百物語2012
Part52
Part1<<
Part48
Part49
Part50
Part51
Part52
Part53
Part54
Part55
Part56
>>Part100
評価する!(8192)
百物語一覧に戻る
評価する!(8192)
百物語一覧に戻る
176 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:27:28.31 ID:jvZ3IDbu0
鏡◆6CsOFCfHco さん 『父の実家』
(1/3)
父方の実家は少し有名な観光地にある。
穏やかで、豊かな自然。
疲れを癒しに人々がくるような所。
田舎が嫌で都会へ来た父と父の兄弟。
だけど父は年に一回は家族をつれて祖父母の元へ連れて行ってくれた。
やがて祖父は病死、祖母は独居で10年頑張ったけど認知症になり、父の弟の家へ引き取られた後、施設へ。
父の実家は空き家となった。地元の親戚が時々来て綺麗にしてくれたが、その親戚も亡くなった。
元から父の兄弟達は家を処分しよう、と言っていたが、父だけが反対していた。
父のワガママに付き合う形で、私達が家を管理することになった。
暇な学生の私や父母が年に1〜2回、大掃除しに父の実家へ行く。
ある年、そろそろあの家を処分なりした方がいいのかなと父がこぼした。
私と母は密かに旅行気分だったので少しガッカリ。
そしてその夏にまた家族で掃除に行った。
いつもの様に木の棒を持って鍵を開け、蜘蛛の巣を巻き取りながら中へ入っていく。
177 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:28:27.09 ID:jvZ3IDbu0
(2/3)
「ひゃ」
勝手口から入った母の小さな悲鳴が聞こえたのち「ちょっと大変!」叫んだ。
何事かと母の元へ行ってみたら…食卓にホカホカの食事が用意されていた。私と父は呆然。
「ど、泥棒!」やっと私が叫ぶと父がはっとしたように家中の鍵や窓を確認しに行った。
母は警察を呼ばないと!と外へ。
一人残った私はまじまじと食卓を眺めていた。
煮物に味噌汁と白米。質素だけど、私にはとてもおいしそうに見えた。
台所におかれた古い鍋から湯気が出ている。
しばらくして父が家の奥から、携帯でなにやら話しながら台所へ来た。
ばあちゃんから電話、と携帯を渡された。
「もしもし、電話変わったよ。ばあちゃん元気?」努めて明るく聞いたが、
「飯の時間だよ」と言われて固まった。
「飯の時間だよ」もう一度言われた時には携帯をほうりなげてた。
父が慌てて携帯を拾い、また電話するから、と電話を切った。
恐らく真っ青になっているだろう私の顔を見て、父は何も言わなかった。
178 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:29:22.33 ID:jvZ3IDbu0
(3/3)
食卓には七人分の食事。
大人の食事が六人分、小さな子供一人分。
そのうち警察が来た。金品などはないし、盗まれたものもない。
食事は捨てた。勿体無かった。
父が言うには、父の兄が祖母の施設を訪れた際、私に電話してくれと祖母に頼まれて父に掛けてきたらしい。
父の兄弟は5人。
うち一人は幼児の頃に病気で亡くなっている。祖父母と合わせてちょうど七人。
不法侵入者が偶然に人数分作ったのか…
それともまさか、認知症の祖母が?だとしても何故父に言わず私に伝えたのだろうか。
どのみち、この謎はこのまま迷宮入りになるんだろうと思う。
来週また掃除へ行く。
【了】
鏡◆6CsOFCfHco さん 『父の実家』
(1/3)
父方の実家は少し有名な観光地にある。
穏やかで、豊かな自然。
疲れを癒しに人々がくるような所。
田舎が嫌で都会へ来た父と父の兄弟。
だけど父は年に一回は家族をつれて祖父母の元へ連れて行ってくれた。
やがて祖父は病死、祖母は独居で10年頑張ったけど認知症になり、父の弟の家へ引き取られた後、施設へ。
父の実家は空き家となった。地元の親戚が時々来て綺麗にしてくれたが、その親戚も亡くなった。
元から父の兄弟達は家を処分しよう、と言っていたが、父だけが反対していた。
父のワガママに付き合う形で、私達が家を管理することになった。
暇な学生の私や父母が年に1〜2回、大掃除しに父の実家へ行く。
ある年、そろそろあの家を処分なりした方がいいのかなと父がこぼした。
私と母は密かに旅行気分だったので少しガッカリ。
そしてその夏にまた家族で掃除に行った。
いつもの様に木の棒を持って鍵を開け、蜘蛛の巣を巻き取りながら中へ入っていく。
177 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:28:27.09 ID:jvZ3IDbu0
(2/3)
「ひゃ」
勝手口から入った母の小さな悲鳴が聞こえたのち「ちょっと大変!」叫んだ。
何事かと母の元へ行ってみたら…食卓にホカホカの食事が用意されていた。私と父は呆然。
「ど、泥棒!」やっと私が叫ぶと父がはっとしたように家中の鍵や窓を確認しに行った。
母は警察を呼ばないと!と外へ。
一人残った私はまじまじと食卓を眺めていた。
煮物に味噌汁と白米。質素だけど、私にはとてもおいしそうに見えた。
台所におかれた古い鍋から湯気が出ている。
しばらくして父が家の奥から、携帯でなにやら話しながら台所へ来た。
ばあちゃんから電話、と携帯を渡された。
「もしもし、電話変わったよ。ばあちゃん元気?」努めて明るく聞いたが、
「飯の時間だよ」と言われて固まった。
「飯の時間だよ」もう一度言われた時には携帯をほうりなげてた。
父が慌てて携帯を拾い、また電話するから、と電話を切った。
恐らく真っ青になっているだろう私の顔を見て、父は何も言わなかった。
178 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/19(日) 01:29:22.33 ID:jvZ3IDbu0
(3/3)
食卓には七人分の食事。
大人の食事が六人分、小さな子供一人分。
そのうち警察が来た。金品などはないし、盗まれたものもない。
食事は捨てた。勿体無かった。
父が言うには、父の兄が祖母の施設を訪れた際、私に電話してくれと祖母に頼まれて父に掛けてきたらしい。
父の兄弟は5人。
うち一人は幼児の頃に病気で亡くなっている。祖父母と合わせてちょうど七人。
不法侵入者が偶然に人数分作ったのか…
それともまさか、認知症の祖母が?だとしても何故父に言わず私に伝えたのだろうか。
どのみち、この謎はこのまま迷宮入りになるんだろうと思う。
来週また掃除へ行く。
【了】
百物語2012
Part1<< Part48 Part49 Part50 Part51 Part52 Part53 Part54 Part55 Part56 >>Part100
評価する!(8192)
百物語一覧に戻る
怖い系の人気記事
百物語
→記事を読む
本当に危ないところを見つけてしまった
スレタイの場所に行き知人が一人行方不明になってしまったHINA ◆PhwWyNAAxY。VIPPERに助けを求め名乗りでた◆tGLUbl280sだったが得体の知れないモノを見てから行方不明になってしまう。また、同様に名乗りでた区らしき市民 ◆34uqqSkMzsも怪しい集団を目撃する。釣りと真実が交差する物語。果たして物語の結末は・・・?
→記事を読む
短編シリーズ
→記事を読む
毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
音楽をお供に、上質な怪談を味わってみませんか?
→記事を読む
師匠シリーズ
→記事を読む
唯一の友達の性癖が理解できない。
唯一の友達に唾液を求められ、VIPPERに助けを求める>>1。しかし運が悪いことに安価は「今北産業」で、スレの存在を友達に知られてしまう。そして事は予想だにしなかった展開に…!!
→記事を読む
守護霊「ゴルゴマタギ」
かのゴルゴそっくりなマタギの守護霊が憑いている友人を持つ報告者。そしてたびたび危機に巻き込まれるが、そのゴルゴよって救われる友人。愉快な心霊話に終わるかと思いきや、事態は予想外に大きくなっていき、そして…
→記事を読む
屋根裏から変な音する。獣害に詳しいやつ来てくれ
いっそ獣害だった方が救いはあった。
→記事を読む
笑い女
あなたは最近いつ人に笑われましたか?その声は耳に残ってはいませんか?居た。居た。居た。
→記事を読む
【都市伝説】都市伝説を語る会管理人が選ぶ【50選】
→記事を読む