百物語2013
Part51
Part1<<
Part47
Part48
Part49
Part50
Part51
Part52
Part53
Part54
Part55
>>Part100
評価する!(8197)
百物語一覧に戻る
評価する!(8197)
百物語一覧に戻る
174 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/24(土) 02:53:02.48 ID:hqzLBEKk0
【第五十一話】 成 ◆0ute.wyqdY 様 『上の階の住人』
(1/2)
友人は築十何年という古い木造アパートの一階に住んでいた
そんな彼女が引越しを決めた顛末のお話
ある日のこと
彼女はふとのどが渇き冷蔵庫を覗いた
あいにく飲み物の類は切らしており、仕方なくコンビニにでも行こうかと外へ出る
少し歩いてから、何気なくアパートを見上げた彼女は、ぞっとした
彼女の住む真上の階、真っ暗な部屋の中から、こちらを見る人影があったのだ
その影は彼女が見ているのに気付いたように、すっと姿を消した
それからもたびたび彼女はその影を見た
決まって夜外出するとき、見上げた窓の向こうに
だらしなく伸びた長髪と痩せた身体
男なのか女なのか、伸びすぎた髪に隠れて顔立ちまではわからなかった
いい加減不気味に思えてきた頃、たまたま彼女は外で大家さんとばったり会った
ちょうどいいからと、彼女は真上の部屋について聞いてみることにした
「私の上の部屋の人って、どんな人なんですか?……電気がついているところ、あまり見かけないんですけど」
尋ねると、大家さんは不思議そうに首を傾げる
「あなたが住み始める前からずっと、その部屋は空き家のはずだけど……?」
ぞわぞわとした悪寒が背を上ってきた
彼女は不審げな大家さんを無理やりに引っ張って、その部屋に入ってみることにした
175 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/24(土) 02:53:29.33 ID:hqzLBEKk0
(2/2)
大家さんがかちゃり、と鍵をひねる
中からどたどた、と足音がして、顔を見合わせた
慌てて扉を開けると、締め切っていたはずの部屋からふわりと風が吹いた
家具もない、がらんとした部屋
ベランダのガラス戸が開いている
その手前の畳の上、不釣合いな機械が並んでいた
音響機器のように見えるもの
小さな何台ものモニター
それを見て、彼女は息が止まるような気がした
モニターに写っていたのは、どれも見覚えのある景色
彼女の部屋の様子だったからだ
モニターの前に落ちたヘッドホンに、長い髪が絡みついていた
ヘッドホンが繋がった音響機器らしきものから伸びるコードは畳の下に続いていて、
床下に向けた大きなマイクと繋がっていた
耳を寄せると、知らない声が言った
「ずっと、見てたよ」
真ん中のモニターに、こちらを見る影
にやりとわらった、長髪でやせぎすの男の姿があった
【了】
【第五十一話】 成 ◆0ute.wyqdY 様 『上の階の住人』
(1/2)
友人は築十何年という古い木造アパートの一階に住んでいた
そんな彼女が引越しを決めた顛末のお話
ある日のこと
彼女はふとのどが渇き冷蔵庫を覗いた
あいにく飲み物の類は切らしており、仕方なくコンビニにでも行こうかと外へ出る
少し歩いてから、何気なくアパートを見上げた彼女は、ぞっとした
彼女の住む真上の階、真っ暗な部屋の中から、こちらを見る人影があったのだ
その影は彼女が見ているのに気付いたように、すっと姿を消した
それからもたびたび彼女はその影を見た
決まって夜外出するとき、見上げた窓の向こうに
だらしなく伸びた長髪と痩せた身体
男なのか女なのか、伸びすぎた髪に隠れて顔立ちまではわからなかった
いい加減不気味に思えてきた頃、たまたま彼女は外で大家さんとばったり会った
ちょうどいいからと、彼女は真上の部屋について聞いてみることにした
「私の上の部屋の人って、どんな人なんですか?……電気がついているところ、あまり見かけないんですけど」
尋ねると、大家さんは不思議そうに首を傾げる
「あなたが住み始める前からずっと、その部屋は空き家のはずだけど……?」
ぞわぞわとした悪寒が背を上ってきた
彼女は不審げな大家さんを無理やりに引っ張って、その部屋に入ってみることにした
175 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/24(土) 02:53:29.33 ID:hqzLBEKk0
(2/2)
大家さんがかちゃり、と鍵をひねる
中からどたどた、と足音がして、顔を見合わせた
慌てて扉を開けると、締め切っていたはずの部屋からふわりと風が吹いた
家具もない、がらんとした部屋
ベランダのガラス戸が開いている
その手前の畳の上、不釣合いな機械が並んでいた
音響機器のように見えるもの
小さな何台ものモニター
それを見て、彼女は息が止まるような気がした
モニターに写っていたのは、どれも見覚えのある景色
彼女の部屋の様子だったからだ
モニターの前に落ちたヘッドホンに、長い髪が絡みついていた
ヘッドホンが繋がった音響機器らしきものから伸びるコードは畳の下に続いていて、
床下に向けた大きなマイクと繋がっていた
耳を寄せると、知らない声が言った
「ずっと、見てたよ」
真ん中のモニターに、こちらを見る影
にやりとわらった、長髪でやせぎすの男の姿があった
【了】
百物語2013
Part1<< Part47 Part48 Part49 Part50 Part51 Part52 Part53 Part54 Part55 >>Part100
評価する!(8197)
百物語一覧に戻る
怖い系の人気記事
百物語
→記事を読む
本当に危ないところを見つけてしまった
スレタイの場所に行き知人が一人行方不明になってしまったHINA ◆PhwWyNAAxY。VIPPERに助けを求め名乗りでた◆tGLUbl280sだったが得体の知れないモノを見てから行方不明になってしまう。また、同様に名乗りでた区らしき市民 ◆34uqqSkMzsも怪しい集団を目撃する。釣りと真実が交差する物語。果たして物語の結末は・・・?
→記事を読む
短編シリーズ
→記事を読む
毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
音楽をお供に、上質な怪談を味わってみませんか?
→記事を読む
師匠シリーズ
→記事を読む
唯一の友達の性癖が理解できない。
唯一の友達に唾液を求められ、VIPPERに助けを求める>>1。しかし運が悪いことに安価は「今北産業」で、スレの存在を友達に知られてしまう。そして事は予想だにしなかった展開に…!!
→記事を読む
守護霊「ゴルゴマタギ」
かのゴルゴそっくりなマタギの守護霊が憑いている友人を持つ報告者。そしてたびたび危機に巻き込まれるが、そのゴルゴよって救われる友人。愉快な心霊話に終わるかと思いきや、事態は予想外に大きくなっていき、そして…
→記事を読む
屋根裏から変な音する。獣害に詳しいやつ来てくれ
いっそ獣害だった方が救いはあった。
→記事を読む
笑い女
あなたは最近いつ人に笑われましたか?その声は耳に残ってはいませんか?居た。居た。居た。
→記事を読む
【都市伝説】都市伝説を語る会管理人が選ぶ【50選】
→記事を読む