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百物語2014

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Part8
146 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX :2014/08/23(土) 23:50:10.09 ID:ALSJsfvd0
【第46話】 葛 ◆.zethFtqnU様
『肝試し』
(1/2)
先輩はよく、一番仲のいい友人と一緒に、あちこちの心霊スポットを巡っていた
でも一度も霊を見たことは無かったそうだ
そして怖いもの知らずの先輩たちは、ある日とうとう、地元にある全国的に有名な心霊スポットに足を踏み入れた
車のライトに照らされた山道は舗装されておらず、轍跡を雨水が削り、剥き出しの岩がごろごろ転がっていた
封鎖されたゲートをくぐり、道なき道を進んで辿り着いた先は、トンネルの前だった
トンネルは通れないよう、入り口にバリケードが築かれ、中を窺い知ることはできない
車を下りた時、辺りは一面の深い霧に包まれ
湿気を含んだ山の空気は、真夏であるにも関わらず身震いするほど冷たかった
深夜2時。先輩と友人は、懐中電灯を手に、辺りを散策し始めた
深い夜霧のせいか、星のまたたき一つ、月明かりさえ見えない。そしてこの霧。
先輩たちは、「今度こそ何かあるんじゃないだろうか」と期待しながら、付近をぐるりと一周した
だが期待に反して、何もなかったし、何も起こらなかった。獣の鳴き声に驚くことさえ無い
二人はガッカリしながら、悪態を吐きつつ車に戻った
運転は先輩。助手席には友人
先輩が車を発進させようとしたその時だった
車の前に、誰かが居る

147 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX :2014/08/23(土) 23:51:01.65 ID:ALSJsfvd0
(2/2)
一瞬にして、先輩の全身から冷たい汗が吹き出した
ライトに照らされ、車の前に立っていたのは、女だった
丈の長い白いワンピースから覗く足は、山中であるにも関わらず、裸足だった
俯いているのに加え、長い黒髪のせいで表情は見えない
先輩は口の中がカラカラに干上がって、身動き一つ取れない
一秒が一時間にも感じられるような長い時間。女がゆっくりと顔を上げる……
「うわあああああああ!!!!!」
突然、先輩の隣で友人が悲鳴を上げる。その声で、呪縛が解かれたように先輩が我に返った
友人は助手席で、半狂乱になって手足をばたつかせながら女を指し、先輩に向けて叫んだ
「轢(ひ)け!轢(ひ)き殺せ!!」
言われるがまま、先輩はアクセルを踏み込んだ
車が急発進し、ドンッと強い衝撃があってから、車が停まる
荒い息を繰り返し、ハンドルに寄りかかって、先輩は呼吸が落ち着くのを待った
「ハハハ……幽霊殺(や)ってやったぜ……やった……」
しばらくそうしていた先輩は、ふと気になって顔を上げた
気付くと女はいなくなっていた
だが、女が幽霊だったのなら、さっきの衝撃は何なんだろう
そしてふと気付くと、助手席の友人がいない
扉が開く音はしなかったはずだ。だとしたら、友人は何処へ……?
「……」
先輩は、何かに誘われるように車を下りた
恐怖は既になく、妙に頭が冴えていた
その時には霧は晴れていた、そして車の前方、ライトに照らされた先で、友人が冷たくなっていた
事件は警察沙汰になり、先輩は殺人の罪に問われ、刑務所に入ることになった
先輩は今でも、刑務所の中で叫び続けている
「俺じゃない!霊がアイツを殺したんだ!」
【了】

149 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX :2014/08/23(土) 23:56:38.90 ID:ALSJsfvd0
【第四十七話】はーい ◆1MYw3QRrao様
一台6人で霊感のあるDを含め6人でとある廃トンネルへ行くことになりました
トンネルの前まで着き運転手がみんなに「着いたよーほんとに中までいく?怖くない?」と、
入りたくない気持ちはわかりましたが「行くー!!大丈夫だよなにも怖くないよ」と私はワクワクしながら返事をし、
1度トンネルを通り抜けUターンをしてトンネルの真ん中でエンジンとライトを切ってクラクションを二回鳴らしました
『バンッ!バンバンバンッッ!!!』
突然車を激しく叩く音がして急いで車を走り出しました。するとDが「気持ち悪いから外の空気を吸いたい」と。
急いで車を止めみんな外に出て「さっきのなんの音だろう?怖かったー」ワイワイキャーキャー言っていたらDが
「誰か私を呼んでる!!!早く行かないと!ウワァァァア・・・・」
突然山の中へ走り出しました。そのあとを急いで追いかけて引き止めていたんですが
Dの興奮がおさまらないまま車へと連れ戻されてきました
力の強い友達がDを押さえつけ30分くらいで冷静さを取り戻しました。そのあと突然すごい速さで真っ暗な山へと走り出し
「お願い・・・・ちょっと待っててぇぇぇぇええ!!!待っててねぇぇえ!!!!!!痛いよぉおおおお」
私は急に尿意を催し真っ暗な山へ枝で足に傷をつけながら急いでみんなから見えないところまで行きおしっこしました
とてもスッキリした顔で車へ戻り山を降り明るいところへいって車をみると車内から凄い数の手形がありました。
Dの記憶はトンネルから全くないみたいです・・・・
【終わり】

151 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. :2014/08/24(日) 00:03:14.67 ID:JeOcyvlKi
【第48話】 マダム ◆eHH0iBizH6様
『函館までドライブ』
北海道の道央自動車道(高速道路)が、札幌ー苫小牧までしか無かったころの、昔の話です。
ある夏の夜、友人2人が札幌から函館までドライブに行きました。
当時、函館までは普通に運転してだいたい6時間位かかりますが、
午後9時頃に出発して現地に着いたのは午後11時半頃だったといいます。
近道があるわけではないし、時速200キロでノンストップで走ってたとしても
到底たどり着けない時間です。
道中はカーラジオを聞きながら(その時間帯にかかる番組を聴いていたので間違いがない)
飛ばすこともなく普通に走っていたそうです。
もちろん本人達が一番不思議がって、到着時間は何度も確認したそうです。
絶対にありえない事なので今でも不思議な話として心に残っています。
【了】

153 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. :2014/08/24(日) 00:07:42.05 ID:JeOcyvlKi
【 第四十九話 】怪人◆fAwBJYVS5Q様
『W駅の怪』
これは都の西北のそばにある駅構内のお手洗いでの話
24時頃、飲み会の後、大きいほうの便意をもよおした私は駅のお手洗いに駆け込みました
小さいお手洗いですが、幸いなことに洋式の個室が空いており、そこにこもりました
しかし、私が入ったすぐ後、駆け足の音がすると、一息ついて、その足音の主は私の個室の扉にどん、と寄りかかったのでした
あぁ、一足違いだったな、と思いながら用を足していました
扉の前の方には悪いけど、便の通りが悪くなかなか終わりません
そのうちどこかに行くかな、とも思っていたのですが、その方も緊急事態なのか扉の前から動きません
扉一枚隔てて、足踏みや息遣いが聞こえます
すこし苛立っているような気もします
私もなるべく早く終わらせると、
「どうも」
などとすまなそうにして、会釈しながら個室を出ました
誰もいない
「えっ」
と思わず声が出てあたりを見渡したが、もとより、お手洗いは一瞥して見渡せるような大きさである
向かいの和式個室は空で、洗面所にもだれもいない
改札口へ向かう廊下へ飛びだしたが、人影はない
気のせいかなと思い直し、洗面所へ戻り手を洗っていると、
私が入っていた個室の横にもう一つ個室があることに気付きました
なあんだ隣の個室に誰か入っていただけか、と思うのもつかの間、
よく見るとそれは大の個室ではなく、細く小さな用具入れでした
全身、総毛立ちました
私は急いでその場を立ち去りました
あのとき、あの用具入れを覗いていたらどうなっていたのか、何を見ることになったのか
今では、気のせいだったんだと自分に言い聞かせるようにしています
(了)


155 :抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s :2014/08/24(日) 00:10:38.34 ID:ZDQhoG2gi
【第五十話】 おもちゃの電話と消えた訪問者
第18話と少し似たことを私も体験いたしました。
15年以上前の話になりますが、
私の曾祖母(祖母の母)がなくなった時に起こった
不思議な現象のお話をいたします。
曾祖母が亡くなる数日前から危篤の知らせが入っていましたが
曾祖母の入院先が北海道、祖母は私達と長崎県に住んでおり、
遠方であることと、経済上の事情もあいまってすぐに向かうことは出来ませんでした。
そんなおり、17時頃、学校から帰った私が一人で留守番をしていると、
突然、物置部屋に使っている部屋から
「プルルルルル」「プルルルルル」と、電話に似た音が突然聞こえてきました。
家族の携帯電話がなっているのかと思い、
見に行きましたが、それらしいものは見当たりません。
「プルルルルル」「プルルルルル」
そもそも物置部屋に携帯電話があることがおかしいのですが、
音のする場所を探っていると、ダンボールの中で音がしています。
中を開けると弟が昔遊んでいた携帯電話型のおもちゃが鳴っていました。
何かの拍子に、ボタンが押されたんだろうな・・・そんなことを思いながら
ボタンを押して電源を切ろうとしたのですが、音が鳴り止みません。
???困っていると
1/2

156 :抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s :2014/08/24(日) 00:12:06.33 ID:ZDQhoG2gi
ガラガラガラと、隣の居間の窓が開けられた音がしました。
「Sちゃんいるかい?」とお年寄りの声が聞こえました。
Sちゃんとは祖母の名前で、町内会の人が用があって訪ねてきたのかと思い
慌てて居間に向かったのですが、誰もおらず、窓が開けっ放しになっているだけでした。。
外を伺っても誰も居ません。
おかしいな、と思いながら物置部屋に戻ると、さっきまで鳴っていたおもちゃの電話が止まっていました。
なんだったんだろう・・釈然としませんでしたが
おもちゃの電話をダンボールに戻そうとしたところ、ぞっとしました。
おもちゃは電池で動く仕組みなのですが、電池が入っていなかったのです。
ちょうど、祖母が帰ってきたので
先ほどのおもちゃと消えた訪問者の話をしました。
「実はね・・」
親戚から、先ほど曾祖母が亡くなったとの知らせがあったばかりだったそうです。
「きっと私に会いに来てくれたんだろうね」
それ以後、おもちゃの電話が鳴ることは2度とありませんでした。
あれは、虫の知らせというやつだったのでしょうか。
2/2
【了】

158 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 00:13:10.43 ID:iVpQyD8K0
【第51話】 マダム ◆eHH0iBizH6
『道路でお絵かき?』
結構昔の話になりますが
ある夏の日、夜中に友人と二人でドライブしていました。
簡素な住宅街の、上り坂の幹線道路を走っていると
前方の車道に子供がいるのが見えました。
這いつくばって、道路に何かを描いている風です。
当時は、チョークで地面や道路に落書きするなんていう
子供の遊びが珍しいものでは無かった時代です。
先ほどからこの付近を走っているのは私たちの車だけで、
対向車も後続車も見当たらず道路は閑散としてましたが
それにしても危ない。
しかもその子は、私たちの車が近づいても避けることなく
ずっと下を向いてお絵かき?を続けていました。
蛇行してその子を避けて通り過ぎましたが
まるで、周りのことは意に介さずという感じで
顔を上げるわけでもなく自分の行為に没頭しているようでした。
通り過ぎてから振り返ってもまだそこに居ました。
車が遠ざかって見えなくなりましたが
白いランニングで短パン、小学校中学年くらいの少年。。。
人通りも車通りもまったくと言っていいぐらい無いこんな路上で
しかも時刻は深夜2時過ぎ。。。
生のある人間としか見えなかったのですが
この世ならざるものだったのかも知れません。
どっちだったとしても薄ら寒い経験でした。
【了】

160 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 00:15:43.65 ID:iVpQyD8K0
【第五十二話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6 様
『気がつくと』
(1/2)
以前派遣現場で一緒に仕事をしていた福本君の話。
ある夜、福本君はずっと残業続きのクタクタの状態で、乗客もまばらな終電近い電車に転がり込んだ。
あいにく電車は各駅停車だったが、とにかく座りたかった彼は、まぁいいや、と思いながらぐったりと座席に沈み込み……
それからの記憶が無い。
どれくらい時間が経ったのかはわからない。
意識が無くなっていたのは一瞬だった様な気もする。
なんだかやたら寒くて冷え込んでいるのにふと目を冷ますと、何故かあたりは真っ暗だった。
「……え?」
反射的に寝過ごした、とハッとなったが、事態はそういう状況ではない様だった。
福本君は電車の中ではなく、どうやら屋外にいる様だった。
どこかの小さな駅のホームの様だが、全く見覚えのない駅で、しかも明かりも人の姿も全く無い、真っ暗なベンチに座っていた。
「どこだ、ここ?」
まだぼんやりとした頭のまま彼はあたりを見回したが、やはりまるで知らないところだった。
月明かりの下、腕時計を見ると、すでに午前2時を回っていた。
季節は晩秋だったがやけに寒く身体が冷え切っており、コートを身体に巻き付けてガタガタと震えた。
どうしてこんな事に、とまだ混乱しながらもとにかくどうやって帰ろうかと思っていると。
向こうの方に、改札口の様なところが見えた。
真っ暗で無人だったが、ここがどこかはわかるだろうと見に行くと、
改札口の様なところの向こうは何故か急な下り斜面になっており、コンクリートで舗装されている斜面にはレールが敷かれて、
ずっと下の方にまでレールは延びている様だった。
福本君がいたところは。

161 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 00:16:31.03 ID:iVpQyD8K0
(2/2)
某私鉄の小さな支線の、観光地になっているケーブルカーの終点だった。
福本君が乗り込んだのは地下鉄で、その私鉄とは連絡していない。
しかも、その観光地のケーブルカーは夜遅くまで動いてはいない。
「……」
福本君は自分がどうしてこんなところにいるのかさっぱりわからず、あたりをウロウロとしてみたが、
小高い山のてっぺんにある観光地の駅の周りには、
ひとけの無い真っ暗な展望台とシャッターの閉まった土産物屋と神社があるだけで、近くには人家も無い。
また、駅から下りて行こうにも、ハイキングコースの様な山道を行くしかない様だった。
夜の暗いハイキングコースを下りてゆく気力も体力も、福本君には残されていなかった。
それゆえ仕方なく、福本君は改札口の、駅員が立つボックスの中で丸くなって朝を迎えた。
それから福本君は酷く風邪をひき、高熱を出して一週間仕事を休んだ。
どうやったら真夜中にあのケーブル線の山の上の終点にたどり着けるのか。
いまだにわからないという。
【終わり】

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