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百物語2014

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Part1
7 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:04:59.45 ID:2yX9zsEM0
【第1話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『ラブホテル』
(1/2)
俺が以前働いていた建設で体験した話です
その日の現場はラブホテルの耐震補強工事の後片付けでした
現場へは俺とAさんBさんの3人でいきました
Aさんはこの現場には初期から
俺とBさんはこの現場はこの日が初めてでした
休憩時間となり
俺とBさんは仮設トイレを探したが見つからず
仕方なくAさんに仮設トイレの場所を聞くことにしました
Aさん曰わく
この現場の仮設は作ってなくて、ホテル内の既存トイレを仮設として使ってると
そのトイレは4Fにあると
その日はトイレ行くために4Fまでいちいち階段を上って
次の日も同じメンバーで同じ現場だったんですね
それでAさんに聞いたんですよ
何でトイレ4Fしかないんですか?と
そしたら実は以前は2Fの方を仮設トイレとして使ってたが監督から4Fの方を使ってくれと言われたと
じゃあ2Fは使えないんですか?
と聞いたら一応は使っても大丈夫という事だったので、次から2Fに行く事にしたんですよ 休憩時間となりBさんと
2人で2Fのトイレへ
まず俺が先に入ってると
トイレ内の電気が急に消えたんですよ
初めはBさんのイタズラかと思い
やめて下さいよ?とか言ってたら電気ついたんですね

8 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:05:48.68 ID:2yX9zsEM0
(2/2)
トイレから出てBさんに言うと、そんな事はしてないと
Bさんも、ようを済ませ地上に
次の小休憩時に
Bさんが2Fのトイレに行ったんですね
Bさんトイレから帰るなり
B「おい俺、電気消えたわ
しかも消えた間、換気は止まらなくて電気だけ消えてた
でな、気のせいかも分からんが女の声がしてな
出た時にスイッチいれたら電気普通についたわ
おかしいぞあのトイレと」
次の小休憩に俺1人で2Fのトイレへ
ドアを開けると
水が流れてるんですよ
ジャーと
今しがたまで誰かいたように
ホテル内は見通しがいい通路なんで人がいればすぐ分かるんですよ
もう慌てて地上へw
その時からは4Fに変えました(笑)
この話には続きがありまして
次の日
俺が会社につくなりBさん
B「おはようさん
おい俺、ハズレひいたわ」
俺「おはようごさいます
ハズレってなにがですか?」
B「昨日な家でトイレしてたら電気が消えたんや」
【了】

10 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:08:32.07 ID:2yX9zsEM0
【第2話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『逃げるシミ』
(1/2)
これは友人から聞いた話です
その友人が中学生時代に体験した話を書きます
友人をAとします
Aには当時、親友が1人いました
その親友をBにします
夏休みのある日
BがAに家の近所にある心霊スポットにいこうと誘ったらしいです
Aは軽い気持ちで返事をしてBと共に
その晩、心霊スポットに行く事になったそうです
その心霊スポットとは、一軒家で1人暮らしをしていた男性が数ヶ月前に自殺をした所だそうです
いつしか近所から
その家から夜に声や物音がするとか
二階の窓に人が立っていたという噂が流れたそうで、それをBが知った訳です
当日の夜
AとBは問題の一軒家に忍び込みました
薄暗い中、ビビりまくりなAをよそに
意気揚々とBは二階にあがっていったそうです
突然
B「おいAちょっとこいよ」
とBの呼び声
AはビビりながらBの待つ部屋へ
Bがニヤニヤと
B「これ見てみろよ」
Aが言われた先を見ると壁に人の形をした大きなシミがあったそうです

11 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:09:07.05 ID:2yX9zsEM0
(2/2)
声が出ないAをよそにBはなんと
その大きなシミに
オシッコをかけだしたんです
Aは止めましたがBは全然気にして無い様子
その日はそれで家に帰る事になったそうです
Aはその晩に夢を見ました
夢の内容は
薄暗い中、人型の黒い何かがAに近づいてくるというもの
翌朝Aは早速Bに昨晩見た夢の話をした所、Bは昨日の人型のシミに間違いないと、自分の夢に出てくるならまだしも
友人の夢に出てくるとは許せない
そう行って、またAを連れて、あの家へ行ったそうです
またBは部屋へつくとシミに向けてオシッコを…
その晩はAもBも夢は見なかったそう
でもBは何故か次の日もAを連れて、あの家へ
部屋へつくと何とシミがBのオシッコをよけている(笑)
シミが動いてオシッコをよけてるんです(笑)
AとBはそのあまりの光景に大爆笑
そしてBはオシッコをかけてAと共に帰宅
その晩とうとうBの夢に黒い物体が出てきた
その物体はBに近付くと
シミ「頼むから家には来ないでくれ(泣)」
と涙ながらに懇願したそう
可哀想になったBはシミがAにした事を許し
家には行かない事を決めたそうです
【了】

13 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY :2014/08/23(土) 19:09:47.35 ID:b5mYxBE60
『ねむる』
(1/2)
後輩に聞いた話です
彼女の両親は共働きで、近くに住む祖母の家に預けられることが多かったそうです
彼女の祖父は彼女の父親が子供の頃に亡くなっていたそうですから、長いこと独りで暮らしていた彼女の祖母のためにも
なっていたのでしょう
祖母が大好きだった彼女ですが、彼女が特別楽しみにしていたのは夏休み
遠い都会から、叔父一家が祖母の家に泊まりにくることだったそうです
兄弟のいない彼女には、年の近いいとことのその夏休みは貴重なものでした
夏休み中のある日、いつものように祖母の家に訪れた彼女は首をかしげました
あまりにその小さな一軒家は、静まり返っていたのです
履物はあるのに、呼んでも誰も出てこない
けれど田舎特有の防犯意識の低さから、鍵は開いていましたから、彼女は黙って上がり込みました
居間のソファで本を膝にのせ、老眼鏡もそのままに、祖母がうたた寝をしていました
二階の部屋で、まるで神経衰弱でもするようにトランプを散らばして、いとこがすやすやと寝息をたてていました
いつもならこの都会っ子は、トランプの一人遊びなんて目もくれず携帯ゲームに夢中でしたから、彼女は不思議に
思いました
おばあちゃんを起こしてこよう
彼女はそう思い、部屋を出ようとしました
そのとき
ぱたん
軽い音が、部屋の中から聞こえました
振り向くと、いとこが寝転んだまま、裏返しのトランプをひっくり返していました
その目はかろうじて開いていたものの、手元を見ている様子はなく、むしろ何を見ているようでもなく、虚ろでした


14 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY :2014/08/23(土) 19:10:14.02 ID:b5mYxBE60
(2/2)
ぱた、ぱたん
ひっくり返されるトランプを、彼女は何気なく目で追っていました
ハートのエース
ダイヤの10
ダイヤのキング
ハートの5
ぱたん、ぱたん、と紺地の模様が白くなっていく中で、彼女はふと気がつきました
全て、赤の札なのです
5枚、10枚、15枚、20枚
ゆっくりと、紺は赤に変わっていきます
恐ろしくなった彼女は慌てていとこの体を揺さぶりました
ぱちりと瞬きをひとつして、いとこは彼女を見上げました
「あれ、来てたの?……うわ、なにこのトランプ。片付けないと怒られちゃうよ」
そう言ういとこはいつもの顔で、彼女は心からほっとしたそうです
いとことカードを拾い集めていた彼女は、何気なくカードを数えてぞっとしました
表を向いているカードは、ハートが13枚、ダイヤが12枚
いとこを起こすのがあと一瞬遅れていたら、赤いカードが全て表を向いていたら、一体何が起こっていたのでしょうか
【了】

16 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR :2014/08/23(土) 19:12:36.33 ID:YcYHo/b60
【第四話】「サリー」
(1/2)
叔父が幼い頃、よく学校近くの路面や空き地に色々な露天商が来ていたそうな。
大抵はひよこなどの動物や子供だましのおもちゃなどだが、その時は珍しく人形を売っていて、覗いてみたらしい。
指人形を初め、小さな人形が並んでいたが、一つだけぽつんと大きな人形があったのが印象的だった。
その人形は30センチくらいの大きさの布製のもので、外国人の女の子を模した可愛らしい物。
目を模した石が宝石のようにキラキラと青く輝いていて、その石だけ欲しいな、なんて不謹慎なことを考えた。
人形の値段は500円位だったと記憶している。
しかし、当時の子供たちのおこずかいは一日数十円程度で、1月分のおこずかいを使うには高すぎるし、親などにプレゼントとして買ってもらうには安すぎるということで、誰もその人形は買わなかった。
次の日も、また次の日も人形売りは現れたが、相変わらずその人形は売れ残っていた。
人形売りが現れてから五日後、ついにその人形を買った者がいた。
それは、叔父と同じクラスの女の子で、仮に名前をマリちゃん、とでも呼ぼうか。
マリちゃんは偶々、親戚が遊びに来て臨時のおこづかいをたっぷり貰ったとかで、ずっと気になっていたその人形を買ったのだという。
人形はサリーと名付けられ、マリちゃんの一番の友達となった。
一番の大物が売れて満足したのか、次の日には人形売りはいなくなった。
しばらくして。
マリちゃんが病気になった。
手足が硬化してしまうと言う難病に侵され、周りが気付いた時にはもう足が殆ど動かなくなってしまっていた。
それでもマリちゃんは車いすで健気に頑張っていた。

17 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR :2014/08/23(土) 19:13:09.93 ID:YcYHo/b60
それからまたちょっと経って。
マリちゃんが死んだ。
家の鴨居から首を吊っていたらしい。
足の不自由なマリちゃんが、どうやって……なんて疑惑もあったみたいだけど、結局自殺として処理されることとなった。
ご両親の憔悴っぷりったらなかったそうだ。
叔父も親に連れられお葬式に参加したのだが、特に母親は声を掛けても無反応で呆然と座り込んでいたかと思うと、突然棺にしがみついて泣き出したりと、見ていられない程だったという。
仲のいい女の子たちは泣きながらマリちゃんの棺に手紙やプレゼントを入れてあげていた。
それを見た父親も、祭壇に飾っていたサリーを棺に入れてあげて、みんなで最後のお別れをして出棺をした。
そしてお葬式から1週間くらい経ったころ。
町でマリちゃんの母親を見かけた。
なぜかマリちゃんの車椅子を押して、にこやかに笑っていた。
車椅子には、あの時棺に入れたはずのサリーがちょこんと座っていて、ぞっとしたらしい。
大人は、マリちゃんを亡くしたショックで母親の頭がおかしくなったのだろうと言っていた。
けれども。
足が人形の様に動かなくなったマリちゃん。
マリちゃんの代わりに車椅子に座っていたサリー。
もしかしたら、最初からサリーとマリちゃんを入れ替えるのが目的だったのでは……。
あの人形は結局何だったのか。
確かめようにも、しばらくしてマリちゃんのご両親はどこかへ引っ越してしまった。
そしてその後、一度もあの人形売りを見かけることはなかった。
【了】

19 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:15:00.13 ID:2yX9zsEM0
【第5話】 ハンズ・ポチ ◆2DtjuJLYoI 様
『知らない女』
(1/2)
ひいおじいちゃんの家の2階には、知らない女がいる。
初めて見たのは幼稚園の頃。
正月のお祝いだったかな、従兄たちと遊んでいたら膳のまわりで騒ぐなと怒られて。
3人集まって気が大きくなっていたのかもしれない。普段なら絶対近づかない2階への階段を駆け上がった。
2階の窓は家具で遮られ、昼間でも真っ暗の状態。
俺たちは急に怖くなって、上がったところで立ちすくんだ。
だって、ほんとに一寸先は……って感じで、進むのもやだし背中を向けるのもやだったんだ。
そんなに時間はたってなかったと思うけど、ひいおばあちゃんが「ごはんよ」と階下から声をかけてくれた。
何だかほっとして、俺は勢いよく駆け下りた。従兄たちも同じような気持ちだったと思う。先を争って下りたから。
ひいおばあちゃんに「お菓子ある?」なんて聞きながら、なんでそうしたかわからないけど俺たちは後ろを振り向いた。
最初に言ったよね。知らない女がいるって。その彼女がさ、2階からじっと見てたの。
俺たちはぎょっとして、それから叫び声をあげて親のところに逃げてった。そこからはパニックですよ。
「女の人がいる!女の人がいる!」って。
あの時はごまかされたけど、高校に入った頃親父が打ち明けてくれた。
自分が高校の頃2階に寝起きしていた時があって、知らない女の人に顔を覗き込まれたことがあるって。
子供たちが騒いだとき、まだいるんだなってぞっとしたんだって。
これでおしまい、って言いたいところだけどこの話には不名誉な続きがある。

20 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/23(土) 19:16:16.49 ID:2yX9zsEM0
(2/2)
高校を卒業する前に、ひいおじいちゃんの家は主を失った。
そこで相続問題が持ち上がったわけだけど、ひいおじいちゃん達の子供はもう皆亡くなってて、
相続人は親父と親父のお兄さんだけ……じゃなくて、もう一人いたんだ。
ひいおじいちゃんと前の奥さんの息子さん。
親父のお兄さんって強欲な人でね、親父にウソを言い、その人にもウソを言ってひいおじいちゃんの
財産を総取りしちゃったのね。
もちろんあの家も。
ひいおじいちゃんの家はすぐに壊され、おじさんは新居に招待してくれた。
家には手を付けない。おじさん自身が言ってた事だった。
うちの女どもは怒り狂ってたから、親父は俺を引きずって挨拶へ。そこにはあの人までいた。
「彼が父に一番似ましたね」って苦笑いしてた。
ところであの家の周り、新築ラッシュで影の具合がずいぶん変わったんだね。昔とはまるであべこべだ。
おじさんの家に入ると、2階にあふれた太陽光がスポットライトみたいに階下に降り注いでいる。
ごちそうが一杯並んでいたけど、薄暗いリビングではあまり美味しく感じられない。
あの人がおじさんの顔をじっと見ている。下りてきた彼女と一緒に、熱心に。
彼女は祟るようなものかな?
ちょっとわくわくしながら、俺は家路についた。
【了】

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