百物語 第一回
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287 :ウメシロ ◆cZqB0mbJg2 :2006/07/23(日) 02:23:15 ID:bDzohvbj0
第四十四話 葬式写真
学生時代の友人から急に電話があった。
記憶の中では彼女は気丈な子だったが、そのときは声が弱々しく震えていた。
「うちの父親のことなんだけど」
その切り出しに、私は思わず居住まいを正す。
彼女のお父さんは2〜3ヶ月前に亡くなったという知らせを聞いていた。
今どき珍しく、彼女は父親っ子だった。
話の先を促したが、電話では伝え難いことらしい。
数日後、話を聞くために喫茶店で彼女と会った。
もともと細い子だったが、少し頬がこけたようだった。
他愛のない近況報告ののち、おもむろに彼女は一枚の写真を取り出した。
中年女性が2人と、若い女性と彼女の4人が写っている。
みな喪服姿だった。彼女とその姉、母親、叔母らしい。
「父親のお葬式のときの写真だと思う。」
288 :ウメシロ ◆cZqB0mbJg2 :2006/07/23(日) 02:23:50 ID:bDzohvbj0
(続き)
彼女はそれきり何も言わなかったが、一目でその写真の異常さはわかった。
一様に俯き、目を赤く腫らしている女性たちの中で、彼女だけが笑っていた。
それも満面の笑みで。
その曇り一つない笑顔は、なぜか非常に禍々しいものだった。
ふと、どうしてこんな写真が存在するんだろう、と疑問に思った。
葬式の日に写真なんて撮るものだろうか。
その写真は彼女の父親の遺影がバックに小さく写っている。
その前景として彼女以外の3人はバラバラのほうを向いて、動き回ってるようだった。
忙しそうな様子から察するに、葬式の最中ではなく前後だろう。
彼女だけがカメラ目線。
「これは誰が撮ったの?」
わからない、と言って彼女は首を横にふった。
【完】
第四十四話 葬式写真
学生時代の友人から急に電話があった。
記憶の中では彼女は気丈な子だったが、そのときは声が弱々しく震えていた。
「うちの父親のことなんだけど」
その切り出しに、私は思わず居住まいを正す。
彼女のお父さんは2〜3ヶ月前に亡くなったという知らせを聞いていた。
今どき珍しく、彼女は父親っ子だった。
話の先を促したが、電話では伝え難いことらしい。
数日後、話を聞くために喫茶店で彼女と会った。
もともと細い子だったが、少し頬がこけたようだった。
他愛のない近況報告ののち、おもむろに彼女は一枚の写真を取り出した。
中年女性が2人と、若い女性と彼女の4人が写っている。
みな喪服姿だった。彼女とその姉、母親、叔母らしい。
「父親のお葬式のときの写真だと思う。」
288 :ウメシロ ◆cZqB0mbJg2 :2006/07/23(日) 02:23:50 ID:bDzohvbj0
(続き)
彼女はそれきり何も言わなかったが、一目でその写真の異常さはわかった。
一様に俯き、目を赤く腫らしている女性たちの中で、彼女だけが笑っていた。
それも満面の笑みで。
その曇り一つない笑顔は、なぜか非常に禍々しいものだった。
ふと、どうしてこんな写真が存在するんだろう、と疑問に思った。
葬式の日に写真なんて撮るものだろうか。
その写真は彼女の父親の遺影がバックに小さく写っている。
その前景として彼女以外の3人はバラバラのほうを向いて、動き回ってるようだった。
忙しそうな様子から察するに、葬式の最中ではなく前後だろう。
彼女だけがカメラ目線。
「これは誰が撮ったの?」
わからない、と言って彼女は首を横にふった。
【完】
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