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狐と槍

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関わった他者に加護をもたらすという>>156の家系。どういった由縁なのかとスレ住民は興味を持ち、>>156はその家系に伝わる話を語りだす。それは、狐と先祖の悲しい運命の物語だった。

156 :本当にあった怖い名無し:2008/07/26(土) 02:09:31 ID:01Jkg7lo0
不思議な呪いにかかっている家系は、自分の所だけじゃ無かったんだな。
まあ自分の家は呪いというよりは加護みたいなもんだけど、その内容は
なぜか取引相手や仕事仲間が、事故にあわなくなったり病気が治ったり出世したり
良縁に恵まれたりするという奴なんだ。
 まあ当初は自分も全然信じてなかったんだけど、大量のお礼の手紙とか
わざわざ仕事を頼みに来る人とかが、海外から来たり大企業の社長さんとかが
頭下げてまで仕事の依頼とかするんで、少しは信じるようになった。
ちなみに親父の仕事は建設関連の中小企業の社長。

161 :本当にあった怖い名無し:2008/07/26(土) 13:50:15 ID:96HhFr4k0
>>156と知り合いになりたい…
良縁に恵まれたいよorz

163 :156:2008/07/26(土) 16:41:50 ID:01Jkg7lo0
>>161
うーん・・・
しかしうちの家系って、この加護だか呪いのせいで相当に酷い目にあってたらしいからなあ
例えば座敷童子みたいな感じで拉致監禁されたり、人魚の肉みたいな噂を立てられて
肉目当てに領主に襲われて、逃げ出したりとか・・・
それにしても、昔はありがちな御伽噺だと思ってた、この呪いじみた加護を受ける原因になった話も
多少は真実が含まれているのかもしれない。

164 :本当にあった怖い名無し:2008/07/26(土) 17:12:51 ID:BBdidemgO
自分の意思に関係なく加護発動するなら、迷惑だよな。
嫌いな同僚も幸せになったりするの?

167 :156:2008/07/26(土) 18:20:17 ID:01Jkg7lo0
>>164
基本的には、嫌ってる人とかでも出世したり良縁に恵まれたりはする。
そもそも、うちの家系に訪れた危機のほとんどはそれが原因だからなあ。
先祖が、周囲の幸せなんて望まなければこういう事にはならなかったのだろうか?


169 :本当にあった怖い名無し:2008/07/26(土) 21:37:22 ID:nyzYjBQH0
>>163
>この呪いじみた加護を受ける原因になった話
何だろ。
相当昔からなんだな、それは。

172 :156:2008/07/26(土) 23:31:42 ID:01Jkg7lo0
>>169
 実を言うとこの呪いじみた加護のせいで、うちの一族は各地を流転するはめになったらしいんだ。
そんで一族で文字を書けるようになった人が出たのは今から200年位前だから、この話は口伝で伝えられてて
正確な年代と場所がわからないんだ。
まあわりと長い話なんで省略するとこんな感じの話。
昔々与作という村人が居た。
与作は瀕死の狐を助けた。
狐の尻尾は6本だった。
5年位後に、狐が凄い美人の姿になってやってきた。
狐は恩返しとして願い事を叶えると言ってきたが、与作の願いに呆れて
与作が心配だからと、与作の家にいついた。
二人は色々あって仲良くなり、夫婦になる、子供も出来た。
しかし二人の仲を嫉妬する者達の謀略で、二人は離れ離れになる。
色々あって、狐が与作と子供を奪った連中を殺し、狐は討伐対象になる。
しかし狐は圧倒的に強く、討伐に来た武士をほとんど返り討ちにしてしまう。
覚悟を決めた与作が、狐退治に向かう。
狐と戦うが、狐は与作に殺されるつもりだったので、与作が勝つ。
与作は結局狐を殺せず、しかたなく狐は自分を殺した証代わりとして自分の尾を渡す。
最後に狐は問う「お前は何を望む。」
与作は答える「狐と死んで行った者を含めた皆の幸せ」
狐は懐かしそうに笑うと「ならばその願いを叶えよう。」
その言葉の後に狐は与作の前から消え去った。
その後、与作は死んだ者の供養と、狐のこれからの生が幸せである事を願うため出家した。
与作と狐の子は不思議な加護を受けながらも普通の人として生き、死んだ。
この話における与作と狐が俺の先祖らしい。
まあ意外に長くなったが、真実かどうかはわからないがこれが俺がばあちゃんに聞いた話。

173 :本当にあった怖い名無し:2008/07/26(土) 23:52:01 ID:jpCz/DBYO
なんという厨臭い話…

174 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 00:12:55 ID:3Y0uixrq0
与作の子供はどうなったの?
与作は何故狐を退治するの?

176 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 01:39:31 ID:ho06cy8v0
異類婚姻譚はポピュラーな「うちの家系は特別なんです」の主張だからな。
狐嫁なんて日本中に残ってる話だろ。民話の世界だ。
元々不思議なことが続く家系で、理由付けのために語り伝えてきたのかな

177 :ガッツいちもつ ◆ArGuQNUalU :2008/07/27(日) 02:22:57 ID:8yE8CtoKO
口伝や神話といえども、部分的には真実を反映している面もある。
単に文献史料でないからといって頭から否定するのもどうかと思う。
ただ、先の話では与作のもとに美女の姿で狐が現れた時点で、願いをかなえるというより契りを結ぶことを目的としていたようにみえる。
その時与作が何を願ったのかも気になるが、狐は相手の意志を「却下」した上で自分の意志により居着いている。
狐を助けてから美女の現れるまで五年の歳月が流れている点、狐が最期に「懐かしそうに」笑ったという点、
物語中での与作の年齢の推移も気になるな。
ひょっとすると狐を助けた与作がまだ少年で、妻を娶るには早すぎたのかもしれない。
とても興味深い話なので、できるだけ詳細に教えてもらえませんか?どれだけ長くなっても必ず全て読みます。
実は狐が最後にかなえた願いと、呪いと寺社での祝福がともに無効になるという君の家系にみられる現象は、
一見矛盾しているようでいてかなり真実な応答にも思える。
一族が流転する要素は、最後にかなえた願いではなく姿を消した狐との契り自体により引き継いだものかもしれない。

180 :156:2008/07/27(日) 08:48:09 ID:EfKEngun0
>>173
おれも話を聞いた時は、まるで同じ感想だったよ。
おりしも、実は残酷な童話シリーズが流行してた頃だからなあ。
>>174
与作の子供は、村長の家の養子になって、村長の後を継いだらしい。
狐が多数の人間を殺した事と、完全にたたり狐になってて、どんどん被害が大きくなって
やむなく殺害を決意したという事らしい。
>>176
それはたぶんにあると思う。
なにせ200年前まで、完全に口伝だったんだから、話なんていかようにも変えられるしなあ。
>>177
うーん、呪いを無効化する家系の人たちとは、少なくともこの話の中ではまるで関係無いと思う。
とはいえ日本人なんて、ほとんどが遠い親戚みたいな物だから、関わりが完全に無いとも
言いきれない。
与作が最初に願ったのは、皆の幸せ。
狐はそれを聞いて「こんなお人良しがこの先、生きていける訳が無い」と思って、
「自分の力で守ってやるから、その間にちゃんとした願いを決めておけ」という事になったらしい。
与作の物語内の正確な年齢は不明ですが、狐を助けた時にはまだ男になっていない。
つまり童貞だったらしいから、まだ子供だった可能性が高い。
あと関係あるかどうかは不明だけど、与作の家族はこの時点で流行病で全滅したらしい。
なお物語の最初と最後の間に流れた時間は、だいたい10年ちょっと位らしい。
さすがに話を全部載せると、かなり大変な量になるからスレ違いになりそう。
全文載せても、問題無いスレとかご存じ無いでしょうか?

178 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 02:50:00 ID:VWpGZa7K0
>>177
>実は狐が最後にかなえた願いと、呪いと寺社での祝福がともに無効になるという君の家系にみられる現象は、
これは別の人じゃね?
自分も156の話、興味深いので詳細に聞きたい。特に、
>色々あって、狐が与作と子供を奪った連中を殺し、狐は討伐対象になる。
>しかし狐は圧倒的に強く、討伐に来た武士をほとんど返り討ちにしてしまう。
>覚悟を決めた与作が、狐退治に向かう。
この辺の流れが良くわからんのでkwskお願い

181 :156:2008/07/27(日) 08:50:25 ID:EfKEngun0
>>178
与作の事を、狐が来る以前から好きだった娘が居たんだが、その娘は与作に想いを伝えてなくて
そんな間に狐と与作が夫婦になってたんだ。
最初は娘も、二人を妬みながらも我慢していたらしいが、二人の間に子供が出来るとついに堪忍袋の尾が
きれて、二人の仲を引き裂こうと考えたんだ。
 娘は自分一人では二人の仲を引き裂くのは困難だろうと考えて、ある男に協力を要請した。
その男が、この村の村長の一人息子だったんだ。
この男、もう妻が居る身でありながら、とても好色で暴力的なひどい奴だったらしい。
そしてこの男には、もう一つ共犯関係に持ち込む上で有利な点があった。
それは、この男は前に狐に夜這いをしたが、返り討ちにあったらしい。
だから狐の事を恨んでいた。
 まずはこの娘と男は与作と狐の弱味を握る為に情報を集めた。
その結果、狐は満月の夜だけは人の姿を保てずに狐に戻ると知った。
狐が妖怪の類だと知った二人は、狐の弱点を調べた。
運良く狐は新月の夜には力が大幅に弱体化する事と、その時に鉄の輪を付けると
力の大半を封じられる事がわかった。
 ここまでわかった二人は、狐を嵌める為に、与作が野良仕事中に熊に襲われたという嘘で
狐を人気の無い所までおびき寄せた。
何時もの狐なら、嘘を見破れただろうが与作の危機と聞いて冷静では居られなくなって罠に嵌められたらしい。
結局、狐は鉄の輪をはめられて、男に村長の家の蔵の中に幽閉された。
なんで幽閉されたかって・・・ばあちゃんが口を濁してたから、そういう事なんだろう。
 続く

182 :156:2008/07/27(日) 08:50:58 ID:EfKEngun0
与作は突然、行方不明になった狐を何ヶ月も捜索したが見つかったのは、前に与作が狐にあげたお守りだけだった。
そして狐を嵌めた娘も、必死に捜索に協力をしているように見せかけた。
狐の生存が絶望視されて、与作はまともに食事が喉を通らなくなって、ついに倒れたらしい。
娘は必死に看病して、その折に与作と狐の子とも仲良くなったらしい。
結局、その後娘は数年間かけて狐を失って傷心状態になった与作の心に付け込んだのと、与作の子と仲良くなる事で
ついに婚約の約束を取り付けた。
喜んだ娘は、蔵に閉じ込められた狐にその事を告げた。
狐はついに自分を嵌めた者達の抹殺を計画する、まず最初に自分に惚れ抜いてる男に媚を売って
満月の夜に鉄の輪を外させた。
そして輪を外した男を殺して食って、力を回復させた。
やがて娘と与作の結婚式の時に、狐の姿で乗り込み娘を惨殺しついでに共犯者の男も惨殺した。
与作は狐が生きてた事と、いきなりの凶行に驚愕した。
狐は正気に戻ると、凄い速度で森に逃げていった。
その後、幾度も山狩りが行われたがその度に多数の犠牲者を出した。
やがてその噂を聞いて数多くの腕自慢が各地から集まって、山狩りに参加したが結果的には
変わらなかった。
ちなみに与作は、事の顛末を村長から土下座されながら聞かされたせいで苦悩していたらしい。
山狩りが行われなくなった後、近隣の村々で神隠しが多発。
それが狐のやった事だと、気がついた与作はついに覚悟を決めて、狐退治に向かった。
という話だった。

183 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 09:10:59 ID:VWpGZa7K0
>>156
>>1 に
>一族に伝わる不思議な話
ってあるし、スレ違いじゃないと思うよ
とりあえず自分は超長文でもkwsk聞きたいぜ

187 :156:2008/07/27(日) 15:00:56 ID:EfKEngun0
わかった、凄く長いし面白くなさそうだが、全部ここに載せるよ。
昔々、ある所に与作という村人が居た
与作が何時ものように、野良仕事をしに行くと
金色の毛並みを持ち、尾が6本もある狐が瀕死の状態だった。
可哀想に思った与作は、狐を連れて帰り治療をしてやった。
与作の懸命な治療の甲斐あって、狐は元気になった。
元気になった狐を、与作は森に放してやった。
それから五年後、ある夜に与作の元にかなりの美人が訪ねて来た。
どうやら話によると五年前の狐らしく、恩返しの為に来たらしい。
正直言って、いくら与作でも信じられなかったが、目の前で狐の姿に戻られたのでは信じざるおえなかった。
狐はどんな願いでも叶えてやると言った。
しかし与作には正直言って、望むような願いなど無かった。
ただ、もし願うのならば皆が平穏で幸せな日々を送る事だけだった。
その旨を狐に伝えると、狐はあきれた顔で「お前は馬鹿か?自身への恩賞でなぜ他者の幸福を望む?」
と言った。
与作は「だって、皆が幸せならおらだって幸せだもの」と返した。
狐は「それはお前が贅沢を知らないのと、お人好しだからだ」と返し
続けてため息を付きながら「仕方が無い、お前が本当の願いを見つけるまで、お前を守ってやる。」
「食い扶持の事なら安心しろ、お前を養う位は簡単なことだ。だから心配せずに何を願うのかを、ゆっくりと考えるといい。」
こうして狐は与作の家に居ついた。

188 :156:2008/07/27(日) 15:01:38 ID:EfKEngun0
 それから、幾日か経った時の事
狐が「贅沢を教えてやる」と言って与作を大きな町に連れて行った。
そして与作は大きな屋敷の中に通された。
中には与作が見た事の無いような、豪華な食事や多数の美女が用意されていた。
与作は萎縮してしまい、料理にも女性にも手を出せない。
そんな与作を見た狐は、料理を皿に盛って、与作に箸渡しで食べさせた。
料理の美味しさに、感激した与作は貪る様に料理を食べた。
やがて満足した与作は狐にお礼を言った。
狐は上機嫌で「満足したのならば、それで良い。ところで与作これ以上の食事を毎日食べたくは無いか
それ位なら簡単に叶えてやれるが?」
与作は「それは勘弁だ。たまにだから良いんだから。ところで残った料理持って帰って良いか?
村の皆にも食べさせてあげたいだ。」
すると狐は怒って「あいつらは恩を仇で返すような連中だ。だから駄目だ。」
与作は驚いて「そんな事は無いと思うけどなあ?」と返した。
狐は諭すように「良いか与作。ほとんどの人間は恩を仇で返すような連中だ。
お前達に対して威張ってるような連中も、その上で君臨してる連中も皆そうだ。
普通の人間というのは、人の弱みに付け込んで自分だけ旨い汁を吸おうとするんだ。
お前みたいな馬鹿なお人好しは初めて見るが、そんなお前が長生き出来るとは思えん。」
そう言うと、狐は与作を連れて家へと帰った。
その後もこんな感じの事を、狐は何度もやったが基本的に与作の対応は変わらなかった。

189 :156:2008/07/27(日) 15:02:28 ID:EfKEngun0
ある夜、狐は言った「今でも、お前には望みは無いのか?」
与作はこう返した「うーん、今でもやっぱり皆幸せなのがいいだ。でももう一つ欲しい物が出来ただ。」
狐は破顔すると「そうかそうかお前にもやっと人並みの欲望が出てきたか、それで欲しい物とは何だ?」
与作は照れながら「狐が欲しいだ・・・」
狐はきょとんとして「え・・・わたし。なんだ美女がほしいのか?だったら私以上の美女をお前にやろう。」
与作はまじめな顔で「ちがうだ。おらはお前が欲しいんだ。」
狐は完全に顔を真っ赤にして、「お前が人をからかう事を覚えるなんてな。少しは人が悪くなったようだな。」
与作は「おらは本気だ。」と返した。
狐は泣きそうな顔で「どうして私なんだ?私の何が好きになったんだ?」
与作は「何をと言われても困るだ。狐のきれいな髪も肌も目も好きだし、時折の仕草も好きだし
狐の優しい所とかも大好きだ。」
狐は泣きながら「下手な口説き文句だな。でも真心込めて口説かれたのは初めてだ。とても嬉しい。
でもその願いは叶えられない。」
与作は「どうしてだ」と問うた。
狐は「だって私だってお前と一緒にいたい。お前の傍だと今まで感じたことの無い位に優しい気持ちになれるんだ。
お前の為に何かをしたいと自然と思える。でもそれは卑怯だ。どう考えた所でお前がくれた物と私とでは釣り合わない。
そもそもそれでは恩返しにならない。」
与作は言った「おらが狐が大好きなのは変わらない、狐もおらが好きなら夫婦になろう。
そうすればおらはとても幸せだ」
狐は「わかった夫婦になろう。でもそれはお前の願いだからじゃない、私の望みだからだ」
与作は笑って「うん、これからもよろしくな狐」と答えた。
それから幾つかの年月が過ぎた後に、与作と狐の間に待望の男の子が生まれた。
与作と狐はその子供に真作と名付けた。
二人は幸せの絶頂だった。

190 :156:2008/07/27(日) 15:03:35 ID:EfKEngun0
しかしそんな彼等を憎憎しげに見つめる者が居た。
それは一人の娘だった。
娘は、昔から与作の良さを知っていた。
ただ、恥ずかしくてその想いを伝えられなかったのである。
そして気が付けば、与作の横には何時も狐が居て、二人の関係は強固になっていた。
最初は想いをこらえていた娘も、やがては激しい憎悪に屈してしまった。
娘は狐から与作を取り戻すべく、計画を立てた。
まずは協力者を探す事、これは簡単だった。
なぜならば、狐に欲情しているうえに、恨んでいる男を知っていたからだ。
その男とは村長の所の長男だった。
長男は妻が居ながら、好色で暴力的で怪力以外の美点が無いような男だった。
長男は以前、狐に夜這いしたが返り討ちにあいそれ以来、復讐の機会を探っていた。
娘は長男を言葉巧みに、自身の計画に参加する事を承諾させた。


191 :156:2008/07/27(日) 15:04:36 ID:EfKEngun0
まずはこの娘と長男は与作と狐の弱味を握る為に情報を集めた。
その結果、狐は満月の夜だけは人の姿を保てずに狐に戻ると知った。
狐が妖怪の類だと知った二人は、狐の弱点を調べた。
その結果、妖怪は基本的に鉄に弱い事や、満月の時に力を発揮するものは
基本的に新月の時には力の大半を封じられる事がわかった。
 ここまでわかった二人は、狐を嵌める為に、与作が野良仕事中に熊に襲われたという嘘で
狐を人気の無い所までおびき寄せた。
何時もの狐なら、嘘を見破れただろうが与作の危機と聞いて冷静では居られなくなって罠に嵌められたらしい。
結局、狐は鉄の輪をはめられて、男に村長の家の蔵の中に幽閉された。
与作は突然、行方不明になった狐を何ヶ月も捜索したが見つかったのは、前に与作が狐にあげたお守りだけだった。
そして狐を嵌めた娘も、必死に捜索に協力をしているように見せかけた。
狐の生存が絶望視されて、与作はまともに食事が喉を通らなくなって、ついに倒れたらしい。
娘は必死に看病して、その折に与作と狐の子とも仲良くなったらしい。

192 :156:2008/07/27(日) 15:06:03 ID:EfKEngun0
結局、その後娘は数年間かけて狐を失って傷心状態になった与作の心に付け込んだのと、与作の子と仲良くなる事で
ついに婚約の約束を取り付けた。
喜んだ娘は、蔵に閉じ込められた狐にその事を告げた。
狐はついに自分を嵌めた者達の抹殺を計画する、まず最初に自分に惚れ抜いてる男に媚を売って
満月の夜に鉄の輪を外させた。
そして輪を外した男を殺して食って、力を回復させた。
やがて娘と与作の結婚式の時に、狐の姿で乗り込み娘を惨殺しついでに共犯者の長男も惨殺した。
与作は狐が生きてた事と、いきなりの凶行に驚愕した。
狐は正気に戻ると、凄い速度で森に逃げていった。
その後、幾度も山狩りが行われたがその度に多数の犠牲者を出した。
やがてその噂を聞いて数多くの腕自慢が各地から集まって、山狩りに参加したが結果的には
変わらなかった。
ちなみにこの頃の与作は、事の顛末を村長から土下座されながら聞かされた事と真作が狐に激しい憎悪を
持っている事に苦悩していた。

193 :156:2008/07/27(日) 15:07:29 ID:EfKEngun0
山狩りが行われなくなった後、近隣の村々で神隠しが多発。
それが狐のやった事だと、気がついた与作はついに覚悟を決めて、村長から槍を貰い
狐退治に向かった。
狐は人の姿で与作を出迎えた。
狐は微笑を浮かべて「やっと、その気になってくれたか。待ってたんだぞ、お前が私を殺しに来る事を」
与作は苦しげに「もうこんな事はやめてくれだ!おらに出来る償いなら何でもする!だから・・・」
狐は悲しげに「お前に出来る償いなんて無いし、償う必要も無い。私とあの娘が一番悪いのだから」
与作は顔を上げ「なら一緒に帰ろう、そして一緒に皆に謝ろう。皆が許してくれなかったら、真作も連れて
一緒にどこかへ逃げよう。」
狐は首を振り「無理だな、自分が一番悪いとわかっててもお前や村人や人間への憎悪は消えないんだ。」
そして狐は、牛の何倍も大きい狐の姿に変わって「お前を殺せば、この気持ちが消えるのかどうかわからない。
試すのも怖かった。だがお前と私が剥き出しでぶつかり合えば、この不快な気持ちも消えるかもしれない。
さあ立ち上がれ与作!!お前が私を殺さないというのなら、手始めに真作を含めた近隣の村の連中を皆殺しにするぞ!!」
与作は槍を強く握り「狐・・・それがおめえの望みなら・・・行くぞ!!」狐へ向かい駆け出した。

195 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 15:35:09 ID:p9DM/niP0
狐が、狐が可哀想すぎる....。
村の連中なんか皆殺しにしちゃえ!

199 :156:2008/07/27(日) 17:27:46 ID:EfKEngun0
狐と与作の戦いは激しく、周囲の木々は狐の尾に砕かれその音は周囲の村々に響いたという。
与作は何度も打ちのめされたが、その度に立ち上がり狐を槍で突き刺した。
そしてついに与作の槍は狐に致命打を与え、狐は崩れ落ちた。
狐は嬉しそうに「強かったよ・・与作。さあとどめを刺しておくれ。」
与作は「もういいだろ・・狐、おめえは最初からおらを殺す気無かったんだろう?」
狐は首を振り「いや本気だったさ、ただ無意識に手加減をしていたらしい。」
与作「そういえば狐と本気で喧嘩したのは、初めてだったな」
狐は微笑を浮かべて「そういえば、そうだな。お前に嫌われるのが怖くて、無意識に媚びてたのかもな。
幸せすぎて気が付かなかったけど」
与作は笑いながら「それはよかっただ。狐と本気で喧嘩したらおらが勝てる訳無いしな」
狐は「おいおい私は本気だったんだぞ」
与作と狐は互いを見合って、笑い合っていた。
それは二人とも、とてもいい笑顔だったらしい。
笑い終わると狐は自分の尾をひとつ食いちぎり、与作に投げた。
与作は驚いて「狐、何馬鹿なことをしているだ!」
狐は「馬鹿な事じゃ無い、尾の一つも無ければ私が死んだ証にならんだろう?」と言った。
与作は薬を取り出して狐に塗りながら「馬鹿を言うな!一緒に帰ろう」
狐は悲しげに首を振り「私は罪を償わなければいけない、それは狐としての生を捨て神になる事だ
そして神になってお前と真作、気に入らないが村の連中達の係累を守護する事だ」
与作は鼻水を流しながら号泣し「わけわからないだ狐。おらはもうお前と離れたくないだああ!!」
狐は泣きながら「ごめんね与作。でもねそれが私達一族に伝わる掟なの」
与作と狐は互いに抱き合い泣きあった。

200 :156:2008/07/27(日) 17:37:43 ID:EfKEngun0
狐は最後に与作に問うた「与作、お前の願いはなんだ」
与作は一番の願いは叶えられないと気が付いていた。
だから答えた「狐と真作と、娘と長男と死んでいった皆とそれ以外の皆の幸せだ」
狐は懐かしげに笑うと「欲張りな望みだな。しかしお前らしい、良かろうその願い叶えよう。」
そう言って狐は姿を消した。
その後、与作は狐と娘、それ以外の死んでいった者達の供養の為に出家した。
真作は村長の家の養子になって、次代の村長となった。
与作は、死ぬ前に真作に狐との出会いから始まる事件の顛末を伝えたという。
なお、狐の尾と槍はいくども他人の手に渡ったが、何故かうちの家系の誰かの手に戻って来るらしい。
ちゃんと実家に両方ともあるが、狐の尾は純金のような金色で触り心地は
普通に動物の尾のように思える。まあ作り物だと思うんだが。
槍の方は1000年位前の良品らしい。
これでばあちゃんから聞いた、与作と狐の話は終わり。
まあ真実は不明だが、これがうちの家に伝わるお話だな。
これ以降も、子孫達の話は続いていくけど、その中で狐らしき存在も度々出てきたりする。
最後まで読んだ皆様、ご苦労様でした。

201 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 17:48:22 ID:Jwdxc16A0
激しく乙!

203 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 18:06:27 ID:N63A3yQCO
>>200
ちゃんとしっぽと槍も現物として伝わってることに驚いた。

205 :本当にあった怖い名無し:2008/07/27(日) 18:24:54 ID:UDfJXRte0
獣の槍だーww

元スレ:【オカルト】家系にまつわるオカルト6代目 【遺伝】
http://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/occult/1211112091/

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