔法使い「新しい勇者様のパーティーになら、妹も入れるかもね」
妹「やったあ!」
…………
女剣士「パパ、ママ!この荷物ここでいい?」
魔法使い(うわあ、一人でタンス持ってる)
これが魔法使いと女剣士の出会いであった
…………
女剣士「その子がね、すごく可愛いの! 姉妹でね!」
弟「ボクも遊んでもらったよ!」
パパ「そりゃ良かったなあ」
ママ「あそこのお家の方、確か国立図書館の司書をされている方よ」
パパ「ああ、あの大きな家の……」
ママ「お友達もできて、この街に来て良かったわね」
…………

181 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:32:00.43 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「じゃああなたはニシハテから来たの? 山越え大変だったでしょ」
女剣士「馬車だからね、大変なのは馬の方」
弟「ぼくね、ちっとも眠くなかったよ!」
女剣士「えらいえらいっ」
魔法使い「可愛いなあ……」
女剣士「君の妹も可愛いよね!」
妹「ありがとう、おねえちゃん!」
魔法使い「これからよろしくね! 何かあったら相談して!」
女剣士「ありがとう、すぐ行くかも!」アハッ
二人は年も近く、すぐに友達になることができた
妹と弟も仲が良く、二人で二つの家を大冒険したりしていた
…………
弟「この家すごくたくさん本があるねっ」
魔法使い「一万冊くらいかな? お父さんの趣味でね」
妹「お姉ちゃんは全部読んだ?」
魔法使い「内容は覚えてないけど、読んでない本は新刊以外は無いかな?」
妹「すごおい!」
弟「お姉ちゃん賢者になれるんじゃない?」
魔法使い「あはは、無理だよ、私なんか……」
…………
女剣士「はあっ! いいぃっやあっ!」
パパ「甘いっ!」
女剣士「うわあっ」
魔法使い「わあっ、何やってるの!」
魔法使い「パパさんもひどいっ! 女剣士は女の子なのに……」

182 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:33:56.40 ID:TV5Fn+xAO
女剣士「……いや、私が頼んだんだ」
女剣士「私、弟を守るために強くならなきゃ……」
魔法使い「なんで!?」
パパ「……この子が小さい頃、弟が大怪我をしてね……」
女剣士「……」
パパ「あれはこの子のせいではない、街に迷い込んだ魔物が暴れて……」
女剣士「……私が……、私が強かったら怪我しなかったんだもん……」
魔法使い「……」
…………
女剣士「私になんの用?」
魔法使いは、自身の家の書斎で女剣士を待っていた
魔法使い「私、魔法を習いだしたのよ」
普段、本などに触れない女剣士にとって、夕日に照らされる書斎はなんとも言えない圧力を放っていた
魔法使い「いい?」
魔法使い「私は大魔法使いになる! そしてあなたを守る!」
魔法使い「だからあなたは無理をしないで!」
女剣士「え…………」
女剣士「ん……」
女剣士「ごめん」ウウッ
女剣士「うああ……」
魔法使い「……」ギュッ
魔法使いは、可愛い幼なじみを、強く抱きしめた

183 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:35:54.84 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔法使いは、その日、可愛い妹と幼なじみ、その弟のために、ケーキの材料を買い出しに出かけていた
……ゴウン……
始めは、大きな岩が滑り落ちたような音がした
ゴン……ゴォン……
魔王の使い「進軍せよ!」
魔王の使い「勇者の生まれた街を焼き尽くすのだ!」
…………
魔法使い「はあっ、はあっ、はあっ…………」
魔法使い「……た、大変!」
魔法使いは複雑に入り組んだ始まりの街、家までおよそ二キロの道を走り出した……
…………
女剣士「……くそっ、こんな大きな街を攻めてくるなんてっ!」
街の外の森でトレーニングをしていた女剣士は、街を走り、自宅への道を同じく急いでいた
…………
魔法使いは家につく直前、道の真ん中に見慣れた服が落ちているのに気付いた
それは
魔法使い「……妹……」
魔法使い「……いや……いやあああああっ!!!」

184 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:39:01.26 ID:TV5Fn+xAO
女剣士は家に向かい走った
途中で何度か街に火を放つ魔物に遭遇したが、本隊から遠いのか、どれもそれほど手強くはなかった
女剣士「家が……」
魔物たちが放った魔法の火は、恐ろしい勢いで広がり、女剣士の家からも高い炎が上がっていた
その家から、燃え盛る固まりが転がり出す…………
女剣士「…………!」
女剣士「……嘘っ……いやああっ!!」
女剣士「うわああああっ!弟!弟ー!!」
女剣士は持っていた荷物でその火を消そうとするが消えない
消えない。
消えない。
やっと消えた時には、彼はすでに息絶えていた
女剣士「う……うわああああっ!!」
…………
魔法使い「ひゃあはっはははっ!!」
女剣士「……!」
女剣士「魔法使い!」
魔法使いは自分の家の書斎で、本棚に火球を浴びせていた
魔法使い「ひゃはっ!あはははっ!」
魔法使い「燃えろ燃えろ!」
魔法使い「私を燃やせっ!」
魔法使い「うわあああああっ!」
「うわあああああっ!!」
女剣士「魔法使い!」
魔法使い「うわああっ」
女剣士「魔法使いぃ!!」
パシン……
魔法使い「妹……妹があっ……」

185 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:41:23.10 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「もういや」
魔法使い「いやなのぉ……」
魔法使い「もういやあ……。」
魔法使い「死にたいの、死なせてえっ」
女剣士「死なせないっ」
女剣士「私の弟も死んだ!」
女剣士「あんたにまで死なれたらっ」
女剣士「……死なないでよお……」
女剣士「……私の……私のために」
女剣士「私を……死ぬ前に私を助けてくれ……」
…………
思い出しちゃった
やだなあ
みっともないなあ
女剣士が可哀想……
弟ちゃんが可哀想……
妹が可哀想……
思い出したくないからあんまり寝れなかったのにな……
もう十分助けられたかな?
女剣士……
魔法使いの胸元に傷をつけたナイフには、神経毒や麻薬などが仕込まれていた
痛みより、少しの高揚感のあと、指先からゆっくりと全身が痺れる
やがてゆっくりと……
魔法使いの心臓は、止まった