百物語2015
Part13
242 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:26:43.97 ID:slHZZ5U50
【67話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『玄関の絵』
これが今回最後の話です。宿舎の正面昇降口には、ずっと靴棚が並んでいて、
その上に大きな絵が飾られてあるんです。
わたしは美術はあまり詳しくないんで、何号とかはわかりませんが、
2m×2mもあるようなものです。油絵でして、寄贈品なんです。
これを描いたのが、この○○の家の初代の所長さんです。
元は中学校の美術の先生で、校長で退職してからここの所長になったんです。
山が好きな人で、施設まわりをよく歩き回っていたそうですよ。
で、この絵の題材が、山の中にあるダム湖なんですが、
実際にスケッチしたものを元に油絵に仕上げたんです。
施設の東の方面、数km離れたところにあるダム湖ですね。
その下には、数十件の世帯でしたが、小集落が沈んでいるんです。
いえ、すべてダム造成のときに立ち退いていただいて、
たいそうなお金をもらっ街中に移ってったはずです。
その工事のときに死者が出たって話もありませんでした。
だからね、この絵が祟る理由なんて一つもないんです。
243 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:36:32.85 ID:AgCPeYID0
なのにねえ、これも年に数回のことなんですが、
朝になると絵の前のコンクリの床が濡れていることがあるんです。
そこは昇降口だし、生徒が来ているときには泥足で踏むところですから、
濡れても別にかまわないんですが、施設に宿泊者がないときでも
それが起きるんです。ねえ、考えられないですよね。
まさか絵の中のダム湖の水がこぼれてくるわけはなし。
ある晩、これも宿直のときでした。
照明をつけては消ししながら、宿舎内を回っていたんです。
でね、ここの昇降口は最後のほうになるんです。
異常なし、と思って照明を消そうとしたとき、ボコッボコッという、
泡が弾けるような音が聞こえたんです。壁の絵のほうからでした。
そっちに懐中電灯を向けると、絵の中央の表面が盛り上がってました。
あのほら、2つ目の話で出てきたお面ですよ。
あれが絵の中から浮き上がるようにして出てきていたんです。
同じものだと思いましたね。ただ、目の穴の中は空洞で黒々としていました。
そのときは動けなかったです。呆然と見ていると、面はあるとこまで出てきて止まり、
横長の口の穴から大量の水を吐いて、そして引っ込んでいったんです。
絵の表面は元のダム湖の油絵のままで、何の痕もなかったですよ。
(終)
245 :ぺそ ◆qyVZC3tLJo :2015/08/30(日) 03:39:23.94 ID:5Ask03Be0
『今の出来事』
今現在起こっている出来事。
21話で我が家にいるであろう誰かの話をしました。
それからです。
2階を走り回る音、今までなかった電気をつけたり消したりする音(これは見に行きましたが本当についたり消えたり)
階段の上り下り、私がいるのに換気扇が回る、エアコンついてないのに寒い・・・・
おまけに胃痛がすごいです。
見世物みたいに扱われて怒っているのか、ヒャッホー状態なのか・・・・
でも私はいいたい。邪険になど扱ってないことを。
共存を認めていることを。
なので深夜は静かにしてください。
そして胃痛を治めてください、お願いします。
おわり
247 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:41:47.26 ID:AgCPeYID0
【69話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『隠れ里』
結婚時代の話です
夫の実家は私の田舎よりさらに田舎(高速道路もまだでした)
けれど古い歴史だけはある山奥でした
そんな夫の実家で初めての正月を迎えた時の話です
夫の家は先祖が武士だったらしく、姫をかばって山奥に隠れ住んだとの事
その末裔だとかいう話を上の空で聞いていました
夫の祖母が「生まれた村に私の親神様がある、あんたを新しい嫁として紹介したい」
との事で夫も初めての廃村である祖母の生まれ故郷に行くことになりました
確か午前中に出発しました
地図のうえでは隣の村で、地図明記はただの山地で祖母の記憶だけを頼りに
車も通れるのか?という獣道(舗装されていない)を一時間もかけてグルグルと向かいました
途中で霧のようなのも出てきて視界も悪くなり崖も多くて危険でした
印象的だったのは、奥の山のところどころに赤い布きれが巻かれていました
人気もなく生き物の気配がしない場所に突然と崩れかけた木造の建物が見えました
数はそんなに多くなかったと思います、ボロボロの家
見た時に「えっ?ここに降りるの?」と怖くなってしまいました
248 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:42:33.02 ID:AgCPeYID0
昼過ぎ暗いなのに霧と青い光で気味悪く、まるでホラー映画みたいだと思いました
人はいないのに人が住んでいた感じで、昭和より古いというか、家具とかも割れた窓から見えました
戸口も横開きの木の板で土間とかまども見えたのですが、かまどに木がつっこまれたまんまでした
祖母いわく国の命令で手荷物だけしか持って行けなかったそうです
私が「ここに降りるの?」とこわごわと聞くと祖母は「降りちゃなんねえ降りなくていい」
と静かに言い、ゆっくりとそこは通り過ぎました
なんというか落ち着かない雰囲気で帰れるのか?と冷や汗が出ましたが
祖母の故郷だし失礼な事を言ったら可哀想と思って黙っていました
少し一本道をそのまま奥に進むと、ボロボロの白い神社でよくみる白い紙が沢山ついた
縄が見えてきました
でも白い紙もボロボロで黄色がかかっており、奥に大きな木が見えました
とても大きな木で手前に小さな赤い鳥居と賽銭箱が見えましたが
「これ行っちゃダメだ」と瞬間的に口から出てしまいました
車がそこで突然エンジンが切れてしまい、私は祖母の親神様はアレだ
祖母は車から降りて行くのだろうか?と恐る恐る祖母を見ましたが
なぜか祖母は悲しげに「もういい」と言いました
霧となぜか道が雨水を含んだようにドロドロで見えにくかったのですが
白い縄の奥に木の橋がかかっており、その橋は潰れていました
とりあえず帰ろうと、何回かエンジンをかけてやっとかかり、Uターンをするために
バックでそのまま廃村集落の辺りまで戻りました
その間は私は助手席ですが前方の親神様の木の方向を見るのが嫌で夫と共に後ろを見ていました
廃村は少しくぼんだ土地にあったので、その入り口の下り坂に少し車を入れて、やっと方向転換ができました
さぁ帰るぞと私は後ろを振り返ると、誰もいないはずなのに壊れた家の一軒から
色鮮やかな着物の帯のようなのがヒラヒラと舞っていました
「え?何あれ?」と思いましたが夫に「気のせい」と言われてしまい、そのまま舗装された道路に出た時に
やっと安堵し、自分が汗ビッショリなのに気づきました
あれからあの場所には行っていません、そして行った話を誰もしません
地元の地図や歴史も調べましたが、過疎村の移動は書いてあっても、あの場所の詳しい事はわかりませんでした
(終)
250 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:44:12.72 ID:AgCPeYID0
【70話】もうやだ ◆GC4X4Nuhmk 様
『山に居たおじさん』
中学2年生の頃の話
当時俺は思春期っで母親や父親にゴミ箱の中身を見られたくなかった訳だ
んでバレずにどう処理するか考えててそこで外に捨てようって考えに至ったんだよね
んでどこに捨てようかとか考えながら親が寝てる深夜にゴミ袋をデカイ鞄に入れて静かに外出たわけよ
んで適当に歩いてたら公園があって隣に山がある場所があったわけさ
おここで適当に捨てればいいんじゃねって思ってよさげな場所探してたら
ビニールの??????て音とビニールに水を入れて振ったら出るような??????????って言う水の音がしたんだ
んで何かと思うとおじさん?お兄さん?まあ男がデカくて黒い袋担いでて そこで俺に気づいたらしく近づいてきて
「君もゴミ捨てるの?」って質問してきたんだよね
まあ見つかったし仕方ないかって思ってそうですよ〜って答えたんだがおじさんが自分のゴミと一緒に捨ててくれるって言ってくれたのね
まあ勿論そこでお願いしておじさんはまあ埋める作業に入ってたんだが俺は勿論手伝いますとも言えなくてすぐ帰ったんだよね
んで5日くらい経ってからかな?隣町の小学生?中学生?かどっちか、女子学生が深夜出歩いて誘拐されたってニュースになってたんだ
んでニュースで誘拐されたと思われる映像って言って監視カメラっぽい映像映されたんだが…
監視カメラの映像はまあ犯人は勿論真っ黒い服で誰かわかんないんだが
まあ映像の内容は殴って蹴って動かなくなって黒い袋に詰め込んで1台車が来て車が逃げていくって映像だった
ニュース見た後俺は怖かったね、あの映像で詰め込むのに使ってたのは黒くてデカい袋 あのおじさんは殺して袋に詰め込んだ女子学生をあの山のどこかに埋めたんだって
252 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:45:37.13 ID:AgCPeYID0
【71話】デッドエンド ◆JY70SElFKI 様
『六甲山』
神戸で有名な山、六甲山。友人3人と私を含め四人で夜のドライブをしていた時、老人が1人歩道を歩いていました。
こんな時間にこんな場所を歩いてるのおかしくない?と友人達と話しながらゆっくり横を通り過ぎました。
そしたら、友人のうち1人が「老人1人で道に迷ったんかも?乗せてあげた方がいいんちゃう?」と言い出しました。
私たちはどう考えてもおかしいし軍服みたいなの着てるし正直気持ち悪かったので全力で拒否しました。
翌日、職場で昨日こんなことあったと話してたら、1人の先輩がその話なんか知ってるぞ!と言い、どっかに走って行きまた走って戻ってきました。
「これ!この本のここ読んでみ!自分と同んなじ話が載ってるわ」そこには私たちと同じ体験をした人たちの話が載っていましたが、、その人たちは車に老人を乗せたみたいでそのうちの1人が行方不明になったとかなんとか書いてありました。
あの時、乗せてたらヤバイことになってたかもとゾッとした話でした。
終
254 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:47:26.52 ID:AgCPeYID0
【72話】コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『雑木林に潜む』
あるバーで、毎年夏になると怪談会が行われている。
マスターが怖い話好きで、もう何年も続いている恒例行事だ。
毎年参加させてもらっているが、選ばれた何人かの語り部が順番に話していき、
最後の方は飛び入りで参加者から語り部を募るという形式は変わらない。
今年も用意された語り部たちの話が終わり、会場は良い感じに冷え切っていた。
飛び入りの参加者を募るが、当然ながら手を挙げる人は少ない。
いつもはしばらく時間がかかるのだが、今年はすっ、と手が上がった。
五十路を少し過ぎた、がっしりとした体格の男性だった。仮にAさんとしておく。
「上手く喋れるかどうか……」と一人ごちながら、Aさんは席に着く。
もう四十年近く前の話である。
当時小学生だったAさんは、虫を捕まえるために朝早く家の近くの雑木林に出掛けたらしい。
一人じゃ危ないということで、Aさんの父親が着いてきたが、
父親的には早く帰りたい気持ちでいっぱいだっただろう。
「今となっては親父の気持ちが分かるんですよ。仕事で疲れて、朝早くから虫探しなんて……」
正気の沙汰じゃない、とAさんは苦笑いした。
「それでもその時は、そんな親父の態度が気に食わなかった。だから悪戯して困らせてやろうと思って」
Aさんは父親が見ていない隙に藪の中に隠れたそうだ。
しばらくしてAさんがいないことに気が付いた父親が声を上げ始めた。
255 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:48:28.12 ID:AgCPeYID0
ーーお父さん、困ってる困ってる
Aさんは父親の狼狽する姿を想像してほくそ笑んでいたらしい。
「最初は『しめしめ』と思っていたんですけどね、だんだん父親の声の調子が変わってきて…」
ーーお父さん怒ってる……
父親は突然居なくなった我が子を必死になって探しているのだろうが、
子供のAさんからすると「怒っている」と感じられて無理はない。
Aさんは藪の中から出るに出られなくなってしまった。
ーー出たら怒られる。
そう思いながらじっと身を縮めていると、徐々に父親の声が遠ざかっていった。
途端に辺りの音が大きくなる。遠くの方でかすかに父親が自分を探す声がする。
ーーこのまま置いて行かれたらどうしよう……
段々と心細くなってきた。
怒られるのを覚悟で声を上げようとした時、
「Aー Aー」
自分のすぐ横から声がした。
自分の名前を呼ぶ声。父親の声。
でも、それは抑揚がない。合成音のような平坦な調子で
「Aー Aー」
と繰り返す。
「……誰?」
泣きそうになりながら、Aさんが声をかけた。
256 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:49:20.35 ID:AgCPeYID0
「だれー だれー」
声が変わる。自分の声になった。
Aさんは声の正体を探して藪の中を見渡しても誰もいない。
でも自分のすぐ隣で
「だれー だれー」
と声は繰り返している。
「お父さーーん!」
耐えられなくなったAさんは藪から飛び出して、父親の声のする方に泣きながら走っていった。
大泣きしながら現れたAさんを父親が抱きかかえて宥めてくれた。
背中をさすられながら、雑木林を父親と連れ立って抜け出した。
「ーーそして、親父の車に戻りました。ずっと怖くて泣いていたんで、親父はなんとかご機嫌取ろうとしたんでしょうね。
『大丈夫大丈夫』って頭を撫でて『また来ような』って言ってくれました。
『もう来たくない』って断ろうとしたんですけどね……」
Aさんはここまで話して、難しい顔をして黙り込んだ。
「気のせいかもしれないし、もう記憶も定かじゃないんですけど……」
Aさんの父親が『また来ような』とAさんに声をかけた直後、
車の後部座席から
「またいくからー」
と、声がしたそうだ。
了
258 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:50:37.70 ID:slHZZ5U50
【73話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
「老人施設」
私の母は介護福祉士で施設で働いています
病院と一緒で人が亡くなる場所であり母も何度かみたそうです
夜勤をしていると4階のエレベータ前でよく影が出るそうです
不思議なのは黒い影ではなく白いそうで、担当者だった人には
「あ、亡くなった〇さんだ」とわかるそうです
何度か内緒でお坊さんにも来てもらい供養はして貰ったそうですが
なぜか4階だけに出るそうで、ここの職員は長持ちしないそうです
母は幼い時に色々と霊体験はしていますが本人は恐怖漫画を笑ってみるタイプ
そんな母ですので皆が4階の夜勤を嫌がる中で母だけが移動もせず働いていたそうです
そんな母ですがお盆が終わって、その当時一番懇意にしていた担当の方が亡くなられました
なんでも正月と盆を過ぎると亡くなる率が高くなるそうです
母はいつもの通り夜勤をしていると、なんとなくゾワッとした感覚になったそうで
「ああ、こりゃいるな」と思ったそうです
ですが、気にしたらダメと無視しようとすると、いつもはエレベータ前から動かない気配が
スッと母の前に出たそうです
母の体を白い影がつきぬけて母は「あっ」と思ったそうです
白い影は母が担当していた、あの患者さんだと直感でわかったそうで
その影は母の前にたち母においでおいでをしたそうです
母は「ダメ!!ちゃんと家族さんの所に行きなさい!!私は私の家族があるの〇さんダメ!!」
と必死で咄嗟に言うと、影は少し停止したあとに、小さく頭を下げて消えたそうです
流石に母もその次の週から2階に移動して貰いました
(終)
260 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:53:07.69 ID:AgCPeYID0
【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『土蔵の狸』
知り合いの話。
彼の実家には古くて立派な蔵があるそうだ。
これは、彼がまだ幼い頃のこと。
夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。
「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。
同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。
取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。
「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。
数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。
ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。
人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。
家人たちは口々に不思議だと言い合った。
ただ祖父だけは笑ってこう言った。
「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。
昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」
まだ幼かった知り合いは、
「え? あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。
彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。
家族皆に大笑いされたそうだ。
「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」
祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。
(終)
【67話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『玄関の絵』
これが今回最後の話です。宿舎の正面昇降口には、ずっと靴棚が並んでいて、
その上に大きな絵が飾られてあるんです。
わたしは美術はあまり詳しくないんで、何号とかはわかりませんが、
2m×2mもあるようなものです。油絵でして、寄贈品なんです。
これを描いたのが、この○○の家の初代の所長さんです。
元は中学校の美術の先生で、校長で退職してからここの所長になったんです。
山が好きな人で、施設まわりをよく歩き回っていたそうですよ。
で、この絵の題材が、山の中にあるダム湖なんですが、
実際にスケッチしたものを元に油絵に仕上げたんです。
施設の東の方面、数km離れたところにあるダム湖ですね。
その下には、数十件の世帯でしたが、小集落が沈んでいるんです。
いえ、すべてダム造成のときに立ち退いていただいて、
たいそうなお金をもらっ街中に移ってったはずです。
その工事のときに死者が出たって話もありませんでした。
だからね、この絵が祟る理由なんて一つもないんです。
243 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:36:32.85 ID:AgCPeYID0
なのにねえ、これも年に数回のことなんですが、
朝になると絵の前のコンクリの床が濡れていることがあるんです。
そこは昇降口だし、生徒が来ているときには泥足で踏むところですから、
濡れても別にかまわないんですが、施設に宿泊者がないときでも
それが起きるんです。ねえ、考えられないですよね。
まさか絵の中のダム湖の水がこぼれてくるわけはなし。
ある晩、これも宿直のときでした。
照明をつけては消ししながら、宿舎内を回っていたんです。
でね、ここの昇降口は最後のほうになるんです。
異常なし、と思って照明を消そうとしたとき、ボコッボコッという、
泡が弾けるような音が聞こえたんです。壁の絵のほうからでした。
そっちに懐中電灯を向けると、絵の中央の表面が盛り上がってました。
あのほら、2つ目の話で出てきたお面ですよ。
あれが絵の中から浮き上がるようにして出てきていたんです。
同じものだと思いましたね。ただ、目の穴の中は空洞で黒々としていました。
そのときは動けなかったです。呆然と見ていると、面はあるとこまで出てきて止まり、
横長の口の穴から大量の水を吐いて、そして引っ込んでいったんです。
絵の表面は元のダム湖の油絵のままで、何の痕もなかったですよ。
(終)
245 :ぺそ ◆qyVZC3tLJo :2015/08/30(日) 03:39:23.94 ID:5Ask03Be0
『今の出来事』
今現在起こっている出来事。
21話で我が家にいるであろう誰かの話をしました。
それからです。
2階を走り回る音、今までなかった電気をつけたり消したりする音(これは見に行きましたが本当についたり消えたり)
階段の上り下り、私がいるのに換気扇が回る、エアコンついてないのに寒い・・・・
おまけに胃痛がすごいです。
見世物みたいに扱われて怒っているのか、ヒャッホー状態なのか・・・・
でも私はいいたい。邪険になど扱ってないことを。
共存を認めていることを。
なので深夜は静かにしてください。
そして胃痛を治めてください、お願いします。
おわり
247 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:41:47.26 ID:AgCPeYID0
【69話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
『隠れ里』
結婚時代の話です
夫の実家は私の田舎よりさらに田舎(高速道路もまだでした)
けれど古い歴史だけはある山奥でした
そんな夫の実家で初めての正月を迎えた時の話です
夫の家は先祖が武士だったらしく、姫をかばって山奥に隠れ住んだとの事
その末裔だとかいう話を上の空で聞いていました
夫の祖母が「生まれた村に私の親神様がある、あんたを新しい嫁として紹介したい」
との事で夫も初めての廃村である祖母の生まれ故郷に行くことになりました
確か午前中に出発しました
地図のうえでは隣の村で、地図明記はただの山地で祖母の記憶だけを頼りに
車も通れるのか?という獣道(舗装されていない)を一時間もかけてグルグルと向かいました
途中で霧のようなのも出てきて視界も悪くなり崖も多くて危険でした
印象的だったのは、奥の山のところどころに赤い布きれが巻かれていました
人気もなく生き物の気配がしない場所に突然と崩れかけた木造の建物が見えました
数はそんなに多くなかったと思います、ボロボロの家
見た時に「えっ?ここに降りるの?」と怖くなってしまいました
248 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:42:33.02 ID:AgCPeYID0
昼過ぎ暗いなのに霧と青い光で気味悪く、まるでホラー映画みたいだと思いました
人はいないのに人が住んでいた感じで、昭和より古いというか、家具とかも割れた窓から見えました
戸口も横開きの木の板で土間とかまども見えたのですが、かまどに木がつっこまれたまんまでした
祖母いわく国の命令で手荷物だけしか持って行けなかったそうです
私が「ここに降りるの?」とこわごわと聞くと祖母は「降りちゃなんねえ降りなくていい」
と静かに言い、ゆっくりとそこは通り過ぎました
なんというか落ち着かない雰囲気で帰れるのか?と冷や汗が出ましたが
祖母の故郷だし失礼な事を言ったら可哀想と思って黙っていました
少し一本道をそのまま奥に進むと、ボロボロの白い神社でよくみる白い紙が沢山ついた
縄が見えてきました
でも白い紙もボロボロで黄色がかかっており、奥に大きな木が見えました
とても大きな木で手前に小さな赤い鳥居と賽銭箱が見えましたが
「これ行っちゃダメだ」と瞬間的に口から出てしまいました
車がそこで突然エンジンが切れてしまい、私は祖母の親神様はアレだ
祖母は車から降りて行くのだろうか?と恐る恐る祖母を見ましたが
なぜか祖母は悲しげに「もういい」と言いました
霧となぜか道が雨水を含んだようにドロドロで見えにくかったのですが
白い縄の奥に木の橋がかかっており、その橋は潰れていました
とりあえず帰ろうと、何回かエンジンをかけてやっとかかり、Uターンをするために
バックでそのまま廃村集落の辺りまで戻りました
その間は私は助手席ですが前方の親神様の木の方向を見るのが嫌で夫と共に後ろを見ていました
廃村は少しくぼんだ土地にあったので、その入り口の下り坂に少し車を入れて、やっと方向転換ができました
さぁ帰るぞと私は後ろを振り返ると、誰もいないはずなのに壊れた家の一軒から
色鮮やかな着物の帯のようなのがヒラヒラと舞っていました
「え?何あれ?」と思いましたが夫に「気のせい」と言われてしまい、そのまま舗装された道路に出た時に
やっと安堵し、自分が汗ビッショリなのに気づきました
あれからあの場所には行っていません、そして行った話を誰もしません
地元の地図や歴史も調べましたが、過疎村の移動は書いてあっても、あの場所の詳しい事はわかりませんでした
(終)
【70話】もうやだ ◆GC4X4Nuhmk 様
『山に居たおじさん』
中学2年生の頃の話
当時俺は思春期っで母親や父親にゴミ箱の中身を見られたくなかった訳だ
んでバレずにどう処理するか考えててそこで外に捨てようって考えに至ったんだよね
んでどこに捨てようかとか考えながら親が寝てる深夜にゴミ袋をデカイ鞄に入れて静かに外出たわけよ
んで適当に歩いてたら公園があって隣に山がある場所があったわけさ
おここで適当に捨てればいいんじゃねって思ってよさげな場所探してたら
ビニールの??????て音とビニールに水を入れて振ったら出るような??????????って言う水の音がしたんだ
んで何かと思うとおじさん?お兄さん?まあ男がデカくて黒い袋担いでて そこで俺に気づいたらしく近づいてきて
「君もゴミ捨てるの?」って質問してきたんだよね
まあ見つかったし仕方ないかって思ってそうですよ〜って答えたんだがおじさんが自分のゴミと一緒に捨ててくれるって言ってくれたのね
まあ勿論そこでお願いしておじさんはまあ埋める作業に入ってたんだが俺は勿論手伝いますとも言えなくてすぐ帰ったんだよね
んで5日くらい経ってからかな?隣町の小学生?中学生?かどっちか、女子学生が深夜出歩いて誘拐されたってニュースになってたんだ
んでニュースで誘拐されたと思われる映像って言って監視カメラっぽい映像映されたんだが…
監視カメラの映像はまあ犯人は勿論真っ黒い服で誰かわかんないんだが
まあ映像の内容は殴って蹴って動かなくなって黒い袋に詰め込んで1台車が来て車が逃げていくって映像だった
ニュース見た後俺は怖かったね、あの映像で詰め込むのに使ってたのは黒くてデカい袋 あのおじさんは殺して袋に詰め込んだ女子学生をあの山のどこかに埋めたんだって
252 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:45:37.13 ID:AgCPeYID0
【71話】デッドエンド ◆JY70SElFKI 様
『六甲山』
神戸で有名な山、六甲山。友人3人と私を含め四人で夜のドライブをしていた時、老人が1人歩道を歩いていました。
こんな時間にこんな場所を歩いてるのおかしくない?と友人達と話しながらゆっくり横を通り過ぎました。
そしたら、友人のうち1人が「老人1人で道に迷ったんかも?乗せてあげた方がいいんちゃう?」と言い出しました。
私たちはどう考えてもおかしいし軍服みたいなの着てるし正直気持ち悪かったので全力で拒否しました。
翌日、職場で昨日こんなことあったと話してたら、1人の先輩がその話なんか知ってるぞ!と言い、どっかに走って行きまた走って戻ってきました。
「これ!この本のここ読んでみ!自分と同んなじ話が載ってるわ」そこには私たちと同じ体験をした人たちの話が載っていましたが、、その人たちは車に老人を乗せたみたいでそのうちの1人が行方不明になったとかなんとか書いてありました。
あの時、乗せてたらヤバイことになってたかもとゾッとした話でした。
終
254 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:47:26.52 ID:AgCPeYID0
【72話】コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『雑木林に潜む』
あるバーで、毎年夏になると怪談会が行われている。
マスターが怖い話好きで、もう何年も続いている恒例行事だ。
毎年参加させてもらっているが、選ばれた何人かの語り部が順番に話していき、
最後の方は飛び入りで参加者から語り部を募るという形式は変わらない。
今年も用意された語り部たちの話が終わり、会場は良い感じに冷え切っていた。
飛び入りの参加者を募るが、当然ながら手を挙げる人は少ない。
いつもはしばらく時間がかかるのだが、今年はすっ、と手が上がった。
五十路を少し過ぎた、がっしりとした体格の男性だった。仮にAさんとしておく。
「上手く喋れるかどうか……」と一人ごちながら、Aさんは席に着く。
もう四十年近く前の話である。
当時小学生だったAさんは、虫を捕まえるために朝早く家の近くの雑木林に出掛けたらしい。
一人じゃ危ないということで、Aさんの父親が着いてきたが、
父親的には早く帰りたい気持ちでいっぱいだっただろう。
「今となっては親父の気持ちが分かるんですよ。仕事で疲れて、朝早くから虫探しなんて……」
正気の沙汰じゃない、とAさんは苦笑いした。
「それでもその時は、そんな親父の態度が気に食わなかった。だから悪戯して困らせてやろうと思って」
Aさんは父親が見ていない隙に藪の中に隠れたそうだ。
しばらくしてAさんがいないことに気が付いた父親が声を上げ始めた。
255 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:48:28.12 ID:AgCPeYID0
ーーお父さん、困ってる困ってる
Aさんは父親の狼狽する姿を想像してほくそ笑んでいたらしい。
「最初は『しめしめ』と思っていたんですけどね、だんだん父親の声の調子が変わってきて…」
ーーお父さん怒ってる……
父親は突然居なくなった我が子を必死になって探しているのだろうが、
子供のAさんからすると「怒っている」と感じられて無理はない。
Aさんは藪の中から出るに出られなくなってしまった。
ーー出たら怒られる。
そう思いながらじっと身を縮めていると、徐々に父親の声が遠ざかっていった。
途端に辺りの音が大きくなる。遠くの方でかすかに父親が自分を探す声がする。
ーーこのまま置いて行かれたらどうしよう……
段々と心細くなってきた。
怒られるのを覚悟で声を上げようとした時、
「Aー Aー」
自分のすぐ横から声がした。
自分の名前を呼ぶ声。父親の声。
でも、それは抑揚がない。合成音のような平坦な調子で
「Aー Aー」
と繰り返す。
「……誰?」
泣きそうになりながら、Aさんが声をかけた。
256 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:49:20.35 ID:AgCPeYID0
「だれー だれー」
声が変わる。自分の声になった。
Aさんは声の正体を探して藪の中を見渡しても誰もいない。
でも自分のすぐ隣で
「だれー だれー」
と声は繰り返している。
「お父さーーん!」
耐えられなくなったAさんは藪から飛び出して、父親の声のする方に泣きながら走っていった。
大泣きしながら現れたAさんを父親が抱きかかえて宥めてくれた。
背中をさすられながら、雑木林を父親と連れ立って抜け出した。
「ーーそして、親父の車に戻りました。ずっと怖くて泣いていたんで、親父はなんとかご機嫌取ろうとしたんでしょうね。
『大丈夫大丈夫』って頭を撫でて『また来ような』って言ってくれました。
『もう来たくない』って断ろうとしたんですけどね……」
Aさんはここまで話して、難しい顔をして黙り込んだ。
「気のせいかもしれないし、もう記憶も定かじゃないんですけど……」
Aさんの父親が『また来ような』とAさんに声をかけた直後、
車の後部座席から
「またいくからー」
と、声がしたそうだ。
了
258 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:50:37.70 ID:slHZZ5U50
【73話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様
「老人施設」
私の母は介護福祉士で施設で働いています
病院と一緒で人が亡くなる場所であり母も何度かみたそうです
夜勤をしていると4階のエレベータ前でよく影が出るそうです
不思議なのは黒い影ではなく白いそうで、担当者だった人には
「あ、亡くなった〇さんだ」とわかるそうです
何度か内緒でお坊さんにも来てもらい供養はして貰ったそうですが
なぜか4階だけに出るそうで、ここの職員は長持ちしないそうです
母は幼い時に色々と霊体験はしていますが本人は恐怖漫画を笑ってみるタイプ
そんな母ですので皆が4階の夜勤を嫌がる中で母だけが移動もせず働いていたそうです
そんな母ですがお盆が終わって、その当時一番懇意にしていた担当の方が亡くなられました
なんでも正月と盆を過ぎると亡くなる率が高くなるそうです
母はいつもの通り夜勤をしていると、なんとなくゾワッとした感覚になったそうで
「ああ、こりゃいるな」と思ったそうです
ですが、気にしたらダメと無視しようとすると、いつもはエレベータ前から動かない気配が
スッと母の前に出たそうです
母の体を白い影がつきぬけて母は「あっ」と思ったそうです
白い影は母が担当していた、あの患者さんだと直感でわかったそうで
その影は母の前にたち母においでおいでをしたそうです
母は「ダメ!!ちゃんと家族さんの所に行きなさい!!私は私の家族があるの〇さんダメ!!」
と必死で咄嗟に言うと、影は少し停止したあとに、小さく頭を下げて消えたそうです
流石に母もその次の週から2階に移動して貰いました
(終)
260 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:53:07.69 ID:AgCPeYID0
【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『土蔵の狸』
知り合いの話。
彼の実家には古くて立派な蔵があるそうだ。
これは、彼がまだ幼い頃のこと。
夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。
「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。
同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。
取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。
「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。
数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。
ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。
人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。
家人たちは口々に不思議だと言い合った。
ただ祖父だけは笑ってこう言った。
「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。
昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」
まだ幼かった知り合いは、
「え? あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。
彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。
家族皆に大笑いされたそうだ。
「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」
祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。
(終)
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