2chまとめサイトモバイル

クズの俺が父親になった話

Facebook Twitter LINE はてなブックマーク
Part14
212 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 00:59:02.10 ID:JjzRc+udO.net
何より俺が一番不安だったのは、ハルの安全面だった。
日課の散歩での出来事。
車道に一匹のカエル。
恐らくそばの池から移動してきたんだろう。
急に俺の手を振り解き、道路に飛び出すハル。
あっ、危ない!
急ブレーキの音で一瞬血の気がひいた。

214 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:01:12.31 ID:JjzRc+udO.net
ハルから僅か2メートル先で車は急停車。
本当に危なかった。
ハルは車が来たことなんて気にせず、そのカエルを手でもちフラフラと池まで歩いていった。
運転手さんに謝ってハルの元へ。
俺「ハル危ないだろ?
車にひかれるとこだったぞ。」

215 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:02:17.08 ID:JjzRc+udO.net
ハル「カエルさん大丈夫だよw」
笑顔で俺を見るハル。
俺「ハルは大丈夫かもしれなかったんだよ。
道路に飛び出したら危険なんだからな。痛いじゃ済まないだろ?」
ハルはキョトンとした顔で俺を見る。

216 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:03:18.43 ID:JjzRc+udO.net
ハル「カエルさんは痛くてもいいの?」
俺「よくないよ。
でも、ハルが死んじゃったらパパ悲しいだろ?」
ハル「カエルさんが死んじゃってもいいの?」
俺「パパはハルもカエルさんも死んでほしくないんだよ。」
ハル「カエルさん死ぬのいやー」
泣き出すハル。
どうやらハルは、昆虫や小動物。
小さな命は守らないといけない。
そう思っているんだ。
間違いではないんだけどな。
ハルはその受け取り方が少し違ってた。

217 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:04:27.91 ID:JjzRc+udO.net
その件以来、トラウマになってしまった。
小学校は保育園とは違う。
四六時中先生がそばにいるわけじゃない。
危険な場所もたくさんあるんだ。
もしハルが通常の小学校に通うことを考えると、気が気でなくなる。
俺の中では、特別支援学校にするべきだ。と答えが出ていた。
必ず一人担当の先生もいる。
送り迎えだってバスできちんとしてくれるんだ。
そばにいれない間は、やはり安心できる場所にハルを預けたい。
そう考えていた。


218 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:09:48.75 ID:JjzRc+udO.net
佐々木先生には自分の気持ちを正直に伝えた。
佐々木先生「ハルちゃんはこれから成長していくにあたって、たくさん壁にぶつかると思うんです。
それを支えるのがお父さんであって、私たちまわりにいる大人なんだと思います。」
俺「はい」

219 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:10:49.12 ID:JjzRc+udO.net
佐々木先生「環境が変われば、誰だって不安になるもんですよ。
それでも自立するために、みんな挑戦していくんですよねw」
ニッコリ笑う佐々木先生。

220 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:12:19.16 ID:oZyARogm0.net
悩ましいね

221 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:12:40.47 ID:JjzRc+udO.net
佐々木先生「ハルちゃんにとって、今成長の過程で一番大事な時期なのかもしれませんね!
ハルちゃんのやる気を見守ってあげるのも親の役目ですよ。」
俺「でも、俺の知らない所でハルが傷ついたりするかもって思うと…」

222 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:17:04.72 ID:JjzRc+udO.net
佐々木先生「ハルちゃんなら頑張れる。
そう信じてみませんか?
生意気言ってすいませんw」
少し気が楽になった。
俺自身がハルは他の子達と違うって区別していた部分が大きかった。
それは親として一番駄目なことなんだと気づいたような気がする。
もっとハルを信じて、成長を応援していかなければいけないな。
馬鹿みたいに悩んで本当に情けないよ。

223 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:17:18.81 ID:5p+2uvDnO.net
うちも中度の知的で自閉だけど進学はすごい悩んだな
でも普通級にいかせてよかったと思ってる
>>1頑張れ

225 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:19:02.38 ID:JjzRc+udO.net
育児サークルや発達障害の支援セミナーの人達からも、ハルにとって通常の小学校に通わすのはプラスだと後押しされ。
小学校の校長からも、様子を見ながら支援級での学習も取り入れると言われ進学を決めることにした。
親とは不思議なものだ。
自分の事以上に子供の将来を考えてしまう。

226 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:19:23.06 ID:6URIBQLO0.net
ハルくん‥
頑張れ!

227 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:20:22.71 ID:JjzRc+udO.net
そしてハルは、通常の小学校へと進学することになった。
俺もこの時、新しい挑戦をすることにしたんだ。
会社の社長から何度も正社員にならないかと言われてた。
それでも保育園の迎えなどの時間や、少しでもハルとの時間を作りたかったこともあり、
ずっと断ってきたんだ。
会社に迷惑かかるからな。

228 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:21:26.87 ID:JjzRc+udO.net
社長「そうか?
残念だな。一番期待してた若手だったのに。」
俺「すんません。
俺なりに色々考えまして、
そろそろ自分の将来もしっかり見つけようと思います。
本当にお世話になりました。
社長には助けてもらってばっかりで。
この御恩一生忘れません」
俺はお世話になった会社を辞めることにした。
それは自分のため、ハルのため。
ハルは新しいことに挑戦する。それは勇気がいることだ。
俺がいつまでもアルバイトしてるんじゃ駄目だ。
そう思った。

229 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:23:14.35 ID:6URIBQLO0.net
社長さん、もう出て来ないのか‥
いい人だったのに‥

230 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:23:23.67 ID:JjzRc+udO.net
社長「そうか。そうか。
頑張れよ。
いつでも戻ってこい。
お前は息子同然なんだからな。」
社長は泣いて見送ってくれた。
本当にいい人だよ。
本当に助けてもらった。
家も無く路頭に迷ってる俺を拾ってくれたんだ。
本当に子供のように可愛がってくれた。
いろんなことを教えてくれた。
感謝してもしきれない。

231 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:23:26.97 ID:k49oCBWR0.net
正社員になればよかったのに・・・

232 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:24:32.52 ID:JjzRc+udO.net
俺とハルは新しい1DKのマンションに引っ越した。
新規一転新しい生活が始まる。
俺はすぐ仕事が決まった。
成長したよ。
昔は何十回も面接を受けて、何一つ採用されなかったのにな。
前からずっとやってみたいと思ってた仕事だ。
堅物だけど男気のある親方のいる工務店。
見習いから修行することになったけど、将来大工になりたいと思った。

233 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:24:45.52 ID:u8k8L4qiI.net
>俺「ハルは大丈夫かもしれなかったんだよ。
??


236 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:37:59.06 ID:JjzRc+udO.net
すまん。
大丈夫じゃなかったかもだ。

234 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:28:37.77 ID:JjzRc+udO.net
昔から工作が好きだったんだ。
いつか一人前になってハルのために家を建ててやりたい。
庭にはブランコ。
ハルの部屋には俺の作った玩具や子供用の家具。
夢が膨らむ。
俺は幸せな理想の親子を想像した。
それだけで頑張れるんだ。

235 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:30:29.58 ID:JjzRc+udO.net
入学式。
大きなランドセルに制服。
ピカピカの一年生。
ハル「一年生の、松井ハルでしゅ」
家の中で何度も自己紹介の練習をするハル。
なんだか大人になったみたいで、少し誇らしい気持ちになった。
卒園式では佐々木先生とお別れってことで、先生のそばから1時間も離れず困らせてたのにな。
随分泣いて大変だった。

240 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:40:17.29 ID:JjzRc+udO.net
夏が過ぎ秋が過ぎた。
色々大変だけどハルは毎日が楽しいみたいで、小学校に通わせて良かったのかもと少し安心していた。
ハルが2年生になったある日、仕事中に学校から電話がかかってきた。

241 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:40:40.56 ID:9FhBaPen0.net
おいまさか

242 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:40:52.07 ID:G7UO6YZr0.net
やめろ

243 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:41:35.15 ID:JjzRc+udO.net
先生「お仕事中すいません。
支援級の山下です。
今日クラスのお友達が…」
俺は仕事を早上がりし、急いで学校にむかった。
職員室に着くなり、支援級の先生が俺に話しかけてきた。
山下先生「お忙しい中すいません。
今ハルちゃん、別室で担任の先生とお話中なんです。」

244 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:42:43.43 ID:JjzRc+udO.net
俺が呼び出された理由。
体育の授業があると言うことで、休み時間にみんなで移動していたそうだ。
その途中、階段から同じクラスの生徒を、ハルが突き飛ばしたと言うんだ。
被害を受けた生徒の男の子は頭を打ったそうだが、大きな怪我はしていない。
大事をとって病院に行ったらしいのだが。

245 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:43:41.21 ID:JjzRc+udO.net
まさかと思った。
ハルが誰かに危害を加えるなんて。。。
今までそんな事なかった。
ハルはそんな攻撃的な性格じゃないんだ。
俺はハルのいる別室に入った。

246 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:47:18.70 ID:JjzRc+udO.net
担任「ハル君、黙ってても先生分からないの。
何で突き飛ばしたりなんかしたの?
先生に教えてちょうだい。」
きつい口調でハルに問いかける担任。
ハルはボーっと担任の口元だけ見ている。
無表情で。

247 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:47:23.34 ID:207OpeCo0.net
待ってたよー!

248 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:49:07.19 ID:JjzRc+udO.net
俺「先生すんません。」
それを見てすぐにハルの元に詰め寄った。
担任「ハル君。
パニックになって興奮してたんですが、
ようやく落ち着きました。
クラスの友達の大(ダイ)くんを階段の上から押したそうなんですが、どうしてそんなことしたのか聞いても答えてくれなくて。」

249 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:50:08.20 ID:JjzRc+udO.net
俺「押したそうなんですがって?
先生はそばにおられなかったんですか?」
担任「えー。体育の移動は生徒のみでしますので。」
俺「じゃあ何でハルがやったって言うんです?
見たわけでもないのに。」
俺はムッとした感じで話す。

250 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:51:11.96 ID:JjzRc+udO.net
担任「他の生徒が、ハル君が押したと言ってます。
押された本人もハル君に急に押されたと言ってました。」
ただの決めつけだ。
ベテラン教師だか知らないがふざけんな。
俺「ハル?
どうした?友達が階段から落ちたんだって?
それ見てたか?」
ハルに優しく問い掛けた。
ハルは黙って首を振る。
目には大粒の涙を浮かべていた。
大分泣いたんだろう、頬に涙の後が残っていた。

251 :クズ ◆ZST.gXlq96 @\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:52:25.93 ID:JjzRc+udO.net
恐かっただろう。
ずっと質問攻めされてたのかもしれない。
一人でよく頑張った。
俺はハルの頭を撫でた。
「父親が息子を信じないでどうする」
あの日の親父の言葉が蘇る。
俺「ハルは階段から友達を突き飛ばしたりなんかしてません。
ハルがそんなことするわけありません。」
俺は歯を食いしばって言った。

252 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/07/29(火) 01:53:02.50 ID:G7UO6YZr0.net
ハルちゃんまた濡れ衣か…

感動系の人気記事

感動・ほっこり短編シリーズ

あは。いっぱいします?

貧しくツラい環境の中でも健気に前向きに暮らす彼女と、その彼女を時には兄のように時には彼氏として温かく包み込むように支える主人公。次々におこる悲しい出来事を乗り越える度に2人の絆は深まっていき…、読んでいくと悲しくて、嬉しくて、涙が滲み出てくるお話しです。

今から何十年も開かずの間だった蔵を探索する

よくある実況スレかと思いきや、蔵からはとんでもない貴重なお宝が…!誠実な>>1と彼を巡る奇跡のような縁の数々。人の縁、運命、命について考えさせられ、思わず涙するスレです

妹の結婚が決まった

両親を亡くし、男手一つで妹を育て上げてきた兄。ついに妹が結婚し、一安心したところに突然義母から「元々妹なんて存在しなかったと思ってくれ」という連絡を受けてしまう。失意のどん底に居た兄を救う為、スレ民が立ち上がる!

急に色々気づいたら、死にたいって思った

積もり積もって七転び八起き◆3iQ.E2Pax2Ivがふと考えついたのが 「死にたい」 という気持ち。そんな中、一つのスレが唯一の光を導き出してくれた。書き込みしてくれる奥様方、なにより飼い猫のチャムちゃん。最後にはー‥七転び八起きとはまさにこのこと。

番外編「I Love World」

昨日、嫁の墓参りに行ってきた

>>1と亡き嫁、そして幼馴染みの優しい三角関係。周りの人々に支えられながら、家族は前に進む。

介護の仕事をしていた俺が精神崩壊した話

介護とは何か。人を支えるとは何か。支えられるとは何か。色々考えさせるスレでした。

過去の自分に一通だけメールを送れるとしたら

永遠に戻ってくれない時間。それでも、、

多重人格 解離性同一性障害(DID)の弟君と家族の話

>>1と両親、そして弟の長年に渡る闘い。ナナミちゃん、レン、ヒロ。3人の人格を内に秘めた弟。きっかけは幼い頃>>1が起こした小さな罪からだった。僕を、あたしを、オレを、どうか怖がらないで。