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百物語2011

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Part57
219 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:47:11.55 ID:78szAUOU0
・対抗意識 【1-4】
長野でのお話。
あれは高校3年の夏。時期で言えば2006年8月だったはず。
来る夏祭り(八丁原のそば祭り)に向け、祖父と共に山小屋の整理をしていた時の話である。
夕方になり、祖父は会合と言う名の宴会へ行き、僕は近くの沢へ釣りに向かった。
真夏の当時、P8時まではギリギリ何とか目視できる時間帯であった為、それまでと考えていたが
急遽振りだした雹と雷鳴轟く夕立に合い、P7時にはヒィヒィ言いながら山小屋に撤退するハメになった。
P9時前には出来上がった祖父も戻ってきた。酒のせいか、はたまた雹を浴びたのかやけに髪の薄くなった頭が
赤くなっていたのを覚えている。

220 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:49:11.47 ID:78szAUOU0
【2-4】
P10時頃になり、布団を引き就寝。
何時頃だろうか、ふとトイレに行こうとして妙な物音に気づいた。
道路に面した窓側の方から
「ガリガリ…ガリ」といった音が聞こえてくる。
ここが町中であったらギョっとしただろうが、山の中である。
動物が居て当たり前、家の中に虫や蛇が出て当たり前なこの場所では
その様な怪音も対して気にならず、トイレを終えた後に祖父に
「なんか家引っかいてる。どうする?」と聞いたところ
「あん?、追っ払え」などと言い出す。
とりあえず鼠にしてはやけに豪快な音を出しているので、狢か鼬だろうと思い、
ドン!と窓際の壁を蹴飛ばす。静かになったので戻ろうとしたらまた「ガリガリ…」。

221 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:50:21.35 ID:78szAUOU0
【3-4】
鬱陶しいので今度はドンドンドン!と連続で蹴飛ばし、静かになったところでもう1発とした時、
いきなりドゴォォン!という車がぶつかった様な大音が壁の向こうから響いた。
あまりのことにしばし固まってしまったが、慌てて祖父に報告したところ、
「自分には聞こえなかった。もしや熊か猪かもしれんからちょいと見て来い」とほざく。
さすがに嫌だったし、それ以降音もしなくなったのでそのまま寝たが、
翌日音のした付近を見ると確かに何かが壁の下をほじくった跡があった。
しかし、熊や猪、鹿といった大型動物が引っかいたような跡ではなく、猫ほどの大きさのものがほったような感じだ。

222 :りほ ◆aZ4fR7hJwM :2011/08/20(土) 01:52:16.22 ID:78szAUOU0
【4-4】
結局あの音を出したのが何であったのかは未だ解らない。
ただ、思い返せばあれだけの轟音にもかかわらず、壁や窓は一切揺れることが無かった。
本当に音だけ。
ただ、幸いにも翌年からは自分が車の免許を所得したので、
祭りの会合後も小屋に泊まることも無くなった。
しかし、また同じような怪音に遭遇したときには、負けないようにロケット花火でもぶっ放してやろうと決めた夏であった。
〜終〜

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