カフェ
インターネットの普及していない時代、クリスマスイヴで賑わう知る人ぞ知る大人のカフェに来た1人の雰囲気のある女性何もせずずっと窓際に座り続ける女性、そしていつの間にかいなくなる女性、すると空いた店内に男性が入ってくる、女性と同じ席に座った彼と女性との関係は?そして女性と男性がカフェに来た真の理由とは?1つのカフェで起こった、不思議な夫婦の物語
177 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:42:37.36 ID:XxsAMuGo0
もうすでにおっさんなのだが投下する
長文だけどよかったら聞いてくれ
もう今から15年以上前、俺はベイエリアのとあるカフェでボーイのバイトをしてた
その店は雑居ビルの最上階にあり窓からは東京湾の夜景が見れる店
当時はネットで店の情報を探るなんてものはなかった時代
だから知る人ぞ知る、大人の隠れ家的なカフェだった
178 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:43:54.50 ID:XxsAMuGo0
その日はクリスマスイヴだった
いつもは常連が多い店もその日だけは初めて来店するカップルで賑わっていた
たしか8時をまわった頃だったと思う
女性が一人で来店した
年齢は30歳前後、髪は長めプラダのバックを持っててとても雰囲気のある女性だった
なにより抜けるように白くてきれいな肌の女性だった
「いらっしゃいませ。何名様ですか? お好きな席へどうぞ」と接客
その店のバーテンは二人ともイケメン
それ目当てに一人で来る女性は珍しくなかった
だからカウンターに行くんだろうなって見てると予想を裏切り窓際のカウンターへ
メニューを持って行くと「待ち合わせなのでオーダーは後からで」と
俺は持ち場に戻った
179 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:45:34.18 ID:XxsAMuGo0
少しずつ夜も更けてくるとカップルが一組また一組と帰って行った
こいつらこれからどっかでセクロスしまくるんだろうぐぁの妬みいっぱいになりながら接客に没頭
窓際の女性の待ち合わせ相手がまだ来てないのに気づいたのは10時を過ぎた頃だったと思う
その頃には客もまばらだった
カウンターに行きオーナーでもあるチーフバーテンダーに「あのお客さんの連れまだ来ないっすね」と話した
オーナーだけじゃなく他のボーイらもみんな気になしていた
と言うのはその女性、待つことが当たり前のように座ったままずっと窓の外を見ている
普通ならカウンターに肘をつくとか座り位置を直すとかするのにずっと同じ姿勢と同じ目線
その横顔はどこか寂しげでもあり楽しそうでもある
180 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:46:55.49 ID:XxsAMuGo0
その雰囲気は店の者みんなが声をかけにくくするのに充分だった
それから少し時間がたったころ仲間のボーイが少し慌て気味にやってきて
「あの窓際の女性、居ないんだけど」と
まさかと思い店を見渡しても姿が見えない
「トイレじゃないの?」と聞いてみたのだがそこにもいないと
いったいいつ店をでたんだ?ってことになった
すぐにチーフバーテンダーへ報告
「きっと待っても来ないとわかってこっそり帰ったんだろう」と
まあなにもオーダーをとって無かった訳だし、イヴにふられるなんて可哀そうな女性だなってことでその場は収まった
181 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:48:02.00 ID:XxsAMuGo0
その時、一人の男性が来店した
その男性も見たことない人だった
いつものようにお好きな席へと言うとその人は先ほどまで女性が座っていた窓際のカウンターへ
俺はメニューを持ってオーダーを取りに行った
「モスコミュールとローゼスのプラチナをシングルで」忘れもしない、このオーダーだった
モスコにローゼス?変な取り合わせだなと
その時思った
あ、もしかしてさっきまでここにいた女性が待ってたのはこの男なのかなと
182 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:49:21.94 ID:XxsAMuGo0
オーダーを告げた時チーフに言った
「あの人、もしかしてさっきまでいた女性が待ってた男ですかね」
「いや…どうかな。もし待たせたならもう少しあわてた素振りあってもいいだろう。こんな時間での約束ってのも変だし。」
確かにそうだった。もし遅刻して相手が居ないのなら店の中を見渡すだろう。店の人間に聞くのも普通だし。もうすぐ日付も変わるこんな時間に待ち合わせってのも変だ
チーフの答えに半ば納得した俺は男性へオーダーされた酒をもっていった
二つとも飲むと思ってた俺は男性の前にモスコとローゼスを置いた
するとその男性はモスコを誰も座っていない隣の席の前にすべらせたのだ
そして置いたままのグラスに軽く乾杯をしてローゼスを口に含んだ
何とも言えない悲しそうな表情を浮かべながら
そしてその表情のまま窓からの夜景を見ていた
183 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:50:33.50 ID:XxsAMuGo0
どおしちゃったんですかね、あの人。なんかふられたって感じでもないし」チーフに話した
「イヴだからって幸せなヤツばかりじゃないってことだろ」チーフの答えだった
日付も変わってしばらくすると店にはその男性しか居なくなった
相変わらずどこか寂しげに夜景を見ながら一人で飲んでた
チーフがカウンターから出てきてその男性のところへ
「もうお客様しかいません。よかったらカウンターへどうですか?お話しながらのほうがお酒も美味しいですよ」
男性は少しだけ恐縮しながらカウンターにやってきた
最初は普通の世間話だった
店にある酒の話とかプロ野球の話とか
184 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:51:43.91 ID:XxsAMuGo0
のうち酔いもまわってきたんであろう男性がぽつりぽつりと語り始めた
去年の春に結婚した
その年のイヴにこの店に来てあの席で二人並んで飲んだ
奥さんは結婚して初めてのイヴを過ごしたこの店がすごく気に入り来年も来ようと言った
来年だけじゃなくこの先もずっとイヴはこの店ですごそうと言ってた
とても幸せな幸せな時間だった
でもその奥さんが白血病になった
もうどうしようもないくらい進行が早くて治療が追いつかなかった
抗がんの副作用で苦しむ奥さんに今年もあの店に行くんだろう、頑張れと言った
奥さんもあのお店に行きたいと言ってた
でも先月の初めに亡くなった
185 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:52:53.53 ID:XxsAMuGo0
今日も部屋で一人泣いていた
街に出て幸せそうなヤツらを見るのが耐えられないから
酔って寝てしまおうと思った
それで家にあった酒をコップに注いだ時、不意にこの店に行こうと思った
なぜかわからないけど急にこの店に来たくなった
それでタクシー飛ばして来たんですよと涙を浮かべながら話してくれた
その瞬間全てがわかった
俺だけじゃなく店の人間全員が
186 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:58:23.86 ID:XxsAMuGo0
思わず聞いてしまった。そして言ってしまった。
「あの…奥さんは髪の毛がこんな感じで身長がこれくらいでプラダのバック持ってますか」と
「その通りですけど、どして?」
「お客様が来られる前、あの席に座っていた女性がそうだったんです。待ち合せの相手が来なかったのでてっきりふられて帰ったのかと」
「そうか、先に来てたんだ。もう少し早く来たら会えたのに」そう言って泣き崩れた
187 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:59:52.76 ID:XxsAMuGo0
チーフが言った
「きっと来ても会えなかったと思います。なぜなら待っていた女性は寂しいというよりどこか安らいでる表情でしたから。きっとお客様とすごした時間が幸せだったからでしょうね」
俺もそう思った
きっと早く立ち直ってほしいからこの店に来させそして痛みや苦しみから解放された姿を俺らに見せ伝えることで早く立ち直って欲しい奥さんの愛なんだろうと
今でもこの時期になると思いだすこの不思議な話
長文で失礼でした
最後まで読んでくれてありがと
もうすでにおっさんなのだが投下する
長文だけどよかったら聞いてくれ
もう今から15年以上前、俺はベイエリアのとあるカフェでボーイのバイトをしてた
その店は雑居ビルの最上階にあり窓からは東京湾の夜景が見れる店
当時はネットで店の情報を探るなんてものはなかった時代
だから知る人ぞ知る、大人の隠れ家的なカフェだった
178 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:43:54.50 ID:XxsAMuGo0
その日はクリスマスイヴだった
いつもは常連が多い店もその日だけは初めて来店するカップルで賑わっていた
たしか8時をまわった頃だったと思う
女性が一人で来店した
年齢は30歳前後、髪は長めプラダのバックを持っててとても雰囲気のある女性だった
なにより抜けるように白くてきれいな肌の女性だった
「いらっしゃいませ。何名様ですか? お好きな席へどうぞ」と接客
その店のバーテンは二人ともイケメン
それ目当てに一人で来る女性は珍しくなかった
だからカウンターに行くんだろうなって見てると予想を裏切り窓際のカウンターへ
メニューを持って行くと「待ち合わせなのでオーダーは後からで」と
俺は持ち場に戻った
179 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:45:34.18 ID:XxsAMuGo0
少しずつ夜も更けてくるとカップルが一組また一組と帰って行った
こいつらこれからどっかでセクロスしまくるんだろうぐぁの妬みいっぱいになりながら接客に没頭
窓際の女性の待ち合わせ相手がまだ来てないのに気づいたのは10時を過ぎた頃だったと思う
その頃には客もまばらだった
カウンターに行きオーナーでもあるチーフバーテンダーに「あのお客さんの連れまだ来ないっすね」と話した
オーナーだけじゃなく他のボーイらもみんな気になしていた
と言うのはその女性、待つことが当たり前のように座ったままずっと窓の外を見ている
普通ならカウンターに肘をつくとか座り位置を直すとかするのにずっと同じ姿勢と同じ目線
その横顔はどこか寂しげでもあり楽しそうでもある
180 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:46:55.49 ID:XxsAMuGo0
その雰囲気は店の者みんなが声をかけにくくするのに充分だった
それから少し時間がたったころ仲間のボーイが少し慌て気味にやってきて
「あの窓際の女性、居ないんだけど」と
まさかと思い店を見渡しても姿が見えない
「トイレじゃないの?」と聞いてみたのだがそこにもいないと
いったいいつ店をでたんだ?ってことになった
すぐにチーフバーテンダーへ報告
「きっと待っても来ないとわかってこっそり帰ったんだろう」と
まあなにもオーダーをとって無かった訳だし、イヴにふられるなんて可哀そうな女性だなってことでその場は収まった
181 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:48:02.00 ID:XxsAMuGo0
その時、一人の男性が来店した
その男性も見たことない人だった
いつものようにお好きな席へと言うとその人は先ほどまで女性が座っていた窓際のカウンターへ
俺はメニューを持ってオーダーを取りに行った
「モスコミュールとローゼスのプラチナをシングルで」忘れもしない、このオーダーだった
モスコにローゼス?変な取り合わせだなと
その時思った
あ、もしかしてさっきまでここにいた女性が待ってたのはこの男なのかなと
オーダーを告げた時チーフに言った
「あの人、もしかしてさっきまでいた女性が待ってた男ですかね」
「いや…どうかな。もし待たせたならもう少しあわてた素振りあってもいいだろう。こんな時間での約束ってのも変だし。」
確かにそうだった。もし遅刻して相手が居ないのなら店の中を見渡すだろう。店の人間に聞くのも普通だし。もうすぐ日付も変わるこんな時間に待ち合わせってのも変だ
チーフの答えに半ば納得した俺は男性へオーダーされた酒をもっていった
二つとも飲むと思ってた俺は男性の前にモスコとローゼスを置いた
するとその男性はモスコを誰も座っていない隣の席の前にすべらせたのだ
そして置いたままのグラスに軽く乾杯をしてローゼスを口に含んだ
何とも言えない悲しそうな表情を浮かべながら
そしてその表情のまま窓からの夜景を見ていた
183 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:50:33.50 ID:XxsAMuGo0
どおしちゃったんですかね、あの人。なんかふられたって感じでもないし」チーフに話した
「イヴだからって幸せなヤツばかりじゃないってことだろ」チーフの答えだった
日付も変わってしばらくすると店にはその男性しか居なくなった
相変わらずどこか寂しげに夜景を見ながら一人で飲んでた
チーフがカウンターから出てきてその男性のところへ
「もうお客様しかいません。よかったらカウンターへどうですか?お話しながらのほうがお酒も美味しいですよ」
男性は少しだけ恐縮しながらカウンターにやってきた
最初は普通の世間話だった
店にある酒の話とかプロ野球の話とか
184 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:51:43.91 ID:XxsAMuGo0
のうち酔いもまわってきたんであろう男性がぽつりぽつりと語り始めた
去年の春に結婚した
その年のイヴにこの店に来てあの席で二人並んで飲んだ
奥さんは結婚して初めてのイヴを過ごしたこの店がすごく気に入り来年も来ようと言った
来年だけじゃなくこの先もずっとイヴはこの店ですごそうと言ってた
とても幸せな幸せな時間だった
でもその奥さんが白血病になった
もうどうしようもないくらい進行が早くて治療が追いつかなかった
抗がんの副作用で苦しむ奥さんに今年もあの店に行くんだろう、頑張れと言った
奥さんもあのお店に行きたいと言ってた
でも先月の初めに亡くなった
185 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:52:53.53 ID:XxsAMuGo0
今日も部屋で一人泣いていた
街に出て幸せそうなヤツらを見るのが耐えられないから
酔って寝てしまおうと思った
それで家にあった酒をコップに注いだ時、不意にこの店に行こうと思った
なぜかわからないけど急にこの店に来たくなった
それでタクシー飛ばして来たんですよと涙を浮かべながら話してくれた
その瞬間全てがわかった
俺だけじゃなく店の人間全員が
186 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:58:23.86 ID:XxsAMuGo0
思わず聞いてしまった。そして言ってしまった。
「あの…奥さんは髪の毛がこんな感じで身長がこれくらいでプラダのバック持ってますか」と
「その通りですけど、どして?」
「お客様が来られる前、あの席に座っていた女性がそうだったんです。待ち合せの相手が来なかったのでてっきりふられて帰ったのかと」
「そうか、先に来てたんだ。もう少し早く来たら会えたのに」そう言って泣き崩れた
187 :本当にあった怖い名無し:2011/12/02(金) 17:59:52.76 ID:XxsAMuGo0
チーフが言った
「きっと来ても会えなかったと思います。なぜなら待っていた女性は寂しいというよりどこか安らいでる表情でしたから。きっとお客様とすごした時間が幸せだったからでしょうね」
俺もそう思った
きっと早く立ち直ってほしいからこの店に来させそして痛みや苦しみから解放された姿を俺らに見せ伝えることで早く立ち直って欲しい奥さんの愛なんだろうと
今でもこの時期になると思いだすこの不思議な話
長文で失礼でした
最後まで読んでくれてありがと
感動系の人気記事
感動・ほっこり短編シリーズ
→記事を読む
あは。いっぱいします?
貧しくツラい環境の中でも健気に前向きに暮らす彼女と、その彼女を時には兄のように時には彼氏として温かく包み込むように支える主人公。次々におこる悲しい出来事を乗り越える度に2人の絆は深まっていき…、読んでいくと悲しくて、嬉しくて、涙が滲み出てくるお話しです。
→記事を読む
クズの俺が父親になった話
結婚して子供が生まれても、働かずに遊び回り家にも帰らない、絵に描いたようなクズっぷりの>>1。しかし、ある日のこと、子供を保育園に迎えに行かなければならない事情を抱えるところから全てが始まる……。親と子とは何か? その本質を教えてくれるノンフィクション
→記事を読む
今から何十年も開かずの間だった蔵を探索する
よくある実況スレかと思いきや、蔵からはとんでもない貴重なお宝が…!誠実な>>1と彼を巡る奇跡のような縁の数々。人の縁、運命、命について考えさせられ、思わず涙するスレです
→記事を読む
妹の結婚が決まった
両親を亡くし、男手一つで妹を育て上げてきた兄。ついに妹が結婚し、一安心したところに突然義母から「元々妹なんて存在しなかったと思ってくれ」という連絡を受けてしまう。失意のどん底に居た兄を救う為、スレ民が立ち上がる!
→記事を読む
急に色々気づいたら、死にたいって思った
積もり積もって七転び八起き◆3iQ.E2Pax2Ivがふと考えついたのが 「死にたい」 という気持ち。そんな中、一つのスレが唯一の光を導き出してくれた。書き込みしてくれる奥様方、なにより飼い猫のチャムちゃん。最後にはー‥七転び八起きとはまさにこのこと。
→記事を読む
番外編「I Love World」
→記事を読む
昨日、嫁の墓参りに行ってきた
>>1と亡き嫁、そして幼馴染みの優しい三角関係。周りの人々に支えられながら、家族は前に進む。
→記事を読む
介護の仕事をしていた俺が精神崩壊した話
介護とは何か。人を支えるとは何か。支えられるとは何か。色々考えさせるスレでした。
→記事を読む
過去の自分に一通だけメールを送れるとしたら
永遠に戻ってくれない時間。それでも、、
→記事を読む